人の気持ちは、馬にも伝わる
by Photostud
皐月賞2009-観戦記-
4月開催最終週の傷んで重い馬場で、前半1000mが59秒1という速いペース。特に、スタートしてから最初のコーナーを回り切るまでの2ハロンの攻防が凄まじかった。皐月賞は前に行った馬が圧倒的に有利、というジョッキーや関係者の意識の総和が飽和点に達した結果、レースは誰もが想像した以上の激流となった。4コーナー手前から、抑えきれなくなった武豊リーチザクラウンが早めに動き、それをマークしていた有力馬も動き始めたこともハイペースに輪をかけた。そのため、前に行った組と後ろから行った組が、前半と後半でそっくり入れ替わる、典型的な前潰れのレースとなった。
勝ったアンライバルドは、後ろからレースを進めた組の中では、力が一枚上であった。4コーナーで馬群から一気に抜け切った脚はさすがだが、先行勢がバテて後ろに下がって来た瞬間と重なってのものだけに、過大評価は禁物である。アンライバルドにとっては、ハイペースを外枠からスムーズに追走できたこともプラスに働いた。こういった厳しい流れの方が、かえって気難しさを出さないものである。この馬としては未完成の部分が多い中で、完成度を問われる皐月賞をこのような形で勝てたことは大きい。矛盾するようではあるが、この時期の3歳馬はレースごと、いや日々成長しているのだ。
ここぞという場面での、岩田康誠騎手の勝負強さも光った。何と言っても、第1コーナーまでの間にハイペースを見切って、位置取りを下げた判断が素晴らしい。スタートから出して行ったので、前々で攻めるつもりだったのだろうが、他馬の出方やペースを瞬時に察知して、迷いもなく手綱を引いた。幾多の実戦によって培われたものなのか、レース前にかなりのシュミレーションをしていたのか、それともその両方なのか。いずれにせよ、一瞬で判断をして行動するという、ジョッキーに不可欠な要素を持っている。
2着に突っ込んだトライアンフマーチは、前崩れの展開が見事に嵌った。抑える競馬を教えてきたことが好走につながったと言えなくもないが、まず何よりも前が勝手に潰れてくれたということであろう。今回の結果を額面どおりに受けることは出来ないが、この馬も競走馬として成長する余白をまだまだ残しているだけに、将来は大きいところを狙える器であることは間違いない。父サンデー系、母父ダンシングブレーヴはこれからのトレンドになっていくだろう。
圧倒的な1番人気に推されたロジユニヴァースは、4コーナー手前ですでに手応えがなくなり、まさかの大敗を喫してしまった。見た目以上に速い流れを、終始、追いかけてしまったこともあるが、敗因はそれだけではないだろう。最大の敗因は、馬の体調と気持ちがピークを越していたということに尽きる。5連勝することの難しさ、さらに言えば、無敗の馬を扱うことの難しさが、本番を迎えてモロに出てしまった。負けられないという人の気持ちは、馬にも伝わるものである。陣営が思っていた以上に仕上がってしまっていた弥生賞のピークの状態を、残念ながら皐月賞まで維持することが結果的に出来なかったということだろう。体調と気持ちが下降線を辿った末の敗北だけに、横山典弘騎手のダービー初制覇に黄色信号が灯った。
案の定というか、リーチザクラウンは中途半端なレースをしてしまった。大外枠を引いてしまったことが仇となり、押すでもなく引くでもない、皐月賞を勝てるでもないダービーにつながるでもない、悩ましいレースであった。いくら能力があっても、最初からあれだけ力んで走ってしまうと、最後まで到底持たない。前の馬を追っかけてしまう真面目すぎる気性ゆえに、走りに遊びがなくなっている。体型的には距離が伸びて悪いはずがないのだが、ダービーに向けて精神面での課題を残した。

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ダイワスカーレット有馬記念
Comments
トライアンフマーチからしこたま馬券を買ってたのですが・・・。。
(;´Д`)
アンライバルド強かったですね。ただおっしゃる通り前崩れに乗じての部分もありますので、過信は禁物ですね。早め抜け出しの競馬だけにダービー向けかどうかもちょっと判断しかねます。
トライアンフマーチも前崩れのお陰という感じですが、外をブン回してあそこまで来てますし、若葉Sも直線前が詰まっての2着ですから力はあります。
同じ若葉S組ベストメンバーが前目につけた馬の中では最後まで残ってますので、今年の若葉S2頭は力があるのでは無いでしょうか?
