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JCダートを当てるために知っておくべき3つのこと

Jcdirt

■1■スピード&器用さ優先
昨年から阪神の1800mという舞台で行われることになった。阪神競馬場についてはワールドスーパージョッキーズシリーズとの絡みがあるのであまり意味はないが、1800mという距離に関しては、スピードを優先する外国馬(特にアメリカ調教馬)によりチャンスを見せるという意図が含まれている。

かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまうのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなる。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にとって勝つチャンスが訪れるということだ。そして、4つコーナーと小回りコースということを考えると、勝ち切るためには上手く立ち回れる器用さも求められる。

■2■3歳馬にとっては厳しい戦い
阪神競馬場に開催地を移した昨年より、3歳馬の斤量が55kg→56kgとなった。距離短縮による措置だろうが、この1kgが3歳馬にとっては大きな負荷となる可能性は高い。たとえ日々成長著しい3歳馬とはいえ、この時期に歴戦のダート古馬とぶつかるのに1kgの斤量差は少ない。現に昨年はカジノドライブが6着、サクセスブロッケンが8着と大敗した。この2頭が翌年明けのフェブラリーSで1、2着したことからも、3歳冬の時点で古馬と戦うことの厳しさが分かるだろう。

■3■外国馬(アメリカ調教馬)は雨で買い
平成15年にアメリカ調教馬のフリートストリートダンサーが勝ったのは、降雨により馬場が締まった影響が大きい。アメリカと日本のダートは砂の質が異なるため、アメリカのダートで強い馬が日本でも強いとは限らない。どちらかというと、逆のケースの方が多いだろう。ただし、雨が降って馬場が締まり、足抜きが良くなった場合には、アメリカ調教馬(もしくはアメリカ血統の馬)にチャンスが生まれる。

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100%信じることで

Jiromaru

今年の天皇賞秋の週、ある女性からメールを頂戴しました。「ウオッカの勝つ姿が見たいのですが、最終追い切りで舌を出していたのが気掛かりです。あれ、良くないのですよね?また何かにやられますかね?ウオッカを信じたいのですが、どうお考えですか?」とのこと。私はライブの直前だったこともあり、単刀直入に彼女に伝えました。

「ウオッカの追い切りですよね…。正直、あまり良くない傾向だなと思いました。実戦であれ、調教であれ、舌がハミを越していることにプラスはありません。もしかすると、また前走のように掛かってしまうかもしれませんね。それでも、もしウオッカの勝つ姿を見たいのであれば、ウオッカを心から信じるべきでしょう。どのような結果であれ、100%信じることで学ぶことは多いと思います。かつて私もヒシアマゾンという馬で競馬の喜怒哀楽を味わいました。その経験や思い出は今でも宝物です。後から思うと、共に競馬を味わえる馬は片手で数えるほどなんですよね。明後日の天皇賞秋、楽しみです。」

今からちょうど14年前、府中競馬場のスタンドに立っていました。始発の電車に乗って府中競馬場に乗り込み、スタンド前の席を確保し、それからメインレースとなるジャパンカップまで他のレースは一切買わずに、ただひたすらヒシアマゾンの勝利だけを心待ちにしていました。秋初戦となる京都大賞典で牡馬を相手に楽勝したヒシアマゾンは、ジャパンカップに向けて最高の仕上がりにありました。どれだけ寒風が吹きすさぼうが、私の心には燃え滾るものがあって、5時間後の未来を想うと、身体の芯からマグマのような熱い液体がドクドクと溢れ出しそうでした。ヒシアマゾンが世界の頂点に立つ瞬間が、もうすぐそこまで来ていたのです。

しかし、最後方からレースを進めたヒシアマゾンが、大外から豪快なフットワークで、脚を伸ばせども伸ばせども、ドイツからの刺客ランドとの差は縮まりませんでした。あの時ほど、ジョッキーと一緒の気持ちになって直線で馬を追ったことはないかもしれません。ヒシアマゾンは惜しくも2着に敗れてしまいました。それでも、その日の全財産を失った私の心には、清々しいばかりの爽快感があったことをはっきりと覚えています。負けてはしまったものの、ヒシアマゾンを100%信じることが出来た自分と、今持てる力を出し切ったヒシアマゾンが誇らしかったのだと思います。

さて、今年のジャパンカップにはウオッカが出走します。ヒシアマゾンが灯していたたいまつの火が、ウオッカに乗り移っているように私には思えて仕方ありません。昨年は天皇賞秋がピークでしたが、秋2戦を叩かれて、今年はジャパンカップに向けて究極の仕上がりにありますね。さすが角居調教師、どこを捨ててどこを取るか、したたかな計算があると思います。

とはいえ、ウオッカは2歳の頃から最高レベルの競走を走り続けてきて、もう5歳の秋です。「使える脚が短くなってきている」と武豊騎手が語ったらしいのですが、本当のことでしょう。それは肉体的に衰えたということではなく、集中力が続かなくなったということです。競馬に飽きているとも言えます。今回の追い切りでも舌を出していました。だからこそ、陣営もジョッキーを替えて刺激を与えようと工夫したのでしょう。もちろん、ある程度の効果はあると思いますが、そんなに簡単なものではないことも確かです。

幸いなことに内枠を引きましたので、とにかく折り合いをつけながら、脚をためることに専念することが出来ます。前に行かせながら脚を溜めることに関しては、世界屈指の腕を誇るルメール騎手のことです。前走で武豊騎手が折り合いを矯正してくれていますので、中団より前でレースの流れにすんなりと乗れるはずです。ルメール騎手は、直線に向いて、ウオッカが本気になるその一瞬を逃すことなく、先頭に立たせなければなりません。そこから先、ゴールまで辿り着けるかどうかは神のみぞ知るところでしょう。

エアシェイディは高齢になっても元気一杯です。カンパニーと同じ8歳馬ですから、この世代は本当にレベルが高かったのだと思います。前走は大外枠から差を詰めて、1秒差ならば上々ではないでしょうか。ひと叩きされて、絶好の状態で臨めます。一転して内枠を引きましたので、今回は終始内々で脚を溜めることが出来るので、無欲で内をスパッと突けば面白いでしょう。同じことはアサクサキングスにも当てはまり、内々の前で立ち回ることが出来れば、あわやというシーンは作れるのではないでしょうか。

BCターフの覇者コンデュイットは素晴らしい馬ですね。強行軍を嫌って、あまり注目していませんでしたが、日本での追い切りの動きを見て感心しました。とても素直な馬であることが伝わってきましたし、手脚の軽いフットワークは日本の芝にも適しています。追い出されてから最後まで、しっかりと伸びてくるのではないでしょうか。馬体を併せてしまうと、ウオッカにとっては最大の強敵になると思います。

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ウオッカが最も仕上がった:5つ☆

アサクサキングス →馬体を見る
元々良く見せる馬ではあるが、前走から引き続き体調は良い。
前後のバランスも良く、馬体としては非の打ち所がない。
Pad4star

ウオッカ →馬体を見る
毛艶も艶やかで、この秋3走の中では最も仕上がりが良い。
気持ち細く見えるが、この馬に限っては案外こういう時の方が走ったりする。
Pad5star

オウケンブルースリ →馬体を見る
スラっとした馬体は、いかにもステイヤーのそれらしい。
まだ幼さを残す印象を受けるが、距離延長は大歓迎だろう。
Pad4star

スクリーンヒーロー →馬体を見る
前走も好仕上がりだったが、今回はそれにも増して筋肉のメリハリが凄い。
馬体だけであれば、昨年のジャパンカップ時よりも明らかに上。
Pad4star

マイネルキッツ →馬体を見る
ステイヤーらしく、手脚の長く、スラっとした馬体。
ただ、このメンバーに入ると、パワー不足は否めない。
Pad3star

リーチザクラウン →馬体を見る
時期的なこともあるが、前走に比べ皮膚が厚くなって映る。
元々、細身の馬だけに、前走の反動は感じられない。
Pad3star

レッドディザイア →馬体を見る
牝馬離れした筋骨隆々の馬体を誇る馬だが、今回はやや細く映る。
万全とは言いがたいが、3歳馬の勢いと斤量差を生かしてどこまで。
Pad3star

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鋼の馬

Jiromaru

ジャパンカップも今年で29回目を数えます。初めてジャパンカップが開催された年、ほとんど実績もなく人気薄だった外国馬たちに、上位を独占されてしまいました。日本馬が勝てる日など来ないのではないか、と多くの競馬ファンは深い衝撃を受けました。あれから29年が経ち、たとえ世界の強豪が向かってきたとしても、地元であれば胸を貸せるまでのレベルに日本の競馬は成長しました。ここに至るまでには、多くのホースマンたちの挑戦や挫折があります。その歴史の重さを感じながら、今年のジャパンカップも楽しみたいですね。

