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次世代を担う

Akiyamasinitiro久しぶりに良いものを見せてもらった。函館記念における秋山真一郎騎手の騎乗である。大外枠からの発走であったが、好スタートから馬群を縫うようにして切れ込み、最初のコーナーまでに内ラチ沿いを確保すると、道中はピタリと折り合い、内々の経済コースを進んで脚を溜め、最後の直線で綺麗に外に持ち出しながら、先に抜け出していたマヤノライジンをゴール前でキッチリと差し切った。勝つためにはこれしかない、絶妙な騎乗であった。

少しだけタネ明かしをすると、この乗り方が札幌芝2000mを勝つためのポジション(勝ちポジ)なのである。もちろん、馬の能力や特徴、レースの展開などによって勝負のポイントは異なるが、実は札幌芝2000mならではの勝ち方というものが存在するのである。勝つための教科書のような乗り方と言ってもよい。強い馬にこういう乗り方をされると、弱い馬では勝ち目がなくなり、弱い馬がこのように乗られると、強い馬に対して勝つチャンスが大きくなる。札幌競馬場はこういったいわゆる勝ちポジがコース毎に存在するからこそ、ジョッキーの腕が問われる競馬場なのである。

秋山真一郎騎手のスタート後の動きを見る限り、レース前から狙っていたコース取りに違いない。スタートから第1コーナーまでの直線が400m以上と長いため、大外枠からでも内に進路を狙うことが出来たのだ。もう少し前に行くつもりだったのかもしれないが、道中で前がポッカリと開いたことにより、理想的なポジションを走ることが出来たという面もある。

それでも、腕達者が揃う札幌競馬場で、これだけ完璧なレースが出来たということが感動的である。デビューした頃から、陰ながら応援してきたジョッキーだけに、その着実な成長を感じることが出来て嬉しい。G1ジョッキーの称号を手に入れる日も近いことを予感した。ベッラレイアで負けたオークスでは批判させてもらったが、今回の騎乗には素直に拍手を送りたい。

もう一人、12番人気のブラックアルタイルを4着に持ってきた丸田恭介騎手にも目を奪われた。好枠を生かし、思い切って馬を出しながら、攻めの騎乗に徹していた。もう少し馬の調子が良かったり、もう少し他の騎手がミスをしてくれていたら、勝ち負けに持ち込めていただろう。今回の函館記念だけではなく、この夏、札幌開催が始まってからの活躍は目立っている。北海道出身ということもあるかもしれないが、札幌で一流のジョッキーたちに囲まれて、メキメキと腕を上げているのだろう。

丸田恭介騎手のプロフィールを調べてみると、騎手を目指したきっかけが、スペシャルウィークが勝った天皇賞秋だという。スペシャルウィークが大外から底力だけで差し切ったレースを観た時の、当時13歳の丸田恭介くんの興奮が私には手に取るように分かる。また、目標とする騎手がL・デットーリ騎手、横山典弘騎手であることからも、彼がどのようなジョッキーを目指して日々奮闘し、これからどのようなジョッキーになってゆくのか想像できるというものだ。U22(アンダー22)には属さない彼だが、次世代を担っていく一人になるかもしれないと夢想している。


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ワスレナグサ

ホゲットミーノットという思い出の牝馬がいる。この名前を聞いてピンと来た人は、かなり昔から競馬を楽しまれている方だろう。英語にすると、forget-me-not。忘れな草のことである。フォゲットミーノットとしたかったが、9文字という馬名制限のため、ちょっと寸詰まりの、それでいて可愛らしい響きの名前になったと思われる。

ホゲットミーノットの出会いは1990年。競馬を始めたばかりの私は、目の前で行われているレースの全てが新鮮で、朝10時前には後楽園ウインズに到着して、1レースからしっかりと競馬を楽しんでいた。そんな中、とあるレースで、全く予想だにしていなかった馬が、想像を絶する後方の位置取りから突っ込んできた。枠連しかなかった当時としては珍しい万馬券であった。

大穴を開けた馬の成績欄を新聞で確認すると、前走は11着、前々走は8着、その前は11着とある。しかも、いずれも勝ち馬から10馬身以上離された大敗。専門家の誰一人として印を打っていない。どこをどう見ても、この馬が好走する理由などなかった。私は途方に暮れて、その馬の名前をふと見てみた。「ホゲットミーノット(私を忘れないで)」。その瞬間、私は彼女のファンなった。

それ以来、1ヶ月に2度のペースで出走を繰り返す彼女に私は賭け続けた。しかし、追い込んで届かずというよりは、後方そのままといったまるで見せ場のないレースばかり。いくら好きになった馬とはいえ、そんなレースを見せ続けられると、人間というもの少しずつ気持ちが薄らいでいく。そうしたある日、ふとした都合で彼女のレースを見逃してしまった。後日、ホゲットミーノットが10番人気で大穴を開けたということを聞いた時、私は自分の想いの弱さにがっかりした。ちょうど私に忘れられた頃、忘れないでという名の彼女はやって来たのだった。

私の大好きな写真家であり、アラスカを旅する冒険家でもあった星野道夫さんの書いた「ワスレナグサ」というエッセイがある。このエッセイを読んだのは、ホゲットミーノットと出会う前だったか後だったか忘れたが、今となっては私の中では同時に連想されるほど密接につながっている。私の拙文の後に引用するには気が引けるほどの名文だが、それでもホゲットミーノットとワスレナグサの想いを共有したいので、ぜひお読みいただきたい。

ワスレナグサは、英語でforget-me-not、このいじらしいほど可憐な花が、荒々しい自然を内包するアラスカの州花であることが嬉しかった。

「アラスカ州の花って知ってる?」

と幾分自慢げに、これまで何人の人に話してきただろう。一瞬の夏、その限られた持ち時間の中で一生懸命開花しようとする極北の花々は、ワスレナグサにかぎらずどれだって美しいのだが…。

もう何年か前、北極海沿岸で過ごしたベースキャンプの近くでもワスレナグサは咲いていた。こんな地の果てで、誰に見られることもなく、淡いブルーの花びらをひっそりと開かせていた。

その時ぼくは、ある自然番組を作りに来たテレビ局のスタッフと一緒だった。が、さまざまな悪条件が重なり、撮影はうまくはかどらず、時間だけがどんどんと過ぎていった。番組を撮ってかえらなければならないという焦る気持ちは、わかり過ぎるぐらいわかっていたが、誰もがそのことで頭がいっぱいで、自然を本当に見てはいないような気がした。ギクシャクとした雰囲気の中で、ある時少し心配になり、ディレクターと2人だけで話すことにした。

これだけ一生懸命やったんだし、相手は自然なんだから、それはしようがないんじゃないかと。たとえば、あと十年とか二十年たった時にふりかえってみて、その番組が少しうまく撮れたとか、撮れなかったなんて、きっとそれほど大した問題ではないと…それよりも1日のうち15分でも30分でもいいから、仕事のことをすべて忘れて、今ここに自分がいて、花が咲いていたり、風が吹いていたり、遥かな北極海のほとりでキャンプしていることをしっかり見ておかないと、こんな場所にはなかなか来れないんだし、すごくもったいない気がすると…風に揺れるワスレナグサもそんなことを語りかけているような気がした。私たちが生きることができるのは、過去でもなく未来でもなく、ただ今しかないのだと。

(中略)

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。

頬を撫でる極北の風の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい…ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。そんなことを、いつの日か、自分の子どもに伝えてゆけるだろうか。
(「旅をする木」より)

ホゲットミーノットは競馬の難しさ、そしてサラブレッドの不思議さを私に教えてくれた。来そうだと思えば全く見せ場なく惨敗し、どう考えても来ないと思えば後方から突っ込んで来る。芝・ダート、長距離・短距離問わず、好走し凡走した。馬券的な相性は全くと言ってよいほど良くなかったが、私は彼女を追っかけたことで、競馬の世界には私たちの手の及ばない神の力のようなものが働いていることを知った。競馬は私たちが頭で考えるよりも、もっと複雑で豊かなのだと。それは諦めではなく、未知の世界に対する希望のようなものであった。

私たちが生きることができるのは、過去でもなく未来でもなく、ただ今しかないのだ。

Fogetmenot

最強牝馬ウオッカ壁紙無料プレゼント企画にてご協力いただいた、「あなたの好きな牝馬は?」というアンケートに対する、皆さまからのお答えを以下に掲載させていただきます。

ウオッカ
ダービーの頃、親の介護が終末期に入りとても辛い時期でした。
莫大な治療費に喘ぎ、自分の時間もとれず、
楽しみは自宅で見る週末の競馬番組。
息の詰まるような日々の中、ウオッカが直線で出た時、
そんな気分がスカッと一掃されました。
ウオッカが走る度、その時の気持ちが蘇ります。

Eriko

ウオッカ
ウオッカのおかげで競馬が好きになりましたし、競馬界全体も盛り上がってますよね。
vodka2007

ダンスインザムード
クラッシックもさることながら、3歳秋の古馬相手の激走は本当に恐れ入りました。
その後のスランプでもう終わってしまったかと思いきや、ヴィクトリアマイルでの
G1制覇は本当にうれしくて泣いてしまいました。
美しさと気高さを感じられた牝馬で今でも大好きです。
産駒のデビューが本当に待ち遠しいです。

K

ホクトベガ
エリザベス女王杯のときにレース前に「ベガはベガでもホクトベガ」なんて言ってきたりしてと思って買ったら当たってしまったから。
たくちち

ウオッカ
強さを裏切らない所が大好きです!負けることもあります。でも、勝ち方が一味違うんです!牝馬ダービー制覇から始まり、死闘の天皇賞・秋、復活のヴィクトリアマイル、絶体絶命の安田記念とドラマ有りの勝ち方をしてくれんです^^新馬戦の時初めて見て、牝馬というのが嘘のようでした。そこから好きになり、ずっと単勝を買って応援し続けています。ダービー勝った時は泣きそうでした(笑)
バルトス

ヒシアマゾン
まずは牝馬らしくないゴツい名前と名前に違わぬゴツい末足ですね。個人的には逃げ馬が好きなんですが、ヒシアマゾンとトウカイテイオーは別格なんですよ。
クローザー

ダイワスカーレット
あんなに強い牝馬は見たことがありません!史上最強牝馬だと思ってます。
たぁ

エリモシック
秋でしたが襟裳に春が来たとどなたか実況でおっしゃってたのが印象的でした。前年のエリ女以降あまり良い思いをしてなかったので個人的にもかなり嬉しかったのを覚えています。
まさやん

ウオッカ
ただ強い。これ以上下手な仕上げ、ローテで負けさせないで関係者さん
マックマン

ウオッカ
初めてちゃんと見た競馬が、天皇賞秋でした。純粋に感動しました。ウオッカの走る姿、容姿に魅せられ、それから、彼女のことを調べ、64年ぶりにダービーを制した牝馬である
ことや血統背景等を知り、大好きになりました。今後も、子孫まで応援しつづけます!

