エアグルーヴという宿病

こちらこそご無沙汰しております。私は元気ですよ。
ルドルフおやじさんも、相変わらず元気に競馬を楽しまれているようで何よりです。
天皇賞秋は素晴らしいレースでした。そして、長い長い写真判定でしたね。私も同着にしてあげれば良いのではと思いましたし、また一方で、どちらが勝ったのか白黒つけて欲しいという気持ちもありました。競馬場の周りにいた競馬ファンの方々も、同じ想いで見守っていた気がします。結果はウオッカに軍配が上がりましたが、逃げ切りは至難の業と言われている府中2000mの天皇賞秋で、あれだけのペースで自らレースを引っ張って、最後の最後まで踏ん張り通したダイワスカーレットには畏怖の念を覚えました。こんなこと言うと怒られるかもしれませんが、もうこの先がないようにも感じたので、あのレースだけはダイワスカーレットに華を持たせてあげたかったなぁ。
ウオッカにはまだやり残したことがあります。
私の好きな写真家の藤原新也さんは、かつて標高4000mのチベットのこれ以上青くしようのない、真っ青な空の下で暮らして以来、下界に降りて、いかなる土地に行っても空が濁って見えるという宿病を背負ったといいます。私もかつてエアグルーヴという牝馬と出会い、その競走生活を共に過ごして以来、下界におりて、牝馬のいかなる走りを見せられても曇って見えてしまうという宿病を背負いました。私の名牝の時計はエアグルーヴから10年間、止まったままなのです。
エアグルーヴが4歳時に勝利した天皇賞秋は、サイレンススズカがかなり速いペースで引っ張り、長い直線でのバブルガムフェローとの叩き合いを制した激しいレースでした。そういう意味では、今年のウオッカが制した天皇賞秋と似ていますね。もちろん、この激しいレースを制しただけでも驚くべきことなのですが、私がエアグルーヴという宿病を背負ってしまったのは、それから後の走りを見せられてからです。天皇賞秋で牝馬として力を一滴残らず使い果たしてしまったかに見えたエアグルーヴでしたが、そうではなかったのです。
続くジャパンカップでは、天皇賞秋の反動を心配する声をよそに、堂々の2着と大健闘しました。ピルサドスキーに出し抜けを食らってしまいましたが、4コーナーを回ってからの先頭に踊り出た時の力強い末脚は、もはや牝馬の肉体を超越していました。天皇賞秋の疲れがあったから負けたのか、それとも疲れがあっても2着を確保したのか今でも分かりませんが、私の常識が覆されてしまったのでした。
1997年ジャパンカップ
エアグルーヴ(緑の帽子)の牝馬の肉体を超越した走りをご覧ください。
さらに私のちっぽけな常識は根底から崩されてしまいます。暮れの有馬記念に登場したエアグルーヴは、ゴール前で交わされたものの、なんと3着を守り切る好走を見せました。まるで横綱が大関にするように、勢いのある3歳馬シルクジャスティスと古豪マーベラスサンデーに胸を貸すようなレース振りでした。
前年にサクラローレルやマヤノトップガンがこの3連戦を嫌い、ジャパンカップをパスしたことと比べると、天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念という古馬の王道を戦い抜いたことに、エアグルーヴのエアグルーヴとしての価値があると思います。たとえば、昨年はメイショウサムソンやポップロックも有馬記念では力尽きていました。牡馬でもへこたれてしまうローテーションで、1着、2着、3着と走り切ったことは驚異的ですね。
エアグルーヴという宿病から私を救うことが出来るのはウオッカしかいません。
もしウオッカがジャパンカップで2着、いや勝利するようなことがあれば、私の病は少しばかり癒えるはずです。そして欲を言えば、もしウオッカが続けて有馬記念で3着、いや2着するようなことがあれば、私はエアグルーヴを1頭の名牝として見つめ直すができるはずです。私の妄想の中で、エアグルーヴとウオッカとダイワスカーレットが互角に戦う日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
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宝塚記念3
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凱旋門賞2
ジャパンカップ
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伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
こんにちは。
LYCOSブログが閉鎖される事に伴い、ブログ場所を変更しました。よろしくお願いします。
ウオッカは有馬記念パスしないですかねぇ?
もし、使ったとしたら使いすぎの感じを受けます。
(走りは府中向きですしね・・)
今年は有馬記念が3回見れる気分で楽しいです。
Posted by: はやひで | November 27, 2008 at 12:12 PM
ブログいつも楽しみに拝見させていただいております。
↑はやひでさんのコメント、もっともだと思います。
あのコースで戦う意義すらどうか。
でも、ルドルフおやじさんの手紙を受けてのこの治朗丸さん、これだけ“競走馬love”なこの人のこのエントリは…
「己は鬼か」と自省しながら、それでもゆるがせに出来ない自らの信ずる競馬の本質のために、もう一人の“競馬love”な治朗丸さんが自分に鞭打ちながら書いたんじゃないかなぁ…と勝手に妄想です。
私は治朗丸さんとほぼ同世代で、エアグルーヴこそ最強牝馬と思っていた一人でしたが、府中2400の舞台ではウオッカがエアグルーヴを首差くらい凌いでいます。
Posted by: 78 | November 27, 2008 at 08:35 PM
はやひでさん
こんばんは。
ブログの件、変更させていただきました。
これからも楽しみにしております。
私も常識人なので(?)、基本的には無理をさせて欲しくない派なのですが、ウオッカは有馬記念でも好走して初めてエアグルーヴに追いつけると思うのですよね。
はい、あくまで個人的な感慨です…
それにしてもエアグルーヴは超人的な馬でした。
Posted by: 治郎丸敬之 | November 28, 2008 at 01:16 AM
78さん
はじめまして。
いつもありがとうございます。
確かに有馬記念は時期的にもコース的にも、力が素直に反映されない難しいレースですよね。
それでも、そんな中でもエアグルーヴは走り切ったことを評価したいと思います。
そしてそんな無茶な挑戦が出来るのも、私が生きている間にウオッカぐらいしか現れないかもしれませんからね。
私が鞭を打って書いたことを分かっていただけて嬉しいです(笑)
PS
78さんの妄想につられて、私も東京競馬場で3頭の名牝が叩き合っているイメージが浮かんできました!
Posted by: 治郎丸敬之 | November 28, 2008 at 01:21 AM
私的にはヒシアマゾンが今でも牝馬最強ですね。
何か、クリスタルカップの末脚が忘れられなくて・・・。
Posted by: はやひで | November 29, 2008 at 08:40 AM
はやひでさん
クリスタルカップの脚には痺れましたよね!
ヒシアマゾンは私も1番好きな馬です。
美しくて強かった牝馬です。
でも、強さという意味ではエアグルーヴにはかなわないかなと今では思っています。
Posted by: 治郎丸敬之 | November 30, 2008 at 02:05 AM
私はヒシアマゾン嫌いですよ~
この馬おらへんかったら、馬券よーさん獲れましたからねぇ・・・(笑)
Posted by: はやひで | December 01, 2008 at 12:07 PM
はやひでさん
そうだったのですか~(笑)。
私はこの馬にはかなりドキドキさせてもらいましたよ。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 02, 2008 at 01:24 AM