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Against All Odds.

幸英明騎手がJRAに対して不服申し立てを行った。2月27日、阪神6Rでゴールデンアタックに騎乗して6着に入線したが、直線で内に斜行してスマートオーシャンの走行を妨害したとして12着に降着となった件について。幸英明騎手としては、「左前の馬(サミットストーン)が内に寄ってきて、挟まれる形になった。自分が被害馬だと思った」とのこと。この申し立てを受け、JRAは裁定委員会を開いたが、不服申し立てには理由がないとして申し立てを棄却した。あの温厚かつ冷静な幸英明騎手によるものだけに、現場やメディアは大きく動揺した。

ここからはあくまでも私見だが、今回の件にだけ関して言えば、問題は幸英明騎手の側にあると思う。パトロールフィルムを観ると分かるように、幸英明騎手が2頭の間にあるスペースに突っ込む前から、左前のサミットストーンに騎乗している池添謙一騎手は左ムチを振るっており、サミットストーンが左に寄れてくる可能性は十分にあった。それを考慮に入れると、あのスペースに入るのは危険であり、一か八かの賭けになる。それを知っていて(かどうか分からないが)、前が詰まった以上、幸英明騎手による判断ミスと言えるだろう。

2頭の間にあったスペースが十分であったかそうでなかったか、という点だけを論じても、水掛け論になることは否めない。あの状況において、他の馬の動きや手応えを考慮に入れると、やはり十分ではなかったということになる。十分でなかったからこそ、前が詰まったのである。ここまでは明白である。だだし、判断が難しいのは、降着にまですべきかどうかという点である。リスクを取ってあのスペースに突っ込んで、前が詰まって6着に敗れたのだから、もうそれで十分だろう。内のスマートオーシャンもすでに手応えを失っていた。追い討ちをかけるように降着、そして4日間の騎乗停止は重すぎるのではないだろうか。あまりに単純な公正さや正義ばかりを追求すると、どの騎手もあのスペースを突かなくなり、スポーツ性が失われてしまう。

さらに、それよりも怖いのはJRAの密室性であろう。今回は裁定の透明性を高めるために、初めて外部委員3名(そのうちの1人は岡部幸雄元騎手)が出席しての裁定委員会であった。にもかかわらず、審理の過程が全く分からない、1枚の裁定書が手渡されたのみだという。これでは誰が納得するというのだろう。せめて顔の見える人間が表に出て、裁定の過程を具体的に説明する責任があるのではないか。万が一、ミスジャッジがあったのであれば、素直に謝罪して改めればよい。信頼できないのは、誤った判断をしてしまったことではなく、それが分かった(発覚した)にもかかわらず認めない人間や組織である。時が経っても私たちは忘れない。

幸英明騎手を筆頭とするジョッキーたちだけではなく、私たちもまた、日々の仕事や生活に忙殺されながら、あの5センチ、10センチの部分で命をかけている。このままだと競馬がなくなってしまう、と本気で心配しているからこそ言いたい。日本の競馬が好きだから、日本の競馬は世界のどこと比べても素晴らしいのだから、もっとオープンになってほしい。もっと私たちを信頼してほしい。競馬をスポーツや文化として愛するために、たとえどれだけ逆風が吹こうとも、これからも私たちはあのスペースを突いて生きてゆく。その思いはずっと変わらない。

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Comments

ブラボーです。
あのスペースに飛び込むのを恐れられたら
馬券を買ってるファンは納得出来ません。

黛騎手が処罰されましたが、ゴール前で手綱を
緩める騎手が最近多い。
黛騎手だけが処罰されたが、3着~4着のせめぎ合い
で最後手綱を緩められると、どうも釈然としない。
乗ってる人間としては、追っても追わなくても
結果は同じ・・・という経験によるものなのかも
知れないが・・・。

Posted by: はやひで | March 08, 2011 at 08:26 AM

いつも拝見しています。

裁決の正否はともかく、あのスペースに突っ込んでいくのは当たり前だと思います。
勝ち=一着を目指して出走するのが競馬ですから、幸騎手のチャレンジは当然です。

ただ、直線の攻防ばかり取り上げられているのが…。黛騎手の油断騎乗云々の時も思いましたが、油断、無気力の最たるものは、道中のペースに関係なく、逃げ馬をほったらかしにして暢気に乗っている騎乗ではないだろうか。
これがどれだけの競馬ファンを競馬から退場させているか。

私はこちらのほうが危機を感じます。

Posted by: さっさん | March 08, 2011 at 01:11 PM

いつも勉強させてもらってます。
僕は競馬歴が1年半ぐらい(毎週やってます)なんですが。審議になった時に正面からの映像を流してファンにも考える時間を与えてくれたらいいと思います。実際横からだとわからないですが、正面から見るとなるほど〜と思う時があります。
でも、長い事待たせるし次のレースもあるから考えて…なんかしてて結果降着なんて事になったら納得できません。

後で映像見て納得してもやっぱりその場その時に皆が気持ちよくなるような判断や理由などを教えてもらいたいものです。なので映像を流すのがいいんじゃないかと思うんですがどうでしょう??

