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根岸Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Negisis

■1■差し馬有利
過去のレースを観ると、差し馬―差し馬の決着が目立つ。サウスヴィグラスとメイショウボーラーが押し切ったレースでさえ、2着には差し馬が突っ込んできている。ただ単にこの2頭は圧倒的に力が抜けていたということで、基本的には差し馬が有利な展開になりやすい。そのことは、過去7年(中山で行われた2003年は除く)のレースラップを見てみれば明らかである。

2001年 ノボトゥルー
12.5-10.7-11.2-11.8-12.2-12.1-11.6(34.4-35.9)
2002年 サウスヴィグラス
12.5-10.7-11.2-11.8-11.9-12.1-12.6(34.4-36.6)
2004年 シャドウスケイプ
12.3-10.9-11.6-12.1-12.3-12.1-12.7(34.8-37.1)
2005年 メイショウボーラー
12.5-10.9-11.6-12.3-11.9-11.7-12.1(35.0-35.7)
2006年 リミットレスビッド
12.2-10.8-11.6-12.1-12.3-12.2-12.5(34.6-37.0)
2007年 ビッググラス
12.5-10.8-10.9-11.7-12.0-12.7-12.9(34.2-37.6)
2008年 ワイルドワンダー
12.2-10.7-11.4-12.0-11.9-12.0-12.5(34.3-36.4)
2009年 フェラーリピサ
12.2-10.6-11.3-12.1-12.1-11.6-12.2(34.1-35.9)

スプリント的な要素が問われると前述したが、展開という面においては、スプリント戦であるガーネットS(昨年で廃止)とは性格がわずかに異なる。ガーネットSは前半3ハロンが32秒台後半から33秒台で流れ、後半3ハロンがガタっと37秒台に落ちる、前後半の落差の平均が4.5秒という「上がり不問」のレースである。それに対し、根岸Sは前半3ハロンは34秒台から35秒台で流れ、後半3ハロンは37秒あたりに落ちるが、前後半の落差の平均は約2秒という、「普通のハイペース」である。

ガーネットSのような「上がり不問」のレースでは、直線に向いた時には全ての馬がバテてしまっているような状態なので、前に行った馬がそのまま残りやすい。しかし、根岸Sのような「普通のハイペース」では、後ろからレースを進めた馬は脚が十分に溜まっているので、ハイペースで前が潰れた時に一気に襲い掛かることが出来るということだ。

■2■キャリアを積んだ高齢馬が有利
ほとんどの重賞においては、サラブレッドとして最も充実する4歳馬が力を発揮することが多いのだが、根岸Sに関しては5、6歳馬が圧倒的に優勢となっている。過去8年間の連対率は以下のお通り。

4歳→   7%  
5歳→  26%
6歳→  21%
7歳以上→3%

つい1ヶ月前までは3歳であった4歳馬が、キャリアを積んだ歴戦のダート馬にわずか1kgの斤量差で挑むのは、まだこの時期では苦しいと解釈するべきであろう。メイショウボーラーが勝利したように、4歳馬に勝ち目がないというわけではないが、苦戦を強いられることは間違いない。逆に考えると、ここで連対を果たせるような4歳馬は成長が見込める本番フェブラリーSでも好勝負になるということだ。

■3■前走ダート1200m組
過去8年の勝ち馬のうち、ビッググラス、ワイルドワンダー、フェラーリピサ以外の勝ち馬は全て前走ダート1200m戦組であった。【5・3・3・26】で勝率13.5%、連対率21.6%と圧倒的な数字を残している。スプリントとマイルの中間的な距離だが、根岸Sに関して言えば、勝つためにはスプリント的な要素がまず問われるということである。

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「安藤勝己の頭脳 名牝騎乗論」

Andoukatuminozunou03 4star

競馬を知り尽くした百戦錬磨のジョッキーに馬券を極めようとする天才がインタビューすると、馬券本ながらもこれだけ奥の深い内容になる、というお手本のような書である。シリーズ前著、前々著についても述べたが、安藤勝己騎手から競馬の本質を引き出し、核心を突こうとする、亀谷敬正氏の手腕にはいつも敬服する。

個人的に気づきがあった部分や馬券のヒントになりそうな頁に付箋を貼る習慣が私にはあり、この本にはなんと9個の付箋が付いた。せっかくなので、そのひとつをここに紹介したい。

ひとつはダイワスカーレットが勝った2007年の桜花賞について。1番人気のウオッカの追撃を振り切って、ダイワスカーレットがチューリップ賞の借りを返したレースである。レース後に勝因としてよく挙げられた、「チューリップ賞はウオッカが来るまで待ってから追い出して、瞬発力勝負になってしまったので、桜花賞は持続力勝負に持ち込もうとして早めに動いた」という意見に、当時の私は戸惑いがあった。レースを観る限り、チューリップ賞と桜花賞ではそれほど大きな動きの違いはなかったように思えたからである。

亀谷
「結果的に桜花賞と同じ時計でしたが、パフォーマンスを上げたのでしょうか?」

安藤
「それはあると思います。チューリップ賞よりも少し時計の掛かる馬場だったことを考慮すると、それより走っている印象はあります。チューリップ賞では同じような流れでウオッカに勝負所で並ばれたわけだから、そのあたりも全然違いましたよ。ただ、その時も追い出してからはまだ差し返すようなところがありました。だから、持久力勝負の追い合いになれば5分以上かなというのがあって、そのあたりを意識して動いてはいます。実際には大きく乗り方を変えたつもりはありませんが」

