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安田記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Yasuda

■1■外国調教馬の活躍
平成5年から国際競走として行われ、当初は欧州調教馬が大勢を占めていたが、ここに来て香港調教馬の活躍・台頭が目立つ。過去10年で外国調教馬の成績は【2・2・2・18】。香港から2頭の勝ち馬が出ている。もちろん、勝負になると思うからこそ遠征してくるわけで、たとえ人気がなくとも要注意である。

香港競馬はオセアニア産のスピード馬を輸入しながら、全体のレベルも年々上がっている。短距離路線に関して言えば、日本よりは層が厚く、スプリント戦ではすでに歯が立たないというのが現状だろう。マイル戦では、贔屓目に見てほぼ互角といったところだろうか。府中のマイル戦はスタミナも必要とされるため、サイレントウィットネスやグッドババのような小回りが得意なスプリンターではなく、少し長めの距離を得意とするブリッシュラックのようなマイラーを狙うべきである。

■2■高松宮記念勝ち馬の不振
平成12年 キングヘイロー    3着(3番人気)
平成13年 トロットスター    14着(4番人気)
平成15年 ビリーヴ       12着(9番人気)
平成17年 アドマイヤマックス 12着(4番人気)
平成18年 オレハマッテルゼ  10着(1番人気)
平成19年 スズカフェニックス  5着(1番人気)
平成20年 ローレルゲレイロ  15着(6番人気)

高松宮記念が3月に施行されるようになった平成12年以降、高松宮記念勝ち馬が安田記念に出走してきた際の成績は上の通り。キングヘイローの3着が最高着順であり、スズカフェニックスそれ以外の馬は二桁着順に惨敗している。高松宮記念勝ち馬が安田記念で活躍できない理由としては、以下の2つが考えられる。

1、高松宮記念勝ち馬は本質的にはスプリンターである
当たり前のことだが、高松宮記念を勝つような馬は本質的にはスプリンターである。安田記念が行われる府中の1600m戦はマイル以上のスタミナを要求されるため、スプリンターはガス欠を起こしてしまう。また、中京競馬場1200mコース(小回り)と東京競馬場1600m(大回り)では、道中の流れが全く違うため、前走で高松宮記念を勝つようなリズムで走った馬は、安田記念ではリズムの違いに戸惑い、凡走してしまうのである。

2、高松宮記念を目標に仕上げられているため余力が残っていない
高松宮記念はレースを使い込んで仕上げてきた馬が勝つ傾向がある。そのため、2ヶ月後の安田記念までに余力が残っておらず、体調が下降線を辿ってしまう馬が多い。

■3■安田記念にぶっつけで臨んでくる外国馬の取捨は難しい
平成5年から国際交流競走となり、さらに平成6年からはステップレースである京王杯スプリングカップ(以下、京王杯SC)も交流レースとなった。平成7年にはドバイ調教馬のハートレイクが勝利し、平成12年には香港のフェアリーキングプローン、英国のディクタットによるワンツーフィニッシュとなった。ここ数年は日本馬同士での決着となっているが、これからも各国からの有力馬の参戦があるはずで、外国馬の取捨は大切なポイントとなるだろう。 外国馬が安田記念に臨んでくるにあたって、2通りのパターンがある。

1)安田記念一本に狙いを定めてくる馬
2)京王杯SCを叩き台とする馬

2)のパターンであれば、馬体重の推移から体調を判断できるのだが、今回は該当する外国馬がいないので解説は行わない。欧米から挑戦してくる馬にとっては、このパターンの方が調整しやすいはずである。

1)のパターンの、ぶっつけで安田記念に臨んでくる外国馬の状態の良し悪しを判断するのは非常に難しい。ジャパンカップにおいてもそうであるが、直前の追い切りの動きや関係者からの情報にしか手がかりはないだろう。香港から遠征してくる馬に限っては、検疫等の不利はあるにしても、このパターンでも力を出し切ることができるはずである。

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巡り合った

Meguriatta

武豊騎手がいないダービーは寂しい。ダービーでの復帰を目指して、懸命にリハビリを重ねてきたが、驚異的な回復力を持つ武豊騎手でも、さすがに今回ばかりは間に合わなかった。ヴィクトワールピサの手綱は岩田康誠騎手に委ねられ、この時点で、武豊騎手が今年のダービージョッキーの栄誉を手にする可能性は消えた。ダービーに乗れないということは、そういうことを意味する。

ところで、ダービーを目指して復帰しようとする武豊騎手を見て、ある種の違和感を覚えたのは私だけだろうか。数多ある競馬のレースの中で、ダービーが頂点であることは認めるとしても、他のレースはどうでも良いと受け取られかねないのではないか?そもそも、長いブランクから復帰して、いきなりダービーのような大レースに乗って、本当に期待に応えられる騎乗ができるのか?もしかすると、「ダービーを勝つだけで1000万近く稼げるから」と曲解する競馬ファンも出てくるのではないか?なぜそこまでしてダービーを目指すのか、武豊騎手の気持ちを私は理解できなかった。

しかし、高橋英夫元調教師のこんな言葉が頭に浮かんだ時、その疑問は消失した。

「ダービーを制するには、技術や力だけではなく、巡り合わせが必要なんです。何千分の1かで名馬に巡り合う幸運。それこそがダービーでは試されているように思います」

武豊騎手は巡り合ったのだ。もしかすると、ダービーを制することができるヴィクトワールピサという名馬に。どれだけ騎手としての技術や力があっても、巡り合わせがなければダービーは勝てない。あの岡部幸雄元騎手でも、たった1度だけ。野平祐二元騎手のように、腕はあってもダービーを勝てずに鞭を置いたジョッキーの方が圧倒的に多い。だからこそ、たとえエゴイストと思われようとも、武豊騎手はジョッキーとしての幸運を手放したくなかったのだろう。誰にだって、この世の中で、絶対に手放したくないものがある。

岩田康誠騎手だって、本当は手放したくなかったに違いない。たとえ代打であっても、ヴィクトワールピサに巡り合ってしまったのだから。それでも、皐月賞で見事に役割を果した後、「豊さんにはこの馬でダービーを勝って欲しい」と語った。岩田康誠騎手は軽やかに幸運を手放したのだ。ところが、幸運は再び岩田康誠騎手の元に戻ってきた。運命のいたずらである。

武豊騎手の無念を胸に、岩田康誠騎手はヴィクトワールピサに跨る。岩田康誠騎手にとっても、1番人気に推されたにもかかわらず、惨敗を喫してしまった昨年のリベンジである。あのダービーを境にして、大スランプに陥ってしまったほど落胆が大きかったのだから、ダービーを勝ちたいという想いは相当に強いはず。そして、今年はひとりではないのだ。「豊さんと一緒に走る」と言った岩田康誠騎手が、どのような手綱捌きを見せてくれるのか、しかとこの目に焼き付けたい。

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「ガラスの競馬場」:空白の時代

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眠れない夜

Keibagakuhenosyoutai

ダービーの週はなかなか寝付けない。仕事で疲れ果てていたとしても、ダービーのことを考えてしまうと夜も眠れないのだ。もしかしたらあの馬が勝つのではないか、などと想像を膨らませているうちに、心臓はドクドクと脈打ち、遠足前の小学生のように居ても立ってもいられなくなる。馬券を買うだけの私でさえそうであるから、ダービーを前にした、もしかしたら自分にも勝てるチャンスがあるのではないかと思っている騎手は、どんな心境でいるのだろうといつも思う。

ダービーを前にしていつも思い出すのは、この本のあるくだりである。騎手にとってダービーを勝つことは、宇宙飛行士が月面を歩くことと、どこか似た内的体験をするのではないかという一節である。この本の中で私が最高に好きな部分なので、長くなるが引用したい。

「宇宙飛行士の中でも月に行った経験を持つ24人と、他の宇宙飛行士とでは、受けたインパクトがまるで違う。さらに、月に行ったといっても、月に到着して、月面を歩いた人間とそうでない人間とでは、また違う。宇宙船の内部しか経験できなかった人と、地球とは別の天体を歩いた経験を持つ人とでは違うのだ。宇宙船の中は無重力状態だが、月の上は六分の一のGの世界で立って歩くことができる。この立って歩くことができるという状態が、意識を働かす上で決定的に違う影響を与えるような気がする。月を歩くというのは、人間として全く別の次元を体験するに等しい。」

上になぞらえて、山本一生はこう言い換える。

「騎手であることと、ダービーに出走経験のある騎手になることでは、受けたインパクトはまるで違うだろうし、さらにダービーに出走することと、ダービーの優勝ジョッキーになることでは決定的に違っていて、「全く別の次元を体験するに等しい」のである。」

騎手にとって、ダービーを勝つことがどれだけの意味を持つかを、これだけ上手く説明した喩えを私は他に知らない。騎手はダービーを勝つことによって、全く別の次元に昇華する。もしかすると、ダービーを勝つことによって得られる内的体験を求めて、人は騎手になるのかもしれない。