第2回ジャパンカップに鳴り物入りで参戦したジョンヘンリーという外国馬がいます。当時、ジョンヘンリーは8歳となっていましたが、芝ダートを問わず大レースを勝ち続け、68戦31勝の戦績を引っさげて日本にやってきました。前年の衝撃に加え、今度はアメリカの英雄がやって来たのですから、大フィーバーとなりました。当然のことながら、ジョンヘンリーは圧倒的な1番人気に推されたのです。同じ4本脚のサラブレッドではないような感覚もあったのではないかと思います。

ジョンヘンリーという名前は、アメリカの民謡で広く知られている黒人の鉄道労働者に由来します。彼は生まれたときからハンマーを握っていたと言われ、屈強さと誠実さの象徴とされる人物です。鉄道トンネルを山腹に開通する仕事に従事しており、他の誰よりも早く力強くハンマーを振るうことで有名になりました。

そんな噂を聞きつけたあるセールスマンが、新しい蒸気ドリルを持って彼のもとに近寄り、「どんなに力の強い人間でも、このドリルには敵わないはずだ」と挑発しました。ジョンヘンリーは「そんな油と鉄で出来た機械に人間が負けるはずがない」と言い返しました。そして、人間と機械の決闘が行われたのでした。

翌日の午後、どちらが速く岩山のトンネルを貫通できるか、人間と機械の威厳を賭けた勝負が行われました。右側の山を蒸気ドリル、左側の山をジョンヘンリーが掘り進めます。最初は蒸気ドリルが一歩リードしていたのですが、途中からジョンヘンリーがジワジワと差を詰め始めました。岩山からは、固くて重い岩塊が崩れ落ちてきます。最後の最後に、ジョンヘンリーが蒸気ドリルを抜き去ったところがゴールでした。

ジョンヘンリーを応援していた人間たちは、人間が機械に勝ったと大喜びしました。しかし、人間の限界を遥かに超えてしまったジョンヘンリーは、その場で崩れ落ち、死んでしまいました。この寓話は産業社会における人間の死を暗に意味します。そして、私たちの中のどこかにある、人間が持つ機械を超えた能力への信頼と賛美もあるのではないでしょうか。

ジャパンカップで1番人気に推されたジョンヘンリーは、見せ場すら作れず、13着に敗れてしまいます。まるでトンネルを掘り終えたジョンヘンリーのように、ゴール前で力尽きてしまったのです。歴戦の疲れが出てしまったのか、それとも連戦のツケが回ってきたのか、ジョンヘンリーの意外な敗北に日本の競馬ファンは唖然としました。のちに自国へ戻ってからも、ジョンヘンリーは低迷を極めます。9歳時はわずかに5戦したのみで、さすがのジョンヘンリーも衰えたかと誰もが思いました。

ところが、10歳になったジョンヘンリーは再び力を取り戻したのです。2度目となるアーリントンミリオン(G1)を制し、9戦6勝の活躍を見せました。屈強な肉体と決してあきらめない精神力。まさにアメリカの民謡どおりの馬でした。11歳になっても現役を続行する予定でしたが、脚元のケガで惜しまれながらも引退となりました。G1レースを16勝したこともそうですが、10歳になってG1レースを4つも勝ったことも、The Horse of Steel(鋼の馬)と呼ばれたゆえんでしょう。

競走馬のピークが4歳なんて誰が言ったのでしょうね。先週のカンパニーにしてもそうですが、個体差こそあれ、サラブレッドは意外や高齢になっても能力は衰えないのかもしれません。人間が勝手に衰えたと見限るだけで、実はほんの少し調子を落としているだけなのかもしれません。じっくりと待てば、ふたたび輝きを取り戻してくれるのです。それを馬の恩返しと言った調教師もいました。簡単に引退させてしまうのも考えものですね。私たち人間だってそうではないでしょうか。調子の悪い時期が長く続くことだってあるはずです。そんな時でも、年齢による衰えだとか自分の能力の限界だとかあきらめないで、己を信じて、時を待つことの大切さを、ジョンヘンリーやカンパニーは教えてくれたのです。

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おつかれさま。

Milecs09 by Deliberation
マイルCS2009-観戦記-
逃げると決めていたマイネルファルケが外枠から先頭を奪い、キャプテントゥーレが番手を進み、終始落ち着いたペースでレースは流れた。前半800mが47秒2、後半が46秒0というマイルCSにしては珍しい極端なスローペースで、中団よりも前に行けなかった馬にとっては苦しいレースとなった。

カンパニーは、これをラストランにするのは本当に惜しいほどの、余裕綽々の勝利であった。スッとスタートを切ると、横山典弘騎手はマイル戦ということを意識して、重心をいつもより前に置くことで、自然な形で馬を推進していた。難なく中団のインに取り付いたカンパニーは、直線に向いて左ムチ一発のゴーサインが送られるや、とても8歳馬とは思えない瞬発力を見せ、前を行く4歳馬を捕らえ切った。最後は手綱を抑えていたように、着差以上の力差が感じられた。カンパニー自身がここに来てようやく完成された。小雨が降るマイルCSで、引退レースを見事に勝利で決めた、シンコウラブリイをふと思い出した。

横山典弘騎手はこれで今年100勝、G1レースは3つ目となった。騎乗技術については誰もが一目置く存在だけに、これまでなかなか勝てなかったのが不思議である。敢えて挙げるとすれば、今年に入ってからの横山典弘騎手は、無心で勝ちに行っているのが良く分かる。綺麗にカッコよく勝つとか、自分の巧さを知らしめるように勝つとか、そういう自己主張が騎乗から消えたのだ。だからこそ、横山典弘騎手だから勝ったという感じがしない。基本に忠実に、ごく当たり前のことを当たり前に実行する。それが何よりも難しいのではあるが。

14番人気のマイネルファルケは逃げて自身の良さを出し切った。厳しい展開になっても大崩れしない馬だけに、今回のような楽なペースで逃げれば止まらない。登録時点では出走できるかどうか微妙だった馬だけに、陣営が渾身の仕上げで天命を待っていた甲斐があったというものだ。母ビンゴハナコは典型的なスプリンターだったが、この馬は地脚の強さを生かすマイル戦が合っている。それにしても、和田竜二騎手は逃げ先行馬に乗せると安定感がある。

外国馬サプレザは、外枠が響いたものの、最後まで良く伸びている。さすがマイルCSの勝ち方を知っているペリエ騎手らしく、好スタートから迷うことなく先行して、積極的に勝ちに行った。マイル実績を見ても、この距離がベストであろう。欧州にはゴルディコヴァという強い牝馬のマイラーがいるが、この馬の将来性も確かである。今後、海の向こうから聞こえてくるであろう、サプレザの活躍の声を楽しみに待ちたい。

キャプテントゥーレは絶好の展開にもかかわらず、最後は伸びあぐねてしまった。最後の直線で、馬場の良い外に進路を取ったことがマイナスに働いた。2歳時の朝日フューチュリティSでも見せたように、1頭になってフラついてしまった。内ラチを頼らせるか、もしくは他馬と併せた方が伸びる馬である。それでも、骨折休養明けを4戦して、これだけ目一杯に走られるのだから、もはや完全に復活したと見てよい。

アブソリュートにとっては惜しまれる内容であった。最後の脚は際立っていただけに、もう少し前のポジションでレースが進められていればと思う。これは6着のスマイルジャックにも言えることだが、自分のリズムで走らせることも大切だが、積極的にポジションを取りに行かなければ勝てないこともある。G1レースともなれば、想像以上に他馬も止まらないので、ほんのわずかな位置取りのミスが致命傷となってしまうのである。

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東京2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。 以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

枠順に関して、内と外でそれほど差はない。ただし1コーナーでゴチャつくことがあるので、内枠の馬は不利を受けることがたまにある。そういった面では、内より多少なりとも外の方がレースはしやすい。たとえ大外枠であっても全く問題はない。かえって他馬の動きを見て行けるためレースはしやすいかもしれない。

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ジャパンカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Japancup

■1■日本馬のレベルアップ
ジャパンカップで最も大きな問題となってくるのが、外国馬と日本馬の比較である。近年は完全な日本馬の優勢であり、日本馬が1~3着だけでなく、掲示板を独占することがあっても驚かなくなってきた。ここ数年で、生産、調教の技術が飛躍的に向上したことによって、日本の競走馬のレベルそのものは、海外のそれと比較しても同等かそれ以上のところまで上がってきている。

日本国内における一流馬であれば、海外に出ていっても十分通用することは、古くはジャックルマロワ賞のタイキシャトル、凱旋門賞のエルコンドルパサーから、インターナショナルSのゼンノロブロイ、アメリカンオークスのシーザリオ、メルボルンCのデルタブルース、そしてハーツクライ、ディープインパクトまで多くのG1ホースらが示してくれた。もちろん自分の土俵(日本の競馬)で戦うのであれば、堂々と胸を貸すぐらいの気持ちで立ち向かうことができるはずだ。