亀谷
「チューリップ賞よりも、相手を待たずに追い出したということですか?」

安藤
「それはよく言われるんですが、本当に気持ち程度です。それよりも、チューリップ賞は逃げる形で馬が力んでいたけど、3番手で走った今回はリラックスしていましたからね。それでも1馬身半ほどの上積みがあったわけではないと思うんですよ」

このやりとりを読んで、私は少し安心した。「チューリップ賞では瞬発力勝負になって負けたから、桜花賞では持続力勝負に持ち込んで勝った」という単純化された方程式を、安藤勝己騎手がやんわりと否定してくれたからであろう。曖昧なことを言っているように見えて、実はダイワスカーレットがチューリップ賞よりも仕上げられていたこと、同じようなラップでもチューリップ賞は逃げる形で力んでいたこと、ウオッカが前走ほどのパフォーマンスをしなかったことなど、様々な要因が重なり合っての勝利だったと教えてくれているのだ。競馬はそんな簡単なものではないよ、と言っているようでもある。

競馬は難しいけど、だからこそ楽しい。

あなたはこの本にいくつの付箋を貼るだろうか。

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東京新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Tokyosinbunhai

■1■瞬発力のある追い込み馬
東京競馬場が改修され、最後の直線が僅かに長くなって以来、前半がスローになり、直線に向いたラスト3ハロンでの瞬発力勝負になるケースが多くなった。不良馬場だった昨年を除く、過去5年間の勝ち馬および2着馬の上がり3ハロンのタイムは以下のとおり。

2004年
ウインラディウス 33秒7
クラフトワーク  33秒3
2005年
ハットトリック 32秒9
キネティックス 33秒2
2006年
フジサイレンス 33秒9
オレハマッテルゼ 34秒5
2007年
スズカフェニックス 33秒3
エアシェイディ 33秒3
2008年
ローレルゲレイロ 34秒9
リキッドノーツ 33秒4

開幕週のため時計が速いということもあるが、それにしても速い上がり時計が求められるレースであることが分かる。道中が極端にスローに流れると、逃げ・先行馬にとっても有利になるのだが、それ以上に瞬発力が身上の追い込み馬にとっては絶好の舞台になる。対照的に、極限の瞬発力を有さない(速い上がりに対応できない)先行馬や差し馬にとっては力の出せないレースになりやすい。

■2■スプリンター寄りの馬でももってしまう
東京競馬場のマイル戦は1600m以上のスタミナが必要とされるコースと言われているが、東京新聞杯のように道中がスローに流れるケースにおいては、レースの趣向は全く別物となる。これは例えばヴィクトリアマイルにも当てはまるのだが、道中のペースが極端にスローに落ちると、1600m以上のスタミナを保持していないスプリンター寄りの馬でも何とか最後までもってしまうのだ。

2007年の勝ち馬スズカフェニックスは、(のちに高松宮記念を勝ったように)本質的にはスプリンターだが、道中のペースが緩かったからこそ府中のマイル戦でも勝ち切ることが出来た。同じ舞台の安田記念でも人気になったが、道中のペースが厳しい府中のマイル戦ではスタミナ不足を露呈して、勝ち切ることはできなかった。つまり東京新聞杯では、従来の府中マイル戦のイメージを捨てて、上がり勝負に強いスピード馬を狙ってみるのも一計だろう。

■3■サンデーサイレンス系でもフジキセキ
ヨーイドンの上がり勝負になる以上、瞬発力勝負に長けたサンデーサイレンス産駒もしくはその直系の産駒に注目しないわけにはいかない。過去5年で6頭の馬が連対していて、3着馬や母父サンデーサイレンスにも手を広げると、さらにサンデーサイレンス系がいかにこのレースに強いことが分かる。

そして、上記のスプリンター寄りの馬でももってしまうという傾向を考慮すると、サンデーサイレンス系の中でもフジキセキ産駒はこのレースにフィットするのではないか。ではないかと書いておきながら、実は2006年にフジサイレンスが11番人気で勝ってしまっていて残念だが、サンデーサイレンス直仔がいなくなる以上、サンデーサイレンス系の中でも切れとスピード寄りのフジキセキ産駒が忘れた頃にやって来ることを覚えておきたい。

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強烈な努力

Tokyodaisyoten01

「心が震えたレースベストテン2009」第4位は、昨年の最後の最後に行われたG1レース、東京大賞典である。運命のいたずらか、それとも皮肉と言うべきか、このレースの人気を分け合ったヴァーミリアンとサクセスブロッケンの鞍上にいたのは、今年のリーディングジョッキーを最後まで争った武豊騎手と内田博幸騎手。しかも枠順は隣り合わせと、これでお互いを意識しないはずがない。内田博幸騎手としては、勝って自身のリーディングジョッキーと古巣の大井に錦を飾りたかっただろうし、武豊騎手としても、リーディングジョッキーの座を奪われた内田博幸騎手になんとしても一矢報いたかったに違いない。

ゲートが開き、年の瀬の人々の忙しさや熱狂を秘めるかのように、レースは淡々と流れた。大井競馬場の2000mコースはスタートから第1コーナーまでが長いため、大外枠を引いてしまったヴァーミリアンとサクセスブロッケンも、比較的スムーズにレースの中に溶け込んでいった。レースが動いたのは、ルメール騎手が操るゴールデンチケットが4コーナー手前から捲くりをかけた瞬間である。スタンドからは、「こうでなくっちゃ」とばかりにどよめきが湧いた。