今年のダービーは主役ばかりの混戦である。岩田康誠、横山典弘、藤田伸二、安藤勝己、内田博幸、四位洋文ら、ダービーを勝つチャンスを胸に秘めた騎手たちは、果たして今夜は眠れるのだろうか。断腸の思いでダービーの騎乗を断念した武豊騎手は、どのような思いで今夜を過ごすのだろう。騎手だけではない。有力馬を出走させる調教師、厩務員、馬主、牧場関係者もまた、眠れない夜が続くだろう。そしてあなたも、今週は眠れぬ最高の夜を過ごすに違いない。

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ダービーについて語り尽くしました。

「ガラスの競馬場」CLASSICにて、「けいけん豊富な毎日」のけん♂さんをゲストに迎えて、伝説のダービーについて語り尽くしました。主な内容は以下のとおりです。

前編(28分)
■ヴィクトワールピサは肉食系の走り
■ヴィクトワールピサの唯一の弱点とは?
■ヒルノダムールの血統的魅力
■エイシンフラッシュの取捨
■ペルーサは立ち振る舞いから抜けている
■キタノカチドキから学んだ負けていないこと(無敗)の怖さ

後編(35分)
■ダノンシャンティはマイラー色が強まっている
■乗り替わりがプラスになる馬、マイナスになる馬
■伏兵ゲシュタルトの好走パターンとは?
■アリゼオの巻き返しはあるか?
■東京2400mの勝ちポジの由来
■ダービーの穴馬を見つけるポイント
■陣営の力の入れようが凄いコスモファントム
■ダービーにおける馬体重の問題(12%理論)

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Dead heat.

Oaks10 by M.H
オークス2010-観戦記-
逃げるのはほぼ確実と思われていたアグネスワルツの意表を突く形で、ニーマルオトメが先頭に立ち、前半1000mが60秒6、後半1000mが62秒9という、オークスとしては稀に見る前傾ラップを刻んだ。降雨によって重くなった馬場とスローを味方につけようと、意識的に前に行った馬たちにとっては、かえって厳しいレースとなった。

史上初のG1レース同着となり、アパパネとサンテミリオンにとっては、重くなった馬場と外枠が逆にプラスに出た。どちらもパワーに勝る牝馬だけに、他の有力馬たちが馬場に脚を取られて失速する中、直線を力強い脚で駆け抜けた。また、馬場の内側が悪くなっている中、比較的馬場の良い所を走られたことなど、あらゆる条件が2頭の力を際立たせた。良馬場で行われていたら、この2頭が負けていたとは言わないが、こういう馬場で行われたことで線の細い、距離が伸びて良いタイプの馬たちがこぞって力を出し切れずにレースが終わった。

なんとか桜花賞に次ぐ2冠を獲得したアパパネは、どんな状況でも、最後まで走り抜こうという精神力の強い馬である。環境が大きく変わる栗東に乗り込み、関西のG1レースを2つも制してきた実績はダテではなかった。今回は関東で行われただけに、思い切った調整ができた。これまでの坂路中心とした調教ではなく、ポリトラックコース、CWコース、DWコースと手を変え品を変え、馬の気分を飽きさせないように、長めの距離を乗り込んだ。馬体は極限にまで絞り込まれ、最高の状態であったからこそ、長めの距離も克服できたのだろう。昨年の阪神ジュべナイルFから、チューリップ賞をひと叩きして桜花賞、そしてオークスを100%の状態に仕上げた国枝調教師の手腕には敬意を表したい。なかなか競馬はこう青写真通りにはいかないものだから。

フローラS組としては初のオークス制覇となったサンテミリオンは、最後の最後までバテなかったように、母父のラストタイクーンから受け継いだスタミナを内包している。重心が低く、柔らかい筋肉をつけたパワータイプのこの馬にとって、やや重馬場も味方した。勝ったアパパネと比べると、わずかに早いタイミングで追い出しており、それでいて結果は同着なのだから、あえて優劣をつけるとすると、この馬に軍配が上がる。父ゼンノロブロイにとっては、初年度産駒にしてクラシック制覇となった。キングカメハメハ産駒が独占した桜花賞と比べて、オークスはゼンノロブロイ産駒の3頭が上位を独占しただけに、クラシックの時期になって、しかも距離が伸びて良い血統の特徴が明らかになったといえる。

逃げて3着になったアグネスワルツも、能力の高さを証明したレースとなった。道中は逃げた馬を追いかける素振りを見せていて、単騎で行けていれば、どれだけ力を発揮したか分からない。競馬にタラレバは禁物だが、もし今年のオークスが良馬場で行われ、しかもこの馬がハナに立って例年どおりのスローに流れていたとしたら、この馬の逃げ切りというシーンまであったかもしれない。そう思わせるほどの踏ん張りであった。

4着に突っ込んだアニメイトバイオも、パワータイプの馬ゆえ、こういった馬場がマイナスにならなかった。ジワジワと伸びて、この馬の力は出し切った。オウケンサクラはスタートで後手を踏んでしまい、内に入ってしまった分、道中で身動きが取れなかった。この馬もこういった重い馬場を苦にしないタイプだけに、スムーズにレースができていれば、もう少し前の着順には来ていただろう。

距離が伸びて良さが発揮されると考えられていた、桜花賞上位組のエーシンリターンズやショウリュウムーン、アプリコットフィズは力の要る馬場に全く抵抗できなかった。どんな馬場や展開になっても力を発揮できるだけの力をつけていなかった、と言ってしまえばそれまでだが、一生に一度しかないクラシックにおいて、今回の馬場は少し可哀想であった。そんな中でも、馬場の悪い内側を走らされて、なおかつ比較的前々で踏ん張ったアプリコットフィズの頑張りは評価したい。休養を入れて、しっかり充電した後の成長した姿をまた見たい。


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半熟卵の冒険:オークス観戦と競馬の神様

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オークス、東海Sの回顧(レーシングスタディ)

「ガラスの競馬場」CLASSICに、オークス、東海Sの回顧(レーシングスタディ)をアップしました。以下の内容について話しています。

オークス(22分)
■アパパネとサンテミリオンが力を出し切れた3つの理由
■なぜアパパネは折り合いがついたのか?
■サラブレッドの体型は変わる?変わらない?
■国枝調教師の戦略性に脱帽
■ショウリュウムーンを信じられなかった内田博幸騎手

東海S(14分)
■フサイチセブンの敗因について
■ダートの道悪と芝の道悪はどう違うのか?
■気性の悪い馬は直るのか、それとも…。

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ダービーを当てるために知っておくべき3つのこと

Derby

■1■乗り替わりは大きなデメリット
「すべての牡馬は生まれた直後から、ダービーを獲るという目標に向かって育てられる」と言っても過言ではない。すべての馴致、育成、調教という点は、ダービーに向かって線でつながっているのである。その線上において、騎手が実戦のレースにおいて競馬を教えていくという役割は大きい。道中を走るリズム、息を入れるタイミングを教え、馬群の中で走ること、馬群を割ることに対する恐怖を取り除くなど、レースをうまく運ぶためのコツを教えていくのは騎手の役割である。

それゆえだろうか、ダービーで乗り替わりがあった馬は、これまでに勝ったことがない。過去13年間で【0・5・3・67】という散々たる結果である。このデータだけを取っても、デビューから競馬を教えてきた騎手が、本番であるダービーで乗り替わることに、どれだけのデメリットがあるかが分かるはずである。

また、連対に絡んだ4頭の内訳は、平成13年のダンツフレーム、平成14年のシンボリクリスエス、平成16年のハーツクライ、平成18年のアドマイヤメイン、平成19年のアサクサキングスとなる。アドマイヤメインとアサクサキングスを除いて、乗り替わり前の騎手が騎乗する馬に、乗り替わられた馬が先着していないということは面白い事実である。

たとえば、平成14年のシンボリクリスエスは武豊騎手から岡部騎手に乗り替わったが、武豊騎手はタニノギムレットでダービーを制した。また、平成16年のハーツクライは安藤勝己騎手から横山典騎手に乗り替わったが、安藤騎手はキングカメハメハでダービーを勝った。このように、ある騎手が乗り替わる前の馬に、乗り替わった後の馬が先着したことはない。つまり、ダービーを勝つような馬は、どんなことがあってもジョッキーが手放すことはない、もしくは手を離れることはないということである。注)平成13年のダンツフレームの藤田騎手はダービーに騎乗していない。

■2■経験を積んだベテランジョッキー
過去の勝利騎手のほとんどは、経験を積んだベテランジョッキーである。あの武豊騎手でさえ12年もかかったように、ダービーを勝つことは他のG1レースとは比べものにならないほど難しいことなのである。円熟した騎手が活躍している理由として、

