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針の穴を通せ

Jiromaru

オグリキャップが有馬記念を勝った年に競馬を始めた私にとって、トウカイテイオーの勝ったダービーが初めてのダービーでした。トウカイテイオーがあまりにも悠々と勝ってしまったので、あの時はダービーの重みが分かりませんでしたが、競馬と共に歳月を過ごせば過ごすほど、ダービーという言葉が重くのしかかってきます。毎年生まれる1万頭近いサラブレッドの中から、たった1頭だけが頂点に立つことができる一生に一度のレース。競馬に携わるものであれば、誰もが一度は夢見る檜舞台。今年もまた眠れない夜を過ごすことになりそうです。

さて、ルドルフおやじさん、オークスに続いてお手紙ありがとうございます。今年のダービーは役者が揃いましたね。どの馬が先頭でゴール板を駆け抜けても、どのジョッキーが勝利の拳を握り締めても、ドラマチックな結末になりそうな予感がします。

まずは皐月賞馬アンライバルドについて。レース毎に成長していて、ダービーで堂々の1番人気に推されるまで上り詰めました。ただ正直に言うと、ここまでの馬になるとは想像すらしていませんでした。馬を観る人が観れば、アンライバルドにはこの血統に特有の馬体の幼さや気性的な心配があることが分かります。能力の高さは疑いようがないのですが、それを発揮することを妨げる潜在的な悪さや弱さが見え隠れしている馬です。伝説の新馬戦を勝ち、あたかもエリート街道をそのまま走ってきたようにも見えますが、そうではないでしょう。

アンライバルドに関わる全ての人々が、この馬の潜在的な悪さや弱さを出さないよう、慎重に慎重を重ねてケアしてきた結果がここに繋がっているのです。離乳から始まり、仔別れ、馴致、トレセンへの運動、そして入厩に至るまで、ひとりひとりの愛情がこの馬を最高の形でダービーに導いたのです。道を分けた選択もたくさんあったのではないでしょうか。たとえば、京都2歳を3着に破れたのち、もし友道調教師がラジオNIKKEI杯にアンライバルドを出走させていたとしたら、勝っても負けても、おそらく別の馬になってしまっていた可能性もあると思います。それぐらい表裏一体の馬ということです。1番人気のオッズが示しているほど、陣営は簡単に勝てるとは思っていないはずです。

岩田康誠騎手の手綱が担ってきた役割も少なくありません。アンライバルドの走ったどのレースを観ても、先につながるように、技術の限りを尽くしてゴールまで持ってきていることが分かります。運に恵まれた部分も確かにありますが、アンライバルドが走ることを嫌いにならないよう、その時点での力を出し切れるよう、馬にレースを教えながら導いてきました。田原成貴元ジョッキーは、「針の穴を通すようなレース」と表現していましたね。かつては馬を壊すなどと揶揄された時代を乗り越えて、ようやくここまでたどり着きました。もしこの難しい馬でダービーを勝つことが出来れば、喜びもひとしおでしょう。

皐月賞でスキャンダラスな惨敗を喫したロジユニヴァースも巻き返してくるはずです。「サラ系」として蔑まれた母系なんですね。もう一度書きますが、この馬の皐月賞の敗因は、無敗で連勝してきたことによる人間のプレッシャーが馬にも伝わってしまったことに尽きます。負けられない、負けたくないという陣営の気持ちがロジユニヴァースに伝わり、思わず早く仕上がってしまい、ピークを保っていた精神状態がちょうど皐月賞前にプッツリいってしまったのでしょう。

ただ、変な言い方ですが、あそこで大敗を喫して良かったと思います。下手に食い下がって余力を使い果たしてしまうよりも、底をついた状態からの方がダービーに向けての回復が望めるからです。あれから6週間の間に、少しずつコップに水が溜まってきているはずです。そもそも、2歳時に2度関西に輸送して圧勝してきた馬ですから、その素質は一級品であることに疑いの余地はありません。連勝が途切れた馬が巻き返すのは極めて難しいことなのですが、横山典弘騎手の言うように、この馬の生命力、回復力、成長力に賭けたいと思います。

リーチザクラウンも巻き返しが期待できます。大跳びの馬だけに、小回りの中山競馬場よりも、伸び伸びと走れる府中の方が合うことは間違いありません。無理して行かせることのない枠を引きましたし、前半はひたすら折り合いに専念するはずです。体がグニャグニャしていて、実が入ってこれから強くなる馬だと思いますが、この馬の走りが出来れば、直線ではあわやというシーンを作ることもあるかもしれません。気楽に乗って一発を狙ってくる武豊騎手は怖いですね。

アプレザンレーヴは、内田博幸騎手が最高に上手く乗って、どこまで来ることが出来るでしょうか。青葉賞を勝った父シンボリクリスエスと同じ道を歩んできていますが、父の方がこの時期の完成度は高かったですね。私のイメージとしては、同じ藤沢和雄厩舎のゼンノロブロイと同じぐらいではないでしょうか。皐月賞組と比べると、やはり完成度という点で劣る気がします。それでもダービーはネオユニヴァースの2着なのですが。それから全然関係ないかもしれないのですが、実はこの馬は芦毛なのですね。芦毛は私の中でキーワードなので、そういった意味では2着候補としては注目しています。

今年もダービーを見ることができて、ありがとうと私も言いたいです。
感謝の意を込めて、ダービーの印を打ちたいと思います。

◎アンライバルド
○リーチザクラウン
▲ロジユニヴァース
△アプレザンレーヴ

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「馬券のヒント」が本になりました。

Cover02

お待たせしました!ついに「馬券のヒント」が本になりました。「馬券のヒント」は、2006年にメルマガ配信を開始し、100のヒント(馬券戦術)を100日連続で皆さまにお届けしたものです。期間限定、しかもバックナンバーを公開しておりませんでしたので、「最初の100のヒントを教えて欲しい」という要望をたくさんの方々から頂戴しておりました。ほぼ3年越しになりますが、新たなヒントやコラムを加え、加筆修正して、皆さまにお分けします。

全90ページ(!)の中に、治郎丸敬之が数々の実戦を通して手に入れてきた知恵を詰め込んでみました。もちろん、これらはあくまでもヒントであり、絶対的なものではありませんが、明日からでもすぐに使っていただけるノウハウとなっています。馬券に迷ったり、困ったりした時に、手助けになるツールとして使っていただければ、これ以上に嬉しいことはありません。

今回の書籍化にあたって、編集を手伝っていただいたGachalingoさん、写真を提供してくれたedeさん、そして縁を取り持っていただいたたまバスさんのおかげで、最高の形で書籍を作り上げることができました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

馬券のヒントの無料サンプルはこちらからご覧ください↓
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以下、メルマガ読者の方々からの、「馬券のヒント」に対する感想の一部を紹介させていただきます。

私は全く気づいてませんでした
馬券のヒントですが、楽しく読ませていただいています。始まって、第1回のメルマガが届いた時は、短っ!というのが第一印象でした(爆)。いつもの治郎丸さんの文章を読みなれているからでしょうね。いちばんあーなるほどと思わされたのは、「牝馬が夏に活躍する本当の理由」ですかね。平坦だから、というしっかりとした答えがあるにも関わらず、私は全く気づいてませんでしたからね。まさに目から鱗でした。「予想して馬券を買う専門家は?」と「競馬は無限なり、個を立てよ」はこれからも教訓として忘れないようにしたいと思います。
KAWABATAさん

さっそく私の馬券術にも取り入れていきたい
「馬券のヒント」楽しく拝見しておりました。途中からの購読でしたがとても参考になりました。東京競馬場の排水システムは知っていたつもりですが、インコースから乾いていくのは盲点でした。さっそく私の馬券術にも取り入れていきたいと思います。この記事につきましては、私の記事とともに後にブログの方で紹介させていただきます。(もちろん出典を明記した上で)馬券のヒントの方は一時充電なさるそうですが、ブログの方も楽しみにしております。

衝撃的でした
「馬券のヒント」が終了ということで、本当にご苦労様でした。始めは100件が非常に長いと思っていたのですが、終わってしまうとけっこうアッという間であったような気がします。さて、「馬券のヒント」での感想をお伝えしたいと思います。ざっと見渡して思い浮かんだのは以下の2つです。「馬のウォーキング」と「逃げ馬の法則」です。まず、馬のウォーキングは始めの頃に、「パドックで順番どおりに歩けない馬は消し。」ということを全く考えたことも無かったので、衝撃的でした。今では自然に順番を気にして見ています。次に逃げ馬の法則です。つい最近までは追い込み馬のかっこ良さに魅せられて馬券を買っていた部分がありました。しかし、最近になって「なぜわざわざ後方からレースさせて、コースロスさせてまで外を回るのだろう?」「前にいた方が楽じゃないか?」という素朴な疑問があったので、逃げ馬という言葉にピンと来て選びました。でも、やみくもに逃げ馬が良いわけでは無いし、と悩んでいた中での内容であったので今後参考にしたいと思っています。
K.Tさん

「へ~そうなんだ」といった事ばかり
いつも馬券のヒントを読ませていただいております。毎回「へ~そうなんだ」といった事ばかりで、最近は秋競馬も始まり自分の競馬の予想に「馬券のヒント」に書いてあるような事も組み込みながらやってます。とにかく、ためになるし、いろいろと勉強になる事ばかりでこれからも、がんばってください!
Geselさん

引出しの多さに頭が下がりました
馬券のヒント100配信お疲れ様でした。そして、これだけのヒントを出せる治郎丸さんの引出しの多さに頭が下がりました。ヒント自体はシンプルなんですが、こういう基礎的な考えの集積が的中の閃きになると思いました。例えばヒント95は菊花賞のアドマイヤメインの取り捨てには有効でしたね。わたしの悩みは馬券の買い方でしたが、予想に自信がでれば馬券種に左右されなくなるんじゃないかと最近は思うようになりました。
OGINOさん

ロジカルな考え方には感服
メルマガ「馬券のヒント」を読ませていただいてます。治郎丸さんの競馬に対する観察眼とロジカルな考え方には感服いたします。まさに「馬券のヒント」として活用させてもらっています。「決断」とは自分が選び取った状況に腹をくくること。これは、競馬だけにとどまらず素晴らしい表現だと思います。
kzhrさん

はっと気づかされるコメント
いつも「馬券のヒント」楽しく読んでいます!はっと気づかされるコメントから、つい忘れがちになってしまっていたことなどなど本当に参考になっています。ただ毎週2~3通くらいだと適量で復習も容易な気がします(私の場合は保存してあるのをたまに見返すので)。それではこれからもよろしくお願いいたします!!
HARADAさん

あげればキリがないほど参考になりました
治郎丸さんの引き出しの多さに改めて感心しきり、の毎日でした。終了してしまうのは残念ですが第2弾に期待してお待ちいたしております。個人的に励まされたのは037号。2歳馬について手探りで考察している中、持ち時計を利用することに効果があるという考え方を裏打ちしてもらったので安心?しました(^^;まだ始まったばかりの06新馬戦線ですが期待できそうな馬をこれからも探していきたいと思います。他にも斤量の話だとかあげればキリがないほど参考になりました。本当にありがとうございますm(__)mこれからもよろしくお願いいたします。
KENさん

ホースレースのバイブル
第1回から100回まで継続のご苦労考えると、そんなに簡単なことではなかったことと思いますが、本当にご苦労様でした。そして有難うございました。 これからも私のホースレースのバイブルとして大切に保管したいと思ってます。「自分にしか買えない馬券を買うこと。」これに尽きます。 自分の馬券に対する意思の反映は如実に出ますね。 私も悩みに悩んで結局無難な買い方をして、何度も悔しい思いをしています。もちろん、それで結果当たったこともありますが、100%納得できず、もやもやは必ず後まで残ります。馬券は自分の信念をもって、これからも潔く行きたいと思っています。 そのことが治郎丸さんから強くメッセージとして伝わってきました。それにしても、秋華賞はお見事でした。 自分の意を忠実に反映し、分析に裏づけされた結論を断固貫いた結果だと思います。私の馬券スタイルもこんな風にありたいと、共感いたしました。
MATUOさん

馬券のヒント、恐るべし
メルマガ楽しく読ませて頂きました。ありがとうございました。非常に勉強になりましたし、勝ち馬券を得るためには色々と考えなくてはならないのだなと、改めて思いました。馬券のヒントの中で私が一番、心に響いたのは【牝馬が夏に活躍する本当の理由】ですね。シーイズトウショウが函館で勝てるのにスプリンターズSで勝てない(もちろん相手の強さが違うなどもあると思いますが・・・)理由がはっきりとわかりました。また、【芦毛の馬の買い時】というのも【牝馬が夏に活躍する本当の理由】ほどではありませんがとても頭の中に残っています。今年の神戸新聞杯のフサイチリシャール(結果的には距離適正などもあったのか、馬券に絡むことは出来なかったですが)の激走はまさにこの通りでしたね。治郎丸さんの馬券のヒント、恐るべし、と思いました。
AKOさん