ここからの2人のジョッキーの動きが対照的であった。先に動き始めたのは、サクセスブロッケンの内田博幸騎手。動き始めたというよりは、前にいる馬たちを射程圏に入れるために距離を詰めなければならなかった。思いのほか、サクセスブロッケンが大井競馬場の砂を苦にしていたのかもしれない。対する武豊騎手の手綱はほとんど動かない。自分の下で疾駆するヴァーミリアンの力を信じていたのだろう。大敗した前走のJCダートの時とは違い、手応えの良さを手綱から感じ取っていたのかもしれない。静と動。直線に向いた時には、武豊騎手は勝ったと思い、内田博幸騎手はなんとか2着を死守するのが精一杯と感じたに違いない。

フォームなど気にかけることもなく、馬を叱咤激励し、手綱を押し続ける内田博幸騎手の姿を見て、あの頃の記憶がふと蘇ってきた。私が競馬を始めて数年が経ち、時間だけはたくさんあった学生時代に、地方競馬場に通ったあの頃。当時の南関東には石崎隆之、的場文男、佐々木竹見という百戦錬磨のベテランジョッキーが君臨していて、この3人を馬券に絡めなければ、まず当たらなかった。それほどの寡占状態において、当時20代半ばであった内田博幸騎手でさえ、その他大勢の中のひとり、ワンオブゼムに過ぎなかった。

それでも、私が内田博幸騎手を鮮明に覚えているのはなぜだろう。おそらく、私が彼の馬券をよく買ったからではないだろうか。人気馬でもなく、全く力が劣るという馬でもない、ソコソコの人気の馬に内田博幸騎手はよく乗っていた気がする。何をやっても上手くいかない貧乏学生の私が、人気で磐石のベテラン騎手ではなく、人気薄の馬に乗る若手ジョッキーに肩入れしたのは当然だろう。高く厚い体制の壁をブチ壊して欲しいという願望から、勝手にシンパシーを感じていたのかもしれない。だが、私のそんな願いなどもちろん叶うはずもなく、内田博幸騎手はいつも直線で馬群に沈んでいった。だから、私にとって、内田博幸騎手はあまり上手くないジョッキーであった。いや、事実そうだったのだろう。

Tokyodaisyoten02その内田博幸騎手が、中央競馬の大舞台でリーディングジョッキーとなり、中央の馬を擁して東京大賞典で必死に馬を追っている。あの頃から10年以上の歳月が流れ、彼はその間にどれだけの強烈な努力を重ねたのだろうか。劣勢に思われたサクセスブロッケンが、中央競馬の天才が脚を伸ばすヴァーミリアンに一歩一歩近づいていく。「努力すれば天才をも超えられる」と彼は語った。努力を惜しんだ私は、何も変わらない平凡な人生を送っている。寒風吹きすさぶ競馬場のモニター越しに、私はあの頃と変わらない精一杯の声援を送った。「ウチダッ、ウチダーーァ!」ウイニングランで何度も何度もスタンドに向かってガッツポーズをする内田博幸騎手を見て、彼の勝利がまるで自分のことのように誇らしかった。


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AJCCを当てるために知っておくべき3つのこと

Ajcc

■やっぱり前に行ける馬が有利
12.7-11.3-11.9-11.6-11.7-11.9-11.8-12.1-12.0-12.2-12.2(59.2-60.3)H
13.0-11.6-12.5-12.0-12.2-12.0-11.9-12.1-12.0-11.6-12.3(61.3-59.9)S
13.0-11.3-12.3-11.9-11.7-11.7-11.8-12.1-12.0-12.0-13.0(60.2-60.9)M
12.7-11.3-12.7-12.3-12.2-12.1-12.1-12.2-11.8-11.9-12.3(61.2-60.3)S
12.3-11.8-12.5-12.2-12.7-12.4-12.0-12.1-11.6-11.7-12.6(61.5-60.0)S

前半が上りで、後半が下りというアップダウンの影響も大きいのだが、過去5年間のラップタイムを見るだけで、スローペースになりやすいことが分かる。同じ条件で行われるオールカマーほど極端ではないが、それでもやっぱり前に行ける馬が有利になる。

■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、マツリダゴッホしかり、ネヴァブションしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

■イマイチくんを狙え
古くはマチカネタンホイザやマチカネキンノホシから、最近ではエアシェイディなど、大レースではあと少しパンチ力が足りない馬たちが、AJCCでは見事に勝ち切ったケースが多い。時期的にG1級の馬が出走してこないことで出番が回ってくること、そして、現代の主流の瞬発力とスピードではなく、スタミナとパワーという反対のベクトルを問われるレースになりやすいことが理由として挙げられる。他のレースではなかなか勝ち切れなかったイマイチくんをここで狙ってみるのも面白い。

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平安ステークスを当てるために知っておくべき3つのこと

Heians

■ペースにかかわらず先行馬有利
1分50秒を切ることもあるように、スピード決着になりやすい。ラップ構成はスロー~ハイペースまでランダムだが、どのようなペースになっても前に行った馬にとっては有利な展開になりやすい。昨年は極端なスローになり、瞬発力に優るメイショウトウコンとサンライズバッカスが差し込んだが、基本的には前々で攻められる馬を狙うべき。

また、京都1800mは第1コーナーまでの距離が286mと短い。そのため、馬群が十分に固まらないうちに1コーナーに突入し、外枠の馬は外を回されてしまう確率が高い。スローに流れやすい展開やフルゲートになりやすいことも考えると、経済コースを回って競馬ができる内枠の馬が有利になることは間違いない。