ロジですが、小頭数の競馬が続き4コーナー先頭の様な競馬を続けてきただけに、あの流れになってごちゃつくと駄目だったのかも知れません。
もちろん、馬体減もあって体調もよろしく無かったのでしょうね。ただ、調教を見る限りでは雄大なストライドで調子オチには見えなかったのですが・・・。。
まぁ、あのストライドは中山向きでは無い様な気もしますが・・・。
リーチはあの気性で大外が災いしましたね。
内枠を引いて馬群でじっくり待機出来れば・・・・
ダービーは逃げるつもりみたいですが、私は抑えた方が良いと思うんですよねー・・・・。。
益々ダービーが難しい・・・。。
Posted by: はやひで | April 22, 2009 at 08:29 AM
こんばんは、SW産駒贔屓のzourockです。
ブエナビスタのところでコメントせずに、皐月賞回顧記事を楽しみに待っていました(笑)
クラウン倒れて、マーチが来たので悲喜交々といったところですが、
やはりリーチザクラウンに期待するところが大きかったので残念です。
「真面目過ぎる」といくぶん好意的な評価でしたが、そういう意味では
ロジユニバースも臨戦過程のレースですでにテンションを真面目に
上げ過ぎたのかな、と評論を拝見していて思いました。
だとすると本当の大物は、心身に遊びがあってなお勝てる馬ということになりますか。
無論ダービーでのマーチ・クラウンの活躍を期待ですし、
ライバルとしてロジユニバースの巻き返しも楽しみですが、
アンライバルドも遊びという点ではまだ評価が固まってないような。
そこでブエナビスタの牝馬らしからぬ“大物”度合いに一層楽しみが増します。
牡馬クラシックがなんとも混戦なだけに、この先、牡馬ないしは
古馬との対戦を迎えるまで、ぜひとも勢いを保ってもらいたいですね~ (z)
Posted by: zourock | April 22, 2009 at 09:30 PM
はやひでさん
こんばんは。
トライアンフマーチからなんてさすがですね。
私は母父ダンシングブレーヴ以外の買う理由を、この馬に見つけることが出来ませんでした(笑)
シェーンヴァルトが来ているような競馬ですから、後ろから突っ込んだというよりも、前が全部いなくなったと解釈した方がよい気もします。
その中では、もちろんアンライバルドが強い競馬をしましたが。
ロジユニヴァースはおっしゃるように、最終追い切りの動きは良く、あそこまでは体調に問題がなかったように感じました。
ただ当日の雰囲気を見ても、あの結果を見ても、直前でガクッと状態が落ちたと考えるしかないのでしょう。
そういうことは普通にあるでしょうし。
陣営はなんとも不甲斐ない思いをしているに違いありません。
リーチに関しては私も同意見で、ダービーに出てくるならば、抑えて最後方から行った方がいいと思います。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 23, 2009 at 02:00 AM
zourockさん
こんばんは。
スペシャルウィーク贔屓のzourockさんにとって、今年の春は楽しくて仕方ないのではないでしょうか。
おっしゃる通り、ロジユニヴァースも陣営の真面目というプレッシャーが伝わってしまったようですね。
アンライバルドに関しては、真面目さは感じないのですが、幼さというか、間違った方向に行ってしまいそうな遊びがあるような気がします。
これからどのような形で収束していくのか、楽しみで仕方ありません。
それにしても、ブエナビスタは強いですね。
ダービーに出てくれば面白いのではと秘かに思っています。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 23, 2009 at 02:04 AM