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夢、そして競馬の理想の姿

実は、2月27日の引退記念パーティの前日まで豪州にいた。1ヶ月ほど滞在していたのだが、それは自分の体のケアのためだった。

以前、豪州で受けたある治療で体や頭が驚くほど軽くなったので、再びそれを受けにいったわけ。これで引退後もかくしゃくとして競馬を楽しむことが出来るので、みなさんご安心を。

もちろん、その間も競馬を忘れていたわけではない。オセアニア競馬に肌で触れ、以前の渡豪時にもまして、競馬の世界地図は縮小したと感じた。そのきっかけは、豪州でフジキセキの産駒をじかに見たからだった。

圧倒的な強さを見せつけながらクラシック直前に脚部不安で引退したため、「幻のダービー馬」と呼ばれているフジキセキ。

このサンデーサイレンス直仔は、数年前からシャトル種牡馬として、日本の種付けシーズン終了後に豪州へ渡っている。

すでに南半球産フジキセキ産駒は産声をあげている。その馬体が実に素晴らしい。当歳の仔にしては良すぎるくらいの体で、すでに引退したこの私が手掛けられないのはわかっていながら、欲しくなるような馬だった。

豪州ではいま、サンデーサイレンスの血を切実に求めている。日本からのシャトル種牡馬ではカーネギーも大人気なのだが、それと肩を並べるほどSSの血統が求められているのだ。

豪州の大手生産者、アローフィールド・スタッドは社台グループと契約を交わして南半球の種付けシーズン中に日本へ繁殖牝馬を送り込み、本家・サンデーサイレンスの種付けに来ているほどである。

かつて日本の競馬が欧州からの「名馬の墓場」と揶揄された。

私自身も、昭和50年に初訪日したエリザベス女王から、「ミスター・ノヒラがアスコットでスピードシンボリに乗ったレースを私は見ていますよ」と晩餐会で声を掛けられた際、続けてこう言われた。「たくさんの名馬が英国から来ていますが、(その馬たちを日本の競馬関係者は)どうなさるんでしょうね」

欧米から、どんなに名血が日本に集まったとしても、その血は世界の競馬に還流されることなく袋小路に入って日本で消えてしまう。それを関係者から聞いたエリザベス女王は悲しみ、危惧されていたようだ。

それがいまや、日本で育まれた血が、欧米や豪州で花開こうとしている。数頭の日本産サンデーサイレンス産駒がモハメド殿下らに購入されて欧米へ渡り、SSの血を求める豪州でも、フジキセキら日本産種牡馬が大きな影響を及ぼし始めている。

日本で生まれたヘクタープロテクターの仔(シーヴァ)も去年、アイルランドのG1を制した。日本のG1を制した日本産サラブレッドが欧米の重賞を勝つだけでなく、欧米で種牡馬になる。欧米の名血が日本を経由して再び欧米へ帰る。それが私の夢だ。

血統の交流が支える国際的スポーツという競馬の理想の姿が、日本でも徐々にではあるが見えてきた。

(「口笛吹きながら」より引用)

かつて日本の競馬が「名馬の墓場」と呼ばれた時代があった。グランディ、ジェネラス、クリスタルパレス、ファーディナンドなどなど、欧米の大レースを制し、鳴り物入りで日本に輸入されたものの、全くと言ってよいほど血を残すことなく、ひっそりとその生涯を閉じた名馬たちは枚挙に暇がない。最後は食肉にされてしまったファーディナンド事件などを見ても、欧米の競馬人にとって、ジャパンマネーで名馬を消費する日本の競馬が眉をひそめられる存在であったことは否めない。エリザベス女王の問いに対し、答えに窮してしまった祐ちゃん先生のお気持ちは察して余りある。

そういう経緯があったからこそ、祐ちゃん先生がオーストラリアでフジキセキの産駒を見たときの感慨はさぞ大きかったろう。療養中の異国で、自分の孫やひ孫にバッタリと出会ったような喜びがあったに違いない。「幻のダービー馬」と呼ばれたフジキセキが、日本初のシャトル種牡馬として、その偉大な血を豪州の地に残さんとしている。そして、その産駒たちは、祐ちゃん先生が日本に連れて帰りたいほど、立派な馬体を誇っていたのだから。

結果から言うと、フジキセキの豪州での産駒はさほど振るわなかった。105頭の牝馬、しかも一流牝馬を集めてもらっていただけに、オーストラリアの競馬関係者らの失望は深かった。向こうの競馬は短距離が中心で、しかもスタートしてからすぐにトップスピードに乗り、どこまでバテずに走り続けられるかを問われる典型的なスプリント戦になりやすい。道中はスタミナを温存しながらゆったりと走り、最後の直線で瞬発力が問われる日本の競馬に適性を見せたフジキセキの産駒は、オーストラリアの競馬には合わなかったのである。さらに日本での初年度産駒も、勝ち星は挙げるものの伸び悩み、偉大な父サンデーサイレンスに比べると、早熟で大レースに弱い血統との評価は固まりつつあった。

しかし、フジキセキは死ななかった。祐ちゃん先生のお眼鏡どおりと言おうか、2006年にはフジサイレンス(東京新聞杯)、タマモホットプレイ(シルクロードS)、ドリームパスポート(きさらぎ賞)、コイウタ(クイーンS)、そしてカネヒキリがG1フェブラリーSを制して、フジキセキ産駒が4週連続の重賞制覇を成し遂げたのだ。マッチョなフジキセキに対し、スマートな仔を出しやすい繁殖牝馬を配合するようになったこと、また調教技術が進化したことで、脚元に不安の出やすいフジキセキ産駒を壊さないように仕上げることが出来るようになったことなど。理由はひとつではないが、確かにフジキセキの血が爆発したのである。

その勢いは世界的に進行していった。オーストラリア産のサンクラシークが、2007年に南アフリカのG1レースを勝利し、2008年3月にはドバイシーマクラシックを制した。そして、ちょうどその同日、ファイングレインとキンシャサノキセキが高松宮記念でワンツーフィニッシュを決めた。

フジキセキだけではない。同じくシャトル種牡馬としてオーストラリアに供用されたタヤスツヨシやバブルガムフェローも、現地でG1馬を見事に輩出した。ローゼンカバリーやディヴァインライトもフランスへと旅立った。フサイチゼノンはアメリカへ。今年に入っては、ハットトリックがアルゼンチンに渡り、新たなゴールを決めようとしている。アメリカからやってきて日本で花開いたサンデーサイレンスの血は、再び海を越えて、世界へと血を還元されてゆく。そういう意味では、アドマイヤムーンがゴドルフィンに買われてしまったことも、むしろ喜ばしいことと考えるべきなのだろう。サンデーサイレンスの血だけではなく、フォーティナイナーの血を引くユートピアのトレードも同じだ。

欧米の名血が日本を経由して再び欧米へ帰る、という祐ちゃん先生の夢は、たとえビジネスという形を取ったとしても、少しずつではあるが実現している。少しずつではあるが。血統の交流が支える国際的スポーツ、これこそ競馬の理想の姿なのだ。

Nohirayuuji
この表紙の写真を撮影された今井寿恵さんがお亡くなりになったそうです。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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中山記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Nakayamakinen

■1■中山記念を得意とする馬
中山記念の過去6年の勝ち馬と2、3着馬を見ると、興味深いことが分かる。
       勝ち馬          2着                 3着
2003年 ローエングリン     バランスオブゲーム    ダイワジアン
2004年 サクラプレジデント   サイドワインダー     ローエングリン
2005年 バランスオブゲーム  カンパニー         アルビレオ
2006年 バランスオブゲーム  ダイワメジャー       エアメサイア
2007年 ローエングリン     エアシェィディ       ダンスインザモア
2008年 カンパニー        エイシンドーバー     エアシェイディ