1、ダービーという異様な雰囲気の中で、平常心で騎乗できる精神力が求められる
2、ダービーを勝つためには騎手としてのあらゆる経験を生かさなければならない

ということが考えられる。

それ以前に、ダービーを獲れるだけの器の馬を依頼されなければならないし、多数を依頼された場合には、その中からダービーを勝てそうな馬を選択していかなければならない。つまり、ジョッキーとしてのあらゆる技術や経験が求められることになるのである。だからこそ、ダービーというレースは一朝一夕で勝てるはずはなく、騎手にとっても憧れのレースとなり得るのである。

■3■皐月賞からの直行組
ダービーでは皐月賞からの直行組が好走することが多い。直行組以外としては、以下の2つのパターンが考えられる。 1)皐月賞のあとにトライアルレースをはさんだ馬 2)別路線組 最近の傾向として、1)の皐月賞からダービーの間にレースをはさむ馬は少なくなってきている。ほとんどの有力馬がダービーに直行し余力を残している中で、トライアルを使うということは、それだけで十分なディスアドバンテージになるからである。それでも敢えてトライアルを使うとすれば、本番のダービーでは勝負にならないことを見越した上でのことであり、メンバーが落ちるトライアルで賞金を確実に稼ごうという意図が読み取れる。実力的にも足りず、余力も残っていない馬が、本番であるダービーで好走することが難しいことは想像に難くない。

2)の別路線組では、最近ではNHKマイルカップか青葉賞を勝ってきた馬の活躍が目立つ。NHKマイルカップからはキングカメハメハとディープスカイという大物が出ているように、決して相性の悪いレースではない。府中のマイル戦を勝ち切れるスタミナがあれば、2400mもこなせるということである。今後も注目のステップレースとなるには違いないが、中2週というローテーションを考えると、皐月賞からの直行組に軍配が上がるだろう。また、青葉賞からは古いところではエアダブリンが、最近ではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、アドマイヤメインが本番でも好走している。同条件を勝ってきた馬なので当然といえば当然なのだが、完成度がやっと追いついてきたという素質馬が多い。しかし、まだダービーの勝ち馬が出ていないのも事実である。

結論としては、1)のパターンは本番のダービーでは勝負にならず、狙うとすれば2)のパターンということになる。ただし、勝ち馬に限って言えば、皐月賞からの直行組を狙うのが定石だろう。

■参考データとして
1、前走G1レース(皐月賞かNHKマイルカップ)以外で負けている馬は×
2、2000m以上未経験の馬は×
3、前2走で連対なしの馬は×


関連リンク
けいけん豊富な毎日:「ダービー各馬分析3」

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「ガラスの競馬場」CLASSICの募集を行います。

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昨年末にオープンした「ガラスの競馬場」CLASSICですが、無我夢中でやっているうちに、はや半年が経ちました。たくさんの方々にメンバーとして参加いただき、毎日、楽しんで頂いているのではないかと思っています。私としては、毎日、ミニライブを開催しているような感覚です(笑)。

さて、春のG1シリーズもここから盛り上がっていく中、「ガラスの競馬場」CLASSICの募集を行います。前回の募集から少し時間が掛かってしまいましたが、ようやく私の方でも新しいメンバーを受け入れる準備が整いました。実際のレースを通して、競馬についてリアルタイムで語っていきたいと思います。競馬をもっと深く知りたい、楽しみたいという方は、ぜひご参加ください。

以下、「ガラスの競馬場」CLASSICのサービスです。

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先週に行われた重賞レースを回顧・分析し、音声(MP3形式)による配信を行います。実戦のレースを通して、今までは知り得なかった競馬の本質に迫ります。先週行われた全重賞を題材として、競馬に対する理解を深め、未来のレースに備えます。

火曜日~水曜日の朝には配信しますので、モーニングコーヒーを飲みながら、パソコン上で映像と照らし合わせて聴いてくださっても結構ですし、お持ちのMP3プレイヤーやipodに落として、通勤通学の途中で聴いていただくことも出来ますよ。

一部になりますが、レーシングスタディ(NHKマイルC編)を試聴していただけます。
Sityou (21分・MP3形式)

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今週行われる重賞1つにテーマを絞って、ゲストの方と対談する形で展望します。私たちは競馬について話し出すと止まりませんので、たった1レースを展望するだけでも、全体としては1時間近い内容になってくると思います。様々な視点からの考え方を知ることで、自分の予想過程に深みを増すことができますし、もちろん予想にお役立て頂ければ幸いです。

木曜日~金曜日の朝には配信しますので、いよいよこれから本格的に予想しようというタイミングで聴いていただくことで、レースに対するイメージが膨らんでハッキリしてくるはずです。自分もその対談に参加したような気持ちで聴いていただけると最高です。

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私が個人的に勝負するレース(1鞍)の予想を公開します。日曜日に行われる重賞競走のレース予想を、前日夜までにお送りします。この時点では、最終追い切りも終わり、枠順も決まっているため、立ち写真による馬体診断や調教での動きと「勝ちポジ」理論を連動させることによって、これまでにない新しい視点からの予想をお届けします。点でしかなかった思考が、最後に1本の線になる瞬間です。

「勝ちポジ」とは、2008年に行われた「勝ちポジを探せ!ライブ」で発表した、「勝つ馬ではなく、勝つためのポジションを走る馬を探す」という、競馬の運動法則を最も忠実に実現した予想理論です。ご自身の予想法に新しい視点を取り入れてみてください。私は勝負レースでは主に単勝を買いますので、印としては◎のみを打つことになりますが、ほとんど全ての有力馬について書いていきたいと思います。

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以下、「ガラスの競馬場」CLASSIC!メンバーの方からの声の一部をお聞きください。

情報がアップされるの毎週楽しみにワクワクしてます
「ガラスの競馬場・クラシック」での勝ちポジ予想すごいですね。(^ヘ^)v情報がアップされるの毎週楽しみにワクワクしてます。年末にノートPCを手に入れ、自宅でも見られるようになりました。治郎丸さんの単勝勝負馬券の意味がわかります。私も3連馬券を考える前に勝馬を当てられるように、やってみようと思います。
N.Sさん

奥の深い話ばかりでホントにためになります
毎週の「回顧」すごく楽しみにしています。毎日、通勤電車の中で繰り返し聴いてますよ^^奥の深い話ばかりでホントにためになります。今週から、オープニング曲が入りましたね^^なかなかいい感じですよ。カッコいいですね。寒い毎日ですが、体に気をつけてくださいね。
R.Iさん

治郎丸さんのブログを知ってから競馬について今までより深く考えるようになりました。
ブログと「ガラスの競馬場」CLASSICの更新、楽しみにしています。

Mさん

競馬の楽しさ(不条理さも?)を読ませてもらっています
いつもガラスの競馬場&CLASSICで競馬の楽しさ(不条理さも?)を読ませてもらっています。北野豊吉氏とメジロアサマの話は知らなかったので興味深いものでした。横山典弘騎手の酒の話も、これを知ると去年のダービーの印象が強く残ります。
Mさん

今週も治郎丸さんの解説期待しております
先週の2鞍はお見事としか言えませんね。私もダノンシャンティはまず負けないと思っていましたが治郎丸さんの本命ということでさらに倍の自信となりガツンと勝負させてもらいました。高松宮記念は、どの馬も決め手がなく少額勝負でエーシンフォワードを買いました。複勝で若干プラス。キンサシャノキセキは好きな馬ですが馬券の相性が良くないですね。買うと来ない、買わないと来る。こんな馬いますよね。7歳が引っかかりましたが良く考えると南半球産で6歳ともとれます。四位騎手は勝ち鞍は少ないですが大舞台に強いジョッキーです。重賞では目が離せません。今週は黒字馬ドリームジャーニーが登場します。配当的には妙味はありませんが、単勝を少し買って応援します。ここを勝って、天皇賞を惨敗して、宝塚で単勝4倍付きませんかね。阪神内回りなら最強ですので。今週も治郎丸さんの解説期待しております。
Sさん

聞かない日はないくらい
いつもレーシングスタディの展望&回顧を聞かない日はないくらい楽しみにしております。また新しい試みをされるようですね。私も単勝派ですので、印が一つのほうが参考にしやすいです。これからも良いと思われることはどんどん試してください。応援しています。治郎丸さんの文章にはいつも、感銘をうけます。先日の「祐一よ、リーディングを目指せ!」も何度も読んで、何度もこみあげてくるものを感じました。これからも、素敵な文章を書き続けてください。では、ニュースレターが手許に届くのを楽しみにしています。いつもありがとうございます。
Oさん

生の声ですととってもわかりやすいです
おはようございます。「ガラスの競馬場CLASSIC」にて音声ファイルを何回も繰り返し聞き、2009有馬記念のドリームジャーニーの単勝と3連単GETできました。当日にブエナビスタとドリームジャーニーのどちらの単勝馬券購入しようかとずいぶん悩みました。3連単は①②着裏表固定の総流しでした。ありがとうございました。東西金杯はハンデ戦でもあり、私には難しそうでしたので手がでませんでした・・。アクシオンとスマートギアの単勝のみ購入しようかとおもいましたが。あきらめました。今年1年まだいっぱいレースありますから楽しみは先にとっておきます。音声ファイルのレース展望と回顧続けてくださいね。生の声ですととってもわかりやすいです。これからもよろしくお願いします。
K..Tさん

■料金は?
月額1980円~2980円になります(月によって料金が異なります)。メンバーの方々からのご意見を取り入れつつ、試行錯誤を重ねた末、コンテンツをさらに深く充実させ、そしてスリムにすることに成功しました。また、たくさんの方々にメンバーになっていただけたことで、これまでよりもお安く楽しんでいただけるようになりました!