ヒシアマゾン
簡単に言うと中舘とのアンバランスなコンビですね。「あなたはなにもしなくていいのよ」みたいな気の強そうなアマゾンの声が画面を通して聞こえてきそうでした。
橙 料理長

ウオッカ
華があって素敵。例えるならウオッカ→長島 ダイワスカーレット→王 自分の中でのイメージです。
青いカナリア

ウオッカ
栄光も挫折も味わいながらも、1着を目指す姿がかっこいいからです。ダイワスカーレットという最大のライバルがいながら、G1での対決では、負け続け、最後の対決となった天皇賞・秋は、歴史的一戦で、後世に語り継ぎたいです。
ウオッカインパクト

ウオッカ
無事これ名馬という言葉がありますが、まさにこの言葉がピッタリではないかとおもいます。ライバルのスカーレットは故障してしまいましたが、期待されながら勝ち続け故障知らず。しかも人間の勝手な価値観のなかで黙々と走る。素晴らしいじゃないですか。ゆえに、宝塚は回避してほしい、、、、。
松浦

ビリーヴ
僕が生まれて初めて見た
GⅠで牡馬相手に勝った牝馬
しかし、その記憶が鮮烈すぎて
短距離でしか牝馬は牡馬に勝てないという
刷り込みが僕の中に生じてしまいました
ヘヴンリーロマンスも
スイープトウショウも
ダイワスカーレットも
ウオッカも買えませんでした
ウオッカの馬券を買い始めたのは
今年になってからですかね・・・
サンデーサイレンスの血脈の
可能性を広げてくれたビリーヴ
安藤勝己騎手に
初めてGⅠの勝利をプレゼントしたビリーヴ
イイ仔をたくさん産んでおくれ!

ワシヲ

ウオッカ
先日の安田記念で、初めてウオッカを生で見ました。その時、彼女の存在感に圧倒され鳥肌が立ちました。あの勝ち方もそうですが、出で立ちが美しくかっこいい。そして、やっぱり女の子(女性?)なんだ、と思わせる可愛らしい表情も魅力です。
diblues

ダイワスカーレット
牝馬でありながらレースパフォーマンスは圧巻、有馬は完璧なレース運び。昨年天皇賞秋は休み明けにもかかわらず、あわやの2着。ウオッカは叩き2戦目であり目標にもされ厳しいレースだったと思う。それで鼻差の2着だったのでもっと順調なら逆転もあったのではないか、2頭の対決もっと見たかったが残念です。 名馬はライバルがいて引き立つもの、ウオッカよスカーレットの分まで駆け抜けろ
神山

ウオッカ
勝ち方も 負け方も ドラマチックで、ドキドキするから  
ウオッカ大好き

好きになった牝馬はエアグルーブにウオッカにファインモーション、ダンスパートナーにイソノルーブルにカワカオミプリンセスにファビラスラフィン・・・・。他にも沢山いますが、VTRではなくてナマのクリフジのレースが見てみたかったです、クリフジとエアグルーブにウオッカ、ダイワスカーレットを闘わせたかったです。
和人

ウオッカ
ダービーは残念ながら観ていませんが、去年の秋の天皇賞は府中競馬場で観戦しました。ダイワスカーレットとの大接戦にとても感動しました。牝馬でありながらG1を6勝もあげ(さらに7勝目もあるかも?)歴史にのこるであろうウオッカをずっと応援していきたいと思います。
ウオッカLOVE

全く生で見ていませんが、子供心に新聞で見ていたテスコガビーの強さはカブラヤオーとともに思い出です。また、馬券に勤しむ以前ではありますが、ヒシアマゾンの逞しさへの羨望はテスコガビーと甲乙つけがたい思いがあります。
Hanuman

ウオッカ
競馬を見て鳥肌が立つくらい興奮できるレースをしてくれるから
がんぽん

ウオッカ
ダービーで牝馬のウオッカを見つけて思わず応援のつもりで投票したのが私の競馬デビューです。そして、ウオッカはそんな応援に答えてくれて、すっかりウオッカと競馬にはまってしまいました。それからは、おばさん3人組みで競馬場に繰り出しては楽しんでいます。好きな理由は額の模様と強さです。
ろびんち

ヒシアマゾン
ネスは今で言えばウオッカのような存在。全盛期のナリブーに2着になってしまうくらい強い馬ですから。エリ女での幻の2着には涙しました。嬉しいような悲しいような、安堵したけど淋しい気持ち。渡米前に出羽牧場で休養している時に毎日見学しに行って、大量のおしっこに迎えられて喜んでました。渡米後産駒に恵まれずにがっかりしてます。日本に戻してくれないかな。
ともきち

ウオッカ
牝馬に見えない馬体かな?
ゴン太

ファレノプシス
競馬に興味を持ち始めたときに、名前の美しさと強さに魅せられました。
いなば

ウオッカ
昨年2008年の安田記念のビクトリーランでウオッカに魅せられ、競馬に興味を持つようになったので、最も好きな牝馬は今ももちろん「ウオッカ」のみです。
トトキチ

ウオッカ
牝馬ながら牡馬を圧倒する強さに惚れ惚れします。
あぷろ~ち

ローズバド
あの小さな体で一生懸命に走っていたのがとても感動しました。産駒の成績はイマイチですが、是非とも母の悲願だったG1制覇を達成してほしいと思います。
ハロ

ダイワスカーレット
強さです。3歳時にはマスコミがウオッカを祭り上げ、スカーレットの評価は不当に低かったですが、戦績が示すようにあの安定感は素晴らしいです。牝馬ながらに信頼度は常にバツグン。馬券的にも最高のパートナーでした。ドバイでの戦いが楽しみだったので引退の仕方は流石に残念でした。競馬歴が長くないので過去の名牝の強さがどの程度なのかは知りませんが、私の中ではスカーレットが最強馬です!
スカーレットvsウオッカ

シーザリオ
スペシャルウィークが大好きな私にとって、初年度産駒の成績が散々だったことには大きなショックを受けていました。そんな時、2世代目で出てきたのがシーザリオです。クリスマスに出走した新馬戦のパドックで初めて見て、その漆黒の馬体にひと目で魅了されました。
その後の寒竹賞ではアドマイヤフジを破り、負けて強しの桜花賞を経てのオークスで、とても届かない位置から差し切ったシーンは今でも忘れられません。

この年のシーザリオの活躍がなかったらビワハイジにスペシャルウィークは種付けされてなかったかもしれませんよね。そう考えると今年のオークスでブエナビスタがあの位置から差しきれたのはシーザリオの見えざる力が最後に一押ししたのではないか。。私は本気でそう思っています。

そのシーザリオはアメリカンオークス圧勝後、『どこまで強いのだろう』という思いを我々に抱かせたままターフを去ってしまいました。この思いはブエナビスタに継ぎたいと思います。
うめっくす

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小倉記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kokurakinen

■1■七夕賞からは直結しない
サマー2000シリーズ第3戦。昨年から北九州記念が1200m戦となり、小倉記念が7月最終週へとスライドされた。このため、主なステップレースは七夕賞となるが、レースの特徴から考えても七夕賞と小倉記念は直結しないはず。

なぜなら、七夕賞が福島競馬場の荒れてきた馬場で行われることに対し、小倉記念は野芝が生え揃った絶好の馬場で行われるからである。野芝は気候の暖かくなる6月くらいから成長し、8月の最も熱い季節に最盛期を迎える。野芝100%で行われる小倉競馬場の馬場は、これ以上ないほどの絶好の高速馬場となる。つまり、七夕賞ではパワーが求められるのに対し、小倉記念は高速馬場に対応できるスピードが求められることになるのだ。

しかし、後半からラップが急激に上がるため、スピードの持続力も必要とされることになるところがミソ。速い持ち時計があり、なおかつそのスピードを支えるスタミナを秘めた馬が狙いか。

■2■前走の着順
前走の着順別の小倉記念での成績を見てみたい(過去11年間)。

前走1着    【3・5・2・11】 連対率38%
前走2着    【4・0・3・5】 連対率33%
前走3着    【0・1・1・8】 連対率10%
前走4着    【0・0・1・7】 連対率0%
前走5着    【0・1・0・8】 連対率13%
前走6着以下 【2・2・1・22】 連対率12%