■粘り込めるミスタープロスペクター系、ロベルト系が強い
平成14、15年と逃げ切ったスマートボーイはトップサイダー系アサティスの産駒だが、過去12年間、それ以外のレースの勝ち馬はミスタープロスペクター系(5頭)もしくはロベルト系(5頭)から出ている。スピード決着になりやすく、先行して粘りこむ競馬になりやすいことが大きな理由である。ただし、京都1800mはごまかしの利かないコースなので、スタミナに不安のある馬では厳しい。そういった意味では、もちろんダート1800mでの実績も必要である。

■実績馬に有利なレース
グレード別定戦であるため、それほど重い斤量を課せられない実績馬にとって有利なレースになる。とはいえ、58kg、59kgを背負って馬券圏内に入った馬はいないように、あまり重い斤量を背負う馬は苦しくなくなる。

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集中連載:「パドックの見方を極める」第5回

Paddock04_2■歩くリズムとスムーズさ
ここから先は、パドックの見方を極めるためのノウハウについて、詳しく書いていきたい。

まずは歩くリズムとスムーズさである。リズム良くスムーズに歩けている馬は、間違いなく好調だと考えてよい。リズム良くスムーズにとは、手綱を引く必要がほとんどないことに近い。これが意外に難しく、私の感覚だと、リズム良く歩けている馬はほとんどいない。厩務員や調教助手が傍らについて、手綱を引きながら周回しているからこそ、ようやくパドックを回っていられるのである。もし手綱を放してしまえば、どこに行ってしまうか分からない馬がほとんどだろう。もっとも、馬にとってパドックは非日常的な場所なので、落ち着いて歩けというのが無理な話なのだが、それでも精神状態が良い馬ほど、まるで鼻歌を歌うように平常心で歩くことが出来る。

パドックでは馬の精神状態を見ると書いたが、もうひとつ付け加えておくと、パドックではその馬の性格も知ることが出来る。大人しい性格、幼い性格、素直な性格、臆病な性格、激しい性格、のんびりした性格、せっかちな性格などなど、年齢や精神状態と相関して変化することはあっても、その馬の基本的な性格は大して変わることはない。知らない馬同士のレースを予想したり、知らない競馬場に行って競馬を楽しむ時に、パドックを見ることが欠かせない理由がここにある。競馬新聞には書いていない、馬の性格をパドックでは知ることが出来るのだ。

2009年9月20日、私は中山競馬場にいた。この連載を始めようと考えていたので、パドックでサンプル動画を撮るつもりであった。昼ぐらいからパドックに参戦したが、いきなり最初のレースでこれは!と思う馬をみつけた。


この馬が目に留まったのは、実にリズム良くスムーズに歩けていたからである。馬を引いている人の手綱には、ほとんど力が入っていない。もうパドックやレースに慣れているのか、観客を気にする様子も全くなく、自分のリズムで気持ち良さそうに歩いている。チャカチャカと小走りになっているでもなく、変に踏み込みが深すぎたりもしない。サラブレッドがきちんと調教をされて、気分良く出走してくれば、まさにこう歩くという歩き方である。

性格はいかにも素直そうである。人間とのコミュニケーションも良く取れているようで、こういう馬はレースに行ってジョッキーの指示に素直に従うし、多少の不利があっても我慢強く、レースを捨てない。自分の持っている能力を超える走りは出来ないが、出し切って走る可能性の高い馬であることが分かる。

私はこの馬の前走や前々走のパドックを見ていないので、タテの比較は出来ないが、もしかするとこれだけリズム良くスムーズに歩けたのは、今回が初めてかもしれない。たまたま体調が良いからこそ、入れ込むこともなく、悪さをするでもなく、綺麗に歩けているのかもしれない。それでも、今日この馬のパドックを見る限りは、体調が良く、理想的な精神状態で出走してきていることが分かる。だったら、今回こそこの馬を狙ってみたい。そう思わせてくれた。結局、この日で最も良く見えた馬であった。

結果は最後の直線で外から突っ込んできて2着。7番人気の人気薄だったので複勝は650円もつき、馬連は7020円、馬単は10200円の万馬券の立役者となった。もちろん、この時はたまたま結果が良かっただけだが、レースの流れやポジションや他馬との力関係が向けば、この馬が好走する可能性が高かったことは確かであろう。レースに行って、自分の力を出し切れる準備はすでに出来ていたのだ。

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(第6回へ→)

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日経新春杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Nikkeisinsyunhai

京都の2400mはスローの瞬発力勝負になりやすい典型的なコースである。スタートしてから最初のコーナーまでが597mとかなり長いため、無理な先行争いもまずなく、1コーナーに入るとひと息入る。最後の直線が長いことを考えると、向う正面で自ら動く馬もさほどおらず、通常、各馬が動き始めるのは丘の坂下から。そこからラスト4ハロンの上がり勝負になる。