外国馬に関する情報は極めて少なく、日本の馬場で一度も走ったことがない馬の実力を推し量ることは、はっきり言って非常に難しい。それでも、ひとつだけ大きなものさしを示すとすれば、「力をつけた日本馬に地の利がある以上、外国馬は余程の実力、実績を持った馬でないとジャパンカップで勝ち負けにはならない」ということになる。日本の軽い馬場が合いそうだとか、招待されたからなどというレベルの外国馬では勝負にならないところまで日本馬のレベルは上がってきている。

ちなみに、外国馬に関して述べると、海外遠征未経験馬は疑ってかかるべきである。今回のジャパンカップ挑戦が初めての遠征になるような馬では、よほど能力が抜けていないと極東の地での激しい戦いを勝つことは出来ない。ヨーロッパの馬でヨーロッパの外に遠征した経験がない馬も同じである。

■2■凱旋門賞、ブリーダーズC馬は消し
ジャパンカップの前にはヨーロッパで凱旋門賞、アメリカでブリーダーズカップとG1レースの中のG1レースが行われている。海外の馬は当然そちらを目標に出走するため、ジャパンカップにはピークを過ぎた状態で出走してくることが多い。

特に、凱旋門賞、ブリーダーズCを勝った馬は、ほぼ間違いなく調子落ちでの出走となるはず。ピークの仕上げで臨まなければ、凱旋門賞やブリーダーズCといった大レースは勝てないため、勝った勢いでジャパンカップに挑戦してきても、結局、状態は下降線を辿ることになるのだ。ブリーダーズカップを勝ったコタシャーン、凱旋門賞を勝ったエリシオ、モンジューなどがあっさりと敗れてしまったのは、明らかにピークを過ぎた状態で出走してきたからである。また、凱旋門賞を勝つ馬は、深い芝で走れるだけのパワーとスタミナが勝っている馬である。軽い芝でスピードと瞬発力を要求される日本の競馬には合わないことが多いだろう。

ブリーダーズCを勝った馬は、今年で言えば中2週のローテーションが厳しい。死力を尽くして大レースを勝った後に、遠征を含めて、もうひとつG1レースで勝つことは難しい。

逆に言うと、凱旋門賞、ブリーダーズCで負けてしまった馬の巻き返しは期待できるということだ。

■3■迎え撃つのは4歳馬
過去10年の勝ち馬は、4歳馬が6勝、3歳馬がそれに続いて2勝、5歳馬はわずかに1勝、6歳以上の馬も1勝となっている。ジャパンカップのレベルが上がったことにより、肉体的に最も充実する4歳馬が圧倒的に有利なレースとなった。百戦錬磨の外国馬を迎え撃つのは日本の4歳馬という図式が成り立つだろう。

また、ジャパンカップを勝ち切るためには高い壁があって、日本馬、外国馬に関わらず、連対率が50%を切るような馬では厳しい。高い競走能力と、どのような状況や環境にも対応できる資質の持ち主であることが問われるのだ。

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◎マイネルファルケ

Jiromaru

前回の手紙では、私の中では最高のマイラーであるトロットサンダーについて書きましたが、実は今年のマイルCSで1番人気に推されているカンパニーとの共通点が2つあります。ひとつは、もちろん鞍上が横山典弘騎手ということです。馬から切れ味を引き出すことにかけては、右に出る騎手はいないでしょう。もうひとつは、高齢になるまで活躍したという点です。トロットサンダーは6歳時にマイルCSを制し、7歳で安田記念を勝ちました。当時は今と比べると高齢馬の活躍は少なく、まさに遅咲きのマイラーと呼ばれるに相応しい馬でした。

さて、今年のマイルCSの最大の焦点は、天皇賞秋を制したカンパニーのもう一丁があるかどうかということでしょう。結論から言うと、天皇賞秋を勝った馬がマイルCSに出走してくれば、間違いなく好勝負になりますし、かなりの確率で勝てるはずです。

天皇賞秋を勝った馬がマイルCSに出走してくるケースは意外や少なく、2006年のダイワメジャーの前はと言えば、1987年のニッポーテイオーにまで遡らなければなりません。天皇賞秋の勝ち馬のほとんどは、ジャパンカップや有馬記念に挑戦するからです。天皇賞秋を勝ったということは、スピードとスタミナを最高の次元で兼備していることを意味します。そういった馬がマイルCSに矛先を向けてきた以上、紛れの少ない京都のマイル戦ということもあり、ほぼ確勝を期しているということになります。もちろん、ニッポーテイオーもダイワメジャーもマイルCSを制しています。

唯一の心配材料は、マイル戦に対する適性です。マイル戦の連対率が5割を切っているように、この馬は決してマイラーではなく、中距離で瞬発力を生かすタイプです。マイルがドンピシャではない以上、たとえ総合力が一枚も二枚も上だとしても、足元をすくわれてしまう可能性もあるということです。外枠だった昨年と違い、内でジッとしていれば良い好枠を引きましたので心配はないと思いますが、もしゴール前が混戦になったら冷や汗をかくかもしれませんね。

切れ味勝負には絶対の自信を持つカンパニーにひと泡吹かせるとすれば、マイル適性があって、かつ前に行けて粘り込める馬でしょう。◎マイネルファルケは外枠を引きましたが、京都1600m(外回り)は第1コーナーまでの直線が長いので、すんなり先頭を取れるのではないでしょうか。母はスプリンターであったビンゴハナコですが、この馬は地脚を活かせるマイル戦の方に適性があります。現にマイル戦の連対率は優に50%を超えています。休み明けを3回叩いて、体調も最高潮。逃げ先行馬に乗せると上手い和田騎手というのも魅力です。

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京都1600m(外回り)

Kyoto1600t1

向こう正面の直線を2コーナー側に延長したポケットからのスタート。第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は711mと長く、逃げ馬が気分よく行ってしまうとオーバーペースになりやすい。しかし、3コーナー過ぎてからは下り坂となるため、多少のハイペースで行ったとしても、前もなかなか止まらない。結果として、平均ペースのレースになりがちで、実力どおりの決着となることが多い。力さえあれば、展開にはあまり左右されることのないコースといえる。

京都の1600mコースには内回りと外回りがあり、G1であるマイルチャンピオンシップは外回りを使って行われる。外回りコースは、4コーナーで内回りコースと合流するため、内にポッカリとスペースが開きやすい。そのため、直線で前が詰まる心配がほとんどなく、差し馬にとっては安心して乗れるコースである。

第1コーナーまでの距離が長いため、枠順による有利・不利はほとんどない。あるとすれば、最初の直線において、ポケットの直線から本線に入る際、わずかに内の馬が窮屈になることぐらいか。とはいえ、1番枠でない限り、ほとんど気にする必要はないだろう。

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音無勢の2騎が好仕上がり:5つ☆

アブソリュート →馬体を見る
いかにもスピード馬らしい、筋骨隆々の四角形に近い体型を誇る。
毛艶も良く、体調は文句なしだが、切れを感じさせないことだけがネック。
Pad4star

カンパニー →馬体を見る
引退レースにして、最も威風堂々として貫禄のある馬体に成長した。
萎んでいるように見えた前走が圧勝だけに、良く映ることがかえって心配なだけ。
Pad5star

キャプテントゥーレ →馬体を見る
リラックスして立てているので、あとは闘争心が出てくればなお良し。
3歳時に比べ、馬体に力強さを感じさせず、柔らか味はあっても印象が薄い。
Pad3star

サンカルロ →馬体を見る
母父の影響が出ているのか、典型的なマイラー体型で距離は合う。
ひと叩きされて、全体のバランスが良く、順調に仕上がっている。
Pad4star

ザレマ →馬体を見る
すっきりとして、力強さと柔らかさを兼備した、牝馬らしからぬ好馬体。
前走は少し太かったが、今回はここを照準になかなかの仕上がりにある。
Pad5star

スズカコーズウェイ →馬体を見る
前後に素晴らしい筋肉がついていて、いかにもパワーに溢れている。
少し首が高い立ち方からは、ワンペースで走る馬であることが分かる。
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スマイルジャック →馬体を見る
ナスに楊枝を刺したような馬体であったが、前後のバランスが少しずつ取れてきた。
体型や筋肉量からも、現状ではマイル戦がベストの条件になる。
Pad3star

トライアンフマーチ →馬体を見る
体型的に太く映る馬だが、2回叩かれてメリハリが出てきている。
まだまだ成長の余地を残す馬体だけに、素質の良さでどこまで食い込めるか。
Pad4star