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「馬券のヒント」(全90ページ)を1260円(税込み、送料、代引き無料)でお分けいたします。数量限定(在庫限り)になりますので、ご希望の方は今すぐお申し込みください

プライバシーポリシー特定商取引に基づく表記もご覧ください。

お申し込み方法
Step1メールフォームにてお申し込みをしてください。
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です
*個人情報を第三者に開示をすることは決してありません。
Step2お申し込み確認メールが届きます。
Step3お届け先住所に書籍「馬券のヒント」が届きます。
*代金引換ですので、書籍をお受け取りの際に料金はお支払いください。

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質問メールも受け付け致します。この本をお読みいただいて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしありましたらメールにてドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご質問、ご感想お待ちしております。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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東京2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。 以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

枠順に関して、内と外でそれほど差はない。ただし1コーナーでゴチャつくことがあるので、内枠の馬は不利を受けることがたまにある。そういった面では、内より多少なりとも外の方がレースはしやすい。たとえ大外枠であっても全く問題はない。かえって他馬の動きを見て行けるためレースはしやすいかもしれない。

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ダービーなのに5つ☆該当なし

アイアンルック →馬体を見る
前走時に比べ、体調的にはほぼ変化なし。
胴詰まりの体型ではないし、距離延長自体に不安はない。
Pad4star

アプレザンレーヴ →馬体を見る
幼さを残す馬体だが、大物感は伝わってくる。
雰囲気は似ているが、まだ父のダービー時の域には達していない。
Pad3star

アンライバルド →馬体を見る
全身に力が漲り、頑丈そうな馬体を相変わらずキープしている。
気になるのは、一戦ごとに疲れた表情を見せるようになってきていることのみ。
Pad4star

ケイアイライジン →馬体を見る
アバラも浮き上がり、筋肉のメリハリも良く、仕上がりは申し分ない。
ただ、全体のバランスが良すぎて、かえって迫力不足に映る。
Pad3star

シェーンヴァルト →馬体を見る
2歳時から大きな成長がなく、メリハリに欠ける馬体。
前走は展開に恵まれたが、このメンバーに入ってはさすがに苦戦を強いられそう。
Pad2star

ジョーカプチーノ →馬体を見る
コロンと映った前走に比べ、馬体全体に少し伸びが出てきている。
見た限りでは、前走の反動はなく、距離延長もなんとかこなせそう。
Pad4star

セイウンワンダー →馬体を見る
この馬も2歳時から大きな変化はなく、元々の好馬体を維持している。
マイルのG1を勝っているが、チャンピンディスタンスでも心配はない。
Pad3star

トライアンフマーチ →馬体を見る
使い込まれて調子が上がってきたのか、ここに来て活力に溢れている。
幼さを随所に残すが、はちきれんばかりの好馬体は将来性を大いに感じさせる。
Pad4star

フィフスペトル →馬体を見る
前走の疲れが残っているのか、いつもの筋骨隆々の馬体が薄く見える。
そのことがかえって距離延長に対する希望にも繋がるのだが。
Pad3star

ブレイクランアウト →馬体を見る
鍛え上げられた、まさに鎧をまとったかのような好馬体を誇る。
パワー勝負なら臨むところだが、距離延長は微妙か。
Pad3star

リーチザクラウン →馬体を見る
実際に走ると良く見せるが、立ち姿から未完成さは否めない。
もう少し後肢に筋肉が付いてくると、さらに強くなるだろう。
Pad3star

ロジユニヴァース →馬体を見る
僅かにトモに物足りなさはあっても、前走と変わらないバランスの良い馬体。
皐月賞で下降線を辿ってしまった体調が、なんとか回復してきている様子。
Pad4star

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アプレザンレーヴは次代の競馬を担っていく血統

Rudolf

こんにちは。
今年は録画でダービー観戦かな、と思って残念がっていたところ、なんたる僥倖!
出張がキャンセルになって、今年も馬券を握りしめて観戦できるようになりました。
うれしいです。
ただ、これでもう運を遣い果した気もしないではない。・・たぶん馬券ははずれるなあ。
というわけでダービー出走予定馬の短評をば急いで書いてしまいました!

ロジU。
皐月賞での敗戦はまさにスキャンダルな敗戦でした。堕ちた偶像、大いなる挫折、そんな感じの敗北かな。この母系は今はきちんとサラブレッドと認められているんですが、40年ほど前までは、血統書がなくていわゆる「サラ系」として蔑まれた母系なんです。プリンスリーギフトが流行した時代に、その直仔のソーブレスドという種牡馬が輸入されたのを覚えていますか?確かなスピードをもった母系なのですが、「サラ系」ということで誰にも見向きもされなかった。あの馬もロジUの母系から出てました。So blessed(たいそう祝福されたる)という名が悲しいですな。

やるせないロジUの敗北。何が災いしたのかなあ?2歳にして2度の関西遠征、ちと過酷だったかもしれない。その2度目の遠征の2歳Sがあまりに激しいレースで消耗度が大きかったのかもしれない。短期放牧で立て直されたというが、角居調教師などは短期放牧の効用を認めていないという・・。この手の血は良くないことをいっぱい手繰り寄せる・・・うーむ。

Uライバルド。
ソーブレスドと同時期に輸入された種牡馬にサンプリンスという馬がいました。この馬も種牡馬としては失敗しました。しかし、こちらは英国の至宝といっていいほどの良血!なかでもこの血統から出たサンプリンセスは、12馬身差でオークスを圧勝した伝説的な名牝であります。彼女の娘にバレークイーンというのがいて・・・ここからはもう書く必要はありませんね。奇跡の馬Fコンコルドを筆頭に、リンカーン、ヴィクトリー、ボーンキング・・・・両手の指でも数え切れないほどの活躍馬がこの血統から出ています。

四白流星のUライバルドはまさに、プリンスとプリンセスの中で育った貴公子ですね。うらやまのしいたけである。ちなみにUライバルドの父親のネオやレディーパステルもこの一族から出ています。この血統の魅力は単なる良血のボンボンを生まないところにあるんですな。Uライバルドにはそうした荒々しい、有無を言わせぬ血が唸っているように思えてなりません。雨のスプリングSを圧勝したあの強さはこの血の良さがもたらしたものです。

リーチザC。
並の世代だったら、この馬が5連勝で皐月賞馬になっていたはずです。そうはいかの○○玉!デビュー戦でUライバルやビスタに出会ってしまったのがケチのつき始め。Uライバルドに負けたせいで2歳S前に1戦多く走るはめになってしまった。狂った歯車はなかなか元にはもどらぬものです。ただ、母系は6クラウンズから出ている非常に勢いのある血で捨てがたい魅力のある馬です。

トライアンフマーチ。
この馬の皐月賞2着をもって、日本の血統用語に「クインナルビー系」という言葉を加えてもいいでしょう。クインナルビーは牝馬のクラシックには縁はなかった馬ですが、天皇賞1着、ダービー、菊花賞3着など牡馬を相手に華々しい活躍をした女傑ですね。レダなど、この世代の牝馬を牝馬最強世代という人もいます。クインナルビーを起点に、オグリキャップ、オグリローマン、キョウエイマーチに、このTマーチ、ぽつぽつと怖い馬を出しています。3着の穴候補といった評価でしょうか。

セイウンワンダー。
この馬を侮ってはいけませんよ。この馬によって名門サンキスト系は完全復活を果たしました。Mサムソンとは同系になります。成長力と底力ならこの馬だと思います。岩田Jもこの馬を捨てるのに悩んだはずです。久々に朝日杯の王者がダービー馬になるかもしれません。

ナカヤマフェスタ。
タイキブリザードを出す良血ですね。しかし、この血統がダービーを勝てるのかなあといつも疑問に思っています。捨てようと思っているのでおやじにとって怖い1頭です。

ベストメンバー。
ブルリーの出ている血統ですが、これは良血とはいいません。日本ではチョーカイキャロルを出した血統です。タフで強い血統です。あっ、骨折したのですね、残念。

デルフォイ。
シックスセンス、スペルバインドの弟。走っていますねえ。この血統!出走可能であればベストメンバーよりもこちらに魅力を感じます。

ジョーカプチーノ。
スタミナをスピードと切れ味に転換する父、Mカフェの本質を体現したような馬です。母系もスピードがかった血統です。何としてもダービーには参加してみたかったのでしょうか。感心しません。

ブレイクランアウト。
NHKを勝てなかった馬がダービーを勝てるのかと考えればほんの少し穴で押さえればよい程度の馬かなと思えてきます。母系に代々気難しい馬が配されているのも気になります。

アイアンルック。
この馬もあまり買いかぶらないほうがいい馬なのかもしれませんね。

フィフスペトル。
遠く遠く遡れば上のルックと同系ですが、こちらはネバーベンドやボールドリーズンの出た本流。NHKカップ組ではこれが大穴、あめ雨ふれ降れ、といったところですか。

ケイアイライジング。
種牡馬、ホットスパークやライジングライトの出る血統です。父がゴーンウェスト系というのに興味をそそられます。上のフィフスとどっちを買うんだと問われればこっち!

アントニオバローズ。
今年の闘魂はこの馬です。この前の手紙で書いたとおり配合のお手本のような馬!拍手、パチパチパチ。慎重にそっとそっと乗っていただければひょっとひょっとするかもしれないほどのいい馬なのですが、騎手が大胆に乗っちゃうので・・・うーむ残念。秋のマイルCSに乞うご期待!1,2,3あなうまダーッ!

シェーンヴァルト。
これぞ、良血馬。古くは米3冠馬ギャラントフォックス、最近ではトリプティックやジェネラスなど途切れることなく活躍馬を出す血統です。配合もいいですねえ!うむ、うむ、明らかに東京コースで走ります、といった配合です。それでいて皐月賞4着です。まぐれだ、恵まれた4着だとなめてかかったら、泣きをみるかもしれません。切れ味勝負になったときの穴馬です。

マッハヴェロシティー。
Mボーラーの出ている血統です。残念ですが、この馬は父Mカフェの魅力を受け継いでいないような気がします。

トップカミング。
その名とは裏腹のMr3着。しかし、ありがとう、ありがとう。君こそ、この不況下の星だ、エースだ!どんな場合でもきちんと走って己の仕事をする。うむ、うむなるほど血統も地味だな。この馬が3着に負けたときの1、2着馬からダービー馬がでるかも・・・・しれない。因みに、ダービーに関係ありそうな馬を挙げておくと、BRアウト、Aバローズ、Tマーチ、Mヴェロシティー、そしてアプレザンレーヴ。

アプレザンレーヴ。
この血統は次代の競馬を担っていく血統だと思います。母のレーヴドスカーはバレークイーンのように血を広げていける基礎牝馬です。しかし、昨年の暮れ、娘のレーヴダムールが亡くなったのはこの血にとって大きな痛手でした。貴重な後継牝馬を早くもなくした!ダムール!覚えていますか?阪神JFでは1頭だけ際立って強い競馬をしてましたね。わずか1戦1勝の経験で臨んだG1で3角からまくる競馬をしたのだから大したものでした。弟のAレーヴも体力まかせの荒々しい競馬をしてますね。レースが終わるたびに次のレースではもっと強い競馬ができるという期待を抱かせてくれます。

レベルの高いダービーをまた見ることが出来て幸せです。
20万人の人が府中に訪れるとすれば、20万のダービー物語がつむがれます。おやじはアプレザンレーヴとアンライバルドの新旧良血馬の血の物語を見たいと思っています。

◎アプレザンレーヴ
○アンライバルド

2頭をホイールにして、Sワンダー、Aバローズ、Tマーチ、KIライジング、Tカミング、シェーンヴァルトの6頭へ3連複。

ことしもダービーを見ることができて、ありがとう、と大声で誰かに言いたい。

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明るい未来しか見えない

Oaks09 by Deliberation
オークス2009-観戦記-
前夜から降り続いた雨の影響もほとんどなく、わずかに水分を含んだ走りやすい良馬場でレースは行われた。ヴィーヴァヴォドカが先導して作り出したペースは、前半1000mが61秒0というオークスらしいスローな流れ。当然のことながら、レースは直線に向いてからの瞬発力勝負となり、桜花賞組が再び上位を独占した。桜花賞が新阪神1600mコースで行われるようになってから、緩やかな上り坂を間に挟んだ長い直線という共通項が生まれ、桜花賞とオークスはかつてほどの垣根がなくなった。