実際に過去10年間の日経新春杯のラップタイムを見てみると、その傾向がよく分かる。

2000年 マーベラスタイマー
12.8-11.2-11.4-12.3-12.2-12.1-12.3-12.2-11.9-12.0-11.8-12.1(72.0-72.3)M
47.7-48.8-47.8
2001年 ステイゴールド
12.4-11.3-11.8-13.1-13.2-12.6-12.4-12.4-12.0-11.7-10.8-12.1(74.4-71.4)S
48.6-50.6-46.6
2002年 トップコマンダー
13.1-11.9-11.8-13.0-12.5-12.4-12.4-12.6-11.8-11.6-11.5-11.8(74.7-71.7)S 
49.8-49.9-46.7
2003年 バンブーユベントス 
12.6-11.6-11.7-13.0-12.8-12.4-12.4-12.2-11.9-12.0-11.0-12.2(74.1-71.7)S 
48.9-49.8-47.1
2004年 シルクフェイマス
12.8-11.2-11.4-12.3-12.1-12.3-12.7-12.5-12.1-11.6-11.8-11.7(72.1-72.4)M 
47.7-49.6-47.2
2005年 サクラセンチュリー 
13.0-12.2-12.2-13.8-12.9-12.9-13.2-12.9-11.8-11.5-10.8-11.8(77.0-72.0)S
51.2-51.9-45.9
2006年 アドマイヤフジ
12.6-10.9-11.3-12.7-12.4-12.5-12.7-12.7-12.2-11.7-12.0-12.6(72.4-73.9)H
47.5-50.3-48.5
2007年 トウカイワイルド
12.5-11.2-11.0-13.0-12.8-13.0-13.8-12.8-11.7-11.7-11.6-12.3(73.5-73.9)M
47.7-52.4-47.3
2008年 アドマイヤモナーク
12.5-11.4-11.3-12.7-12.8-12.6-12.5-12.3-11.9-12.2-12.2-13.0(73.3-74.1)M
47.9-50.2-49.3
2009年 テイエムプリキュア
12.7-11.3-11.7-12.7-12.7-12.6-12.6-12.1-11.6-11.9-11.9-12.8(73.7-72.9)M
48.4-50.0-48.2

前後半1200mのラップタイムから判断すると、唯一、ハイペースとなったのが2006年にアドマイヤフジが勝ったレースで、それ以外の年は、ミドル~スローペースとなっている。何よりも注目すべきは、前半中盤後半に分けた800mずつのラップタイムである。京都2400m外回りで行われる日経新春杯の特徴的な流れとして、「緩緩速」というリズムのレースが多く目立つことが分かる。全体的に緩みのなかった2000年や、「速緩速」の中緩みの2004年、2007年、重馬場で行われた一昨年以外は、前半も中盤も遅くて後半だけが速いという、典型的な上がり4ハロンの競馬になっている。

以上のことから、3つのポイントが導き出される。

①内枠有利
②上がりの競馬に強い馬
③サンデーサイレンス直仔の産駒

①の内枠有利は言うまでもない。道中がこれだけスローに流れやすい以上、4つのコーナーで外々を回されてしまう外枠を引いた馬はロスが大きいということである。すんなり前に位置できる脚質の馬であれば大した問題ではないが、ギリギリまで脚を溜めて瞬発力勝負に賭けたい差し馬にとっては、内枠は願ったり叶ったりの枠になる。

3コーナーの丘の坂下から一気に動き始めるレースになりやすい以上、追っつけて追っつけて伸びるような馬ではなく、一気にトップギアに入り、②上がりの競馬(ラスト4ハロンのスピード勝負)に強い馬にとって有利になる。スタミナよりも、折り合いさえつけばスピードの爆発力の方が問われるということである。

そういった意味において、③のサンデーサイレンス産駒が得意とする舞台であることが分かる。昨年以降のサンプルは少ないが、その前の4年間では勝率15%、連対率26%という圧倒的な数字を残していた。また、一昨年はアドマイヤベガ産駒から勝ち馬が出たように、瞬発力に富んだサンデーサイレンス直仔の産駒にも期待が出来るだろう。

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地図を燃やせ。

Company

「心が震えたレースベストテン2009」の第5位は、横山典弘騎手が乗ってカンパニーが勝ったマイルCSである。前人未到の8歳馬によるG1制覇を成し遂げた後、今度は負けられない立場として、この引退レースに臨んできた。そんな周囲のプレッシャーをはねのけるように、カンパニーは横山典弘騎手がゴール前では手綱と頬を緩める余裕さえ見せて楽勝した。そして、これは見逃されがちなことだが、8歳馬によるG1連勝も快挙である。ただでさえ消耗の激しいG1レースを、8歳馬が中2週で連勝してしまうことの凄さ。もしかすると、こちらの方がより偉業と呼ばれるに相応しいのかもしれない。

カンパニーの昨年秋の覚醒を見るにつけ、音無調教師は若い頃から変わっていないことを強調するが、私はその馬体の変化が最も大きな要因だろうと考える。それまではコロンとして映ったカンパニーの特徴的な馬体が、この秋はとてもスリムになっていた。悪く言えば貧弱、良く言えば軽量化に成功したということ。つまり、競馬の世界で言う、「枯れた」ということだ。速く走ることにとって不必要な部分は削ぎ落とされ、必要な部分だけが残った。8歳馬にしてようやく枯れた馬体を生かして、カンパニーは8歳馬によるG1連勝を成し遂げた。

もうひとつ、血統にも触れておかなければならない。無理をさせることなく大切に使ってきたからこそ高齢になるまで走り続けられたという論調があるが、諸手を挙げて賛成するわけにはいかない。だって、生涯で35戦も走っているのだから。しかも、そのうちのほとんど(32戦)が重賞レースである。3歳でデビューしてから、常に一戦級の厳しいレースの中で揉まれてきたのである。ちなみに、今年産駒がデビューするあのディープインパクトはわずか14戦のキャリアで引退している。はっきり言ってしまうと、カンパニーは血統的に恵まれておらず、種牡馬としての道がなかったからこそ、皮肉にもこれだけ現役を続けることが出来たのだ。そう、まるでセン馬のように。

しかし、その血統の中にこそ奇跡(ミラクル)があった。カンパニーの母系を辿っていくと、クラフティワイフという牝馬で指が止まる。クラフティワイフは仔出しが良いことで有名な繁殖牝馬で、初仔のブリリアントベリーからなんと10年連続で産駒をターフに送り出した。しかも、その仔たちは現役で長く丈夫に走り続けたのだ。ビッグショウリ39戦、イブキハイシーザー49戦、クラフティシャルム23戦、キョウエイフォルテ39戦、クラフティゴールド32戦などなど、バトルバニアンは現在30戦を走り、これからもまだキャリアを積み重ねていく。カンパニーの鋼のような肉体と屈強な精神力には、このようなファミリーとしての背景があったのだ。