前走で勝ち負けになっていた馬の連対率が圧倒的だが、これは夏の上がり馬が活躍していること以上に、北九州記念と小倉記念の結びつきの強さを示している。1ヶ月前にほぼ同条件で行われていた北九州記念の好走組が、小倉記念でも好走するのは至極当然である。

しかし、上で述べたように、主なステップレースが北九州記念から七夕賞へ変わったことにより、前走の着順がそのまま小倉記念へとスライドすることはなくなるはずである。どちらかというと、七夕賞のレースが適性に合わなかった馬の巻き返しというパターンが多くなるはずで、前走の着順はさほど気にしなくてもよいだろう。

■3■内枠の差し馬有利
昨年まで、小倉記念は馬場の内が悪い重賞であった。なぜなら、連続開催の3回小倉が始まる頃、1回小倉以降に張り替えた部分のAコース最内がかなり傷んでくるからである。ちょうどその辺りに小倉記念は位置していたため、馬場の良い所を走られる外枠を引いた馬は有利であった。しかし、昨年からは開催時期がズレたことにより内外の有利不利がなくなった以上、4つコーナーの小回りコースということを考えれば内枠有利となる。そして、各馬が直線の短さを意識して早めに仕掛けることで、一瞬の脚を持った差し馬にとって絶好の舞台となることも覚えておきたい。

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芦毛の逆襲が始まる

Makereviewimg_2今回のメイクレビューは、7月11日、12日の2日間の開催から、目に付いた馬をピックアップしていきたい。

まずは昨年、ロジユニヴァースが勝った3回阪神の芝1800mの新馬戦から。仕上がりが良くて、今後大きなところを狙おうと思われている逸材が集まりやすい出世レースである。実際に、角居、矢作、藤原、石坂、森、友道という関西の有力厩舎から、素質馬がこぞって参戦した。もちろん、人気もそれらの馬たちが集めたが、勝ったのは8番人気で新人の松山弘平ジョッキーが鞍上のマイネアロマ。しかも、最後の直線で抜け出してからソラを使ったように、若さを見せながらも、余力十分でフィニッシュした。他馬とは3kgの斤量差があったにせよ、いきなりの1800m戦で、牝馬でこれだけの競馬が出来たということに驚かされた。

新種牡馬であるロージズインメイにとって、マイネアロマはJRA初勝利となる。マイネルの岡田総帥にポストサンデーサイレンスの期待を掛けられているだけあって、産駒は瞬発力勝負に強く、距離も持ちそうな印象を受ける。ここ最近は、内国産種牡馬の活躍が目立つが(特にサンデーサイレンス系)、ロージズインメイは輸入種牡馬としてまた新たな風を吹き込むかもしれない。そう思わせるだけの、マイネアロマのバランスの良い走りっぷりと、堂々とした勝ちっぷりであった。また、松山弘平騎手も1年目とは思えない落ち着いた騎乗で、マイネアロマの横綱相撲を導いていた。次走は札幌2歳Sを予定しているようで、素質のある若手をこれからも乗せ続けて欲しい。

札幌7日4R(芝1200m)を勝ったノーワンエルスは、ここではエンジンが違うという力強い走りで、他馬を圧倒した。首が少し高く、力を入れて走る馬だけに、札幌のような力の要る洋芝は得意とする。道悪やダートも難なくこなしてくるはず。ただ、こういう力を入れて走る馬は、距離に限界が来やすく、いきなりパタッと止まってしまうことが多い。1400mまでは強さを発揮できることは保証できるが、それ以上の距離延長に関しては微妙で、マイルまで持つかどうかといったところ。

ところで、このノーワンエルスがそうということではないが、これからは芦毛の時代が到来すると予感している。というのも、私が競馬を始めたころは、芦毛の超がつく一流馬が結構いた。たとえば、オグリキャップ、タマモクロス、メジロマックイーン、ビワハヤヒデなど、各世代を代表する芦毛馬が堅実無比な強さを見せていた時代であった。ところが、サンデーサイレンスの血が日本に入ってきた途端、私の記憶ではセイウンスカイを最後に、芦毛の大物が全くと言ってよいほど誕生しなくなってしまったのだ。

しかし、サンデーサイレンス亡き今、そろそろ芦毛の逆襲が始まるのではないか。とはいえ、やはりサンデーサイレンスの血は偉大なので、大物が出てくるとすれば、サンデーサイレンスを母の父に持つ芦毛馬ということになるだろう。当然のことながら、チチカステナンゴ、クロフネ、アドマイヤコジーン、シルバーチャーム、そしてノーワンエルスの父であるスウェプトオーヴァーボードなど、芦毛の種牡馬との組み合わせには注目しておきたい。と思っていたのも束の間、今年春のヴィクトリアマイルでも父クロフネ、母父サンデーサイレンスのブラボーデイジーが早速好走した。個人的には、メジロマックイーンの急逝が惜しまれ、ビワハヤヒデにはこれを機にぜひとも復活してもらいたい。

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騎手を育てる「強い馬」での経験

今週の桜花賞で最有力候補といわれるサイコーキララ。

浜田調教師は桜の女王を目指している管理馬に、弟子の石山繁を乗せ続けている。ある意味、これはすごいことである。

昨年、同じようにというか、もっと「すごいな」と思って見続けていたことがある。

テイエムオペラオーとナリタトップロードが、ずっと同じ騎手のままで出走していたことだ。ふつうなら馬の成績が良くなれば、もっといい騎手へと替わるもの。いまの日本の競馬社会では、それが日常といえる。

ところが、テイエムオペラオーの岩元市三調教師もナリタトップロードの沖芳夫調教師も、自分が育てた騎手の和田竜二と渡辺薫彦を替えないで乗せ続けた。それをやってのけて、成功させたことのすごさったらない。

一昨年、石山が本番で降ろされたのは、前哨戦を自分のミスで負けたのだから仕方ないだろう。乗り変わった武豊がファレノプシスの能力をあれだけ見事に引き出して2冠馬に輝かせたのだから、やむを得ない。あれがあったからサイコーキララに出会った、と思えばいい。

強い馬をつくることも大切だが、いかに素晴らしい人材を育て上げるかということも大事なこと。強い馬が出てきたら、弟子に乗せて経験させるべきだと思う。

次代を担う人材を立派にきちっと育てるには、彼らを見守り、教育する関係者の度量や人間性が必要だ。私が若手騎手だった時代は、いい馬に乗れなかった、というより、いい馬に乗ってはいけなかった。私より巧い先輩がいっぱいおり、そこには序列というものがあったからだ。

子供の頃から、父親の管理する小さな厩舎で、騎手たちのトラブルを見てきただけに、尾形藤吉厩舎という大厩舎にお世話になったとき、「ずうずうしく乗ってはいけないんだ」と思っていた。大げさに聞こえるかもしれないが、当時の私に「馬に乗れる喜び」は少なかったのだ。

(中略)

フリー全盛となったいま、自分のところの騎手を、いい馬に乗せよう、という傾向が目立つようになったのは、大久保洋吉調教師がメジロドーベルを弟子の吉田豊に乗せ続けたころからだろうか。

「自分のところで、なんとか、しっかりした騎手を育てよう」という考えを持つ調教師が増えてきたのは本当に嬉しい。いい時代になったな、と思う。

(「口笛吹きながら」より)

Nohirayuuji

このコラムの最後の一文を読んだとき、なぜか涙が溢れ出た。私の人生の個人的な状況に、ピッタリと符合してしまったのだろう。どういう状況かは思い出せないが、祐ちゃん先生の優しさが心まで染み入ってきたことは今でも覚えている。なんと素晴らしい人間が競馬界にもいるのだろう。そう思って、ますます競馬が好きになった。

野平祐二氏が感心したように、和田竜二騎手と渡辺薫彦騎手の起用法については、今から振り返ってみても、よくぞと思わせられる。当時もさんざん批判があったが、正直に言って、テイエムオペラオーの菊花賞は仕掛け遅れ、ナリタトップロードのダービーは早仕掛けだったと思う。それでも、岩元市三、沖芳夫の両調教師からは、誰が何と言おうと乗せ続けるという強い意志が感じられた。結局、和田竜二騎手はテイエムオペラオーの生涯全てのレースの手綱を握り、一方の渡辺薫彦騎手もナリタトップロードの引退レースまでその背に跨った。

「騎手は馬に育てられる」と言われるが、走る馬に乗ってこそ、ジョッキーは技術的にも精神的にも大きな成長を遂げる。走る馬ほど人間の指示に対して敏感であるため、わずかな動作の失敗が致命傷となる。また、走る馬の基準を知っていれば、他の馬のどこが足りず補わなければならないかも分かる。走る馬に跨って、大きなレースに臨んで得た経験も貴重である。

たとえば、野平祐二はスピードシンボリ、岡部幸雄はシンボリルドルフ、柴田政人はミホシンザンという名馬に出会ったことで、ひとつ上の次元で勝負が出来るように成長した。名馬たちの手綱や背から学んだものは、何ものにも代えがたい彼らの宝物なのである。だからこそ、「強い馬をつくることも大切だが、いかに素晴らしい人材を育て上げるかということも大事なこと。強い馬が出てきたら、弟子に乗せて経験させるべきだと思う」という言葉が生まれてくるのだ。

ちなみに、祐ちゃん先生が若き頃、走る馬には乗らせてもらえなかったのは、尾形藤吉厩舎の大先輩に保田隆芳という大ジョッキーがいたからだ。尾形藤吉厩舎は8頭のダービー馬を育て、クラシックレースを26勝もしたように、数え切れないほどの名馬を管理していた。その中でも走る馬は保田隆芳騎手が主戦を務めた。保田隆芳騎手からこぼれ落ちた馬は八木沢勝美、森安重勝という名手の手に渡った。見習い騎手であった野平祐二に走る馬が回ってこなかったのは、当時としては自然な序列というものでもあった。