1月、2月、7月、8月→1980円
3月、4月、5月、6月、9月、10月、11月、12月→2980円

*G1レースが行われない月、もしくは重賞の数が少ない月はお安くなっております。

■お支払い方法は?
カード課金から代金引換に変更させていただきます。というのも、毎月、メンバーの方々にはニュースレターを送りたいと思っているからです。競馬について、もしくはそれ以外のことについて、競馬の雑誌に書こうと思っていることについて、もしくは私が普段考えていることについて、私が書いたものを実際に手にとって読んでもらいたいと思います。
*カード情報を入力する必要がなくなりますので、より安心してお申込みいただけます。

ニュースレターは毎月末にはお手元に届くようにお送りします。その場で1980円~2980円をお支払いいただく形になります。ご不在の場合でも、不在票に連絡して、日時を指定して届けてもらうことができます。毎月のニュースレターに、新しいパスワードを記載します。

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「ガラスの競馬場」CLASSICメンバーにお申込みされるにあたっては、プライバシーポリシー特定商取引法に基づく表記(利用規約含む)を必ずお読みの上、お申込みください。

*退会の際は、メール1本で済みますので安心してお申込みください。

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■お申込みの流れ
Step1申込みフォームより、手続きを完了させてください。

Step2ユーザー名、パスワードがメールにて届きます(最初の月のみ)。

Step3ユーザー名、パスワードを入力して「ガラスの競馬場」CLASSICにログインしてください。

お一人お一人様にニュースレターを送らせていただく関係で、今回は50名の限定募集とさせていただきます。早めに定員が一杯になることが予想されますので、ご希望の方は今すぐ申し込みください。

今お申込みいただいた方は、オークスの「レース対談」と「勝負レース」、ヴィクトリアマイルのレーシングスタディ(回顧)など、すぐにご覧いただけます。5月分は無料です。

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追伸

最後に、「ガラスの競馬場」CLASSICをオープンするにあたって、「競馬を書くことで生きる」というエッセイを書きましたので、私の所信表明としてお読みください。

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東京2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。

以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

枠順に関しては、前半経済コースを進んで脚を溜められる分、内枠が有利になる。ただし、1コーナーでゴチャつくことがあるので、内枠の馬は不利を受けることがたまにある。

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「世界」と戦う

Victoriamile10 by Scrap
ヴィクトリアマイル2010-観戦記-
楽にハナに立つと思われたブラボーデイジーの内からベストロケーションが譲らない構えを見せ、さらに外からプロヴィナージュが積極的に行ったため、レースの流れは前半800mが45秒5、後半が46秒9と思いのほか速くなった。前が止まりにくい馬場とはいえ、さすがにこれでは先行した馬たちには苦しく、最後はスタミナに優れた差し馬たちが台頭した。

帰国初戦を勝利で飾ったブエナビスタにとっては、冷や汗ものの辛勝であった。レースの流れがこの馬に向いたにもかかわらず、ドバイ遠征による目に見えない疲れがあったか、それともマイル戦は忙しかったか、思ったほど弾けなかった。おそらく、どちらの影響もあったに違いない。それでも、最後はクビ差だけ出たあたりに、今年に入っての大いなる充実を感じる。パドックから表彰式に至るまで、実に大人しく堂々としていた。ただ、数字上は京都記念の時からマイナス10kgと馬体重減っているので、まずはひと息入れて、馬体を回復させることに専念して欲しい。これからは「世界」と戦う馬なのだから。

横山典弘騎手は今年に入ってようやくG1レースを勝利した。重賞はこれで10勝目となるが、G1レースにはなかなか手が届かなかっただけに、喜びもひとしおだろう。道中は馬を前へ前へと促しつつ、ブエナビスタの走りのリズムを守りながら走らせ、最後はライバルであるレッドディザイアを目がけて追い出した。先々のことを考えつつ、今回のレースでも結果を出すというバランスを図った騎乗であった。さすが、現時点で勝率が2割4分9厘という(連対率ではない!)、驚異的な数字を残しているだけのことはある。今年はこのコンビを中心に日本の競馬が回っていく。

ヒカルアマランサスは、ゴール前あわやという好走を見せた。前々走の京都牝馬Sの激走の反動が出た前走は大敗してしまったが、今回はひと叩きされて究極に仕上がっていた。内枠を利する形で、内田博幸騎手に促され、好位の4番手、しかもポケットという絶好のポジションでレースを進めた。豪腕・内田博幸騎手にビッシリと追われ、最後までシッカリ伸びたが、今回は相手が悪かった。この馬の力を100%出し切った、内田博幸騎手の思い切ったポジショニングも光った。

ニシノブルームーンは道中のペースの速さに戸惑い、位置取りを下げてしまったが、最後の直線はモノ凄い脚で追い込んできた。例年どおりのスローペースであれば出番はなかっただろうが、今年は最後にスタミナが問われる流れになり、この馬の良さが生きた。栗東に留学したことで、腰に筋肉が付いて、特に今年に入ってからの充実振りは素晴らしい。距離はもっと長い方が合っているので、これから先のレースに期待したい。

4着に敗れてしまったレッドディザイアだが、帰国初戦であれだけ筋肉が落ちていた中、よくぞここまで走っている。最後は伸び切れなかったが、レース振り自体は申し分なく、府中のマイル戦はベストの条件であった。そう考えると、無理をしてヴィクトリアマイルを使うことはなかったのではと思わされる。ただ、その気持ちの強さは、必ずやこの先で生きてくるはずで、馬体さえ回復してくれば、次走は安田記念になるのだろうか、レッドディザイアに敵う牡馬を見つけるのは難しい。

ブロードストリートはしぶとく伸びているものの、この馬本来のスパッとした末脚が使えなかった。速い流れを比較的、前々で追走して、しかも内に潜り込めなかったため、脚を溜めることができなかった。昨年の秋に鎬を削ったブエナビスタとレッドディザイアが本来の出来にはなく、自身は体調が良かっただけに、今回のチャンスを生かせなかったことは非常に悔やまれる。血統的な背景もあってか3番人気に推されたラドラーダだったが、馬群の後ろをついて回っただけでレースが終わってしまった。まだ線の細さを残す馬だけに、こういった競馬になってしまえば仕方ないだろう。


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オークスを当てるために知っておくべき3つのこと

Oaks

■1■オークスを勝つための条件
牝馬クラシックにおける、桜花賞1600m→オークス2400m→秋華賞2000mという距離の伸縮には少なからず問題点があるだろうが、実際のところ、オークスは2400m戦のレースであっても、内容(実質)的には1600m~2000m程度のものになってしまうことが多い。なぜなら、どの馬にとっても2400mは未知の距離となるため、各騎手に前半大事に乗ろうという気持ちが働き、ペースが遅くなるケースが多いからである。道中はゆっくりと行って、ラストの瞬発力勝負というレースになりがちで、そのため、オークスを勝つために条件となるのは、「スローペースに折り合える」、「瞬発力がある」という2点となる。

■2■桜花賞組が有利
また、桜花賞からの直行組の活躍が顕著なのは、桜花賞組の完成度が高いからである。スローペースに折り合うことができれば、たとえマイラーでもオークスの2400mは十分にこなせてしまう。最終的に問われるのは「絶対能力」であり、桜花賞で勝負になるだけのスピード(瞬発力を含む)、スタミナがあれば、それがそのままオークスでも十分通用してしまう。よって、別路線組よりも完成度(現時点での「絶対能力」)がはるかに高い、桜花賞組が有利になるのである。

■3■桜花賞→オークスの連覇はなぜ少ないか ではなぜ桜花賞→オークスという連覇が少ないかというと、 1、桜花賞馬はスピードが勝っている傾向がある 2、桜花賞で力を出し尽くしている という2点が考えられる。
桜花賞を勝つような馬は、全体的なバランスとしてスピードが勝っている傾向が強いので、「スローペースに折り合える」「瞬発力がある」のどちらかを満たしていないことが多い。もちろん完成度が高いため好走はするのだが、それだけではオークスを勝ち切ることは難しい。

