若さゆえの勝利、老獪さゆえの2着
by fakePlace
NHKマイルC2009-観戦記-
例年、雨にたたられることが多いこのレースだが、今年の開催は好天に恵まれ、パンパンの良馬場でNHKマイルCは行われた。レコードが出るほど淀みのないペースで流れたにもかかわらず、前が止まらなかったのは、そういった馬場の影響も少なくない。また、ゲットフルマークスとジョーカプチーノが縦に並び、それ以下の隊列が固まっていたように、有力馬が後方で互いにけん制し合い金縛りにあってしまった。それにより、馬のリズムに合わせて、素直に競馬をした先行馬がそのまま残る結果となった。
勝ったジョーカプチーノは、離れた2番手という最高のポジションで競馬をすることが出来た。競り合うこともなく、他馬から目標とされることもなく、実質は楽な単騎逃げと変わらない。G1レースのマイル戦でなかなかこのようなポケットが生じることはないが、今回に限っては全てがうまく運んだ。もちろん、これだけのタイムで逃げ切ったのだから、ジョーカプチーノのスピードと成長力は認めなければならないだろう。前走のニュージーランドTでもハイペースを前で粘っていたように、今回の走りも決してフロックではない。若いジョッキーということからも、人気の盲点になっていた。
その藤岡康太騎手はデビュー3年目、2回目のG1レース挑戦にして、そのタイトルを手にしてしまった。折り合いさえつけば力を発揮してくれると信じ、ジョーカプチーノの良さを引き出すことに専心した結果、どの馬よりも先にゴールすることが出来た。若さゆえの素直さの勝利である。兄の藤岡佑介騎手よりも先にG1レースを勝ち、本人は複雑な心境だろうが、これからますます将来が楽しみなジョッキーが誕生した。
レッドスパーダも横山典弘騎手に導かれて、最高のパフォーマンスを発揮した。こういう馬場と展開を予測していたかのような先行策で、前を意識しつつ、後ろにも注意を払いながら、仕掛けのタイミングも文句なしであった。勝ち馬が若さゆえの1着ならば、この馬は老獪さゆえの2着と言うべきか。レッドスパーダ自身も馬体から走る活力が溢れていて、さすがに府中のマイル戦に強い藤沢和雄厩舎の馬だと感じさせられた。まだ成長の余白を残すだけに、1年後の安田記念が楽しみな馬である。
グランプリエンゼルが3着に食い込んで、3連単は大波乱となった。内田博幸騎手の思い切りの良さと、腕っ節の強さが光った。この馬を3着に持ってくるのだから鬼である。4着に入ったマイネルエルフも5着のフィフスペトルも、鞍上の積極策が功を奏した。一方、ワンカラットの藤岡佑介騎手は、枠順やこの馬の地脚の強さを考えても、もう少し出して行っても良かったのではないか。最下位に降着となったサンカルロも、武豊ブレイクランアウトを意識しすぎてか、道中の位置取りと仕掛けのタイミングがまずく、せっかくの好枠を生かせなかった。
ダービーを目指して臨んで来たブレイクランアウトとアイアンルックだが、いずれの末脚も不発に終わってしまった。ブレイクランアウトに関しては、絶好のスタートから好位を取れる手応えだったところを、敢えて控えてしまったことが裏目に出た。朝日杯フューチュリティSで自分から動いて最後は止まってしまった経験があるだけに、武豊騎手が自ら動けなかった気持ちもよく分かる。もちろん、共同通信杯以来ということもあって、動ける出来になかったということもあるだろう。
アイアンルックはレース前からの入れ込みが目立った。G1レースを勝つには心臓が小さいのかもしれない。道中はキッチリと折り合い、この馬のリズムで走れていたが、最後の直線に向いたところで前をカットされて万事休す。そこから追い上げてくるだけの力はなかった。どちらの馬にも言えることだが、今日のレースを見る限り、ダービー云々言えるだけの力がまだないというのが現状だろう。

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Comments
こんばんは、次郎丸さん
レコードが破られた瞬間、NHKマイルカップ、キングカメハメハのパネル内の文字”By five lengths and 1:32.5.”を唖然とみていました。写真大切にしています改めてお礼申し上げます。
実は、観戦記を数回拝読して、やっとNHKマイルの結果に納得することができました。私の◎は出遅れた時点で終わってしまった「ミッキーパンプキン」でしたので。感謝しています。ありがとうございます。ふっきれました。
ところで、藤沢調教師&横山騎手で臨んだレッドスパーダの2着が老獪さとは面白いですね。どんな作戦があったのでしょうか。
次郎丸さんは、1年後の安田記念が楽しみなんですね。私はどうしても短期で結果を求めがちなので、ゆっくり長く競馬とつきあっていくよう見習いたいと思います。それでは、次回の観戦記もゆっくり楽しみに待ちます。
Posted by: hagi | May 13, 2009 at 09:36 PM
hagiさん
どういたしまして。
キングカメハメハのレコード、
ついに破られてしまいましたね。
勝った馬の力は認めますが、
今の府中の馬場は少し時計が速すぎますね。
今週も雨が降らなければ、
前が止まらない傾向は変わらないはずです。
レッドスパーダの横山典弘騎手は前と後ろにいる馬の脚をそれぞれ計算に入れて、ギリギリのタイミングで仕掛けましたね。
もし無心に前の馬だけを捕らえることだけを考えていれば、勝っていたような気がします。
藤沢和雄調教師も馬なり調教で、ちょうどマイルの距離を走るのに必要なだけの、余力を残した仕上げだったのではないでしょうか。
PS
hagiさんにプレゼントしたポスターと同じものが、今、東京競馬場に私の言葉を添えて飾られていますよ。
Posted by: 治郎丸敬之 | May 14, 2009 at 01:32 AM