かといって、尾形藤吉厩舎から人材が育たなかったかというと、そうではない。前述した保田隆芳や八木沢勝美、森安重勝というジョッキーに加え、戦死してしまったが前田長吉という天才ジョッキーも生んだ。調教師では松山吉三郎、伊藤修司が1000勝を挙げ、大久保亀吉、伊藤正四郎、美馬信次、工藤嘉見など、その後、競馬史に残るファミリーを形成している。走る馬がいるところに、優れた人材が集まり、お互いに切磋琢磨しながら育って行ったのだろう。馬と人が厳しさの中で育ったからこそ、これだけの偉業を成し遂げたともいえる。

それでも、祐ちゃん先生は敢えて主張する。強い馬が出てきたら、たとえ弟子が技術的にも人間的にも未熟であっても、乗せて経験させるべきだと。出来るだけ若いうちに走る馬に乗ることで、ジョッキーとしての成長は早くなるのだ。競争の中に放り込むのもひとつの育成方法だが、強い馬に乗せ続けることには敵わない。特にこれだけジョッキーの世界が市場原理で動いている今、人を育てなければ、中央競馬もしくは日本の競馬の将来は暗い。ポンと来日した外国人ジョッキーに簡単に大きなレースを勝たれてしまう現状を見て、祐ちゃん先生は何とおっしゃるだろうか。


この年のG1レースは今から観ても鳥肌が立つ。
もう10年前になってしまったのですね…

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函館記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatekinen_2

サマー2000シリーズ第2戦。札幌と函館の開催が平成9年に入れ替わり、函館記念は別定戦からハンデ戦に変更された。当初は軽ハンデ馬が大穴を連発したが、近年は極端な波乱はない。とはいえ、小回りコースのハンデ戦だけに荒れる要素は十分にある。今年は函館競馬場の全面改築工事のため、札幌競馬場に舞台を移して行われる。

■1■上がり馬が狙い目
G1       【0・1・2・9】 連対率8%
G2       【1・0・1・9】 連対率9%
G3       【2・1・0・26】 連対率10%
オープン特別 【6・7・4・57】 連対率18%
条件戦    【1・1・3・13】 連対率11%

過去10年で前走がG3クラスから2頭、オープン特別から6頭の勝ち馬が出ているように、これまでに実績のある馬ではなく、この夏に力を付けてきた(調子を上げてきた)馬が狙い目である。また、前走がオープン特別であった連対馬12頭中、10頭が巴賞出走馬である。函館記念1本に狙いを定めてきた上がり馬に注目すべき。

■2■2000m以上のスタミナが必要
トニービン、ニジンスキー、ノーザンダンサーなどの血を引く馬たちが活躍しているように、函館競馬場独特の洋芝によって、パワーはもちろんのこと、字ヅラ以上のスタミナが必要とされる。また、速い上がりが求められるレースになることはほとんどないので、瞬発力勝負では分が悪かった馬の巻き返しにも期待したい。
*札幌競馬場で行われる今年も傾向は同じ。

■3■差し馬に有利なレース
12.3-11.2-11.7-12.1-12.1-12.1-12.3-12.4-12.2-12.2(59.4-61.2)H
12.8-11.2-11.8-12.4-12.5-12.2-12.1-11.9-11.8-12.0(60.7-60.0)M
12.6-11.3-11.6-12.4-12.6-12.8-12.4-13.0-13.0-13.4(60.5-64.6)H
12.6-11.8-12.7-13.0-12.9-11.9-12.0-11.9-11.7-12.3(63.0-59.8)S
12.2-11.2-11.4-12.1-12.1-12.4-12.0-12.1-12.1-12.7(59.0-61.3)H

過去5年間のラップ構成を見ると、毎年異なった展開で流れていることが分かる。そのため、レースレベル自体は違ってくるのだが、中盤(向こう正面)が速くなりやすい傾向は毎年同様である。ジョッキーがJRAで最も短い直線を意識するため、向こう正面から既に動き出すからである。そのため、ペースや競馬場のコース形態のわりには逃げ馬が残りにくく、先行馬、そしてさらに、内を通って差を詰めることの出来る差し馬にとって有利なレースになる。

スタートから第1コーナーまで400mほどの距離があるため、内枠外枠での有利不利はほとんどない。それでも、4つコーナーを回る小回りの競馬場である以上、第1コーナーまでに内のポジションを取れないと、終始外々を回らされる羽目になる。特に外枠を引いた差し馬は、スローになると苦しいレースを強いられるだろう。そうった意味も含めて、札幌競馬場は騎手の技術が問われるレースになる。

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集中連載:「調教のすべて」最終回

Tyoukyou39

ここまで私の知っている全てのことを書いてきたつもりだが、最後に調教師について述べておきたい。調教を語るにおいて、調教師について触れないわけにはいかないだろう。

競馬の予想をするにあたって、調教師の腕が考慮に入れられることは意外と少ない。競走馬はもちろんのこと、種牡馬、ジョッキーなどの成績や適性は入念に調べ尽くされるのに比べると、馬を管理する調教師の手腕がピックアップされることは稀である。「競馬ブック」や「Gallop」の片隅に調教師リーディングがひっそりと載っているだけで、その存在が大きく馬券に影響を与えるとはあまり考えられていないようだ。トップ10に入るような調教師であっても、多くの競馬ファンは顔を思い浮かべることすら難しいのではないか。

調教師は競馬の世界ではいわば裏方だから仕方ない、という考え方もあるだろう。実際にレースで走るのは競走馬でありジョッキーである。調教師はよく経営者にたとえられることが多いように、よほど大きな企業ではないかぎり、そのトップの顔が表舞台に登場することはない。ただし、それが株を買うということになれば話は別だろう。おそらくその経営者の一挙手一投足に注目するようになるはずで、これまでどれだけの実績を上げていて、これからどれだけの成果を収められそうかをチェックするに違いない。同じことが馬券を買う場合にも言える。

結論から先に述べると、調教師の腕はその勝率と連対率に表れる。追い切りの手法から馬の入れ替えの頻度、馬を扱うにあたっての考え方まで、調教師によって大きな違いはあるが、それらを全てひっくるめて、調教師の技術というべきものは勝率と連対率に凝縮されていると考えてよい。もちろん、大レースになると強い調教師、ダート馬を育てたら上手い調教師など、それぞれの特徴はある。ただ、それらはあくまでも各論であって、総論としては勝率と連対率を見なければならない。

これは騎手の巧さを表す指標と同じである。騎手の総合的な上手さというのは勝率と連対率に表れる。リーディング上位の騎手ほど、良い馬が回ってきて、さらに勝てるという好循環を辿るものだが、必ずしも勝利数が多ければ上手いというわけでもない。どれだけ勝ったかというよりも、どれぐらいのパフォーマンスが出来たかの方が重要ということである。調教師も同じく、どれだけ数多く勝ったかではなく、いかに好走するべくして好走させたかということが問われるのだ。

以下、2009年7月18日時点における、リーディングトレーナーの連対率である。

関東
1、藤沢和雄  .261
2、加藤征弘  .231
3、久保田貴士 .260
4、尾形充弘  .151
5、伊藤圭三  .199
6、宗像義忠  .192
7、萩原清   .239
8、鹿戸雄一 .190
9、和田正道 .117
10、田村康仁 .133

関西
1、音無秀孝 .261
2、池江泰郎 .213
3、矢作芳人 .174
4、安田隆行 .272
5、中竹和也 .198
6、池江泰寿 .241
7、角居勝彦 .230
8、松田博資 .228
9、藤原英昭 .281
10、西園正都 .240

関東と関西のリーディング十傑を記してみたが、パッと見て分かるのは、関西の方が圧倒的に連対率の高い調教師が多いということである。関東では連対率が2割を超えている調教師がわずか3名に対して、関西は8名の調教師が連対率2割以上を超えている。西高東低が叫ばれるようになって久しいが、その格差の要因は、調教施設や輸送時間だけではなく、もしかすると調教師の技術にもあるのかもしれない。誰も触れないダークサイドの部分ではあるが。

続いて関東から見ていくと、やはり上位3名の調教師の腕は確かである。藤沢和雄調教師は言わずと知れた、日本が世界に誇るトップトレーナーであり当然としても、加藤征調教師と久保田調教師は新進気鋭のトレーナーである。このような実力のある若手の調教師が台頭してきていることは、関東の競馬だけではなく、日本の競馬界にとっても喜ばしいことである。さらにリーディング9位に目を移すと、あのロジユニヴァースを管理する萩原調教師の名前が目に入る。勝ち星こそ上記3名のトレーナーに劣るが、連対率を見てみれば、ダービートレーナーに相応しい手腕を持っていることが分かる。

関西は非常にレベルの高い争いが行われている。音無調教師と順位こそ4位に甘んじているが安田隆調教師の腕が冴えていることは一目瞭然である。逆に矢作調教師と中竹調教師は勝ち星こそ稼いでいるものの、まだこれからの成長が望めるトレーナーであることが分かる。そして、関西で特筆すべきはやはり藤原英昭調教師であろう。2007年度の年間連対率は.353で、2008年度は.317という驚異的な数字を残している。2年連続で最高勝率調教師賞を獲得しているように、いまやその技術ということだけでいえば、藤沢和雄調教師を超えているのかもしれない。そう考えると、両調教師の管理馬が叩き合った今年のフェブラリーSは印象的であった。