勝ったブエナビスタは、決して有利な流れとは言えない中、大外を回して、それでもなんとか届いた。先頭に立つと気を抜いてしまう馬とはいえ、さすがに今回はそんな余裕はなかった。スタートから馬の行く気に任せてポジションを決め、道中はジッとして、4コーナーに向けて少しずつ差を詰めていく。おそらく安藤勝己騎手のイメージどおりの競馬だったはずだが、レッドディザイアのしぶとさだけは思っていた以上だったのではないか。また、凱旋門賞を含めた先々を見据えた競馬をしようと、馬群を突き抜ける競馬を試みようか、もしくは安全に外を回そうかというジョッキーのレベルの高い迷いがわずかに見えた。最後は計ったように差し切ってみせたが、薄氷を踏む勝利であったに違いない。

そんな人間側の思惑や動揺とは裏腹に、ブエナビスタ自身は飄々としたものであった。初輸送、初めての競馬場にもかかわらず、パドックから返し馬に至るまで、全く入れ込むところがなかった。この辺りの気持ちの余裕は、父スペシャルウィークから受け継いだものだろう。武豊騎手がスペシャルウィークを評して、「飄々としていて、明るい未来しか想像できない」と語っていたことを思い出した。私もブエナビスタには明るい未来しか見えない。

レッドディザイアは、究極の仕上がりがそのままレースでも生きた。休み明けだった前走と違い、今回は鍛え抜かれての出走だっただけに、別馬のように筋肉が盛り上がっていた。そのことがかえって距離に対して不安を抱かせたが、私の杞憂に終わった。内枠からそのまま競馬を進め、最短距離を最高のタイミングで抜け出した四位騎手の騎乗も見事であった。完璧に乗って、それでも交わされたのだから、勝った馬が強かったという言葉で慰めるしかないだろう。

ジェルミナルも桜花賞の走りをそのままオークスに持ち込んだ。3頭出しの藤原英昭厩舎では最も完成度の高い馬が、その力を最大限に発揮してみせた。福永祐一騎手もソツなく乗った。2着馬とは3馬身も離されている以上、どう乗っても勝ち負けにはならず、悔いはないだろう。同厩舎でアグネスタキオン産駒のブロードストリートも、現時点でのこの馬なりの力を出し切っている。ワイドサファイアは残念な結果(放馬による競走除外)になってしまったが、走っていれば3頭が掲示板を独占していたかもしれない。藤原英昭調教師の仕上げの手腕はここでも光っている。

ディアジーナは不向きな瞬発力勝負になってしまったが、それでも5着に入ったあたり、能力の高さを証明した。もう少し持続力を問われるレースになれば、また違った結果が出たに違いない。ダノンベルベールとハシッテホシーノは、3歳春のアグネスタキオン産駒によくある線の細さがあり、G1レベルのレースでは、もうひとつパンチ力が足りない印象を受けた。

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ダービーを当てるために知っておくべき3つのこと

Derby

■1■乗り替わりは大きなデメリット
「すべての牡馬は生まれた直後から、ダービーを獲るという目標に向かって育てられる」と言っても過言ではない。すべての馴致、育成、調教という点は、ダービーに向かって線でつながっているのである。その線上において、騎手が実戦のレースにおいて競馬を教えていくという役割は大きい。道中を走るリズム、息を入れるタイミングを教え、馬群の中で走ること、馬群を割ることに対する恐怖を取り除くなど、レースをうまく運ぶためのコツを教えていくのは騎手の役割である。

それゆえだろうか、ダービーで乗り替わりがあった馬は、これまでに勝ったことがない。過去12年間で【0・5・3・63】という散々たる結果である。このデータだけを取っても、デビューから競馬を教えてきた騎手が、本番であるダービーで乗り替わることに、どれだけのデメリットがあるかが分かるはずである。

また、連対に絡んだ4頭の内訳は、平成13年のダンツフレーム、平成14年のシンボリクリスエス、平成16年のハーツクライ、平成18年のアドマイヤメイン、平成19年のアサクサキングスとなる。アドマイヤメインとアサクサキングスを除いて、乗り替わり前の騎手が騎乗する馬に、乗り替わられた馬が先着していないということは面白い事実である。

たとえば、平成14年のシンボリクリスエスは武豊騎手から岡部騎手に乗り替わったが、武豊騎手はタニノギムレットでダービーを制した。また、平成16年のハーツクライは安藤勝己騎手から横山典騎手に乗り替わったが、安藤騎手はキングカメハメハでダービーを勝った。このように、ある騎手が乗り替わる前の馬に、乗り替わった後の馬が先着したことはない。つまり、ダービーを勝つような馬は、どんなことがあってもジョッキーが手放すことはない、もしくは手を離れることはないということである。注)平成13年のダンツフレームの藤田騎手はダービーに騎乗していない。

■2■経験を積んだベテランジョッキー
過去の勝利騎手のほとんどは、経験を積んだベテランジョッキーである。あの武豊騎手でさえ12年もかかったように、ダービーを勝つことは他のG1レースとは比べものにならないほど難しいことなのである。円熟した騎手が活躍している理由として、

1、ダービーという異様な雰囲気の中で、平常心で騎乗できる精神力が求められる
2、ダービーを勝つためには騎手としてのあらゆる経験を生かさなければならない

ということが考えられる。 それ以前に、ダービーを獲れるだけの器の馬を依頼されなければならないし、多数を依頼された場合には、その中からダービーを勝てそうな馬を選択していかなければならない。つまり、ジョッキーとしてのあらゆる技術や経験が求められることになるのである。だからこそ、ダービーというレースは一朝一夕で勝てるはずはなく、騎手にとっても憧れのレースとなり得るのである。

■3■皐月賞からの直行組
ダービーでは皐月賞からの直行組が好走することが多い。直行組以外としては、以下の2つのパターンが考えられる。

1)皐月賞のあとにトライアルレースをはさんだ馬
2)別路線組

最近の傾向として、1)の皐月賞からダービーの間にレースをはさむ馬は少なくなってきている。ほとんどの有力馬がダービーに直行し余力を残している中で、トライアルを使うということは、それだけで十分なディスアドバンテージになるからである。それでも敢えてトライアルを使うとすれば、本番のダービーでは勝負にならないことを見越した上でのことであり、メンバーが落ちるトライアルで賞金を確実に稼ごうという意図が読み取れる。実力的にも足りず、余力も残っていない馬が、本番であるダービーで好走することが難しいことは想像に難くない。

2)の別路線組では、最近ではNHKマイルカップか青葉賞を勝ってきた馬の活躍が目立つ。NHKマイルカップからはキングカメハメハとディープスカイという大物が出ているように、決して相性の悪いレースではない。府中のマイル戦を勝ち切れるスタミナがあれば、2400mもこなせるということである。今後も注目のステップレースとなるには違いないが、中2週というローテーションを考えると、皐月賞からの直行組に軍配が上がるだろう。

また、青葉賞からは古いところではエアダブリンが、最近ではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、アドマイヤメインが本番でも好走している。同条件を勝ってきた馬なので当然といえば当然なのだが、完成度がやっと追いついてきたという素質馬が多い。しかし、まだダービーの勝ち馬が出ていないのも事実である。

結論としては、1)のパターンは本番のダービーでは勝負にならず、狙うとすれば2)のパターンということになる。ただし、勝ち馬に限って言えば、皐月賞からの直行組を狙うのが定石だろう。

■参考データとして
1、前走G1レース(皐月賞かNHKマイルカップ)以外で負けている馬は×
2、2000m以上未経験の馬は×
3、前2走で連対なしの馬は×

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馬が空を

Jiromaru

ルドルフおやじさん、久しぶりの長いお手紙ありがとうございます。お元気そうで何よりです。先週で終わってしまいましたが、プレミアムギャラリーに来て欲しかったなあ。でも仕方ありませんよね。東京競馬場だけではなく、小倉そして全国の競馬場で開催できる日が、いつか来ることを願います。そう、全てはつながっているのですから。

それでは、今回お越しいただけなかった方々のためにも、展覧会の様子を報告させていただきます。雰囲気が少しでも伝わるといいなあ。

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「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた名馬たち」は5月2日~5月17日までの間、東京競馬場フジビュースタンドの3Fセンターコート内で行われました。ウオッカを中心に、東京競馬場で活躍した馬たちの写真とエッセイが12点、絵画が11点という内容でした。写真はPhotostud、絵画は武藤きすいさん、そして、主宰はグリーンチャンネルでもお馴染みの浅野靖典さんでした。

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浅野靖典さんからのあいさつ文です。
今回は様々な面で支えていただき、本当にありがとうございました。

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本馬場からスタンドやパドックへと行き来する往来の多い場所でした。

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非常に多くの競馬ファンに観ていただくことが出来ました。

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モノクロの格好いいレース写真ですね。「死闘」というタイトルをつけました。

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ウオッカとダイワスカーレットが愛くるしく描かれています。
個人的に大好きだった絵です。

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写真とエッセイが融合して、最も人気の高かった作品のひとつです。

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ウッドバーニングという製法を採っているそうです。
ブエナビスタの父スペシャルウィークですね。

ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。おかげさまで、とても楽しい6日間を送ることが出来ました。さすがに全ての作品を紹介することは出来ませんが、私のエッセイはこれからも少しずつ紹介していきますので、楽しみにしていてください。今回は2003年天皇賞秋のシンボリクリスエスについて書いたエッセイです。

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「空飛ぶ馬」として最も有名なのはディープインパクトだと思いますが、私の中では、シンボリクリスエスが最初に観た「空飛ぶ馬」です。今となっては、シンボリクリスエスとディープインパクトでは飛び方に違いがあることが分かります。シンボリクリスエスは、他馬がバテて失速した瞬間に、自身のエンジンが掛かり、高く大きく跳んだことで、あたかも飛んだように見えたのでした。対照的にディープインパクトは、低く深く跳ぶ走り方の馬でした。跳びは大きいのですが、低く深く跳ぶため一完歩に要する時間が短いのです。よって、他馬よりも速く遠くへ走ることが出来たのです。

ブエナビスタも明らかにディープインパクトに似た走り方をする馬です。低く深く跳ぶ走り方です。他馬と同じようにもしくはゆっくりと走っているように見えて、実は速く遠くへ進んでいるのです。桜花賞の時、私が「脚が速い」と称したのはこのことですね。普通に走った時のスピードが他馬とは違うということです。この真似するのが極めて難しい走り方をする2頭(ディープインパクトとブエナビスタ)を見ると、どちらも薄くコンパクトな馬体をしていますね。ずんぐりムックリの馬体では、筋肉が邪魔をして、低く走ることが出来ないのかもしれません。

当然のことながら、ブエナビスタにも危険な点はあります。それは前走で33秒台の豪脚を使って勝ったということです。安藤勝己騎手はオークスを意識した完璧な勝ち方をしたのですが、結果的にはラスト3ハロンで33秒台の脚を使うことになってしまいました。そうしなければ勝てなかったわけです。大外を回ってあれだけ鮮やかな勝ち方をしてしまうと、並の馬であれば肉体的な反動が出てしまいます。次走で人気になって飛びやすい(この場合負けてしまうという意味)、典型的なパターンです。

ただし、ブエナビスタは並の馬ではないかもしれません。彼女にとっての33秒台は、もしかすると他の馬の34秒台なのかもしれませんね。実は、ディープインパクトは、私の知る限りにおいて、33秒台の脚を使っても反動がこない唯一無二の馬でした。そう考えると、このオークスがブエナビスタにとっての最初の関門になるような気がしてなりません。果たして、シンボリクリスエス、ディープインパクトにつぐ、「空飛ぶ馬」になれるのでしょうか。最後の直線では安藤勝己騎手になったつもりで、手綱をワッセ、ワッセ!としごいて、ドイチェ、ドイチェ!と応援したいと思います。

ブエナビスタ以外に1頭挙げるとすれば、ワイドサファイアが面白いのではないでしょうか。もしブエナビスタに反動があって伸びあぐねるようなことがあれば、足元をすくうことができるかもしれません。外枠を引いてしまったことは悔やまれますが、そうなった以上は、最初の直線から第1コーナーにかけて、切れ込むような形でインに潜り込むしかありません。イメージとしては、レディパステルやトールポピーが勝った時のような乗り方です。岩田康誠騎手も分かっているでしょうから、隙あらばインを狙ってくるでしょう。クラシックシーズンに向けて成長するアグネスタキオン産駒ですし、折り合いさえつけば、直線ではスパッと切れるはずです。

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Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

Rudolf

前回の手紙では、ドイツ血統について書かせてもらいました。父系ではアルヒミスト系がドイツ独自の父系として繁栄していること、母系には優れているAラインがあること・・・