さらに、桜花賞を勝つために力を出し切ってしまった馬が多く、1ヶ月半後のオークスまで体調を維持することができないことが多い。この時期の牝馬の体調は変わりやすいのである。つまり、余力を残して桜花賞を勝つか、余程能力が他馬と比べて抜けているかでないと、桜花賞→オークスという連覇は難しい。ただし、2005年~2006年の阪神競馬場の改修に伴うコース変更で、以前よりは桜花賞→オークスが連動しやすくなるだろう。

もうひとつ言えるのは、この時期の牝馬はフケ、歯替わりなどによって体調が安定していないことが多く、仕上げが非常に難しいことに加え、展開が極端になりやすいこともあり、オークスはなかなか堅くは収まらないレースであるということである。

■参考として
1)1600m以上のレースで連対したことのない馬は×
2)たとえ桜花賞であろうとも、前走が着外であった馬は×
3)重賞未経験の馬は×
4)連対率が50%以下の馬は×
5)桜花賞のあとレースを使った馬は×


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死闘

Sitou_3 by ede

イギリスやフランスでは、競馬場にピクニックに行くという。文字通り、たとえばコースの内側の芝生に敷物を広げ、柔らかな陽射しに包まれながら、家族や友だちや恋人と話して過ごす。馬券を買うこともあるが、決してそれが目的ではない。たまたまそこで馬券を売っているというだけであって、その日の重賞の勝ち馬さえ知らずに帰ることも多いという。

ヴェルメイユ賞やオークスなど、女性のためのレースがある日は、競馬場はピクニックから社交場へと様変わりする。目に鮮やかな衣装を身にまとい、とびきり縁の大きな帽子を被った女性が、ハイヒールで競馬場を闊歩する。ひと昔前の日本では考えられなかったこんな風景が、最近では日本の競馬場でも少しずつ見られるようになってきた。私の競馬友だちの女性は、昨年のヴィクトリアマイルの日、JRA主催のドレスアップパーティーに参加して、華やかな衣装を身にまとい、縁の大きな帽子を被って、7階席のベランダから観戦したという。

ヴィクトリアマイルは、古馬牝馬による春の女王決定戦という位置づけで創設された。秋のエリザベス女王杯が3歳馬と古馬の世代交代という意味合いが強いレースであるのに対し、春のヴィクトリアマイルは今まさに成熟した女性だけによる華やかなレースである。ダンスインザムード、コイウタ、エイジアンウインズ、そしてウオッカ。過去のどの勝ち馬を見ても、今にも踊って歌い出してしまいたくなるような名ばかりだ。

しかし、レースが始まってしまえば、一転、競馬はモノクロの世界に様変わりする。華やかな衣装に身を纏っていたはずの美しいサラブレッドは、500kgの筋肉の塊のアスリートと化す。息遣いは激しく、目をむき出し、互いに体をぶつけ合い、蹄鉄同士が擦り合わさって火花が散る。人生にチャンスはたった一度だけ。女の意地に賭けても負けられない。そんな心意気に応えるように、ジョッキーも必死の形相で馬を追い、鞭を振るう。競馬はピクニックであり、観劇であり、スポーツであり、そして死闘でもある。それでいいのだ。

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予想する音楽

予想をする時、皆さんはどんな音楽を聴くのだろうか?

モーツァルトを聴くと、活性化された脳がアルファ波を誘発し、深いリラクゼーションや脳力を存分に発揮しやすい状態になるのは有名な話である。もちろん、モーツァルトに限ったことではなく、その人にとって心地よい音楽を聴くと、それだけで右脳が刺激され、予想をするのに適した脳の状態になる。

私にとって、予想する際に聴く音楽の条件はひとつだけ。それは、「歌詞が入っていないこと」である。歌詞が入っていると、どうしても言葉に引きずられてしまい、予想することに集中できないからだ。

一般的に人間の左脳は言語、概念、論理的思考を司り、右脳はイメージ、図形、空間パターン認識力などを司るといわれている。予想をするという行為には、言葉を用いながら左脳を駆使して、論理的に読んでいくことが多く含まれている。私のような単純な脳構造では、歌を聴きながら予想をするというように、同時に2つの情報を処理することができないのだろう。

また、予想をするという行為は、左脳を駆使することは必要不可欠だが、それだけでは不十分である。右脳が司るイメージ、図形、空間パターンの認識力も大切になってくる。馬の個体をイメージしながら、データなどの数字を図形的に整理し、実際のレースをシュミレートしなければならない。

Brain

なんと言っても、創造的な発想は右脳から生まれてくるものである。論理的でしかない予想ではなく、創造的な予想をするには、右脳が絶えず活性化されている状態を保っておかねばならないのだ。つまり、左脳は論理的に読みながら、右脳は音楽を聴きながらリラックスした状態で創造的なサポートをするというのが、理想的な“予想する音楽”のイメージである。

そして、私にとっての“予想する音楽”は、以下の3曲に行き着く。音楽に関してはド素人なので、批評などするつもりなどサラサラないが、あくまでも私にとって心地よく、予想にイイと思われる楽曲を挙げるとすれば、ジョン・コルトレーンの「Love Supreme」、ジョシュア・レッドマンの「Jazz Crimes」、そして、グレン・グールドの弾く、バッハ「ゴルトベルク変奏曲」である。

まず始めは、ジョン・コルトレーンの「Love Supreme」である。ジョン・コルトレーンほど短期間で大成長を遂げたプレイヤーはいないとされる。マイルス・デイビスやセロニアス・モンクといった巨匠たちに揉まれながらも、独自の斬新な演奏を極め、築き上げていった。晩年の音楽は難解すぎて理解されなかったが、それでもコルトレーンが最高のサックス奏者のひとりであることは、万人の認めるところである。残念ながら、40歳の若さにして惜しまれながらこの世を去った。

こうした背景を知るにつけ、どうしてもエルコンドルパサーという馬がダブって見える。サイレンススズカに胸を借り、グラスワンダーやスペシャルウィークと競い合いながらも、一気に世界の頂点に上り詰めようとしたエルコンドルパサー。凱旋門賞2着という、世界に最も近づいた馬。毎日王冠を勝ってからの歩みは、斬新であり、かつ求道的ですらあった。海外に渡ってさらに強くなった、不世出の名馬である。この馬も、わずか3年間の種牡馬生活を送っただけで他界してしまった。

ジョン・コルトレーンの傑作「至上の愛」を聴くと、そのイントロの凄まじさに衝撃を受ける。ゲートが開くよりも先に飛び出たのではないかと思わせる、抜群のスタートダッシュ。そして、中盤から後半に差し掛かっても、その勢いはとどまるところを知らない。まさに「テンよし、中よし、終いよし」と3拍子が揃った究極のアルバムである。このアルバムを聴きながらエルコンドルパサーのジャパンカップを観るのもよし、ジャパンカップを観ながらコルトレーンを聴くのもよし。

次に、ジョシュア・レッドマンの「Jazz Crimes」である。私にはどうしてもジョシュア・レッドマンとアドマイヤドンが重なって見えて仕方ない。アドマイヤドンはダートの天才であった。2歳時に芝のG1である朝日杯フューチュリティSを勝っているが、3歳秋を境になんとダート路線へと進路を変更した。それ以降、ダート馬とは似ても似つかない華奢な体ながらも、G1勝利を6つも積み上げ、ついにはドバイワールドカップにも挑戦した。アドマイヤドンのベストレースは、2004年のフェブラリーSであろう。まるで調教のように余裕綽々と走り、進化したダート馬の誕生を印象付けた。芝を走ってもG1クラスではあるが、ダートでこの馬の右に出る者はいない。

ジョシュア・レッドマンが、ハーバード大学を首席で卒業し、イエール大学での法律修士課程を経て、弁護士の資格を持っていることは有名な話である。「学業エリートをフレコミにして売れたサックス奏者か」「大人しく弁護士やってりゃいいのに」等、一側面だけからの批評(批判)など、彼は軽々と超えていく。勉強も出来るし、弁護士にもなれるが、サックスはそれ以上に巧い。その道にのみ秀でていることが、必ずしも天才の条件にはならないのだ。ジョシュア・レッドマンはサックスで<世界>を見て、サックスで<世界>を理解する、サックスの天才である。

最後は、グレン・グールドの弾くバッハ「ゴルトベルク変奏曲」。グレン・グールドは、「極端に速く弾き、一方で極端に遅く弾く」、という両極端のテンポで演奏することをスタイルとした。極端に速く弾くことも難しいが、極端に遅く弾くことはさらに難しい。遅く弾くと、それだけ正確かつ明晰でなければ、音楽として成立しなくなるからだ。

競馬の馬券に言い換えると、銀行馬券である1.5倍の単勝を当てながら、次のレースでは300倍以上の3連単を的中させるといった極端さであろうか。特に1.5倍の単勝は外すことが許されないため、かなり正確かつ明晰な予想が求められる。本命党や穴党と自称し、単に人気のあるなしで馬券を買うような輩とは、グレン・グールドのスタイルは一線を画している。極端に速く弾けるのも、遅く弾けるのも、それを支える技術があってこそである。

