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集中連載:「パドックの見方を極める」第12回

Paddock12

■足音に耳を澄ませる
パドックで歩く馬の蹄の音に耳を澄ませたことはあるだろうか。蹄の音というよりは、蹄に装着された蹄鉄とパドックの路面がぶつかる音である。カッ、カッという鋭い音があれば、カポッ、カポッという鈍い音もある。ほとんど音が聞こえない馬もいるだろう。私たちはパドックに行くと、どうしても馬を観てしまうが、たまにはそれぞれの足音を聴いてみると面白い。

このことに気づいたのは、私が地方競馬に通っていた時代である。平日の地方競馬場に行き、第3、4レースぐらいのパドックに足を運ぶと、ほとんど観客がおらず、ゆっくりと静かに馬を観ることができた。私も最初は馬を観ていたのだが、静まり返ったパドックに鳴り響く馬の蹄の音が、どうしても気になって仕方なかった。

特に、カポッ、カポッという、お椀を返したような音を聴くと、その馬がこれから向かうレースで勝てる気が起こらなかった。なぜかと言うと、上手く説明するのは難しいが、どう考えても勝負とは無縁な音にしか聞こえなかったからであろう。サラブレッドというよりは、農耕馬が歩いているように感じたのかもしれない。実際に、カポッ、カポッという音を立てて歩いていた馬は、レースに行って走ったことがなかった。ほとんどの馬は人気薄であったが、たまに人気がある馬でもあっさり負けたりした。ある時から、カポッ、カポッという音を立ててパドックを歩く馬は走らないというジンクスは、私の中で確信に変わった。

今ならば、ある程度、その理由を説明できる。カポッ、カポッという音がするのは、蹄の外周部分が同時に着地するからである。たとえば、お椀を逆さにして、机の面に平行にして降ろしてみると、カポッと同じような音がするはずである。蹄の外周部分と地面が平行に同時に着くほど、その音は空気を含んだものになる。逆に、蹄の外周部分のどこかが先に着地すれば、カッ、カッという蹄鉄とパドックの路面との衝撃音だけ、もしくはほとんど無音に近くなるのだ。

なぜ蹄の外周部分が同時に着地するのが良くないかというと、それは歩き方の問題である。実は、現役のサラブレッドの多くは、つま先から着地するように歩く。それは速く走らなければならないという意識がそうさせる。常に前へ前へと推進するように調教されているからこそ、前のめりに歩くのである。カポッ、カポッという音がする、蹄の外周部分が同時に着地しているような馬は、緊張感に欠けるか、もしくは勝つ気がないかのどちらかであろう。リラックスしすぎているとも言える。つまり、「きちんと歩けて」いないということである。

前述したように、競走馬にとって「きちんと歩く」ことは非常に大切である。脚を引きずってデレデレ歩くのではなく、きちんと脚を上げてリズミカルに歩く。これは普通の歩き方ではないから、馬に「歩く」という意識、あるいは緊張感が必要である。人に引かれて歩くときは常にそういう歩き方をするのだとしつけておくと、馬は精神的に強くなるのだ。馬にそういう歩き方をさせるのが調教のひとつでもある。素質の高い馬で人気になっていても、きちんと歩いていない場合には、レースで気の悪さを出してということが起きたりする。きちんとした足音で歩けない馬は、きちんと走れないのである。

(第13回に続く→)

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小倉記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kokurakinen

■1■七夕賞からは直結しない
サマー2000シリーズ第3戦。2006年から北九州記念が1200m戦となり、小倉記念が7月最終週へとスライドされた。主なステップレースは七夕賞となるが、レースの特徴から考えても、七夕賞と小倉記念は直結しない。

なぜなら、七夕賞が福島競馬場の荒れてきた馬場で行われることに対し、小倉記念は野芝が生え揃った絶好の馬場で行われるからである。野芝は気候の暖かくなる6月くらいから成長し、8月の最も熱い季節に最盛期を迎える。野芝100%で行われる小倉競馬場の馬場は、これ以上ないほどの絶好の高速馬場となる。つまり、七夕賞ではパワーが求められるのに対し、小倉記念は高速馬場に対応できるスピードが求められることになるのだ。

しかし、後半からラップが急激に上がるため、スピードの持続力も必要とされることになるところがミソ。速い持ち時計があり、なおかつそのスピードを支えるスタミナを秘めた馬が狙いか。

■2■前走の着順
前走の着順別の小倉記念での成績を見てみたい(過去11年間)。

前走1着    【3・5・3・18】 連対率28%
前走2着    【4・0・3・6】 連対率31%
前走3着    【0・2・1・9】 連対率17%
前走4着    【0・0・1・7】 連対率0%
前走5着    【0・1・0・8】 連対率11%
前走10着以下 【3・2・0・33】 連対率13%

前走で勝ち負けになっていた馬の連対率が圧倒的だが、これは夏の上がり馬が活躍していること以上に、北九州記念と小倉記念の結びつきの強さを示している。1ヶ月前にほぼ同条件で行われていた北九州記念の好走組が、小倉記念でも好走するのは至極当然である。

