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挑戦者は最短距離を進む

Tennosyoharu09 by Deliberation
天皇賞春2009-観戦記-
前半1000mが速く、中盤が遅く、後半になって再度ペースが上がるという流れで、前半に飛ばしすぎた逃げ・先行馬、そして中盤で前との差を詰められなかった差し・追い込み馬にとっては厳しい展開となった。また、長距離のレースにおいては、多少ペースが遅くとも馬群は縦長で進むものだが(各馬が距離ロスを避けるため)、フルゲートということもあって今回のレースでは馬群が固まっていた。そのため、道中で馬群の外々を回された馬は、最後の直線を迎える前にすでに手応えを失ってしまった。

こうしたレースの流れに最高に上手く乗って、マイネルキッツが6歳にして大金星を挙げた。牡馬にしては線が細く映る馬ではあるが、長距離向き、つまりステイヤーの馬体だったということだろう。中距離でどうにも歯がゆいレースが続いていたが、距離が伸びてその素質が見事開花した。馬体も絞り込まれて、生涯最高と言って良い出来にあったことも確かである。ゴールデンウィークの渋滞を避ける目的もあり、早めに栗東留学をさせていた国枝調教師の戦略とノウハウも生きた。

松岡正海騎手の冷静な手綱さばきも見逃せない。周りのペースに惑わされることなく、前半はマイネルキッツのペースで走らせ、2周目の3コーナーで空いたポケットを見逃さずに入りこみ、4コーナーでは内が空くのを狙いすますようにギリギリまで仕掛けを待った。枠順の利を生かして、徹底的に内にこだわった騎乗も見事であった。

アルナスラインはあと一歩のところまで盾に手が届いていた。勝ち馬とは道中のコース取りと仕掛けのタイミングの差だけである。この馬も上手く流れに乗っているのだが、有力馬を意識した分、足元をすくわれてしまった感が強い。蛯名正義騎手もステージチャンプの借りを返せる絶好のチャンスだっただけに、悔しくてたまらないだろう。日経賞から調教を強化したことで、ようやくアルナスライン本来の力が発揮できるようになっている。

1番人気に推されたアサクサキングスは9着と惨敗した。この馬としては本格化していただけに不可解な部分があり、おそらく敗因は単一ではないだろう。四位騎手も言っているように、前走で極悪馬場を走り切ったことによる目に見えない疲れ、そして、コース取りによるロスが大きかった。前述したように、思っていたよりも馬群が横に膨らんだだけに、6つのコーナーで外々を回ったアサクサキングスは徐々にスタミナを奪われてしまった。外枠からの発走とアサクサキングスの脚質を考えると、外を回さざるを得なかったのは仕方ないとして、四位騎手は隣の馬との距離をタイトに走らせる騎乗を心掛けるべきだろう。

スクリーンヒーローは積極的にレースを進め、主導権を握ったまでは良かったが、直線に入ってだらしなかった。この馬も前走で極悪馬場を走った影響があったのかもしれない。ドリームジャーニーは上手く走っているが、この馬にとっては距離が若干長かった。ペースが遅くなったところで、スタミナに不安があるから動けなかったため、どうしても最後に差を詰めるだけで終わってしまう。同じことはサンライズマックスにも言える。ジャガーメイルは休み明けの分、道中動けず、最後も伸び切れなかった。

今年の天皇賞春は、サンデーサイレンスの血が入った馬が人気をしていたが(特に母父サンデーサイレンス)、結局勝ったのはチーフベアハート×サッカーボーイ。2003年の天皇賞春を思い出した。リンカーン、ネオユニヴァース、ザッツザプレンティが惨敗し、イングランディーレ(ホワイトマズル×リアルシャダイ)が逃げ切ったレースである。スタミナと底力が優先される舞台では、サンデーサイレンスの血がマイナスに働くこともある。これは来年以降も続いていく傾向だけに覚えておきたい。

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