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スプリンターは大きくなければ

Jiromaru

いよいよ待ちに待った秋のG1シリーズがやってきました。第1弾はスプリンターズSです。昨年は私にとって最強のスプリンターであるサクラバクシンオーの思い出を書きました。今でもその思いは変わりません。おそらくこの先ずっと変わらないでしょう。ただし、牝馬のスプリンターということであれば、スリープレスナイトは最強の1頭ではなかったかと思います。過去形で書かなければならないことが寂しいのですが、本当にそう思います。確かにフラワーパークやビリーヴも強かったのですが、スリープレスナイトはその2頭を凌ぐパワーを秘めていました。

私にとっては、北九州記念での走りが最も印象に残っています。あの時期の小倉の傷んだ馬場をものともせず、押し切ったパワーは牡馬顔負けでした。海外に行って、オーストラリアや香港のマッチョなスプリンターたちとまともに戦えるとすれば、スリープレスナイトを置いて他にはいなかったのではないかなぁ。走る馬の宿命とはいえ、屈腱炎とは…。ようやく体調が戻ってきたところだっただけに、陣営の無念は余りあることでしょう。ディープスカイもそうですね。今年の秋の古馬中長距離戦線の3連勝(天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念)もあると思っていただけに、非常に残念です。実力馬のリタイアが相次ぎ、今年の秋のG1シリーズは混戦模様ですね。

さて、千秋楽の朝青龍と白鵬の火の出るような勝負をみていたら、ヒシアケボノのことを思い出してしまいました。そう、ヒシアケボノの名前の由来はあの横綱の曙です。馬主である阿部雅一郎氏がアメリカのセールで、骨格の異常にしっかりしていた当歳馬を競り落とした瞬間に思いついた名だそうです。その後も順調に成長を遂げたヒシアケボノは、新馬戦のパドックになんと552kgという馬体重で登場しました。名は体を表すという格言をまさに体現した馬でしたね。

ヒシアケボノという名の馬を本当に知ることになったのは、未勝利から3連勝して臨んだ京王杯オータムハンデで3着と粘った頃でした。シャドーロールと巨体を揺らしながら走るその姿に、大物の予感がしました。そんな私の期待に応えるように、続くスワンSを+11kgの馬体で快勝しましたが、この勢いでと思わせたマイルCSでは早めに先頭に立ったものの、ゴールまで粘り切れずに3着に惜敗。大きすぎる身体を持て余しているようで、なんだかもどかしい走りでした。やはりG1レベルのレースでは、馬体が重すぎることはネックになるのかと思えました。

そして、私が初めてヒシアケボノの巨体を目の当たりにしたのは、その年のスプリンターズSでした。実を言うと、私はそのレースではビコーペガサスという小柄なスプリンターを応援していたのですが、パドックで悠然と歩く1番人気のヒシアケボノを見て、底知れぬ恐怖を感じました。ビコーペガサスの馬体は430kg台、ヒシアケボノは550kg台でしたから、なんと120kgの違いがあったのです。大人2人分ですよね。調べたわけではありませんが、1番人気と2番人気の間に、これほどまで馬体重差があったG1レースはないのではないでしょうか。

中山競馬場の小回りに苦しむかと思われたヒシアケボノは、豪快に外々をブン回して、内から抵抗しようとするビコーペガサスを振り切って勝利しました。まさに横綱相撲でしたね。中山競馬場のスタンドからずっとビコーペガサスの走りを見ていたのですが、直線半ばでヒシアケボノに並んだ途端、その姿が消えてしまったことが印象に残っています。550kgの馬体と併せると、430kgの馬体は隠れてしまうのですね。まるで押し潰されて消えてしまったような感覚でした。自分の応援していた小兵力士が大きな横綱に力負けした敗北感を背負い、師走のオケラ街道を歩いて帰りました。スプリンターは大きくなければならない…、と念じながら。

その思いは、サイレントウィットネスやテイクオーバーターゲットという海外から来た最強のスプリンターたちによって、まざまざと証明されることになります。サイレントウィットネスが576kg、テイクオーバーターゲットが518kgの馬体重でスプリンターズSを制しました。特にサイレントウィットネスなんて、日本馬と比べると、同じサラブレッドとは思えませんでしたからね。そういえば、スリープレスナイトも牝馬としてはかなり大きめの部類に入る馬でした。世界の競馬はボーダレスになり、スプリンターには速さだけではなく、大きな身体、つまりパワーが求められる時代に突入したのです。ヒシアケボノは時代の少し先を行っていた、生粋のスプリンターだったと改めて思います。


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Comments

はじめまして。いつも同じ競馬をする者としていろいろ勉強、参考にさせて頂いてます。治郎丸さんはここで書かれてるような書籍などは出版されているんでしようか?出版されているようなら是非とももっと参考にさせて頂きたいので宜しければ書籍を教えて頂けないでしようか?宜しくお願いします。

Posted by: ユビキタス | September 30, 2009 at 06:38 PM

ユビキタスさん

こちらこそ初めまして。

同じ競馬をする者として、って良い言葉ですね。

さて、書籍に関しては「馬券のヒント」という本を作ってブログ上でご希望の方に有償でお分けしました。

予定数に達したので、今は販売を終了していますが、
今年中にはもう一度お分けすることが出来ると思いますので、それまでお待ちいただけますでしょうか。

「馬券のヒント」が少しでもユビキタスさんの参考になれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 01, 2009 at 02:25 AM

さっそくの回答ありがとうございます。


自身は友達からダビスタとゆうゲームを教えてもらい競馬の底が見えない魅力に魅せられて戸山為雄の忘れ形見のミホノブルボンとゆう名馬の物語に感動し勇気をもらいここ2年ぐらい前に本格的に競馬をはじめた次第です。


今では北海道の牧場の友達の所の生産馬のユビキタスとゆう馬のファンもしてます。


勝負や着順に関係なくオリジナル横断幕やTシャツまで製作してほぼ毎回、現地応援までしています。


こんな変わり者ですが今度また本を出版されるときに是非、お声をかけて頂けると幸いです。


よろしくお願いします。

Posted by: ユビキタス | October 01, 2009 at 07:42 AM

ユビキタスさん

どういたしまして。

ダビスタからミホノブルボン戸山調教師ですか。

うん、よく分かるような気がします。

そして、ユビキタスのファンだったのですね。

個性のある馬だけに、ぜひとも一線で活躍して欲しいと思います。

>勝負や着順に関係なくオリジナル横断幕やTシャツまで製作してほぼ毎回、現地応援までしています。

こういう競馬の楽しみ方をいつか紹介したいと思っていました。

いつかどこかでお会いして、色々と教えていただける機会があれば幸いです。

こちらこそよろしくお願いいたします。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 02, 2009 at 03:21 AM

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