作家・沢木耕太郎が書いた「地図を燃やす」というエッセイがある。若かりし頃の沢木耕太郎が世界的な指揮者である小沢征爾にインタビューをした時、「30までは何でもできると思っている。ところが30を過ぎると自分に可能なことが、地図のようにはっきり見えてくるんですよ」という言葉に強い印象を受けたという。その後、沢木も30を過ぎて、小沢の言葉どおりの生々しさで地図が浮かんできたという。だが、と沢木は続ける。「前に進もうとすると、見えていたはずの地図の道が陽炎のように消えていた」。40代に入った小沢に再び会った時、そんな話が聞けるのではないかという幻想がある、どうしたら脳裏に浮かぶ地図を燃やし尽くせるのだろう、と沢木は締めくくった。

私が心を動かされたのは、カンパニーが単なる頑張るオヤジのシンボルだったということではない。年齢を重ねると衰えるという、私たちがごく自然に持っている思い込みに気付かされたのだ。携わる人間の思い込みによって、陽の目を見る前に淘汰されてしまったサラブレッドは星の数ほどいるに違いない。そして、私たち人間にもそれは当てはまり、自分自身の人生に対する思い込みにもつながりかねない。

10代の頃は自分が何をしてよいのか先のことなど全く見えず、20代の頃は夢中になって人生の地図を探し求め、30代になってようやく地図がはっきりと見えたかと思いきや、あっという間に私たちの青春は終わる。だが、自分の人生はこんなもんだとあきらめたり、高を括ったりすることこそが、私たちの未来を奪っていることに気づかねばならないのだろう。カンパニーはその旅の途中で、何度地図が見えたり、陽炎のように消えたりしたことだろう。それでも走り続けて、競走生活の最後の最後に、自分の力で種牡馬への道を切り拓いた。

もしカンパニーが話すことができたなら、きっとこう言うに違いない。

「地図を燃やせ」


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・応募期間は1月31日(日)までとさせていただきます。
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「心が震えたレースベストテン2009」

Mybest10 by ede

今年初めの企画として、恒例の(といっても2007年以来だが)「なんでもベストテン」、今年は「心が震えたレースベストテン2009」をテーマとて書いてみたい。

競馬を始めてからはや20年。かつて競馬の全てがキラキラと輝いていた頃と比べ、どうしても競馬を観て純粋に感動したり、驚いたりすることが少なくなってきた。それはそれで自然なことなのだが、もう一度、あの頃のドキドキを取り戻したいという気持ちはいつも忘れていない。

そんな私にとって、昨年はずいぶんと心を動かされたレースが多かった。競馬をやっていて良かったと思わせられるレースをたくさん観た気がする。そんなレースの中でも、私の独断と偏見で選んだベスト5を掲載していきたい。

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フェアリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Farys

■内枠から前に行ける馬が有利
昨年の1~3着馬を見てみると、全て内枠の馬であることが分かる。中山マイル戦は外枠不利という定説があるように、スタートしてからすぐに右へ急激にコーナーを曲がるコース形態のため、外であればあるほど距離ロス(スタミナロス)は大きい。力の付き切っていない3歳牝馬だけに、ちょっとしたロスがゴール前でこたえる可能性は高い。また、昨年の3着に10番人気のグッデーコパが粘ったように、直線が短いコース形態を考えると、やはり前に行ける馬が有利である。内枠から前に行ける馬を狙いたい。

■1600m以上の経験馬(スタミナも問われる)
これも昨年の1~3着馬を見てみると、前走は1600m以上のレースを走っていることが分かる。フェアリーSが1600mに変更されて、クラシック(桜花賞やオークス)を睨む素質馬が出走してくる以上、スピードタイプの牝馬は苦戦を強いられることになる。ごまかしの利きやすいコースではあるが、スピードだけで押し切ることは難しい。急坂を登って、最後に問われるのはスタミナと底力というレースになるだろう。

■牡馬を相手に勝ち上がってきた馬
同じ新馬戦を勝つにしても、牝馬同士ではなく、牡馬を相手に勝ち上がってきた馬の方が強いのは当然である。牡馬と戦うことには、時計やラップには表れない厳しさがある。クラシックを見据えての厳しいレースとなる以上、牝馬同士の新馬戦を選んで勝ち上がってきた馬よりも、牡馬を相手に勝ちあがってきた、もしくは好レースをしてきた馬を狙いたい。

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ばんえいのウオッカ

Hukuizumi

フクイズミという馬をご存知だろうか。もしご存知であれば、あなたはかなりの競馬好き、いや、ばんえい競馬好きであると思われる。フクイズミは9歳牝馬でありながら、これまで135戦48勝という実績を誇る、ばんえい競馬界のトップホース。ばんえいのウオッカと呼ばれ、牡馬を相手に激闘を繰り広げ、帯広記念、旭川記念、ばんえいグランプリなど多くの大レースを勝っている。フクイズミとウオッカは姿形こそ違え、その愛くるしい瞳は競馬界のアイドルとして通ずるものがある。