このようにして見ていくと、また新たな視点からの予想も可能になるのではないか。あのジョッキーが乗るならば買い、あのジョッキーが乗るならいらないと馬券を買っていたのと同じく、あの調教師ならば買いで、あの調教師ならばいらないということにもなるだろう。連対率の僅かな差といってあなどることなかれ。連対率には調教師の腕が凝縮されている。そのわずかな差がゴール前の勝敗を分けてしまうことだってあるのだ。そして、これを機に、お気に入りの調教師を見つけてみてはいかがだろうか。「○○調教師のファン」、「○○厩舎の馬であれば買い」などの言葉が、競馬場のそこかしこで聞かれるようになれば、競馬はもっと楽しくなるはずである。

追記
約1年半にわたる連載となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。秋からは「調教」にこだわった情報発信も計画中ですので、楽しみにお待ちください。これからもよろしくお願いいたします。

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後光が差していたマンハッタンカフェ

Makereviewimg_2今回のメイクレビューは、6月27日~7月5日までの4日間から、目に付いた馬をピックアップしていきたい。

まずは阪神第3日4R(芝1400m)を勝ち上がったツルマルジュピターから。レースに臨むにあたっての調教内容が質量共に良く、「まだソエを気にしていた」(武豊騎手談)ながらも、1.4倍という圧倒的な人気に応えた。スッと抑えられたように、レースセンスがある。ただ、レース振りを観る限り、スピードが勝っているだけにマイルは若干長いかもしれない。馬体に関して言えば、肩から首にかけて少し細く映る。パワーを要求されるような馬場よりも、高速馬場の方が合っているはず。

また次走以降、ツルマルジュピターの最終追い切りにおける追われ方には注目しておきたい。特にこの時期の若駒はソエが出やすいので、レースに行って問題ない程度なのか、それとも力を発揮できない可能性があるのかを見極めておかなければならない。ソエを痛がって満足な追い切りが出来ない場合も、調教不足や太目残りで思わぬ惨敗を喫することもある。

以下は、ツルマルジュピターの新馬戦に臨むにあたっての最終追い切りである。

6/24(水) 栗坂 重 助手55.1-41.5-26.7-12.8 ゴール前強め

重馬場のため、全体の時計は掛かったが、ゴール前では強めに追われている。もしソエで脚元が不安な状態であれば、最終追い切りでは馬なりで流したはずである。強めに追ってきたということは、前走は問題ない程度のソエだったと判断できる。つまり、次走以降で、ツルマルジュピターが最終追い切りを馬なりにとどめてきた場合、脚元の不安による危険信号を発していると判断してよい。かなり危険な人気馬になるだろう。

札幌第4日3R(芝1200m)を勝ったソムニアは、いかにも牝馬らしい好仕上がりにあった。デビューしたてのサラブレッドは、まだ手を抜くことを知らず、スタートからゴールまで一生懸命に走り切る。その中でも特に牝馬は、きちんと能力を出し切るので、勝ちタイムや勝ちっぷりの良さは、そのままその馬の能力を反映する。スペシャルウィーク×エルコンドルパサーという、奥が深そうな晩成血統の馬だけに、この先も十分楽しみがある。ただ、412kgという馬体の線の細さは否めないので、休養を挟んで馬体の成長を待ちたい。

阪神6日4R(芝1200m)の勝ち馬シンメイフジは、レディミューズの仔、つまりあのシンコウラブリイの孫娘にあたる。シンコウラブリイは、実は私が最初に好きになった牝馬であり、引退レースのマイルCSにおける美しい引き際は今でも記憶に残っている。余力を残してターフを去ったシンコウラブリイからどんな仔が誕生するのか楽しみで、その産駒たち(特にロードクロノス)の走りには一喜一憂した。孫シンメイフジのレース振りは、荒削りというか、よくこれだけ他馬を気にしながらも勝ったなという印象を受けた。まともに走ったのは最後の200mぐらいだろう。秘めた能力は相当なものなので、幼さが残る気性が解消してくれば先々楽しみである。応援していきたい。

最後は福島6日5R(芝1800m)を勝ち上がったロードシップ。今回の4頭の中では、最もその能力を評価したい馬である。道中の走りにも余裕があり、4コーナーで捲くった時の脚はなかなかの迫力であった。ゴール前でも余力があったように、まだ底を見せていない。先を見据えて、松岡正海騎手がレースを教えながら勝ったことも大きい。欲を言えば、もう少しトモに筋肉がついて、あと拳一個分、馬体に伸びが出てくると良い。この馬も夏を越しての成長に期待をしたい。

それにしても、前回取り上げたサンディエゴシチーに続き、今回もツルマルジュピター、ロードシップと、マンハッタンカフェ産駒の新馬戦における強さは圧巻である。マンハッタンカフェ自身は菊花賞で頭角を現した晩成タイプであり、血統的にもドイツのステイヤーの血が脈々と流れているだけに、産駒の仕上がりの早さには良い意味で裏切られた。個人的な思い出としては、2004年に社台スタリオンステーションに行った際に、最もインパクトを受けた種牡馬の1頭である。その年に種牡馬入りしたということもあったが、黒光りする大きな馬体は神々しく、まるで後光が差しているようであった。アグネスタキオン亡き後、種牡馬リーディングの頂点に最も近いのはこの馬だろう。

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アイビスサマーダッシュを当てるために知っておくべき3つのこと

Aibisu

■1■牝馬の活躍が目立つ
牡馬・せん馬  【2・4・5・61】 連対率8%
牝馬       【6・4・3・30】 連対率23%

過去7回行われたレース中、牡馬が勝ったのはわずかに2回。しかも、その2回は、あのスプリンターズSを制し、直線1000mコースのスペシャリストであったカルストンライトオによるもの。つまり、それ以外の牡馬は、このレースで牝馬に勝ったことがない。連対率を見ても圧倒的な差が生じている。

理由としては、以下の3つが考えられる。
①平坦コースで牝馬特有の切れ味を生かせる
②揉まれない
③牝馬は気を抜かずにガムシャラに走る

■2■ダート短距離血統の馬に注目
過去の連対馬を見ると、カリスタグローリー、サクラバクシンオー、Capote、スターオブコジーン、ウォーニングなど、ダートの短距離に強い血統の馬が並んでいる。このことからも、一気にアクセルを全開にしてトップギアに入ることのできる、後輪駆動のパワータイプが強いことが分かる。芝のスピードよりも、ダッシュするためのパワーが必要ということである。

■3■外枠有利というよりも
新潟直線1000mは外枠有利と言われるが、本当にそうだろうか。開催が進んで馬場の内側が傷んでくれば、外が走りやすいトラックバイアスが生まれることは確かだが、開幕週であれば馬場の内外は気にすることはない。それよりも、馬は埒(らち)を頼った方が走りやすいということである。直線だけの競馬は馬群が大きくバラけることが多く、他馬との間隔が開きすぎると、馬はフラフラして走りにくい。だからこそ、早めに埒(らち)を味方につけて突っ走った馬が有利ということになる。そういった意味では、手応えの良い馬が集まってくる外枠の方がレースはしやすい。

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追われてからの反応に見どころがあったサンディエゴシチー

Makereviewimg新馬戦が始まったと思いきや、すでに3週間が経ってしまった。メイクデビューや若駒戦の情報を、出来るだけ新鮮な形でレビュー(回顧)したいと思っているので、駆け足で追いついていきたい。その走りにキラッと光るところのあった馬をピックアップし、未来のスターホースの原石を少しでも早く見つけることが出来れば、これ以上の喜びはない。

まずは阪神、福島、札幌で同時に新馬戦が始まった開幕週から。

3場における初日、2日目の新馬戦の勝ち馬の中で、最も注目を集めたのは、3回阪神2日目4R(芝1600m)のダノンパッションだろう。父は早世したアグネスタキオンで、母系は祖母にウインドインハーヘアを持つ。つまり、ディープインパクトの近親ということになる。厩舎もジョッキーも同じとくれば、ディープインパクトをダブらせないわけにはいかない。レースでは中団を進み、直線では鋭く伸びて、ファンの圧倒的な期待(単勝オッズ1.2倍)に応えてみせた。

しかし、血統的な背景から受ける大物感よりも、口向きの悪さだけが私の印象に残った。舌を縛っているように、調教からハミ受けが悪く、人間の意思が手綱を通して伝わりにくい馬なのだろう。こういう馬を、レースに行って真っ直ぐに走らせるのは至難のワザである。武豊騎手だからこそ、何事もなかったかのような完勝に見せかけているが、並のジョッキーであれば勝てていたかどうか分からない。今回は脚力の違いだけで勝てたレースだったが、レースレベルが上がり、もっと厳しい競馬を強いられた時にモロさを露呈する気がする。

もう1頭の注目馬といえば、2回福島2日目の5R(芝1200m)を制したチェリーソウマ。ノーザンテーストを思い起こさせる大流星の白面で、しかも金髪、魚目(青い目)ときているから、人の目に立たないはずがない。血統表を辿っていくと、やはり父サクラバクシンオーの母父にノーザンテーストがいた。レース振りからは、それほど強さを感じなかったが、夏競馬の間であれば楽しめるはず。ガーネットSを勝ったタイセイアトムの下だけに、もちろんダートも走るのではないだろうか。精神面に不安を感じさせる馬だが、細心の注意を払って育てていけば、来年、再来年のアイビスサマーダッシュで勝ち負けになるかもしれない。

これは余談だが、チェリー○○とつく馬を見ると、チェリーコウマンというダート馬を思い出してしまう。私がまだ競馬を始めた頃、オープンで活躍していた馬で、結構長い間にわたって走り続けていた記憶がある。名前の由来は、母チェリーガールと馬主の有限会社孔馬(こうまん)だが、年頃の私には、どうしても違った意味を持って聞こえたのだ。ゴール前でどう応援してよいか分からず、ついぞこの馬を本命にすることは出来なかった。同じ時代に競馬を過ごした方ならば、今、ウンウンと頷いてくれているはずである。

