これほどまでに変わるのかと
by echizen
エリザベス女王杯2008-観戦記-
若い石橋脩騎手が乗ったコスモプラチナが果敢にハナを切り、前半1000m59秒3という淀みのない流れを作り出した。エリザベス女王杯は各馬が折り合いを意識してスローになるか、思い切って飛ばす馬がいて意外なハイペースになるか、極端に分かれるのだが、今年はまさに後者であった。そのため、スタミナと底力が問われ、各馬の実力が如実に現れたレースとなった。
勝ったリトルアマポーラは、桜花賞2番人気、オークス1番人気と、春シーズンは期待を裏切るレースを続けていたが、秋の大一番を迎えてようやく大輪を咲かせた。サンデーサイレンス産駒と同様、アグネスタキオン産駒は仕上がりが早く、秋を迎えてもさらに成長するのだから恐れ入る。それでもまだ成長の余地を残す馬体からは、リトルアマポーラがこの先どれだけの馬に成るのか、明るい未来をイメージせずにはいられない。この馬の最大の長所は、鞍上の指示をしっかり理解し、折り合うことのできる素直さだろう。リラックスしてレースの流れに乗れたことで、持てる力を最大限に発揮することが出来た。
テン乗りとなったルメール騎手だが、完璧すぎるほど完璧にリトルアマポーラを乗りこなした。引っ張る馬がいて、馬群が長くなったのも功を奏したが、好スタートを切るや、スッと先行してあっという間に折り合いを付けた。秋華賞ではバタバタと走っていた馬が、しっかりとしたフットワークで地面を捉え、最後の直線では真っ直ぐに走っていたのが印象的である。ルメール騎手は自分の形に馬をはめ込むタイプで、そのスタイルがリトルアマポーラのようなコンパクトな馬体と素直な性格の馬とうまくマッチしたのだろう。ジョッキーが替わるとこれほどまでに馬の走りも変わるのか、とルメール騎手の鞍ハマリの良さ改めて驚かされた。
1番人気のカワカミプリンセスも、好スタートからレースの流れに乗り、最後まであらん限りの力を発揮した。横山典弘騎手としても、この馬の力を十分に出し切ったという感触があるはず。前走からマイナス10kgの馬体重で出走したように、ほぼ完璧な仕上がりにもあった。それでいてもリトルアマポーラに突き放されてしまったのは、連勝街道を突き進んでいたかつてほどの勢いが既になかったということに他ならない。
ベッラレイアも最後まで力を出し切った。ペースが速くなったことにより、外枠のロスも最小限に収まり、この馬にとっては最高の形となった。それでも勝てなかっただけではなく、カワカミプリンセスをも捕らえ切れなかったように、これがこの馬の能力の限界なのだろう。秋山真一郎騎手も馬の背から姿を消して上手く乗っていた。
スタート直後にポルトフィーノと武豊騎手が落馬して騒然となったが、レース自体には大きな影響を与えることはなかった。たまたま躓いたアクシデントだろうが、スタート前から少し入れ込んでいたように、今までにないG1レースの雰囲気の中で、ポルトフィーノ自身が落ち着きを欠いていたことも要因のひとつと考えられる。いずれにせよ、空馬になっても最後までレースに参加するポルトフィーノを見て、競馬は群れ(集団)で行われるという原点を再認識した。
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