しかし、上で述べたように、主なステップレースが北九州記念から七夕賞へ変わったことにより、前走の着順がそのまま小倉記念へとスライドすることはなくなるはずである。どちらかというと、七夕賞のレースが適性に合わなかった馬の巻き返しというパターンが多くなるはずで、前走の着順はさほど気にしなくてもよいだろう。

■3■内枠の差し馬有利
かつて小倉記念は馬場の内が悪い重賞であった。なぜなら、連続開催の3回小倉が始まる頃、1回小倉以降に張り替えた部分のAコース最内がかなり傷んでくるからである。ちょうどその辺りに小倉記念は位置していたため、馬場の良い所を走られる外枠を引いた馬は有利であった。しかし、2006年からは開催時期がズレたことにより、内外の有利不利がなくなった以上、4つコーナーの小回りコースということを考えれば内枠有利となる。そして、各馬が直線の短さを意識して早めに仕掛けることで、一瞬の脚を持った差し馬にとって絶好の舞台となることも覚えておきたい。


関連リンク
「けいけん豊富な毎日」:小倉記念

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「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち」

Yusyun_2

雑誌「優駿」の8月号が発売された。今月号でなんと創刊800号だという。終戦前後に休刊したこともあったらしいが、1941年5月からおよそ70年にわたり、1ヶ月に1冊のペースで定期的に刊行されてきたことに驚きを隠せない。私も現在、新しい競馬の雑誌を創ろうと、日々、悪戦苦闘しているにもかかわらず、まだ1号すら出せていないのだから、800号の重みは痛いほど良く分かる。そして、私もぜひとも800号続くような雑誌を創りたいし、生きている間に何号まで出せるのかと要らぬ心配までしてしまう。

さて、創刊800号記念として、「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち」という企画が掲載されている。「優駿」のオフィシャルウェブサイト内の応募フォーム、もしくは官製はがきによるファンからの応募を集計した結果、1位のディープインパクトから100位のトゥザヴィクトリーまで、さすがコアな競馬ファンらによる投票だけあって、なるほどと思わせられる名馬が実に煌びやかに並んでいる。ウオッカの2位は当然として、3位には意外にも(?)ナリタブライアンが入っていて、3冠馬のインパクトの強さを改めて知らされた。

Photostudによるオリジナルのポストカード(ディープインパクト、ウオッカ、ナリタブライアン)も3枚入っている。ディープインパクトの宝塚記念やウオッカのダービーも名作なのだが、個人的にはナリタブライアンのこの写真が最も好きだ。ナリタブライアンのまだあどけない表情とあっという間にこの世からいなくなってしまったことが重なって、なんだかとても神秘的に見えてしまうのである。この写真の中の彼はどこを見つめているのか。そして、彼はどこから来て、どこへ行ってしまったのか。その答えは誰も教えてくれない。

Naritabrian

ちなみに、私の未来に語り継ぎたい不滅の名馬たちは以下のとおりである。

1、オグリキャップ
2、サイレンススズカ
3、エルコンドルパサー
4、ライスシャワー
5、ヒシアマゾン
6、カネヒキリ
7、ナリタブライアン
8、ブラックホーク
9、ツインターボ
10、ダイタクヘリオス

ディープインパクトやウオッカはもうすでに人口に膾炙しているし、キングカメハメハやエアグルーヴなど種牡馬や繁殖牝馬として活躍している馬たちは、その産駒たちが自然と語り継いでいってくれるだろうから、敢えてランキングには入れなかった。どちらかというと不遇な時代を生き抜いた馬や、早世してしまった馬や個性派など、私たちの記憶に残しておきたい馬たちをピックアップしてみた。もちろん、私が実際にこの目で見たことのある馬、ということが条件である。

お気づきの方もいるかも知れないが、実は1頭だけ現役の馬が混じっている。そう、屈腱炎や骨折を克服して、現在8歳馬ながらにして闘い続けているカネヒキリである。この馬こそ、現在進行形の未来に語り継ぎたい不滅の名馬ではないだろうか。できれば、近いうちにカネヒキリのことを書いてみたいと思う。

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若駒戦の密かな愉しみについて語りました。

「若駒戦の密かな愉しみ」を立ち上げたGachalingoさんと対談しました。実は今日、横浜で新しい雑誌の打ち合わせをしてきたばかりですが、録音環境が悪く、結局、お互いの自宅に戻ってスカイプで対談という、なんとも不思議な感じになりました。若駒戦の楽しみ方やこれまでにデビューした2歳馬たち、そして次走で狙い目の若駒について語り合いましたので、ぜひ聴いてみてください。

音声ファイル(MP3形式、32分)

*再生されるまでに時間が掛かることがありますので、しばらくお待ちください。
*音声のボリュームは各自で調節してみてください。

■「若駒戦の密かな愉しみ」はこちら
Wakakomasennohisokanatanosi


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「ガラスの競馬場」:半熟卵の冒険

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函館記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatekinen

■1■上がり馬が狙い目
G1       【0・1・2・9】 連対率8%
G2       【1・0・1・9】 連対率9%
G3       【2・0・0・26】 連対率10%
オープン特別 【6・8・4・57】 連対率18%
条件戦    【1・1・3・13】 連対率11%

過去10年で前走がG3クラスから2頭、オープン特別から6頭の勝ち馬が出ているように、これまでに実績のある馬ではなく、この夏に力を付けてきた(調子を上げてきた)馬が狙い目である。また、前走がオープン特別であった連対馬14頭中、12頭が巴賞出走馬である。函館記念1本に狙いを定めてきた上がり馬に注目すべき。

■2■2000m以上のスタミナが必要
トニービン、ニジンスキー、ノーザンダンサーなどの血を引く馬たちが活躍しているように、函館競馬場独特の洋芝によって、パワーはもちろんのこと、字ヅラ以上のスタミナが必要とされる。また、速い上がりが求められるレースになることはほとんどないので、瞬発力勝負では分が悪かった馬の巻き返しにも期待したい。

■3■内を通って差を詰めることの出来る差し馬
12.3-11.2-11.7-12.1-12.1-12.1-12.3-12.4-12.2-12.2(59.4-61.2)H
12.8-11.2-11.8-12.4-12.5-12.2-12.1-11.9-11.8-12.0(60.7-60.0)M
12.6-11.3-11.6-12.4-12.6-12.8-12.4-13.0-13.0-13.4(60.5-64.6)H
12.6-11.8-12.7-13.0-12.9-11.9-12.0-11.9-11.7-12.3(63.0-59.8)S
12.2-11.2-11.4-12.1-12.1-12.4-12.0-12.1-12.1-12.7(59.0-61.3)H
12.4-11.6-12.1-12.4-12.3-12.3-12.0-11.7-11.5-12.3(60.8-59.8)S 札幌競馬場

過去6年間のラップ構成を見ると、毎年異なった展開で流れていることが分かる。そのため、レースレベル自体は違ってくるのだが、3コーナー手前から速くなりやすい傾向は毎年同様である。ジョッキーが262mと短い直線を意識するため、向こう正面から既に動き出すからである。そのため、ペースや競馬場のコース形態のわりには逃げ馬が残りにくく、先行馬、そしてさらに、内を通って差を詰めることの出来る差し馬にとって有利なレースになる。

思い出の函館記念

勝ったと思った本命が内から差され、改めて函館記念の内有利を思い知らされた。
4連覇を目指したエリモハリアーが外から突っ込んで驚嘆。

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生き残れ!

Zennorobroi

新種牡馬として華々しくデビューし、今年のセレクトセールでも1億円超えの産駒を出したゼンノロブロイだが、現役時代はどちらかというと晩成の馬であった。皐月賞には間に合わず、青葉賞を勝った勢いで挑戦したダービーでは2着に破れ、雪辱を期して臨んだ菊花賞では内に包まれてしまい4着と惨敗。続く有馬記念でも古馬の壁にぶつかり、健闘もむなしく3着、と結局3歳時には大きなレースを勝つことができなかった。年が明けた4歳の春も詰めの甘さは相変わらずで、天皇賞春はイングランディーレに逃げ切られ2着、宝塚記念はタップダンスシチーの強さにひれ伏した形の4着という走りであった。

ところが、4歳の秋を迎え、ゼンノロブロイは覚醒した。休み明けの京都大賞典こそ2着と惜敗したが、その後の天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念と3連勝。それまでにはあのテイエムオペラオーしか成し遂げたことのない大記録を、勝ち味に遅かったゼンノロブロイがあっさりと達成してしまったのだ。しかも、テイエムオペラオーのようなヒヤヒヤの辛勝(特に有馬記念)ではなく、いずれのレースも安心して見ていられる完勝であった。当然のことながら、この年はJRAの年度代表馬に選出された。

「いつも無敗の馬がいるわけじゃないし、さんざん負けても残っていればチャンピオンになれるんだ。その間にたくましくもなってくるし。あの馬のほうが強かったなんていうのは話にならない。無事にきているのがいいんだから」

ゼンノロブロイを管理した藤沢和雄調教師は上のように語った。この世代の筆頭格であり、皐月賞とダービーを制したネオユニヴァースは、天皇賞春で大敗を喫した後、宝塚記念を目標に調整されたが、右前浅屈腱炎と右前球節部亀裂骨折を同時に発症して引退してしまった。菊花賞馬かつジャパンカップを2着した実績を持つザッツザプレンティは、宝塚記念後に右前脚屈腱炎を発症し戦列を離れていた。タップダンスシチーは凱旋門賞に挑戦したものの、飛行機のアクシデントに見舞われていた。そして、何よりも同厩舎の先輩であるシンボリクリスエスが、幸いにも前年の有馬記念で引退していた。

ちょうどこのタイミングでペリエ騎手に乗り替わったこと、夏の休養を経て体力がついてきたことなど、秋の古馬G1を3連勝した要因は他にもあるだろうが、最大の理由は、ゼンノロブロイが生き残っていたからである。たとえ自分自身の力は変わらなくとも、他のライバルたちがケガや引退などで戦列を離れていく中で、ターフで走り続けることが出来ていればチャンスはいずれ訪れるのである。これが無事是名馬の本当の意味である。サラブレッドにとって大切なのは速く走ることだけではないのだ。

