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どこまで世界を変えるのか

Arima08 by Deliberation
有馬記念2008-観戦記-
楽々と先頭を奪ったダイワスカーレットと安藤勝己騎手が作り出した流れは、前後半1000mが59秒6-59秒8というイーブンペース。コーナーを6つも回る有馬記念にしては、中盤の緩みも少ない、全体を通して息のつく間もない厳しいレースとなった。ダイワスカーレットを目標にした馬たちは壊滅し、勝ちに行かずに脚を溜めた馬たちが足元を掬った格好となった。

トウメイ以来37年ぶりの快挙となったダイワスカーレットは、もはや牡馬牝馬というレベルを超えた、現代におけるサラブレッドとしての頂上のレベルにある。天皇賞秋をひと叩きされて、精神的に落ち着いていたように、今回は磐石の勝利であった。それでも、1番人気を背負い、ハナに立つ形で目標にされながら、最後は逆に突き放してしまうのだから恐れ入る。自分のペースで走れば、どこまで行っても止まることなく、最後の直線ではもう一度伸びたように、この馬の底は一体どこにあるのだろうか。来年は海外遠征のプランもあるようで、どこまで世界を変えることが出来るのか、楽しみや期待が尽きない。私たちの常識を超えた馬である。

安藤勝己騎手もダイワスカーレットの強さを信じて、極めてシンプルに騎乗していた。スタートを決めると、迷うことなくハナに立ち、ダイワスカーレットのストライドをそのまま生かしながら、後続の脚をなし崩し的に使わせた。ゴール前で多少行きたがったダイワスカーレットを抑える技術もお手のものである。強い馬が力で押し切ったレースではあったが、ゴールの瞬間にガッツポーズを決めた安藤勝己騎手の表情を見ると、やはり相当なプレッシャーを感じていたのではないかと想像する。競馬の恐ろしさを誰よりも知る騎手だからこその重圧だったのだろう。

2番人気に推された前年の覇者マツリダゴッホは、全くレースをさせてもらえなかった。スタートでメイショウサムソンにポジションを取られると、さらにスクリーンヒーローにも内からブロックされてしまい、終始外々を回る形になった。切れる脚のない馬だけに、4コーナー手前から動いて行かざるを得なかったが、そんなに乱暴に勝てるほどG1レースは甘くはない。昨年と比べて、マツリダゴッホの力が大きく落ちたという訳ではなく、人気を背負っている分、他馬(ジョッキー)からのマークが厳しくなってしまったということである。本当にわずかな動きの差が、これほどまでに大きく結果を変えてしまうという競馬のレースの怖さをここに見た。

武豊騎手がメイショウサムソンを完璧に操り、あわやマッチレースかという見せ場を作った。おそらく予定していた通りのポジション、コース取りだったはずで、道中は(私を含め)夢を見たに違いない。4コーナー手前で夢は潰えてしまったが、メイショウサムソンのレースをしたという思いはあるだろう。厳しいペースをついて行っての惨敗ではあるが、もはやかつての唸るような強さは残っていなかったということである。3年間にわたって一戦で走り続けてきた馬だけに、目に見えない精神的な疲れが限界を超えてしまったのだろう。それでも後ろの世代にバトンを渡す、正々堂々とした走りであった。

スクリーンヒーローも勝ちに行っての敗北だけに、勝った馬が強かったと認めざるを得ないだろう。道中もしっかりと折り合い、虎視眈々とスパートのタイミングを窺っていた。最後の坂で止まってしまったが、4コーナーで捲くって行った時の脚色に今の充実が感じられた。ジャパンカップを勝って暮れの大一番だけに、完調とはいえない状態だっただろうが、それでも見せ場を作ったことで、ジャパンカップの勝利が決してフロックではなかったことを証明した。

大外から2着に突っ込んだアドマイヤモナークは、川田将雅騎手の思い切った騎乗が見事にハマった。力の要る暮れの馬場も合っていたのだろう。もちろん、日経新春杯、ダイヤモンドSを勝ち、京都大賞典でも2着しているように、今年に入って力を付けた馬である。同じくエアシェイディも、ハイレベルの天皇賞秋を5着し、有馬記念でも3着と走ったように、ここにきてまた馬が変わってきている。G1レベルだとあとひと踏ん張りが足りないが、8歳となる来年の飛躍に期待したい。後藤浩輝騎手もレースの流れを見切って、実に見事な騎乗をしていた。

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◎メイショウサムソン

Jiromaru

いよいよオーラス有馬記念です。とても素晴らしいメンバーが揃ったと思うのですが、ウオッカが出走してこなかったことだけは非常に残念です。賛否両論があるとは思うのですが、今年の有馬記念にはウオッカは出てくるべきだったのではないでしょうか。昨年の宝塚記念や有馬記念とは違い、今年は十分勝ち負けになる体力と体調にあったと思います。

前にも書きましたが、エアグルーヴが史上最強の牝馬たりえるのは、天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念という3戦を、のちに種牡馬となるような牡馬のチャンピオンを相手に回して、最後まで走り切ったからです。どこかのレースをパスして2つ勝つよりも、3つのレースで1、2、3着する方が遥かに難しいのです。

古馬になって体が完成されて、もし本当の強さがあるのだとすれば、全てのレースを走り切ってその体力を示すことでこそ価値を示せるのではないでしょうか。馬のことを第一に考えてという空論はさておき、それぞれの有力馬が勝てるレースだけを選んで出走し、それぞれ走って勝っていくという競馬には血が騒ぎません。そもそも、エアグルーヴは母親としてもアドマイヤグルーヴというG1馬を出しましたよね。ウオッカにはエアグルーヴに並ぶ資格があると思っているので、たとえ負けると分かっていたとしても戦って欲しかったです。

もちろん、ダイワスカーレットもウオッカと並ぶ強さを持った牝馬です。一見大人しい牝馬ですが、ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、今まで報われなかった異端の血が父系と母系の両方から騒いでいるようなオドロオドロシイ血統ですね。休み明けであった天皇賞秋の粘り腰にも驚かされましたが、私が今でも信じられないと思っているのが、今年の産経大阪杯です。昨年の秋にあれだけの激走をしておきながら、しかも有馬記念の敗北で緊張の糸が切れて、完全には立ち直っていなかった産経大阪杯で、一戦級の牡馬を寄せ付けませんでした。この馬には常識が通用しないと分かっていたのですが、それでもあのレースにはさすがに参りました。

3歳の有馬記念であれだけのレースをした以上、古馬となった今年は不動の本命と言ってもよいのではないでしょうか。牝馬の優勝はトウメイ以来ありませんが、この馬の走る姿を見れば、もはや誰も牝馬とは思わないでしょう。それほどまで、走るためだけに研ぎ澄まされた馬体をしています。母親としては心配になる部分もありますが、来年も現役を考えているようですので、この辺りで燃え尽きるわけにはいきません。

前走をひと叩きされて、精神的にも落ち着いてきているようです。体は前走で仕上がっていましたので、大きな変わり身は望めませんが、落ち着いてレースを進められるのは好材料です。おそらく今回もこの馬がレースの主導権を取ることになるはずなので、まさに安藤勝己騎手の言うように、自分自身のレースさえできれば結果は付いてくるのではないでしょうか。

唯一の心配材料といえば、今年に入って、産経大阪杯→天皇賞秋と2000mの距離のスピードレースしか走っていない点でしょうか。秋華賞→エリザベス女王杯とゆったりとしたレース使われた昨年とは、走りのリズムが違っています。また、今年に入っての馬体の充実を見ると、マイル~中距離馬らしい豊富な筋肉の付き方になっています。つまり、あまりにいいペースで飛ばしすぎると、これまで止まったことのないダイワスカーレットでも、最後の最後のパタッと止まってしまうこともあるということです。

昨年の覇者マツリダゴッホも仕上がりは良さそうです。中山で行われるこのレースに照準を絞って調整されてきたように、現役屈指の中山巧者でもあります。この馬が中山競馬場を得意とする理由として、いい脚を長く使える長所を生かせるということだけではなく、他の競馬場と比べて力を要する馬場であることも挙げられます。頭の高い走法(上半身に力を入れて走る)だけに、特に冬場で芝が枯れて重くなってきている有馬記念のような馬場はピッタリです。それでもこの馬を本命にしたくないのは、前年を人気薄で制しているからです。たとえ有馬記念に適性があったとしても、昨年よりはひとつ年齢を重ねていることを踏まえると、昨年よりも人気になるであろう今年は狙いにくいですよね。

ジャパンカップを制したスクリーンヒーローはステイヤーだと私は思います。前走はかなり遅いペースでしたが、ただ1頭だけピタリと折り合って走っていました。外枠の不利をはねのけて、ロスなくピタリと回したデムーロ騎手のコーナリング&仕掛けのタイミングの良さにアシストされての大金星でした。もちろん馬自身が力を付けていなければ勝ち切れませんので、ここに来て充実顕著なことは確かです。グラスワンダー×サンデーサイレンスという血統は、先週のセイウンワンダーと同じですね。重くなってきてパワーを要する今の馬場にも、なんら不安はありません。あとは再びデムーロ騎手が隙のない完璧な騎乗をすれば、この馬にもチャンスはあるでしょう。

穴っぽいところでは、エアシェイディが面白いと思います。道中でピタリと折り合いがつき、コースロスなく回ってこられて、ラストの差し脚が生きる展開になればチャンスはあるのではないでしょうか。天皇賞秋でも3強の次に強い競馬をしたように、今年に入ってようやく完成の域に入ってきています。ノーザンテースト産駒は二度変わると言われるように、母父ノーザンテーストの影響もあるのかもしれませんね。また、4年連続でサンデーサイレンス産駒が制していますが、今年も最後の最後にあっと驚くサンデーサイレンス産駒というのもありかもしれません。ちなみに、昨年もサンデーサイレンス産駒はもうないと言われていながらのサンデーサイレンス産駒の勝利でしたから。

メイショウサムソンは、今年に入ってからいまだ勝ち星に恵まれていないように、全盛期に比べると、精神的な面で燃え尽きてしまっているような気がします。同じオペラハウス産駒のテイエムオペラオーがそうであったように、あと一歩前へ出ることが出来なくなってしまうのです。ずっと放牧に出されずに、厩舎で管理されていたことも、精神的なストレスになっている部分もあったのではないでしょうか。「何かきっかけが欲しい」と武豊騎手も話していたのは、そういうことだと思います。

ただ、もし復活の可能性があるとすれば、海外遠征がきっかけになるはずです。森林に囲まれたフランスの広大な土地で走ることによって、精神的にリフレッシュされて帰って来るということもあるのではないでしょうか。前走は馬体重こそ増えていたものの、馬体が少しガレていたように、輸送や検疫で肉体的にはキツいところもあったのでしょう。レース全体を通じて、サムソンらしい覇気がありませんでした。それでも前走をひと叩きされて、馬体面だけを見ると、かなり力強さが蘇ってきています。何よりも、この中間は普段から気合が乗って、元気な姿を見せてくれています。力を要する今の中山のような馬場も、本質的には向いているはずです。

メイショウサムソンにとっては、この有馬記念がラストランになります。ダービー馬が5歳までしっかり走り遂げたのは最近では珍しいですね。数々のベストバウトを残してくれた馬ですが、最後にどのような走りを見せてくれるのか楽しみです。武豊騎手にとっても、非常に意味のあるレースになると思います。男には負けると分かっていても戦わなければならないことがあるのです。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:サムソンよ、いざ凱旋門賞へ

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「勝ちポジを探せ!」ライブDVDの申込み受付を開始します。

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大変長らくお待たせいたしました。先月に行われた、「勝ちポジを探せ!」ライブのDVDが完成しましたので、皆さまにお分けしたいと思います。さすがに有馬記念には間に合いませんが、年末年始のお休みにご覧いただけるようにお届けいたします。

「勝ちポジ」とは勝つためのポジションの略です。近年、サンデーサイレンス産駒がほとんどいなくなり、海外や地方からもジョッキーが入り込んできている時代の中で、この「勝ちポジ」の存在はますます大きくなってきています。ジョッキーにとっても「勝ちポジ」は大きなウエイトを占めますが、それと同じくらい、予想をする私たちにとっても、知らずには予想できないほど「勝ちポジ」は重要な概念となります。