次走への期待を抱かせたのは、1回札幌2日目の4R(芝1200m)を勝ったサンディエゴシチー。スタートしてから少し追っ付けながら追走し、直線では少しモタれる仕草を見せたが、追われてからの反応に見どころがあった。道中の走りにも余裕があり、気性も素直なので、ジョッキーも乗りやすい。着差以上に、他馬とは力が違った。こういうタイプは、もう少し時計が速くなっても対応できる。父はマンハッタンカフェでも母父にラーイが入っているので、距離が延びて良いとは思わないが、マイルまでは十分にこなせるだろう。

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集中連載:「調教のすべて」第30回

Tyoukyou38

■最終追い切りにおける強弱の「変化」
最終追い切りの強さの「変化」で、その馬の体調を見極めることも出来る。ここで言う強さとは、調教時計の一番右に記載されている、“馬也(うまなり)”、“強め”、“一杯”に大別される追われ方の強弱のことである。最終追い切りは、レースに臨むにあたっての最後の仕上げとなるので、ここでの追われ方の強弱は意味を持つことが多い。

たとえば、これまで好走してきたレースの最終追い切りではシッカリと追われていた馬が、なぜか馬也で最終追い切りを終えている場合、もしかすると体調が思わしくなかったり、脚元に不安が出ている可能性があるだろう。たとえ陣営からそういったコメントが出ていなくても、実際は不安を抱えているといったケースも少なくない。馬を預けてくれている馬主や馬券ファンのことを考えると、よほど明らかでない限り、関係者が不安材料をパブリックな場で口にすることは百害あって一利なしだからである。だからこそ、危ないなと思ったら、消しの対象にする、もしくは抑え程度に考えるという対処を私たちがなさなければならないのである。

逆に脚元に不安があって、いつもは馬也でしか追われない馬が、なぜか強めに追われて出走してきた場合、脚元が良くなってきているか、脚元への負担を承知でそのレースに勝負を賭けてきている可能性が高い。このケースは買いのタイミングであり、本命にするもしくは厚めに買うという対処をなすことが出来るだろう。

その馬がこれまでにどのような最終追い切りでレースに臨んできたかということを、1頭1頭しっかりと覚えていることが大切なのである。覚えていなくても調べることは出来るが、その「変化」にパっと気づくことが出来るかどうかが勝負の分かれ目なのである。そのためにも、調教、特に最終追い切りには常に目を留めておかなければならない。

また、休み明けの馬の最終追い切りの強弱を見て、仕上がり状態を見極める方法がある。ごく単純に切り分けると、以下のようになる。

一杯→△(少し太め残りかも)
強め→△(普通の仕上がり)
馬なり→○(仕上がり良好)

休み明けのレースに臨む馬の場合、緩めた馬体を再び走れる状態に仕上げるため、最終追い切りにおいてもビッシリと追われることが多い。あまりにも目一杯に追われていると、太目残りを心配しなければならないが、一杯や強めの追い切りはごく当然のことであり、可もなく不可もない(△)と考えるべきである。

ところが、休み明けのレースに臨む馬が、最終追い切りを馬也で終えた場合、かなり仕上がっていると判断してよい。もちろん、脚元に不安があって、ビッシリ追い切ることが出来ない馬は別とするが、最終追い切りを馬なりで済ませられるということは、それまでの調教過程において、かなり順調に仕上がっている(○)ということを意味するのだ。

たとえば、ダービー馬であるメイショウサムソンにとって、平成19年の天皇賞秋は負けられない戦いであった。天皇賞の春秋連覇が懸かっていただけではなく、馬インフルエンザというアクシデントによって凱旋門賞行きの道が閉ざされてしまった直後の一戦だったからである。出走すら叶わなかった悔しさを晴らさなければならないという気持ちはもちろん、それ以上に、もし負けてしまえば、凱旋門賞での好走など結局おぼつかなかったと烙印を押されてしまうからである。日本の看板を背負って走るはずであった馬が簡単に負けるわけにはいかないのである。

そんなメイショウサムソンの、天皇賞秋に臨むに当たっての追い切りの過程を見てみたい。

天皇賞(秋)(G1) 結果 : 1着
09/26(水) 栗坂 重 助手 53.7-39.0-25.3-12.6 馬也
09/30(日) 栗坂 稍 助手 57.2-42.0-28.1-14.3 馬也
10/03(水) 栗坂 稍 助手 51.9-37.9-24.8-12.4 一杯
10/11(木) 栗坂 良 武豊 51.0-37.4-25.0-12.8 強め
10/17(水) DW 良 武豊 79.7-64.6-51.2-38.1-12.3 一杯
内メイショウディオ一杯を6Fで1秒追走3F併せで1秒先着
10/21(日) 栗坂 稍 助手59.3-43.2-28.2-14.1 馬也
10/24(水) DW 良 武豊 85.0-68.4-53.7-39.2-12.1 馬也

宝塚記念後、放牧に出されることなく厩舎で調整され、9月に入ってからは本格的な乗り込みを再開したメイショウサムソンは、10月には3本の好時計を叩き出すほど仕上がっていた。太りやすい体質のため、いつもは最終追い切りには併せ馬でビッシリ追われることの多い馬が、この年の天皇賞秋では馬也でサラッと流す程度の追い切りに終始したのである。どこか(脚元等)に悪いところがあるわけではなく、まさに仕上がりが良好だったからこその馬也であった。

いざレースに行っても、ロケットスタートから好位を奪い、道中はリラックスして走り、最後の直線に向くやあっという間に先頭に立ち、そのまま後続との差を広げるばかり。G1レースを4勝したメイショウサムソンにとっても、この天皇賞秋はベストレースであろう。あまりにも仕上がりすぎていたため、このあとのジャパンカップと有馬記念では体調を落としてしまったのも仕方ない。休み明けを感じさせない、究極の仕上がりであった。

最終追い切りにおける強弱の「変化」を見るだけで、その馬の体調から脚元の不安の有無まで見て取ることも可能なのである。

(最終回に続く→)

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プロキオンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Prokions

■1■1番人気が圧倒的に強い
初夏の阪神開催に移った2000年以降、過去9年間で1番人気は【6・3・0・0】と連対率100%という圧倒的強さを誇る。これはが実績馬に有利な別定戦であることが最大の理由である。だからといって1番人気を買えばよいというのは早計で、実績馬がそれほど重い斤量を背負わされないため、力のある馬が順当に勝つというのが本当の意味である。

■2■先行・差し馬向きのレース
12.0-10.3-11.1-12.1-12.3-12.5-12.7(33.4-37.5)H
12.3-10.5-11.5-12.0-11.8-11.6-12.6(34.3-36.0)H
12.2-10.6-11.1-11.7-11.9-12.1-12.3(33.9-36.3)H
12.0-11.0-11.5-11.7-11.6-12.0-12.2(34.5-35.8)H
12.3-10.1-11.0-11.9-12.1-12.4-12.9(33.4-37.4)H
12.0-11.0-11.6-11.8-11.6-11.7-12.3(34.6-35.6)H

過去6年、例外なくハイペースに流れていて、前に行く馬にとってはかなり厳しいレースとなる。それでも先行馬が活躍しているのは、阪神1400mダートコース(内回り)の最後の直線が352mと短いからである。後ろから行く馬向きの展開になるにもかかわらず、意外と直線が短くて差し切れないという現象が起こるのだ。逃げ馬にとっては苦しいレースだが、かといって追い込み馬も届かないという、先行・差し馬向きのレースとなる。

■3■外枠が有利
阪神1400mダートコースはスタート地点が芝となっていて、外枠から走る馬の方が芝を走る距離が長い。そのため、外枠に入った馬(特に先行馬)は、内枠に入った馬に比べ、スピードに乗りやすいという利点が生じる。先行・差し馬向きのレースと前述したが、特に外枠に入った先行馬には要注意である。

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メイクレビュー

Makereviewimg_3この夏からの新企画として、新馬戦、未勝利戦を勝ち上がった馬を中心に取り上げていく「メイクレビュー」を始めたい。若駒戦における情報や新馬の見方などを知りたいという声も多く、ご要望に少しでも応えられればと思う。ただ、全てのレースをレビュー(回顧)するのはキリがなく、またあまり意味もないと思うので、その走りにキラッと光るところのあった馬をピックアップしていきたい。未来のスターホースの原石を少しでも早く見つけることが出来れば、これ以上の喜びはないだろう。ちなみに、「メイクレビュー」はメイクデビューをもじったものある。

なぜこの夏の時期から始めるかというと、なんといっても近年、有力馬(素質馬)の始動が格段に早まりつつあるからだ。私が競馬を始めてからずいぶん長い間、有力馬(素質馬)は秋にデビューするのが常であった。かなり古い話になるが、7冠馬シンボリルドルフは夏の新潟でデビューを飾ったのだが、当時はかなり珍しいというか型破りなローテーションとされていた。早い時期にレースに使うこと、また使うために早めに仕上げてしまうことで、その馬の成長を阻害してしまうという考え方が多くの競馬関係者に浸透していたからである。

今年のダービー馬ロジユニヴァースは、7月6日、阪神4R、芝1800m戦でデビューした。その後、3ヵ月の休養をはさみ、プラス26kgと大きく成長した馬体で札幌2歳Sを圧勝した。そして、その後はご存知のとおり、皐月賞での大惨敗を乗り越え、ダービーで見事に復活を果たした。2歳夏の新馬戦を制した馬が、およそ1年後、成長のピークが早すぎても遅すぎても勝つことが難しいダービーを勝つのだから、時代は変わったと考えるべきなのだろう。