私が初めてこのことを教えてもらったのは、ビワハヤヒデと岡部幸雄騎手によってである。ゼンノロブロイと同じく、ビワハヤヒデも大きなところをなかなか勝ち切れない馬であった。2歳時には朝日杯3歳S(現在の朝日杯フューチュリティS)では圧倒的な1番人気に支持されながらも2着に破れ、翌年の皐月賞が2着、そしてダービーも2着と勝てそうで勝てないレース振りに同情と共感が集まった。頭が大きく、サラブレッドとしてはどちらかというと不恰好であるところが可愛らしく、芦毛ということもあり、同世代のG1を勝ったナリタタイシンやウイニングチケットよりもファンは多かった。ビワハヤヒデの屈託ない走りに、菊花賞こそはと私も応援した。

ビワハヤヒデは菊花賞を5馬身差で圧勝した。ウイニングチケットやナリタタイシンが馬群に沈む中、あの詰めの甘さは何だったのだろうと思わせる、まるで別馬のような走りを見せてくれたのだ。ここから先はビワハヤヒデの独壇場で、有馬記念こそトウカイテイオーに負けたものの、翌年の天皇賞春と宝塚記念を連勝して、古馬の頂点に立った。菊花賞の勝利ジョッキーインタビューにおける、「生き残っていれば必ずチャンスは来る」という岡部幸雄元騎手の言葉が忘れられない。

生き残っていれば…はそれ以降、私の人生の哲学にもなった。サラブレッドも人間も、それぞれの能力はそれほど大きく変わらない。たとえ今、力が劣っていたとしても、良い結果が出ていなくても、ふてくされることなく、その場に立ち続ける。それがいかに難しく、生き残ることのできない馬や人のなんと多いことか。どれだけ負けても、生き残って、その場で戦い続けていけば、最後にはチャンピオンになれるのである。競馬も人生もサバイバルレースなのだ。

Special photo by Photostud


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「ガラスの競馬場」:馬の声を聞いていますか?

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「血と知と地」

Titotitoti

この本を読んだ頃のことを、今でもまざまざと思い出すことができる。社会に出たばかりの私は、自宅からずいぶん遠い職場に通うことになり、文句ひとつ言えずにいた。渋谷から地下鉄に乗り、1時間近くウトウトと眠り、さらにバスに乗って職場に赴くという、往復4時間の通勤であった。行きも帰りも、バスの座席に腰を下ろすや、「血と知と地」を鞄から取り出し、しばし読み耽った。平凡で退屈な毎日の中で、この束の間だけは、競馬に対する情熱を感じられる幸せな時間であった。

あれから11年振りにこの本を読み返してみて、吉田善哉氏の競馬に対する情熱を改めて思い知らされた。最後の1ページをめくり終わると、社台ファームの繁栄がここにあり、彼の存在なくして今の日本の競馬は語れないことが分かる。本人の言葉を通して見事に物語られているため、偉大なホースマンではあるが、それ以上に人間臭い、吉田善哉がまるで隣にいるように感じられてしまう。彼の競馬に対する情熱や仕事熱心さ、欲、ハッタリ、そして駄ジャレが、いつの間にか私を取り囲んでしまうのだ。

吉田善哉と著者の吉川良のこんなやりとりがある。

「人は夢という言葉を使うのが好きだがね、夢という言葉ぐらい、いいかげんな言葉はないね」
「どうしてです?」
「わたしは夢を持たないね。夢というと、たいていは、いい夢と考えるがね、実際は悪くころがって身動きがとれなくなるものだ」
「夢がダメとなると、何を持ったらいいんでしょうかね」
「欲だよ」
「欲だって悪くころがる」
「夢と欲じゃ大違いだ。わたしははっきり区別しているね。この2つをごちゃごちゃにしちゃダメだ」
「ぼくには夢もないし、欲もない。そういう人間はどうしたらいいですかね」
「酒を飲むしかないだろう」

「人間は夢を持たなくてはダメだよ」などという言い回しを吉田善哉は嫌った。「私を吉田ゼニヤと揶揄するやつがいるが、吉田ヨクヤと呼んで欲しい」と冗談も言った。夢という理想ではなく、欲という現実的な野心を持ちがなら、何ごとも自分でやっていく人だったという。日本在来のビューチフルドリーマー、アストニシメント、フローリスカップなど出来上がった立派な血を使うこともなく、テスコボーイやネヴァービートという流行に乗ることもなかった。

ただひたすら血統の勉強をしながら、世界のあちこちを歩いた。農地解放から土地を守り、土地を買い集め、耕した。とにかく強い馬を出すことに心血を注いだのだ。もちろん、全てが順風満帆だったわけではない。キーランドのセリにて60万ドルで競り落としたワジマが走らなければアウトだった、と次男の勝己は言う。しかし、ワジマは走ったし、ノーザンテーストはリーディングサイヤーとなり、サンデーサイレンスも手に入れた。

