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集中連載:「パドックの見方を極める」第13回

Paddock13

■あくびをする馬
パドックであくびをしている馬を見て、図太い神経をした馬だなと思うことがあるだろう。何度かレースを経験した馬であれば、パドックを歩いているということは、この先、本馬場に出て、返し馬をして、いざレースが行われることを察知するのが普通である。そもそも、調教が強くなってきたことからレースが近づいていることを感じる馬もいるし、馬運車に乗ることで分かる馬もいる。サラブレッドは敏感な生きものなのである。にもかかわらず、これから極限の競走を強いられることを知ってか知らずか、パドックであくびをするなんて、ずいぶんとリラックスした精神状態である。

そんな時、私の友人が言っていた、あくびに関するひとつの説を思い出す。

「あくびって、眠かったり、退屈だったり、気持ちが緩んでいるから出るっていうのが俗説だよね。でも、俺はそれだけじゃないと思うんだ。あくびって、緊張を解くっていう効果もあるんじゃないかな。敢えてあくびをすることで、緊張を紛らわすというか、リラックスするというか。実際に、俺はそうしているし」

なぜこんな他愛もない会話を正確に覚えているかというと、友人がそれまでの話との脈絡なく唐突に話し始めたことと、さらにその内容のあまりの無意味さに驚いたからであった。だからどうなんだよ、別にどっちでもいいんだけど、と私は心の中でつぶやいたのだ。しかし、あれから9年が経った今でも覚えているということは、その内容には実は深みがあった(!?)のかもしれないし、少なくともパドックであくびをする馬を論じる際にネタとして使えたのだから、友人には感謝しなければならない。

パドックで馬があくびをしているのを見て、やる気の欠如と決め付けるのは早計である。もしかすると、パドックであくびをしている馬はやる気がないのではなく、緊張を紛らわそうと必死に抵抗しているのかもしれない。いや、そうに違いない。サラブレッドは私たちが考えるよりも遥かに敏感である。これから迫り来る恐怖に対する不安を乗り越えるために、意識的にせよ無意識にせよ、なんとかリラックスするためにあくびをしているのではないだろうか。

なんとも雲を摑むような話になってしまったが、私が言いたいことは、いずれにせよ、パドックであくびをしているような馬は買いたくないということだ。たとえやる気や緊張感がなくてあくびをしているのであれば、レースに行っての好走は望めない。そうではなく、極度の緊張状態をなんとか紛らわそうとあくびをしているのであれば、それはそれでレースにおいて力を発揮できるかどうか疑問である。

パドックであくびをしていることから想像できるのは、悪い結果だけである。

(第14回に続く→)

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