測り違えにもほどがある
by Deliberation
朝日杯フューチュリティS2008-観戦記-
ゲットフルマークスにツルマルジャパンが絡み、前後半が46秒3-48秒8という、いかにも朝日杯フューチュリティSらしい厳しいペースでレースは流れた。これだけ前半が速ければ、いくら中山競馬場の直線が短いとはいえ、先行した馬たちが流れ込むのは難しい。また、全体的に少し時計の掛かる馬場になってきたこともあり、差し脚を溜めた馬のワンツーフィニッシュとなった。
勝ったセイウンワンダーは、新潟2歳S以来の実戦となったが、休み明けを全く感じさせない走りであった。夏はコロンと映った馬体にも伸びが出てきていて、これだけ動けたのだから、プラス10kgの馬体重は成長分と見ても良いだろう。今回はスタートも抜群で、スッと先行し、ペースに合わせてジワジワと下げて脚を溜めるという王道の競馬ができた。直線では馬群をあっという間に突き抜けると、ゴール板まで一気に駆け抜けた。父グラスワンダーからはパワー、母父サンデーサイレンスからは切れ味を受け継いだ新チャンピオンの登場である。
ロスなく乗った岩田康誠騎手の騎乗は、完璧というより他ない。これ以上、望むべくもない手綱捌きでセイウンワンダーを導いていた。それにしても、馬を出して行く技術、馬の気分を損ねないように少しずつ折り合いをつけていく技術、そして直線に向いてから一気にシフトチェンジする技術は年々凄みを増している。ジャパンカップ、JCダートと、武豊騎手の欠場で回ってきた馬たちで結果を出せずにいたが、鬱憤もこれで晴れたのではないだろうか。
フィフスペトルもほぼ完璧に乗られたが、それでも勝ちきれなかった。勝負どころでの反応が少し遅れたのは痛かったが、勝ち馬との差は枠順の違いとしか言いようがない。前後肢にシッカリ筋肉がついた体型で、距離延長には僅かな心配があったが、今日のレース振りを見ていると全く問題なかった。父キングカメハメハに初のG1勝利をプレゼントするには至らなかったが、来年に向けて奥の深さを感じさせる走りでもあった。惜しくもG1レース3連勝とはいかなかったルメール騎手だが、外から武豊騎手が動いた時も焦らずに待ったように、あらゆる判断が優れている。ヨーロッパだけではなく、日本の競馬も知り尽くしている。
岩田康誠騎手とルメール騎手に対し、武豊騎手の拙騎乗には、驚きを通り越して同情の念すら覚える。道中で交わした馬たちに内を掬われただけではなく、外からも差し込まれたのだから、脚の測り違えにもほどがある。ブレイクランアウトが馬体を併せると走るのをやめてしまうことを前走で知っている以上、もはや弁解の余地はないだろう。あれだけの前傾ラップを、外からマクって上がっていく必要性がどこにあったのだろうか。持ち上げておいて落とすつもりは全くないのだが、日本一のジョッキーであるならば、ギリギリまで脚を溜めて最後の直線で爆発させる騎乗をするべきであった。
北村友一騎手が跨ったシェーンヴァルトは、内ラチ沿いでレースを進めたものの、終始手応えが良くなかった。初めての長距離輸送がこたえていたのか、前進意欲が感じられず、体調自体が優れなかったように映った。4着に入ったホッコータキオンは、外枠の不利やハイペースに巻き込まれたにもかわわらず、最後まで脚を失うことなく良く走っている。現時点では、上位3頭と同じだけの力を持っていると評価したい。ペリエ騎手のミッキーパンプキンは、レースの主導権を奪えず、自分の型に持ち込むことができなかった。それでも、これだけのペースで行って、よく最後までバテることなく走っている。

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
武豊ファンの私から見てもあれは酷い失敗ですね。本人も認めてはいますけど…。普段は構える彼がなぜお得意のハイペースをわざわざ自分から動いたのでしょう?骨折前ではなく全盛期と比べてレース勘が鈍っているのは間違いなさそう。あれはデビュー2~3年の騎手でも待つ場面ですから。それとも右腕がやはり不安で、行きだした馬を抑える自信がなかったとか?引っ張る素振りすらなかった。首をかしげるばかりです。
Posted by: ステイビー | December 25, 2008 at 06:45 PM
いつも楽しく拝見させて頂いています。
ありがとうございます。
このレースに限らず、乗れてませんよね武豊。
先行すれば差される。
下げれば届かない。
の連続じゃないですか。
馬だけでなく、騎手も世代交代の時期を迎えているように感じます。
それに各オーナーや調教師が反応していないような気がします。
サークルでは豊神話が続いているのでしょうか?