ローエングリンとバランスオブゲームが共に2勝を挙げている。ローエングリンはその2勝が3年間のブランクを挟んでのものであるだけでなく、実はサクラプレジデントが勝ったレースでも3着していることに驚かされる。また、バランスオブゲームは2005年、6年と連勝しただけではなく、2003年にもローエングリンの2着している。さらに、昨年の勝馬であるカンパニーは3年前にも2着している。谷間の重賞であることは確かで、毎年出走してくる馬にも偏りはあるのだが、中山記念は中山記念を得意とする(狙ってくる)馬が強いG2レースだと考えてよいだろう。

■前に行った馬が有利
次に、中山記念の過去6年間のラップタイムを見てみたい。

12.8-11.7-11.9-11.6-11.5-11.8-11.8-11.9-12.6(48.0-48.1)S 
12.4-11.5-11.4-11.2-11.1-12.0-11.9-11.5-11.9(46.5-47.3)M 
12.6-12.2-11.9-11.3-11.2-11.8-11.9-11.7-11.9(48.0-47.3)M 
13.3-11.8-12.0-12.0-11.8-12.4-12.0-11.6-12.0(49.1-48.0)S 
12.9-11.7-12.0-11.6-11.3-11.7-11.7-11.4-12.9(48.2-47.7)M 
12.6-11.5-12.0-11.8-11.8-12.3-12.2-11.5-11.6(47.9-47.6)M

全体のラップタイムを見ると、平均~スローな流れになりやすく、当然、前に位置した馬が有利になる。なぜこうなるかというと、レースの展開というのは最初の2ハロンまでの流れで決まることが多いからである。

中山1800mコースは、スタンド前の上り坂からのスタートとなり、最初のコーナーまでの距離は205mと極めて短い。そこから1~2コーナー中間まで上り坂が続くため、最初の2ハロンがどうしても遅くなってしまうのである。よって、各騎手がスローを過度に意識しない限り、平均~スローペースに落ち着くことが多く、前に行った馬が有利になる。

■3■持続的なスピードを支えるスタミナ
上記のハロンごとのラップタイムを見ると、最初の1ハロンと最後の1ハロンを除き、11秒台が続いているように、全体的に淀みのないレースになりやすい。どこかで急激に緩んだり、どこかで急激に速くなったりということがないレースとなる。

つまり、爆発的な脚を使えるような馬ではなく、どちらかというと同じ脚を長く続けることの出来る持続的なスピードのある馬にとって有利なレースとなりやすいのである。言い換えれば、瞬間的なスピードよりもスピードを支えるスタミナが優先されるということで、1800m以上のレースで活躍してきたような馬を狙いたい。

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シビれた。

Febs09 by Ruby
フェブラリーS2009-観戦記-
大方の予想通り、エスポワールシチーがハナを奪い、有力馬たちも積極的にポジション争いに加わったため、前半47秒0-後半47秒6という息つく間のない厳しいレースとなった。前に行った馬もなかなか止まらず、ある程度の位置に付けていないと勝負にならないという、極めてハイレベルな争いであった。これだけ厳しい流れになると、スピードが足りない馬はもちろん、マイル以上のスタミナに欠ける馬も最後には脱落してしまう。それにしても、ゴール前の内田博幸騎手と安藤勝己騎手、ルメール騎手の壮絶な叩き合いにはシビれた。

勝ったサクセスブロッケンは、好発から自然な形でポジションを取り、マイルの速い流れに折り合いがピタリと付いていた。最後の直線に向いて、一瞬はカジノドライヴに離されたものの、鞍上の叱咤激励に応えるように食らいついて、最後はスタミナと底力にものを言わせてゴール前で差し切った。昨年秋のシーズンは、疲れが完全には癒えていない状態で走って古馬の壁に阻まれてしまったが、ここに来て体調が戻ってきたことが大きい。そして何よりも、この馬自身の成長が著しい。ようやく7歳世代に引導を渡した形となり、これからはこの馬とカジノドライヴがダート界を引っ張っていく存在となるだろう。

内田博幸騎手にとっても会心の勝利だったに違いない。東京大賞典と川崎記念と2戦手綱を取り、いずれも引っ掛かりがちであったサクセスブロッケンを、今回は敢えて出して行かなかった作戦が功を奏した。スタートが決まったことも幸いした。馬のリズムに合わせながら、勝ちポジを取り、直線に向いてカジノドライヴを目標に追い出してからの迫力は、さすが元南関東ナンバーワンジョッキーである。年始はなかなか勝てずに心配されたが、これでもうエンジン全開といったところだろう。

惜しくも2着に敗れたカジノドライヴは、あとひと踏ん張りが利かなかった。最後にカネヒキリとサクセスブロッケンに内と外から来られて、追い比べて負けてしまったのは、これまで叩き合いをした経験がなかったゆえであろう。そういう経験が一度でもあれば、もう一歩前に出られた可能性もある。それでも、これだけの厳しいペースを追いかけて行って、最後まで粘ったのだから、ダート馬としての資質や将来性の高さは十分に示したといえる。安藤勝己騎手もエスポワールシチーとの距離を計りながら、後続の手応えを確認し、ギリギリまで追い出しを待った最高の騎乗であった。

カネヒキリはG1レース8勝の記録を逃してしまったが、それでも最大の賛辞を送りたい。昨年の秋から高いレベルのレースを勝ち続け、目に見えない疲れも溜まっていただろう。内枠を引いて、苦しいポジションを走らなければならなかったことも、この馬にとっては運がなかった。やはりG1レース7勝の壁を超えるのはなかなか難しい。それでも、最後まで諦めずにファイトする姿を見て、この雷神の精神の強さと崇高さを思い知った。ルメール騎手もこの馬の力を最大限に引き出していた。

エスポワールシチーの快走には驚かされた。やや重の脚抜きの良い馬場になったこともプラスに働いたのだろうが、この時計を作り出して、自らも4着に粘ったのだから褒められるべきである。速いペースではあったが、最後の直線に向くまで、気持ち良く走っていた姿が印象的であった。フェラーリピサもあわやという見せ場を作ったが、最後の直線では伸び切れなかった。これだけ厳しい流れになってしまい、スタミナ不足を露呈してしまった。

2番人気のヴァーミリアンも伸び切れずに6着。馬体にも翳りが見えてきて、中間の調教でも精彩を欠いていたように、競走馬としての峠を越してしまった感は否めない。ドバイへの2度の遠征も含め、長きにわたって一戦級で活躍してきた疲れが出てきているのだろう。それでも、この馬がカネヒキリにも並ぶとも劣らない最強のダート馬の1頭であることは間違いない。

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◎カジノドライヴ

Jiromaru

突然ですが、皆さんにクイズです。

「カネヒキリ、カジノドライヴ、フェラーリピサ、サクセスブロッケンにはあって、
ヴァーミリアンにはないものはなんでしょうか?」


なぞなぞではありませんよ。
すぐにピンと来た方は、血統に相当に詳しいですねぇ。
あっ、ヒントを言ってしまいました。

それでは、もう一度お聞きします。

「カネヒキリ、カジノドライヴ、フェラーリピサ、サクセスブロッケンにはあって、
ヴァーミリアンにはないものはなんでしょうか?」

答えは…、ジャカジャカジャーーーン!