ばんえい競馬は、およそ1トンの馬がおよそ1トンのそりを引いて走る障害レースである。レースは直線で行われるが、スタートからゴールまでの間に2つの障害が待ち受ける。もちろん、第2障害の方が遥かに険しい。第1障害はなんとか乗り越えられても、第2障害を前に立ち尽くしてしまう馬、山の途中で力尽きてしまう馬は数知れない。ゴールまで完走すること自体が難しいのだ。

フクイズミは障害と障害の間にはさまれた平地での脚で勝負する馬である。特に第2障害を越えた後のゴールまでの平地での末脚が郡を抜いているのだ。私もばんえい競馬に関しては詳しいことは分からないのだが、おそらく牝馬だけにパワーではなくスピードが優っているということなのだろう。まさかという位置から、最後の直線で牡馬をナデ斬りにするレースは爽快である。

思い返せば、今から4年ほど前、私は新婚旅行で帯広に行ったのだった。3月の帯広は想像以上に寒く、生まれて初めてマイナスの世界を体験した。ホテルから一歩でも外に出れば、味わったことのない寒風がいとも簡単に身体から体温を奪っていく。タクシーに乗り込むまでのわずか数十秒、息をするのも苦しかった。それでも、帯広競馬場につくや、私の競馬好きの血が騒ぎ出し、寒さなど忘れてしまった。おそらく妻は、相当に寒い思いでそんな私を見ていたことだろう。

何もかもが新鮮だった。ばん馬の大きさはもとより、見ても全く分からないパドックから歩きながら観戦できるレースまで、全てが大迫力であった。競馬場で食べたラーメンが、これほど美味しいと感じたこともなかった。それとともに、暖房のきいた競馬場内から外に出ると、居ても立ってもいられない自分に情けなさを覚え、極寒の地域で生活をしている人々の我慢強さに尊敬の念を抱いた。やっぱり世界は広い、ここに来て良かったと思えた。

1月2日、フクイズミが帯広記念を連覇した。昨年の秋は凡走が続き、あのフクイズミにも衰えが来たのか、いよいよ引退かと騒ぐ外野の声を封じるかのように、まさかの先行策で再び頂点に立ったのである。フクイズミが2番手で第2障害を越えれば、これに勝てる馬はいないだろう。昨年の帯広記念はゴール後に座り込んでしまったほどであったが、今年は堂々とした勝利であった。毎日王冠、天皇賞秋とまさかの敗戦を重ね、瀬戸際に追い詰められながらもジャパンカップで鮮やかに勝利したウオッカと通ずる復活劇ではないか。年齢を重ねると共に、ますます強さを増してゆくところも似ている。フクイズミのファン、そしてばんえい競馬のファンにとっては、年始から暖かい競馬になった。これからも、まずは無事に、「きまぐれ娘」の勇姿を見せてほしいと願う。


昨年の帯広記念の追い込みは圧巻でした。ゴール後は座り込んでしまうぐらい。


関連リンク
「ガラスの競馬場」:輓馬(ばんば)

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シンザン記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sinzankinen

■1■朝日杯フューチュリティS好走組優位
この時期に行われる3歳重賞ということもあって、朝日杯フューチュリティSで結果を出せなかった居残り組みと、これから上を目指す素質馬のぶつかり合いという図式となる。過去10年の戦績から見ると、完成度が高い朝日杯フューチュリティS組が4勝と有利で、特に朝日杯フューチュリティSで好勝負していた馬が順調に出走してくれば、ほぼ間違いなく勝ち負けになる。

■2■前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬
同じ時期の同条件で行われる京都金杯と比べ、頭数が少なくなることもあって、ペースはスローに落ちることが多い。開幕2週目で前が止まりにくい馬場であることも含め、前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬にとってはレースがしやすい。

また、この時期の3歳馬にとって、京都の外回りマイル戦は厳しいレースである。よって、1600mの距離を走ったことのない馬にとっては苦しいレースとなることは避けられない。ちなみに、連対馬20頭中19頭に1600m以上の出走経験があった。

■3■素質馬が集まるジョッキーに変化あり
武豊騎手が過去12年で5勝と圧倒的な勝率を誇っている。平成19年も武豊騎手から岩田騎手に乗り替わったもののアドマイヤオーラが勝ったように、武豊騎手にこの時期の素質馬が集まりやすいことが考えられる。ただし、岩田康誠騎手と安藤勝己騎手のワンツーが連続したように、その流れも3年前あたりから少しずつ変わってきている。もう少し生々しく言うと、各陣営の武豊離れが進んできている(武豊騎手一辺倒ではなくなってきている)。ここ最近で勢いのあるジョッキーに乗ってみるのも、ひとつの手かもしれない。

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集中連載:「パドックの見方を極める」第4回

Paddock04

■馬の精神状態を見極める
ビリーがパドックで「Good」や「Great!」と評した馬は、人気の有無にかかわらず好走した。人気薄の馬を指名したかと思うと、次のレースでは人気馬を推したりした。人気馬はブッチぎり勝ち、人気薄の馬は大穴を開けることが多かった。まさに変幻自在で、この人は本当に馬が見えるのだろうなと思わされた。ビリーは競馬新聞こそ手に持っていたが、パドックに馬が歩いている時は、ほとんどパドックしか見ていなかった。

驚かされたのは、脚を引きずるように歩いていた馬や明らかに太目残りに映る馬を指名して、それらの馬があっさりと勝ってしまったことだ。競馬本で馬体の見方について学んだ私にとっては、到底走るとは思えない馬たちであった。最初の頃は、どういう基準で選んでいるのか、私にはさっぱり分からなかった。もちろん、ビリーの評価した馬でも負けることもあった。しかし、明らかに好走する確率が高く、時には大穴が来たりするので、それほど大金を賭けていたわけではないようだったが、かなりの儲けが出ていたことだけは分かった。