Posted by: はずれっち | December 25, 2008 at 11:42 PM
ステイビーさん
こんばんは。
そうですね、ちょっと中途半端な乗り方だった気がします。
本人も認めているので、取り立てて書くつもりはありませんが、ダメなものはダメですからね(笑)。
私も武豊騎手は日本一のジョッキーだと思っていますので、今週のメイショウサムソンでは巻き返してくれるものと期待しています。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 26, 2008 at 12:54 AM
はずれっちさん
こんばんは。
こちらこそありがとうございます。
おっしゃる通り、特に重賞クラスになると、武豊騎手が隙を突かれるレースが目立つようになってきました。
地方や海外からも一流ジョッキーが入ってきていますので、当然といえば当然なのかもしれませんが。
それでも、私は日本一のジョッキーだと思っていますので、メイショウサムソンのラストランでの手綱捌きに期待したいですね。
競馬サークルでの武豊騎手は、技術だけではなく、トータルでの信頼が厚いのでしょう。
武豊騎手が日本の競馬にしてきた貢献は測り知れないですよね。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 26, 2008 at 12:59 AM
クラブでブレイクランアウトに出資しています。
私の見解は次郎丸さんとはちょっと違います。トップジョッキーの選択には、それ相応の理由があるものですよ。武騎手の名誉のために、コメント入れさせていただきます。詳細につきましては、お手数ですがブログをご参照頂ければ幸いです。
Posted by: うまなみくん | December 28, 2008 at 07:29 AM
うまなみくんさん
はじめまして。
ブレイクランアウトに出資されているなんて羨ましいです。
ブログも拝見させていただきましたよ。
私も様々な見解があるのは承知で書いていますし、どの見解が正しいなんて分かりません。
乗っていた武豊騎手でさえ分からないのではないでしょうか。
トップジョッキーですから、それ相応の理由があるのでしょうが、トップジョッキーでもミスはします。
もっと正直に書くと、あそこから押し切れなかったのは、ブレイクランアウトの力が足りなかっただけだと思います。
武豊騎手の感触以上に馬が伸びなかったということでしょうね。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 29, 2008 at 01:11 AM
はじめまして。いつも楽しく拝見させて頂いております。
ちょっと気になる部分がありました。
>46秒3-48秒8という、いかにも朝日杯フューチュリティSらしい厳しいペース
>あれだけの後傾ラップを、外からマクって上がっていく必要性がどこにあったのだろうか
ご自身も書いていらっしゃるように、完全な前傾レースだと思うのですがいかがでしょうか。
また、ブレイクランアウトがマクって上がっていった(ように見えた)ところは、レースのペースが緩んだ(12.5-12.6)ところでもあり、無理をしていたようには見えません。
もちろん私も様々な見解があるのは承知していますが、「同情」されるほどの拙い騎乗ではなかったのでは、と思い書かせていただきました。
Posted by: PROM | December 30, 2008 at 02:23 PM
PROMさん
こちらこそはじめまして。
いつもありがとうございます。
ご指摘の件、おっしゃる通りですので、訂正させていただきます。
確かにラップからすると緩んだ部分で動いた、というかそのまま行かせたので、無理はしていませんね。
ただ、内を掬われただけではなく、先にパスした馬にも差されたという結果は、やはり騎手としては悔しさ余ってなのではないかなあと思います。
10回乗って1回、武豊騎手レベルでも2回しか勝てないように、ジョッキーは辛い商売ですよね。
丁寧にご意見ありがとうございました。
>ブレイクランアウトがマクって上がっていった(ように見えた)ところは、レースのペースが緩んだ(12.5-12.6)ところでもあり
このあたりに、PROMさんのレベルの高さを見ました。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 30, 2008 at 09:59 PM