素人考えですが…

Posted by: シン | March 08, 2011 at 09:21 PM

ご無沙汰しております。
原因は幸騎手の判断ミスであったこと、
ただし、勝負を賭けて失敗した責めとして処分を上乗せするのは厳しいのではないかという見解、
裁定の過程に対する透明化(せめて誰か説明者が出てきてほしい)という論点、
すべて共感しました。

幸騎手のほうの事件はちゃんと見ていなかったので、記事にして頂き、ありがとうございます。

Posted by: スカイポット | March 09, 2011 at 12:24 AM

はやひでさん

リクエストありがとうございました。

黛騎手の件もまとめて書こうと思ったのですが、
また別の問題なので、今回は幸騎手だけに。

あのスペースを突かなければチャンスがないと判断したならば、ぜひあのスペースを突いて欲しいと思います。

特に単勝党の私としては勝ちに行ってほしい!

ゴール前で手綱を緩めるのは考えものですね。

おそらく結果は変わらないのでしょうが、
やはりお金がかかっている以上、
最後まで全力で追っている素振りを見せて欲しいです。

最後は追わない方が速いのであれば、
追わないでいて欲しいのですが(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | March 09, 2011 at 01:55 AM

さっさん

なるほど、直線の攻防に目を奪われがちですが、
確かに道中の緩いレースばかりだと白けますよね。

昔は鈴をつけに行くという言い方をしていましたが、
そういう言葉すらなくなってしまいました。

各馬の力が拮抗して、自分から動いたら負けてしまうという競馬になってきているからなのでしょう。

将棋の世界が序盤からの目に見えない勝負になっていることに近い気がします。

それが上手くファンの人々に伝わらないとですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 09, 2011 at 01:58 AM

シンさん

こんにちは。

まさにおっしゃる通りだと思いますよ。

>ファンにも考える時間を与えてくれたらいいと思います。

JRAの一連の対応を見ていると、とにかく身内で解決に至るまでは、できるだけ情報を公開しないようにしているようにしか思えません。

私がもっと信頼して欲しいと書いたのは、そういうことで、審議中にパトロールフィルムを流し続ければいいのだと思います。

何を恐れているのか分かりませんが、日本の競馬ファンのレベルは世界一ですので、きちんとした裁決が出れば、納得してくれるはずです。

私はファンにも考える時間をというシンさんの意見が大好きです。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 09, 2011 at 02:03 AM

スカイポットさん

こちらこそご無沙汰しております。

私の伝えたかった3点、
全て理解してくださったようでさすがです。

こういう問題には、様々な視点が必要かと思います。

黛騎手の件について、私はそちらの方がミスジャッジだと思っています。

あっ、つまり、あれは怠慢騎乗なんかじゃないのではないかということです。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 09, 2011 at 02:07 AM

黛騎手の怠慢騎乗と言われてますが、
あーいう感じは良く見かける様な・・・。

黛騎手曰く、手綱を持ち替えようとした・・
という事で、これが本当ならば
手綱を持ち替えなければ危なくても、
そのまま走り続けなければならない事になりますね。

どこをどう判断しているのか良く判らないですが。

今回の汚名で黛騎手の今後に影響が無い事を祈ります。

昔、田原原作の「ありゃ馬こりゃ馬」の漫画で
主人公が八百長疑惑をかけられて干される内容があり
ました。それと同じ事にならなければ良いのですが。

JRAもそういう今後の事(騎手の生活に関わる)を
きちんと考えた上で制裁しているんだろうか?

ま、どう見ても八百長に見える時は仕方無いんだが。。
その判断は難しいですよね。

Posted by: はやひで | March 10, 2011 at 08:40 AM

はやひでさん

こんばんは。

私も黛騎手の件に関しては全く同感です。

あれはどう考えても、いわゆる油断騎乗ではありませんよね。

TWITTERにも書いたのですが、
JRAはきちんと説明をして守ってあげないといけません。

このままだと、なんだか生け贄にされたようです。

単純な正義が幅を利かせる世の中も怖いですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 11, 2011 at 01:30 AM

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