単行本で485ページというこの本の厚さは、吉田善哉の競馬に対する情熱の熱さだと私は思う。読みやすい量にまとめようと思えば出来たはず。それでも、敢えてそうしなかったのは、馬、社台、吉田善哉、そして競馬が、そうやすやすと理解されるわけにはいかないという著者・吉川良の良心が働いたからではないだろうか。薄っぺらい馬券本ばかりを読んでいる私たちに、この本は競馬に対する情熱を問うているのである。暑い夏に負けないよう、あなたの競馬に対する熱さをぶつけながら、ぜひ読んでみて欲しい。

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アイビスサマーダッシュを当てるために知っておくべき3つのこと

Aibisu

■1■牝馬の活躍が目立つ
牡馬・せん馬  【2・5・5・72】 連対率9%
牝馬       【7・4・4・36】 連対率22%

過去9回行われたレース中、牡馬が勝ったのはわずかに2回。しかも、その2回は、あのスプリンターズSを制し、直線1000mコースのスペシャリストであったカルストンライトオによるもの。つまり、それ以外の牡馬は、このレースで牝馬に勝ったことがない。連対率を見ても圧倒的な差が生じている。

理由としては、以下の3つが考えられる。
①平坦コースで牝馬特有の切れ味を生かせる
②揉まれない
③牝馬は気を抜かずにガムシャラに走る

■2■ダート短距離血統の馬に注目
過去の連対馬を見ると、カリスタグローリー、サクラバクシンオー、Capote、スターオブコジーン、ウォーニングなど、ダートの短距離に強い血統の馬が並んでいる。このことからも、一気にアクセルを全開にしてトップギアに入ることのできる、後輪駆動のパワータイプが強いことが分かる。芝のスピードよりも、ダッシュするためのパワーが必要ということである。

■3■外枠有利というよりも
新潟直線1000mは外枠有利と言われるが、本当にそうだろうか。開催が進んで馬場の内側が傷んでくれば、外が走りやすいトラックバイアスが生まれることは確かだが、開幕週であれば馬場の内外は気にすることはない。それよりも、馬は埒(らち)を頼った方が走りやすいということである。直線だけの競馬は馬群が大きくバラけることが多く、他馬との間隔が開きすぎると、馬はフラフラして走りにくい。だからこそ、早めに埒(らち)を味方につけて突っ走った馬が有利ということになる。そういった意味では、手応えの良い馬が集まってくる外枠の方がレースはしやすい。

思い出のアイビスサマーダッシュ

牡馬で唯一このレースを勝っているカルストンライトオ。とにかく速かった。

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集中連載:「パドックの見方を極める」第11回

Paddock11

■耳
馬の心理状態が最も端的に表れるのは、耳であると言っても過言ではない。馬の感情がストレートに表れてしまうので、私たちが馬の気持ちを知る手がかりとなることが多い。調教師や厩務員やジョッキーなど、馬に携わる人々は、馬の耳の動きや位置を観察することによって、馬が今何を考えているのか、何を気にしているのか、何を恐れているのかを察するのである。

馬は両方の耳を前後左右に、しかもそれぞれを別々に動かすことができる。左右の耳を別々に動かすことで、聴覚的に周囲の環境を探索するのである。また、耳を動かすことで、仲間同士でサインを送ることにも使われる。仲間の耳の動かし方や位置を見ることで、相手の感情を読み取ることができるのである。

緊張していない時の耳は、ほぼ直立し、前方やや外側を向いている。この基本位置が、周囲の状況を最も把握できる体勢なのである。パドックをこういう耳で歩けている馬は、これから行われるレースに集中できているはずである。それとは逆に、耳を左右に動かしている馬は、不安を感じ周囲を気にしているということが分かる。たとえ同じリズムで歩いていたとしても、耳の動きが違えば、その馬の精神面は全く違うということである。

Ear01レースに集中できている耳

Ear03不安を感じ周囲を気にしている耳

もうひとつ、馬は怒りや不快感を覚えると左右の耳を絞る。絞るというと分かりにくいかもしれないので言い換えると、耳を頭の後方にピタリと張り付け、前からでは見えないようにした状態のことである。馬が攻撃衝動や優越感を抱いた時の典型的な姿勢である。なぜ耳を絞ることが攻撃衝動を表すのかというと、それはかつて仲間の攻撃から耳を守るためにとった姿勢に由来している。耳をピタリとつけてしまえば、かじられたり、引き裂かれたりすることが難しくなるからだ。

Ear02怒りや不快感を覚えたり、他馬を気にしている耳

パドックや返し馬で、他馬が近くに寄ってきた際に耳を絞る仕草を見せる馬は、他馬を気にする馬である。この傾向が極端に見られるようであれば、実際のレースに行って、他馬を気にしてばかりでレースに集中することなく、力を出し切れずに終わってしまうという結末に陥りやすい。もちろん、ジョッキーも他馬になるべく近づけないように工夫して乗ったりもするが、それでも競馬が集団で行われる以上、レースのしづらい馬であることに間違いはない。こういう馬は、よほど力が抜けているか、展開に恵まれない限り勝ち負けになるのは難しい。