マルカシェンク →馬体を見る
前後にしっかりと筋肉がついて、安定して力を出せそう。
これと言って悪い箇所はないが、また逆に取り立てるべきもない。
Pad3star

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大逃亡劇のトリック

Elizabeth09 by @84 image
エリザベス女王杯2009-観戦記-
行くしかないとハナを叩いたクイーンスプマンテをテイエムプリキュアが追いかけ、後続との差がみるみるついたと思いきや、そのままの形でゴールまでなだれ込んだ。前半の1000mが60秒5という遅めの流れにもかかわらず、3番手集団は遥か後方にいたのだから、どれだけ金縛り状態にあったかが分かる。痺れを切らせた横山典弘騎手が動いた時には時すでに遅しという、行った行ったの典型的なレースであった。これぞ競馬のレースは生き物であるという怖さである。

なぜ、このような前残りのレースになってしまったのだろうか。ここを明らかにせずしては、今年のエリザベス女王杯は語れない。というよりも、ほとんどの馬が力を出し切っていない状況では、他に語るべきはないのかもしれない。先行した2頭以外の馬に跨ったジョッキーたちが、なぜこれだけのスローであることが分かっていても動けなかったのだろうか。

答えはもちろん、先に動けば負けてしまうからである。どれだけスローで流れていても、同じ母集団からであれば、先に脚を使った馬が後から仕掛けた馬にやられる可能性は高い。京都の2200mというスタミナを問われるタフなコースで、牝馬が自ら動くのは勇気が要る。さらに圧倒的な1番人気のブエナビスタが後ろに控えている状況が加わると、ブエナビスタに勝つために少しでも末脚を溜めておきたいと考えるのは当然のジョッキー心理である。自分以外の誰かが動いてくれることを期待して、誰もが自ら動こうとはしなかったのである。

と、ここまではありきたりの解説にすぎず、このレースの全貌を解明したことにはならない。スローペースの前残りは、このような状況で日常的に繰り返されているのだ。それでは、なぜこれほどまでのボーンヘッドが、これだけの大舞台で公然と行われてしまったのだろうか。本当に先に動けば負けてしまうからという理由だけで、百戦錬磨のトップジョッキーたちが、いともやすやすと2頭の逃げ切りを許してしまったのだろうか。そうではないだろう。実はこのレースを紐解くトリックは別にある。

そのトリックとは、3番手につけたリトルアマポーラの鞍上にある。そう、今秋から短期免許で久しぶりに日本競馬に参戦しているスミヨン騎手である。日本競馬のペースにまだ不慣れな外国人ジョッキーが、後続集団の先頭に立ち、レースに蓋をしてしまう形になったことが、極端な前残りの展開に繋がったのだ。スミヨン騎手が目測を誤ったことにより、自ら動けない後方の馬たちも共倒れとなってしまった。外国人騎手や地方からスポット参戦してくるジョッキーが、このポジションを取ると、得てしてこうした展開に陥ることある。

たとえば、イングランディーレが逃げ切った2004年の天皇賞春もまったく同じ状況であった。あの時は、イングランディーレが超がつくほどのスローペースで逃げているにもかかわらず、離れた後方集団の先頭を走るアマノブレイブリー小牧太騎手が、まったく突っつこうともしなかった(追いかけようともしなかった)。当時の小牧太騎手はまだ地方・園田競馬場から中央競馬に移籍してきたばかりで、特に地方にはない長距離のレースでのペース判断が難しかったのである。

恐ろしいほどの凡レースになってしまった以上、負けた馬たちを責めることは出来ない。力を出し切っておらず、レースが終わってもすぐに息が入った馬が多かったのではないだろうか。その中でも、責任を果たすべく途中から動きつつ、最後は1頭になっても伸び続けたブエナビスタの強さを改めて認識できたことが唯一の救いであった。春に比べて馬体が細く映り、体調が芳しくないにもかかわらず、これだけの走りを見せてくれることに頭が下がる。この後はゆっくりと休んで、来年に備えてほしい。

フランスから来たシャラナヤも最後は鋭い脚で追い込んできた。まだまだ成長の余地を残した馬体に映ったが、さすがオペラ賞の勝ち馬というところを見せてくれた。メイショウベルーガも末脚勝負になって、自身の良さは生かせたのではないか。好枠からそのまま中団につけられたことも大きかった。ブロードストリートは不完全燃焼だろう。スタミナに一抹の不安があり、動かないことを自ら選択した結果だけに、仕方ないといえば仕方ない。

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最高のマイラー

Jiromaru

私の中で、最強のマイラーは?と聞かれればタイキシャトルと答えますが、最高のマイラーは?という問いにはトロットサンダーと答えると思います。なにせ、マイル戦に限って言えば、8戦8勝無敗という、マイルを走るために生まれてきたようなサラブレッドなのですから。しかも、タイキシャトルのような磐石のレースぶりではなく、後方からズバッと差して来るトロットサンダーの走りに、私はマイル戦の面白さを教えてもらったのです。

トロットサンダーの父はダイナコスモス、母はラセーヌワンダ(父テスコボーイ)という地味な血統で、育成時代に大怪我を負ったこともあり、浦和競馬場で遅れたデビューを果たしました。8戦7勝の成績を引っさげて中央入りしたのですが、当時はほとんどと言ってよいほど注目されませんでした。しかし、ダートよりも芝の方が合っていたようで、特にマイル戦に照準を絞ってからの強さというのは尋常ではありませんでした。1400mでは足りなくて、1800m以上では少し長いというマイラーの中のマイラーだったのですね。

横山典弘騎手を好きになったのはトロットサンダーの札幌記念だと以前に書きましたが、トロットサンダーのレースの中で最も印象に残っているのは、1995年のマイルCSです。トロットサンダーにとって、初めてのG1タイトルを取ったレースです。前走のアイルランドTを快勝し、挑戦者として4番人気で臨んだマイルCSでした。1番人気は前走セントウルSを勝った武豊鞍上のビコーペガサス。続く2番人気はスワンSの勝者であるヒシアケボノという、勢いのある関西馬が主役を張っていました。

今でも覚えているのですが、このレースを予想していて、思わず「エっ!」と声を出してしまいました。何かと言うと、私はこの当時から、マイルのチャンピオンを決めるレースである以上、マイル戦の実績は必須と考えていて、マイル戦の連対率が50%に満たない馬は消していました。マイルのG1レースに出走してくる馬は、当然のことながらマイル戦を得意としているので、過去のレースにおいて、このデータだけではほとんどの馬が残ってしまうのが普通でした。しかし、このレースでマイル戦の連対率が50%を切る馬を消していくと、なんとなんと、2頭しか残らなかったのでした!

トロットサンダー 
メイショウテゾロ

驚いた私は、友人たちに内緒でトロットサンダーの馬券をたくさん買いました。マイル戦の連対率が50%を超えているだけではなく、負けたことがないのですから、他の出走馬とは次元が違います。その時は負けるはずがないとさえ思いました。16番人気のメイショウテゾロについては半信半疑でしたが、この2頭しか残っていないのですから、この馬も買わざるを得ませんよね。

大外からオレンジの帽子が飛んできたときには、まさに鳥肌が立ちました。レース中、横山典弘騎手が馬にゴーサインを送る意味で、ムチをスッと高くかかげるのですが、あのシーンがカッコよくて、ターフィーショップで買ってあったムチを使って真似してみたなぁ。最後の直線では、これぞマイラーという極上の切れ味でした。

しかも、2着には16番人気のメイショウテゾロを連れてきたのです!トロットサンダーの単勝は850円。トロットサンダーとメイショウテゾロの馬連は10万馬券となりました。メイショウテゾロが好走した原因は、マイル戦の連対率が50%を超えていた(マイル適性があった)ことだけではなく、他にもあったのですが、それについては、またいつか書きたいと思います。

この後、翌年の安田記念もトロットサンダーは制して、マイル無敗のまま現役を引退していきました。私にとっての最高のマイラーであるトロットサンダーの強さは、メイショウテゾロという大穴のイメージと共に、私の記憶の中に今でも鮮明に残っています。


これぞマイラーという極上の切れ味をご覧ください。
後ろから行く13番オレンジ色の帽子です。

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マイルCSを当てるために知っておくべき3つのこと

Milecs

■1■マイルの連対率は重要な目安
マイルのチャンピオン決定戦である以上、1600mのレースにおける連対率が50%を割っているような馬はチャンピオンとして相応しくない。1600m戦での連対率は、その馬のマイル戦に対する適性を顕著に表すからだ。

大荒れとなった平成7年は、出走馬18頭中、1600mのレースにおける連対率が50%を超えている馬がわずか2頭しかいないというレベルの低いレースであった。その2頭が、安田記念も勝ったトロットサンダーと、なんと大穴のメイショウテゾロである。このことからも、マイルチャンピオンシップにおいて、マイルの連対率がどれだけ重要なデータとなるかが分かる。マイルの連対率が50%を切っている馬は軽視すべきである。

