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新時代のリーダーへ

Jcdirt10 by jra
JCダート2010-観戦記-
好枠を利して1番人気のトランセンドがハナに立ち、2ハロン目こそ10秒7と速く流れたが、それ以降は12秒台が平均的に刻まれる持続力勝負となった。前半800mが47秒9、後半が48秒9と、やや前傾ペースで流れたことによって、トランセンドに付いていった馬には苦しく、後ろから差してくる馬には追い込みづらい絶妙な展開となった。

トランセンドは肉を斬らせて骨を断つことに成功した。坂路コースで抜群の時計が出るように、安定した脚力のある馬であり、その良さを藤田伸二騎手が見事に生かし切った。結果的に見ると、下手に抑えるよりも、逃げた方がこの馬の地脚の強さを最大限に発揮できたということになる。上下動が少なく、横揺れもほとんどない、まるで外車のような乗り味なのであろう。このメンバーでは一枚力が上であり、最も確実に勝利できる戦法として逃げたということだ。ただ、今後、さらにメンバーが強くなるとすれば、1本調子の逃げばかりでは最後に捕まってしまうだろう。脚質に幅を出すことが今後の課題である。

それにしても、藤田伸二騎手のソツのない騎乗振りにはいつも感心させられる。スタートを決めるや、外から来る馬たちを牽制しながら先頭を取り切り、道中は馬に余計な負担を掛けず、ゴーサインのタイミングも抜群で、追い出すとゴールまでビッシリ追ってくる。このミスの少なさが、勝率0.146、連対率0.256という現在の数字に表れている。力のある馬に乗れば、最も安心して観ていられるジョッキーの一人である。今年の開催も残すところあと6日となるが、最後まで関西リーディング、そして新時代のリーダーを争って欲しい。

最も惜しいレースをしたのは、グロリアスノアではないだろうか。外枠からの発走であったため、中団からの競馬を強いられてしまった。前走から馬任せでスムーズに前に付けられるようになっていたし、休養を挟んでグングンと体調を上げてきただけに、非常に残念である。最後の直線では、1頭だけトランセンドを追い詰めてきたが、僅かに届かなかった。真ん中よりも内の枠番を引けていれば、結果は違ったかもしれない。ドバイ遠征を経て、体質だけではなく精神面も強化され、これからも強い4歳ダート世代の中心を担っていくはずである。

小林慎一郎騎手も非の打ち所のない騎乗であった。第1コーナーで先行ポジションを取りに行ったが、難しいと判断してスッと馬を下げた潔さも見事であったし、4コーナーでトランセンドにあれだけ離されても慌てずに、コーナーをロスなく回していた。あともう少しでG1レースに手が届くところまできた、今日のレースの感触を忘れないで欲しい。矢作芳人調教師はまたしてもG1レースを勝てなかった。決して高くはない馬をここまで走らせるのだから、その手腕は光っている。いつかその日は必ずやってくるはずである。

同じく4歳世代のシルクメビウスは、スタート後に位置取りを下げてしまったことが痛かった。第4コーナーで外々を回してしまった(回さざるを得なかった)分、最後は追い込み切れなかった。ダート初挑戦となった3歳世代のアリゼオは、スタートで出遅れて万事休す。ポジションが悪くなったばかりか、砂を被ってしまい、今回は全く力を出し切れなかった。体調も毎日王冠をピークとして、やや下降線を辿っていた感がある。血統的にも馬体的にもダートは向いているはずであり、もう少し経験が積めれば、ダート戦線でも楽しみな存在になるのではないか。

福永祐一騎手が跨るキングスエンブレムは絶好のポジションを確保したが、最後は止まってしまった。まだ幼さを残す馬体だけに、これだけのペースを無理して付いていったことで、脚を失ってしまったのだろう。その兄ヴァーミリアンはさすがに衰えを隠せない。最終コーナーでは手応えがなくなってしまっていた。それでも、ダート最強馬の想いは弟に引き継がれるはずである。

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