これは余談だが、パドックならまだしも、実際のレースに行っても耳あてをしたメンコをして走る馬は買いづらい。耳あてをするのは、周囲の騒音から遮断されることで、馬が大人しくなったり、落ち着くからである。が、馬がレース中、後方にいる他馬との距離を音で判断する以上、馬の耳をレースで覆ってしまうことは判断力を鈍らせることにつながるのである。ジョッキーからの掛け声やムチの音に反応するのもまた耳である。

海外の競馬を見ても、メンコをつけて走る馬はたくさんいるが、両耳をすっぽりと覆う耳あてをしながら走らせるのは日本だけである。前述のように、耳あては馬だけではなく、耳の動きで馬の気持ちを察するジョッキーの判断力も鈍らせることになる。ジョッキーにとっては、何を考えているか分からない馬に乗るのはそれだけで怖いことなのだ。馬券を買う側にとっても、基本的には実際のレースで耳あてをつけて走る馬は買いたくないというのが本音である。

(第12回に続く→)

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七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tanabata

■1■上がり時計不問
12.2-11.7-12.0-12.2-12.2-12.2-11.8-11.8-11.9-12.7(60.3-60.4)M 上がり3ハロン36秒4
12.8-11.4-12.1-12.5-12.6-12.3-11.6-11.6-12.2-12.6(61.4-60.3)S 上がり3ハロン36秒4
12.5-11.2-11.6-11.4-11.9-12.0-12.5-12.5-12.3-12.5(58.6-61.8)H 上がり3ハロン37秒3
12.4-11.5-11.8-11.6-11.7-11.7-11.8-12.0-12.1-12.7(59.0-60.3)H 上がり3ハロン36秒8
12.3-11.1-12.1-12.2-12.1-11.9-12.0-12.0-12.1-12.5(59.8-60.5)M 上がり3ハロン36秒6
12.5-11.3-11.9-12.1-12.5-12.0-11.7-11.9-11.7-12.2(60.3-59.5)M 上がり3ハロン35秒8
12.5-11.5-12.2-12.3-12.6-12.0-11.8-11.7-11.3-12.3(61.1-59.1)S 上がり3ハロン35秒3

過去7年間の上がり3ハロンが36秒を切ったのは、わずかに2度のみ。馬場の劣化と、息の入らないペースによって、上がり時計が不問になりやすい。軽い瞬発力ではなく、その対極にある、パワーとスピードの持続力が求められるレースである。もちろん、こういう上がり時計不問のレースでは前に行った馬が有利になる。

■2■マイラーでもステイヤーでも厳しい
直線の短い小回りコースということもあって、スタート直後からガンガン飛ばしていく速い流れになりやすく、最後は底力の勝負になり、豊富なスタミナが要求される。そのため、純粋なマイラーにとっては厳しいレースとなる。かといって、ステイヤーに向くかというとそうでもなく、ステイヤーは道中の速く厳しい流れに戸惑ってしまうことになる。どちらかに偏っていない、中距離馬を狙い打つべきである。

■3■ハンデがハンデにならない!?
斤量         成績       連対率
49kg以下     【0・0・0・7】    0%
49.5kg~51kg 【0・0・1・12】   0%
51.5kg~53kg 【2・4・3・35】  13%
53.5kg~55kg 【1・3・2・42】   8%
55.5kg~57kg 【7・2・4・25】  23%
57.5kg~59kg 【1・2・1・5】   33%

ハンデ戦にもかかわらず、ハンデが重くなるにしたがって連対率が上がる傾向がある。そして、勝ち馬は55.5kg~57kgのゾーンに集中している。

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プロキオンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Prokions

■1■1番人気が圧倒的に強い
初夏の阪神開催に移った2000年以降、過去10年間で1番人気は【6・4・0・0】と連対率100%という圧倒的強さを誇る。これはが実績馬に有利な別定戦であることが最大の理由である。だからといって1番人気を買えばよいというのは早計で、実績馬がそれほど重い斤量を背負わされないため、力のある馬が順当に勝つというのが本当の意味である。

■2■先行・差し馬向きのレース
12.0-10.3-11.1-12.1-12.3-12.5-12.7(33.4-37.5)H
12.3-10.5-11.5-12.0-11.8-11.6-12.6(34.3-36.0)H
12.2-10.6-11.1-11.7-11.9-12.1-12.3(33.9-36.3)H
12.0-11.0-11.5-11.7-11.6-12.0-12.2(34.5-35.8)H
12.3-10.1-11.0-11.9-12.1-12.4-12.9(33.4-37.4)H
12.0-11.0-11.6-11.8-11.6-11.7-12.3(34.6-35.6)H
12.3-10.8-11.5-11.8-12.1-11.8-12.4(34.6-36.3)H