■2■勝つためにはスタミナが必要
京都1600m外回りコースで行われるため、スピードだけでは押し切れないレースである。前4走ともに1600m未満の距離を使っていたスプリンタータイプの馬では、最後の直線でスタミナ切れすることになる。スプリンタータイプの馬では勝ち切ることは難しい。勝つためには、中距離を走り切れるだけのスタミナが必要とされる。1600m以上の中距離レースでの実績は必要。 

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬?
過去10年のレースラップ(下参照)を見ても、昔は前半から飛ばす馬がいてハイペースになることが多かったが、ここ最近は、さすがにスローにはならなくても、全体的にフラットな落ち着いた流れになる傾向が強い。1分32秒台後半から33秒前半という全体時計は変わらないということは、前半が厳しい流れになる昔のレースの方がレベルは高かったということになる。

そのため、ズブズブのスタミナ勝負になることは少なく、スッと先行して4コーナーを持ったまま先頭で押し切れるぐらいスピードに富んだ馬、もしくは瞬発力勝負に長けた馬にとっては競馬がしやすいレースになる。デュランダル、ハットトリック、ダイワメジャーと、サンデーサイレンス産駒が5年連続でこのレースを勝っているのも、そういう特性(軽さと瞬発力)こそが問われるからである。もし血統的に狙いを絞るとすれば、サンデーサイレンスの血を引く馬ということになるか。

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◎ジェルミナル

Jiromaru

ハナ差で牝馬3冠を逃したと思いきや、何と降着という憂き目に遭ったブエナビスタが、エリザベス女王杯で雪辱を期します。それにしても、札幌記念、秋華賞と悔しいレースが続いています。追い込み切れず、という表現がピッタリきますね。小回りや直線が短いというコース設定の影響もありますし、また前走は内枠が災いした感もあります。ヤマニンキングリー、レッドディザイアの大駆けにも遭い、それでも最後まで追い詰めているのですからさすがです。今回は外回りコースで外枠を引き、条件が逆転しましたので、おのずと結果はついてくると陣営が考えるのも当然でしょう。

ただ、ひとつだけあら探しをするとすれば、オークスの激走の反動が抜けていないのではないかということです。3歳の春に府中の2400mを走り切って、あれだけの脚を使ってしまったことによる目に見えない疲れが残っているのではないでしょうか。秋2戦の走りを見ていると、どうにもこの馬の走りが出来ていない気がします。伸びそうで伸びない、歯がゆさです。前半に前に行けるようになっている反面、最後の直線でエンジンが掛かるのが遅い。どこかに苦しいところがあるからこそ、道中で行きたがってしまい、ゆったりと走ることが出来ない。そこが最後のひと伸びにつながっているのです。中間も調教を軽めにして回復に努めているようですが、馬体だけを見ても決して本調子ではないと思います。現役屈指の脚の速い馬ですが、今のブエナビスタならば脚元をすくわれる可能性もあるはずです。

秋華賞に続き、もう一度◎ジェルミナルに本命を打ちます。前走は外枠発走が仇となってしまい、有力馬が内で脚をためている中、勝負どころで外々を回らざるを得ませんでした。また、藤原英昭調教師も言っているように、ひと叩きされて体調がアップしていると思っていたのですが、案外戻りきっていなかった部分もあったかもしれません。この中間はビシビシ追われ、エリザベス女王杯に向けて仕上げられてきました。体型からも、ゆったりと行ける距離の方が合うタイプだけに、2200m外回りへのコース替わりはプラスに働くはずです。好枠を引きましたので、福永祐一騎手も積極的に攻める騎乗をしてくると、ブエナビスタを脅かすことも可能ではないでしょうか。

同じ藤原厩舎からは、秋華賞2着のブロードストリートが万を持して出走します。もともと素質の高かった馬ですが、今秋に入ってからの強さは本物ですね。休み明けのローズSを快勝した反動を心配された前走でも好走したように、肉体的な資質ということだけではなく、この馬には精神的な強さも感じます。道中もスムーズとは言えませんでしたが、あきらめずに最後まで伸びてきました。陣営の心配としては、どちらかというとスピードと器用さが武器の馬だけに、京都2200mというコースではその特性が活かしきれないのではないかということでしょう。200m伸びるだけですが、求められるスタミナはそれ以上に違ってきますからね。この舞台を乗り越えれば、新たな名牝の誕生でしょう。

古馬でいえば、前走を同じコースで快勝したメイショウベルーガが面白いのではないでしょうか。最後の直線までジッとして、末脚の切れに賭けるレースになるでしょうが、堅実な末脚を発揮できる舞台です。今年に入って使い込まれているにもかかわらず、ここに来て調子を上げてきている印象です。条件戦とはいえ、牡馬をナデ斬りにしてきた勢いを買いたいですね。

昨年の覇者であるリトルアマポーラも、それほど人気もないので妙味はありますね。スミヨン騎手を背に昨年の再現もあり得ると思っていましたが、追い切りを見る限りにおいては、昨年度の出来にはなさそうです。昨年は気持ち良さそうに走っていたことを覚えています。

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成長が窺えるクィーンスプマンテ:5つ☆

カワカミプリンセス →馬体を見る
ひと叩きした効果が出て、リラックスした立ち姿になっている。
ただ往年の迫力と比べると、今は伝わってくるものがほとんどない。
Pad3star

クィーンスプマンテ →馬体を見る
夏から使っているとは思えない、成長が窺えるふっくらとした好馬体。
全体のバランスも抜群で、もうひと絞りされれば万全か。
Pad5star

ジェルミナル →馬体を見る
最高に映った前走だが、レースでは外を回らされて失速してしまった。
それに比べると、毛艶も落ち、全体的な力感にも欠ける。
Pad3star

ニシノブルームーン →馬体を見る
時期的なものはあるが、冬毛が伸びて毛艶が冴えない。
ただ、柔らかい筋肉は維持しているので、能力は発揮できそう。
Pad3star

ピエナビーナス →馬体を見る
後肢の筋肉の盛り上がりが凄く、力強さを感じさせる。
全体として腰高に見えるので、距離延長はプラスには働かない。
Pad4star

ブエナビスタ →馬体を見る
馬体だけを見ると、超一流馬のそれとは到底思えない。
春シーズンに比べると、細く頼りなく映るのも気掛かり。
Pad3star

ブロードストリート →馬体を見る
前走は馬体が萎んでいただけに、好走には驚かされた。
前走と比べると、馬体の張りが増し、全体としても大きく見せて好印象。
Pad4star

ムードインディゴ →馬体を見る
取り立てて強調するところのない、牝馬として平均的な馬体。
悪い部分は見当たらないので、今回も前走同様の体調で出走できるはず。
Pad3star

リトルアマポーラ →馬体を見る
昨年度に比べ馬体に幅が出て、ガッシリとしてきた。
ただ、マイラー色が濃くなってきただけに、昨年と違って距離延長がどうか。
Pad3star

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京都2200m(外回り)

Kyoto2200t1

スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。かと思えば、前半から飛ばす馬がいて意外に前半のペースが速くなったりするため、折り合いの難しい馬や器用に立ち回ることの出来ない馬にとっては、勝ち切ることが難しいコースである。

道中がスローの団子状態で流れた場合、外々を回されてしまうと、かなりの距離ロスになってしまう。外を回されやすい外枠よりも、経済コースを進むことができる内枠を引いた馬の方が有利になる。

外回りコースでは、4コーナーの出口で内回りコースと合流するため内柵がなくなり、内にポッカリとスペースができる。そのため、内埒沿いを走っていても前が詰まることが少なく、脚さえ残っていれば確実に馬群を割ることができる。よって、脚を余して負けるということが極めて少ない、実力が正直に反映されるコース設定となっている。

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フライング・フィリー

Jiromaru

4度目の激突が観られると思っていただけに、レッドディザイアの回避は残念でした。が、古馬勢に海外からの3歳馬シャラナヤが加わって、また新たな戦いが繰り広げられそうです。前走のオペラ賞(G1)を勝って臨んでくるシャラナヤはアガ・カーン4世の所有馬なのですね。そう、メイショウサムソンが出走した昨年の凱旋門賞で、圧倒的な末脚を披露したザルカヴァのブリーダーオーナーです。

アガ・カーン4世が歴史的名牝ザルカヴァに至るまでには、祖父アガ・カーン3世から続く、遥かに長いサラブレッド生産の道のりがあります。イスラム教の精神的指導者であったアガ・カーン3世が、イギリス競馬界に参入したのが1921年のこと。最初の10年でリーディングオーナーに4回、最終的にはクラシックも完全制覇して、リーディングブリーダーには計9回も輝いたのです。