恥ずかしながら、私はこの「勝ちポジ」の存在をつい少し前まで知りませんでした。たくさんのレースを観て、そのような存在があることは薄々気付いていたのですが、本当の意味では知っていなかったのです。ですから、あるレースを観て、その存在を本当の意味で理解した時、ありとあらゆるレースにおける絡み合った糸がほどけた気がしました。そして、これから行われるレースに対する見方そのものが、180度変わってしまったのでした。

それ以来、過去のレースを見直し、実戦のレースを通して「勝ちポジ」について研究を重ねた内容を、最もシンプルな形でまとめたのがこのライブになります。当たり前と言えば当たり前のことですが、今まで明らかに語られてこなかった話です。そういう意味では、当たり前だけど、実は当たり前ではないのかもしれないと思いながら聴いてみて頂けると幸いです。

ライブDVDの内容は以下の通りです。

Disc1(95分)
■デットーリポジション
■勝つためのポジション(基本ポジション)
■動物学的な観点からの『勝ちポジ』とは?
■安藤勝己騎手のこだわりがビリーヴを勝たせた
■なぜ各馬が自分のペースで走ることでレースは成り立たないのか?
■サンデーサイレンス産駒と武豊時代の終焉
■馬単、3連単の時代だからこそ
■川田将雅騎手、藤岡佑介騎手ら若手ジョッキーの台頭
■内田博幸騎手など、地方から来た一流ジョッキーは持たせてしまう
■「勝ちポジ」予想の手順
■買えなかったブラックホークの単勝馬券
■「勝ちポジ」を探すための4つのポイント
■伝説の福永洋一騎手のマジックも実は勝ちポジだった!?
■三浦皇成の上手さはここにあり
■菊花賞はデルタブルースポジション

Disc2(65分)
■勝ちポジを走る馬を探すための3大要素
■岩田康誠騎手の天才論
■武豊騎手がヴァーミリアンで「勝ちポジ」を取りに行った!(武豊の逆襲)
■馬の体調と「勝ちポジ」との密接な関係
■岡部幸雄騎手とジェニュインの『勝ちポジ』
■菊花賞馬が天皇賞春を勝てない本当の理由
■レースを見ることの本当の意味
■横山典弘騎手がなかなかG1を勝てないのはなぜ?
■武豊騎手の悪い癖
■質疑応答(Q&A)

Livedvdimg

ライブDVDの内容は、DVD2枚組(合計160分)と当日使用した資料(レジュメ)になります。今回、DVDという形を取ったのは、ライブの中で13のレース映像を実際に使って説明しているからです。顔を出すのは本当に恥ずかしいのですが、CDでは伝わりにくいと思い映像化しました。厳選されたレースを何度もご覧いただき、ゆっくりと時間を掛けてお楽しみください。

・ライブの報告はこちらから
・競馬場へ行こうツアーの報告はこちらから


私個人の時間的な都合で大変申し訳ないのですが、50部限定とさせてください。料金は7500円のみ(税込み・送料、代引き手数料無料)でお分けいたします。お支払い方法は代金引換になります。ライブの参加費と同じ料金でお分けしたかったのですが、今回は撮影業者に入ってもらったこともあり、コスト的にどうしても難しいのです。決して安くはないと思いますが、それ以上の大きな価値を提供できると考えています。

もしライブDVDを聴いていただいた上で、参考にならなかった、お役に立てなかったということがあれば、メール等にて遠慮なくおっしゃってください。返金させていただきます。逆に安くて心配と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、情報商材ではありませんので、ひとりでも多くの皆さまに聴いていただきたいという思いを込めています。早めになくなってしまうことが予想されますので、ご希望の方は今すぐお申し込みください

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特定商取引に基づく表記もご覧ください。


お申し込み方法
Step1 メールフォームにてお申し込みをしてください。
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です
*個人情報を第三者に開示をすることは決してありません。

Step2 お申し込み確認メールが届きます。

Step3 お届け先住所にライブDVDが届きます。
*代金引換ですので、ライブDVDをお受け取りの際に料金はお支払いください。

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また、質問メールも受け付け致します。このライブDVDを聴いて頂いて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしありましたら私宛のメールにて遠慮なくドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご感想もお待ちしております。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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力強さが蘇ってきたメイショウサムソン:5つ☆

アサクサキングス →馬体を見る
毎回良く見せる馬だが、今回も見栄えがする立派な馬体。
表情からも闘争心がピークに達しており、良い方向に出るかそれとも。
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エアシェイディ →馬体を見る
7歳馬とは思えない毛艶とフレッシュな馬体を誇る。
全体のバランスも申し分なく、あとは距離に対する乗り方次第だろう。
Pad4star

カワカミプリンセス →馬体を見る
全体のシルエットはこの馬本来のものだが、毛艶の悪さが目立つ。
表情からもかつての負けん気が伝わってこないのも気掛かり。
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スクリーンヒーロー →馬体を見る
馬体だけを見れば、とてもこの馬がジャパンカップを制したとは思えない。
迫力を感じさせない細身の馬体は、典型的なステイヤーのそれである。
Pad3star

ダイワスカーレット →馬体を見る
激戦の後だけに心配していたが、馬体を見る限り疲労は感じられない。
腹が巻き上がって腰高に見えるのはいつものことだが、
それ以外はまるで牡馬のような迫力の好馬体。
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ドリームジャーニー →馬体を見る
ひと息入ったからなのか、この夏にあったようなシャープさが感じられない。
ここからどれぐらい絞れてくるかがポイントになるだろう。
Pad3star

フローテーション →馬体を見る
全体的に伸びのある、いかにも長距離を得意とする馬体。
もう少し余分な肉が削げて、馬体が枯れてくると完成するのだろう。
Pad3star

マツリダゴッホ →馬体を見る
スラリと手肢が長いが、体全体からもしなやかなパワーを感じさせる。
欲を言えば、もう少し首回りの筋肉が付いてくれば体全体を使って走られる。
Pad4star

メイショウサムソン →馬体を見る
ジャパンカップは体重こそ増えていたものの、遠征による消耗が残っていたようだ。
今回は明らかに回復しており、この馬らしい力強さが蘇ってきている。
Pad5star

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測り違えにもほどがある

Asahihaifs08 by Deliberation
朝日杯フューチュリティS2008-観戦記-
ゲットフルマークスにツルマルジャパンが絡み、前後半が46秒3-48秒8という、いかにも朝日杯フューチュリティSらしい厳しいペースでレースは流れた。これだけ前半が速ければ、いくら中山競馬場の直線が短いとはいえ、先行した馬たちが流れ込むのは難しい。また、全体的に少し時計の掛かる馬場になってきたこともあり、差し脚を溜めた馬のワンツーフィニッシュとなった。

勝ったセイウンワンダーは、新潟2歳S以来の実戦となったが、休み明けを全く感じさせない走りであった。夏はコロンと映った馬体にも伸びが出てきていて、これだけ動けたのだから、プラス10kgの馬体重は成長分と見ても良いだろう。今回はスタートも抜群で、スッと先行し、ペースに合わせてジワジワと下げて脚を溜めるという王道の競馬ができた。直線では馬群をあっという間に突き抜けると、ゴール板まで一気に駆け抜けた。父グラスワンダーからはパワー、母父サンデーサイレンスからは切れ味を受け継いだ新チャンピオンの登場である。

ロスなく乗った岩田康誠騎手の騎乗は、完璧というより他ない。これ以上、望むべくもない手綱捌きでセイウンワンダーを導いていた。それにしても、馬を出して行く技術、馬の気分を損ねないように少しずつ折り合いをつけていく技術、そして直線に向いてから一気にシフトチェンジする技術は年々凄みを増している。ジャパンカップ、JCダートと、武豊騎手の欠場で回ってきた馬たちで結果を出せずにいたが、鬱憤もこれで晴れたのではないだろうか。

フィフスペトルもほぼ完璧に乗られたが、それでも勝ちきれなかった。勝負どころでの反応が少し遅れたのは痛かったが、勝ち馬との差は枠順の違いとしか言いようがない。前後肢にシッカリ筋肉がついた体型で、距離延長には僅かな心配があったが、今日のレース振りを見ていると全く問題なかった。父キングカメハメハに初のG1勝利をプレゼントするには至らなかったが、来年に向けて奥の深さを感じさせる走りでもあった。惜しくもG1レース3連勝とはいかなかったルメール騎手だが、外から武豊騎手が動いた時も焦らずに待ったように、あらゆる判断が優れている。ヨーロッパだけではなく、日本の競馬も知り尽くしている。

岩田康誠騎手とルメール騎手に対し、武豊騎手の拙騎乗には、驚きを通り越して同情の念すら覚える。道中で交わした馬たちに内を掬われただけではなく、外からも差し込まれたのだから、脚の測り違えにもほどがある。ブレイクランアウトが馬体を併せると走るのをやめてしまうことを前走で知っている以上、もはや弁解の余地はないだろう。あれだけの前傾ラップを、外からマクって上がっていく必要性がどこにあったのだろうか。持ち上げておいて落とすつもりは全くないのだが、日本一のジョッキーであるならば、ギリギリまで脚を溜めて最後の直線で爆発させる騎乗をするべきであった。

北村友一騎手が跨ったシェーンヴァルトは、内ラチ沿いでレースを進めたものの、終始手応えが良くなかった。初めての長距離輸送がこたえていたのか、前進意欲が感じられず、体調自体が優れなかったように映った。4着に入ったホッコータキオンは、外枠の不利やハイペースに巻き込まれたにもかわわらず、最後まで脚を失うことなく良く走っている。現時点では、上位3頭と同じだけの力を持っていると評価したい。ペリエ騎手のミッキーパンプキンは、レースの主導権を奪えず、自分の型に持ち込むことができなかった。それでも、これだけのペースで行って、よく最後までバテることなく走っている。

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中山2500m

Nakayama2500t

外回りコースの3コーナー直前からのスタート。第1コーナーである3コーナーまでの距離は192mと短く、スタートしてすぐにコーナーに突っ込む感じ。スタンド前を通る前に馬を落ち着かせておきたいので、スタートしてから最初の直線まではポジション争いよりも各馬折り合いに専念する。

スタンドからの歓声によって馬が行きたがることがあるが、馬を前に置けるとそれを防げる。そのため、前の馬を壁にできる内枠の馬は有利になる。1週目はゆっくりと坂を登り1コーナーに差し掛かる。ペースが上がるのは2コーナーを回って丘の下りにかかった地点から。向こう正面から3コーナーまでの間に、ほぼトップスピードに加速する。ここでのペースが極端に速いと最後の坂での逆転劇が待っている。

中山の2500mというコースにおける特徴はコーナーを6つも回るということだ。そのため道中のペースはあまり速くなることはない。ステイヤータイプの馬が活躍しているのは、スローペースでも折り合いに苦労することがないからであろう。スピードだけで押し切れるコースではないが、マイラーでも折り合いがつくタイプであれば克服はできる。

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あの時の熱狂が

Jiromaru

今からちょうど10年前、私は1年間を通じて大きな勝負をしていました。1レース10万円。当時は社会に出たばかりの身分で、私の給料などスズメの涙ほどでしたが、それでもひと月に手にする給料の半分以上を、1つのレースに賭けていたことになります。今から思えば愚かな話で、若気の至りと言ってしまえばそれまでなのですが、当時は自信というよりも、何かそうせざるを得ない衝動のようなものがあったのでしょう。

今でも忘れられない話があります。その年の菊花賞、あらゆるツテを使い、何とかして手に入れた1万円札10枚を持って、私は渋谷のウインズにいました。◎ナリタトップロードの単勝を買うことは前々から決めていました。その年のクラシック路線は、アドマイヤベガ、ナリタトップロード、テイエムオペラオーが3強と目されており、皐月賞はテイエムオペラオー、ダービーはアドマイヤベガが制したのですが、春が終わった時点で、私はナリタトップロードが一番強いと思っていました。夏を無事に越して、秋初戦こそ2着に負けたものの、最後の1冠を制するのはナリタトップロードだという確信が私にはあったのです。

当時はPATがほとんど普及していなかったこともあり、ウインズには馬券を買うためにたくさんの人々が並んでいました。今では想像もつかないかもしれませんが、G1レースともなれば、馬券を買うまでに30分近く待つなんてことはザラだった時代です。時計の針を見ると、ちょうど3時。ナリタトップロードの馬番を塗りつぶしたマークシートを手に持って、私は列の最後尾に並びました。