錬金術師という名が災いしたのか、赤軍に喰われてしまうという数奇な運命をたどったアルヒミストは、晩年になって「黒い金」という不思議な金を錬金していました。「シュバルツゴルト」ですね。彼女こそドイツ競馬史上最強の牝馬という人も多いと思います。ディアナ賞(オークス)とドイツダービーを連勝している。同時代に日本ではクリフジがダービーとオークスの両レースを勝っています。クリフジのイメージをもてばいいのでしょうか。それとも最強馬から出た最強牝馬ということで、AタキオンとDスカーレットの父娘をイメージすればいいのでしょうか。いずれにせよ、ドイツの伝説の牝馬ということで神秘的ですね。

シュバルツゴルトは残念ながら、13歳という若さで夭逝してしまいます。しかも残した牝馬はわずかに1頭。普通ならばここでこの牝系は絶たれてしまいます。ところが・・・、この「ところが」があるから、競馬で人生は救われる。

ところが、その1頭から出た「シエラザード」と「ズライカ」が黒い金脈を深く掘り進めて行きます。シエラザードの血が開花したのは80年代になってからです。ルティエという仏が育てた父系と結ばれて、凱旋門賞馬サガスがでます。この馬は降着にならなければ凱旋門を連覇していた最強クラスの馬ですが、残念なことに早世してしまいました。弟のスターリフトも仏G1馬です。さらにシエラザードの血は米でBCのスタンレーン、愛でダービー馬ザグレブとG1馬を輩出します。ザグレブは日本でコスモバルクを出します。バルクの3歳の頃の不思議な強さに黒い金脈の輝きを見ていいのかも知れませんね。

「黒い金」の血はズライカからサヨナラを経てついにエプソムダービーの頂にまで上り詰めました。スリップアンカーですね。そして頂から裾野へ、サヨナラの妹、サンタルチアの血は日本に根付いていきます。95年はドイツSラインが、アグサンを経てビワハイジを送り出し、日本で初めてG1を制した年として記憶に留めておかなくてはなりません。

そしてアグサンの妹、サトルチェンジからはMカフェ。この馬で大切なのは最強世代の菊花賞馬ということでしょう。半端な体力ではこの世代の菊花賞は勝てないのですよ。Mカフェは我が肉体のなかにその体力を留めることができない、といった風情の物凄い体力の持ち主でしたね。これこそシュバルツゴルトだ、なんて勝手に想像していたおやじです。往々にしてこの手のステイヤーはその体力をスピードや切れ味に転換して仔に伝えることがある。どうですか?Mカフェの仔はマイラーや中距離馬にいい馬が多いのではないでしょうか。桜花賞2着のMカフェ産駒、Rディザイアーが連を外すことがあるかもしれません。

この3月2日名門Aライン牝馬アーバンシーが逝きました。少し寂しい思いをしたその週末に、Sラインしかも「黒い金」の末裔、ハイジの娘ブエナビスタは英雄Dインパクトのように日本の競馬場を軽やかに飛んでみせました。2009年3月第1週にドイツAラインとSラインは交差していたんですね。

ドイツの英雄、アルヒミストが倒れて64年、この短い手紙に書いたいくつかの出来事に、治郎丸さんも、読者のみなさんもつながっていたはずです。おやじは自分がアーバンシーの馬券を握り締めたことと父親が赤軍にとらえられたということでつながっていました。

全てのことがつながっている、この週末はビスタが飛ぶ姿のなかに神秘の名馬、アルヒミストとシュバルツゴルトの姿を見つけようではありませんか。

ビスタはもしオークスを勝つことができれば凱旋門賞に挑戦するそうですね。えーでえ、えーでえ、えーでえー!なぜか大阪弁でドイツを応援したくなった。Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

今週はシュバルツカッツをギンギンに冷やして、ドイチェ、ドイチェ、ドイチェ!である。

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大きく成長してきているワイドサファイア:5つ☆

サクラローズマリー →馬体を見る
栗毛の牝馬で見栄えもするが、とにかく全体のバランスが良い。
前後肢ともにたっぷりと筋肉が付き、爆発力の高さが伝わってくる。
Pad4star

ジェルミナル →馬体を見る
2歳時に比べ、胸部に筋肉が付いたため、力強さは増した。
ただ、伸びやかさは失われ、胴が詰まってマイラー体型になっている。
Pad3star

ダノンベルベール →馬体を見る
まだ線の細い印象を受けるが、それでも少しずつ逞しさを増している。
余裕のある腹構えもよく、ここからひと絞りして巻き返しを狙っている。
Pad3star

ディアジーナ →馬体を見る
少しメリハリに欠ける馬体からは、大きなインパクトは感じさせない。
反面、スタミナに富んでいて、天性のスピードがあるということだろう。
Pad3star

デリキットピース →馬体を見る
ホワイトマズル産駒らしい、少し首の高い立ち姿が印象的。
いかにもパワー型らしい筋肉の付き方で、瞬発力勝負になると分が悪い。
Pad3star

ハシッテホシーノ →馬体を見る
このメンバーに入ると、現状において線の細さは否めない。
この体で牡馬相手に2400mを勝っているということは、気持ちが相当強いはず。
Pad3star

ブエナビスタ →馬体を見る
体全体を使って走るために余計な部分が削ぎ落とされ、毛艶も良い。
胴部が他馬よりも拳2つ分ぐらい長いことからも、距離延長は明らかにプラス。
Pad4star

ブロードストリート →馬体を見る
使われるたびに、少しずつ大人の馬体へと成長してきている。
まだ伸びシロはありそうだが、現時点では力を発揮できる状態に仕上がった。
Pad4star

レッドディザイア →馬体を見る
前走をひと叩きされて、筋肉の付き方やメリハリが大きく変わってきた。
反面、マッチョになりすぎた嫌いもあり、距離延長を考えると怖い。
Pad3star

ワイドサファイア →馬体を見る
2歳時は素質だけで走ってきたが、この馬も馬体面で大きく成長してきている。
馬体全体のバランスやメリハリも申し分なく、距離延長も不安なし。
Pad5star

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いつもウオッカが助けてくれる

Victoriamile09 by Deliberation
ヴィクトリアマイル2009-観戦記-
ショウナンラノビアが逃げた前半46秒7-後半45秒7というスローペースに、先週からの高速馬場が加わったことにより、前に行ってかつ内で脚を溜められた馬に有利なレースとなった。勝った馬は別格として、2着以下は枠順と道中の位置取りが明暗を分けた。

1分32秒4はヴィクトリアマイルのレースレコードあり、7馬身差で後続を突き放したウオッカ自身が作り出した時計と言ってよい。まるでドバイの鬱憤を晴らしたかのような完勝であった。心配された海外遠征による疲れなど微塵も見せず、ウオッカはスタートからゴールまで元気一杯に駆け抜けた。昨年時よりも肉体的には仕上がっていたが、精神的に参ってしまっていても自然な状況であっただけに、今回はウオッカの闘争心の強さがより一層際立ったレースであった。ウオッカにこれだけ本気で走られては、他の牝馬はなす術がない。歴代1位の獲得賞金女王となり、これで名実ともにエアグルーヴを超えたといってもよいだろう。

武豊騎手も、流れるように美しくウオッカをゴールまで導いた。思うように結果が出ず、自身の不調説もささやかれる中での完勝だけに、武豊騎手とはいえど失いかけていた自信やプライドを取り戻したのではないだろうか。そもそも周りのレベルが上がっただけで、武豊騎手の技術レベルが落ちているわけでも、肉体が衰えてきているわけでもない。強い馬に乗れば強い競馬が出来るのだ。「苦しいときにいつもウオッカが助けてくれる」という勝利インタビューを聞き、デビュー以来、日本の競馬を背負ってきたジョッキーの孤独と矜持を思い、少し胸が熱くなった。

2着に入ったブラボーデイジーは力を付けてきている。今回は相手が強かったとしか言いようがないが、抑え切れない手応えで先行し、最後までしっかりと走り切ったレース振りは大いに評価できる。前走は不良馬場、今回はパンパンの良馬場とまるっきり異なる条件に、これだけスムーズに対応できたことも驚きである。父から柔らかい筋肉から繰り出されるパワーを、母父から前向きな気性に乗るスピードを受け継いでいる。将来性豊かな牝馬の新星が登場した。

ショウナンラノビアはマイペースで逃げられたことが功を奏した。柴田善臣騎手が逃げると、本当にゆっくりと逃げる。これだけゆっくり逃げられるジョッキーも珍しい。肉を切らせて骨を断つという形にはならないが、今回のように力以上の結果を出すこともままある。

ウオッカの対抗と目されていたカワカミプリンセスとリトルアマポーラは、外枠が完全に仇となった。外々を回された挙句、前が止まらないペースと馬場だから、もうどうにもしようがない。さらに、カワカミプリンセスにとってもリトルアマポーラにとっては、マイル戦の瞬発力勝負では分が悪い。それでも勝ち負けできる力が備わっていなかったということでもある。

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オークスを当てるために知っておくべき3つのこと

Oaks

■1■オークスを勝つための条件
牝馬クラシックにおける、桜花賞1600m→オークス2400m→秋華賞2000mという距離の伸縮には少なからず問題点があるだろうが、実際のところ、オークスは2400m戦のレースであっても、内容(実質)的には1600m~2000m程度のものになってしまうことが多い。なぜなら、どの馬にとっても2400mは未知の距離となるため、各騎手に前半大事に乗ろうという気持ちが働き、ペースが遅くなるケースが多いからである。道中はゆっくりと行って、ラストの瞬発力勝負というレースになりがちで、そのため、オークスを勝つために条件となるのは、「スローペースに折り合える」、「瞬発力がある」という2点となる。

■2■桜花賞組が有利
また、桜花賞からの直行組の活躍が顕著なのは、桜花賞組の完成度が高いからである。スローペースに折り合うことができれば、たとえマイラーでもオークスの2400mは十分にこなせてしまう。最終的に問われるのは「絶対能力」であり、桜花賞で勝負になるだけのスピード(瞬発力を含む)、スタミナがあれば、それがそのままオークスでも十分通用してしまう。よって、別路線組よりも完成度(現時点での「絶対能力」)がはるかに高い、桜花賞組が有利になるのである。

■3■桜花賞→オークスの連覇はなぜ少ないか
ではなぜ桜花賞→オークスという連覇が少ないかというと、
1)桜花賞馬はスピードが勝っている傾向がある
2)桜花賞で力を出し尽くしている
という2点が考えられる。

桜花賞を勝つような馬は、全体的なバランスとしてスピードが勝っている傾向が強いので、「スローペースに折り合える」「瞬発力がある」のどちらかを満たしていないことが多い。もちろん完成度が高いため好走はするのだが、それだけではオークスを勝ち切ることは難しい。

さらに、桜花賞を勝つために力を出し切ってしまった馬が多く、1ヶ月半後のオークスまで体調を維持することができないことが多い。この時期の牝馬の体調は変わりやすいのである。つまり、余力を残して桜花賞を勝つか、余程能力が他馬と比べて抜けているかでないと、桜花賞→オークスという連覇は難しい。ただし、阪神競馬場の改修に伴うコース変更で、以前よりは桜花賞→オークスが連動しやすくなるだろう。

最後に言えるのは、この時期の牝馬はフケ、歯替わりなどによって体調が安定していないことが多く、仕上げが非常に難しいことに加え、展開が極端になりやすいこともあり、オークスはなかなか堅くは収まらないレースであるということである。

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ドイツ競走馬の理想像アルヒミスト

Rudolf

治郎丸さん、こんにちは。
プレミアムギャラリー!おやじも見たかったなー。
なにせ、1000里も離れて暮らしているので、下駄履きでちょいと見てこようか、とはいきません。

ブログで紹介してもらった、プレミアムギャラリーに展示された「全てがつながっている」という治郎丸さんの文に、おやじも感化されて手紙を書かせてもらっています。

おやじくらいの年になると、まさにこの世の「すべて」が輪廻のようにつながってしまって見えるんです。だから怖いことも不思議なこともない。

今回は、オークスのヒロイン、ブエナビスタとルドルフおやじがいかにつながっているかというとりとめのないお話です。

この3月2日は少しだけ悲しい日になってしまいました。というのは93年の凱旋門賞を13番人気で勝利して世界をあっといわせたアーバンシーが亡くなったからです。この年の凱旋門賞は馬券ファンにとっては地獄のようなレースでした。13番人気のアーバンシーが2着に連れてきたのが17番人気のホワイトマズルだったからです。ホワイトマズル産駒は父に似て人気薄で好走する傾向があって今でもおやじに迷惑をかけているというのはこの田舎町ではちょっとした有名な話です。

アーバンシーはレガシーワールドが勝ったJCにも招待されました。このときは10番人気。凱旋門賞以外はG3を2勝しただけの彼女が人気を集めることはありませんでした。おやじはこの低評価に胸をしめしめさせて単勝を握りしめていましたが・・・。

アーバンシーが凱旋門賞馬にふさわしい底力の持ち主だったことが証明されたのは、彼女が引退してガリレオの母となってからです。ガリレオ、21世紀のスーパーホースですね。エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージを3連続して勝つという驚天動地の偉業を成し遂げた。ガリレオということで驚天動地?