しかし、イギリス人ではないということに加え、イギリスで活躍した名馬や名牝をあっさりとアメリカに売り払ってしまうやり方に、イギリス競馬界の人々は反感を覚えていました。特にナスルーラをアメリカに売却したことやイギリスダービー馬マムードを経由してノーザンダンサーが生まれたことで、イギリスがアメリカに主導権を奪われてしまったと考える人も少なくありませんでした。たとえば外国に放出したアドマイヤムーンやユートピアの血によって、世界ひいては日本の競馬が席巻されるような感覚でしょうか。賛否両論あるとは思いますが、長い目、広い視野で考えると、アガ・カーン3世の行動は競馬の世界を活性化させたことは確かです。

アガ・カーン3世はオーナーブリーダーとしての旅の途上で、1頭の牝馬に出会いました。その名はマムタズマハル。由来はインドの世界遺産であるタージマハールであり、マムラズマハルはペルシャ語で「宮廷の選ばれし人」という意味です。アガ・カーン3世は1歳のセリ市でこの芦毛の牝馬を見て、あのタージマハールの白亜を連想したのではないでしょうか。

現役時代のマムタズマハルは10戦7勝、1200m戦までは圧倒的な強さを発揮して、他馬を置き去りにする恐ろしいほどの快速ぶりから“フライング・フィリー”(空飛ぶ牝馬)と呼ばれました。ここまでであれば単なる快速牝馬で終わってしまうと思うのですが、マムタズマハルは繁殖入りしてからこそが本領発揮だったのです。しかも、ただ単に強い馬を生んだということだけではなく、牝馬から牝馬へと牝系を通して、その血を活性化させていったのです。

たとえば、マムタズマハルの仔であるマーマハルは1935年のイギリスダービー馬マームードを生みました。さらにマーマハルの牝系はタニノギムレットにつながり、ウオッカを輩出しました。マムタズマハルの別の仔であるマムタズビガンは、名種牡馬であるロイヤルチャージャー(サンデーサイレンスやブライアンズタイムの祖)やイギリスダービーを圧勝したシャーガー、日本だとホクトベガを。そして、世紀の大種牡馬であるナスルーラも生んだのです。アガ・カーン3世はこの馬を通して、競馬の世界を大きく変えていったのでした。

その後を継いだアガ・カーン4世は、祖父の遺志を受け継ぎながら、彼独自の生産方式を貫きます。人気のないマイナーとみなされている種牡馬をいかに活用するかが大命題だと語り、確たる意志を持って、ドイツ式の系統繁殖を行ってきました。その結果が、昨年の凱旋門賞馬ザルカヴァであり、今年のエリザベス女王杯に出走してくるシャラナヤです。シャラナヤの母系にはあの“フライング・フィリー”マムタズマハルの血が脈々と流れています。父ロミタスはドイツの年度代表馬ですが、どちらかというとマイナーな種牡馬です。こういう世界的なトレンドからは離れた血統から、こうして素晴らしい馬が生まれてくるのですから、サラブレッドの生産は奥が深いですね。


現代の“フライング・フィリー”ゼニヤッタが14連勝でBCクラシックまでブッコ抜きました。
牝馬の時代とはいえ、牡馬を相手に最後方からの追い込みにはシビれます。

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エリザベス女王杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Elizabeth

■世代交代について
エリザベス女王杯において、世代交代の問題は避けて通れない。一般的に、牝馬は牡馬に比べ、現役の競走馬として活躍できる期間が短いとされる。それは牝馬には血を繋ぐという役割があるからであって、肉体的そして精神的にも競走馬から繁殖牝馬へと変遷していく時期が自然とあるからだ。

ダイイチルビーは4歳時にスプリンターズステークスを制したが、5歳となった翌年は目を覆いたくなるような惨敗を繰り返しそのまま引退していった。その時に、伊藤雄二調教師が言った、「ルビーはもうお母さんの目になっているね」というセリフが印象的であった。肉体的には走れる状態にあったが、精神的にはレースを走り抜くだけの闘争心がすでに失われていたのであろう。

もちろん、馬それぞれにおいてピークは異なってくるので、この年齢以上では走れないというような線引きはできない。ただし、あと2ヶ月も経てばもう6歳馬となってしまう5歳の秋は、牝馬にとって非常に微妙な時期なのではないだろうか。明日にでも、まるで坂を転げ落ちるように競走馬としての能力が衰えてしまう、ギリギリのラインに立っているのである。

衰えゆく5歳馬から、充実の4歳馬、そして更なる上昇が期待される3歳馬への世代交代というクロスオーバーが行われるのがこのエリザベス女王杯である。平成12年から秋華賞が1週間繰り上げられ、エリザベス女王杯までが中3週となった。これにより勢いのある3歳馬の挑戦も増えることからも、5歳馬にとってはさらなる苦戦を強いられることになるであろう。

■スピードと器用さが求められる
エリザベス女王杯が行われる時期の京都競馬場の芝は、野芝の成長は止まるものの、状態が良いため、軽さは十分に維持されている。そのため、スッと先手を取ることの出来るスピードのある馬にとっては有利に進められるレースとなる。また、道中は各馬が距離を意識してスローに流れることが多いが、前半から飛ばす馬がいて意外にペースが速くなったりすることもあり、折り合いがキチンと付いて、器用に立ち回ることが出来るかも問われる。もちろん、こういうレースでは、馬をコントロールする騎手の技術、判断力も結果を大きく左右することになる。

■牡馬と勝負になっていた馬でないと×
牝馬の中でチャンピオンを決める戦いではあるが、牝馬限定戦でずっと戦ってきたような馬では、このレースは勝てない。牡馬との厳しいレースで揉まれ、牡馬を相手に好勝負になっていた馬を狙うべきである。もちろん3歳馬については、牡馬混合戦に出る機会もなかっただろうから、この条件は当てはまらない。

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陽気で軽やかな脚取りで

Tokaiteio日本競馬史上、ダービーを勝った牝馬は3頭いる。ヒサトモ、クリフジ、そしてウオッカ。ヒサトモとクリフジが優勝したのは戦前のことであり、クリフジとウオッカの間にはなんと64年の歳月が流れている。ウオッカと同時代を生きる競馬ファンは幸せである。私たちが生きている間に、一度出るか出ないかという次元の牝馬なのだ。私たちがウオッカを愛してやまない理由の根源は、そこにあるのかもしれない。

当然のことながら、日本ダービーを勝った3頭の牝馬は強い。先日負けてしまったが、ウオッカの強さは周知の通りである。クリフジについても、ミスター競馬こと故野平祐二氏が最強馬と称して憚らなかった。しかし、牝馬にして初めてダービーを制したヒサトモについてはどうだろう。名前すら知る人の方が少ないのではないか。ということは、ヒサトモの輝かしい戦績だけではなく、その後に辿った数奇な運命についても知る人は少ない。

ヒサトモの父はトウルヌソルというイギリスから輸入された種牡馬である。産駒から6頭のダービー馬が出たことだけを以っても、トウルヌソルが現代のサンデーサイレンスのように日本競馬の一時代を席巻したことが分かるだろう。当時の良血として生まれたヒサトモは4戦2勝の戦績を引っさげてダービーに果敢に挑戦し、見事に牡馬たちを蹴散らした。レコードのおまけ付きであった。その後も6連勝して、華やかな現役時代を送った。

ところが、繁殖牝馬としては受胎率が悪く、11年間で4頭の仔を出したのみにとどまった。ブリューリボンとヒサトマンの2頭がわずかに勝利したのみで、とても日本ダービーを制した名牝の仔とは見ても見つかなかった。その後も不受胎が続き、繁殖牝馬としては半ばあきらめられてしまっていた頃、ヒサトモのオーナーの元にこんな知らせが届いた。

「ヒサトモを走らせてみないか?」

戦後の混乱期でもあり、オーナーはヒサトモを養うことはもちろん、自分の暮らしもままならない生活が続いていた。そんな貧況においては、たとえ自分にダービー馬のオーナーという栄光をもたらしてくれた牝馬でさえ、売るという決断をせざるをえなかったのだろう。ヒサトモは15歳にして、再び競馬場で走らされるため、南関東の厩舎に入った。

11年ぶりのレースに出走したヒサトモは、初戦こそ5着に敗れたものの、2戦目は持ったままで楽勝した。老いてもさすがはダービー馬と関係者は手放しで喜んだ。次走、ひとつ上のクラスで走るため、さらに強い調教がヒサトモに課せられていった。ヒサトモはダービー馬の意地を持ってこれに耐えた。しかし、悲劇は突然に起こった。調教が終わり、厩舎に帰る途中、ヒサトモは突如崩れ落ちたのだ。心臓麻痺。息はすでになかった。そして、亡骸は処分されてしまったという。日本ダービーを制した初の牝馬、ヒサトモの眠る墓はどこにもない。