自分の買う番が来るのを待っているうちに、なぜか胸がドキドキしてきました。「本当にナリタトップロードでいいのか?」、ともうひとりの自分が問いかけてきました。強力な瞬発力を持つアドマイヤベガでもなく、ヨーロッパでも通用するという強靭なスタミナを持つテイエムオペラオーでもなく、なぜナリタトップロード?ウインズのモニターに映し出される参考レース映像や、隣の列に並んでいるおっさんの広げる競馬新聞に大きく書かれた「アドマイヤベガで勝てる!」という文字が目に入ってきて、私の気持ちはますます揺らいでいきました。

鼓動はさらに速くなり、ドキドキはドクドクに変わりました。頭の中が真っ白になり、全身から湯気のように汗が噴き出してきました。今から思えば、それほどに精神的にも経済的にも追い詰められていたのでしょう。もはや負けは許されなかったのです。

待つこと20分以上、ようやく私の番が回ってきました。硬直した体をなんとか一歩前に動かし、10枚の一万円札を自動券売機に入れました。あとはマークシートを入れれば、今日の仕事は終わり。もうどうにでもなれと思い、マークシートを入れたその瞬間、マークシートが戻ってきたのです。私はパニックになりました。あれほど入念にチェックしたはずのマークシートが、「識別できません」という旨の表示とともに返ってきたのです。

はじき出されたマークシートを見てみると、確かに私が塗りつぶしたはずのレース番号や馬番が全て消えてしまっていました。何が起こったのか分からなかった私は、ついつい並んでいた列から外れてしまいました。なんと、マークシートは私の手の汗で完全に消えてしまっていたのでした。

当然のことながら、目の前には長蛇の列が並び、私は菊花賞の馬券を買うことが出来ませんでした。あのレースほど、自分が本来買っていたはずの馬が負けることを願ったことはありません。ナリタトップロードが早めに抜け出した時にはバテてくれと叫び、テイエムオペラオーが外から差して来たときには差してくれと叫びました。ナリタトップロードがわずかに先頭でゴール前を走りきった時、私は自分の弱さをとことん思い知らされたのでした。

私の命を引き換えにするような大勝負は、この年の有馬記念まで続きました。アッと驚く結末が待っていたのですが、これについてはまたいつの機会にかお話しましょう。私はこの1年で、金銭的にも精神的にも大きなダメージを受け、たくさんの人々に迷惑を掛けもしました。それでも、この1年があったからこそ、(大袈裟に言うと)今の私があるとも思っています。馬券のスキルだけではなく、競馬というゲームの本質を学びました。大きなお金を賭けることは決してお勧めしませんが、勝つにしても負けるにしても、傷つかない程度ではなく、自分が何かを失ってしまうほどに大きく勝負してみないと、見えないものがあるのもまた事実でしょう。

あれから10年、私も少しばかりは大人になり、自分の人生で大勝負をすることが多くなってきましたが、それでも時には競馬でも大勝負がしたくなります。「男には負けると分かっていても戦わなければならないことがある」って、確か「銀河鉄道999」でキャプテン・ハーロックが言ったセリフでしたね。暮れの有馬記念の季節がやって来ると、あの時の熱狂が蘇ってくるのです。

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有馬記念を勝つために知っておくべき3つのこと

Arima

■1■必ずしも強い馬が勝つとはいえない2つの理由
暮れの大一番、有馬記念。3歳馬と古馬との対決でその年のナンバーワンを決定するのだが、必ずしも強い馬が勝つとは言えないのがこのレース。
その理由として、
1、シーズン最後のレースであるために、強くてもピークを過ぎている馬がいる。
2、コーナーを6つも回るため、展開によって大きくペースが左右される。
という2点が挙げられる。

1については、各馬それぞれ目標としていたレースが違うということである。たとえば3歳馬なら菊花賞、古馬ならジャパンカップ、そして海外のメルボルンカップに目標を定めていた馬もいるだろう。しかし、現状としては、暮れの大一番である有馬記念に目標を置いていたという馬はまずいない。よって、秋のどこかの時点でピークに仕上がってしまった馬や、仕上げて勝った馬は、この有馬記念には下降線の決して万全とはいえない体調で臨まざるを得ないということになる。中にはここに来て調子を上げてくる馬もいるので、そういった体調の交錯があって、あっと驚く好走や凡走が繰り広げられるのがこの有馬記念である。

2については、有馬記念が行われる中山の2500mというコースにおける特徴は、コーナーを6つも回るということだ。競馬はコーナーを回ることによって息が入ったり、ペースがアップダウンしたりするので、コーナーの数と展開の不安定性は比例する。ここ3年はタップダンスシチーが速いペースで引っ張っているが、いつ超スローペースになってもおかしくない。つまり、展開の紛れによって結果が大きく左右される、荒れやすいレースである。

■2■世代交代が行われるレース
過去10年の年齢別の成績を見ると、3歳馬が4勝、4歳馬が6勝となる。成長著しい3歳馬か、充実から完成に向かう4歳馬のどちらかから勝ち馬が出る可能性は非常に高い。このデータを考えると、5歳と7歳時に連対したタップダンスシチーの凄さが分かる。いずれにせよ、有馬記念は世代交代が行われるレースであり、これからの馬を狙い打つのが本筋である。

■3■牝馬が勝ちきることは難しい
牝馬としては過去10年でヒシアマゾンの2着、エアグルーヴの3着、ダイワスカーレットの2着が最高である。理由は2つ考えられて、1つはジャパンカップと同じく、トップレベルのスタミナが要求されること。もうひとつは、牝馬は牡馬に比べて冬毛が生えてくるのが早いように、季節的に休眠に入ってしまい臨戦態勢にないことが挙げられる。これからも牝馬がこのレースを勝ち切ることは相当難しいだろう。

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◎ブレイクランアウト

Jiromaru

ここ最近は、クラシックを目指す素質馬が朝日杯フューチュリティSを回避して、ラジオたんぱ杯2歳Sに回る傾向が強くなってきています。かつてナリタブライアンやバブルガムフェロー、フジキセキ、ミホノブルボンなどが出た時代と比べると、明らかにメンバーに大物感が失われてきていることは否めませんね。今年で言えば、ロジユニヴァースやリーチザクラウンは、昔であれば朝日杯フューチュリティSに出てきている馬たちだったのではないでしょうか。

昨年のゴスホークケンに引き続き、今年も外国馬の◎ブレイクランアウトに本命を打ちます。少し乗り難しい所のある馬なので、武豊騎手が乗ってくるということで安心しました。前走の東京スポーツ杯2歳Sは脚を余したというよりも、馬体が併さってから、あと一歩前に出ることが出来ませんでした。武豊騎手は「ファイトしなかった」という言葉を使っていますが、他馬よりも速く走ることの意味が分かっていないのでしょう。若駒にはよくある話で、ちなみに私も、幼稚園の徒競走で歩いてゴールしたことを今でも親に言われます(笑)。若駒は一戦ごとに成長しますし、乗り方次第でしょう。馬体を併せるのではなく、相手を一気に交わすような乗り方が必要です。

だからこそ、武豊騎手が手綱を握ることこそが勝つための条件となります。武豊騎手は先月の25日に落馬して右腕の尺骨を骨折しましたが、なんと1ヵ月も経たないうちのスピード復帰となります。2002年にも骨盤骨折の重傷で全治3~6ヶ月のところを2ヶ月で復帰したように、その回復力は驚異的ですね。17日に川崎で行われた全日本優駿からも復帰することは可能だったようですが、万全を期すためにここ一本に絞ってきました。年内一杯は休養しても良さそうですが、こうして1日でも早く戻ってくるというのは、ブレイクランアウトやメイショウサムソンで勝てると思っているからというような浅い理由ではなく、ひとつでも多くのレースに乗って、もっといい騎手になりたいという強い信念があるからです。武豊騎手が日本一のジョッキーたるゆえんでもあります。

フランスの魔術師ルメールが跨るフィフスぺトルも面白い存在です。新種牡馬キングカメハメハの産駒として初重賞を父にプレゼントしました。父のようにスケールの大きな馬ではありませんが、小柄で運動神経がいいというのが第一印象でした。函館2歳Sは三浦皇成騎手の好騎乗もありましたが、1頭だけ若駒離れした落ち着いたレース振りでしたね。ただ、前走は休み明けとはいえ、少し入れ込んでいたことと、最後の直線で伸び切れなかった走りに不満を感じました。1200→1400mと使ってきてのマイル戦だけに、道中厳しいペースになりがちであることも含め、スタミナに若干の不安を抱えていることは確かです。絶好調のルメール騎手が、どのようにスタミナを温存し、スピードを爆発させるのか楽しみです。

好枠の1番枠を引いたミッキーパンプキンが逃げそうですね。ペリエ騎手の技術を持ってすれば、途中で息を入れながら速いペースで引っ張ることも可能です。ミッキーパンプキンの馬体や走法からしてもビュッと切れる馬ではないので、ため逃げをするよりも、ある程度引っ張って、この馬の地脚の良さを生かす乗り方をしてくるのではないでしょうか。それでも勝ち切れるイメージはないのですが、勝ち負けになりそうなぐらいの見せ場は作れるだけの能力は持っています。

シェーンヴァルトは、ジャングルポケット産駒らしいバランスの良い馬体で、追ってからも伸びそうですね。デイリー杯の勝ち馬の不振が目立つのは、逃げて楽に勝ってきた馬が多いからで、この馬はしっかりと差して勝っていますから心配ないでしょう。道中の流れが厳しくなり、最後の直線に坂があるので苦しいレースになることは確かですが、乗り方次第で上位争いは可能です。北村友一騎手が世界のビッグネームの中で、どれだけの手綱捌きを見せられるのでしょうか。北村友一騎手にとっては、大きなチャンスになるはずです。


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「ガラスの競馬場」:武豊の雪辱

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いかにも運動神経が良さそうなフィフスペトル:5つ☆

オメガシリウス →馬体を見る
柔らか味のある筋肉と抜群の毛艶が、好調さを物語っている。
ただ、胴部が拳ひとつ分短く、距離延長はプラスには働かないか。
Pad4star

ゲットフルマークス →馬体を見る
雄大な馬体を誇り、いかにもパワーとスピードに溢れていそう。
気性に激しさを感じるのが気掛かりだが、スムーズに行ければ再び好走も。
Pad3star

シェーンヴァルト →馬体を見る
全体のシルエットにも長さがあり、それでいて研ぎ澄まされている。
首がわずかに高いのが気掛かりな程度で、現時点での完成度は高い。
Pad4star

セイウンワンダー →馬体を見る
休み明けになるが、以前に比べて筋肉のメリハリに欠ける印象を受ける。
締まったと見るか、筋肉が落ちたと見るか、判断が難しい。
Pad3star

フィフスペトル →馬体を見る
小柄だが、敏捷性が高く、いかにも運動神経が良さそう。
腹回りに余裕はあるが、肩から胸にかけての筋肉の盛り上がりは凄い。
Pad5star

ブレイクランアウト →馬体を見る
表情には幼さを残すが、馬体全体の完成度は高い。
前後肢にしっかり筋肉がついて、これが強靭な末脚を支えている。
Pad4star

ホッコータキオン →馬体を見る
平均的に優れた、バランスの良さが目立つ好馬体。
皮膚に厚さを感じるが、コンスタントに力を出し切れるだろう。
Pad3star

ミッキーパンプキン →馬体を見る
胴部と脚の長さのアンバランスが特徴的な馬体。
毛艶も冴え、堂々と立てていて、現在の好調さが伝わってくる。
Pad3star


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中山1600m

Nakayama1600t1

1コーナー付近にある小高い丘の頂上からのスタート。第1コーナーとなる2コーナーまでの距離が240mと短いことと下り坂になっていることによって、流れは速くなりやすい。見た目よりもゆったりとした2コーナーを回ると、あとはひたすら下り坂で、その勢いをつけたまま4コーナーを回り直線に突入することになる。勝負の分かれ目は最後に待ち構えている坂で、余力が残っていない馬はここでパタっと止まる。そのため、前残りか前崩れかといった極端な展開になりやすい。