キングジョージで負かしたのが当時の最強馬の1頭、ファンタスティックライトというところも凄い。あっ、TMオペラ王やステイゴールドもFライトを負かしていますよね。日本馬も強くなったものです。

アーバンシーの底力を支えていたのはドイツ最古のそして最強の血統、Aラインだろうとおやじは思っています。ドイツ産馬は母の頭文字を仔が受け継ぐことによって、その母系がすぐにわかるようになっていますね。アーバンシー(Urban Sea)は米国産の仏調教馬ですからAの文字は継いでいないのですが、母親(Allegratta)からは代々Aの頭文字が連なっています。

母親(Allegratta)の血統図を開くとすぐにアルヒミスト(Alchimist)の4×5のクロスが目に飛び込んできます。この馬こそがドイツ競馬の歴史を体現したようなヒーローなのです。彼は1930年生まれの馬だからハイペリオンの同級生になります。3歳でウニオンレネン、ドイツダービー、ベルリン大賞などを連勝して底を見せないまま引退というのだから、ガリレオ以上の馬ですね。

このヒーローには他に類を見ない、過酷な運命が待っていました。1945年、不可侵条約を破ってドイツに侵入した赤軍はソ連にドイツの優秀な血統馬を持ち帰ろうとします。アルヒミストもその中の1頭でしたが、運悪く骨折してしまう。赤軍のクレージーなのは骨折した馬は無用ということで自分たちのお腹にいれちまったこと!この年ルドルフおやじの父親も赤軍にとっつかまっている。

しかし、アルヒミストは残した産駒から延々と自らの父系をつむいでいくのです。馬産の中心地、アイルランドやケンタッキーでNダンサー系やネイティブD系が発展するのとはわけがちがう。これはもう奇跡に他なりません。日本で最も長く続いている父系はMアサマ、Mティターン、Mマックイーンの3代ですね。アルヒミストはJCの勝ち馬ランドに至る半世紀、7代の種牡馬たちの祖になった。

例えば、アーバンシーと共にJCを走った、プラティニ(独ダービー馬)やその父ズルムーはこの父系から出ています。それにしてもランドのJCは圧倒的でしたね。逃げるTブリザードを難なくとらえて追いすがるあの、あのヒシアマゾンを1馬身半葬ってしまった。すばらしいスピードと強さ!ドイツ馬は重い馬場専用と思い込んでいたおやじにはいい勉強になりました。

そしてランドのJCから14年、あのヒシアマゾンの血統から出たAムーンがJCを勝ち、岩田騎手を男にしてやった。その男の技量と人格に感心して「全てがつながっている」と書いたのが治郎丸という男。ねっ、やはり全てはつながっていた、治郎丸さんの横には赤軍の兵士が、そしてスターリンがいたんですんな、もう怖いものなしです、がっはははは。

軽く半世紀を越えて尚、スピードとパワーを伝え続けるアルヒミストって恐ろしい種牡馬ですね。残念ながらその命脈を絶とうとしている同じ1930年生まれのハイペリオンとくらべると一層その感を強くします。では偶然奇跡的にアルヒミスト系が続いているかといえば、決してそうじゃあない。それはドイツ流の馬産によってもたらされた必然なのです。

ドイツには競走馬の理想像というものがあるようです。アルヒミストもその理想に近い1頭だと思います。理想形を未来に残すために非常に強い近親交配を行い、近親交配の限界点にたっしたときに、アイルランドや仏や米からドイツ競馬にとってどうでもいいような二流三流のNダンサーなどの血を導入して血を薄め、また理想馬の近親交配ができるようにし、未来にドイツ競走馬の理想像をバトンタッチしていく。

これを計画的にやっていくというのだから、おやじよりもドイツ人は少しおつむがいいようだ。というわけでランドにもアーバンシーにもアルヒミストの血が色濃く滲んでいる。ランドとアーバンシーの国際競争の勝利はドイツ馬産が理想を追究した結果だったのですね。(アーリア人の理想を追究したのはヒトラーだったということも忘れないでおきたいな。悪い面もあるってこと!)

おい、こら。ブエナビスタはどこへいったという、治郎丸さんの声が聞こえてきました。さすがに今回は長くなりそうです。ということで「つづく」となりました。・・・つづく

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◎マイネレーツェル

Jiromaru

ウオッカが圧倒的な人気ですね。実績や実力を考えれば当然も当然で、本当はこのあたりで負ける姿は見たくありません。馬体を見る限り、昨年のヴィクトリアマイル時に比べ、肉体的にはきっちり仕上がっていることは確かです。ただ、ウオッカは気持ちで走る傾向が強い馬ですので、もし走ること自体に嫌気が差してしまっているのであれば、昨年のようにまた他馬に足元をすくわれることもあり得るでしょう。

そもそも、ドバイに2度も遠征して、疲れが出ない馬などいないのではないでしょうか。たとえ牡馬でも、ドバイに一度遠征しただけでボロボロになって帰ってくるのですから。たとえばヴァーミリアンがドバイ遠征から帰って、秋のJBCクラシックまで、立て直すのになんと7ヶ月もかかってしまった話は有名です。世界中の最強馬たちに混じって闘うことで、肉体的にはもちろん、精神的にもボロボロになってしまうのです。さすがのヴァーミリアンも、2度目のドバイ遠征後には、気持ちが切れてしまったような凡走を繰り返しました。競走馬は気持ちで走っている部分もあるのです。

本命は4歳馬◎マイネレーツェルに打ちたいと思います。4ヶ月の休み明けになりますが、小柄な牝馬ですし、ローズSをぶっつけで勝っていますので心配ないでしょう。かえってリフレッシュされているかもしれません。前走は15着と大敗しましたが、牡馬に混じって初めてのレースでしたし、そもそも適距離ではありませんでした。フィリーズレビューを勝っているように、どちらかというとマイル以下の距離で持ち味を生かせる馬です。母父サクラユタカオーは、もはや誰の目にも留まらない名前になってしまいましたが、東京コースでこそ力を発揮する血統です。川田将雅騎手は思い切って馬を出してくるでしょうし、折り合いさえ付けば、ヴィクトリアマイルはこの馬の瞬発力を生かせる絶好の舞台になりそうですね。

同じく4歳馬のリトルアマポーラは、マイラーの体型に変化しつつあります。3歳時は線の細く、頼りない印象を受けた馬ですが、ここに来て馬体が成長して力強くなってきました。おっとりした馬ですので、気性的には距離があっても良いと思うのですが、これから古馬の牡馬と戦っていくためには、マイル前後がベストなのではないでしょうか。と前走も考えていただけに、マイラーズCの着順にはがっかりしました。内枠が走りにくかったとはいえ、もう少し頑張って欲しかったですね。休養を挟んだ割には、馬体も増えていませんでしたので、大きな上積みもないでしょう。

カワカミプリンセスはあのエリザベス女王杯以来、勝ち星から遠ざかっています。牡馬とも差のない競馬を繰り返しているように、このメンバーは力上位であることは明らかです。この馬もあとは精神面だけなのかもしれません。負け知らずで突っ走っていた3歳時の、あの闘争心というか迫力が今は感じられません。ただ、前走の産経大阪杯で変わってくる可能性はあります。かつてダンスインザムードという馬が、精神的に燃え尽きてしまったのですが、府中牝馬Sで最後方から終いだけを生かす競馬をしたことをキッカケにして、もう一度走る気が蘇ってきたというケースもあります。復活するならここかもしれません。

ザレマはあと一歩の競馬が続きますね。安藤勝己騎手が毎回調教にも跨っていることにより、この馬の仕上げ方が少しずつ分かってきているのではないでしょうか。直前もビシッと追い切って、気持ちを乗せていく方が走るタイプなのでしょう。ジョリーダンスの強襲に屈したとはいえ、前走は引っ張り切れないほどの手応えで道中を走っていて、追われてからもしっかりと伸びていました。ラストの瞬発力勝負になってしまうと分が悪いのですが、力を付けてきているだけに、流れが向けば勝ち負けに持ち込めるのではないでしょうか。

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不完全ではなく、完全燃焼

Jiromaru

いよいよウオッカが登場しますね。あの伝説の天皇賞秋以来、すでにジャパンカップとドバイで2戦を走っているのですから、本当にタフな馬です。使いながら調子を維持していく角居流とはいえ、古馬の牡馬と混じって、消耗の激しいレースをこれだけコンスタントに戦えるのは、ウオッカの肉体的な強さと精神力が並外れていることを表しています。

とはいっても、やはり前走の凡走は残念というか、気掛かりですね。現地で一度叩かれ、万全の体調で臨んだだけに、全く見せ場のなかった走りっぷりは不可解でした。もしかしたら故障してしまったのではと思わせられましたから。そうでなかったとすれば、あれほどの能力の差があるとは思えないので、ウオッカ自身が走ることに対して嫌気が差してしまったのかもと勘ぐってしまいます。牝馬の場合、競走馬から母になる日が突然訪れるものです。

ところで、東京競馬場で行われている「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた馬たち~」が、今週でフィナーレを迎えます。まだご覧になっていない方は、ぜひ東京競馬場まで足をお運びください。もちろん、お越しになれない方もいらっしゃいますので、今週はウオッカについて書いたエッセイをここに紹介したいと思います。今回はPhotostudの素晴らしい作品と一緒にご覧ください。

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たくさんの方々からアンケートを頂戴している中で、このウオッカの作品はナンバー1かナンバー2の人気です。私の友人は「ウオッカって男勝りというイメージがあったけど、こんなに優しい目をしているなんて思わなかった」と言っていました。実物のサイズで観るともっと良さが伝わるのですけどね…残念です。ちなみに、こちらの作品はターフィーショップのPhotostudコレクションとして販売されていますので、お近くのウインズや競馬場内でもご覧いただけますよ。

■ターフィー通販クラブ「Photostudコレクション」はこちら
Turfytuuhanclub


今年のヴィクトリアマイル、ウオッカは果たして完全燃焼できるのでしょうか。

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ウオッカ、仕上がりは良好:5つ☆

ウオッカ →馬体を見る
昨年のヴィクトリアマイル時と比べると、仕上がりは良好で力強い。
馬体としてはほぼ万全なだけに、心配は精神面での消耗だけか。
Pad5star

カワカミプリンセス →馬体を見る
相変わらず良く見せないが、良い意味で平行線の出来を保っている。
3歳時の迫力はないものの、安定した力を発揮してくれそう。
Pad3star

ザレマ →馬体を見る
大型馬の割に、各パーツが長いからか線が細く映る。
それゆえに、伸び伸びと走られる広い東京コースは合っているはず。
Pad3star

ジョリーダンス →馬体を見る
8歳馬とは思えない若々しさで、少なくとも前走の状態は保っている。
全体のバランスも良く、脚を溜められれば好勝負になるだろう。
Pad4star

チェレブリタ →馬体を見る
このメンバーに入ると、パンチ力不足の感は否めない。
腰高の切れで勝負する馬体だが、スローに流れれば好走も。
Pad3star

ピンクカメオ →馬体を見る
腹回りが多少緩く映るが、これはこの血統の特徴でもある。
古馬になって逞しさは増したので、あとは気持ちが戻ってくれば。
Pad4star

ブラボーデイジー →馬体を見る
芦毛だけに毛艶が分かりにくいが、フレッシュな馬体からはスピードを感じさせる。
筋肉が柔らかいので、前走の疲れも抜けているはず。
Pad4star

ムードインディゴ →馬体を見る
昨年度よりも筋肉量が増えて、逞しく成長した。
毛艶も良好で、前走を叩かれて体調は上向き。
Pad4star

リトルアマポーラ →馬体を見る
休養を挟んで、中距離から短距離馬の馬体へとシフトした。
後肢の筋肉には物足りなさを残すが、胸前は立派に成長している。
Pad4star

レジネッタ →馬体を見る
独特の立ち姿で、全体のバランスの中で首の細さが目立つ。
もう少し成長が欲しいが、この馬も前走を叩かれて体調は上向き。
Pad3star

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東京1600m

Tokyo1600t

向こう正面の直線入り口からのスタートで、第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は566mとかなり長い。スタートしてから緩い下りが続くことも加わって、前半から速いラップが刻まれることになる。“向こう正面でスピードが出てしまうこと”、“「直線が長く坂があること”の2つの理由によって、連対馬中の逃げ馬の比率が約12%という、「日本で最も差し馬が有利なコース」である。

コーナーの数が2つしかないことと、複合カーブであることによって、同じ1600mでも、中山競馬場のそれと比べるとごまかしが利かないコース設定になっている。マイル以上の「スタミナ」が要求され、スピードだけで押し切るのは難しいコースである。