はい、そうです、デピュティミニスターの血です。

今年のフェブラリーSにおける有力馬(人気馬)5頭のうち、4頭にデピュティミニスターの血が流れているんですよ。これはある意味凄いことだと思います。サンデーサイレンスであれば日常的なことかもしれませんが、デピュティミニスターですからね。ダート競馬にフィットする高い能力をどれだけ産駒に伝えているかが分かります。デピュティミニスターの代表産駒といえばフレンチデピュティがその1頭で、そのフレンチデピュティからクロフネが誕生しました。クロフネのダートでのあの圧倒的な強さはデピュティミニスターの遺伝によるものでしょう。

昨年のJCダートで見事復活を果たしたカネヒキリも、ダートのディープインパクトと呼ばれるほどのダート巧者です。G1レース2006年のフェブラリーSの時、勝利したカネヒキリに対して、血統評論家の水上学さんがひと言、「カネヒキリはデピュティミニスターですね」と言ったことを覚えています。まさに水上さんの言う通りで、カネヒキリっておよそフジキセキらしくない馬で、他のフジキセキ産駒とは毛色が違うなあ(あらゆる意味で)と思っていたのですが、カネヒキリは母父デピュティミニスターの血が色濃く出ている馬なのですよね。

もしカネヒキリが今回のフェブラリーSを勝つことがあれば、G1レース8勝という大記録を樹立することになります。現在の記録はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ブルーコンコルドの7勝です。こういう記録というのは達成されないことがほとんどです。ブルーコンコルドも8勝に王手をかけながらも、あと1勝が出来ていません。なぜかというと、7勝という数字に深い意味があるからだと思います。サラブレッドの壁がこの7勝という数字に表れているのです。激しく厳しいレースを7回先頭で駆け抜ける頃には、サラブレッドの肉体と精神は限界に達してしまうのでしょう。神の見えざる手が働くと言っても過言ではありません。王選手の年間55本の本塁打記録もなかなか破られませんよね。果たして、カネヒキリは神の領域に脚を踏み入れることができるのでしょうか。心から応援したいと思います。

それでも本命は◎カジノドライヴに打ちます。いかにもアメリカ血統らしい構成で、ご存知のとおり、半兄にベルモントS馬であるジャジル、半姉にベルモントSとケンタッキーオークス馬であるラグズトゥリッチズがいます。父マインシャフトはイギリスからアメリカに転厩してG1レースを4勝してエクリプス賞の年度代表馬を受賞した名馬です。その父はエーピーインディで、さらにその父はシアトルスルーですね。まさにダートの権化のような血統ですが、その中でもデピュティミニスターの名前はひときわ輝いています。

ドバイワールドカップに直行せずここを使ってくる以上、恥ずかしい競馬は出来ないでしょうし、勝ち負けになる状態と踏んでの出走でしょう。私自身もこの馬の潜在能力を計りかねるところはありますが、陣営の志の高さを買いたいと思います。JCダートは遠征帰りにもかかわらず無理をして使ったようなところがありましたが、今回は十分な間隔を開けつつ、前走をひと叩きしているだけに、東京大賞典や川崎記念と使い込んでいる馬に比べてフレッシュであることは確かです。前走のマイナス体重は心配ですが、ようやくみっちりと調教をつけられるような状況になり、走られる体つきになってきたということなのではないでしょうか。もしそうでなければ、さすがにここを使わずに、間隔を開けてドバイへ直行するはずです。ダート馬らしくないすっきりした馬体を見るにつけ、もしここを勝つようならば、ドバイでもひょっとしたらひょっとするぞ思わせられます。

サクセスブロッケンは父シンボリクリスエス、母父サンデーサイレンスと、普通に考えれば芝の長距離向きの血統です。伸びやかな馬体を見ても、芝の方が走りそうな形です。にもかかわらず、サクセスブロッケンがダートで驚異的な強さを発揮するのは、これもデピュティミニスターの血が母母父に入っているからです。母母父でこれだけの影響を与えるのですから、恐ろしいまでの遺伝力ですね。

昨年秋シーズンは、古馬の壁にぶち当たったようなレースが続きましたが、サクセスブロッケン自身がベストな状態ではなかったと思います。ダービー後に東京ダービーを使ったことが尾を引いているような気がします。完全に体調が底をついた状態で休養に入りましたので、秋までにうまく回復できていなかったことに加え、JBCクラシックでは小回りのレースで急かされるような競馬になって、馬に我慢が利かなくなってしまいました。その結果、JCダートでも、続く東京大賞典、川崎記念でも行きたがってしまい、本来の力を発揮できていないレースが続いています。ただ、馬体を見る限りにおいては、ここに来てようやく体が回復してきていますので、気持ちの余裕が取り戻せれば、歴戦の古馬にも力で見劣りすることはありません。

フェラーリピサは上記3頭と異なり、父系にデピュティミニスターの血を内包していますね。さすがにダート戦は16戦7勝で2着5回という堅実な成績です。それにしても、根岸Sは完勝でした。休み明けとは思えないほどの手応えで直線を向いて、追い出してからもしっかりと伸びていました。昨年の秋シーズンは顔面神経痛という病気で棒に振ってしまいましたが、このフェブラリーSに臨むにあたっては、かえってプラスに出るのではないかと思います。昨年の秋シーズンからずっと使い詰めで来た馬たちは調整が非常に難しいのですが、この馬は前走を叩いて、パーフェクトな体調で走れるはずです。

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サクセスブロッケンが成長している:5つ☆

キクノサリーレ →馬体を見る
パッと目を引く、馬体のメリハリとバランスの良さ。
欲を言えば、筋肉の質がやや硬いが、それ以上の迫力がある。
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サクセスブロッケン →馬体を見る
大型馬には見えないほど、全体的にしなやかでバランスが良い。
この時期にしては、毛艶も申し分なく、最高の出来でレースに臨める。
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エスポワールシチー →馬体を見る
前走時に比べて、立ち姿に力感がないのが気掛かり。
このクラスに混じると、馬体的には見劣りするのは否めない。
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カジノドライヴ →馬体を見る
およそダート馬らしくない、スッキリと見せるスマートな馬体。
成長の余地を残しつつ、フレッシュさに溢れている。
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フェラーリピサ →馬体を見る
腰高の馬体からも、スピード競馬に対する適性が窺える。
ただ、今回も出来は悪くないが、どちらかというと前走時の方が良く映った。
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ヒシカツリーダー →馬体を見る
重苦しさを感じさせる、いかにもダート馬という馬体。
筋肉量は豊富だが、ことフェブラリーSに関してはマイナスに作用する。
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バンブーエール →馬体を見る
とりたてて強調することのない、ごく平均的なオープン馬の体つき。
拳1つ分、胴が短いので、東京のマイル戦は距離が少し長いか。
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サンライズバッカス →馬体を見る
7歳を迎えても、相変わらず幼さを感じさせる立ち姿と体つき。
いかに展開が向くかだが、馬体だけを見ると、マイルの距離は少し長い。
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カネヒキリ →馬体を見る
古馬になって、馬体だけではなく、精神的にも余裕が出てきた。
もうひと絞り出来そうだが、筋肉の柔らかさは十分に伝わってくる。
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ヴァーミリアン →馬体を見る
四肢のきちんと揃った立ち姿は相変わらずで、馬体の迫力も十分。
ただ、昨年のフェブラリーS時と比べると、やや馬体に翳りが見える。
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東京ダート1600m

Tokyo1600d1

ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができるが、ほとんど枠順による差はないといってよい。ダートコースに入ってすぐの2コーナーは緩く、進路を左に変える程度のもので、実質的な第1コーナーは3コーナーとなる。そのため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。

3コーナーを回って少しペースは落ち着くが、それも束の間で、4コーナー手前から各馬の動きは激しくなる。全体的にペースが緩むところがあまりないため、先行馬(特に逃げ馬)にとっては苦しい、差し馬有利なコースである。さらに、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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ダイワスカーレットは負けていた?

Jiromaru

毎年思うのですが、有馬記念からフェブラリーSまでって本当にアッという間ですね。特に今年はダイワスカーレットの参戦が予定されていただけに、私を含めて、カネヒキリとの対決を夢にまで見ていた方はたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。おかげで今年もまた適度な緊張感を持ってフェブラリーSに臨める気がします。

引退が決定したダイワスカーレットですが、もし仮にフェブラリーSに出走してきていたとしたら、おそらく負けていたのではないかと思います。ダート適性が理由ではありません。そもそもフェブラリーSは、過去の勝ち馬や35秒台の勝ち時計を見ても、芝並みのスピードを要求される舞台ですので、ダート適性うんぬんは的外れでしょう。適性という面で言えば、スピードのコントロールが要求された有馬記念の中山2500mよりも、スピードを存分に生かせる府中のダート1600mの方がダイワスカーレット向きかもしれません。外目の枠からスタートして、2、3番手の外をジワッと進んで直線に向けば、独走もあり得たはずです。

それでも、ダイワスカーレットは負けていたと思う理由は、体調面での不安です。というのも、有馬記念でのダイワスカーレットが極限の状態に仕上がっていたからです。天皇賞秋でウオッカに悔しい負け方をして、色々な意味で、有馬記念はダイワスカーレット陣営にとって負けるわけにはいかないレースでした。ジャパンカップをパスしてまで、負けるわけない状態にまで仕上げたのです。有馬記念での、あのバケモノのような強い勝ち方を見ても、それが分かると思います。そこから一旦緩めて、わずか2ヶ月足らずで本調子に戻すのは至難の業です。万全の体調であれば、世界のどんなレースで走っても負けるシーンが思い浮かべにくいダイワスカーレットですが、さすがにG1レースで体調が悪ければ誰かに足元をすくわれていたことでしょう。

それにしても、ダイワスカーレットというのは本当に強い馬ですね。今回のように体調に不安がある場合は、何らかの形でレース前に人間に伝えてきます。「けいけん豊富な毎日」のけん♂さんは、「グラップラー刃牙」の渋川剛気セリフから、「本当の達人は危機に出会わない」と書きましたが、まさにその通りだと思います。上がり33秒台の高速決着となった桜花賞、連勝が止まった3歳時の有馬記念、そして極限に仕上げられた4歳時の有馬記念と、反動が心配されるレースの後、体調に黄色信号が灯ると、中間の過程において体のどこかに異常をきたすのです。逆に言うと、矛盾するようですが、レースに行って弱みを見せないということです。カネヒキリとの対決は見てみたかった気がしますが、もし走っていれば、戦績に傷が付いていただけに、かえって良かったのかなとも思います。初年度の配合相手はチチカステナンゴだそうですね。異端の血が重ね合わせられた恐ろしい血統ですから、繁殖牝馬としてどのような仔を出すのか本当に楽しみです。

カネヒキリは屈腱炎を克服して、昨年のJCダートで実に2年8ヶ月ぶりのG1レース勝利を成し遂げました。これだけでも十分に凄いことなのですが、さらにそこから東京大賞典、川崎記念とG1レースを3連勝してきていますので、凄いを通り越してまさに怪物です。どのレースも着差こそ僅かですが、相手が来ればまだまだ伸びる手応えでフィニッシュしています。3歳時に比べると、馬体の迫力という点では劣りますが、その反面、馬体が枯れて柔らか味が出てきているのではないでしょうか。レースに行っての地を這うような粘り強い走りは、脚元のことさえ考えなければ、芝のG1でも勝負になるのではと思わせられるくらいです。

ヴァーミリアンは昨年の秋シーズンから、どうも疲れを引きずっているような走りが続いています。さすがに2度のドバイ遠征は厳しかったのでしょう。JBCクラシックこそサクセスブロッケンをなんとか捕らえましたが、それ以降のJCダート、東京大賞典では、この馬の力を出し切れていない印象です。復活したカネヒキリに2度の敗北を喫したので、カネヒキリの方が強いと思われている)かも知れませんが、そうではありません。ヴァーミリアンもカネヒキリに負けず劣らずの能力を持っている馬です。しかし、中間の動きを見る限り、良かった頃に比べてあと一歩の感じを受けます。もちろん、スピード、スタミナ共に高い次元で融合されている馬ですので大きく崩れることは考えられませんが、絶好調の武豊騎手の手綱を持ってしても勝ち切れるかどうか疑問ですね。

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フェブラリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Feb

■1■スピードが求められる
平成14年以降、アグネスデジタル(マイルCS、天皇賞秋、安田記念など)、ゴールドアリュール(ダービー5着)、アドマイヤドン(朝日杯フューチュリティS、菊花賞4着)、メイショウボーラー(皐月賞3着、NHKマイルC3着)など、芝コースで実績のある馬の活躍が目立っている。2着馬に目を移しても、平成16年のサイレントディールはシンザン記念を制していて、平成17年のシーキングザダイヤはニュージーランドTを勝っている。ここ数年で、芝のG1戦線でも十分に勝ち負けになる実力馬の参戦、もしくは転戦により、フェブラリーSの勢力図が変化してきていることは見逃せない。

なぜ芝コースで実績のある馬が、畑違いのダートG1レースでも同じような走りを見せることができるのだろうか。もちろん、芝コースで実績のある馬は能力自体が高いのだが、それ以外の理由として以下の2つが挙げられる。

1)東京ダート1600mのコースは、スタート直後に80mほど芝コースを走るから
2)1分35秒台で決着することが多く、スピードが求められるから

1)のスタート直後の芝コースは、確かに東京ダート1600mコース独特のものである。スタート直後80mの芝部分を利して、芝実績のある馬が先手を取って流れに乗ることが出来るということである。しかし、わずかスタート直後80mの芝部分がレースの勝敗を左右するとは思えない。とすると、2)のスピードが求められるという理由の方が大きいのではないだろうか。

東京競馬場のダートコースは砂が浅いため、冬場の時期でも、それほど力のいる馬場にはならない。平成10年は勝ち時計が1分37秒5と、非常に力の必要とされる馬場であったが、さまざまな原因が重なって起こった例外的なものと考えていいだろう。

標準的な馬場であれば、オープンクラスだとマイルで1分35秒台での決着となる。これくらいの馬場状態だと、ダート戦といってもスピードがないと勝負にならず、パワーだけで勝負する生粋のダート馬にとっては苦しいレースになるだろう。スピードの絶対値が高い馬、つまり芝コースでの実績馬が活躍するのは当然といえば当然の結果である。


■2■4、5歳馬が中心
4歳   【4-6-1-36】
5歳   【6-2-3-29】
6歳   【2-1-6-49】
7歳以上【0-3-2-41】

過去12年の年齢別の成績を見てみると、4、5歳馬から勝ち馬が10頭と、若い世代が高齢馬を圧倒している。ダートは馬が痛まないので高齢まで長く好走できるのだが、極限のスピード能力が要求されるフェブラリーSでは、スピード能力の落ちてきた高齢馬のゴマカシが利かず、ある意味において篩(ふるい)に掛けられてしまうのである。

■3■1600m以上のスタミナが求められる
スタートしてから第1コーナーまでの距離が長いため、息の入らない激しい流れになることが多い。そのため、スピードだけではなく、最後の直線でバテずに踏ん張ることのできるスタミナも必要とされる。1600mという数字以上のスタミナを要求されるのは、過去の勝ち馬を見ても明らかである。前述したスピードと、それを持続するスタミナ、そのどちらを欠いてもフェブラリーステークスを制することはできない。

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安藤勝己VSルメールの対談を読んで(後編)

最後に、JRAとフランスにおける処分や降着制度の違い、そしてレースの厳しさについて2人は語る。

安藤勝己
「制度についていえば、JRAも来年度処分についての規定が変わる。その内容には、向かっている方向が違うんじゃないかと思うものがある。フランスでの処分や降着制度はどうなっているの」

ルメール
「日本とは少し違います。レース中に寄って行ったことなどはあまり問題にはなりません。日本では降着になるようなケースでもね」

安藤勝己
「そうだろうね。今年の凱旋門賞なんて、ユタカちゃんは全然競馬をさせてもらえなくて、だけど審議にもならなかったでしょう。あれがふつうなわけでしょう。日本は安全だけど、周りに気を遣うばかりで競争をしている感じじゃない。よその国に行ったら、それじゃ間に合わないよね。そういうところから来ているんだから、外国人ジョッキーにしたら日本の競馬はラクだろうね」

ルメール
「フランスに比べると、とてもイージーです(笑)。ぶつけられたくなかったら外に行けばいい」

安藤勝己
「ああ、そうか。フランスで乗るためには、ふだんからそういう競馬をしていないと難しいということだよね」

ルメール
「ええ。すごくタイトで、スペースのない競馬です。ただ、それはすごくいい経験になると思いますよ」

安藤勝己
「いい経験にはなっても、勝てないでしょう(笑)」

ルメール
「(笑)でも、僕自身はフランス競馬が好きです。そこで闘ったあとに日本へ来ると、やっぱり乗りやすい(笑)。気持ちも開放されるし、調教師の指示もないのでやりやすいし、日本のレースはいつも多頭数だからたくさんのチャンスに繋がりますしね。たとえばG1だと16頭が当たり前に走りますけど、フランスはたった5頭だったりするんです。なぜ日本の騎手は外国に行って騎乗しないのですか。僕には理解できません」

安藤勝己
「行ったって、乗せてもらえないでしょう。もし僕が調教師だったら、やっぱり地元の騎手に乗せるよ。ああいう競馬なら当然、そこに合った競馬をしないといけないからね。地方競馬も、今は中央競馬に倣って変わってきたけど、昔は勝つためには厳しい競馬で当然だった。日本の競馬はだんだん変わってきてしまったと思う。寂しいよ」

「寂しいよ」という安藤勝己騎手の言葉に、全てが集約されていると私は思う。勝つための「厳しさ」が、いつのまにか「危険」にすり替えられ、安全安心に乗ることだけが求められる。勝ちに行けば危ないと罵られ、知らないところでありもしない誹謗中傷をされる。あれもダメ、これもダメでは、勝つためにジョッキーはどうすれば良いのか。ただ馬に掴まって回ってくるだけであれば、ジョッキーはただのギャンブルの駒に成り下がってしまう。郷に入っては郷に従え、中央では中央のルールがあるのだから仕方ないと言ってしまえばそれまでだが、それではあまりにも寂しすぎる。

安藤勝己騎手がダイワスカーレットで桜花賞を勝った時、直線でウオッカの顔を鞭で叩いたという風の噂が広まったことがあった。あまり大きな声では言えないが、ジョッキーは鞭をそのような目的で使うこともある。相手の顔を叩くという意味ではなく、抜かされまいとして鞭を振るって威嚇するのである。中には、進路が開いているように見せかけて、そこに入ってきた馬の顔面にわざと鞭を振り下ろすようなジョッキーもいるかもしれないが、そこまで行ってしまうと、勝つための「厳しさ」ではなく「粗暴」な行為である。安藤勝己騎手は断じてそのようなことはしない。

しかし、後ろから追い上げて来た馬を、コーナーリングを利用して外に張るぐらいのことは平気でやる。自分が乗っている馬が大柄な牡馬で、相手の馬が小柄な牝馬であれば、馬体をぶつけるように併せに行くこともある。直線を向いて、1頭分しかスペースがなく、そこを通らないと勝てないと判断した場合は、容赦なく馬を突っ込ませるだろう。危険を伴うのかもしれないが、勝つためには必要な厳しさである。ジョッキーは、生産牧場から育成場、厩舎へと渡ったバトンを最後に受け取るアンカーである。だからこそ、命がけで勝つことを求められる。人の命が掛かっているからという論理はジョッキーの世界には通用しない。

少し話が逸れたので元に戻すと、レースにおける安全さばかりを求めると、最終的には自分たちの首を絞めてしまうことにつながるのだ。特に問題になるのは、レースにおける各馬の走る間隔だろう。これはかなり前から言われ続けてきたことだが、競馬先進国とされる欧米などに比べ、日本の競馬ではレースで馬と馬との間にスペースを開けて走らせすぎる。コースロスに対する意識が低いことが最大の原因だが、その上、危険を伴うとなればわざわざ身を削ってまで間隔を詰める意味はない。そもそも、内の馬にピッタリと併走させるだけの馬を御す技術にも欠ける。そのような競馬を続けて来たジョッキーが、突然厳しいレースの中に放り込まれて勝てるはずがない。日本でトップクラスの実績と技術を持った武豊騎手でさえ、海外のビッグレースでは競馬をさせてもらえないのだ。

今だから言おう。メイショウサムソンで負けた昨年もそうだが、あのディープインパクトで臨んだ2006年の凱旋門賞こそ典型である。好スタートを切って、内から最高のポジションを取れたはずの武豊ディープインパクトは、馬群に閉じ込められるのを嫌い、レースの流れを遮り、馬のリズムを崩してまでも、外に馬を出した。普段から厳しいレースをしていなかった武豊騎手とディープインパクトが、安心安全を求めて、日本と同じような競馬をしようとしたのは必然と言えば必然である。ただ、それでは凱旋門賞は勝てない。決して武豊騎手やディープインパクトを責めているわけではない。日本の馬は強くなり、日本人ジョッキーも少しは上手くなったが、それもまだ幻想に過ぎないということだ。昨年のスミヨン騎手とザルカヴァの凱旋門賞を観ればそれが分かる。

もちろん明るい光もある。これまで述べてきたことと矛盾するようではあるが、安藤勝己騎手のように地方から這い上がってきたジョッキーや、ルメール騎手のような外国人ジョッキーに刺激を受けて、少しずつ日本の競馬も変わってきている。先輩騎手に遠慮することなく勝ちに行ける若手ジョッキーが少しずつ現れ、中堅、ベテランジョッキーも勝ちに行かなければ勝てないと自らを動かしつつある。日本のジョッキーたちの意識が少しずつ変わりつつあるのが私には見える。いつまでもポッと来日した外国人ジョッキーに簡単に勝たれてばかりではならないだろう。世界との間には、まだまだ大きな溝が存在する。それでも、少しずつでも、その溝を埋めて行こうではないか。

関連リンク
「ガラスの競馬場」:安藤勝己VSルメール騎手の対談を読んで(前編)
「ガラスの競馬場」:安藤勝己VSルメール騎手の対談を読んで(中編)

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きさらぎ賞を当てるために知っておくべき2つのこと

Kisaragi

■1■前走は500万下組の素質馬を狙え
過去10年の優勝馬だけではなく、連対馬からもG1ウィナーを輩出しているように、クラシックへ向けての試金石となる一戦。勝ち馬の前走だけを見ると、過去10年でダートG1からが1頭(レインボーペガサス)、G3レースからが1頭(アサクサキングス)、オープンからが1頭(アグネスゴールド)と、それ以外の7頭は全て500万下レースを勝った後の連勝となっている。つまり、ここに狙いを定めて出走してくる、2歳時に無理をしなかった素質馬を狙うべきということだ。

■2■1800m以上のスタミナと持続力
ひとつだけラップ構成から垣間見えるレースの特徴がある。勝ち馬や全体のタイムはほとんど関係ないので、過去10年のラップと前後半4ハロンのタイムだけを時系列に並べてみたい(一番下が2008年のラップ)。

