連勝している馬ほど危険
連勝している馬は、それだけで人気になってしまう。馬柱に1、1、1…と数字が並んでいれば、誰が見ても勢いを感じるだろうし、その馬の能力の高さが分かるからである。競馬をよく見ている人ほど、その勝ちっぷりの良さを知っていて、そしてここ最近ではその馬が勝つところしか見ていないように思えるだろう。そんな馬をいきなり馬券の対象外とするのは難しく、どちらかというともう一丁を期待して、渾身の◎を打ちたくなるのも当然である。
しかし、実は連勝している馬ほど危険な馬はいない。走る能力のある馬であれば、何かのきっかけ(脚元や気性の不安が解消されるなど)でポンポンポンと3連勝することはできても、4連勝、5連勝することは極めて難しいのである。連勝の壁は、3と4の間が高く、4と5の間はさらに高い。ドミノ倒しのように3、4、5と倒れていくのではなく、3、4、5と段々高くなっていく壁を登っていくイメージである。シンボリルドルフやディープインパクトのように傑出している馬は別として、その他の馬たちにとって、4連勝、5連勝は難しいのだ。
なぜならば、連勝していくにつれ、戦う相手が強くなっていくからである。当たり前のことだが、連勝してクラスが上がっていくと、同じように能力の高い馬と走らなければならなくなる。1000万下と1600万下では走破タイムも違うし、レースの厳しさも異なる。1600万下とオープンではなおさらである。これも連勝の論理と同じで、クラスが上がっていけばいくほど、壁は高くなってゆく。勝てば勝つほど相手が強くなり、勝つのが難しくなってくるのは自明の理だろう。
もうひとつの理由は(といっても競馬ではこちらの方が大きいのだが)、連勝するために体調を維持することが難しいからである。競馬で連勝することの難しさは、実はここにある。たとえどれだけ能力の高い馬であっても、肉体面、精神面でのコンディションが悪ければ負けてしまう。シンボリルドルフが秋の天皇賞でギャロップダイナに強襲されたのも、ディープインパクトが有馬記念でハーツクライを捕らえられなかったのも、体調が優れなかったからに他ならない。サラブレッドという繊細な生き物の特性上、常にベストコンディションを保ってレースに出走することは、極めて難しいのである。
そこが3連勝と4連勝の壁であり、4連勝と5連勝の壁でもある。たとえば、1ヶ月に1回のペースでレースに出走し、休養を挟むことなく連勝を3に伸ばしたとすると、およそ3ヶ月の間、コンディションを保っていたことになる。しかし、なかなかそれ以上になると苦しい。サラブレッドの体調には必ずバイオリズムがあり、3ヶ月以上にわたってベストコンディションを保ち続けることは至難のワザなのである。かつて藤沢和雄調教師が春3走、秋3走がベストと言っていたのは、そういう意味でもある。
また、レースとレースの間に休養を挟んで連勝を3に伸ばしたとする。すると、一度馬体を緩めてから改めて仕上げ直すことになるため、毎回毎回休み明けでもキッチリと仕上げていることになる。それはそれで難しいことでもあるし、次もキッチリ仕上げて勝たなければならないという人間側のプレッシャーが長期間にわたるため、それが馬にも伝わり、精神的に休まっていない状態が続くことになってしまう。今年の皐月賞でロジユニヴァースが思わぬ惨敗を喫したのも、連勝による精神的な疲れがピークに達してしまっていたことにある。特に無敗でクラシックに臨むプレッシャーは計り知れない。
だからこそ、連勝している馬ほど危険な存在はいないのである。見た目とは裏腹に、一寸先は闇という状況が続いているのだ。競馬というスポーツもしくはゲームの構造上、同じ馬が何度も続けて勝つことは困難なのである。競馬は勝ったり負けたりして成り立っていて、その勝負の綾の上に名馬やドラマが生まれるのだ。今週のセントライト記念には3連勝中のアドマイヤメジャーが出走するが、この馬も危険な人気馬であることは確かである。もしここを勝って4連勝で菊花賞に臨むことになったとしても、本番ではさらに危険な人気馬になることは、このエントリーを読んでいただいた方ならお分かりいただけるだろう。
photo by fake Place

菊花賞2
有馬記念
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天皇賞春2
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宝塚記念2
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凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