スタート地点がバンク状になっているため、外枠の馬は内の馬の出方を見ながらレースを進めやすい。そういった意味では外枠が有利であるが、2002~3年の改修によって3~4コーナーのカーブが全体的に緩くなり、4コーナーでは内が開きにくくなった。そのため、後から行った馬は前が壁になるか、もしくは外を回さざるを得ない。内を通った先行馬に有利となるコースである。

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若さゆえの勝利、老獪さゆえの2着

Nhkmilec09 by fakePlace
NHKマイルC2009-観戦記-
例年、雨にたたられることが多いこのレースだが、今年の開催は好天に恵まれ、パンパンの良馬場でNHKマイルCは行われた。レコードが出るほど淀みのないペースで流れたにもかかわらず、前が止まらなかったのは、そういった馬場の影響も少なくない。また、ゲットフルマークスとジョーカプチーノが縦に並び、それ以下の隊列が固まっていたように、有力馬が後方で互いにけん制し合い金縛りにあってしまった。それにより、馬のリズムに合わせて、素直に競馬をした先行馬がそのまま残る結果となった。

勝ったジョーカプチーノは、離れた2番手という最高のポジションで競馬をすることが出来た。競り合うこともなく、他馬から目標とされることもなく、実質は楽な単騎逃げと変わらない。G1レースのマイル戦でなかなかこのようなポケットが生じることはないが、今回に限っては全てがうまく運んだ。もちろん、これだけのタイムで逃げ切ったのだから、ジョーカプチーノのスピードと成長力は認めなければならないだろう。前走のニュージーランドTでもハイペースを前で粘っていたように、今回の走りも決してフロックではない。若いジョッキーということからも、人気の盲点になっていた。

その藤岡康太騎手はデビュー3年目、2回目のG1レース挑戦にして、そのタイトルを手にしてしまった。折り合いさえつけば力を発揮してくれると信じ、ジョーカプチーノの良さを引き出すことに専心した結果、どの馬よりも先にゴールすることが出来た。若さゆえの素直さの勝利である。兄の藤岡佑介騎手よりも先にG1レースを勝ち、本人は複雑な心境だろうが、これからますます将来が楽しみなジョッキーが誕生した。

レッドスパーダも横山典弘騎手に導かれて、最高のパフォーマンスを発揮した。こういう馬場と展開を予測していたかのような先行策で、前を意識しつつ、後ろにも注意を払いながら、仕掛けのタイミングも文句なしであった。勝ち馬が若さゆえの1着ならば、この馬は老獪さゆえの2着と言うべきか。レッドスパーダ自身も馬体から走る活力が溢れていて、さすがに府中のマイル戦に強い藤沢和雄厩舎の馬だと感じさせられた。まだ成長の余白を残すだけに、1年後の安田記念が楽しみな馬である。

グランプリエンゼルが3着に食い込んで、3連単は大波乱となった。内田博幸騎手の思い切りの良さと、腕っ節の強さが光った。この馬を3着に持ってくるのだから鬼である。4着に入ったマイネルエルフも5着のフィフスペトルも、鞍上の積極策が功を奏した。一方、ワンカラットの藤岡佑介騎手は、枠順やこの馬の地脚の強さを考えても、もう少し出して行っても良かったのではないか。最下位に降着となったサンカルロも、武豊ブレイクランアウトを意識しすぎてか、道中の位置取りと仕掛けのタイミングがまずく、せっかくの好枠を生かせなかった。

ダービーを目指して臨んで来たブレイクランアウトとアイアンルックだが、いずれの末脚も不発に終わってしまった。ブレイクランアウトに関しては、絶好のスタートから好位を取れる手応えだったところを、敢えて控えてしまったことが裏目に出た。朝日杯フューチュリティSで自分から動いて最後は止まってしまった経験があるだけに、武豊騎手が自ら動けなかった気持ちもよく分かる。もちろん、共同通信杯以来ということもあって、動ける出来になかったということもあるだろう。

アイアンルックはレース前からの入れ込みが目立った。G1レースを勝つには心臓が小さいのかもしれない。道中はキッチリと折り合い、この馬のリズムで走れていたが、最後の直線に向いたところで前をカットされて万事休す。そこから追い上げてくるだけの力はなかった。どちらの馬にも言えることだが、今日のレースを見る限り、ダービー云々言えるだけの力がまだないというのが現状だろう。

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ヴィクトリアマイルを当てるために知っておくべき3つのこと

Victoriamile

■1■短距離馬がもってしまう
府中のマイル戦といえば、字ズラ以上にスタミナが要求されるレースなのだが、ことヴィクトリアマイルに関していえば、そうとは言い切れない結果が出ている。一昨年と昨年はいずれもフジキセキ産駒が勝利しているように、どちらかというとマイル以下を得意とする馬が勝ち切っているのだ。その理由はレース自体のペースにある。

12.6-11.2-11.6-12.1-12.2-11.4-11.3-11.6(47.5-46.5)S
1:34.0 ダンスインザムード
12.3-10.8-11.7-11.8-11.6-11.2-11.2-11.9(46.6-45.9)M
1:32.5 コイウタ
12.4-11.3-12.0-12.2-12.1-11.2-11.0-11.5(47.9-45.8)S
1.33.7 エイジアンウインズ

いずれのレースも前半が極端に遅くて、後半が速いという、G1レースのマイル戦では珍しい後傾ラップであることが分かる。道中で引っ掛かることや東京競馬場の長い最後のストレッチを心配して、牝馬同士であることを含め、あまりガンガンやり合うような競馬にならないからである。たとえ府中のマイル戦であっても、これだけ前半がゆったりと流れると、ラスト800mぐらいのスピード勝負になってしまう。よって、マイル以下に適性があるような短距離馬でも、なんとかもってしまうというレースになりやすいということだ。逆に言うと、こういう流れでは、マイル以上に適性のある中距離馬にとっては、出し抜けを食らいやすいレースとなる。

■2■近走で牡馬を相手に好勝負出来ていた馬
過去の勝ち馬であるダンスインザムードとコイウタに共通する条件は、「近走で牡馬を相手に勝ち負けできていた」ということである。第1回の勝ち馬ダンスインザムードは、天皇賞秋3着、マイルCS4着、マイラーズC2着と、牡馬を相手に近走で互角に走っていた。第2回の勝ち馬コイウタも前走はダービー卿チャレンジで2着に入っていた。さらに言えば、ダンスインザムードの2着したエアメサイアも、前々走の中山記念で牡馬の3着と好走していた。牝馬同士のG1レースであるがゆえ、牡馬と好勝負出来ているということの意味は大きい。

■3■関東馬有利?
さらに言うと、過去の勝ち馬であるダンスインザムードもコイウタは関東馬である。ついでに、コイウタの2着したアサヒライジングも関東馬。これだけ西高東低が叫ばれている中において、新設から2年とも関東馬による制覇というのは珍しい。今後、関西馬に巻き返されてしまうことを承知で書くと(実際に昨年は関西馬のワンツー)、やはり輸送がない分、牝馬は仕上げやすいということだろう。長距離輸送を気にすることなく、ビシッと追い切れることが、関東馬の好走に繋がっているのではないだろうか。

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申し込み受付を締め切りました。

「勝ちポジを探せ!ライブ」DVDの申し込み受付を締め切りました。お申込み頂きました皆さま、ありがとうございました。このライブでお話している内容が、皆さまの競馬人生において太い一本の補助線となれば幸いです。まずは楽しんで聴いてみてくださいね。また、質問メールも受け付けております。このライブDVDを聴いて頂いて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしございましたらメールにて遠慮なくドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご感想もお待ちしております。

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◎サンカルロ

Jiromaru

前回の手紙でキングカメハメハについて書きました。この馬によって、NHKマイルC→ダービーという変則2冠路線が確立されたのです。昨年はディープスカイが同じローテーションを踏襲して成功を収めましたが、それでもこの変則2冠が極めて難しいことに変わりはありません。良く言われることなのですが、東京のマイル戦を勝てるだけのスタミナがあれば、確かに2400mもこなせます。それぐらい、東京のマイル戦は中距離並みのスタミナが問われる舞台ということです。ただ、NHKマイルCとダービーの間には、スタミナの有無以上の大きな隔たりがあるのです。

「スピードの持続力」と「瞬発力」という隔たりです。NHKマイルCでは前者、ダービーでは後者が問われます。NHKマイルCはスピード馬が揃い、最初から最後まで息を抜く間もないペースで流れるため、スピードをいかに長く持続させるかが勝敗を分けます。ダービーは道中で脚を溜めて最後の直線でヨーイドンの勝負になるため、一瞬の切れ味がなければ勝負になりません。この2つの異なる要素を備えていないと、NHKマイルCとダービーを両方勝つことは難しいのです。今年も、NHKマイルCからダービーへ向かうチャレンジャーが現れようとしています。

まずはかつて変則2冠を成し遂げた先輩たちと同じく、毎日杯からNHKマイルCという路線を辿ってきたアイアンルックです。毎日杯の優勝馬がNHKマイルCに出走してきた場合、全ての馬が勝っているように、非常に相性の良いレースです。互いのレースで求められる資質が似ているのでしょう。その毎日杯を勝ったのですから、NHKマイルCの最有力候補に名乗りを挙げて当然ですね。大型馬で跳びの大きい馬だけに、府中コースも合っているはずです。また、脚元に少し弱いところがありましたが、最終追い切りも馬場の悪い中でもしっかりと追われていたように、もう心配はありません。小牧太騎手も腹を括って、この馬の末脚を引き出して欲しいものです。小牧太騎手にとって、橋口調教師の管理馬でG1レースを勝てる最大のチャンスかもしれません。

唯一不安な点といえば、前走が上がりだけの勝負だったことです。33秒台の末脚は強烈でしたが、ヨーイドンの競馬がハマった感もあります。過去に毎日杯を制してそのままNHKマイルを勝った馬たち(タイキフォーチュン、クロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイ)と比べると、毎日杯のレースレベル自体が高くないということです。勝ち方もそれほど圧倒的ではありませんでした。やっぱり、特にクロフネやキングカメハメハ、ディープスカイはもう強烈な勝ち方でしたから。アイアンルックは1200mの新馬戦を圧勝しているように、腰高の馬体を見ても、どちらかというとスピードの勝った馬だと思います。つまり、スピードを持続させるスタミナの裏づけが物足りないということです。

続いて、NHKマイルCからダービーを目指すことを公言しているブレイクランアウトです。前走の共同通信杯は、朝日杯FSの悔しさを晴らすかのような、スカッとする勝ち方でした。小回りの中山競馬場よりも、広々とした府中コースの方が力を発揮しやすいですね。馬体を見ても、マイル戦よりも距離が伸びて良さそうです。また、スマートストライク×フレンチデピュティという典型的なアメリカ血統で、前走では強烈な瞬発力を使ったように見えますが、スピードの持続力を問われるようなレースでこそ、さらに本領を発揮するのではないでしょうか。ただ、休み明けと外枠が気になって評価を下げました。外枠という点で言えば、キングカメハメハ産駒のフィフスぺトルも同じくです。

桜花賞から直行してきたワンカラットは牝馬ですが、この時期のマイル戦であれば、牝馬と牡馬との差はほとんどありません。前走の桜花賞は、外枠からスムーズに進められた馬にとって有利なレースでした。そんな中、馬群の内を走らされながらも最後は4着を死守したところに、この馬の奥の深さが垣間見えました。一介のスピード馬ではないのかもしれません。内枠から上手く流れに乗れて、ペースが少し落ち着くようなレースになれば、この馬にもチャンスは十分にあるでしょう。藤岡佑介騎手の初G1勝利も期待できます。

最後に本命は◎サンカルロに打ちます。前走は非常にスムーズに走ることが出来たこともあり、着差以上の楽勝でした。ゴール前では耳を立てるほど、余裕がありましたね。1800mでスローに流れたスプリングSでは乗りにくそうでしたが、速い流れになったマイルの前走はキッチリ折り合っていました。推進意欲の高い馬ですが、吉田豊騎手抑える競馬を丁寧に教えてきた成果が出ています。この馬自身はマイル戦がベストですね。今回も好枠を引きましたので、内でうまく脚をタメることができれば、直線で真っ先に抜け出して来られるのではないでしょうか。

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脱・人間中心の予想へ

Livedvdimg

競馬好きが100人いれば、100通りの予想があるべきだと思う。自分の頭で考え、決断されたものであれば、たとえ当たっても外れても、そこには何ものにも代えがたい喜びがあるはずだ。もちろん、悔しさややり切れなさが残る場合もあるだろうが、そういうことを含めて、全てが競馬の喜びにつながる。どんな予想をしようとも、私たちは自由なのである。

