高慢なJCにどうウオッカが挑むか

ご無沙汰しております。お元気ですか?
天皇賞(秋)はすばらしいレースでしたね。あと30年くらいは、あのレースを知ってるんだぞ、4着に来たカンパニーってのはおやじの古いカンパニーで、いつでも携帯で呼び出せるんだぜ、などと自慢することができますね。3強の父にAタキオンとTギムレットの内国産種牡馬が名を連ねたというのも味噌で、日本のサラブレッドの到達点を示すことができました。彼らはレースをつくった父親として永遠に語り継がれるでしょう。競馬を長い間見ていてよかった。
それにしても長い長い写真判定でした。TV観戦していたおやじにはDスカーレットが優位に見えました。半年の休み明けのせいか、パッドックではずいぶんと機嫌が悪そうだったので、最後の直線で彼女が馬群に呑み込まれそうになったときは、「こりゃあ、だめだわ」と思わず呟いたのですが、その瞬間から彼女の中の異形の血が騒ぎだすんですな。ロイヤルスキーやら、リマンドやら、クリムゾンサタンやら、果てはテディーやら、報われない亡者たちがワイワイ言いながらスカーレットを後押しする。OS!OS!おおっ、ついでにルドルフおやじも走っておる。まるで亡者のお祭りのようにしてたどりついたゴール。これが1着でなかったとしたら競馬のご先祖さまに申し訳ない。頭があがらない。
それにしても武騎手は冷静に乗りましたね。写真判定の間、首をかしげる安藤騎手の横で100分の1ほどの笑みをもらしていましたもの。武騎手はレースをつまらなく見せる天才ですね。いやいや、言い方が違う、つまんなく見せることを繰り返せたところに彼の天才が閃いているですな。そこが他に天才と言われた騎手と武騎手の決定的に異なるところです。彼にとって今年初のG1制覇ですか?1着武豊、2着安藤勝己という結果は日本競馬史のメルクマールを示しています。
それにしても3着と4着の写真判定も微妙でしたね。カンパニーのような一流馬でなければ、このレースで4着にたどり着くことはできなかったでしょうね。しかし我が友、カンパニーを誰も褒めようとしません。むべなるかな!自分でレースをつくった3強とレースの流れにのったカンパニーの実力の差は歴然としていますから。3着Dスカイと4着カンパニーの鼻差には埋めようのない力の差が横たわっています。今回の天皇賞(秋)は「超」のつく一流馬が何たるかを解説するもっとも分かりやすい教科書となりました。
それにしても日本人の美徳は失われてしまいましたね。何かというと物事をあいまいにしておく、決着をつけないという美徳です。あのすばらしいレースの後、勝者と敗者にウオッカとスカーレットを振り分ける必要があったのか?あいまいにできるという能力というのは大人の能力ですよ。子供に98円を恵んでやっても、なぜ100円じゃないのかと抗議されるのがおちですが大人は「おおよそ」という言葉で98円を受け入れられるんです。そうやっておやじは10年間給料を下げ続けられていますが、これはおやじが大人だからではなく馬鹿だったからです。
それにしてもいつから競馬はオリンピックのような幼稚な競技になってしまったのでしょうか?あのレースを見て2cmにこだわる子供は誰だい?間近で判定写真を見てる奴なんていないんだから、白黒つけるおせっかいなどはいらなかった。1着同着ということでウオッカとスカーレットに花をもたせてあげてほしかったなあ。花があったり、彩があったりするのが文化なんだから、競馬はスポーツではないということを、競馬会はきちんと理解してほしい。2cmで猛抗議がきたらどうするって?無視してやりすごす。あいまいに事を済ませるというのは大変なことなんです。ウオッカとスカーレット、咲き続ける花の物語を永遠に見たかった。
サッカーにだって、マラドーナの「神の手」によるゴールがあったでしょ。ある日、マラドーナに神が降り給ひ、その「御手」で彼のゴールを助け給ふた。一瞬、マラドーナは反則を犯したのではないかと疑いをもたれたましが、今ではやはり神がいたんだ、という神話になっています。なぜ東京競馬場に神のご降臨はなかったのか。長い写真判定の後に「同着」という2文字を掲げてスカーレットとその血の素晴らしさを讃えてあげてほしかった。東京競馬場の夕暮れはもっと素敵な歓喜と喝采とそして幸福に包まれていたはずです。ただスカイとカンパニーを同着にしてはいけませんよ。こちらは大きな鼻差でしたから。
さて、今回のJCもおもしろそうですね。まずスカーレットの回避。これはよかった。安心しました。彼女がJCを勝てないからというわけではなく、名馬は大切にされなくてはならないからです。ウオッカには有馬記念はパスしてほしいと思っています。かつてない、そしてこれからもありえない名牝の対決は天皇賞(秋)で幕をとじていいんです。2度とないことをもう1度と願うところに天罰はくだる気がするんです。
ウオッカは1番人気に推されそうですね。JCというレースはなんとも意地が悪くて気位の高い高慢なレースです。ヒシアマゾン、エアグルーブ、そしてファビラスラフィン。3頭の狂ったように強い牝馬の冠を奪っている。これより弱い牝馬は歯牙にもかけないという高慢さ。嫌な奴ですな。そのくせ金髪娘には甘い。日本女性の敵ですな。この3頭に共通するのは、3歳春に東京で強烈な印象を残すレースをしたという点かな。ファビラスのNZTの凄まじい差し脚は今でも鮮明に思い出すことができます。3歳春にダービーを勝ち、4歳で安田記念と天皇賞を勝ったウオッカは3頭を凌駕しつつあるのかも知れません。凌駕したとはいいませんよ。だって3頭が鎬を削っていたのは超一流の牡馬でしたから。
見所はこの高慢なJCにどうウオッカが挑むかですね。さらに、さらにですよ、JCというのは皮肉屋で、東京2400を勝つために営々と築かれてきたはずの日本の古い血脈をなかなか勝たせてくれないですよ。勝たせてくれるのはディープのような輸入牝馬の仔か、ルドルフのように輸入牝馬の2代目、あるいは3代目あたりの馬がほとんどなんです。唯一、シラオキのスペシャルウィークを勝たせてくれたのは、例外というべきなのでしょうか。今回もシラオキはウオッカによって、何を日本の血脈が求めてきたか、明かそうとしています。
天皇賞(秋)のウオッカの馬体を見ていると難なくJCの高慢さや皮肉を越えていきそうな気もしますが、今回のJCはそう甘くはないでしょう。
治郎丸さんが今回のJCに何を問おうとしているのか、お返事がとても楽しみです。

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Comments
こんにちわ。
ルドルフおやじさんの記事、楽しく読ませて頂きました。
ルドルフおやじも走っておる、の記述には、
笑わせて頂きましたが、
同時に真剣さも感じてしまいました。
同着に出来なかったのは、やはりG1だからでしょうか。
けれど、2cmという差が、その数字で示された現実が、
観たものに再び何かしらの思いを抱かせたのも、
また現実としてあるのかなと思いました。
あれほどのレースでも記録上は2着、というのは、
今振り返ると、少しもの悲しく感じます。
ジャパンカップについてはライブで、
サンプルとしてレース解説して下さった事もあり、
枠順発表まで大人しく待とうかと思いますが、
引き続き傾向の考察、馬体評価を楽しみに待たせて頂きます(^^;
Posted by: childsview | November 26, 2008 at 12:15 AM