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集中連載:「調教のすべて」第23回

Tyoukyou30

本当の調教の「質×量」を把握することが難しくなってきている以上、私たちが見なければならないのは、調教における「時計」や「本数」だけではなく、「動き」と「変化」もということになる。そこで、ここまでは調教時計の見方を説明しながら調教について述べてきたが、最後にもう少し具体的な話をしてみたい。「動き」と「変化」に重点を置いた、調教を見る際のポイントについて述べていきたい。

調教を見る際に最も大切なポイントは、言わずもがな、馬の「動き」である。もちろん、調教が行われた場所や馬場状態、騎乗者、調教タイム、コースの内外、追われ方なども、チェックしておくべきポイントであることに間違いはないが、それら以上に、馬がどんな格好をして走っていたのかということが何よりも大切なのである。特に最終追い切りは、馬の体調や仕上がり状態が如実に表れるので、目を凝らして見るべきである。

たとえば、追い切りで舌を出しながら走っている馬はレースでは狙いたくない。馬がハミを越して舌を出してしまうことには、体調が悪いので苦しくて舌が出てしまう、もしくは走ることに対しての集中力を欠いているなどの理由が考えられる。また、ジョッキーはハミを通して馬の気持ちや手応えを感じ、指示を出すので、舌がハミを越してしまっていては、騎手がレースに行って馬を上手くコントロールできないことになる。いずれにせよ、馬の舌がハミを越していることは決して良い兆候ではない。調教でこういう動き(様子)を見せている馬は、レースに行っても力を発揮できないことが多いのだ。

ダービーを制し、天皇賞を春秋連覇したメイショウサムソンも、調子の悪い時期には追い切りで舌を出して走ることが多かった。1番人気に推された昨年の宝塚記念でも、最終追い切りで舌がハミを越して走っていた。この時期は、体調が悪かったというよりも、3歳クラシックから死闘を繰り返してきたことによる精神面での燃え尽きがあったように思う。走ることに対する前向きな気持ちが完全に切れて、集中力を欠いてしまっていた。舌のわずかな動きだけでも、馬の気持ちが分かることもある。

→メイショウサムソンの宝塚記念最終追い切りの動きはこちら

同じく昨年で言えば、ウオッカのジャパンカップ時の追い切りでも、舌を出して走っている様子が窺われた。ウオッカの場合、走ることに対する集中力というよりも、前走の天皇賞秋を激走してしまったことによる肉体的な疲れがあったのだろう。55秒台の軽めの追い切りだったこともあるが、天皇賞秋の前の最終追い切りとは比べ物にならない「動き」であった。メイショウサムソンにせよウオッカにせよ、走る能力が高いため好走はするが、最後の詰めを欠いてしまった理由は最終追い切りの舌の僅かな「動き」にも表れていた。

→ウオッカのジャパンカップ最終追い切りの動きはこちら

(第24回へ続く→)

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