直線が短いためスピードだけで押し切れそうだが、直線に急勾配な坂があることによって、実はスタミナも必要とされる。かといって、ジワジワと伸びていても直線が短く届かないので、一気に坂を駆け上がるような瞬発力も要求される。

外枠が極端に不利なコースである。第1コーナーまでの距離が短いため、外枠の馬は良いポジションを確保するのが難しい。そして、コース全体が大きな円を描いているため、外を回されると内の馬と比べてかなりの距離ロスになってしまう。ペースに緩みがないため、一旦外を回されると軌道修正する前にレースが終わってしまうことも多い。

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ワンダーホース

Jiromaru

今年で第60回を迎える朝日杯フューチュリティS(旧朝日杯3歳S)ですが、第2回の優勝馬があのトキノミノルですから、どれだけ歴史が深いかがお分かりになると思います。数々激闘が演じられ、たくさんの名馬が生まれました。朝日杯フューチュリティSで最も強い勝ち方をしたのは?と聞かれれば、マルゼンスキーとお答えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は迷わずグラスワンダーと答えます。

グラスワンダーはマルゼンスキーの再来と呼ばれた馬です。朝日杯フューチュリティSを含む、2歳時の4戦でつけた着差は合計で16馬身半。新馬戦でこの馬を見た時の、あの弾むような走りは忘れられません。鞍上の的場均騎手がほんのちょっとだけ手綱を緩めただけでグーンと加速する様は、まさに1頭だけ次元の違うエンジンを搭載した外車が走っているようでした。新馬戦を3馬身、オープン戦を5馬身、京王杯3歳Sを6馬身という圧勝につぐ圧勝で、朝日杯フューチュリティSに臨んできたのです。

のちにスプリンターズSを制するマイネルラブや、ヨーロッパのG1を勝利したアグネスワールドなど、素質ある外国産馬が多く集まった非常にレベルの高いレースでした。案の定、2歳戦とは思えないハイペースでレースは進み、いくらスピード自慢の外国産馬たちとはいえ、追走に手一杯になる馬もたくさんいる中、グラスワンダーだけは、まるで調教で走っているかのような涼しい顔をして、体を弾ませるように、余力十分に走っているではありませんか。的場均騎手の手綱はピクリとも動いていません。

最終コーナー手前で、的場均騎手からのゴーサインが出た時、グーンと加速していくグラスワンダーにマルゼンスキーを重ねた競馬ファンもいたことでしょう。普通のサラブレッドの肉体に、まるでもうひと回り筋肉をコーティングしたような異次元の馬体から繰り出される走りには、月並みな表現ですが背筋がゾクッとしました。着差こそ2馬身半でしたが、2着のマイネルラブ以下を子供扱いしての完勝でしたね。

1997年朝日杯3歳S

「1分33秒6・・・!」という断末魔のような実況が、今でも頭の中に残っています。

そんなグラスワンダーですが、実はとても人懐っこくて、大食漢だったそうです。人の気配を察すると遊んでくれと前掻きをして、どれだけ厳しい調教を課しても、カイバを与えれば与えるだけ食べたそうです。よく遊び、よく食べるがグラスワンダーの強さの秘密だったのかもしれません。食べ過ぎて大きくなった馬体が脚元の故障につながったのは愛嬌ですが、それでも何度も復活して有馬記念を2連覇したのですから、まさにワンダーホースですね。父としてもスクリーンヒーローがジャパンカップを制して、これまたワンダーでした。

クラシックを目指す素質馬は、朝日杯フューチュリティSを回避して、ラジオたんぱ杯2歳Sに向かう傾向が強くなってきていますが、本当に強い馬であればそんなことは関係がないことをグラスワンダーが証明しています。息子のセイウンワンダーは偉大な父に追いつくことが出来るのでしょうか?今年の朝日杯フューチュリティSは、久しぶりに本当に強い馬が現れるのでしょうか?そして、どのようなワンダーが待っているのでしょうか?

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ためいきの日曜日

Hansinjf08 by echizen
阪神ジュべナイルF2008-観戦記-
ラップだけを見ても特に目立った凹凸はなく、前後半47秒3-47秒9というタイムもごく平凡なミドルペースである。ただし、実際のレースを見てみると、先行集団で揉まれた馬たちが、数字には表れてこない消耗をしていることが分かる。キャリア数戦の2歳牝馬があれだけゴチャついた中で競馬をすれば、よほど精神的に強い馬でない限り、直線に向いてからの余力は残っていないはずだ。運良く揉まれずに済んだ馬、後ろから行って揉まれなかった馬が上位を独占する形となった。ペースではなく、レース運びが勝敗を分けた。

ブエナビスタの強さにはため息が出た。もし揉まれていたらどうなっていたか分からないが、そんな仮定すらナンセンスと思わせるほどの文句なしの圧勝であった。ゴチャついた先行集団が、なんとか折り合いを付けようとしている後ろで、この馬は自分のリズムを崩すことなく、悠々自適なペースで走っていた。マイル戦で、1頭だけ中距離のレースを走っているかのようであった。この馬には2歳馬らしからぬ落ち着きと、レースに行ってのセンスの良さがある。道中で全く力まない分、直線に向いて鞍上からゴーサインが出るや、あっと言う間に反応し加速できる。大柄に出やすいスペシャルウィークと小柄なビワハイジが絶妙のマッチングで、かくも空を飛ぶような天才少女が誕生した。

安藤勝己騎手のベテランらしい落ち着きも見逃せない。これだけの人気を背負う馬に跨れば、どうしても無難な競馬をしてしまいがちであるが、安藤勝己騎手はそうではなかった。「勝つためには勝つ気で乗らないこと」という自身の信条に反しない、勝つ気で乗らない勝つための騎乗であった。また、こういうゆったりとしたリズムで走らせて、なおかつ勝てたことは、来年のクラシックへとつながっていくだろう。「大きいレースをいくつも勝つつもり」という安藤勝己騎手のコメントも、そのあたりから来ているはずである。

関東馬ダノンベルベールは力を出し切ったが、今回は相手が強すぎた。内枠発走であったにもかかわらず、道中で揉まれることもほとんどなく、3コーナーから4コーナーにかけて、ゴチャつく先行勢を尻目に、後藤浩輝騎手が見事にダノンベルベールを外に出せたことが大きい。追い出しのタイミングも絶妙であったが、さらに後ろからあっと言う間に交わされて、グウの音も出なかっただろう。それでも勝ちに等しい2着である。長距離輸送の不利を克服すべく、11月から栗東入りして、やるだけのことをやった陣営の努力が実った。まだ線の細さが目立つ馬だが、成長を促しながら使っていけば、将来は明るい。

ミクロコスモスは道中、死んだふりをして3着を拾った。勝ちに行った競馬ではなかったが、まだキャリア1戦の馬だっただけに、結果的には揉まれない競馬をしたことが功を奏した。コロンとした体つきだけに、決してクラシック向きとはいえないが、道中でリラックスして走ることを教えられれば、将来の選択肢の幅も広がるだろう。新種牡馬ネオユニヴァースの第1世代であり、2歳戦から活躍できる父の血の優秀さを示したことにもなる。

ジェルミナルの走りにもため息が出た。パドックから入れ込んでいたことや、スタートで好位を取りに行こうと馬を少し出したことなど、要因は色々と考えられるが、道中の走りには力みが目立ち、最後の直線に向いた時点で既に余力がなかった。もしかすると、牡馬と叩き合った前走が意外にこたえていたのではないだろうか。前走で厳しいレースを強いられた馬よりも、前走のレース内容は平凡でも、余裕と余力を持って臨んでくる馬の方が、敏感な2歳牝馬のレースでは案外良い結果を出すということを改めて知らされた。

ためいきの日曜日

Mr.Childrenの中で私が好きな曲のひとつです。


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朝日杯FSを当てるために知っておくべき3つのこと

Asahihaifs

■1■絶対的能力と完成度が問われる
傾向としては1番人気が強く、過去10年間で[3.4.3.0]という成績である。勝率3割、連対率7割、複勝率にするとパーフェクトである。1番人気が好走することで有名なマイルチャンピオンシップよりも高い数字である。理由としては、かなり速い時計での決着となるため、実力の有無がはっきりと出てしまうことが考えられる。

また、過去10年の勝ち馬を見ると、平成16年のマイネルレコルト、平成18年のドリームジャーニー、平成19年のゴスホークケン以外、すべての馬が前走1着していることが分かる。これは現時点での絶対的な能力や完成度が問われるレースになることを示している。重賞ならば最低でも3着以内に好走していること、もちろん条件戦で負けているようでは×。

■2■生粋の逃げ馬は通用しない
ここまで逃げて勝ってきた馬がまったく通用していないことにも注目したい。中山1600mのコース形態上、2コーナーまでの位置取り争いが激化するため、ほぼ毎年、前に行った馬には厳しいペースとなる。さらに、最後の直線に急坂があることによって、スピードだけで押し切るのは難しい。

このレースを逃げ切ったのはミホノブルボンとゴスホークケンだけ。ミホノブルボンは新馬戦では出遅れて差す競馬を経験しているし、ゴスホークケンは前走で抑える競馬をしていた。つまり、スピードを武器にした一本調子の馬ではなく、抑えが利いて、終いの脚を生かすような競馬ができる馬でないとこのレースは勝てない。

ただし、最近のラップタイムを見ると、ここ数年は少し傾向が変わってきていることが分かる。ほぼ確実にハイペースに流れていた過去のレースとは違い、平成17年はなんとスローペース、平成18、19年はミドルペースに落ち着いている。その年ごとのメンバーによって流れが違ってくるのは確かだが、近年になってクラシックを狙う馬が回避して、よりスピードに偏った馬が集まってきている中だけに興味深い傾向である。今年も比較的落ち着いた流れになってしまうのか、もう少し見守りたい。

12.0-11.0-11.3-11.1-11.7-12.3-12.0-12.2(45.4-48.2)H
1:33.6 グラスワンダー
12.5-11.2-11.4-11.8-12.0-12.2-12.2-12.0(46.9-48.4)H
1:35.3 アドマイヤコジーン
12.3-10.4-10.8-11.6-12.0-12.6-12.1-12.9(45.1-49.6)H
1:34.7 エイシンプレストン
12.3-11.2-11.5-11.7-11.7-12.0-11.9-12.2(46.7-47.8)H
1:34.5 メジロベイリー
12.1-10.9-11.4-11.8-11.5-12.1-12.1-11.9(46.2-47.6)H
1:33.8 アドマイヤドン
12.5-11.1-10.7-11.2-11.4-11.7-12.3-12.6(45.5-48.0)H
1:33.5 エイシンチャンプ
12.3-10.7-11.1-11.7-11.7-12.1-11.9-12.2(45.8-47.9)H
1:33.7 コスモサンビーム
12.3-10.8-10.9-11.4-12.0-12.0-11.8-12.2(45.4-48.0)H
1:33.4 マイネルレコルト
12.8-11.5-11.6-11.5-11.6-11.8-11.1-11.8(47.4-46.3)S
1:33.7 フサイチリシャール
12.6-11.0-11.3-11.9-12.1-12.2-11.1-12.2(46.8-47.6)M
1:34.4 ドリームジャーニー
12.3-11.1-11.3-11.6-12.0-11.9-11.3-12.0(46.3-47.2)M
1:33.5 ゴスホークケン

■3■スタミナがないと勝ち切ることはできない
このレースはスピードこそ絶対だが、スタミナもないと勝ち切ることはできない。そのため、1600m以上の距離のレースを経験していることはほぼ必須条件になってくる。ということからも、もし東京スポ-ツ杯(G3 東京1800m)のレースを勝った馬が順調に出走してくれば、間違いなく勝ち負けになるだろう。

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◎ジェルミナル

Jiromaru

「まずは顔を見ます。走る馬はやっぱりいい顔をしているから。」と武豊騎手が言っていたように、サラブレッドを見るにあたって、顔はとても大切な部分だと私も思います。ディープインパクトを見極めた馬主の金子真人さんも、「馬の目を見て買うかどうか決める」とおっしゃっていました。顔(表情)や目には、そのサラブレッドの内面(性格や賢さ、そして内臓の良さ)が表れるということですね。

