風格さえ
by Deliberation
朝日杯フューチュリティS2009-観戦記-
1番枠を生かしたバトルシュリイマンがハナに立ち、それをツルマルジュピターとダイワバーバリアンが追いかける形でレースは始まった。前半800mが46秒1、後半が47秒9という朝日杯フューチュリティSに典型的なハイペースとなり、前半で前に行き過ぎた馬にとっては苦しいペースとなった。また、厳しい流れになったことにより、スピードだけでなくスタミナも問われるレースであった。流れに乗った上位2頭は現時点での完成度が高く、それ以下の馬たちとは力差も感じられた。
ローズキングダムは並ぶ間もなくエイシンアポロンを抜き去り、わずか3戦目にして横綱相撲でG1レースを勝ってしまった。好位に行こうと思えば行ける器用さと、騎手が行くなと抑えれば素直に反応できる賢さを兼ね備えている。前走もそうであったが、競走馬にとって一番苦しいキャリア2、3戦目にもかかわらず、パドックでも返し馬でもレースでも落ち着いていた。それでいてレースに行くと闘争心を発揮するのだから、非の打ち所のない馬である。この時期に激しいマイル戦を走ったことが来年どう出るか分からないが、底知れぬ強さを感じさせる勝利であった。
小牧太騎手は念願の橋口調教師の管理馬によるG1制覇を成し遂げた。圧倒的な1番人気に推され、自分が大きな失敗さえしなければ勝てるというプレッシャーを乗り越えての勝利だけに、嬉しさもひとしおだろう。道中でわずかに行きたがったローズキングダムを抑え、最後の直線まで中団で追い出しを我慢したように、ただ勝つだけではなく、完璧な手綱捌きであった。勝利ジョッキーインタビューにて、溢れそうになる感情を抑えながら答える様には、ジョッキーとしてひと皮むけたG1ジョッキーの風格があった。
エイシンアポロンも力強い競馬をしたが、今回は相手が強かった。51秒台で真っ直ぐ駆け上がってきた坂路調教からも、このレースに向けて最高の仕上がりにあった。父は鉄の馬と呼ばれたジャイアンツコーズウェイであり、エイシンアポロンもその渋太さを受け継いで、最後まで良い脚を長く使ってよく伸びている。デビュー戦から1800mを2度使ったことも、ここに来て布石として生きてきている。この馬の地脚の強さを生かすために、外目を通り、気持ち早目に仕掛けた池添騎手の好騎乗も光った。
3着に粘りこんだダイワバーバリアンからは、将来性の高さを感じさせられた。まだしっかりと筋肉が付ききっていない現状で、これだけのペースを先行して粘ったのだから、来年以降が楽しみな馬である。今年絶好調のマンハッタンカフェ産駒は、こうして早い時期から活躍できるだけではなく、成長力も備えている。来年以降もアグネスタキオンに次ぐ、サンデーサイレンスの後継者としての役割を担っていくことだろう。
キングレオポルドは結果的には前に行き過ぎた。勝負をしに行ったのは分かるが、この馬の良さを生かすには、ソロっと出して中団よりも後ろで折り合って進めるべきであった。その馬の能力と他馬のそれとの比較の上に成り立つ判断だが、まだ勝負に行くには馬が完成されていなかったということである。同じことはダッシャーゴーゴーにも言え、スタミナの不安を補うためには、ここは抑える競馬をしてみても良かったのではないだろうか。
まさかの14着と惨敗してしまったトーセンファントムは、明らかに外枠がこたえていた。内田博幸騎手はスタートしてから思い切って出して勝ちに行く選択肢を選んだが、やはり引っ掛かってしまった。私は後ろから下げて直線一気を狙うのかと思っていたが、前者を選んだようである。どちらが正解ということではないが、勝ちに行っての結果と受け止めるしかないだろう。この馬の引っ掛かる気性と中山マイル戦の外枠という条件が、どうにも一致しなかった。

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Comments
お久しぶりです。
強かったですね。ローズキングダム。
薔薇一族とは思えない強さでした。(笑)
トーセンファントムは故障ですね。ただ、母父トニービンから東京コースの方が向くと思いますね。
それにしても今年の2歳は故障が多い。
私的にはディリー杯組が強いと思ってました。
ダービーには何頭が間に合うのでしょうか。楽しみです。
Posted by: はやひで | December 24, 2009 at 10:24 PM
はやひでさん
こんばんは。
こちらこそご無沙汰です。
バラ一族は身体が小さいですからね。
この馬はキングカメハメハの力強さがプラスされて、ようやくG1を勝てたということでしょうか。
トーセンファントムは故障してしまい残念でしたね。
あれだけ入れ込んで、無理なレースを強いてしまえば、結果的に最悪の形となってしまいました。
おっしゃる通り、リディルを筆頭にデイリー杯組も強そうです。
また橋口厩舎にも今年は有力馬が揃いましたね。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 25, 2009 at 01:00 AM