<京大式>パドック入門

「パドックでは馬の脚元を見よ」と著者の久保和功氏は言う。私はパドックでは気配を見るべきだと考えているが、もちろん脚元も見るに越したことはない。ここでいう気配とは、馬の仕上がり具合や踏み込みの深さから精神状態まで、あらゆる要素をひと言でまとめたものである。そこには多かれ少なかれ個人の主観や直観が入ってくる。だからこそ、時には正しく、時には大きく過つ。しかし、馬の脚元を見ることは、知識や経験を必要とするが、極めて客観性が高い。だからこそ、本気でパドックに立ち続ける気があるならば、馬の脚元も見るべきなのだ。
第2章では、「ソエ」、「骨瘤(こつりゅう)」、「蹄鉄」、「裂蹄」、「エクイロックス」など、馬の脚元を見るにあたってのポイントが、具体的な事例と併せて紹介されている。たとえば、「ソエ」はパドックで横から脚元を注意深く見ると、ポコッと管骨(膝と球節を結ぶ骨)の前面が膨れているのが分かるという。初戦は腫れが確認できない場合でも、一度実戦を経験することにより、「ソエ」が大きく腫れあがることもある。これから夏競馬に入り、特に若駒の新馬戦や2戦目は要注意ということである。私はソエが出ている馬は、調教とセットで確認することにしている。「ソエ」が出ている=走らない、ということではなく、「ソエ」が出ているので調教が満足に行えていない馬は、やはりレースでも凡走することが多いからだ。パドックで「ソエ」が出ていて、なおかつ調教の軽い馬は消しである。
個人的には、メイショウサムソンがパドックで大外を周回している時は買い、という見方は面白いと感じた。気合乗りが良く、前進意欲に満ち、踏み込みがしっかりとしている馬であれば、自然とパドックで歩くスピードも速くなる。パドックでは順番に歩かなければならないため、歩くスピードの速い馬はなるべくパドックの外側を歩き、遅い馬はパドックの内側を歩くことで調整する。この見方を著者は他馬とのヨコの比較ではなく、メイショウサムソンの他のレースとのタテの比較をしたのである。メイショウサムソンの調子が良い時ほど、パドックで外を回しているということである。このように、パドックに立ち続けることで、見えてくることは数知れないだろう。
また、「腰が甘い」馬をパドックで見つけるポイントも大変勉強になった。そのポイントとは、トモが流れるということで、「腰が甘い」馬は後肢の蹴る力が弱く、それがパドックでの歩様にも表れるということだ。具体的には、前肢の動きに後肢がついてゆかず、後肢に重心が残ったままになるような歩き方のことだ。さらに腰を落とすように突然つまずく馬も、「腰が甘い」馬であることが多いという。「腰が甘い」馬は、阪神や中山競馬場など急坂のあるコースで伸び切れないことが多く、消しのひとつの材料になる。たとえば、スイープトウショウは「腰の甘い」馬で、だからこそ直線が平坦な京都競馬場に良績が集中したのだ。
最後にひとつ。パドックで馬を見て、予想することにチャレンジしたことのない競馬ファンは皆無であろう。パドックには何か答えのようなものがあるという本能が、私たちをパドックに導く。そして、ある者は答えを見出せないままそこを去り、ある者はいつしか答えを見出さんとそこに立ち続ける。本書はパドックに立ち続けた著者が、これからパドックに立たんとするチャレンジャーたちに、そのエッセンスを伝えようとする入門書であり、応援の書でもある。
追伸
ご存知の方も多いでしょうが、著者の久保和功氏は「ハイブリッド競馬新聞」という新しいタイプの競馬新聞を発行されています。数年前、この「ハイブリッド新聞」が出てきた時には、これ以上の馬柱はあり得ないなと思わせられました。それほど完成度が高かったのです。それ以来、大きなレースの馬柱が頭の中に入っている私ですが、馬柱が必要なレースにおいては私もこの「ハイブリッド新聞」を活用させてもらっています。無料公開レースもあるので、まだの方はぜひ使ってみてください。

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
ロジユニヴァース
Strongest Vodka
カンパニー
Keiba is beautiful
Comments
おもしろそうな本ですね。
一度読んでみたいと思いました。
新聞を読まずに他場のレースをパドック映像だけで予想する事はたまにあります。
良いなと思う馬はやはり人気があったりする傾向です。
調子悪い時はパドックだけの方が当たったりする事もありますよ。
Posted by: はやひで | June 12, 2009 at 08:34 AM
はやひでさん
こんばんは。
とても良くまとまっていて、
これからパドックを観るという方にとっては、
良き参考書になると思いますよ。
私も昔、地方競馬場でパドックに張り付いていたことを思い出します。
競馬は難しいですが、パドックも難しいですよね。
Posted by: 治郎丸敬之 | June 13, 2009 at 02:35 AM