馬の顔は、人間のそれと同じで、1頭1頭違います。顔の大きさや長さ、目や耳の形や位置、鼻の大きさ、鼻筋の細さ・太さ、または真っ直ぐかどうか、などなど様々な要素によって馬の顔はそれぞれ個性的に違ってきます。もちろん、同じ馬でも状況によって表情に変化が生まれますよね。体調や調子が悪いときには、どうしても表情にもその疲れが表れたりします。人間と違って、作り笑いなどしない分、もしかすると馬の方が顔に出るのかもしれません。

私がサラブレッドの顔を見てドキッとしたのは、阪神ジュべナイルF(旧阪神3歳牝馬S)ヒシアマゾンという牝馬が初めです。特に正面から見た時の表情は、涼しい眼と柔らかな髪が印象的で、美しさの中に強さが同居して、妖艶と言おうか何と言おうか、えもいわれぬとはこのことだと思いました。

ヒシアマゾンと比べてしまうと、他のどの馬も凡庸に見えてしまうのですが、2002年の阪神ジュべナイルFを勝ったピースオブワールドも、強さと美しさを兼ね備えた顔をした牝馬でした。残念ながら、以降は目立った活躍が出来ないまま引退してしまいましたが、2歳時のたたずまいにはヒシアマゾン以来、久しぶりにドキッとさせられたことを覚えています。今年の阪神ジュべナイルFでは、ヒシアマゾン、ピースオブワールドに次ぐ、強くて美しいヒロインの新たな誕生が待ち望まれます。

Hansinjf02_3 ピースオブワールド

まだあどけなさを残しますが、瞳の澄んだ、凛とした顔つきの◎ジェルミナルは、そんな強くて美しいヒロインの継承者になれるかも知れません。手脚の長い馬体や大きなフットワークの走り方からは、大物感がヒシヒシと伝わってきます。新馬戦からずっと牡馬相手に走ってきているのですが、レースの中でもその雄大な走りはひと際目に付きますね。前走は辛勝でしたが、目イチに仕上げていない中、牡馬相手によくぞ勝ったと思います。成長を促しながら勝てた、ということに意味があります。

この馬の良さは、顔だけではなく、精神面の強さと賢さにあります。同厩のワイドサファイアも能力の高い素質馬ですが、ジェルミナルには高い能力にプラスして操作性の良さがあります。ワイドサファイアはレースに行くと気負って力んで走ってしまう面がありますが、ジェルミナルはそのようなことがありません。道中リラックスして走り、騎手の指示にも素直に従えるので、最後の直線まで最大限の力を温存することが出来ます。ペースに合わせてポジションを変えることも出来るでしょう。この馬のフットワークの大きさや、意外と速くなりそうなペースを考えても、外枠からの発走は好材料と考えても良さそうです。福永祐一騎手が落ち着いてスタートを決めれば、自然と良い結果がでるはずです。

抽選で滑り込んできた馬たちの中では、やはりブエナビスタの器が大きいでしょう。特に今週の最終追い切りの動きは圧巻でした。この馬もまた道中で無駄な力を使わずに走られることが、最後の切れ味に繋がってきていますね。鞍上のゴーサインに瞬時に応えることのできる俊敏さも持ち合わせています。安藤勝己騎手が、抽選待ちをしてでも、この馬に賭けてきた気持ちが分かるような気がします。兄のアドマイヤオーラは牡馬としてはパワーに欠ける面がありましたが、牝馬のブエナビスタはこのくらいで丁度良いでしょう。母ビワハイジはさらに小さい馬でスピードを武器とした逃げ馬でしたから、全くタイプは違いますが、もしこの馬が勝つことになれば、あれから13年越しの母仔制覇となるのですね。いやはや感慨深いです。

感慨深いといえば、イナズマアマリリスもそうですね。1992年の阪神ジュべナイルFを9番人気でアッと言わせたスエヒロジョウオーからスエヒロコマンダーが出て、そのスエヒロコマンダーが種牡馬になっていたということだけでも驚きですが、さらにこのイナズマアマリリスの母系にはあのイナズマクロスの名前も見られます。スエヒロジョウオーとイナズマクロスの血が入った、まさに切れ味の権化のような血統ですよね。前走のファンタジーSは先行して勝利しましたが、もっと溜めて行けばさらに凄い末脚を使ってくる馬でしょう。

3連勝で臨んでくるデグラーティアは、単なる早熟なスピード馬ではないはずです。3戦の内容を見ていても、道中の走りに遊びがあるので、最後は追えば追うほど伸びてきます。1200mのリズムが身についていることは確かに心配ですが、距離が延長されてパタリと止まるタイプではありません。休み明けで勝ち切れるかどうかは疑問ですが、新人の浜中俊騎手がスムーズに流れに乗せられれば、勝ち負けするチャンスは生まれるでしょう。

ウオッカ、カネヒキリとG1レースを独占する勢いの角居厩舎からは、抽選でミクロコスモスが出走してくることになりました。レースでの走りを見る限り、ジェルミナルやブエナビスタに比べると大物感には欠けますが、偉大なる先輩たちに鍛えられて、これからドンドンと力を付けていくのでしょうね。時期にもかかわらず、毛艶は良好で、体調自体は問題ありません。この馬の力を出し切れることは間違いありません。いつの日にか、キャリア1戦の馬がこのレースを制するのではと私は思っているのですが、それが今年なのかもしれません。

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「勝ちポジを探せ!」ライブのご報告

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大変遅くなりましたが、「勝ちポジを探せ!」ライブの報告をさせていただきます。11月1日という連休の初日にもかかわらず、おかげさまで満員御礼での開催となりました。岡山、滋賀、新潟、静岡、茨城などの遠方からもご参加いただきまして、本当にありがとうございました。

今回のライブは、私にとってエポックメイキングなものでした。それはライブでお話しする内容が、競馬というゲームの核心に触れるものであるからです。ようやく見つけた競馬予想の核心を、皆さまと共有できることが、私は嬉しくて仕方がありませんでした。もしかすると、誰よりも私自身が、このライブを心待ちにしていたかもしれません。

もちろん不安もありました。私がお話する内容の本質が上手く伝わるかどうか。私の伝え方次第で、目からウロコが落ちることもあれば、いまいちピンと来ない、当たり前のことだと片付けられてしまう等、様々な反応が出てくるだろうと予測していました。それぐらいに今回のライブの内容は画期的なものであったと思っています。

それでは、参加者の方々の賛否両論の声をお聞きください。

勝ち馬ではなく、勝ちポジを探すという観点がとても面白い
勝ち馬ではなく、勝ちポジを探すという観点がとても面白い。昨年のライブでも少し触れられていましたが、アドマイヤムーンのジャパンカップがまさにそれでした。走り出してすぐ勝ちポジ確保で勝馬決定という感じでしたね。勝ちポジを取れる馬を探すのに苦労しそうですが楽しみです。とても楽しかったです。
S.Iさん

何か繋がるところがありそうで参考になりました
最近、ポケットを通る馬に注目してレースを見ていたので、何か繋がるところがありそうで参考になりました。おそらく僕がポケットと思っているポジションが勝ちポジでいう基本ポジションと被る気がするのですが、どう思いますか?質問したいことを思いついたので、また質問させてもらいますね。ありがとうございました。
T.Hさん

映像たっぷりで勝ちポジの意味が理解できました
勝ちポジって、初めは勝ちポジティブと思っていました(笑)。勝つために積極的に行く馬、騎手が誰か探したいです。また映像たっぷりで勝ちポジの意味が理解できました。今後もレースビデオを観て、勝ちポジのレースを多く体験したいと思います。
KHさん

展開より立体的な予想が役に立ちそう
展開より立体的な予想が役に立ちそうと思いました。不確定な要素を相手にするものと思いますので、現状で補助線レベルになってしまうかもとおっしゃっていましたが、競馬歴の長い、またはデータ量のストックが多い方にとっては、とても有益な情報だと思いました。
KYさん

いまいち消化不良だった
勝った馬の位置取りが結果として勝ちポジだったという気がしなくもなく(アルカセットやAムーンがあの位置取りをするとは、予測できるか疑問)、いまいち消化不良だった。
S.Tさん

改めて違う視点から競馬を観ることが出来ました
最近、なかなか当たっていなかったので、改めて違う視点から競馬を観ることが出来ました。枠順をあまり気にしていなかったので、明日のレースからもう少し注意してみたいと思います。映像を使った説明が分かりやすくて良かったです。
齊藤さん

穴馬探しのヒントとして考えてみたい
穴馬探しの視点として、勝ちポジの取れる位置に近い枠順を狙うというのは、ヒントとして考えてみようかなと思いました。とても分かりやすく、イメージしやすい話でした。レースによる勝ちポジの違いをまとめて教えてくださったら、さらに役立つものになると思います。ありがとうございました。
SAさん

ポジションを気にして観られて良かった
まとめて過去のレースを観ることがなかったので、ポジションを気にして観られて良かった。レースと説明のバランスも良かった。
HMさん

ダートの方がさらに有効
なかなか面白い理論だと思いますので、参考にさせていただきたいと思います。ダートの方がさらに有効かなとも考えています。
T.Kさん

レースでの深い観察眼に感心しました
最近、私も馬のポジショニングを予想に取り入れようと、色々試行錯誤していたので、とても参考になりました。私の方法はターゲットにあるPCIという指標を用いて、レースでの最適ポジションを取られる馬を測ることです。これに枠順などを加味して予想しています。今日はお疲れ様でした。レースでの深い観察眼に感心しました。もう少しレースを多く観たいと思います。
黒木さん

理解するのはなかなか難しいのでは?
ある程度、競馬を知っている方なら、レースにおけるポジション取りが分かると思いますが、時に変化することもあるので、理解するのはなかなか難しいのでは?レースが終わって初めて勝ちポジションを理解できると思うので、辛抱が必要ですね。今の私には大変面白い話でした。
K.Kさん

ここまで理論化されたものを聴いて目の前から雲が晴れた
最近同じようなことを考えていましたが、ここまで理論化されたものを聴かせていただき、目の前から雲が晴れた気持ちです。スッキリしました。盛りだくさんの内容で、今まで以上に良いライブでした。
T.Mさん

コースによって勝ちポジの特徴が色々あるという観点
インのポケットに入った馬が勝ちやすいというのは知っていましたが、コースによって勝ちポジの特徴が色々あるという観点から自分でも定量分析する必要があると思いました。またそういう傾向の出やすいコースやレースを攻めればいいと感じました。たくさんレースを解説していただいてレースの見方が参考になりました。
T.Iさん

忘れていたことも思い出させてもらった
現状の競馬予想に行き詰まりを感じていた中で、一度は気付いていたかもしれないけれども、忘れていたことも思い出させてもらった気がします。特に位置取りを考える際に1コーナーまでのポジション(枠順)が重要になるという点が大きなポイントと思いましたので、改めてよく考え直して競馬に当たって行きたいと思います。
山下さん

まるで馬の息遣いが分かるような錯覚すら感じました
最近はレースビデオを観るようにしていますが、漠然としていて、観ても何も分かりませんでした。今日のライブを聴いて、ひとつのモノサシが出来たような気がします。今日のような集まりに初めて参加しました。不安もありましたが、やはり自分は競馬が好きなんだなとつくづく思いました。そして、今日、競馬が好きな人たちと同じ時間、空間を共有したことがとても心地よく、レースビデオひとつ観るのも、まるで馬の息遣いが分かるような錯覚すら感じました。参加して本当に良かったです。
M.Eさん

今までの予想方法の見直しに迫られました
お話のメインである勝ちポジについて、新しい気づきや馬券のヒントがありました。立体的に考えをまとてめいくという部分は参考になりました。今回のライブに参加させてもらい、今までの予想方法の見直しに迫られました。今後はこの考え方をもとに頑張ります。
山本さん

実際のライブの内容としては、「勝ちポジ」を体感していただくために、実際のレース映像を13レースほどピックアップして観ていただきました。昔の名勝負から最近の好騎乗まで、名馬に名手が跨った興奮のレースばかりを、私の好みで選びました。ジョッキーでいうと、福永洋一騎手や岡部騎手から、デットーリ騎手、安藤勝己騎手、武豊騎手、横山典弘騎手、岩田康誠騎手、ペリエ騎手、そして三浦皇成騎手まで。競走馬では、エリモジョージやジェニュインからビリーヴ、ブラックホーク、ヴァーミリアン、デルタブルース、アドマイヤムーン、メイショウサムソンなどなど、こうして名前を聞くだけでもワクワクしてしまいますね、って私だけですか(笑)?

Katiposi02_3
ホワイトボードを使って「勝ちポジ」の変化を説明しました。

最後にアンケートを取らせていただいたのですが、「勝ちポジ」を使った予想を実際のレースで見てみたい!という声が圧倒的でした。実際のレースで実践してみたい(見せて欲しい)ということですね。ライブではあくまでも理論としてしか語れない部分もあったと思いますし、新しいことは時間をかけて伝わっていく、受け入れていただけるものだと思っていますので、私自身がこれからきちんとした形で実践していかなければならない、と決意を新たにしました。

なにはともあれ、私にとってエポックメイキングとなった「勝ちポジを探せ!」ライブにご参加いただきました皆さま、本当にありがとうございました。競馬が好きで好きで仕方ないという皆さまの熱気に包まれた心地のよい空間で、お話しさせていただいたことに心から感謝します。競馬場でお会い出来なかった方々も、ぜひ今度は競馬場で一緒に勝利の雄叫びを上げましょう!

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素質馬が4つ☆で揃い踏み:5つ☆なし

アディアフォーン →馬体を見る
母母父ストームキャットの影響が出ているのか、胴の詰まったパワー優先の体型。
もうひと絞り出来る印象も受けるし、阪神マイル戦ではスタミナ面でも不安あり。
Pad3star

イナズマアイリス →馬体を見る
小粒でピリリと辛いという、いかにも切れそうな牝馬の馬体。
全体的な線の細さは否めないが、これがこの馬の特徴だろう。
Pad3star

カツヨトワイニング →馬体を見る
小柄な馬とは思わせないほど、全体にボリューム溢れる馬体。
ただ、頭の大きさや位置が一流馬のそれではない。
Pad3star

ジェルミナル →馬体を見る
成長の余地を残した馬体だが、スケールの大きさが伝わってくる。
後肢に若干の緩さを残すので、ゆったりと走れる阪神マイル戦は歓迎か。
Pad4star

ショウナンカッサイ →馬体を見る
いかにもショウナンカンプ産駒らしい、スピードが前面に出た馬体。
気性も素直そうなので、スンナリ先行出来ればそこそこ粘れる。
Pad3star

ダノンベルベール →馬体を見る
ひ腹が細い分、胴長に映り、後肢の物足りなさが強調される。
それでも、全体的な雰囲気は走る馬のそれで、将来性は高い。
Pad4star

デグラーティア →馬体を見る
さすがにスプリント戦を3連勝しているだけあって、スピードに富んだ好馬体。
ここに来て馬体に伸びも出てきており、マイル戦にもなんとか対応できるはず。
Pad4star

パドブレ →馬体を見る
スムーズに立てているが、これといった強調材料もない。
ホワイトマズル産駒だが、腰高の馬体からはマイル以下の距離が合うだろう。
Pad3star

ブエナビスタ →馬体を見る
全体のラインが細く映るため、パッと見た目の印象は良くないが、
スペシャルウィーク産駒だけに、これぐらいの軽さでちょうど良い。
頭が非常に小さく、全身からはバネの強さを感じさせる。
Pad4star

ミクロコスモス →馬体を見る
この時期にしては毛艶も良好で、体調の良さが伝わってくる。
幼さを所々に残してはいるが、パワーに富んだ好馬体である。
Pad4star

ワンカラット →馬体を見る
スッと前に伸びた首さしからは、この馬の本来持つ前進意欲を感じさせる。
時期的に冬毛が生えてきているのは仕方ない。
Pad3star

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阪神1600m

Newhanshin1600

向こう正面奥のポケット地点からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとって最適の舞台である。

ただし、キャリア僅か数戦の若駒同士のレースということで、思わぬ馬が思わぬ暴走をしてしまい、ペースが急激に上がってしまうこともあり得る。また、スローが予測されるレースでは、外枠を引いた騎手が外々を回されるのを嫌って、多少強引にでも先行してくることもあり、これでペースが一気にはね上がってしまうこともある。基本的には上述のようにゆったりと流れやすいコースだが、各馬の出方には細心の注意を払いたい。

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True Champion!

Jcdirt08 by echizen
JCダート2008-観戦記-
サクセスブロッケンが途中から抑えきれない形で先頭を奪い、前半の1000mが1分01という、このメンバーにしては予想外に遅いペースを作り出した。アメリカ調教馬が2頭出走した割には遅い流れとなったが、これは右回りに戸惑ったアメリカ馬が思ったような走りが出来なかったゆえであろう。全体としては上がりの勝負となり、コースロスの少なく立ち回れた馬や末脚勝負の得意な馬にとって有利なレースであった。

勝ったカネヒキリは前半から行きっぷりも良く、終始絶好の手応えでレースを進めた。勝敗を決めたのはルメール騎手の絶妙な判断で、3コーナーからサクセスブロッケンの後を付いて追走するコース取りを選択したことにある。サクセスブロッケンが直線に向いてもうひと伸びすると確信したからこそ、その後ろをトレースしても前が詰まらないと読み切れたのだろう。もしあそこで後ろの馬を意識しすぎて外を回していたら、勝っていたかどうかは分からない。ルメール騎手はこの秋2つ目のG1レース勝利となったが、とにかく騎乗勘が冴えている。かつて同郷のペリエ騎手がG1レースでハットトリック(3連勝)を決めた頃の雰囲気に似ている。

当然のことながら、3年ぶりにG1レースを勝利したカネヒキリも褒められるべきだ。屈腱炎により2年以上も競走生活を棒に振っていたが、この馬を種牡馬にしたいという陣営の執念がようやく実った。この馬自身、3歳時に古馬を倒してジャパンカップダートを制し、ドバイワールドカップでも4着と好走したように、ダートにおける能力は超ド級である。それでも、実戦を一度叩いただけでここまで復活してくるのだから、角居厩舎の調教技術も含め、驚きを隠せない。それにしても、現6歳世代(ディープインパクト世代)のダートにおける強さは一体何なのだろうか。

メイショウトウコンは得意の軽いダートの上がり勝負になったことで勝ち馬に肉薄した。動き出すタイミングも完璧で、ヴァーミリアンと馬体が併さったことも加わり、この馬の力は最大限に発揮している。G1レベルのレースになると、脚質的にどうしても勝ち切れないが、それでも常に迫力のある末脚を繰り出す上がりは並のダート馬ではない。叩いて叩いて良くなる馬だけに、次走の東京大賞典も、大井の砂質を除けば見通しは明るい。

ヴァーミリアンはやはり本調子にはなかったようだ。サクセスブロッケンに前をカットされ、アメリカ馬に外に振られてポジションを下げた不利はあったが、最後の直線では思いの外、弾けなかった。昨年と同じローテーションではあったが、ドバイの疲れが完全に癒えていない状態でJBCクラシックを快勝した反動があったのではないだろうか。最終追い切りの動きにも、わずかながらもその兆候は見えていた。

3歳馬ながらも2番人気に推されたサクセスブロッケンは、1コーナーでは勝ちパターンかと思いきや、馬が落ち着きを欠いてハナに立ち、他馬の目標とされてしまった。若さが出てしまったというよりは、前走のJBCクラシックで小回りを意識しすぎて前に出しすぎたツケが、ここでも出てしまった感が強い。若駒は一度行き切ってしまう癖が付くと、なかなか解消するのが難しくなる。サクセスブロッケンの芽を摘まないよう、今後は勝ち負けよりも、調教でもレースでもゆったりと走ることから教えて行って欲しい。

同じく3歳馬ながらにして人気を背負ったカジノドライブは、あらゆる苦しい条件を克服してよく走っている。海外遠征を経て約1ヶ月の期間での出走、日本のダートを走るのが2戦目、しかも古馬との対戦という中で、これだけのレースが出来るのだからこの馬はやはり強い。しっかりと成長を促して、来年を迎えられれば、サクセスブロッケンの良きライバルとなるだろう。それにしても、この素質ある2頭の3歳馬の惨敗を見るにつけ、ただでさえ3歳馬が古馬と戦うのは厳しいのに、なぜ古馬と3歳馬の斤量差を1kgにしたのかと疑問に思う。

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阪神ジュべナイルFを当てるために知っておくべき3つのこと

Hjf

■1■2つの経験
平成3年より従来の阪神3歳Sは牝馬限定に変更され、さらに平成13年より名称を「阪神ジュベナイルフィリーズ」と改められた。わずか数戦のキャリアで臨んでくる馬がほとんどで、各馬の力の比較が難しい。実はこれといった傾向はないのだが、以下2つの経験をしている馬にとっては、かなり有利なレースになる。このレースを勝つためには、いずれかを経験していることが望ましい。

1、1600m以上の距離
2、坂のあるコース

「早熟の短距離馬」が多く出走してくるため、このレースに臨むまでのステップとして、1600mよりも短い距離を使ってくる馬が多い。これまでにマイルの距離や直線に坂のあるコースを走ったことがない馬たちが、いきなりG1レースの厳しい流れの中に放り込まれ、直線に坂のある1600mのコースを走ると、確実にスタミナ切れを起こすことになる。1600m以上の距離、もしくは直線に坂のあるようなタフなレースを走った経験がないと、このレースで勝ち切ることは難しい。

■2■抽選をクリアした馬の台頭
これは来週の朝日杯フューチュリティSにも当てはまることだが、抽選をクリアした馬、滑り込み出走が叶った馬たちには着目すべきである。それは運が良いからということではなく、彼ら彼女たちの「ローテーション」と「成長曲線」に秘密が隠されているからだ。

まず「ローテーション」については、抽選をクリアしてきた馬は、これまでの出走過程において無理を強いられていない馬が多いということである。多いと書いたのは、全ての馬がそうではないからである。本番に出走する権利を取るために、何度もレースに出走してそれでも抽選待ちになってしまった馬もたくさんいるはずだ(こういう馬は能力的に疑問符がつく)。そのあたりは1頭1頭を検証する必要があるが、例えば昨年のトールポピーはキャリア3戦、ゴスホークケンは2戦、レーヴダムールに至ってはわずか1戦であった。

これが何を意味するかというと、これらの馬たちは、本番であるG1レースに合わせたローテーションを組んで走らされてきたのではなく、自分たちの仕上がりに合わせて大事に使われてきたということである。人間の都合ではなく、馬優先の余裕を持たせたローテーションであったということだ。あくまでもその延長線上に、たまたまG1レースがあったということに他ならない。だからこそ、そこまでの過程において無理をさせてきていないからこそ、馬に余力が十分に残っているということになる。

次に「成長曲線」についても、余裕を持たせたローテーションということとリンクしてくる。馬の仕上がりに合わせるとは、馬の成長に合わせたローテーションということである。特に若駒の間は、レースを使うことによって、成長を大きく阻害してしまうことがある。2歳戦~クラシックにかけて、数多くのレースを使うことは、マイナス材料にこそなれ、決してプラス材料にはならない。レース経験の少なさは、馬の能力と騎手の手綱で補うことが出来る。つまり、本番のレースに出走するために、馬をキッチリ仕上げて勝ってきた馬たちに比べ、成長を阻害しない程度のゆったりとした仕上がりで走ってきた馬たちは、上積みが見込めるばかりではなく、本番のレースへ向けて上向きの成長カーブで出走してくることが可能になるのだ。

これらのことからも、余力が十分に残っていて、上向きの成長カーブを辿っている馬が、もし抽選をクリアして出走することが出来たとしたら、本番でも好走する確率が高いことは自明の理であろう。これが2歳戦からクラシック戦線においては、抽選をクリアして出走してきた馬、滑り込みで出走してきた馬には大いに注目すべき理由である。

■3■関東馬とっては厳しいレース
この時期の牝馬にとって、長距離輸送をしてレースに臨むことは条件的に厳しい。よって、関東馬がこのレースを勝つには、関西に一度遠征した経験があるか、もしくは実力が一枚も二枚も上でなくてはならない。現に過去10年で、初長距離輸送でこのレースを制した関東馬は、ヒシアマゾン、メジロドーベル、スティンガーという、その後も活躍した名牝たちばかりである。彼女たちくらいの実力を持っていないと、初めて長距離輸送をして、並みいる関西馬たちを倒すことはできない。逆に言うと、このレースを勝った関東馬は相当な実力の持ち主であるということになる。

