« 恐ろしいほどの仕上がりにあるヤマニンキングリー:5つ☆ | Main | お申し込み受付を終了しました。 »

どこにでもいそうな牝馬のどこにこれだけの

Tennosyoaki2010 by Scrap
天皇賞秋2010-観戦記-
先行馬が揃ったメンバーの中、シルポートが果敢に逃げて、前半後半共に59秒1という平均ペースでレースは流れた。2番手につけたキャプテントゥーレも追いかける素振りを見せず、馬群は固まり、勝負は直線に向いてからの瞬発力勝負へ。前に行っていた馬はもちろんだが、それ以上に、末脚が切れる馬にとって有利な展開となった。その中でも、勝ったブエナビスタと2着に追い上げたペルーサの末脚の破壊力は凄まじい。

ブエナビスタは飛んでいるというより、まるで泳いでいるような走りで、馬群の中からすり抜けだし、あっという間に先頭に立つと、後はほとんど馬なりでゴールまで駆け抜けた。ドバイから帰国緒戦のヴィクトリアマイルを激走し、その反動からガタガタの状態であった宝塚記念後、ひと息入れて、厩舎に置かれてゆっくりと調整されたことで、ほぼ完調と言えるまでに仕上がっていた。普通の体調で走ればこれだけ強いということを、古馬の一線級を相手にきっちりと証明してみせた。

それにしても、パドックから返し馬においても全く入れ込むことなく、あれだけの走りをしたレース後もケロッとしている姿を見ると、このどこにでもいそうな牝馬のどこにこれだけの力が眠っているのか、生命の神秘にさえ想いを馳せてしまう。前々から繰り返し言ってきたことだが、ブエナビスタは足が速い馬である。速く走るために生まれてきたサラブレッドの中でも、足が速い馬がいる。私の知る限りにおいて、あのディープインパクトとブエナビスタの2頭だけ。ブエナビスタはこの後、父スペシャルウィークが歩んだジャパンカップ→有馬記念という道を辿ることになるだろう。長距離輸送を含め、あと2度の厳しく激しいレースを、彼女が走り切ることが出来るかどうか。ブエナビスタが切り拓く未来と歴史を、この秋はとくと堪能したい。

ペルーサはわずかに出遅れたものの、安藤勝己騎手が慌てることなく馬群の後方に付け、自慢の末脚を生かすべく腹を括った。直線に向いても、ひたすら馬群が開くタイミングを待って、最後の最後まで脚を溜めていた。これぞ安藤勝己流の2着確保の術である。決して悪い意味ではなく、他馬との力関係や手応えの違いをいち早く察し、無理に勝ちに行って着順を落とすのではなく、負けてもひとつでも上の着順に持ってこようという円熟さの極みである。それに応えたペルーサの力も大したもので、カッカしてしまう精神面での若さが解消してくれば、恐ろしい馬になりそうだ。今年の強い3歳馬の代表として、これからの活躍に期待したい。

アーネストリーはパワータイプの馬だけに、馬場の重い宝塚記念や札幌記念での好走が、スピードレースの天皇賞秋にそのまま直結はしなかった。仕上がりもパーフェクトであったし、道中のレース運びも理想的で、この馬としては精一杯の力を出し切っている。G1クラスのメンバーの中で、ラストの瞬発力勝負になってしまうと、わずかに力不足だったということだ。天皇賞秋を目標にして完璧に仕上げてきただけに、G1レースを勝てるだけの力はついているが、この後のレースまで体調を維持できるかどうか心配である。

シンゲンは勝ち馬をマークする形で進み、直線に向いてから追い出されて、最後までよく伸びている。長期休養明けを勝った前走の反動もなく、この馬の力は出し切っている。ただ、敢えてひとつだけ挙げるとすれば、瞬発力ではブエナビスタに勝てないのだから、もう少し前のポジションを取るべきであった。

ジャガーメイル陣営にとっては、悔やんでも悔やみ切れないレースとなった。抜群の手応えで直線に向いて、エイシンアポロンの進路をカットする形で内に切れ込み、さらに今度は前にいたシルポートに進路を塞がれ、万事休す。手応えの良さゆえに勝ちを焦ったのか、名手ホワイト騎手にあるまじき拙騎乗であった。落ち着いて乗っていれば2着はあったのではないだろうか。

現在のランキング順位はこちら

|

Comments

あの広い東京競馬場のコースをもってしてでもこれだけのメンバーが揃うと最後は針に糸を通すようなものだと思い知らされたレースでしたね。

どんな百戦錬磨の名手でさえ一瞬の判断が命取りになりますね。

スピードとゆう中で戦うとゆうことは馬にしろ騎手にしろ命以上のものを代償にし磨り減らし戦っているからこそ何も語らずとも見ているものすべての心を動かすんでしようね。

Posted by: ユビキタス | November 01, 2010 at 07:51 PM

ユビキタスさん

こんばんは。

針を通すようなレース。

まさにぴったりの表現だと思います。

勝ちたいという思いが、
香港のトップジョッキーの判断さえ誤らせてしまうのですから、競馬は難しいですね。

それがコンマ何秒の世界ですから、私たちを魅了するのでしょう。

それにしても、ブエナビスタ強かった!

Posted by: 治郎丸敬之 | November 02, 2010 at 02:17 AM

直線のごちゃつきは残念でしたね。
ブエナは強かった。

いや呆れる位。ウオッカより強いとわたしは
思うんだけど。。。

Posted by: はやひで | November 02, 2010 at 12:40 PM

はやひでさん

個人的にも本当に残念でした(笑)

それでも、強い馬の強いレースを観れたので満足です。

あきれるぐらいの強かったですよね。

この秋、ウオッカよりも…が試されると思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 03, 2010 at 03:37 AM

Post a comment