育成時代の環境が大きく変わり、かなり早い時期からバリバリと乗り込まれて入厩してくるため、どの馬も自然と使い出しのタイミングが早くなる。そうなると、有力馬(素質馬)といえども悠長なことを言っておられず、前倒しのローテーションで勝ちに(賞金を稼ぎに)行かなければならない。たとえ素質が高くとも、何としても勝ち上がりたい馬たちが溢れる秋のレースでは、除外等の憂き目にあってしまうことも少なくないからだ。だからといって、勝つことと成長を促すことのバランスのさじ加減を少しでも間違えると、あっと言う間に早熟馬やクラシックに間に合わない馬が出てしまう。現状で考えうる限りにおいては、ロジユニヴァースのように、夏に1戦だけ走って賞金を追加しておくのがベストであろう。

また、夏でもマイルや1800mの新馬戦が組まれたことも大きい。たとえ馬が既に仕上がっていて、いつでも勝てる状態になっていたとしても、クラシックを目指す馬を1000mや1200m戦でデビューさせることには不安がある。サラブレッドの原体験となる新馬戦で体感したレースのリズムは、その馬の将来の距離適性を規定してしまうことが多いからだ。シンボリルドルフは1000m戦でデビューしたのだが、野平祐二調教師は主戦の岡部幸雄騎手に「1000mのレースだけど、1600mのつもりで乗ってくれ」と伝えたという。現在の番組編成においては、そのような余計な心配をしないで済むようになり、ロジユニヴァースのように1800mという適切な距離でデビューすることが出来るようになったのだ。

このような時代の移り変わりに合わせ、夏からの新馬戦にも注目していきたい。どのような形で始まり、どのような形で終わるのか私にも分からないが、来年のクラシック戦線へとつながる布石を探しつつ、その中で若駒戦の見方や楽しみ方を少しずつ紹介していければと思う。

新馬戦が始まり、新しい競馬の幕が開ける。

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七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tanabata

サマー2000シリーズの第1戦目。七夕の夜には、天の川の両側にある彦星と織姫星が年に一度会うはずなのだが、七夕賞で牡馬と牝馬のワンツーは過去10年で一度もない。というよりも、牝馬の出走すらほとんどなく、牡馬同士のガチンコ勝負が繰り広げられるハンデ戦となる。

■1■上がり時計不問
12.2-11.7-12.0-12.2-12.2-12.2-11.8-11.8-11.9-12.7(60.3-60.4)M 36秒4
12.8-11.4-12.1-12.5-12.6-12.3-11.6-11.6-12.2-12.6(61.4-60.3)S 36秒4
12.5-11.2-11.6-11.4-11.9-12.0-12.5-12.5-12.3-12.5(58.6-61.8)H 37秒3
12.4-11.5-11.8-11.6-11.7-11.7-11.8-12.0-12.1-12.7(59.0-60.3)H 36秒8
12.3-11.1-12.1-12.2-12.1-11.9-12.0-12.0-12.1-12.5(59.8-60.5)M 36秒6
12.5-11.3-11.9-12.1-12.5-12.0-11.7-11.9-11.7-12.2(60.3-59.5)M 35秒8

過去10年で、全体の上がり3ハロンが36秒を切ったのは、わずかに2度のみ。馬場の劣化と、息の入らないペースによって、上がり時計が不問になる。軽い瞬発力ではなく、その対極にある、パワーとスピードの持続力が求められるレースである。もちろん、こういう上がり時計不問のレースでは前に行った馬が有利になる。

■2■マイラーでもステイヤーでも厳しい
直線の短い小回りコースということもあって、スタート直後からガンガン飛ばしていく速い流れになりやすく、最後は底力の勝負になり、豊富なスタミナが要求される。そのため、純粋なマイラーにとっては厳しいレースとなる。かといって、ステイヤーに向くかというとそうでもなく、ステイヤーは道中の速く厳しい流れに戸惑ってしまうことになる。どちらかに偏っていない、中距離馬を狙い打つべきである。

■3■ハンデがハンデにならない!?
斤量         成績       連対率
49kg以下     【0・0・0・7】    0%
49.5kg~51kg 【0・0・1・12】   0%
51.5kg~53kg 【2・3・3・32】  13%
53.5kg~55kg 【1・3・2・36】  10%
55.5kg~57kg 【6・2・4・21】  23%
57.5kg~59kg 【1・2・1・4】   38%

ハンデ戦にもかかわらず、ハンデが重くなるにしたがって連対率が上がる傾向がある。そして、勝ち馬は55.5kg~57kgのゾーンに集中している。

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ライオンのハートを持つジョッキー

Dettori

ラフランコ・デットーリ。世界最高のジョッキーの名である。L・ピゴット、R・ピンカイ、C・マッキャロン、C・アスムッセン、Y・サンマルタンなど、世界的、歴史的に名だたるジョッキーは多けれども、デットーリ以上のジョッキーを私は知らない。これは比較論ではなく、私のイマジネーションの限りにおいて、デットーリは唯一無二の存在なのである。私と同時代に、競馬に青春を捧げてきた方であればお分かりいただけると思う。それほどの衝撃を持って、デットーリ騎手は私の競馬人生に立ち現れたのである。

私が初めてデットーリという名を知ったのは、彼がまだ20代前半、ヤングジョッキーシリーズにムチ一本持って来日した時である。世界各国の将来有望な若手ジョッキーが集まる中、彼は圧倒的な存在感を示した。来るはずのない馬を当たり前のように勝たせてしまう。条件戦で全く勝負になっていなかった芦毛の馬が、まるでオグリキャップのような走りで快勝した。そういう奇想天外が、ただ1度の話ではなく、2度、3度と続いた。競馬は馬が走っているのではなく、もしかすると騎手が馬を走らせているのではないか。10代の私はそう直観させられた。

それからかなりの歳月が流れ、私の直観が消え入りつつあったちょうどその頃、衝撃は再びやって来た。2002年、JCダートとジャパンカップでイーグルカフェとファルブラヴを勝たせ、日本競馬史上初の2日連続G1レース制覇を達成したのだ。少しは競馬が分かるようになっていた私は、その2つのレースを観て、競馬は馬が走るのではなく、騎手が馬を走らせていると確信した。その確信は3年後のジャパンカップで信奉へと変わっていく。

馬を動かす技術やポジション戦略の巧さ、関節の柔らかさなど、デットーリ騎手の長所を挙げればキリがないが、ジョッキーとしての最大の強みは、馬が動くということである。たとえ同じ馬でも、ある騎手が乗れば全く動かず、別の騎手が乗れば全く別馬のように動くという。乗馬をやったことがある方ならピンと来るだろう。機嫌を損ねたり、ナメられてしまうと、馬は背にいる人間の言うことを一切聞かず、テコでも動かなくなる。競馬のサラブレッドと騎手の間にも同じことが当てはまる。騎手が持っている何かが馬に伝わり、それを感じて馬は走る。

その何かがなんであるのか、最近になって少しずつ私にも分かってきた。それは心(ハート)ではないだろうか。ジョッキーとしての心が馬を動かす。ゴール前の叩き合いでも、ジョッキーの心が馬にも伝わり、ハナ差だけ前に出すのである。ちなみにデットーリ騎手はジャパンカップをシングスピール、ファルブラヴ、アルカセットで3勝しているが、いずれもハナ差の接戦である。別にロマンを語っているわけではなく、これが競馬の真実なのだ。サラブレッドもジョッキーも最後は心(ハート)で走る。ぶっつけでダービーを制した神の馬ラムタラを、「彼はライオンだ」とデットーリ騎手は称したが、それは彼自身にも当てはまる。ラフランコ・デットーリ。ライオンのハートを持つジョッキーの名である。

special photo by Ichiro Usuda

関連リンク
「ガラスの競馬場」:心を動かした騎手デットーリ
「ガラスの競馬場」:世界をナメるな!!
「ガラスの競馬場」:動じることなく

今年のダービー壁紙プレゼント企画にて、「あなたの好きな騎手は?」というアンケートで頂戴した皆さまからのお答えを、以下に掲載させていただきます。

岡部幸雄騎手
競馬というスポーツの存在を知ったとき
すでに偉大な騎手だった岡部騎手
ひざの故障を乗り越えて
坊主頭で復帰した岡部騎手

ダンスインザムードが勝った桜花賞での
武豊騎手へ乗り替わりには
競馬の厳しさを教えられたような気がします

好きな理由は
強いていえば名前ですかね
とてもカッコいい名前だと思います

ワシヲさん

横山典弘騎手
はっきりした理由があるわけではないのですが(あまりにG12着が多いからですかね?)、
ダービー勝ったときは馬券を離れて嬉しかったです。決して馬の状態は良くなかったはずで、おそらく馬場が渋らなければ勝てなかったでしょう。横山騎手の競馬に対する真面目な姿勢に神様が微笑んだというところでしょうか。

Mhさま

10年位前の武豊騎手
→馬を巧く操っていたと記憶している(調教でも巧いと思ったことが何度も有った)
安藤勝己騎手
→見ていて安心感がある
万券を演出してくれる騎手全て
→自分の買った馬券に絡んでくれる騎手
鬼太郎(キタロウ)さん

横山典弘 騎手
競馬を始めたのがライアン4歳の春。
で、初めて好きになった馬もライアンです。
クラシック戦線でライアンを応援するに自然と横山騎手も好きになっていました。