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◎ボンネビルレコード

Jiromaru

もう10年以上も前のことになりますが、私がまだ暇をもて余していた頃、よく南関東の地方競馬場に足を運んでいました。よくと言ってもほとんど毎日なのですが(笑)、当時はネットで馬券を買うことなど出来ませんでしたので、大井、川崎、船橋、浦和とまるで武者修行をするかのように転戦していましたね。当時はまさに的場文男騎手や石崎隆之騎手といった脂の乗り切ったトップジョッキーたちが鎬を削っていて、2人を絡めた馬券を買っていればまず外れないという時代でした。

私は今でも南関東の競馬場に行くと、競馬新聞を見て、まず初めに「的場文」という名前を見つけます。どれだけパドックで入れ込んでいようと、覇気のない返し馬をしようとも、的場文男騎手が乗る馬は買わなければなりません。人気馬であればあっさりと勝ち、人気薄であれば2着へと突っ込んできます。「大井の天皇」と呼ばれているように、特に大井競馬場での豪腕には凄みすら感じさせますね。大袈裟かもしれませんが、「的場文」という男が乗る馬の馬券だけを買っていれば、まず負けて競馬場を後にすることはないのです。

的場文男騎手は1973年に大井競馬の第5レースでデビューしました。私が生まれる前から競馬に乗っているのですね…。大井で初めてのリーディングを獲得したのは、10年後の1983年。2002年には363勝を挙げて、念願の全国リーディングを獲得して、地方競馬の頂点に立ちます。続く2003年も335勝を挙げ、地方競馬全国リーディングと共に、地方競馬最優秀騎手賞も受賞しました。内田博幸騎手に抜かれるまで、なんと20年近くにわたって大井競馬のトップに君臨し続けていたのです。

そんな中、のちに日本の競馬における年間最多勝利数記録を打ち立てることになる内田博幸騎手は、ほとんど目立たない存在でした。私にとっても、内田博幸騎手といえば、ソコソコ人気になるけれどほとんど来ない、という印象でした。「石崎さん、的場さん、厳しいところでもまれたから、今の自分に自信が持てる」と内田博幸騎手が語っているように、特に的場文男騎手への尊敬の念は強く、内田博幸騎手の勝つことに対する執念は、数々のレースで揉まれたことによって叩き込まれたものです。この2人の壁は非常に高く険しいものでした。

ところが、私がしばらく地方競馬をお休みしている間に、いつの間にか内田博幸騎手はこの高く険しい壁を登り切ってしまいました。2004年には南関東のリーディングを奪取し、2006年には524勝を挙げて年間最多勝利数記録を塗り替えたのです。そして、満を持して今年から中央競馬への参入が決まり、はや現時点では関東リーディングジョッキーのトップをひた走っています。

地方競馬で培った実力を、中央でもリーディングを取ることによって証明しようという内田博幸騎手。大井競馬場が世界一の競馬場と信じて、大井に残って戦い続ける的場文男騎手。この2人の間には私たちには見えない強い絆があります。的場文男騎手がボンネビルレコードを駆って勝利したかしわ記念を見て、内田博幸騎手が「負けられないという気持ちと共に、大きな励みとなる」と語っていました。内田博幸騎手は的場文男という男の背中を見て大きくなり、今現在もその背中に励まされ続けているのです。JBCクラシックとJCダートのどちらも乗られる騎手をということで、ボンネビルレコードの手綱は的場文男騎手から内田博幸騎手に受け継がれました。内田博幸騎手にとって、今年のJCダートだけは負けられない戦いです。

本命は◎ボンネビルレコードに打ちます。前走のJBCクラシックは大敗してしまいましたが、レコード決着となった日本テレビ盃を休み明けにもかかわらず激走してしまったことによる反動が出たものです。この馬は地方のG1しか勝っていませんが、バランスの良い馬体を見ても、決してゴツいパワー優先のダート馬ではありません。砂が深くてパワーを要する園田競馬場よりも、一定のスピードとスタミナを問われる阪神競馬場の方が合っているはずです。最終追い切りの動きもなかなか好印象でした。前走とは明らかに体調は違いますね。あとはペースが速くなってくれれば、この馬の底力と勝負根性が生きてくるでしょう。内田博幸騎手がどのあたりで馬群の中にもぐり込み、どのあたりから仕掛け始め、ゴール前でどのように有力馬たちを飲み込むのか、地方競馬トップの腕をとくと堪能したいと思います。

フェブラリーSの時にも書きましたが、ヴァーミリアンはスピードとスタミナ、そしてパワーが非常に高い次元で融合された最強のダート馬です。私の知る限りでは、あのクロフネに匹敵する搭載エンジンを持っています。はっきり言って、この馬を負かすことは簡単なことではありません。体調が優れなかったドバイでは結果が出ませんでしたが、それでもこの馬がワールドクラスの馬であることは間違いありません。前走の楽勝を見る限り、衰えを心配するのはおろかでしょう。さすがのサクセスブロッケンも、この馬とまともに走っても勝ち目はありませんね。ただ、私の中でひとつだけ心配材料があります。それは追い切りの動きが芳しくないということです。元々、調教ではあまり走らない馬ですが、今年の川崎記念を回避した時の動きに近い気がしました。昨年と違って、ドバイ遠征の疲れが完全に癒えていないのかもしれません。

サクセスブロッケンはヴァーミリアンの後継者になりうる存在です。馬体やフットワークからは、どう見ても芝の方が走りそうですが、そうでないところにこの馬の特異性を感じます。敢えて挙げると、体全体に力が付ききっていないからこそ、ダートの方が走りやすいということなのでしょう。ヘイルトゥリーズンのクロスを持っているので、早くから頭角を現しましたが、父シンボリクリスエスということを考えても、来年はさらに凄い馬になっているはずです。常識的に考えると、この時期の3歳馬が古馬と1kgの斤量差で走るのは相当に厳しいはずです。とはいえ、坂路の追い切りで51秒台が出たように、ひと夏を越して、体全体に力が付いてきた面も窺えます。藤原英昭調教師によって施された調教が実を結び、古馬の壁を打ち破ることが出来るとすればこの馬をおいて他にありません。

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変わってゆくことだ

今年の6月8日、ディープインパクトの顕彰馬選出記念セレモニーを見るため、私は府中競馬場にいた。ディープインパクトが飛ぶように私の人生を駆け抜けてから、気が付けば1年以上の歳月が経っていた。久しぶりに当時の日記を読み返してみると、そこには恥ずかしいくらいに感情的になっている私がいた。凱旋門賞前後のあの熱い思いが蘇ってくるようだった。


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2006年10月1日 
ディープインパクトが凱旋門賞を勝つことは難しいだろう。競馬を知っている者であればあるほど、その難しさは分かる。なぜ難しいかというと、それがヨーロッパナンバーワンを決める凱旋門賞だからである。ディープインパクトの背負う斤量や、間隔が開きすぎたローテーションなどの問題ではない。それらは凱旋門賞という戦いの意味を考えれば、ごく僅かなことでしかない。凱旋門賞はヨーロッパの舞台で争われる、ヨーロッパ最強馬を決する戦いなのである。

日本の競馬とヨーロッパの競馬では、最強馬に求められる資質が違ってくる。具体的に言うと、日本の競馬はスピードや手脚の軽さ、瞬時にスピードを爆発させる激しいながらも鋭敏な気性が求められるのに対し、ヨーロッパの競馬ではスタミナやパワー、我慢強さ、最後まであきらめない集中力を必要とされる。

つまり、ヨーロッパの最強馬は日本の最強馬ではなく、日本の最強馬はヨーロッパの最強馬ではないということである。極端に言うと、日本で活躍できたディープインパクトの資質が、ヨーロッパではマイナスの資質に転化してしまうこともあり得るのだ。

さらに言うと、ヨーロッパの最強馬は、ヨーロッパの最強馬たちの「血」を脈々と受け継いで誕生している。ヨーロッパ競馬の歴史が培ってきた「血」の凝縮が、凱旋門賞という舞台で爆発して、その「血」がさらに受け継がれていく。これだけ世界が小さくなった現代においても、競馬とはその「地」に適した種牡馬が最強馬を生み出していくという、「血」の局地戦であることは否めないだろう。強い馬はどこに行っても強いという考え方は、「血」と「地」を軽視した、あまりにも傲慢な発想なのである。

それでも、たとえ傲慢と言われようが、ディープインパクトには勝ってほしいと思う。

理由なんてどうでもいいのだ。


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2006年10月2日
ディープインパクトの敗因について、今さら述べる必要もないだろう。今回の凱旋門賞に限っては、戦いが終わってから敗因を挙げることには全く意味がない。なぜなら、そんなことは戦前から誰もが分かっていたことだからだ。あれだけから騒ぎをしたマスコミが、負けたとなるや敗因を口にするのは、当事者でない私でも腹が立つ。「よくやった」と褒め称えるだけでよいのではないか、と個人的には思う。まあ、そんなことはごく些細なことではあるが。

それよりも、私が最も恐れるのは、今回の敗戦によって、「ディープインパクトをもってしても世界の壁を破ることが出来なかった」という結論に達してしまうことだ。

そもそも、世界の壁とは何なのか。かくいう私も錯覚していたのだが、凱旋門賞を世界一決定戦と位置づけてしまうこと自体に大きな問題がある。凱旋門賞はヨーロッパ一を決定するレースかもしれないが、決して世界一を争うレースではない。

ヨーロッパと日本の競馬は全くもって別物である。それぞれの土俵で求められている資質が違う以上、どちらが最強ということはない。戦う場所が異なれば、勝者も違ってくるのだ。ここを取り違えてしまうと、日本近代競馬の結晶であるディープインパクトの敗北という悲観論に達してしまう。日本競馬のレベルが既に世界に追いついたことが明らかな今、凱旋門賞を最終目標に据えてしまうこと自体がナンセンスである。日本の最強馬が凱旋門賞を制することによって世界の最強馬となる、というマッチョな思想からは、悲劇の結末しか生まないだろう。

私たちは堂々と胸を張って、ディープインパクトの健闘を称えるべきなのだ。

競馬はまだまだ社会的には傍流にすぎないが、今回は大きな注目もあった。そんな中、私たちはディープインパクトが無事に出走できるよう祈り、その走りに一喜一憂することができたのだ。もしかすると自分たちもが認められるかもしれないその日を待ち望み、心をひとつにディープインパクトを応援できた夢のような日々を、決して私は忘れない。


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2006年11月25日
ディープインパクトの動きが、ここに来て一変している。先週今週とDWコースで見せた動きは、まるでかつて走ることを楽しんでいたディープインパクトのそれであった。ひと言で言うと、ディープインパクトに走る気が戻ってきているのだ。おそらく、フランス遠征により環境が変わったことが、良い刺激になったのだろう。馬にとってはストレスの少ないフランスでの生活が、ディープインパクトに再び英気を養わせたに違いない。

一連の問題については、私たちの過度な期待と注目が引き起こしてしまった部分も少なからずあるのではないかと個人的には思う。いずれにせよ、これから二度と同じ誤りを繰り返さぬよう、事実は事実として受け入れるべきである。

だからといって、ディープインパクトにとって、今回のジャパンカップが汚名を払拭するための戦いになるとは決して思わない。

ディープインパクトは、もはやそういう低い次元で走る馬ではない。


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2006年12月24日
最後の有馬記念は、ウインズ広島から駅に向かう地下道にあるオーロラビジョンで観た。普段は競馬など観ないであろう人々も皆、足を止め、ディープインパクトの最後の走りを見守っていた。こんなにも多くの人たちが競馬に関心を示してくれていることが、まるで自分が認められたかのように嬉しかった。スタートが切られ、各馬が1周目にスタンド前を通り過ぎる時点で、不覚にも涙が出てきた。それは幸福の涙であり、また癒しの涙であった。言葉にならない感情たちが、涙となって溢れ出てきたのだ。

ディープインパクトについて語ろうと思えば思うほど、なぜか言葉にできない。ただの馬ではないかと思われるかもしれないが、私にとってはただの馬ではなかった。日本の競馬だけではなく、私自身の人生も、この2年間で大きく変化した。転勤先で無我夢中に働き、楽しくも孤独な夜を過ごした。結婚し、新しい生命の誕生もあった。ディープインパクトを通じて、いろいろな人たちと出会うこともできた。そういえば、今の妻と初めて競馬場に行ったのも、ディープインパクトのダービーだった。ディープインパクトの走りは、まるで挿絵のように私の人生を彩っている。