過去7年、例外なくハイペースに流れていて、前に行く馬にとってはかなり厳しいレースとなる。それでも先行馬が活躍しているのは、阪神1400mダートコース(内回り)の最後の直線が352mと短いからである。後ろから行く馬向きの展開になるにもかかわらず、意外と直線が短くて差し切れないという現象が起こるのだ。逃げ馬にとっては苦しいレースだが、かといって追い込み馬も届かないという、先行・差し馬向きのレースとなる。

■3■外枠が有利
阪神1400mダートコースはスタート地点が芝となっていて、外枠から走る馬の方が芝を走る距離が長い。そのため、外枠に入った馬(特に先行馬)は、内枠に入った馬に比べ、スピードに乗りやすいという利点が生じる。先行・差し馬向きのレースと前述したが、特に外枠に入った先行馬には要注意である。

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友よ

Uguric by ede

あなたと会ったのは今からちょうど20年前まえ。
怪物と呼ばれていたあなたをひと目見ようと、
わたしは初めて競馬場に足を運びました。
立錐の余地もないほど
たくさんのファンが詰めかけていました。

あなたが府中の魔物に捕らえられてもがいていたとき、
わたしは人々の背中と頭の間から
必死であなたの姿を探していました。
「ヤエノムテキだ!」、「4-4か!」という叫び声から、
まさかの敗北を知ったのでした。
最強の馬がこうも簡単に負けてしまう
競馬の残酷さを私は知りました。

あなたは次のジャパンカップでも走りませんでした。
いや、走れなかったのですよね。
限界を超えて走ってきたことによる疲労が、
あなたを蝕んでいたのでした。
でも、その当時、競馬についてなにも知らなかったわたしは、
こんなものかと高を括っていたことを正直に告白しておきましょう。

あなたはもう終わったという内容の記事を、
アルバイトの休憩中にスポーツ新聞で読みました。
誰もが新しいヒーローの誕生を予感していたのでしょうか。
引退レースという響きも、あなたの生命力の枯渇を示しているようでした。
新しいジョッキーを背に迎えたとしても、
それはあくまでも花を添える役割としか思えませんでした。

あなたの最後のレースを私は後楽園のウインズ観ました。
道中、燃え尽きたはずのあなたの手応えがずっと良かったことは覚えています。
3コーナーを回るあたりから、皆もそれに気付き始めて、
4コーナー手前で、誰かが我慢できずにポロっと「オグリだ…」と言いました。
そうしたら、堰(せき)を切ったように、「オグリだ…、オグリだ…」って、
まるで山びこのように後楽園ウインズに連鎖していきました。

あなたが直線で先頭に立ったときは、誰もが「オグリー!オグリー!」
勝ったときには、「オグリが来た!オグリが来た!」
皆、大興奮状態で、中には放心状態の人もいました。
私も、今までに味わったことのない、体が震えるようなドキドキを味わったんです。
もちろん、あなたの馬券は買っていませんでしたよ。
それでも、競馬ってスゴイ…、ってその時のインパクトは強かったです。

あなたの引退レースの熱狂を語る面白いエピソードがあります。
有馬記念とかオグリキャップとか競馬とかを全く知らない外国の人が、
たまたまタクシーの中でこの実況を聞いて、
涙を流して感動したという逸話があるのです。
競馬とかオグリキャップとか、実況で何を言ってるかすら全く知らない外国人がですよ。
それぐらい、何か人の気持ちとか色々なものが、
全て凝縮されて爆発したレースだったんですよね。

あなたが踏ん張った最後の直線の途中で、
解説者の大川慶次郎さんが「ライアン、ライアン!」と、
自分の買っていたメジロライアンという馬を応援していた声が入っていて、
こんなオグリが復活した素晴らしいレースで、
お前は自分の買った馬のことしか考えていないのか、
とひんしゅくを買ったのも有名な話ですね。

あなたは最後まで私たちのために走りました。
自分のためではなく、周りにいる人々のために。
その走りを観て、感動して、わたしは一生の競馬ファンになりました。
あのレースの血の滾る(たぎる)感覚を味わっていなければ、
ここまで競馬を続けてこられたか分かりません。
あなたには今でも感謝しています。

あなたが府中競馬場に来てくれた一昨年のこと。
どうしても外せない仕事が入ってしまい、私はあなたに会いにいけませんでした。
最後のチャンスになると知っていたなら、万難を排して駆けつけたはずです。
今となってはそれだけを悔やんでいます。
私の人生を変えてくれたあなたにひと言、ありがとうと言いたかった。
その代わりに、リチャード・ルーリィの「天国のどこか」という詩を贈ります。

天国のどこかにある、その競馬場はいつもいいコンディション
花の香りが漂い、内馬場の池はまるで鏡のよう
太陽は光り輝き、優しい風が吹く
ごらん、あのエメラルドの海は枯れることのない深い芝だ

ほら、パドックに馬たちがやって来る
あの芦毛はネイティブダンサー
あの黒い馬はダークスター
あのちっちゃいのはノーザンダンサー
いつも堂々としているスウェイル

この競馬場では
誰も苦しまない
誰も傷つくことはない
馬たちはただ全力で走るだけだ
ここでは誰もラシックスなんか使わない
鞭打たれることもなければ
注射を打たれることもない
病気も骨折も苦痛も死も
もう馬たちには追いつけない
さあ走っておいで
友よ
きみが地上で走るのを止めたところから

