« 七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと | Main | アイビスサマーダッシュを当てるために知っておくべき3つのこと »

集中連載:「パドックの見方を極める」第11回

Paddock11

■耳
馬の心理状態が最も端的に表れるのは、耳であると言っても過言ではない。馬の感情がストレートに表れてしまうので、私たちが馬の気持ちを知る手がかりとなることが多い。調教師や厩務員やジョッキーなど、馬に携わる人々は、馬の耳の動きや位置を観察することによって、馬が今何を考えているのか、何を気にしているのか、何を恐れているのかを察するのである。

馬は両方の耳を前後左右に、しかもそれぞれを別々に動かすことができる。左右の耳を別々に動かすことで、聴覚的に周囲の環境を探索するのである。また、耳を動かすことで、仲間同士でサインを送ることにも使われる。仲間の耳の動かし方や位置を見ることで、相手の感情を読み取ることができるのである。

緊張していない時の耳は、ほぼ直立し、前方やや外側を向いている。この基本位置が、周囲の状況を最も把握できる体勢なのである。パドックをこういう耳で歩けている馬は、これから行われるレースに集中できているはずである。それとは逆に、耳を左右に動かしている馬は、不安を感じ周囲を気にしているということが分かる。たとえ同じリズムで歩いていたとしても、耳の動きが違えば、その馬の精神面は全く違うということである。

Ear01レースに集中できている耳

Ear03不安を感じ周囲を気にしている耳

もうひとつ、馬は怒りや不快感を覚えると左右の耳を絞る。絞るというと分かりにくいかもしれないので言い換えると、耳を頭の後方にピタリと張り付け、前からでは見えないようにした状態のことである。馬が攻撃衝動や優越感を抱いた時の典型的な姿勢である。なぜ耳を絞ることが攻撃衝動を表すのかというと、それはかつて仲間の攻撃から耳を守るためにとった姿勢に由来している。耳をピタリとつけてしまえば、かじられたり、引き裂かれたりすることが難しくなるからだ。

Ear02怒りや不快感を覚えたり、他馬を気にしている耳

パドックや返し馬で、他馬が近くに寄ってきた際に耳を絞る仕草を見せる馬は、他馬を気にする馬である。この傾向が極端に見られるようであれば、実際のレースに行って、他馬を気にしてばかりでレースに集中することなく、力を出し切れずに終わってしまうという結末に陥りやすい。もちろん、ジョッキーも他馬になるべく近づけないように工夫して乗ったりもするが、それでも競馬が集団で行われる以上、レースのしづらい馬であることに間違いはない。こういう馬は、よほど力が抜けているか、展開に恵まれない限り勝ち負けになるのは難しい。

これは余談だが、パドックならまだしも、実際のレースに行っても耳あてをしたメンコをして走る馬は買いづらい。耳あてをするのは、周囲の騒音から遮断されることで、馬が大人しくなったり、落ち着くからである。が、馬がレース中、後方にいる他馬との距離を音で判断する以上、馬の耳をレースで覆ってしまうことは判断力を鈍らせることにつながるのである。ジョッキーからの掛け声やムチの音に反応するのもまた耳である。

海外の競馬を見ても、メンコをつけて走る馬はたくさんいるが、両耳をすっぽりと覆う耳あてをしながら走らせるのは日本だけである。前述のように、耳あては馬だけではなく、耳の動きで馬の気持ちを察するジョッキーの判断力も鈍らせることになる。ジョッキーにとっては、何を考えているか分からない馬に乗るのはそれだけで怖いことなのだ。馬券を買う側にとっても、基本的には実際のレースで耳あてをつけて走る馬は買いたくないというのが本音である。

(第12回に続く→)

現在のランキング順位はこちら

|

Comments

治郎丸さん、こんにちわ。


治郎丸さんのパドックの見方やテキストはほんとうに役立ってます。

治郎丸さんのいつもゆっていることを含めた多くのことをいろいろ考えるようになりいろんな角度から馬達を見るようになり馬券の買い方も自分自身ずいふん変わりましたね。

これもひとえに治郎丸さんに出逢えたおかげです。

治郎丸さんに教えて頂くことは自分自身の今までの競馬の概念や先入観のリミッターを解除するだけでなく今まで以上にもっと馬のこと競馬のことを深く知りたくなりましたね。

これがほんとうの意味でのハマるとゆうか馬・競馬とゆうものの真骨頂なんだと思うようになりました。

いつもほんとうに馬と競馬の話をありがとうございます。

これからもよろしくお願いしますm(__)m

Posted by: ユビキタス | July 12, 2010 at 05:57 PM

ユビキタスさん

いつもありがとうございます。

私は競馬が好きで、自分が楽しくて競馬について書いたり話したりしているだけですので、そういう風におっしゃっていただけると素直に嬉しいです。

私が好きな競馬とユビキタスさんがさらに深く長く続いてくれるのは私の幸せでもありますから。

これからもゆっくりと競馬を楽しんでいきましょうね!

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: 治郎丸敬之 | July 13, 2010 at 01:51 AM

Post a comment