新時代へ
by fakePlace
ジャパンカップ2008-観戦記-
スローペースを読んだ横山典弘ネヴァブションがハナを切り、前半74秒6-後半70秒9という超スローペースを自ら作り出した。勝ちタイムの2分25秒5からも分かるように、どんな馬でも来られるレースであった。最も上手く流れに乗り、最もロスなく直線に向いたデムーロ騎手のスクリーンヒーローが大金星を挙げた。
それにしても、ゴール板を先頭で駆け抜けたのがスクリーンヒーローだと知った時には、さすがに腰が抜けそうになった。いくら最小限のロスで直線に向いたとはいえ、これだけのメンバーが集まったジャパンカップを勝ち切ってしまうとは。前走のアルゼンチン共和国杯も、東京2400mの勝ち方に忠実な走りをしてのものだったように、この馬の走るリズムが府中のチャンピオンディスタンスとピタリと符号するのだろう。瞬発力勝負になり、母父サンデーサイレンスの血の後押しがあったのも確かだが、グラスワンダー産駒の初G1勝利がこのような形で訪れようとは思いも拠らなかった。掲示板に載った5頭のうち4頭が父内国産であり、時代の変化には感慨深いものがある。
ミルコ・デムーロ騎手がスクリーンヒーローを勝たせた、といっても過言ではないだろう。大外枠という不利を、好スタートから思い切って先団に取り付くことによって克服した。ロスといえばそこだけで、あとは終始内の馬の横にピタリとつけた経済コースを進めた。馬の背に張り付いたような4コーナーのコーナーリングは、美しいとしか表現の仕様がない。直線で追い出してから、馬に気を抜かせず真っ直ぐに走らせる技術も見事であった。
デムーロ騎手の最も優れた点はコーナーリングの巧さにあり、内の馬にピタリとくっ付いているのではと思わせるほど、コースロスなく回ってくる。だからこそ、馬を内に置いても(内から2頭目でも)、まるで内ラチ沿いを進むかのようなロスで済むのだ。常識的には勝ち目のない馬を持ってきてしまうあたりは、同じイタリアのデットーリ騎手にも通じる天才がある。ジョッキーの世界においても、新しい時代の変化が訪れている。
ディープスカイは栄冠まであと少しのところで伏兵馬の大駆けに遭った。惜しむべくは4コーナーの回り方だろう。最も重要な4コーナーで、追っ付けながらあれだけ外を回ってしまうと、馬に対する負荷はハンパではない。人気を背負って焦るのは分かるが、もっと馬群と隙のない形で回してこないと、レベルの高いレースであればあるほど足元を掬われる可能性は高い。デムーロ騎手の回し方と比べてみると、そのコーナーリングの稚拙さが分かる。騎乗の不備を挙げればキリがないが、四位騎手にはたくさんのレースビデオを観て、さらに巧くなってもらいたい。ディープスカイ自身は前走の天皇賞秋に比べ、馬体も絞れ、雰囲気も明らかに良くなっていた。この馬にとって、有馬記念を使う意味はあまりないので、来年の飛躍へ向けて休養を取らせてもらいたい。
ウオッカは最後まで踏ん張ったが、直線に向いていつもの反応がなかった分、勝ち切れなかった。岩田騎手は昨年のアドマイヤムーンのイメージを持って積極的に前々で競馬を進めたが、ウオッカの前走までの経緯や今回の距離を考えると、もう少しリラックスしてゲートを出しても良かったのではないか。前走の天皇賞秋に比べて体調が少し落ちていることに加え、道中で人馬が喧嘩してしまったことが、最後の直線でのゴーサインにスムーズに応えないという結果に繋がった。それでも最後は盛り返してきているあたり、もはや牝馬という枠を超越しているのは明らかで、レース前の体つきを見ても牡馬顔負けといった物凄い馬体であった。体調を維持することが出来れば、有馬記念でも好走してくれるはず。
マツリダゴッホにとってはレースの流れが向かなかったが、それでも良く走っている。グランプリホースの意地を見せたとともに、ここに来てさらに力を付けているようだ。このまま有馬記念に向かうようであれば、有力馬の1頭になることは間違いないだろう。惜しかったのはオウケンブルースリで、内田博幸騎手がスタートから最後の直線に向くまで完璧な騎乗をしていたが、直線に入って前が詰まってしまった。一瞬の速い脚がないゆえであるが、スムーズに追い出せていれば、もう少し際どい勝負になっていたに違いない。メイショウサムソンはパドックから覇気がなかったように、海外遠征の疲れがまだ完全には癒えていなかった。それでも一瞬伸びかけたように、ひと叩きされた次走への望みを託したい。
関連リンク
・「ガラスの競馬場」:競馬はいつでも血の滾る

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments