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ジョッキーを夢見る子供たち

Jockeywoyumemiru01フランスで唯一の国立の騎手・厩務員養成の寄宿学校「ル・ムーラン・ナ・ヴォン」には、ジョッキーになることを夢見て誰もが入学してくるが、本当に夢を実現させるのはほんの一握りだけ。しかも、その中でもトップジョッキーとなれるのはまた一握り。厳しいという言葉だけでは表現できないほどの淘汰の世界で、それでもジョッキーを目指して3年間を過ごす、14歳の個性的な少年3人の青春を追ったドキュメンタリーである。

教官「素早く走らせろ。ただし脚は使うな」
少年「どういう意味だ?」

馬を走らせる訓練の中、少年は教官からこんな指示を受ける。当然、少年は教官の言葉の深い意味など知る由もない。素早く走らせなければならないにもかかわらず、脚を使ってはいけないという、まるで禅問答のような、矛盾を孕んだアドバイスに困惑する。しかし、その矛盾を乗り越えられた者こそが夢を掴むのだ。ある者は、生まれ持った素質を生かしてその矛盾に立ち向かって行く。ある者は、矛盾を抱えながら自分の目指している世界を疑い始める。ある者は、矛盾に押し潰されそうになりながらも好きだからこそしがみついていく。最後には誰がチャンピオンになるのか、誰も分からない。

映画のワンシーンで、昨年の暮れにエリザベス女王杯とJCダートを制したフランスのクリストフ・ルメール騎手が登場する。騎手の卵たちが凱旋門賞を観戦に行った際に、あこがれのトップジョッキーにサインをしてもらう場面である。かつてペリエ騎手が、フランスではジョッキーなどほとんど無名なので街を歩いていても誰も気づかない、と語っていたことを思い出した。これだけの伝統に支えられたフランスの競馬でもそうなのかと落胆した記憶がある。それでも、ジョッキーを目指す少年たちにとって、凱旋門賞に騎乗するようなジョッキーは憧れの存在なのである。少年は憧れを通して成長する。

ドキュメンタリーという性格上、私たちの心を躍らせる感動のラストシーンやどんでん返しなどは用意されていない。そこにあるのは、小さな挫折であったり、儚い恋心であったり、眠さと戦う少年たちの精神や肉体であったりする。そんな一つひとつのシーンを通して、私たちは自分たちがかつて乗り越えてきた(もしくは乗り越えられなかった)試練を思い出しながらも、これからの少年たちの未来を応援する。そして、いつしか私たちは自分自身の未来を応援していることに気が付く。自分の子どもの未来を応援する人もいるだろう。私たちはいつまでも夢を追い続ける少年なのだ。1等賞になれなくても、人生は続く。

■「ジョッキーを夢見る子供たち」オフィシャルHPはこちら
Jockeywoyumemiru
現在、渋谷でしか上映されていないのは残念ですが、
オフィシャルHP内の「STORY」をご覧頂くだけでもかなり堪能できると思います。

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