今、東京競馬場に来ているトウカイテイオーは、ヒサトモから1本の血筋を引き受けている。完全に消えてしまったと思われたヒサトモの血が、かろうじてつながったというべきか。わずかに残した4頭の仔の1頭であるブリューリボンからトップリュウ、トウカイクインへと、大きなレースこそ勝てなかったが、中下級条件で秘かに血脈をつないでいった。トウカイテイオーのオーナーである内村正則氏が初めて持った馬が、実はそのトウカイクインである。配合種牡馬の割に走ったトウカイクインの血に、ヒサトモの影響を見出したのもこの内村氏であった。内村氏はヒサトモの血を復活させるべく、ファバージ、ナイスダンサー、シンボリルドルフという当時の一流種牡馬との配合を続けた。そうして20年近い年月をかけて誕生したのが、トウカイテイオーなのである。

皇帝シンボリルドルフの仔であり、気品溢れる馬体や雰囲気から、おぼっちゃまというイメージを持たれがちなトウカイテイオーであるが、その母系には馬と人のオドロオドロしいまでの情念を宿している。完膚なきまでに敗れても、何度も立ち上がり、最後には私たちを驚かせる復活劇を見せてくれたトウカイテイオーの強さの源泉はここにあったに違いない。あの走りはトウカイテイオーだけのものではなかったのだから。岡部幸雄騎手が思わずガッツポーズをしてしまったジャパンカップにせよ、1年という長いブランクを克服して勝利した涙の有馬記念にせよ、全てが人智を超えていた。ヒサトモの暗い影を微塵も感じさせない、あの陽気で軽やかな脚取りで歩く姿を久しぶりに見せてほしい。


■Photo Stable
Photostable
上のトウカイテイオーの写真は、土曜日に東京競馬場でのぶたさんが撮影されたものです。写真は超初心者と謙遜されていますが、実は競馬歴は15年という上級者です。ちなみに好きなジョッキーは角田晃一騎手(これまた渋い!)。そんな彼の目に映る競馬の風景をぜひご覧あれ。ほぼ毎日、素敵な競馬の写真が更新されています。
http://photostable.blog37.fc2.com/

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「馬券のヒント」Q&Aトークライブの報告

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改めまして、先週開催されました「馬券のヒント」Q&Aトークライブの報告をさせていただきます。今回のライブはQ&A形式ということで、少人数制で行いましたが、事前に質問をお受けしていたこともあり、2時間半の枠をフルに使い切ったライブとなりました。

たくさんの質問をして下さった参加者の皆さま、本当にありがとうございました。全体的には、ジョッキーに関する質問を多く頂戴したので、およそ1時間を掛けて答えさせていただきました。馬についての情報は溢れていても、ジョッキーって意外にも本質的な部分は語られていませんものね。ヨーロピアンスタイルからアメリカンスタイル、騎手と馬の脚質による相性、馬場による騎手の得手不得手など、とても面白かった・参考になったというご意見を頂戴しました。

Bakennohintliveimg02

以下、ライブ後に頂いたアンケートやご意見・感想になります。

手のフォームの話も良かったです
レースの見方は大変参考になりました。普通は展開とかを見るのですが、こういう見方があるとはと面白くうかがいました。今までのライブとも異なり、自由度が高く、いろいろな話が聞けて良かったです。特に騎手のパートは興味深くうかがいました(騎手のフォームの話も良かったです)。
K・Mさん

週刊誌に載った写真をヒントに
週刊誌に載った写真をヒントに、その馬の能力を把握するという方法はとても参考になった。VAIOの電源を忘れていたのが、印象深かった。
M・Tさん

品性・品格の部分にプラスになる
馬券を当てようとすると、数字やデータを追いかけて、知らず知らずのうちに品性に欠ける馬券スタイルになっている気がします。治郎丸さんのお話を聞いていると、その品性・品格の部分にプラスになるものを与えてくださるような気がします。
H・Mさん

騎手の相性のパートが面白かった
騎手の相性、秋天の予想の仕方が参考になりました。騎手の相性のパートが面白かったです。みんなで秋天の予想をするのがすごい楽しかったです。
S・Yさん

精神変化が手に取るように感じられました
実は安藤さんのレジェンドハンターのポジはあと5年以内に完体化するのではないか。日本競馬はデフォルトだらけの競馬になるような気がする。やはり安藤さんの朝日杯とキストゥへヴンの桜花賞の精神変化が手に取るように感じられました。安藤さんも中央競馬のバリエーションを自ら昇華していく過程で、気持ちも向上させているその姿が美しいと思った。
A・Dさん

馬自身も好きになりました
連対脚質の件が馬券のヒントになりそう。馬券や予想だけでなく、馬の知識をたくさん話していただき、ギャンブルという枠だけではなく、馬自身も好きになりました。映像と照らし合わせて解説していただけたので、非常に分かり易かったです。ありがとうございました。
T・Yさん

印象に残っているのはやはり耳の形
馬の耳の形に注目した話は、非常に参考になりました。知識等、今後の馬の耳の形をじっくり観察して、馬券に活かしたいと思います。全てのパートが面白かったです。印象に残っているのはやはり耳の形。あと重馬場、荒れ馬場でどのような馬が狙い目かが参考になりました。
N・Nさん

騎乗法の違い
ペースの違い、距離によって必要とされている資質が違うとう原点に気づけたのは重要なことでした。騎乗法の違いについてがとても興味深く思いました。競馬場ごとで外国人ジョッキーの扱いの部分でとても参考になりました。
Y・Kさん

重馬場適性のお話しなど とても参考になりました
馬券と言えば、以前は 新聞 雑誌などプロの予想にのって、ということが多かったのですが、最近は 自分なりに 血統、コースや馬場適性、過去のタイム等のファクターを検討して予想する事が多くなりました。ですので、今回のライブでは 重馬場適性のお話しなど とても参考になりました。そして 私にとっては ライブでの競馬と同時進行で、過去の競馬を学習する というスタンスが常にありますので、過去のレースシーンがおり込まれていた所も 興味深く拝見できました。
K・Sさん

スクリーンヒーローを穴馬としてピックアップできました
ヤマニンは残念でしたが、勝ちポジ予想の有効性は十分に発揮できたのではないかと思います。僕も勝ちポジ的な発想でいろいろ考えた結果、スクリーンヒーローを穴馬としてピックアップできましたし、カンパニーもヒモでひろうことができました。実際勝ち馬とスクリーンの騎乗は、府中2000mの勝ちポジにぴったりの挙動でしたよね!
A・Kさん

また、ライブの感想をブログに書いてくださった方もいらっしゃいます。

■TitleQ since2005
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競馬好きはさることながら、音楽好きにとってもたまらないブログです。それだけではなく、お酒、映画、本、グルメ、そして猫まで、博覧強記のQuinaさんによる関心世界巡礼の旅をお楽しみください。
http://quina.cocolog-nifty.com/quina/2009/11/post-d668.html

■一騎当選
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競馬歴4年とは思えない知識の広さと深さで、今本当に競馬を楽しまれているのがヒシヒシと伝わってきます。競馬をギャンブルとしてだけではなく、趣味以上のものとして心で感じ、その感情に寄り添うように書かれている文章は新鮮で、時折ハッとさせられます。
http://ameblo.jp/chview-keiba/

追伸
ライブ後に残っていただいたNさん、ゆっくりと話が出来て良かったです。次回は競馬場で遊びましょう。Aさん、ゆっくり話すことは出来ませんでしたが、ライブに参加してくれてありがとうございます。ぜひ今度は競馬場にご一緒したいと思います。大阪から競馬場ツアーに参加いただいたIさん、enokeizさん、またお会いできて楽しかったです。あの後、14Rまで楽しまれたようですね。今度、関西に行った際は、ぜひ遊んでくださいね。

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集中連載:「パドックの見方を極める」第3回

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■ビリー・‘ザ・キッド’
アメリカの競馬場は勝負師たちにとってパラダイスのような場所である。現地でのレースが終わると、続いてアメリカの他場で行われるレースがテレビで始まり、競馬場は一転してウインズと化す。そのうちナイターで行われる馬車レースが始まり、そうこうしていると、なんと香港のレースまで買えたりする。楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

ある日、夢中になっていて、ふと気が付くと時刻は夜の11時過ぎであった。慌てて競馬場から飛び出し、タクシー乗り場を見ると、タクシーの姿は1台たりとも見当たらない。周りを見渡してみても、こんな所にホテルなどあるはずもない。車で迎えに来てくれる友人もいない。アメリカにやって来て間もない私でも、夜の競馬場周辺に野宿することが、どれほど危険なことかは分かった。生まれて初めて、本気で背筋がゾッとした瞬間である。