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2008年6月8日 ディープインパクト顕彰馬選出記念セレモニー
もしディープインパクトが凱旋門賞に勝つようなことがあれば、競馬が変わっていたかもしれないと今でも私は思っている。青臭いと言われてしまえばそれまでだが、競馬のスポーツとしての素晴らしさを、まるで野球やサッカーをそうするように、自然と語ることのできる日常がすぐそこまで来ていると思い、私は夢のような日々を過ごしていたことを思い出す。

残念ながら私たちの夢は叶わなかったが、それでもディープインパクトやその関係者たちが果たした、日本の競馬に対する功績は計り知れないほど大きいはずである。ディープインパクトに対する感謝の気持ちは、あまりにも大きすぎて言葉にならない。どうすれば、私はこの気持ちを伝えることが出来るのだろうか。ディープインパクトのいない府中競馬場で、そんなことを考えた。

アラスカの地を冒険した写真家である星野道夫さんによる、こんな詩がある。

「いつか、ある人にこんなことを聞かされたことがあるんだ。

たとえば、アラスカのこんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」「写真に撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いや、やっぱり言葉で伝えたらいいのかな。」「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって。・・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって。」(「オーロラの彼方へ」)

ディープインパクトが教えてくれた競馬の素晴らしさを、同時代に生きた私たちは、伝えていかなければならない。ディープインパクトという偉大なる挑戦者と共に生きた、あの夢のような日々を伝えていかなければならない。そのためには、自分が変わってゆくことだ。ディープインパクトの走りを見て、感動した私たちが、変わってゆくことだ。


Deepimpact06


All special photoes by Photostud

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ワイルドワンダーの筋肉が凄い:5つ☆

ヴァーミリアン →馬体を見る
今年のフェブラリーSよりは下がるが、
昨年のJCダートと同レベルの馬体を維持している。
調子にほとんど波のないタイプで、体調については及第点。
Pad4star

カネヒキリ →馬体を見る
全盛期のイメージと比べると、いくらか落ちるというのが正直な印象。
長いブランクは感じさせないが、もうひと絞りできる馬体。
Pad3star

サクセスブロッケン →馬体を見る
大型馬の割に、成長分を含めても意外に力強さを感じさせない。
長く軽い手脚からは中央の広いコース、軽いダートはプラス材料となる。
Pad4star

サンライズバッカス →馬体を見る
前走あたりから調子を戻してきて、今回もすんなりと立てている。
この馬なりに好調を維持していて、あとはレースに行っての力関係だけ。
Pad3star

フリーオーソ →馬体を見る
いかにもダート馬らしい、筋肉量の豊かなマッチョ体型を誇る。
中央競馬の軽いダートでは、この馬のパワーが生きるかは疑問。
Pad4star

ブルーコンコルド →馬体を見る
相変わらず筋骨隆々な馬体だが、余分な筋肉が付いてきていることは否めない。
百戦錬磨の雰囲気を漂わせ、この馬自身の力を出し切れる仕上がりにはある。
Pad3star

ボンネビルレコード →馬体を見る
ダート馬としては力感に欠ける立ち姿だが、毛艶も合格点で体調は良さそう。
全体的なバランスは悪くなく、中央の軽いダートに変わるのは好材料。
Pad3star

メイショウトウコン →馬体を見る
いつも良く見せるタイプで、今回も好調を維持している。
馬体からは、パワー勝負よりも瞬発力勝負が望ましい。
Pad3star

ワイルドワンダー →馬体を見る
筋肉のメリハリがしっかりと付いていて、力感に溢れている。
リラックスして立てていて、この時期にしては毛艶も良好。Pad5star

ワンダースピード →馬体を見る
この馬の特徴なのだろうが、胴の割に脚が細くヒョロっと映る。
典型的なダート馬の血統だが、体型的にはパワーを感じさせない。
Pad3star

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阪神ダート1800m

Hansin1800d

スタートしてから1コーナーまでの距離は303mと長くも短くもない。向こう正面からジワジワと下り、最後の直線に坂が待ち構えている。最後の直線に坂があること以外、形状や大きさが京都のダートコースに似ている。芝コース同様に、1~2コーナーはスパイラルカーブで、3~4コーナーは複合カーブでスピードが出やすい。

1コーナーまでの主導権争いは厳しく、外からも先手を奪いたい馬が殺到することになる。少頭数だとあまり関係ないが、多頭数になると逃げ、先行馬は中から外枠の方が競馬がしやすい。基本的には逃げ、先行馬が有利だが、クラスが上がってペースが速くなると差し馬が来ることが多いいずれにせよ、騎手にとっては乗りやすく、どの馬にとっても力を発揮しやすい舞台となる。

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新時代へ

Japancup08 by fakePlace
ジャパンカップ2008-観戦記-
スローペースを読んだ横山典弘ネヴァブションがハナを切り、前半74秒6-後半70秒9という超スローペースを自ら作り出した。勝ちタイムの2分25秒5からも分かるように、どんな馬でも来られるレースであった。最も上手く流れに乗り、最もロスなく直線に向いたデムーロ騎手のスクリーンヒーローが大金星を挙げた。

それにしても、ゴール板を先頭で駆け抜けたのがスクリーンヒーローだと知った時には、さすがに腰が抜けそうになった。いくら最小限のロスで直線に向いたとはいえ、これだけのメンバーが集まったジャパンカップを勝ち切ってしまうとは。前走のアルゼンチン共和国杯も、東京2400mの勝ち方に忠実な走りをしてのものだったように、この馬の走るリズムが府中のチャンピオンディスタンスとピタリと符号するのだろう。瞬発力勝負になり、母父サンデーサイレンスの血の後押しがあったのも確かだが、グラスワンダー産駒の初G1勝利がこのような形で訪れようとは思いも拠らなかった。掲示板に載った5頭のうち4頭が父内国産であり、時代の変化には感慨深いものがある。

ミルコ・デムーロ騎手がスクリーンヒーローを勝たせた、といっても過言ではないだろう。大外枠という不利を、好スタートから思い切って先団に取り付くことによって克服した。ロスといえばそこだけで、あとは終始内の馬の横にピタリとつけた経済コースを進めた。馬の背に張り付いたような4コーナーのコーナーリングは、美しいとしか表現の仕様がない。直線で追い出してから、馬に気を抜かせず真っ直ぐに走らせる技術も見事であった。

デムーロ騎手の最も優れた点はコーナーリングの巧さにあり、内の馬にピタリとくっ付いているのではと思わせるほど、コースロスなく回ってくる。だからこそ、馬を内に置いても(内から2頭目でも)、まるで内ラチ沿いを進むかのようなロスで済むのだ。常識的には勝ち目のない馬を持ってきてしまうあたりは、同じイタリアのデットーリ騎手にも通じる天才がある。ジョッキーの世界においても、新しい時代の変化が訪れている。

ディープスカイは栄冠まであと少しのところで伏兵馬の大駆けに遭った。惜しむべくは4コーナーの回り方だろう。最も重要な4コーナーで、追っ付けながらあれだけ外を回ってしまうと、馬に対する負荷はハンパではない。人気を背負って焦るのは分かるが、もっと馬群と隙のない形で回してこないと、レベルの高いレースであればあるほど足元を掬われる可能性は高い。デムーロ騎手の回し方と比べてみると、そのコーナーリングの稚拙さが分かる。騎乗の不備を挙げればキリがないが、四位騎手にはたくさんのレースビデオを観て、さらに巧くなってもらいたい。ディープスカイ自身は前走の天皇賞秋に比べ、馬体も絞れ、雰囲気も明らかに良くなっていた。この馬にとって、有馬記念を使う意味はあまりないので、来年の飛躍へ向けて休養を取らせてもらいたい。

ウオッカは最後まで踏ん張ったが、直線に向いていつもの反応がなかった分、勝ち切れなかった。岩田騎手は昨年のアドマイヤムーンのイメージを持って積極的に前々で競馬を進めたが、ウオッカの前走までの経緯や今回の距離を考えると、もう少しリラックスしてゲートを出しても良かったのではないか。前走の天皇賞秋に比べて体調が少し落ちていることに加え、道中で人馬が喧嘩してしまったことが、最後の直線でのゴーサインにスムーズに応えないという結果に繋がった。それでも最後は盛り返してきているあたり、もはや牝馬という枠を超越しているのは明らかで、レース前の体つきを見ても牡馬顔負けといった物凄い馬体であった。体調を維持することが出来れば、有馬記念でも好走してくれるはず。

マツリダゴッホにとってはレースの流れが向かなかったが、それでも良く走っている。グランプリホースの意地を見せたとともに、ここに来てさらに力を付けているようだ。このまま有馬記念に向かうようであれば、有力馬の1頭になることは間違いないだろう。惜しかったのはオウケンブルースリで、内田博幸騎手がスタートから最後の直線に向くまで完璧な騎乗をしていたが、直線に入って前が詰まってしまった。一瞬の速い脚がないゆえであるが、スムーズに追い出せていれば、もう少し際どい勝負になっていたに違いない。メイショウサムソンはパドックから覇気がなかったように、海外遠征の疲れがまだ完全には癒えていなかった。それでも一瞬伸びかけたように、ひと叩きされた次走への望みを託したい。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:競馬はいつでも血の滾る

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JCダートを当てるために知っておくべき3つのこと

Jcdirt

■1■ハイペース必至
東京競馬場で行われた過去7回のレースラップを見てみると、ハイペース必至であることが分かる。前半が芝のレース並みに速く、後半がその分掛かるという、典型的な前傾ペースである。このことにより、先行馬はかなり厳しいレースを強いられることになる。

10.4-11.3-11.5-11.7-11.9-11.9-12.8-13.0-12.8-12.7(56.8-63.2)H
11.1-11.8-12.2-12.2-11.8-11.9-11.7-11.5-12.0-12.3(59.1-59.4)M
10.9-11.8-12.1-11.7-11.9-12.5-12.7-12.5-12.9-13.2(58.4-63.8)H
11.1-11.9-11.9-11.9-12.3-12.5-12.8-12.6-12.5-12.5(59.1-62.9)H
11.2-11.7-11.8-12.2-12.4-12.6-12.4-12.3-12.1-12.4(59.3-61.8)H
11.3-11.8-12.2-12.3-12.7-12.2-12.4-11.9-12.3-12.3(60.3-61.1)M
10.7-11.9-11.7-11.5-11.9-12.6-12.3-12.5-12.0-12.5(57.7-61.9)H
*最初の100mは半端なので省略

一昨年は外国馬の不参加でおよそ平均ペースに流れたが、外国馬の参戦に伴い、外国馬が引っ張る、もしくは先行争いに絡む形で、このハイラップは生まれている。アメリカの競馬場のダートは、砂というよりも土に近いため、芝並みかそれ以上に速い時計が出る。競馬場も小回りで平坦なコースが多いため、前半から多少無理をしても最後までもってしまう。そのため、騎手は気合いをつけてでも前に行きたがるし、自然とラップも速くなり最後のガマン比べというレースになりやすい。そういった感覚で普段レースをしている馬の参戦によってペースが上がっているのである。もちろん、このことについては今年から阪神で行われるレースでも同じことが言える。

■2■スピード優先
今年から阪神の1800mという舞台で行われることになった。阪神競馬場についてはワールドスーパージョッキーズシリーズとの絡みがあるのであまり意味はないが、1800mという距離に関しては、スピードを優先する外国馬(特にアメリカ調教馬)によりチャンスを見せるという意図が含まれている。

かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまうのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなるであろう。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にとって勝つチャンスが訪れるということだ。

■3■外国馬(アメリカ調教馬)は雨で買い
平成15年にアメリカ調教馬のフリートストリートダンサーが勝ったのは、降雨により馬場が締まった影響が大きい。アメリカと日本のダートは砂の質が異なるため、アメリカのダートで強い馬が日本でも強いとは限らない。どちらかというと、逆のケースの方が多いだろう。ただし、雨が降って馬場が締まり、足抜きが良くなった場合には、アメリカ調教馬(もしくはアメリカ血統の馬)にチャンスが生まれる。

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