« ◎マイネレーツェル | Main | オークスを当てるために知っておくべき3つのこと »

ドイツ競走馬の理想像アルヒミスト

Rudolf

治郎丸さん、こんにちは。
プレミアムギャラリー!おやじも見たかったなー。
なにせ、1000里も離れて暮らしているので、下駄履きでちょいと見てこようか、とはいきません。

ブログで紹介してもらった、プレミアムギャラリーに展示された「全てがつながっている」という治郎丸さんの文に、おやじも感化されて手紙を書かせてもらっています。

おやじくらいの年になると、まさにこの世の「すべて」が輪廻のようにつながってしまって見えるんです。だから怖いことも不思議なこともない。

今回は、オークスのヒロイン、ブエナビスタとルドルフおやじがいかにつながっているかというとりとめのないお話です。

この3月2日は少しだけ悲しい日になってしまいました。というのは93年の凱旋門賞を13番人気で勝利して世界をあっといわせたアーバンシーが亡くなったからです。この年の凱旋門賞は馬券ファンにとっては地獄のようなレースでした。13番人気のアーバンシーが2着に連れてきたのが17番人気のホワイトマズルだったからです。ホワイトマズル産駒は父に似て人気薄で好走する傾向があって今でもおやじに迷惑をかけているというのはこの田舎町ではちょっとした有名な話です。

アーバンシーはレガシーワールドが勝ったJCにも招待されました。このときは10番人気。凱旋門賞以外はG3を2勝しただけの彼女が人気を集めることはありませんでした。おやじはこの低評価に胸をしめしめさせて単勝を握りしめていましたが・・・。

アーバンシーが凱旋門賞馬にふさわしい底力の持ち主だったことが証明されたのは、彼女が引退してガリレオの母となってからです。ガリレオ、21世紀のスーパーホースですね。エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージを3連続して勝つという驚天動地の偉業を成し遂げた。ガリレオということで驚天動地?

キングジョージで負かしたのが当時の最強馬の1頭、ファンタスティックライトというところも凄い。あっ、TMオペラ王やステイゴールドもFライトを負かしていますよね。日本馬も強くなったものです。

アーバンシーの底力を支えていたのはドイツ最古のそして最強の血統、Aラインだろうとおやじは思っています。ドイツ産馬は母の頭文字を仔が受け継ぐことによって、その母系がすぐにわかるようになっていますね。アーバンシー(Urban Sea)は米国産の仏調教馬ですからAの文字は継いでいないのですが、母親(Allegratta)からは代々Aの頭文字が連なっています。

母親(Allegratta)の血統図を開くとすぐにアルヒミスト(Alchimist)の4×5のクロスが目に飛び込んできます。この馬こそがドイツ競馬の歴史を体現したようなヒーローなのです。彼は1930年生まれの馬だからハイペリオンの同級生になります。3歳でウニオンレネン、ドイツダービー、ベルリン大賞などを連勝して底を見せないまま引退というのだから、ガリレオ以上の馬ですね。

このヒーローには他に類を見ない、過酷な運命が待っていました。1945年、不可侵条約を破ってドイツに侵入した赤軍はソ連にドイツの優秀な血統馬を持ち帰ろうとします。アルヒミストもその中の1頭でしたが、運悪く骨折してしまう。赤軍のクレージーなのは骨折した馬は無用ということで自分たちのお腹にいれちまったこと!この年ルドルフおやじの父親も赤軍にとっつかまっている。

しかし、アルヒミストは残した産駒から延々と自らの父系をつむいでいくのです。馬産の中心地、アイルランドやケンタッキーでNダンサー系やネイティブD系が発展するのとはわけがちがう。これはもう奇跡に他なりません。日本で最も長く続いている父系はMアサマ、Mティターン、Mマックイーンの3代ですね。アルヒミストはJCの勝ち馬ランドに至る半世紀、7代の種牡馬たちの祖になった。

例えば、アーバンシーと共にJCを走った、プラティニ(独ダービー馬)やその父ズルムーはこの父系から出ています。それにしてもランドのJCは圧倒的でしたね。逃げるTブリザードを難なくとらえて追いすがるあの、あのヒシアマゾンを1馬身半葬ってしまった。すばらしいスピードと強さ!ドイツ馬は重い馬場専用と思い込んでいたおやじにはいい勉強になりました。

そしてランドのJCから14年、あのヒシアマゾンの血統から出たAムーンがJCを勝ち、岩田騎手を男にしてやった。その男の技量と人格に感心して「全てがつながっている」と書いたのが治郎丸という男。ねっ、やはり全てはつながっていた、治郎丸さんの横には赤軍の兵士が、そしてスターリンがいたんですんな、もう怖いものなしです、がっはははは。

軽く半世紀を越えて尚、スピードとパワーを伝え続けるアルヒミストって恐ろしい種牡馬ですね。残念ながらその命脈を絶とうとしている同じ1930年生まれのハイペリオンとくらべると一層その感を強くします。では偶然奇跡的にアルヒミスト系が続いているかといえば、決してそうじゃあない。それはドイツ流の馬産によってもたらされた必然なのです。

ドイツには競走馬の理想像というものがあるようです。アルヒミストもその理想に近い1頭だと思います。理想形を未来に残すために非常に強い近親交配を行い、近親交配の限界点にたっしたときに、アイルランドや仏や米からドイツ競馬にとってどうでもいいような二流三流のNダンサーなどの血を導入して血を薄め、また理想馬の近親交配ができるようにし、未来にドイツ競走馬の理想像をバトンタッチしていく。

これを計画的にやっていくというのだから、おやじよりもドイツ人は少しおつむがいいようだ。というわけでランドにもアーバンシーにもアルヒミストの血が色濃く滲んでいる。ランドとアーバンシーの国際競争の勝利はドイツ馬産が理想を追究した結果だったのですね。(アーリア人の理想を追究したのはヒトラーだったということも忘れないでおきたいな。悪い面もあるってこと!)

おい、こら。ブエナビスタはどこへいったという、治郎丸さんの声が聞こえてきました。さすがに今回は長くなりそうです。ということで「つづく」となりました。・・・つづく

現在のランキング順位はこちら

|

Comments

Post a comment