12.9-11.1-12.1-12.6-12.5-12.1-11.6-12.1-12.1(48.7-47.9) 平均ラップ
13.0-11.1-11.6-12.3-12.4-12.1-11.6-11.8-12.1(48.0-47.6) 平均ラップ
12.7-11.3-11.7-12.1-12.6-12.5-11.7-11.7-11.6(47.8-47.5) 平均ラップ
12.5-11.0-11.5-12.4-12.4-12.2-11.9-11.9-11.8(47.4-47.8) 平均ラップ
12.8-11.4-12.0-12.6-12.9-12.4-11.8-11.8-11.9(48.8-47.9) 平均ラップ
12.9-11.3-11.5-12.1-12.5-12.5-11.8-11.7-11.7(47.8-47.7) 平均ラップ
12.9-11.8-11.9-12.5-12.4-12.0-11.6-11.4-12.0(49.1-47.0) 後傾ラップ
12.8-11.0-11.5-12.2-12.5-12.5-11.9-11.3-11.7(47.5-47.4) 平均ラップ
12.8-11.3-12.3-12.9-12.4-12.1-11.3-11.4-12.3(49.3-47.1) 後傾ラップ
12.8-11.0-12.3-12.5-12.2-12.1-12.1-11.8-12.0(48.6-48.0) 平均ラップ

前後半のラップの差が1秒以上ない場合を平均ラップとして考えると、過去10年中で僅か2レースのみが後傾ラップとなる。それ以外の年のレースは平均ラップで流れていて、スローペースになりやすい近年の傾向を考えると、中距離としてはかなり珍しい部類のレースに入る。

なぜこのような平均的な流れになるかというと、京都1800m(外回り)というコースの形態に理由がある。京都1800mは、向う正面を延長したポケットの最深部からスタートするため、スタートから最初のコーナーまでの距離がなんと912mという長さになる。この数字を見てピンときた人はさすがだが、つまりレース全体距離の半分が最初の直線に費やされるということだ。

これだけ直線が長いと、どうしても逃げ・先行馬が息を入れずに気分良く行ってしまうため、前半部分が速くなりやすい。しかし、その代わりに後半が遅くなるかというとそうでもなく、3コーナーを回ってからゴールまでは下り一辺倒になるので、後半も同じように速い上がりでの勝負となる。つまり、全体的に淀みのないラップが刻まれ続ける、厳しいレースになるということだ。

よって、このレースを勝ち切るためにまず問われるのは、1800m以上のスタミナである。過去の勝ち馬から菊花賞馬が2頭、ダービー馬が1頭出ていることは、あながち偶然でもないだろう。そして、もうひとつ問われるのは、速いラップを長く刻み続けることの出来る持続力である。マイル戦でスピードを生かす競馬を得意とする馬や、一瞬の差し脚で勝負する馬は狙いを下げた方が賢明である。

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「ラップギア種牡馬系」 

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ご存知「ラップギア」の進化編である。続編とすべきか進化編とすべきか迷ったのだが、前作における課題が見事にクリアされているのだから、勝手ながらも進化編と銘打たせて頂いた。その課題とは、ラップギアだけでは勝ち馬が絞り切れないレースがあるということだった。たとえば、瞬発戦になりやすいレース(コース)には瞬発馬が集まりやすいということである。シンプルさゆえの弊害に過ぎないと私は思っていたのだが、なんと今回の「ラップギア種牡馬系」では、種牡馬というファクターを用いて、さらなる絞込みが行われているのだ。これを進化と言わずして何と言おう。

イメージとしては、ラップギアという白いキャンバスに、これまでは血統論者だけの領域にあった種牡馬というカラフルな絵の具をぶちまけた感じだ。その結果、ラップギアと種牡馬(血統)の世界との和合性が見事にあぶり出されている。私たちが従来持っている種牡馬の血統イメージを、種牡馬のラップ適性が裏切っていないのだ。たとえば、アグネスタキオンは瞬発戦型【瞬6平3消1】で、フレンチデピュティは平坦戦型【瞬5平4消2】、そしてサクラバクシンオーは消耗戦型【瞬2平4消4】というように、実にシンプルな表記にもかかわらず、これまで膨大な経験やデータから導き出された血統論とほとんど見事に一致するのだ。ラップギアが従来の血統論を裏付けている、と言い換えてもよい。

「優先されるのは個体の個性」という著者・岡村信将氏の考えにも私は同感する。

当たり前のことだが、瞬発戦が得意なサンデーサイレンス系にも消耗馬はいるし、消耗戦に強いミスタープロスペクター系にも瞬発馬はいる。競走馬の適性は父だけで決まるわけではなく、母系の影響を強く受けた馬もいる。アグネスタキオンが産駒に瞬発力を遺伝するからといって、すべての産駒が抜群の瞬発力を備えているわけではない。(中略)予想をする際には、「種牡馬の適性より、競走馬がすでに示している適性を優先」しなくてはならないのだ。

血統を少しかじると、まるで種牡馬や母父や~系といった血の記号が走っているように思えることがある。たとえばミスタープロスペクター系は勝てないというように、目の前を走っているサラブレッドではなく、まずは血統ありきに陥ってしまうのだ。これは大いなる錯覚である。史上最高のジョッキーの一人であるL・デットーリ騎手は、馬に初めて跨る時、血統についての情報は一切耳に入れないという。なぜなら、自分で乗ってみて感じた適性を優先したいと考えているからだ。血統は常に馬の個体の個性の後から来るべきものである。

ちなみに、種牡馬としての傾向とその馬の現役時代の適性には、かなりの関連性があるらしい。そういった観点から、新種牡馬の成否を占っているコラムが興味深かった。ゼンノロブロイの現役時代は【瞬8平4消0】。アグネスタキオンに似ていて、まさに今の時代にマッチしているようだ。【瞬11平2消0】のディープインパクトは、ラップギア的には瞬発力に偏りすぎている印象を受けるがどうだろうか。

逆にタップダンスシチーは【瞬6平12消0】であり、種牡馬としての必勝パターンからは程遠いらしい。母父サンデーサイレンスの助けを借りなければ、生き残りは難しいだろう。面白いのは【瞬3平4消5】というデュランダルである。個人的に、この馬は近年で最も柔軟な末脚を持っていた名馬だと考えているので、その数字には納得するとともに、種牡馬としての大きな可能性を秘めていると感じた。

ところで、ラップギアは突き詰めていくと、ある競馬場のあるコースのある距離において求められる適性に還元されると私は思う。大雑把に言うと、東京競馬場は直線コースが長いため瞬発戦に落ち着きやすく、中山競馬場は同じ距離であっても平坦戦~消耗戦になりやすい。短距離は消耗戦になりやすく、長距離戦になるに従って瞬発戦の色が濃くなってくる。種牡馬の血統イメージだけではなく、ラップギアは従来の私たちの競馬場やコースのイメージとも食い違うことはないのだ。

このことを煎じ詰めていくと、私たちは驚くべき結論に行き着く。わずかラスト4ハロンのラップの増減に焦点を当てた「▼7▼3△5」という簡素な記号が、私たちが知っている競馬の世界を饒舌に語っているではないか!これがラップギアという大発見の本質である。いや、もしかするともっと奥深いところにラップギアの本質はあるのかもしれない。あらゆる要素をラップギアというふるいにかけていけば、一体どのようなものが残るのだろうか。そこには私たちが見過ごしていた、コースなり種牡馬なり何なりの秘密が眠っているような気がしてならない。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:ラップギア