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ラジオNIKKEI賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Radionikkei

■1■G1帰りの馬は消し
かつては「残念ダービー」と言われていたほど、ダービーに出走できなかった馬や、出走しても好走できなかった馬が好走したレースだが、過去10年では、前走がG1レース(ダービー、NHKマイルC、オークスなど)であった馬の成績は【1・1・1・17】と奮わない。前走が500万下であった馬の成績【3・4・2・30】と比べると、その差は明らかである。

それもそのはずで、前走がG1レースであった馬は、そのレースに向けて100%の仕上げで臨んでいるからである。目に見える見えないにかかわらず、ほとんどの馬の体調は、良くて前走から平行線、悪ければ下降線を辿って出走してくる。たとえG1レースに出走したような力のある馬でも、走られる状態になければ好走は望めない。

■2■1800m以上のスタミナ
この時期の福島競馬場は、芝が傷んで力を要する馬場になっている。野芝が成長を始めるものの、1回開催から期間が短いため、馬場の傷みは回復することなく進行していくからである。特に3~4コーナーにかけて内側の芝はかなり傷んでおり、各馬が馬場の良い外々を回すため、必然的に1800m以上の距離を走ることになる。

過去8年間のラップ
12.5-10.7-11.3-11.9-11.8-12.5-12.3-12.6-12.7(46.4-50.1)H
12.8-11.8-12.2-12.6-12.2-11.7-11.9-11.5-11.7(49.4-46.8)S
12.6-11.1-11.6-11.6-11.7-11.7-11.9-12.4-12.5(46.9-48.5)H
12.3-10.9-11.3-12.0-12.0-11.7-12.0-12.4-12.6(46.5-48.7)H
12.5-11.2-11.8-12.6-12.4-12.1-12.5-12.1-13.3(48.1-50.0)H
12.6-11.5-11.3-12.2-12.4-12.3-11.6-11.6-12.2(47.6-47.7)M
12.6-10.8-11.7-12.6-12.2-11.7-11.6-11.4-12.2(47.7-46.9)M
12.4-11.3-12.0-12.3-12.1-11.9-11.9-12.0-12.4(48.0-48.2)M

また、過去8年間のレースラップ(上記)を見てみると、ヴィータローザが勝った5年前のレースは例外として、ほとんどのレースが前傾ラップとなっている。各ジョッキーが直線の短さを意識し、好位を確保するために、前半からかなり厳しいペースでレースが流れていることが分かる。

つまり、以上の2点から、小回りの1800mというコース設定ではあるが、実は字ヅラ(1800m)以上のスタミナが必要とされるのである。

■3■長くいい脚を使える馬
福島競馬場の最後の直線は297mと短い。そのため、直線に向いてからの追い出すのでは遅く、各馬のスパートは3~4コーナーにかけて既に始まっている。コーナーを回りながらの仕掛けとなるため、一瞬の切れ味は生かしにくく、どちらかというとジワジワと伸びるタイプの馬にとって有利となる。もちろん、福島競馬場で実績のある馬は求められている適性に近いということだろう。

また、菊花賞を勝ったダンスインザダークの産駒や、将来の菊花賞2、3着馬が活躍していることからも、ラジオNIKKEI賞と菊花賞の間には深い連動性があることが分かる。求められている適性(長くいい脚を使える)が似ているということである。つまり、ラジオNIKKEI賞で好走した馬は菊花賞でも好走の確率は高く、逆に菊花賞で好走しそうな(血統の)馬がいれば、ラジオNIKKEI賞でも狙ってみても面白いということだ。

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函館スプリントSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1、ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2、1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。中京の後半開催になったCBC賞もパワー型の馬が活躍するレースであり、CBC賞組で好走した馬が順調に来れば、素直に力が反映されることだろう。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■ラップ分析
過去7年のラップ
11.8-10.5-11.2-11.6-11.7-12.5 (33.5-35.8)H
11.8-10.6-11.3-11.8-11.5-12.4 (33.7-35.7)H
12.2-10.4-11.0-11.5-11.6-12.3 (33.6-35.4)H
12.2-10.7-11.2-11.6-11.8-11.6 (34.1-35.0)M
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
昨年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制した。札幌競馬場で行われた昨年を除く、過去9年の連対率も32%【6・1・1・14】と、牡馬セン馬の11%【3・8・8・86】に比べ圧倒的に高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で活躍するという典型的な例である。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。


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「けいけん豊富な毎日」:函館スプリントS

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「ガラスの競馬場」CLASSICの申込みを締め切りました。

「ガラスの競馬場」CLASSICの申込みを締め切りました。おひとりお一人にニュースレターを送らせていただく関係上、今回も限定募集とさせていただきました。どうぞご理解ください。そして、CLASSICメンバーにご登録いただきました皆さま、ありがとうございました。今まで競馬を読むことで生かされてきた私ですが、これから先、私がそうしてもらったように、もっと多くの人々の人生に競馬の楽しさや素晴らしさを伝えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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