私はプライドをかなぐり捨てて、ビリーに尋ねた。

「どうやって馬を見ているのですか?」
「Takaは馬の身体を見ているようだけど、私は馬の身体はほとんど見ていないよ」
「え??じゃあどこを見ているのですか?」

ビリーが何度も繰り返し私に教えたのは、「パドックでは馬の身体ではなく心を見よ」ということであった。大切なのはこれだけと言っても過言ではなかった。少しかじっただけの知識を以って、私が馬の身体についての質問をすると、「Taka、身体を見ても分からないよ。心を見なさい」と優しく説いてくれた。その時は、ビリーの言葉の真意があまり理解できなかったが、今となってはハッキリと分かる。ビリーが伝えたかったことは、パドックという場所で私たちに分かることは、その馬の競馬(レース)に向かうにあたっての精神状態だということである。

馬の仕上がり状態やレースにおける肉体的な適性を把握することは困難である。一旦動き出すと、馬を見ることは難しくなる。静的システムが動的システムに変わった途端、極端に複雑になることに似ている。動いている(歩いたり、走ったりしている)馬を見ることは、私たちにとって至難のワザなのである。毎日馬と接している専門家にとってもそうなのだから、競馬ファンにとってはなおさらだろう。

それでは、どうするかというと、私たちはパドックを歩く馬が発する心のメッセージを読み取らなければならない。人間と同様に、いやそれ以上に、サラブレッドの身体と心はつながっている。体調や仕上がりが良ければ、馬は落ち着いて集中した精神状態になる。その逆もまた然り。馬の精神状態を見極めることが、実は体調や仕上がりを知ることにもなるのだ。「この馬は今どういう精神状態にあるのだろう」と考えることが、パドックの正しい見方なのである。

(第5回に続く→)

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中山金杯を当てるために知っておくべきこと

Nakayamakinpai

中山金杯には面白いラップ傾向があり、人気馬から人気薄まで、“差し馬”の活躍が目立つのはそれゆえである。まずは、中山金杯の過去5年間のレースを振り返ってみたい。

平成15年 トーホーシデン
12.7-11.9-12.1-12.0-11.9-11.9-11.8-11.8-11.8-12.1(60.6-59.4)S
平成16年 アサカディフィート
12.5-11.6-12.5-12.1-11.9-11.7-11.7-11.4-11.7-12.1(60.6-58.6)S
平成17年 クラフトワーク
12.6-11.5-12.7-12.0-11.4-11.0-11.6-11.7-12.0-12.5(60.2-58.8)S
平成18年 ヴィータローザ
12.7-11.5-12.9-11.9-11.6-11.4-11.4-11.6-11.7-12.7(60.6-58.8)S
平成19年 シャドウゲイト
12.6-10.8-12.6-11.6-12.2-12.1-12.5-12.6-12.2-13.2(59.8-62.6)M
平成20年 アドマイヤフジ
12.4-11.4-13.3-12.5-12.4-11.9-11.9-11.4-11.0-12.5(62.0-58.7)S
平成21年 アドマイヤフジ
12.3-10.9-13.0-11.4-12.1-11.4-11.6-11.7-11.5-12.6(59.7-58.8)S

レースラップの後ろにカッコで括っているのは、前後半1000mのタイムである。不良に近い重馬場で行われた一昨年は例外として、良馬場で行われた平成15~18年と20年は全て後半の方が遅いスローペースでレース全体は流れている。にもかかわらず、シャドウゲイトが逃げ切った2007年や好位置から差して連覇したアドマイヤフジを除き、前に位置した馬が苦戦を強いられ、差し馬が台頭しているのはなぜだろうか?

その鍵はレースの中盤にある。前後半3ハロンを除いた中盤の4ハロンに注目してみると、11秒台のラップが多く並んでいることが分かる。平成18年においては、中盤4ハロン全てが11秒台である。これだけでは分かりにくいかもしれないので、同じ中山2000mで4月に行われる皐月賞のレースラップと比較してみたい。

平成15年 ネオユニヴァース
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(61.7-59.5)S
平成16年 ダイワメジャー
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(59.7-58.9)M
平成17年 ディープインパクト
12.1-11.0-11.9-12.2-12.4-12.6-12.5-11.8-11.4-11.3(59.6-59.6)M
平成18年 メイショウサムソン
12.3-11.3-12.0-12.1-12.3-12.0-12.2-11.8-11.7-12.2(60.0-59.9)M
平成19年 ヴィクトリー
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12-12.3(59.4-60.5)H
平成20年 キャプテントゥーレ
12.2-11.5-12.5-12.6-12.6-12.8-12.3-11.2-11.5-12.5(61.4-60.3)S
平成21年 アンライバルド
12.1-10.8-11.9-12.1-12.2-12.1-11.9-11.8-11.7-12.1(59.1-59.6)M

中盤の4ハロンに着目してみると、ほとんどが12秒台であることが分かる。つまり、皐月賞は中山金杯に比べ、中盤だけを取ると遅いラップ構成となりやすいのである。それゆえ、皐月賞は前が残りやすいレースになりやすく、中山金杯は前崩れが起こるレースになりやすい。

もう少し厳密に言うと、全体としては皐月賞の方がレベルの高いレースになりやすいが、中山金杯は中盤が意外に緩まない分、上がりの掛かる、前崩れのレースに強い差し馬にとって絶好の展開となるのである。

ここまではっきりとした傾向があるのであれば、皐月賞は前に行ける馬、中山金杯は後方からレースを進める差し馬から狙うのが得策ではないだろうか。

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