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血の凄さをまざまざと

Kikkasyou09 by @84image
菊花賞2009-観戦記-
武豊リーチザクラウンが刻んだラップタイムは、前半1000mが59秒9、中盤が63秒2、後半が60秒4。僅かに前半が速いながらも、後ろから差してくる馬にとっては苦しい流れとなった。とはいえ、馬群の隊列に目を移してみると極端な縦長の形になっており、中盤で脚を溜めることのできなかった逃げ馬リーチクラウンにとっても、非常に厳しいペースであった。

1番人気に推されたリーチザクラウンは、前走とは打って変わって、道中からゴールまで力んで走っていた。1周目に大観衆のスタンド前を通るため、そこで馬がエキサイトしてしまったのだろう。向こう正面でペースダウンをして、後続を引き付けたかったところだが、最後まで息を入れることができなかった。机上の計算では逃げ切りが可能なラップではあるが、道中の馬とジョッキーの呼吸が合っていなければ、スタミナのロスは数字以上に大きい。

勝ったスリーロールスは父ダンスインザダーク、母父がブライアンズタイムという典型的なステイヤーであり、その資質を菊花賞の舞台で見事に生かし切ってみせた。内枠を利して、スタートから終始攻めに徹した浜中俊騎手の手綱捌きも光った。最後はスルスルと馬群を縫って出てきて、直線ではターフビジョンに物見をしてヒヤリとさせられたが、後ろから来られるとまた伸びた。道中は決してスムーズだったわけではなく、多少のことには動じない精神力と鞍上の指示に従える素直な気性、そしてこのメンバーでは一枚上のスタミナを有している。

2着に突っ込んできたのは、勝ち馬と同じくダンスインザダーク産駒のフォゲッタブル。こちらは母がエアグルーヴだから、まさに菊花賞の舞台で良血開花といえる。惜しむらくは、前が詰まるところもあって、道中のポジションが少し後ろになってしまったことだろう。このペースを考えると、スムーズに前に付けられていればと思わせられる。それにしても、長い距離で持続力を問われるレースにおける、ダンスインザダークの血の凄さをまざまざと見せつけられた。

セイウンワンダーは完璧に乗られて、完全に力を出し切っている。朝日杯フューチュリティSを勝っているように、決して菊の舞台に対する適性が高いとは言えないのだが、それでもこの馬の持つ生命力の高さで3着に粘り込んだ。体調が上向いているだけではなく、春に比べても馬体がドッシリとしてきたように、ここに来てさらに成長している。自分の得意な条件に戻れば、G1レースで再び好勝負する下地は整った。

イコピコが1頭だけ違う脚で追い上げてきた時には、既に勝敗は決してしまっていた。もう少し前に行っていればと思われるかもしれないが、そうすればこれだけの脚は使えなかっただろう。こういうタイプの馬は馬群の中で脚を溜めるよりも、周りに馬がいない状態の方が最後の瞬発力が生かしやすい。前走の神戸新聞杯の走りを見る限り、中距離で切れ味を生かす競馬が合っているようだ。マイラーであった祖母のカッティングエッジの血が出てきているのだろう。

関東馬ナカヤマフェスタは、道中押しても前に進んで行かない様子で、勝負どころで前走のような捲くりを打つことができなかった。元々、気性の難しい馬だけに、輸送等の影響もあってか体調が優れなかったのだろうか。アドマイヤメジャーもスタミナ不足を露呈してしまった。ステイヤーの資質が問われるレースでは、アグネスタキオンの血では太刀打ちできなかった。同じことはアンライバルドにも当てはまり、菊花賞の舞台とこの馬の資質が、精神的にも肉体的にも全く逆のベクトルにあった。

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Comments

こんばんは。ご無沙汰しております。

今回の菊花賞は、馬券参加は見送り、
レース観戦のみでしたが、凄くドキドキした
良いレースだったと思います。

治朗丸さんの観戦記を過去に振り返って読んだり、
コースの血統傾向などを参照するうちに、
何となく「スタミナ」とは?の意味が
分かりかけてきました。
ただ、やはりまだ曖昧な点があるのは否めません。

セイウンワンダーについては、昨年の観戦記で、
2着に入ったフローテーションの血統について、
治朗丸さんが「リアルシャダイ」の血と触れた事を、
今年覚えていて、母母の父という遠い血ですが、
きっちり継がれているものとして本命にしていました。
(小回りと勘違いしていた分、割引ですが(笑))

今週末にお会い出来る機会を非常に楽しみにしております。
そして天皇賞は・・・シンゲンとオウケンブルースリに
今のところ奮闘を期待しております。

Posted by: childsview | October 28, 2009 at 12:16 AM

治郎丸さん、こんばんは。

リーチザクラウン、残念でした…。
神戸新聞杯くらいのテンションならもう一粘りできる余力があったかもと思いましたが、
輪乗りやゲート裏でもあれだけ入れ込んでいたのを見て、正直、惨敗を覚悟しました。

この馬は、もっと使い込んでレースに出ること自体に慣れきって野武士のような強さを
身に付けなければならないのかもしれませんね。
サイレンススズカのようにというのは酷でしょうが、今後に期待したいです。

今回はセイウンワンダーの取捨を完全に見誤ってしまいましたが、この馬が世代戦では
1番安定した走りを続けましたね。この馬の今後の走りにも注目したいです。

Posted by: onion | October 28, 2009 at 12:59 AM

childsviewさん

こんばんは。

最近の菊花賞は菊花賞らしいレースが多く、
個人的には良いレースだと思いました。

スタミナとは?持続力とは?
とても難解で、もしかすると哲学的な問いなのかもしれません。

セイウンワンダーは基本的に早熟のマイラーだと考えていますが、夏を越して大きく成長を見せたり、その血のどこかにスタミナを内包していたりするのですよね。

それにしてもセイウンワンダー本命とは恐れ入りました。

印は打てても本命にするのは勇気がいる馬だと思います。

しかもリアルシャダイの血を探し当てているところがさすがですね。

今週お会い出来ることを、私も本当に楽しみにしております。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 28, 2009 at 01:09 AM

onionさん

こんばんは。

リーチザクラウン残念でしたね。

向こう正面で後続を引き付けられれば勝てると踏んでいましたが、そのまま行ってしまいました。

正直に告白すると、恥ずかしながらも、スタンド前の大歓声でいつも以上にエキサイトしてしまうことを考えていませんでした。

全体としてみると、リーチザクラウンはまだ肉体的にも完成しきっていませんね。

同じ橋口厩舎のハーツクライの菊花賞当時のイメージです。

そういう意味でも、古馬になって馬体に芯が入ってくると、相応の馬になってくるのではと期待しています。

セイウンワンダーは強い競馬をしましたね。

この馬は私が思っていたよりも良い馬のようです。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 28, 2009 at 01:14 AM

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