しかし、予想法となると話は別である。100通りの予想法があって良いかというと、素直には頷けない。本当はこんなこと書きたくはないのだが、あまりにも自由な予想法が巷に溢れすぎている。コンピューターを駆使したものから占いまがいのものまで、まさに自由闊達、言いたい放題である。これは競馬というゲームの複雑さや豊穣さもあるが、競馬予想界の未熟さの表れでもあると思う。

必勝法のゴールドラッシュから始まり、現代に至るまで、ほとんどの予想法はあくまでも人間中心であった。勝ち馬や2着に入る馬を“当てる” という発想から生まれてきた予想法だからこそ、人間に大幅な自由が与えられる。しかし、競馬というゲームの構造を考えると、本当は私たちに自由などほとんどないのではないだろうか。本来、競馬の予想は不自由なものである。そのことに気付いたのは、ごく最近のことだ。

たとえば、詰め将棋を解くにあたって、上段者の駒の動きは、伸び伸びとして非常に自由に見える。しかし、当人は、一手の間違いも許されない、ギリギリの状況の中で指している(もし間違うと詰まない)。まるで最後の王手から一本の線を辿るように、一手一手を慎重に逆算し、深い読みを積み上げていく。そこに一切の人間の自由はない。もちろん実戦となると未知の領域に入って行くのだが、一本の線を探していくという思考過程は同じである。

反対に、下段者の駒の動きはぎこちなく映る。自分の好きなように駒を動かすことができるのだが、私のヘボ将棋がそうであるように、それは恐ろしく筋違いの悪手であることが大半である(たまたま最善手であることもある)。本物の自由はそこにはない。

何だか抽象的な話になってしまったが、私が言いたかったことは、人間中心の予想はもう限界に来ているということである。<人間-競馬>の関係を逆転させなければならないのだ。個人を超えたところに、競馬の法則はあるのだ。ゴールからスタートまで辿る一本の補助線に寄り添うことが出来て初めて、私たちは本物の自由を手にすることが出来るのだ。

「勝ちポジを探せ!ライブ」では、そんな大きなテーマを実戦的かつ分かりやすく話しました。「勝ちポジを探せ!ライブ」DVDは残りわずかです!

Livedvdimg

Disc1(95分)
■デットーリポジション
■勝つためのポジション(基本ポジション)
■動物学的な観点からの『勝ちポジ』とは?
■安藤勝己騎手のこだわりがビリーヴを勝たせた
■なぜ各馬が自分のペースで走ることでレースは成り立たないのか?
■サンデーサイレンス産駒と武豊時代の終焉
■馬単、3連単の時代だからこそ
■川田将雅騎手、藤岡佑介騎手ら若手ジョッキーの台頭
■内田博幸騎手など、地方から来た一流ジョッキーは持たせてしまう
■「勝ちポジ」予想の手順
■買えなかったブラックホークの単勝馬券
■「勝ちポジ」を探すための4つのポイント
■伝説の福永洋一騎手のマジックも実は勝ちポジだった!?
■三浦皇成の上手さはここにあり
■菊花賞はデルタブルースポジション

Disc2(65分)
■勝ちポジを走る馬を探すための3大要素
■岩田康誠騎手の天才論
■武豊騎手がヴァーミリアンで「勝ちポジ」を取りに行った!(武豊の逆襲)
■馬の体調と「勝ちポジ」との密接な関係
■岡部幸雄騎手とジェニュインの『勝ちポジ』
■菊花賞馬が天皇賞春を勝てない本当の理由
■レースを見ることの本当の意味
■横山典弘騎手がなかなかG1を勝てないのはなぜ?
■武豊騎手の悪い癖
■質疑応答(Q&A)

ライブDVDの内容は、DVD2枚組(合計160分)と当日使用した資料(レジュメ)になります。今回、DVDという形を取ったのは、ライブの中で13のレース映像を実際に使って説明しているからです。顔を出すのは本当に恥ずかしいのですが、CDでは伝わりにくいと思い映像化しました。厳選されたレースを何度もご覧いただき、ゆっくりと時間を掛けてお楽しみください。

ライブDVDの内容の冒頭部分を、視聴ではなく試聴していただけるようになりましたので、ぜひ聴いてみてください(映像をご覧いただけなくて申し訳ありません)。

→ライブDVDの視聴はこちらから

・ライブの感想はこちらから
・競馬場へ行こうツアーの報告はこちらから

料金は7500円のみ(税込み・送料、代引き手数料無料)でお分けいたします。お支払い方法は代金引換になります。ライブの参加費と同じ料金でお分けしたかったのですが、今回は撮影業者に入ってもらったこともあり、コスト的にどうしても難しいのです。決して安くはないと思いますが、それ以上の大きな価値を提供できると考えています。

もしライブDVDを聴いていただいた上で、参考にならなかった、お役に立てなかったということがあれば、メール等にて遠慮なくおっしゃってください。返金させていただきます。逆に安くて心配と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、情報商材ではありませんので、ひとりでも多くの皆さまに聴いていただきたいという思いを込めています。残りわずかですので、ご希望の方は今すぐお申し込みください

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特定商取引に基づく表記もご覧ください。

お申し込み方法
Step1 メールフォームにてお申し込みをしてください。
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です
*個人情報を第三者に開示をすることは決してありません。

Step2 お申し込み確認メールが届きます。

Step3 お届け先住所にライブDVDが届きます。
*代金引換ですので、ライブDVDをお受け取りの際に料金はお支払いください。

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また、質問メールも受け付け致します。このライブDVDを聴いて頂いて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしありましたら私宛のメールにて遠慮なくドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご感想もお待ちしております。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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1.32.5

Jiromaru

先週から東京競馬場で始まりました「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた馬たち~」に足をお運びいただいた皆さま、ありがとうございました。また、丁寧にアンケートに答えていただいたり、声を掛けていただいた皆さま、本当にありがとうございます。現場におりましたが、自分の書いた文章を目の前で読まれるというのは案外恥ずかしいものですね。次回はNHKマイルC当日に常駐の予定です。東京競馬場にぜひ遊びに来て下さい。

■「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた馬たち~」
詳細はこちら→ http://www.glassracetrack.com/blog/2009/04/post-7979.html

そうはいっても、物理的、地理的に東京競馬場にはお越しいただけない方もいらっしゃると思いますので、展示している12のエッセイの一編を紹介させていただきます。今週はNHKマイルCということで、キングカメハメハについて書いたものです。

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このエッセイを書くために、キングカメハメハの現役時代を振り返っているうちに、改めてこの馬の強さを認識しました。覚醒してからのレース振りは、スピード、パワー、スタミナなど、あらゆる面でサラブレッドの限界を突破していた気がします。特に、NHKマイルCと日本ダービーの変則2冠は、どちらもレコードによるものです。あれだけのレースをして、無傷でいられるわけがないですよね。もし無事であったならば、あのディープインパクトと歴史に残る勝負を見せてくれたことでしょう。


私の大好きなキングカメハメハの雄姿をご覧ください。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:ディープインパクトVSキングカメハメハ

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アイアンルックが大物感たっぷり:5つ☆

アイアンルック →馬体を見る
胴長のゆったりした馬体で、全体のバランスも申し分なく、大物感たっぷり。
穏やかな表情からも、初コースや初輸送も心配ないだろう。
Pad5star

ジョーカプチーノ →馬体を見る
寸が詰まった馬体は、いかにも短距離馬のそれ。
府中のマイル戦では、ゴール前でのスタミナ切れが心配される。
Pad3star

ティアップゴールド →馬体を見る
幼さを残す馬体だが、将来的には馬体に伸びも出てきそう。
現時点では、素質とパワーだけで走っている印象を受ける。
Pad3star

フィフスペトル →馬体を見る
いつも良く見せる、筋骨隆々のガッシリした馬体を誇る。
ただ、府中のマイル戦を考えると、若干距離が長い。
Pad3star

ブレイクランアウト →馬体を見る
地にしっかりと脚のついた、メリハリのある筋肉質の好馬体。
胴部に伸びがあるので、府中のマイル戦は絶好の舞台。
Pad4star

マイネルエルフ →馬体を見る
短距離馬らしい寸の詰まった馬体は、母系の影響が強く出ている。
府中のマイル戦をこなすには、もう少し馬体に余裕が欲しい。
Pad3star

ミッキーパンプキン →馬体を見る
薄手で手肢が長い特徴的な馬体だが、全体的に幼さを感じさせる。
気性面に遊びが出てくれば、距離が長くなって良さが出るかも。
Pad3star

ラインブラッド →馬体を見る
連勝中らしく、馬が自信を持って立っている。
全体のラインは悪くないが、ヒ腹が巻き上がっているのが減点材料。
Pad3star

レッドスパーダ →馬体を見る
現時点ではメリハリに欠けるが、身体全体からパワーを感じさせる。
将来的には、中距離のレースで走ってきそうな大物感がある。
Pad3star

ワンカラット →馬体を見る
ファルブラブ産駒らしく、筋肉質のパワー溢れる好馬体。
距離に一抹の不安はあるが、気の強そうな表情から、牡馬に混じっても好勝負になるだろう。
Pad4star

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挑戦者は最短距離を進む

Tennosyoharu09 by Deliberation
天皇賞春2009-観戦記-
前半1000mが速く、中盤が遅く、後半になって再度ペースが上がるという流れで、前半に飛ばしすぎた逃げ・先行馬、そして中盤で前との差を詰められなかった差し・追い込み馬にとっては厳しい展開となった。また、長距離のレースにおいては、多少ペースが遅くとも馬群は縦長で進むものだが(各馬が距離ロスを避けるため)、フルゲートということもあって今回のレースでは馬群が固まっていた。そのため、道中で馬群の外々を回された馬は、最後の直線を迎える前にすでに手応えを失ってしまった。

こうしたレースの流れに最高に上手く乗って、マイネルキッツが6歳にして大金星を挙げた。牡馬にしては線が細く映る馬ではあるが、長距離向き、つまりステイヤーの馬体だったということだろう。中距離でどうにも歯がゆいレースが続いていたが、距離が伸びてその素質が見事開花した。馬体も絞り込まれて、生涯最高と言って良い出来にあったことも確かである。ゴールデンウィークの渋滞を避ける目的もあり、早めに栗東留学をさせていた国枝調教師の戦略とノウハウも生きた。

松岡正海騎手の冷静な手綱さばきも見逃せない。周りのペースに惑わされることなく、前半はマイネルキッツのペースで走らせ、2周目の3コーナーで空いたポケットを見逃さずに入りこみ、4コーナーでは内が空くのを狙いすますようにギリギリまで仕掛けを待った。枠順の利を生かして、徹底的に内にこだわった騎乗も見事であった。

アルナスラインはあと一歩のところまで盾に手が届いていた。勝ち馬とは道中のコース取りと仕掛けのタイミングの差だけである。この馬も上手く流れに乗っているのだが、有力馬を意識した分、足元をすくわれてしまった感が強い。蛯名正義騎手もステージチャンプの借りを返せる絶好のチャンスだっただけに、悔しくてたまらないだろう。日経賞から調教を強化したことで、ようやくアルナスライン本来の力が発揮できるようになっている。

1番人気に推されたアサクサキングスは9着と惨敗した。この馬としては本格化していただけに不可解な部分があり、おそらく敗因は単一ではないだろう。四位騎手も言っているように、前走で極悪馬場を走り切ったことによる目に見えない疲れ、そして、コース取りによるロスが大きかった。前述したように、思っていたよりも馬群が横に膨らんだだけに、6つのコーナーで外々を回ったアサクサキングスは徐々にスタミナを奪われてしまった。外枠からの発走とアサクサキングスの脚質を考えると、外を回さざるを得なかったのは仕方ないとして、四位騎手は隣の馬との距離をタイトに走らせる騎乗を心掛けるべきだろう。

スクリーンヒーローは積極的にレースを進め、主導権を握ったまでは良かったが、直線に入ってだらしなかった。この馬も前走で極悪馬場を走った影響があったのかもしれない。ドリームジャーニーは上手く走っているが、この馬にとっては距離が若干長かった。ペースが遅くなったところで、スタミナに不安があるから動けなかったため、どうしても最後に差を詰めるだけで終わってしまう。同じことはサンライズマックスにも言える。ジャガーメイルは休み明けの分、道中動けず、最後も伸び切れなかった。

今年の天皇賞春は、サンデーサイレンスの血が入った馬が人気をしていたが(特に母父サンデーサイレンス)、結局勝ったのはチーフベアハート×サッカーボーイ。2003年の天皇賞春を思い出した。リンカーン、ネオユニヴァース、ザッツザプレンティが惨敗し、イングランディーレ(ホワイトマズル×リアルシャダイ)が逃げ切ったレースである。スタミナと底力が優先される舞台では、サンデーサイレンスの血がマイナスに働くこともある。これは来年以降も続いていく傾向だけに覚えておきたい。

