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Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

Rudolf

前回の手紙では、ドイツ血統について書かせてもらいました。父系ではアルヒミスト系がドイツ独自の父系として繁栄していること、母系には優れているAラインがあること・・・

錬金術師という名が災いしたのか、赤軍に喰われてしまうという数奇な運命をたどったアルヒミストは、晩年になって「黒い金」という不思議な金を錬金していました。「シュバルツゴルト」ですね。彼女こそドイツ競馬史上最強の牝馬という人も多いと思います。ディアナ賞(オークス)とドイツダービーを連勝している。同時代に日本ではクリフジがダービーとオークスの両レースを勝っています。クリフジのイメージをもてばいいのでしょうか。それとも最強馬から出た最強牝馬ということで、AタキオンとDスカーレットの父娘をイメージすればいいのでしょうか。いずれにせよ、ドイツの伝説の牝馬ということで神秘的ですね。

シュバルツゴルトは残念ながら、13歳という若さで夭逝してしまいます。しかも残した牝馬はわずかに1頭。普通ならばここでこの牝系は絶たれてしまいます。ところが・・・、この「ところが」があるから、競馬で人生は救われる。

ところが、その1頭から出た「シエラザード」と「ズライカ」が黒い金脈を深く掘り進めて行きます。シエラザードの血が開花したのは80年代になってからです。ルティエという仏が育てた父系と結ばれて、凱旋門賞馬サガスがでます。この馬は降着にならなければ凱旋門を連覇していた最強クラスの馬ですが、残念なことに早世してしまいました。弟のスターリフトも仏G1馬です。さらにシエラザードの血は米でBCのスタンレーン、愛でダービー馬ザグレブとG1馬を輩出します。ザグレブは日本でコスモバルクを出します。バルクの3歳の頃の不思議な強さに黒い金脈の輝きを見ていいのかも知れませんね。

「黒い金」の血はズライカからサヨナラを経てついにエプソムダービーの頂にまで上り詰めました。スリップアンカーですね。そして頂から裾野へ、サヨナラの妹、サンタルチアの血は日本に根付いていきます。95年はドイツSラインが、アグサンを経てビワハイジを送り出し、日本で初めてG1を制した年として記憶に留めておかなくてはなりません。

そしてアグサンの妹、サトルチェンジからはMカフェ。この馬で大切なのは最強世代の菊花賞馬ということでしょう。半端な体力ではこの世代の菊花賞は勝てないのですよ。Mカフェは我が肉体のなかにその体力を留めることができない、といった風情の物凄い体力の持ち主でしたね。これこそシュバルツゴルトだ、なんて勝手に想像していたおやじです。往々にしてこの手のステイヤーはその体力をスピードや切れ味に転換して仔に伝えることがある。どうですか?Mカフェの仔はマイラーや中距離馬にいい馬が多いのではないでしょうか。桜花賞2着のMカフェ産駒、Rディザイアーが連を外すことがあるかもしれません。

この3月2日名門Aライン牝馬アーバンシーが逝きました。少し寂しい思いをしたその週末に、Sラインしかも「黒い金」の末裔、ハイジの娘ブエナビスタは英雄Dインパクトのように日本の競馬場を軽やかに飛んでみせました。2009年3月第1週にドイツAラインとSラインは交差していたんですね。

ドイツの英雄、アルヒミストが倒れて64年、この短い手紙に書いたいくつかの出来事に、治郎丸さんも、読者のみなさんもつながっていたはずです。おやじは自分がアーバンシーの馬券を握り締めたことと父親が赤軍にとらえられたということでつながっていました。

全てのことがつながっている、この週末はビスタが飛ぶ姿のなかに神秘の名馬、アルヒミストとシュバルツゴルトの姿を見つけようではありませんか。

ビスタはもしオークスを勝つことができれば凱旋門賞に挑戦するそうですね。えーでえ、えーでえ、えーでえー!なぜか大阪弁でドイツを応援したくなった。Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

今週はシュバルツカッツをギンギンに冷やして、ドイチェ、ドイチェ、ドイチェ!である。

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