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安藤勝己VSルメールの対談を読んで(中編)

続いて、ルメール騎手に対する、安藤勝己騎手の技術論に話は及ぶ。

安藤
「彼はバランスがいいのかな。馬に対してのあたりも違う。真似しようなんて思っていないけど、持って生まれたものが違うような気がします」

ルメール
「僕自身、それは分からないけど、いいコンタクトを馬に対して取っているとは思います。馬の気持ちを感じる力があるというか…手や体で感じる感覚的なことだから説明するのは難しいな」

安藤
「僕も馬の気持ちは分かるような気がする。だけど、いい位置を取ろうとすると掛かったりする。それを外国人ジョッキーは自由に操れる。彼らの、日本人ジョッキーより優れているところだと思う。何かしら、違う部分を持っているような気がします」

安藤勝己騎手の言う“持って生まれたもの”とは、つまり練習とか訓練によっては乗り越えることの出来ない技術のことである。技術には目に見えて習得できるものとそうでないものとがあって、てっぺん(頂上)の世界では後者の有無が勝敗を隔てる。たとえば同じ馬に2人の異なるジョッキーが乗ったとして、ひとりが跨った時は全く動かず、もう一人が跨った時には別馬のように動く。客観的には同じように乗っていても、何かが違う。両者の間には、持って生まれた技術の違いが厳然と横たわっているのである。

その最たるものとして、「引っ掛からずに良い位置を取りに行けること」を安藤勝己騎手は挙げる。ジョッキーであれば誰しも、レースを有利に進められるポジションを取りたい。しかし、ほとんどのジョッキーはそれが出来ない。良い位置を取るために馬を無理に動かすと、馬に余計な気合が入ってしまい、抑えが利かなくなってしまう。たとえ良い位置は取れても、道中は馬とずっと喧嘩し通しで、直線に向いた時には既に手応えは残っていないという羽目に陥ってしまうのだ。もう少し具体的に言うと、「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」がなければ、ただ前に行っただけで終わってしまうということである。

安藤勝己騎手自身も、一昨年あたりから、今まで以上に馬をコントロールする乗り方をするようになった。日本のジョッキーによくある長手綱ではなく、ハミをガッチリと掛けながら馬を御す外国人ジョッキーのスタイルを目の当たりにして、刺激を受けたからだという。ドリームパスポートで引っ掛かって2着に破れてしまった阪神大賞典のような失敗はあっても、ダイワメジャーやダイワスカーレットなどをしっかりと御して、それ以上の大きな成功を導いた。進化を遂げた安藤勝己騎手でさえ、外国人ジョッキーは馬を自由に操れるという点において優れていると言う。

ルメール騎手がハーツクライで勝った有馬記念やリトルアマポーラで勝ったエリザベス女王杯は、まさにその典型的なレースである。これまでずっと追い込んでいた馬を先行させるのは、私たちの想像以上に難しい。スタートから馬を出して、いい位置を取りに行っているのだが、決して無理をして脚を使ってはいない。また、いつもとは違うリズムに戸惑う馬をガッチリと抑えて流れに乗せている。馬を御す技術、つまり「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」があるからこそ、前に行っているにもかかわらず、いつもと同じだけの差し脚が残っているのである。

平成17年有馬記念

ディープインパクトが唯一国内で敗れた衝撃のレース。
ルメール騎手の「脚を使わせないように先行する技術」と「馬を抑える技術」に注目。

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Comments

なるほど。
私はデムーロの飛行機乗りの様なバランスと馬との一体になる騎乗というのが、大きい気がしますね。

安藤勝騎手は、確かドバイ遠征した時に自分の騎乗の甘さ=日本の競馬の甘さをコメントした。
あれから彼の騎乗が変わった気がする。

位置取りにしても戦いである。と。
その昔、田原成貴原作の「ありゃまこりゃま」で
岡部騎手をもじって出てきたキャラとの争いで
「騎手としての表の技術も一級品なら、裏の技術も一級品」という様な台詞があった。

今の騎手には裏の技術が足りない気がしました。

Posted by: はやひで | February 09, 2009 at 12:30 PM

はやひでさん

こんにちは。

あの飛行機ポーズも簡単には出来ないみたいですね。

たぶん普通のジョッキーがやったら落ちますよ。

ディープスカイから落ちた四位騎手みたいに(笑)。

海外に出ていくことは、あらゆる意味で刺激になり、勉強になりますね。

日本のジョッキーは恵まれているのですから、どんどん苦しいところに出ていって欲しいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 09, 2009 at 12:49 PM

競馬の全てが好きなんですね。
ブログ見てると感じます。
これからもがんばってください。応援しています。

最近の競馬、騎手4~5割越え 馬6割
安勝さんも年ですががんばって欲しいです。

Posted by: ハシッテホシーノ | February 09, 2009 at 11:59 PM

ハシッテホシーノさん

はじめまして。

競馬の全てが好きですね。

私の全てが競馬なのかもしれませんが(笑)

私も最近は騎手と馬は同じくらいの比率で考えています。

安藤さんの騎乗はあと何年観られるか分かりませんが、1日でも長く魅せて欲しいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 10, 2009 at 12:13 AM

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