確かに“勝ち続ける”ことはどんなスポーツでも難しいですね。だからこそ、人々を魅了してやまないし人気も出るんでしょうね
ただ今回チョット気になったのが
>シンボリルドルフが秋の天皇賞でギャロップダイナに強襲されたのも、ディープインパクトが有馬記念でハーツクライを捕らえられなかったのも、体調が優れなかったからに他ならない。
うーむ、休み明けながら横綱相撲という勝ちに行く競馬をしてチョイ負けしたルドルフには、その言いわけが“百歩譲って”きくとしても
ディープインパクトの場合、ハーツクライ自身も勝ちに行く競馬をしており、“単に相手も強く、あの時点で古馬相手との力差があった”と認める以外、言いわけはしてはいけない!と思います
おそらくそうしたディープへの甘い評価が、客観的に見ている競馬ファンを“アンチディープ派”にさせるのだと思いますよ
“アンチルドルフ派”がルドルフの強さを認めているのに対し、“アンチディープ派”が本気でディープの強さを認めていない風潮は、そういった「飛ばなかった」「調子が悪かった」、こうした言いわけの露出の多さにあると思います
ディープの強さを認めているなら、体調うんぬんを言わないことこそが……と思うのですが
チョッピリ厳しく偉そうな言い方で申し訳ありません。コメントを真剣に書きたくなるくらい、毎回楽しみにしているからこそ!とご了承下されば幸いです。
武虎
Posted by: 武虎 | September 19, 2009 at 11:19 PM
こんばんは。
競馬歴数年の頃、競馬新聞を眺めながら
「3連勝はソコソコ、4連勝は一流の証」(休養をはさまないことが条件)
というのを感覚的に決め付けていて3連勝の馬がいると「ここが試金石だな」と友人達と一緒にワイワイやっていた頃を思い出しました。
結構感覚というのも大事かもしれませんね。
Posted by: 本命ドリパス | September 19, 2009 at 11:22 PM
武虎さん
こんばんは。
連勝している馬は危険でしたね。
ディープインパクトもシンボリルドルフも、体調が悪ければ本来の走りが出来ないと私は両馬に教えてもらいました。
その最たるケースが天皇賞秋と有馬記念だったのではないでしょうか。
あの時のシンボリルドルフは明らかに道中でもエキサイトしていて、ゴール前では完全にガス欠を起こしていました。
ディープの有馬記念も、菊花賞を勝った時が最高の仕上げでしたので、完全に体調が下降線を辿っていました。
決して甘い評価をしているわけではないですよ。
シンボリルドルフもディープインパクトも世紀を代表する強い馬です。
武虎さんのご意見も嬉しいですよ。
色々な考え方があると思っていますし、毎回楽しく読んでいただいているからこそだと思います。
これからもまたよろしくお願いいたします。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 21, 2009 at 12:03 AM
本命ドリパスさん
こんばんは。
アドマイヤメジャー負けてしまいましたね。
4連勝、5連勝するのは本当に難しいことです。
分かっていても1番人気に推されるのは、
これまた競馬の難しいところなのでしょう。
いよいよ秋のG1シリーズが近くなってきました。
菊花賞、秋華賞も待ち遠しいですし、
まずはスプリンターズSが楽しみです。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 21, 2009 at 12:06 AM
トランセンドしかり。アドマイヤメジャーしかり。
連勝するほど怪しい気持ちは持ってます。
いつ連勝が途切れるか・・・というのと同じくらいに難しいのが、負けた次走をどうするか?
マチカネニホンバレは勝ちましたね。
こうなると前走負けた原因は何だったのか?こちらに興味が移る訳です。
※この馬の場合は前走スタートして先行出来ずに揉まれたのが原因だと分析しているのですが。。。
Posted by: はやひで | September 22, 2009 at 06:52 AM
はやひでさん
そうですよね。
連勝が途切れた馬の次走の考え方は難しいです。
色々なパターンの途切れ方があるので、
すぐに巻き返す馬もいれば、そうでない馬もいますね。
今年で言えば、ロジユニヴァースの巻き返しには正直感動しました。
並みの馬ではあそこまですぐに這い上がって来れないでしょう。
あれっ、ロジユニヴァースは神戸新聞杯には出ないのですね。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 22, 2009 at 08:50 PM