グレン・グールドと競馬がごっちゃになってしまったが、いずれにせよ、卓越した技術と創造性をいやがおうにも目にする、とびきりの1曲である。神と対話するように弾くグレン・グールドのように、とまではいかないだろうが、とびきりハイな気分で悦に入りながら予想できること間違いなしである。

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息もできない

Nhkmilec10 by Photo Stable
NHKマイルC2010-観戦記-
好スタートからエーシンダックマンがハナを切り、コスモセンサーが控える形になったが、それでも前半33秒4というスプリント戦並みの超ハイペースでレースは流れた。開催2週目のパンパンの良馬場で、前が止まらないという各ジョッキーの強い意識が、息もできないほどの激流を生み出した。スピードに任せて前に行った馬には苦しく、ゆったりと走られるリズムとスタミナが問われるレースになった。

勝ったダノンシャンティは、前半無理をせず、この馬のリズムで走ることが出来た。向こう正面のストレッチをゆったり走り、3~4コーナーでジワジワと前との差を詰め、最後の直線では大外に出して豪快に追い込んだ。展開に恵まれたというよりは、今回のNHKマイルのリズムが、この馬の走りのリズムに合っていたということだ。もっとも、そういうリズムのレースを走らせてきた陣営の選択が正しかったとも言える。馬自身はパドックでチャカついたりと、精神的には幼い部分を随所に見せていた。そういう意味では、ダービーに向けて、距離延長はプラスに働かないだろうし、あまりにも速い時計で走ったので、レコード駆けの反動も心配である。

安藤勝己騎手は老練の手綱さばきを見せてくれた。ペースが速くなるとみるや、スッと馬を下げて折り合いに専念させた。道中は前との差がかなりあったので、内心ではヒヤヒヤしていたのだろうが、よくぞあそこまで仕掛けを我慢できたものである。ほんの一瞬でも勝とうと思うと、馬に伝わってしまうものだけに、完全に心を無にして、ダノンシャンティの末脚を最大限に引き出すことに専念した騎乗は見事のひと言に尽きる。最近は身体を気遣いながら騎乗数を絞っているが、そのひと鞍ひと鞍はさらに深みを増している。先日、船橋の桑島孝春騎手は残念ながら引退してしまったが、安藤勝己騎手にはこれから先、1日でも長く乗り続けて欲しい。

ダイワバーバリアンの蛯名正義騎手も完璧な騎乗をした。ダイワバーバリアンを最高のポジションで走らせ、追い出しのタイミングもピッタリであった。一瞬しか良い脚が使えないタイプだけに、最後は止まってしまったが、この馬の力は出し切った。ダイワバーバリアン自身も、年明けから使い詰めで来ているが、レースを使われながら研ぎ澄まされ、力強くなってきている。次走は未定だが、ダービーは明らかに距離が長いので、今後はマイル路線を使って欲しい。今年の3歳牡馬はレベルが高いので、古馬に混じっても通用するのではないか。

リルダヴァルはダイワバーバリアンの後ろを追走し、直線に向いた時の手応えは絶好。あまりの手応えに、そこから福永祐一騎手は強引に外に持ち出す形で追い出したが、結果的にはもうひと呼吸、仕掛けのタイミングを待っても良かった。先に抜け出したダイワバーバリアンを捕らえることができず、大外から飛んできた勝ち馬にも差されてしまった。まだ幼さを感じさせる馬体だけに、現時点では良く走っていると言えるだろうか。もしくは、休養後、いつも最後で止まってしまうのは、骨折の影響で、馬が最後まで走るのをやめてしまっているのかもしれない。

サンライズプリンスは、中山の1600mを走るリズムで、府中のマイル戦を走ってしまった。横山典弘騎手としても、敢えて前走と違うリズムで走らせる賭けには出なかったのだろう。それでも、前に行った馬の中では最後まで踏ん張っていて、能力の高さは十分に証明したといえる。パドックで落ち着きがなく、馬体にも幼さを残している現状を考えると、末恐ろしい馬ではある。今後、ダービーに直行するのだろうが、スピードとスタミナは足りても、今日のリズムで走ってしまっては、府中のチャンピオンディスタンスはさすがに乗り切れない。

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ヴィクトリアマイルを当てるために知っておくべき3つのこと

Victoriamile

■1■短距離馬がもってしまう
府中のマイル戦といえば、字ズラ以上にスタミナが要求されるレースなのだが、ことヴィクトリアマイルに関していえば、そうとは言い切れない結果が出ている。一昨年と昨年はいずれもフジキセキ産駒が勝利しているように、昨年のウオッカは別として、どちらかというとマイル以下を得意とする馬が勝ち切っているのだ。その理由はレース自体のペースにある。

12.6-11.2-11.6-12.1-12.2-11.4-11.3-11.6(47.5-46.5)S
1:34.0 ダンスインザムード
12.3-10.8-11.7-11.8-11.6-11.2-11.2-11.9(46.6-45.9)M
1:32.5 コイウタ
12.4-11.3-12.0-12.2-12.1-11.2-11.0-11.5(47.9-45.8)S
1.33.7 エイジアンウインズ
12.2-10.8-11.7-12.0-11.9-11.2-10.8-11.8(46.7-45.7)S
1:32.4 ウオッカ

いずれのレースも前半が極端に遅くて、後半が速いという、G1レースのマイル戦では珍しい後傾ラップであることが分かる。道中で引っ掛かることや東京競馬場の長い最後のストレッチを心配して、牝馬同士であることを含め、あまりガンガンやり合うような競馬にならないからである。たとえ府中のマイル戦であっても、これだけ前半がゆったりと流れると、ラスト800mぐらいのスピード勝負になってしまう。

よって、マイル以下に適性があるような短距離馬でも、なんとかもってしまうというレースになりやすいということだ。逆に言うと、こういう流れでは、マイル以上に適性のある中距離馬にとっては、出し抜けを食らいやすいレースとなる。

■2■内枠を引いた先行馬
スローペースになりやすい以上、やはり前に行ける馬にとって有利なレースになりやすい。さらに、スローペースでは馬群が縦長にならず、道中が団子状態で進むことになるので、馬群の外を回されないで済む内枠を引いた馬がレースをしやすい。もうひとつ付け加えるとすると、最後の直線に向いてのヨーイドンの勝負になりやすいので、瞬発力に長けた馬に向いたレースとなる。つまり、先行できて瞬発力勝負に強い馬が内枠を引いたら、たとえ人気薄であっても警戒した方がよいだろう。

■3■近走で牡馬を相手に好勝負出来ていた馬
過去の勝ち馬であるダンスインザムードとコイウタに共通する条件は、「近走で牡馬を相手に勝ち負けできていた」ということである。第1回の勝ち馬ダンスインザムードは、天皇賞秋3着、マイルCS4着、マイラーズC2着と、牡馬を相手に近走で互角に走っていた。第2回の勝ち馬コイウタも前走はダービー卿チャレンジで2着に入っていた。さらに言えば、ダンスインザムードの2着したエアメサイアも、前々走の中山記念で牡馬の3着と好走していた。牝馬同士のG1レースであるがゆえ、牡馬と好勝負出来ているということの意味は大きい。

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「推定後半3ハロン」

3furlong

「コダマはカミソリ、シンザンはナタの切れ味」という武田文吾調教師の言葉がある。

カミソリとナタとはどちらも切れるのだが、その切れ方が違う。カミソリはスパッと切れるのに対し、ナタはザクッと切れる。つまり、カミソリの方がナタよりも鋭く切れる。かといって、カミソリの方の切れ味が良いかというと、そうとは限らない。たとえば大きな木をカミソリで切っても切れないように、切る対象物によっては、カミソリよりもナタの方が切れる。カミソリが鋭く、ナタが鈍いということではなく、あくまでも切れ方が違うのである。

これをそのまま競馬に当てはめると、カミソリの切れ味とは一瞬で鋭く切れる末脚のことで、対するナタの切れ味とは良い脚を長く使える末脚ということになる。いわゆる、「瞬発力型」と「持続力型」であり、ほとんどの場合、レースの勝負どころである、ラスト3ハロンにおける末脚のタイプを指す。

たとえば、総合力は同じだが、スピードとスタミナのバランスが違う2頭のサラブレッドがいるとする。Aという馬はスピードが勝っていて、そのスピードを一瞬の末脚に生かすタイプであり、Bという馬はスタミナが豊富で脚を長く持続させるタイプである。この2頭によるラスト3ハロンの末脚を計測すると、以下のようなラップが刻まれるだろう。

A 11.0→10.3→12.6
B 11.3→11.3→11.3

結果として、Aの馬もBの馬も上がり3ハロンのタイムは33秒9と同じである。何が違うかというと、レースでの末脚の切れ方が異なるだけである。Aがラスト2ハロンで10.3という一瞬の鋭い末脚を披露したのに対し、Bは11秒3という良い脚をコンスタントに3ハロン続けて使っている。言うまでもないが、Aがカミソリの切れ味、つまり「瞬発力型」であり、Bがナタの切れ味、つまり「持続力型」である。