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Photostudが再び

Photostudの写真が再び、JRA賞授賞式のパンフレットの表紙を飾りました。ディープインパクトが引退した年以来になるので、ちょうど2年ぶりになりますね。パンフレットをスキャンしたので、少し画像が粗いかもしれませんがご覧ください。もちろん、2008年の年度代表馬であるウオッカの写真です。東京競馬場の澄んだ秋の空を背景にして、ウオッカの全身を尾の先まで切り取った構図が見事です。数分後に行われる激闘を想うと、今でも胸騒ぎがします。今年もこのようなレースと一つでも多く出会いたいですね。

Jra2008
画像をクリックすると、ほぼ原寸大で見られます。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:2006年度JRA賞授賞式

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安藤勝己VSルメールの対談を読んで(中編)

続いて、ルメール騎手に対する、安藤勝己騎手の技術論に話は及ぶ。

安藤
「彼はバランスがいいのかな。馬に対してのあたりも違う。真似しようなんて思っていないけど、持って生まれたものが違うような気がします」

ルメール
「僕自身、それは分からないけど、いいコンタクトを馬に対して取っているとは思います。馬の気持ちを感じる力があるというか…手や体で感じる感覚的なことだから説明するのは難しいな」

安藤
「僕も馬の気持ちは分かるような気がする。だけど、いい位置を取ろうとすると掛かったりする。それを外国人ジョッキーは自由に操れる。彼らの、日本人ジョッキーより優れているところだと思う。何かしら、違う部分を持っているような気がします」

安藤勝己騎手の言う“持って生まれたもの”とは、つまり練習とか訓練によっては乗り越えることの出来ない技術のことである。技術には目に見えて習得できるものとそうでないものとがあって、てっぺん(頂上)の世界では後者の有無が勝敗を隔てる。たとえば同じ馬に2人の異なるジョッキーが乗ったとして、ひとりが跨った時は全く動かず、もう一人が跨った時には別馬のように動く。客観的には同じように乗っていても、何かが違う。両者の間には、持って生まれた技術の違いが厳然と横たわっているのである。

その最たるものとして、「引っ掛からずに良い位置を取りに行けること」を安藤勝己騎手は挙げる。ジョッキーであれば誰しも、レースを有利に進められるポジションを取りたい。しかし、ほとんどのジョッキーはそれが出来ない。良い位置を取るために馬を無理に動かすと、馬に余計な気合が入ってしまい、抑えが利かなくなってしまう。たとえ良い位置は取れても、道中は馬とずっと喧嘩し通しで、直線に向いた時には既に手応えは残っていないという羽目に陥ってしまうのだ。もう少し具体的に言うと、「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」がなければ、ただ前に行っただけで終わってしまうということである。

安藤勝己騎手自身も、一昨年あたりから、今まで以上に馬をコントロールする乗り方をするようになった。日本のジョッキーによくある長手綱ではなく、ハミをガッチリと掛けながら馬を御す外国人ジョッキーのスタイルを目の当たりにして、刺激を受けたからだという。ドリームパスポートで引っ掛かって2着に破れてしまった阪神大賞典のような失敗はあっても、ダイワメジャーやダイワスカーレットなどをしっかりと御して、それ以上の大きな成功を導いた。進化を遂げた安藤勝己騎手でさえ、外国人ジョッキーは馬を自由に操れるという点において優れていると言う。

ルメール騎手がハーツクライで勝った有馬記念やリトルアマポーラで勝ったエリザベス女王杯は、まさにその典型的なレースである。これまでずっと追い込んでいた馬を先行させるのは、私たちの想像以上に難しい。スタートから馬を出して、いい位置を取りに行っているのだが、決して無理をして脚を使ってはいない。また、いつもとは違うリズムに戸惑う馬をガッチリと抑えて流れに乗せている。馬を御す技術、つまり「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」があるからこそ、前に行っているにもかかわらず、いつもと同じだけの差し脚が残っているのである。

平成17年有馬記念

ディープインパクトが唯一国内で敗れた衝撃のレース。
ルメール騎手の「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」に注目。

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共同通信杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyoudoutuusinhai

かつてはダービー馬を7頭も輩出している共同通信杯(トキノミノル記念)だが、2001年のジャングルポケットを最後にして、最近はすっかりクラシックに繋がらないレースになってしまった。ダービーの前に府中コースを走る経験というメリット以上に、厳寒期にレースを使うデメリットが嫌われ始めているということか。そもそも、クラシックを本気で狙う素質馬にとっては、始動するには早すぎ、またここで仕上げてしまっても本番で息切れしてしまうという中途半端な時期であることは否めない。

■1■先行馬有利
東京1800mコースは、ポケットから発走して157mで本線に合流する。第1コーナーまでの距離が極端に短いため、無謀なポジション争いはなく、各馬が出たままの平均ペースに流れることが多い。これが「府中の千八、展開いらず」と言われるゆえんである。とはいえ、このレベルで平均よりも遅めに流れると、前に行った馬は簡単には止まらない。力のある馬であれば差して来られるが、先行馬にとって有利なレースである。

■2■瞬発力ではなく持続力&パワー
上記のように、平均ペースで前に行った馬が粘り込むというレースになりやすい以上、ヨーイドンで瞬発力ではなく、スピードの持続力の勝負になる。ビュっと伸びるのではなく、ジワジワと良い脚をどれだけ長く続けることが出来るかが問われるレースと言ってもよいだろう。先週の東京新聞杯に比べ、サンデーサイレンス系の馬の活躍が目立たないのはそれゆえである。また、時期的に芝はやや重い状態なので、パワーに欠ける馬にとっては苦しいレースになる。スピードの持続力とパワーを兼備した馬を狙いたい。

■3■前走は1800m以上
過去10年の勝ち馬のステップレースを見ると、1600m戦からが3頭に対し、1800m以上のレースからは7頭と圧倒的に多い。ごまかしの利かない府中の1800m戦だけに、前走でマイル戦を走っていたようなマイラーではなく、長めの距離を使われてきたスタミナに支えられた馬が活躍するということだ。具体的に言うと、朝日杯フューチュリティS組ではなく、東スポ杯もしくはラジオNIKKEI杯2歳Sから臨んでくる馬を上に見たい。

平成13年共同通信杯

共同通信杯から最後のクラシック馬となったジャングルポケット。
その強烈な末脚にダービーへの夢が膨らんだ競馬ファンも多かったはず。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:幻の光

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集中連載:「調教のすべて」第25回

Tyoukyou32

次に、坂路調教における「動き」について。

坂路調教での「動き」について話を進める前に、まずは坂路コースの「時計」(タイム)について少し述べておきたい。直線を駆け上がる坂路コースは、内外における差がなく、「時計」そのものの確実性は平地のコースに比べると高い。もちろん馬場状態を加味しながらではあるが、ある程度の信頼性を持って「時計」を評価できる。速い時計で駆け上がった馬は、それだけ調子が良かったり、しっかりと負荷が掛けられたことを意味する。

しかし、「時計」はしょせん「時計」であって、実際のレースが行われるのはトラックなので、真っ直ぐに駆け上がる坂路コースの「時計」がそのまま実戦に直結するわけではない。坂路で1番時計を出すような馬が、実戦のレースに行ってあっさりと負けてしまうことなどよくある話だ。坂路調教の「時計」は直線コースを速く走れることの証明にしかすぎず、過大評価をしてはならない。「時計」が速くても「動き」が悪い馬より、「時計」が遅くても「動き」が良い馬の方が、レースに行っても良い結果を出すことが多いのだ。