真っ白になった頭でようやく思いついたのは、タクシー会社に電話をしてタクシーを呼ぶという方法だ。アメリカにやって来て間もない私の英語力で、タクシーを競馬場まで呼び寄せる自信などなかったが、そんなことを言っている場合ではない。あたりをキョロキョロと見わたしてようやく公衆電話を見つけた。が、肝心のタクシー会社の電話番号が分からない。日本みたいに電話帳などないのだ。エエイ、こうなったら分からないことは人に聞いてみようと覚悟を決め、競馬場の入り口に立って、ポツリポツリと出てくる男たちの一人に意を決して声を掛けた。

「Excuse me!Could you tell me~?」

私が話しかけた長身の男は、彫りが深く、インディアンの血が混じっているような風貌をしていた。私の拙い英語を聞き取ってくれたのか、親切にタクシー会社の番号を教えてくれた。

私は礼を述べ、すぐさま公衆電話へ走った。受話器を取りダイヤルを回してみたが、どれだけコールを鳴らしても相手は出なかった。番号が間違っていたのか、それとも受付が終了していたのか、今でも分からない。私は受話器を静かに置いた。悲嘆に暮れた私は、その場に座り込んだ。深夜の競馬場には残っているのは私だけであった。

まさかこういう形で、競馬で人生が終わるとは…。

そんな時、私の目の前で男の声がした。見上げると、さきほどの男であった。「タクシーは来ないのか?」とかそういうことを聞いていたのだろうが、私には聞き取れなかった。それでも、「車で送って行こうか?」というところだけはなんとなく理解できた。

助かった!と素直に思ったが、すぐさま不安も湧いてきた。あまりにも親切すぎる提案に、もしかしたら法外なお金を取られるのではないか、もしかしたらどこかに連れ去られるのではないか、など悪い妄想も広がっていった。私の頭の中がグルグルと高速回転して、1秒後に出した答えは「Please.」であった。

祈るような気持ちで男の車に乗り込んだ。沈黙が続き、競馬場から私の自宅までのおよそ30分は、1時間にも2時間にも感じた。あまりにも長く感じたので、どこかに連れ去られるのだと思い、何度ドアを開けて飛び降りようとしたことか。それでも私は、その男を信じるしか生きる道はなかった。当時アメリカの最強馬であったシガーがどれだけ強いかという話をすると、ようやく私たちは饒舌になり、お互いに気持ちが通じ合った気がした。

男の名前はビリー、私はTakaと呼ばれることになった。

翌日、私たちは競馬場で再会した。ビリーの周りにはたくさんの競馬仲間がいて、ビリーは私を彼らに紹介してくれた。この時点では、ビリーは私にとって命の恩人にすぎなかったが、それから共に競馬場で時間を過ごすうちに、ビリーは競馬の師匠にもなっていった。彼は馬を見る天才であった。あまり詳しいことは教えてくれなかったが、小さい頃から馬に携わる仕事をしていたらしい。競馬仲間は彼のことを、ビリー・ザ・キッドとかけて、“The Kid(競馬の神の子)”と呼んでいた。

そう、実はこの連載で私が書こうと思っている馬の見方は、決して私が独力で編み出したものではない。ビリーに教えてもらったことに、私が少しだけ味付けをしたものである。偉そうに書いていても、それはビリーからの受け売り半分だということをまずは記しておきたい。

(第4回へ続く→)

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奇跡の名馬

Tennosyoaki09 by deliberation
天皇賞秋2009-観戦記-
外枠から押してエイシンデピュティが先頭を奪い、前半1000mが59秒8という、このメンバーと馬場を考慮すると極めてスローな流れに落ち着いた。後半1000mの勝負となり、瞬発力に長けた馬でなければ勝負にならなかった。勝ちタイムの1分57秒2は昨年の伝説の天皇賞秋と同じ。とはいえ、レースの厳しさは全くと言ってよいほど異なる。昨年と今年のレースの前半と後半1000mのラップタイムを比較してみたい。

昨年 58秒7-58秒5 (1分57秒2)
今年 59秒8-57秒4 (1分57秒2)

昨年は淀みのない流れがゴール直前まで続く極限のラップであったが、今年は前半で各馬が脚を溜めることが出来たので、後半が速い上がりでの決着となった。同じタイムでどちらのレースレベルが高いかというと、もちろん前者(昨年)の方である。前半の負荷が後半に倍になって掛かってくるにもかかわらず、58秒5という上がりでまとめているからである。体感するレースの厳しさは、明らかに昨年の方が上であっただろう。

今年のレースレベルの方が落ちるからといって、カンパニーの勝利の価値を損なうものではない。8歳馬かつ34戦目にして、スピードレースの天皇賞秋でこの勝ち方が出来ること自体が驚異的である。前走の毎日王冠を目イチの仕上げで勝ったと私は決め付けていたが、そうではなかったようだ。馬体も良い意味で枯れて、無駄な動きをすることなく中団につけることができ、そこから鋭い脚を使うことが出来る。父ミラクルアドマイヤという地味な血統だけに、種牡馬としての道は遠いだろうが、私たちの常識を覆してくれた奇跡の名馬となった。

横山典弘騎手の100%の瞬発力を引き出す騎乗ぶりにもシビれた。レースの流れに関わらず、馬のリズムに逆らうことなく、道中は脚を溜めることだけに専念していた。直線に向いて、馬群が開いた一瞬のタイミングを見計らって、馬を一気に動かして突き抜けた。馬上で風となっていて、まるでカンパニーだけが走っているかのようであった。そして、横山典弘騎手だけでなく、前走であれだけの脚を使った8歳馬を中2週という期間の中でケアし、万全の態勢でG1レースに送り込んできた関係者にも惜しみない賛辞を送りたい。

スクリーンヒーローは内枠を生かして、最高のポジションを確保し、非の打ち所のない走りであった。まずは勝ちに行った北村宏司騎手の好騎乗を称えたい。そして、休み明けにもかかわらず、時計の速いレースを乗り切ったように、スクリーンヒーロー自身の仕上がりも素晴らしかった。ダイナアクトレスを経て、サンデーサイレンスが注入されている母系だけに、やはりこの位の距離の方が合う。折り合いを欠くことのない馬だけに、距離が延長されるジャパンカップでも同様の走りが期待できるだろう。

ウオッカの評価は難しい。この馬自身も極限の脚を使っているだけに、今回はポジション取りに失敗してしまったこと、カンパニーに切れ負けしてしまったことを敗因としてよいだろう。昨年時に比べると、パドックでも少し余裕を持たせた造りにも映った。ただし、昨年よりも明らかにレベルの落ちるレースを勝ち切れなかったばかりか、連対すらも外してしまったことの裏にある陰は暗い。衰えという言葉は使いたくはないが、ウオッカほどの名牝にも自分の走りが出来なくなる時が必ず来る。次走はジャパンカップではなく、マイルCSを使ってほしい。

オーケンブルースリは道中から直線にかけて狭いところに入ってしまい、この馬の良さでもある長い脚を使わずして終わってしまった。距離ロスを考えると、少しでも内を走らせたい鞍上の気持ちは分かるが、外枠を引いた今回に限って言えば、少し外を回してでもこの馬のフットワークで走らせた方が良策だったはず。次走はジャパンカップになるだろうが、距離延長がこの馬にとって悪いはずはなく、内目の枠を引けたら海外の馬とも好勝負になる。

シンゲンも伸びてきてはいるが、最後は力負けであった。パドックでの入れ込みも普段に比べるとマシで、力を出し切れる下地は整っていた。それでも勝ち負けに持ち込めなかったように、穴人気してしまったが、このクラスでは少し荷が重かった。ドリームジャーニーはG1馬らしく、最後は力のあるところを見せてくれた。天皇賞秋では宝塚記念馬の良績がないように、まだ春シーズンの疲れが抜け切っていない。ヤマニンキングリーは力を出し切って健闘している。内の良いポジションを取っていただけに、道中でフラフラして、4コーナー手前で外に出してしまった騎乗が悔やまれる。

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ありがとうございました。

Jiromaru

昨日行われました「馬券のヒント」Q&Aトークライブにご参加いただいた皆さま、最後までお付き合いいただきありがとうございました。皆さまからのレベルの高い質問や個性溢れる予想が聞けて、おかげさまで楽しい時間を過ごすことが出来ました。質問のやり取りの中で、たくさんの馬券のヒントについてお話ししましたが、そのひとつ一つが当たり馬券に繋がっていくことを願います。明日、東京競馬場にお越しになる方は、ぜひ一緒にゴール前で叫びましょう!ライブにお越しになれなかった方も、私の姿を見かけたらぜひ声を掛けてくださいな。

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