さて、賢明な方はすでにお気づきになられたと思うが、Aの馬とBの馬が同じポジションでラスト3ハロンを通過したとすると、ゴールでは同着になるのだ。ということは、「瞬発力型」であろうが、「持続力型」であろうが、レースの勝敗にはほとんど関係ないということにならないか。そう、最も勝敗を分けるのは、勝負における位置取りとラスト3ハロンをどれだけのタイムで走られるか?ということなのである。

その重要さは分かっていても、いざレースを予想すると、どの馬がラスト3ハロンをどれだけのタイムで走られるのか見当が付かないという方も多いのではないだろうか。そこで開発されたのが、「ハイブリッド競馬新聞」の久保和功さんによる「推定後半3ハロン」である。現在、サンスポでも連載中の「推定後半3ハロン」は、各馬がどれぐらいのタイムでラスト3ハロンを走ることが出来るか?を数字で示したものである。

Sanspo
*クリックすると新聞が読めます。

前置きはこの辺にして、実際に先週の天皇賞春を例に取ってみたい。出走馬中、「推定後半3ハロン」の上位5頭は以下のとおりであった。

1位 ジャガーメイル  34秒0
2位 マイネルキッツ  34秒4
3位 フォゲッタブル  34秒6
4位 エアシェイディ  34秒7
5位 ナムラクレセント 34秒8

「推定後半3ハロン」の上位2頭でワンツーだけでも凄いのだが、何よりも私が驚かされたのは、マイネルキッツが2位にランクインされていたことだ。ジャガーメイルは京都記念で33秒3、過去の他のレースでも速い上がりを出しているから1位になるのは分かる。しかし、マイネルキッツは過去にも速い上がりを使うイメージがなかっただけに、フォゲッタブルやエアシェイディを差し置いての2位には違和感を覚えたのだ。

久保和功さんは、マイネルキッツについてサンスポ上でこう書いた。

マイネルキッツは昨年と同じく日経賞からの参戦。今年は59kgの酷量を背負いながらも、最速上がり34秒7で1位は価値が高い。

なるほど、各競馬場、各距離、馬場状態ごとに基準タイムを設定し、各馬の後半3ハロンの価値を計算しているからこそ、マイネルキッツの末脚を評価できるのだ。単純な上がり3ハロンの時計や切れるというイメージだけでは掴み切れない、各馬の本当の末脚の強さを、「推定後半3ハロン」は非常にシンプルな数字で示している。これを活用しない手はないだろう。

NHKマイルCが行われる東京のマイル戦は、最後の直線が長く、ラスト3ハロンの上がりの速さが結果に直結する舞台である。果たして、どの馬が「推定後半3ハロン」最速馬なのだろうか。「ハイブリッド競馬新聞」にて公開されているので、ぜひご確認あれ。

■ハイブリッド競馬新聞はこちら
Hybrid

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東京芝1600m

Tokyo1600t

向こう正面の直線入り口からのスタートで、第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は566mとかなり長い。スタートしてから緩い下りが続くことも加わって、前半から速いラップが刻まれることになる。“向こう正面でスピードが出てしまうこと”、“「直線が長く坂があること”の2つの理由によって、連対馬中の逃げ馬の比率が約12%という、「日本で最も差し馬が有利なコース」である。

コーナーの数が2つしかないことと、複合カーブであることによって、同じ1600mでも、中山競馬場のそれと比べるとごまかしが利かないコース設定になっている。マイル以上の「スタミナ」が要求され、スピードだけで押し切るのは難しいコースである。

スタート地点がバンク状になっているため、外枠の馬は内の馬の出方を見ながらレースを進めやすい。そういった意味では外枠が有利であるが、2002~3年の改修によって3~4コーナーのカーブが全体的に緩くなり、4コーナーでは内が開きにくくなった。そのため、後から行った馬は前が壁になるか、もしくは外を回さざるを得ない。内を通った先行馬に有利となるコースである。

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祐一よ、リーディングを目指せ!

Yuiti

あの落馬事故から31年の歳月を経て、5月10日、高知競馬場にて、「第1回福永洋一記念」が行われる。レース当日には、福永洋一、祐一の親子がプレゼンターとして来場する。厳しいリハビリを乗り越えた福永洋一元騎手が、再び私たちの前に姿を現す。この知らせを聞いた瞬間、私の小さな心臓はドクドクと脈打ち始めた。

福永洋一元騎手については語るまでもないだろうが、日本競馬史上に残る伝説のジョッキーである。伊藤雄二元調教師は、武豊騎手のことを「何千年に1人の名手」と評価しながらも、「日本競馬最高の騎手は福永洋一」と断言する。福永洋一騎手を乗せると、能力的に足りないと諦めていた馬でも走ってしまったそうだ。しかも、レースの内容が他の騎手を乗せていたときとは全く違い、追っ付けても進んで行かなかった馬をスイスイと逃げさせたり、先行してはバタバタになっていた馬を最後方から一気で勝たせてみたりして、周りは呆気に取られた。エリモジョージで逃げ切った天皇賞春などが有名である。

同じ騎手の立場から見ても、なぜ福永洋一騎手の乗る馬が走るのか分からなかった。「武豊は天才ではない。なぜなら、武豊が勝った理由は説明できるからだ。福永洋一が勝った理由は説明できなかった」と田原成貴元騎手が語っていたが、おそらくその通りなのだろう。天才福永洋一は、全ての騎手にとって、今でも遠いところにいる。それほどに卓越した技術、もしくは並みのジョッキーとは違う何かを持っていたということである。

Yoiti_3その福永洋一騎手を不幸な落馬事故が襲ったのは、福永祐一がまだ2歳の頃であった。頭蓋骨骨折、脳挫傷、舌裂傷という大怪我を負って、それでも奇跡的に一命を取り留めたのだが、それ以降、今もリハビリの日々が続いている。福永祐一は中学生になって競馬のことを知るまで、父がなぜ怪我をして、どうしてこんなに頑張っているのかも分からなかったそうだ。福永祐一が小さい頃からずっと見てきた父の姿とは、母と一緒に懸命にリハビリに取り組んでいるところであった。

「それだけで僕にとって父は尊敬できる存在だった」と福永祐一は言う。

福永祐一が騎手になりたいと言った時、母親はもちろん大反対した。しかし、福永祐一が「僕も騎手になるよ」と父に耳打ちした時、父洋一はにっこりと笑い返してくれたそうだ。この笑顔に支えられて、現在の福永祐一ジョッキーが誕生したのである。

デビューから12年目の2008年9月27日、福永祐一騎手は父洋一に並ぶ983勝を挙げた。

「福永洋一の息子でなければ、騎手の道を選んでいませんでした。その背中をずっと追いかけてきましたが、勝ち星が並んだからといって胸を張ることはできません。乗れば乗るほど、おやじの存在は遠くなります。一生超えられません」とウイナーズサークルで福永祐一騎手は語った。

正直に言って、福永祐一騎手はジョッキーとして父ほどの素質を持ち合わせてはいない。近づきつつあるが、まだまだ足りないところがたくさんある。それは本人が一番分かっているはず。それでも、父のおかげもあり、たくさんの人々にサポートしてもらいながら、その期待に少しでも応えられるように懸命に騎乗しているのが伝わってくる。手の届かない父の背中と、父のおかげで恵まれている環境と、騎手としての自分の力の間にある蜃気楼をいつも彷徨っているのだ。福永祐一騎手の右目と左目は形が違う。葛藤を物語っている彼の目が私は好きだ。

先日、京都競馬場にて、天皇賞春のレース後、「ファンと騎手との集い」が行われた。このイベントも今年で16年目になるのだが、現在は福永祐一騎手を中心として運営されている。ファンから集まったアンケートに全て目を通して、毎年、新しい企画を考えるらしい。ファンあっての競馬、競馬があっての自分、そして父親。今回の「福永洋一記念」もその一環である。そして、今年の福永祐一騎手は現在33勝と絶好調である。全てはつながっている。

福永祐一よ、リーディングを目指せ。私の尊敬するミスター競馬こと野平祐二氏の「祐」と、伝説のジョッキーである福永洋一の「一」を名に持つあなたは、リーディングに相応しい。

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ムチ1本

Tenosyoharu10 by Ruby
天皇賞春2010-観戦記-
急遽参戦したミッキーペトラが果敢に先頭に立ち、番手に昨年の覇者マイネルキッツという並びでレースは進んだ。前半の1000mは例年通り流れたが、中盤の1200mが極めて遅く、その結果、ラスト1000mが58秒5いう典型的な上がりの勝負となった。その中盤の異常な緩みは、ほぼ同じような時計で決着した一昨年のレースと比べてみるとよく分かる。