当時は武 騎手絶頂の時代。
横山騎手は、1年後輩の偉大なライバルに対して闘争心を剥き出しにしていた感じです。
自分もかなり勝ち気な性格ですので、そんな横山騎手を共感をもって応援していました。

ライアン引退後、横山騎手を特集したビデオが発売され購入しました。
そのビデオの中で、彼は騎乗スタイルに関して
「格好良く乗って、格好良く勝つこと」と確か話していました。。。
今の彼からは想像もできない事ですよね。

つちーさん

武豊騎手
まだ競馬を始めて日が浅い(5年?)ので、騎手の個性まではよく分かりません。ですが、基本的にはどのようなスポーツでも「天才」タイプが好きです。
タビノナカマさん

武豊騎手
豊のデビューと私が競馬を見始めたのが同じで、豊がいなければ今でも競馬好きな自分がいないかも・・・やっぱりファンを大切にする姿がほんと格好良いです。また、ベタですが騎乗フォームが一番格好良いからかなぁ・・・メジロマックイーン、スキーパラダイス、ナリタタイシン、ベガ。この4頭に乗ってる豊は最高でしたね(笑)
ぽんでらいおんさん

三浦皇成騎手
若くしてJRA通算100勝を達成し、これからもどんどん伸びる可能性のある騎手だから。加えて某テレビ番組で見た、素直なキャラクターに惹かれたから。
Dibluesさん

横山典弘騎手
どこかの自称(?)男、と違って本当の男だから
もろこしさん

江田照男騎手
テンジンショウグンを日経賞で勝たせてくれた。そもそも穴馬を持ってくるとんでもない騎手。
はやひでさん

戸崎圭太騎手
中央の騎手ではなくて、ルール違反かもしれませんが。前開催の東京競馬場でも騎乗何鞍かあったのであえて選びました。南関東リーディングにもかかわらず、勝利騎手インタビューでは、まるで新人騎手のようなひたむきな話がきけるのが好きです(南関東の重賞を勝った時ですが)。先日は、東京競馬場のフリーウェイステークスでロールオブザダイスを先行して3着に持ってきまいたが、ダイオライト記念の時にフリオーソの直後につけていたこの馬の持ち味をしっかり見ていたいたんじゃないかと思いました。10年後がとても楽しみな騎手です。
むまきちさん

武豊騎手
同世代というか同い年です。学生の頃に同学年の武君が天皇賞を穫ったりするのを見ていて驚き、あこがれていたものでした。最近元気がないので寂しいですが、もうひとがんばりしてほしいものです。
Saitoさん

田中勝春騎手
はずしても憎めないところ
たくちちさん

藤田伸二騎手
昔はどうだったかわかりませんが、今は良き兄貴という感じで好感がもてます。
京都のスワンさん

浜中俊騎手、北村友一騎手
若いこと。浜中は小倉で、北村は札幌で積極的に力試しをしていることが何よりですね。あとはタカビーにならないでくれればおのずと結果がついてくると思います。昔はかわいかったあのマツオカでも最近はチョリーッスってG1勝っちゃいますからね。あれでは伸びないでしょう。残念です。
ともきちさん

小牧太騎手
感情に素直なところでしょうか。とはいっても「チョリース」みたいなものとは別で(笑)"泣き虫太"という本も出てるように泣き虫となってますが、 念願のレースを勝てて泣ける騎手は好きですね。なんだかすごく身近なとこに感じるのも好きなとこですね。園田では勝ちまくってたらしいですが、移籍後は苦しみぬいていて、漸くサマージョッキシリーズ優勝したりと光が差し始めてる。最近はもうずっと注目です!怒涛の追い込みを決める独特のフォームも流石小牧!と思ってたりします。
BJさん

伊藤工真騎手
伊藤騎手の出身が、現在私が住んでいる郡山というので競馬学校入学から注目していました。中央の騎手免許取得の同期生には、あの武豊騎手のデビュー年の勝利数記録を更新した三浦皇成騎手や年間最多勝記録の524勝を持つ内田博幸騎手(現在2009年リーディング)などがいるという錚々たる顔ぶれが揃っています。彼の尊敬する騎手は横山典弘騎手とミルコ・デムーロ騎手との事。治郎丸さんが初めて好きになったという横山騎手の名前が出てきていますね!!今の伊藤騎手は、その昔の横山騎手のように『追える騎手』というイメージが強いです。これから、どのように進化していくのかを楽しみにしています。
ハロさん

戸崎圭太騎手
最近中央競馬にもよく乗りにきているのですが、よく人気より上位に持ってきてくれますし、穴馬券で一番お世話になっている馬券相性のいい騎手なので選びました。地方ではよくアドマイヤの馬に乗っているので中央入りしたら近藤さんの馬にもよく乗るようになるのかなーなんて思ってます。
たぁさん

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函館スプリントSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

①ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
②1200m以上のスタミナを有していること

①はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。中京の後半開催になったCBC賞もパワー型の馬が活躍するレースであり、CBC賞組で好走した馬が順調に来れば、素直に力が反映されることだろう。

②は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

注)今年の函館スプリントSは札幌で行われるため、1回開催であれば、上の①はそれほど問われないかもしれない。ただし、札幌競馬場も洋芝100%の特殊な馬場だけに、スピードだけでは通用しないことは確かである。②については函館競馬場で開催される時と同等に考えてよいだろう。

■2■ラップ分析
過去6年のラップ
11.8-10.5-11.2-11.6-11.7-12.5 (33.5-35.8)H
11.8-10.6-11.3-11.8-11.5-12.4 (33.7-35.7)H
12.2-10.4-11.0-11.5-11.6-12.3 (33.6-35.4)H
12.2-10.7-11.2-11.6-11.8-11.6 (34.1-35.0)M
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0 (32.8-35.6)H

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

注)札幌1200mも第1コーナーまでは406mと長く、ペースは自然と速くなり、レースは前傾ラップとなりやすい。ただ、1回開催ということを考慮すると、クッションの利いた絶好の馬場であるため、多少ペースが速くとも前に行った馬は止まりにくい。前が止まりにくい小回りコースである以上、今年は内枠の先行馬を狙うべきか。

■3■牝馬の活躍
昨年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制した。過去10年の連対率も28%【6・1・1・17】と、牡馬セン馬の11%【4・9・9・92】に比べ圧倒的に高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で活躍するという典型的な例である。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

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ラジオNIKKE賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Radionikkei

■1■G1帰りの馬は消し
かつては「残念ダービー」と言われていたほど、ダービーに出走できなかった馬や、出走しても好走できなかった馬が好走したレースだが、過去10年では、前走がG1レース(ダービー、NHKマイルC、オークスなど)であった馬の成績は【1・1・3・20】と奮わない。前走が500万下であった馬の成績【4・6・1・30】と比べると、その差は明らかである。

それもそのはずで、前走がG1レースであった馬は、そのレースに向けて100%の仕上げで臨んでいるからである。目に見える見えないにかかわらず、ほとんどの馬の体調は、良くて前走から平行線、悪ければ下降線を辿って出走してくる。たとえG1レースに出走したような力のある馬でも、走られる状態になければ好走は望めない。

■2■1800m以上のスタミナ
この時期の福島競馬場は、芝が傷んで力を要する馬場になっている。野芝が成長を始めるものの、1回開催から期間が短いため、馬場の傷みは回復することなく進行していくからである。特に3~4コーナーにかけて内側の芝はかなり傷んでおり、各馬が馬場の良い外々を回すため、必然的に1800m以上の距離を走ることになる。

過去7年間のラップ
12.5-10.7-11.3-11.9-11.8-12.5-12.3-12.6-12.7(46.4-50.1)H
12.8-11.8-12.2-12.6-12.2-11.7-11.9-11.5-11.7(49.4-46.8)S
12.6-11.1-11.6-11.6-11.7-11.7-11.9-12.4-12.5(46.9-48.5)H
12.3-10.9-11.3-12.0-12.0-11.7-12.0-12.4-12.6(46.5-48.7)H
12.5-11.2-11.8-12.6-12.4-12.1-12.5-12.1-13.3(48.1-50.0)H
12.6-11.5-11.3-12.2-12.4-12.3-11.6-11.6-12.2(47.6-47.7)M
12.6-10.8-11.7-12.6-12.2-11.7-11.6-11.4-12.2(47.7-46.9)M

また、過去7年間のレースラップ(上記)を見てみると、ヴィータローザが勝った5年前のレースは例外として、ほとんどのレースが前傾ラップとなっている。各ジョッキーが直線の短さを意識し、好位を確保するために、前半からかなり厳しいペースでレースが流れていることが分かる。

つまり、以上の2点から、小回りの1800mというコース設定ではあるが、実は字ヅラ(1800m)以上のスタミナが必要とされるのである。

■3■長くいい脚を使える馬
福島競馬場の最後の直線は297mと短い。そのため、直線に向いてからの追い出すのでは遅く、各馬のスパートは3~4コーナーにかけて既に始まっている。コーナーを回りながらの仕掛けとなるため、一瞬の切れ味は生かしにくく、どちらかというとジワジワと伸びるタイプの馬にとって有利となる。もちろん、福島競馬場で実績のある馬は求められている適性に近いということだろう。

また、菊花賞を勝ったダンスインザダークの産駒や、将来の菊花賞2、3着馬が活躍していることからも、ラジオNIKKEI賞と菊花賞の間には深い連動性があることが分かる。求められている適性(長くいい脚を使える)が似ているということである。つまり、ラジオNIKKEI賞で好走した馬は菊花賞でも好走の確率は高く、逆に菊花賞で好走しそうな(血統の)馬がいれば、ラジオNIKKEI賞でも狙ってみても面白いということだ。

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