坂路調教での「動き」でまず見るべきポイントは、シッカリとした脚捌きで、真っ直ぐに駆け上がってきているかどうかである。幸いなことに、私たちは坂路コースを駆け上がってくる映像を提供されるため、坂路調教での馬の左右動は見分けやすい。力強い脚取りで、坂下から頂上まで真っ直ぐに駆け上がって来られる馬は、青写真通りに調教が進んでいて、レースに向けて最高の体調で臨めることが多い。逆に、左右ジグザグにブレて走ってしまったり、どちらかにモタれて走らざるを得なかったりする馬は、それまでの調教過程にどこかしら無理があり、完調手前の体調であることが多い。

たとえば、昨年で言うと、2008年のスプリンターズSを快勝した牝馬スリープレスナイトの最終追い切りの「動き」は圧巻であった。

スプリンターズS最終追い切り
栗坂 重 上村 53.3-38.4-24.8-12.5 強め

☆実際の追い切り映像はこちら

1週間前には49秒台が出たほど、やれば時計の出る馬だけに、走りにくい重馬場であったことを差し引いても、53秒3という「時計」は平凡に映るかもしれない。しかし、シッカリとした脚捌きで、真っ直ぐに駆け上がってきた迫力満点の動きを見れば、スリープレスナイトの体調や仕上がりの良さが伝わってくる。春から夏も休まず走り続けて来たにもかかわらず、調子落ちの心配は全くないという判断が出来たのではないだろうか。いざレースでは、危なげない横綱相撲で牡馬を相手に5連勝で頂点に上り詰め、上村騎手に嬉しいG1初勝利をプレゼントした。

また、最初から速いペースで飛ばし過ぎたために、ラスト1ハロンの「時計」が掛かるケースもある。坂路調教は前半に飛ばした時のバテ方が平地調教に比べて著しいため、こうした「時計」を見て、体調が悪いと判断してしまうのは早計である。前半を飛ばせば後半にバテるのは当然といえば当然なので、たとえバテバテになっていたしても、シッカリとした脚捌きで、真っ直ぐに駆け上がって来ていれば全く問題ない。私たちが見るべきは、「時計」よりも、あくまで「動き」なのである。

(第26回に続く→)


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シルクロードSを当てるために知っておくべき3つのこと

Silkroads

■1■先行馬を狙え
開催時期が2月下旬に変更になって以降、過去9年間のラップタイムは以下のとおり。

12.1-10.6-11.1-11.5-12,0-12.2 (33.8-35.7)H
12.1-10.9-10.9-10.9-11.8-12.1 (33.9-34.8)M
12.3-10.7-10.9-11.2-11.6-12.0 (33.9-34.8)M
12.6-10.9-10.8-11.2-11.1-12.0 (34.3-34.3)M
12.5-10.8-11.1-11.1-11.2-11.9 (34.4-34.2)M
12.3-10.7-10.9-11.2-11.3-11.7 (33.9-34.2)M
12.2-11.1-11.1-11.0-11.5-12.0 (34.4-34.5)M
12.0-10.7-10.8-10.7-11.2-12.4 (33.5-34.3)M
12.3-10.6-10.8-11.2-11.9-12.3 (33.7-35.4)H

スプリント戦にしては、ハイペースになっていないことが明白である。ハイペースになったように見える2年にしても、不良とやや重馬場のために上がりが掛かっただけのこと。レースとしては、どの年も前半と後半がほとんどイーブンなペースで流れていることが分かる。

京都の1200mコースは、スタートから最初のコーナーまでの距離が316mと長くも短くもない。3コーナーの丘を越えると、あとはゴールまで下り坂が続く。さらに、内回りコースのため直線が短いこともあって、最も逃げ切りやすい芝1200mコースとなる。あらゆる条件が揃って、前に行った馬にとって有利なレースとなる。とはいえ、やはり重賞ともなると前半が速くなるので、目標にされやすい逃げ馬よりも、先行を狙うべきである。

■2■休み明けの馬は割引
厳寒期の始動戦という意味合いもあって、休み明けの一流馬たちは無理をして仕上げてはこない。その上、重いハンデを課せられるので、苦戦を強いられることになる。対して、2ヶ月以内にレースを使っている馬たちは、コンディションを維持しており、ハンデもそれほど重くはないはずで、一流馬相手にも好走が可能となる。ちなみに、開催時期が2月下旬に変更になって以来、過去9年の連対馬全ては、前走で昨年の12月以降のレースに使われていた。前走からの間隔が開きすぎている馬は割り引いて考えた方が賢明か。

■3■淀短距離S組は負けた馬に妙味あり
番組のローテーション上、淀短距離Sが最も有力なステップレースとなる。ところが、淀短距離S→シルクロードSという連勝は、昨年のファイングレイン以外にはない(それまでは2着が最高)。それは淀短距離Sが別定戦で、シルクロードSがハンデ戦であることと関係があるだろう。淀短距離Sで負けて、ハンデが軽くなったシルクロードSで勝つというパターンはこれからも続くだろうし、その逆もまた然りである。

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ジョッキーを夢見る子供たち

Jockeywoyumemiru01フランスで唯一の国立の騎手・厩務員養成の寄宿学校「ル・ムーラン・ナ・ヴォン」には、ジョッキーになることを夢見て誰もが入学してくるが、本当に夢を実現させるのはほんの一握りだけ。しかも、その中でもトップジョッキーとなれるのはまた一握り。厳しいという言葉だけでは表現できないほどの淘汰の世界で、それでもジョッキーを目指して3年間を過ごす、14歳の個性的な少年3人の青春を追ったドキュメンタリーである。

教官「素早く走らせろ。ただし脚は使うな」
少年「どういう意味だ?」

馬を走らせる訓練の中、少年は教官からこんな指示を受ける。当然、少年は教官の言葉の深い意味など知る由もない。素早く走らせなければならないにもかかわらず、脚を使ってはいけないという、まるで禅問答のような、矛盾を孕んだアドバイスに困惑する。しかし、その矛盾を乗り越えられた者こそが夢を掴むのだ。ある者は、生まれ持った素質を生かしてその矛盾に立ち向かって行く。ある者は、矛盾を抱えながら自分の目指している世界を疑い始める。ある者は、矛盾に押し潰されそうになりながらも好きだからこそしがみついていく。最後には誰がチャンピオンになるのか、誰も分からない。

映画のワンシーンで、昨年の暮れにエリザベス女王杯とJCダートを制したフランスのクリストフ・ルメール騎手が登場する。騎手の卵たちが凱旋門賞を観戦に行った際に、あこがれのトップジョッキーにサインをしてもらう場面である。かつてペリエ騎手が、フランスではジョッキーなどほとんど無名なので街を歩いていても誰も気づかない、と語っていたことを思い出した。これだけの伝統に支えられたフランスの競馬でもそうなのかと落胆した記憶がある。それでも、ジョッキーを目指す少年たちにとって、凱旋門賞に騎乗するようなジョッキーは憧れの存在なのである。少年は憧れを通して成長する。

ドキュメンタリーという性格上、私たちの心を躍らせる感動のラストシーンやどんでん返しなどは用意されていない。そこにあるのは、小さな挫折であったり、儚い恋心であったり、眠さと戦う少年たちの精神や肉体であったりする。そんな一つひとつのシーンを通して、私たちは自分たちがかつて乗り越えてきた(もしくは乗り越えられなかった)試練を思い出しながらも、これからの少年たちの未来を応援する。そして、いつしか私たちは自分自身の未来を応援していることに気が付く。自分の子どもの未来を応援する人もいるだろう。私たちはいつまでも夢を追い続ける少年なのだ。1等賞になれなくても、人生は続く。

■「ジョッキーを夢見る子供たち」オフィシャルHPはこちら
Jockeywoyumemiru
現在、渋谷でしか上映されていないのは残念ですが、
オフィシャルHP内の「STORY」をご覧頂くだけでもかなり堪能できると思います。

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