平成19年 61.1-74.6-59.4 3.15.1 アドマイヤジュピタ
平成21年 60.7-76.5-58.5 3.15.7 ジャガーメイル 

およそ2秒(12馬身)近くも遅いわけだから、前半で決まったポジションから動けなかった差し馬にとっては苦しい展開となった。それに輪を掛ける形で、4コーナーのアクシデントに巻き込まれた馬たちは、その時点で万事休す。伝統の天皇賞春としては、大半の馬が力を出し切ることなく終わってしまう、後味の悪いレースとなった。

勝ったジャガーメイルは、中盤の緩みにも掛かることなく、ピタリと折り合っていた。追い出されるや、3ハロンの上がりが33秒5という、母父サンデーサイレンスから受け継いだ鋭い末脚を存分に発揮した。さすがあのブエナビスタを追い詰めただけのことはある。2ヶ月半ぶりのレースではあったが、最終追い切りで素晴らしい動きを見せていたように、海外遠征の疲れも完全に癒え、最高の仕上がりにあった。海外遠征経験の豊富な馬だけに、今後、適性の合うレースを選んで世界にチャレンジしてもらいたい。

ウイリアムズ騎手は、京都3200m初騎乗とは思えない落ち着いたレース運びであった。鞍はまりの良さは歴然で、反応の良いジャガーメイルをキッチリ折り合わせ、仕掛けどころもバッチリ決まった。1番人気のフォゲッタブルを意識することなく、自分の馬の競馬に徹したのが最大の勝因といえる。さすが、豪州でリーディングを獲った実績があるだけのことはある。ムチ1本、上手いジョッキーはいつどこへ行っても上手い、ということを改めて思い知らされた。

マイネルキッツは惜しくも2連覇を阻まれた形になった。究極の瞬発力勝負になってしまい、長く良い脚を使う長所を生かせなかったが、自ら動いていっただけに、仕方ないとあきらめもつくか。心配された中間の蓄膿症の影響もなく、昨年とほぼ同様のパフォーマンスを発揮した。松岡正海騎手も外枠を引いた時点から、こういう積極的な競馬をしようと考えていたのだろう。競馬は自分の馬だけで作られるものではない、思い通りの流れにはならない。だから競馬は難しい。

メイショウドンタクは16番人気にして3着とまさかの激走。馬群の外々を揉まれることなく走られたこと、もっとも理想的なラップを刻めたこと、ブリンカー効果など様々な理由はあるが、メイショウドンタク自身が最後まであきらめずに走り切れたことが大きい。精神的にムラのある馬であり、この先、同じような結果が出せるかどうかというと疑問である。

ナムラクレセントは4着に突っ込んだように、スタミナの問われない上がりの競馬が合っていた。ただ、道中引っ掛かっていたように、流れの遅いレースでの折り合いに不安を残す。この馬の良さを最大限に生かすことを考えると、長距離ではなく中距離の方が合っている。

1番人気に推されたフォゲッタブルは、スタートで出遅れた上、最後は手が動いてしまったように、道中で思うように反応できなかった。本来はスムーズに上がっていける馬だけに、レース間隔が開いてしまったことにより、正直に言って仕上がりが良くなかった(少し重かった)。叩かれた次走の宝塚記念は、今回よりは期待できる。

ジャミールは外枠から発走になってしまったことで、思い切って最後方からのレースをした。安藤勝己騎手の一か八かの作戦ではあったが、4コーナーでの不利も含め、結果的には裏目に出てしまった。折り合いを欠く馬ではないだけに、勝ちに行くことを考えると、出して行っても良かったのではないか。ジャミール自身、力がつき切っていないことと58kgを背負っていることが鞍上を消極的にさせたか。

メイショウベルーガも同様に、前走で前に行くレースを試しているだけに、勝ちに行くならば、もう少し攻めの姿勢で臨むべきだった。この馬に関しては、乗り替わりでジョッキーが手探りだった部分もあったのだろう。トウカイトリックにとっては、こういう上がりの速い競馬は明らかに向かなかった。

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NHKマイルCを当てるために知っておくべき3つのこと

Nhkmilec

■1■マイル以上のスタミナと完成度の高さが求められる
過去14年の優勝馬の前走距離と着順を見てみたい。

タイキフォーチュン→ 毎日杯(2000m)1着 
シーキングザパール→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
エルコンドルパサー→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
シンボリインディ→ マーガレットS(1600m)1着
イーグルカフェ→ ニュージーランドトロフィー(1600m)7着
クロフネ→ 毎日杯(2000m)1着
テレグノシス→ スプリングS(1800m)2着
ウインクリューガー→ 毎日杯(2000m)8着
キングカメハメハ→ 毎日杯(2000m)1着
ラインクラフト→ 桜花賞(1600m)1着
ロジック→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
ピンクカメオ→桜花賞(1600m)14着
ディープスカイ→毎日杯(1800m)1着
ジョーカプチーノ→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着

シーキングザパールとエルコンドルパサー以外の馬は、前走で1600m以上のレースをステップにしている。そして、半数以上の馬は前走でも勝っているということが分かる。

最初に、ほとんどの勝ち馬が前走で1600m以上のレースをステップにしているのは、東京競馬場のマイル戦では、スピードだけではなくスタミナがないと勝ち切ることはできないからである。特にNHKマイルカップはハイペースになることが多く、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。

つまり、マイル戦がギリギリといったスピードタイプの馬ではなく、中距離を走り切ることのできるスタミナを兼ね備えていなくては、NHKマイルカップを制することは出来ない。例外的存在であるシーキングザパールにしてもエルコンドルパサーにしても、1600m以上の距離をこなせる十分なスタミナを兼備していた。このレースに出走してくる以上、どの馬も豊富なスピードを有しているのは当然と言えば当然で、最後に勝敗を分けるのはスタミナの有無なのである。

ほとんどの勝ち馬が前走でも勝っているのは、この時点での完成度の高さが勝ち馬に求められるからである。ポロポロと取りこぼしていたり、アッサリと負けてしまっていたりする馬では勝負にならない。G1レースである皐月賞、桜花賞組は別として、前走をキッチリと勝って臨んで来られないようでは、非常に高いレベルの要求されるこのレースでの好走は厳しい。

■2■ニュージーランドT組で展開が向かなかった馬が狙い
中山のマイル戦に条件変更されて以来、ニュージーランドトロフィーでの着順が、そのまま本番へと結びつかなくなっている。中山のマイル戦と府中のマイル戦ではあまりにも条件が違いすぎて、ニュージーランドトロフィーでの成績をそのまま信用することができないということである。これまでのパターンから述べると、イーグルカフェ、ロジックのようにコース適性の差で追い込み切れず負けてしまった馬、またジョーカプチーノのように前潰れのハイペースに巻き込まれた馬など、極端な展開が向かなかった馬に限っては、本番で巻き返せる可能性があると考えてよい。

■3■1200m戦→マイルのG1は×
東京競馬場の1600mという距離で行われるG1レース(NHKマイルカップ、安田記念、フェブラリーS)を考える上で、前走で1200mのレースを使っていた馬について触れなければならないだろう。たとえば、NHKマイルカップにおいては、前走がファルコンS(中京1200m)という馬が出走してくる。安田記念だと高松宮記念(中京1200m)がよくあるケースだ。このように1200m戦→マイルのG1というローテーションを踏んできた馬は、たとえ前走で好走していたとしても、本番においてはほぼ間違いなく凡走してしまう。

理由としては以下の2つが考えられる。

1)求められるスタミナの違い
2)道中の体感ペースの違い

つまり、1200mのレースとマイルのG1レースとでは、勝ち馬に求められるスタミナとレースでのペースが絶対的に異なる。

1)G1のようなレベルの高いレースを勝ち切るには、スピードだけではなく、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。1600mのG1レースを勝つには、1600m以上の距離を走り切ることができるだけのスタミナが必要とされるのである。そのため、1200m→1600mという距離にしてみればたった400mの違いであるが、その数字以上に、勝つために要求されるスタミナに開きがあるのである。

2)道中におけるペースが明らかに異なるため、体感ペース(ラップ)が違ってくる。1200mのレースでは、スタートしてから一息でスピードに任せて一気に走り切ってしまえばいいが、1600mのレース、特に東京のマイルでは、道中でタメの利いた走りをしなければ最後の坂で脚が上がってしまう。1200m戦を使った馬は、一気に走り切ろうとするラップを体が記憶してしまい、次のレースでもそういった走りをしてしまうのである。

馬の感覚としては、1200m戦のつもりで思いきって飛ばしていると、実は1200m地点でゴールではなく、あと400mの直線が目の前に広がっていたというイメージが分かりやすいだろう。いくら騎手に叱咤激励されても、そこからラストスパートするだけのスタミナや気力はすでに残っていないのである。 このように、1200m戦→1600mのG1(特に東京競馬場でのマイルG1)というローテーションは、あまりにもレースの質や条件が違うために、馬が戸惑い、その力を発揮することなく凡走してしまうことになる。

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