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NHKマイルCを当てるために知っておくべき3つのこと

Nhkmilec

■1■マイル以上のスタミナと完成度の高さが求められる
過去13年の優勝馬の前走距離と着順を見てみたい。

タイキフォーチュン→毎日杯(2000m1着 
シーキングザパール→ニュージーランドT(1400m1着
エルコンドルパサー→ニュージーランドT(1400m1着
シンボリインディ→マーガレットS(1600m1着
イーグルカフェ→ニュージーランドT(1600m)7着
クロフネ→ 毎日杯(2000m1着
テレグノシス→スプリングS(1800m)2着
ウインクリューガー→毎日杯(2000m)8着
キングカメハメハ→毎日杯(2000m1着
ラインクラフト→桜花賞(1600m1着
ロジック→ニュージーランドT(1600m)3着
ピンクカメオ→桜花賞(1600m)14着
ディープスカイ→毎日杯(1800m1着

シーキングザパールとエルコンドルパサー以外の馬は、前走で1600m以上のレースをステップにしている。そして、半数以上の馬は前走でも勝っているということが分かる。

最初に、ほとんどの勝ち馬が前走で1600m以上のレースをステップにしているのは、東京競馬場のマイル戦では、スピードだけではなくスタミナがないと勝ち切ることはできないからである。特にNHKマイルカップはハイペースになることが多く、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。

つまり、マイル戦がギリギリといったスピードタイプの馬ではなく、中距離を走り切ることのできるスタミナを兼ね備えていなくては、NHKマイルカップを制することは出来ない。例外的存在であるシーキングザパールにしてもエルコンドルパサーにしても、1600m以上の距離をこなせる十分なスタミナを兼備していた。このレースに出走してくる以上、どの馬も豊富なスピードを有しているのは当然と言えば当然で、最後に勝敗を分けるのはスタミナの有無なのである。

ほとんどの勝ち馬が前走でも勝っているのは、この時点での完成度の高さが勝ち馬に求められるからである。ポロポロと取りこぼしていたり、アッサリと負けてしまっていたりする馬では勝負にならない。G1レースである皐月賞、桜花賞組は別として、前走をキッチリと勝って臨んで来られないようでは、非常に高いレベルの要求されるこのレースでの好走は厳しい。

■2■ニュージーランドT組は追い込み切れなかった馬が狙い
中山のマイル戦に条件変更されて以来、ニュージーランドトロフィーでの着順が、そのまま本番へと結びつかなくなっている。中山のマイル戦と府中のマイル戦ではあまりにも条件が違いすぎて、ニュージーランドトロフィーでの成績をそのまま信用することができないということである。これまでのパターンから述べると(イーグルカフェ、ロジック)、コース適性の差でニュージーランドトロフィー(中山1600m)を追い込み切れず負けてしまった馬については、府中のマイル戦に変わる本番では巻き返せる可能性があると考えてよい。

■3■1200m戦→マイルのG1は×
東京競馬場の1600mという距離で行われるG1レース(NHKマイルカップ、安田記念、フェブラリーS)を考える上で、前走で1200mのレースを使っていた馬について触れなければならないだろう。たとえばNHKマイルカップにおいては、前走がファルコンS(中京1200m)という馬が出走してくる。安田記念だと高松宮記念(中京1200m)がよくあるケースだ。このように1200m戦→マイルのG1というローテーションを踏んできた馬は、たとえ前走で好走していたとしても、本番においてはほぼ間違いなく凡走してしまう。

理由としては以下の2つが考えられる。

1)求められるスタミナの違い
2)道中の体感ペースの違い

つまり、1200mのレースとマイルのG1レースとでは、勝ち馬に求められるスタミナとレースでのペースが絶対的に異なる。

1)G1のようなレベルの高いレースを勝ち切るには、スピードだけではなく、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。1600mのG1レースを勝つには、1600m以上の距離を走り切ることができるだけのスタミナが必要とされるのである。そのため、1200m→1600mという距離にしてみればたった400mの違いであるが、その数字以上に、勝つために要求されるスタミナに開きがあるのである。

2)道中におけるペースが明らかに異なるため、体感ペース(ラップ)が違ってくる。1200mのレースでは、スタートしてから一息でスピードに任せて一気に走り切ってしまえばいいが、1600mのレース、特に東京のマイルでは、道中でタメの利いた走りをしなければ最後の坂で脚が上がってしまう。1200m戦を使った馬は、一気に走り切ろうとするラップを体が記憶してしまい、次のレースでもそういった走りをしてしまうのである。馬の感覚としては、1200m戦のつもりで思いきって飛ばしていると、実は1200m地点でゴールではなく、あと400mの直線が目の前に広がっていたというイメージが分かりやすいだろう。いくら騎手に叱咤激励されても、そこからラストスパートするだけのスタミナや気力はすでに残っていないのである。

このように、1200m戦→1600mのG1(特に東京競馬場でのマイルG1)というローテーションは、あまりにもレースの質や条件が違うために、馬が戸惑い、その力を発揮することなく凡走してしまうことになる。

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◎アサクサキングス

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今年は天皇賞春がプレミアムレースなのですね。通常の払い戻しに売り上げの5%が上乗せされるのですが、これは大きいですよね。一昨年、シンガポールに旅打ちに行った時、シンガポールの競馬は日本の競馬に比べて勝ち目があると感じました。これは後で調べて分かったことなのですが、シンガポールの競馬は控除率が圧倒的に小さいのです。シンガポールの控除率はわずか10%。日本の控除率(25%)との差がどれぐらい大きなものか、これは実際に馬券を打った者でないと分からないと思います。私たちが思っているよりも、この体感控除率の差は大きいのです。そういった意味では、今年の天皇賞春は積極的に買い!ですね。

本命は◎アサクサキングスに打ちます。前哨戦の阪神大賞典は執念を感じさせる勝ち方でした。自身の苦手とする道悪を克服して、完全に本格化しました。前走時の馬体を見た時に、これは凄い!と思わせられたように、とにかく馬体の充実が凄いです。前走が最高潮かと思っていましたが、今回の馬体を見ても、その調子を維持もしくはそれ以上の出来のようですね。昨年秋シーズンの不振は、輸送に気を遣って、調教をやり切れなかったことが原因です。今年に入ってからは、関西でのレース続きということもあって、調教でも徹底的に攻め抜かれていますね。古馬になってからの成長期のピークに、調教で鍛え抜けるようになったことが加わって、アサクサキングスの今の充実があります。

何よりもの証拠は、走るフォームが変わってきたことです。以前のアサクサキングスは頭が高く、追ってもあまり伸びないだろうなと思わせる走法でした。それが前走の阪神大賞典では、追われてからしっかりと首を使い、前へ前へと推進力をしっかりと伝えられていました。坂路やコースで鍛えられて、後肢に筋肉がついてきたからこそ、全身を使えるフォームへと変わってきました。今ならば、控えて差して瞬発力を生かす競馬も出来るのではないでしょうか。

スクリーンヒーローは、苦手な道悪に59kgの斤量を背負っていたからとはいえ、前走の阪神大賞典は執念を感じさせない内容でした。昨年のジャパンカップや有馬記念での走りを見て、この馬はステイヤーだという思いを強くして、今年の天皇賞春はこの馬!と決めていただけに、不甲斐ない走りでした。母系からは、あのライスシャワーが勝った天皇賞春で2着したステージチャンプが出ているように、この馬にはステイヤーの血が流れています。スクリーンヒーローのコロンとした馬体は、ステージチャンプのそれと似ているんですよね。折り合いの良さと瞬発力が問われる天皇賞春は絶好の舞台です。あとはどれだけ陣営が勝ちたいと思っているかどうかでしょう。アサクサキングスほどの唸るような執念を感じなかったので、今回は対抗に評価を落としました。

追い切りの動きが良く見えたのはジャガーメイルですね。遠くからモニターを見ていても伝わってきたほど、弾けるような走りでした。1週間前は安藤勝己騎手が跨り、少し緩く感じたとコメントしていましたが、何とか間に合いそうですね。もちろん休み明けは不利に違いありませんが、堀調教師が休み明けにもかかわらず送り出してくるのですから、十分勝負になるという自信があるのでしょう。そもそもスクリーンヒーローといい勝負をしていたぐらいですし、香港ヴァーズでも好走したぐらいですから、能力的には通用するはずです。有力馬が外枠を引きましたので、安藤勝己騎手は、内々で死んだふりをしてくるはずです。上記2頭のステイヤーに割って入るならこの馬です。

ドリームジャーニーも、しっかりと鍛えられるようになってから、再び力を付けてきています。2歳時に比べても強くなっていますね。前走の産経大阪杯は、ディープスカイが休み明けだったとはいえ、ダービー馬を差し切ってしまったのですから驚きです。古馬の中距離路線では、もうひとつ上のレベルまで行ける存在になってきました。ただ、今回はやはり距離が長いでしょう。脚が溜められないマイル戦よりはマシかもしれませんが、決して3200mはベストではありません。今の充実ぶりなら好走はするかもしれませんが、勝ち切れるかというと疑問です。

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執念の馬

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今でも天皇賞春は最高峰のレースだと信じています。たとえ時代遅れと言われようと、京都の3200mで行われる天皇賞春を勝つことの出来る馬こそが、その時代における真の名馬に相応しいと思うのです。スピードは当然として、それを持続させる無尽蔵なスタミナ、道中で騎手の指示に素直に従える賢さ、馬群の中で我慢できる精神的な強さなど、このレースを勝つためにはあらゆる要素が求められるからです。

その天皇賞春を2度も勝った馬がいます。メジロマックイーンとライスシャワーです。そして、この最高にして最強のステイヤー2頭が、死力を尽くして闘った伝説の天皇賞春があります。1993年の天皇賞春です。天皇賞春3連覇のかかるメジロマックイーンは、休み明けの産経大阪杯をレコードで勝利し、1.6倍の圧倒的な1番人気に支持されていました。そんなメジロマックイーンに、真っ向から立ちはだかったのがライスシャワーでした。

このレースに臨むライスシャワーの最終追い切りは、今でも鮮明に覚えています。レースでも手綱をとる的場均ジョッキーを背に乗せての調教でした。的場騎手はゴールを過ぎても1発、2発、3発とムチを入れ続けました。見ているこっちが心配してしまうほどのハードな調教でした。これは後から聞いた話ですが、的場均騎手にとっても一か八かの賭けだったそうです。ピークかそれとも疲労か。しかし、極限の状態に仕上げなければ、メジロマックイーンを負かすことは出来ないと思っていたからこその賭けでした。

的場均騎手の賭けは、見事、成功を収めました。スタートからピッタリとメジロマックイーンをマークしたライスシャワーは、直線に向くや、あっさりと抜け出して、先頭でゴールしました。あのメジロマックイーンでさえ、全く抵抗できないほどの強さを見せ付けての完勝でした。この時のライスシャワーには、まさに馬が唸っているという表現がピッタリでした。前の年にミホノブルボンの3冠を阻止したことも重なって、この頃から、「黒い刺客」や「マーク屋」という異名が定着しました。

1993年天皇賞春

最後のステイヤー同士の激突!

私にとってのステイヤーといえば、ライスシャワーをおいて他にいません。ライスシャワーには、ステイヤーとは如何なるものかということを教えてもらいました。「ステイヤーはいきなり休み明けから走らず、叩かれつつ体調が上向いて行き、ピークの調子が長続きする」、「マラソン選手に線の細い選手が多いように、ステイヤーも小柄な馬が多く、極限の状態に絞り込まれてこそ真価を発揮する」、「ステイヤーは決して調教で速い時計を出さない」、「ステイヤーは我慢強い」。ライスシャワーを語ると、それはすなわちステイヤーを語ることになるのです。

「もちろん、ステイヤーとしての血も素晴らしいんだけれど、それ以上にあの馬は執念を持っているんですよ。あの馬に対しては、スタッフみんなも執念を持って携わっている。それが馬に伝わっている。周りのスタッフの雰囲気をライスシャワーは感じてくれるだけの馬だった。そういう感性の強い馬だったってことです」

主戦の的場均騎手はライスシャワーをこう評しました。ミホノブルボンを倒した菊花賞、メジロマックイーンに土を付けた天皇賞春、それからちょうど2年後の奇跡の復活を見ても、ライスシャワーは執念の馬だったことが分かります。周りの人々の気持ちを感じ取り、その期待に応えたいという執念。「ステイヤーは執念を持っている」。私の競馬辞典におけるステイヤーの頁に、もうひとつ新たな定義を追加しておこうと思います。今年の天皇賞春、勝つことに対する執念を最も持っているのは、果たしてどの馬でしょうか。

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