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産経大阪杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Sankeioosakahai

■1■4歳馬が圧倒
過去10年の勝ち馬の年齢を見ると、4歳馬が6頭、5歳馬が2頭、6歳馬が1頭、7歳以上の馬が1頭と、4歳馬が他馬を圧倒している。年齢を重ねるごとに勝ち馬が少なくなっているように、実績や格ではなく、勢いが求められる舞台となる。クラシックで活躍した馬が充電を経てターフに戻ってきたり、また古馬になってから急激に力を付けてきた馬たちにとっては、実力を存分に発揮できるレースである。サラブレッドとして充実著しい4歳馬を中心に考えてみたい。

■2■1番人気が強い
過去10年間における、人気別の着順を見てみたい。

1番人気 【5・2・1・2】 勝率50% 連対率70%
2番人気 【0・1・2・7】 勝率0%  連対率10%
3番人気 【3・2・0・5】 勝率30% 連対率50%

かつてマイルCSは1番人気が最も堅いレースとして有名であったが、今では産経大阪杯がそれに取って代わろうとしている。勝率50%、連対率70%という数字は驚異的である。ひとつの理由としては、超A級の馬たちが、別定戦であるこのレースを狙って出走してくるからである。その傾向は、日本の競馬がスピード化するにしたがって強くなってきている。一昔前まで超A級の馬は阪神大賞典に出走していたが、今は距離適性も含めて産経大阪杯に出てくることが多くなっているということだ。たとえ休み明けであっても、強い馬であれば十分勝ち負けになる。

■3■内を回って先行できる馬
過去7年のラップタイムを見てみたい。

12.7-11.3-11.9-12.0-12.2-12.1-11.8-11.9-11.3-12.4(60.1-59.5)M
12.7-10.4-12.0-12.0-12.1-12.4-12.2-12.0-11.5-11.7(59.2-59.8)M
12.8-11.6-12.5-12.6-12.5-12.4-12.3-12.2-12.3-13.3(62.0-62.5)M
12.8-11.5-13.1-12.6-12.2-12.2-11.9-11.7-11.4-12.0(62.2-59.2)S
12.5-10.8-12.2-12.1-12.0-12.3-12.0-11.5-11.6-11.7(59.6-59.1)M
12.6-11.5-11.9-11.9-12.1-12.8-12.1-11.9-11.2-11.7(60.0-59.7)M
12.1-11.1-12.8-12.3-12.0-12.2-11.6-11.5-11.7-12.2(60.3-59.2)S

どのレースも速くともミドルペース、遅ければスローに流れる傾向がある。阪神競馬場の内回りということで、4つコーナーを回る小回りの直線が短いコースで行われるとイメージしてよい。ペースが落ち着きやすいことも考慮に入れると、どうしても内枠の先行馬が有利になる。

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まるでこだまのように

ヴィクトワールピサがドバイワールドカップを制した。2001年にトゥザヴィクトリーが2着に入って以来、いつか近い日にとは思っていたが、あれから10年の歳月が流れていた。国内では暗いニュースばかりが飛び交う中、日本馬としては初の快挙であり、しかも2着にはフェブラリーS馬トランセンドが入ったのだから、これ以上の結果は望めないだろう。日本人ジョッキーによる勝利でなかったことを悲観する向きもあるようだが、私にはミルコ・デムーロ騎手が日本人にしか見えなかった。ミルコ・デムーロ騎手がチームジャパンの一員として感じ、考え、悲しみ、喜んでくれていたのが嬉しかった。

それにしても、ミルコ・デムーロ騎手にはいつも驚嘆させられる。昨年の有馬記念もそうだったが、全体のペースが緩んだタイミングで馬を動かして、先行集団との差を一気に詰め、しかも2番手で止める。今回のドバイワールドカップも、スタートで出脚がつかず、ほとんど最後方からという位置取りにもかかわらず、向こう正面であっという間に先団に押し上げ、2番手でピタリと折り合った。途中から上がっていく形になってしまうと、馬は行く気になってしまうので、ほとんどは先頭に立ってしまう。そうすると、たとえスローペースで逃げられたとしても、気を抜いたり、マークされたり、逆に気を遣ってスタミナをロスしたりする。そこをミルコ・デムーロ騎手はヴィクトワールピサを先頭に立たせず、2番手で抑え込んだ。たとえば、ルーラーシップがドバイシーマクラシックで先頭に立ってしまったことからも分かるように、途中から動いて2番手で折り合わせることは案外難しい。

これは馬との呼吸が見事に合っているからこその芸当である。「行け」と思えば馬が行き、「止まれ」と思えば馬は止まる。まるでこだまのように馬を動かしている。かつて武豊騎手が「乗り手の意志を伝えるときに、1番いいのは、その馬の体に知らせるのではなく、頭に伝えることなんです」と言っていたが、つまりそういうことだろう。もはや技術を超えた次元で、身体ではなく精神に伝えることで、馬を動かしているのである。

角居勝彦調教師にとっても、悲願のドバイワールドカップ制覇となった。2006年にカネヒキリで挑戦して以来、毎年、厩舎のトップホースを送り込んできたが、ドバイの高く厚い壁に跳ね返されてきた。あのウオッカを擁しても乗り越えられなかった壁である。「海外に行くと負けて帰ってくるのが当たり前」という気持ちで挑みつつも、「馬づくりの根本から考え直さなければならない」と思い詰めたこともあった。それら敗北の経験は今に生きている。角居勝彦厩舎の馬たちの踏み込みが、他のどの厩舎の馬たちのそれよりも深いことを私は知っている。ヴィクトワールピサはその結晶である。

あらゆる環境の違いを乗り越えて、異国の地で世界の強豪に競り勝ってしまったのだから、ヴィクトワールピサは本当に強い馬である。スローペースの展開に恵まれたことは確かだが、最後の最後まで後続に抜かせなかった。レベルの高い現4歳世代の中でもトップという評価はこれで不動のものとなった。天皇賞秋を2着した兄スウィフトカレント(父サンデーサイレンス)をふた回りも大きくしたような馬体から繰り出される、まるで肉食動物のような雄大なフットワークには、いつも惚れ惚れさせられる。まだ4歳だけに、これからどれだけ勝利の山を築けるのか楽しみでならない。

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昨年と比べても遜色ないキンシャサノキセキ:5つ☆

エーシンフォワード →馬体を見る
海外遠征帰り、そして休み明けと条件は悪いが、仕上がりはなかなか良さそう。
さすがに昨年のマイルCS時ほどの出来にはないが、力は出せるはず。
Pad3star

キンシャサノキセキ →馬体を見る
余分な筋肉がそぎ落とされ、馬体に柔らか味もあり、毛艶も良い。
昨年と比べても遜色ない出来にあり、とても8歳馬とは思えない。
Pad5star

サマーウインド →馬体を見る
全体のバランスが良く、手脚もスラリと長く、決してダート馬の馬体ではない。
ただ、いつも良く見せる馬だけに、さすがに休み明けの今回はメリハリが物足りない。
Pad3star

サンダルフォン →馬体を見る
いかにも大型馬らしいゴツイ馬体で、パワー勝負には滅法強そう。
この馬も8歳馬とは思えない肉体を誇っていて、力は出せる出来にある。
Pad3star

ジョーカプチーノ →馬体を見る
スプリント適性が不安だが、重心が低く、いかにもスピードがありそうな馬体に映る。
耳の向きを見てもリラックスしており、黒味がかっているように毛艶も良好。
Pad3star

スプリングソング →馬体を見る
馬体全体がゆったりとした造りで、どう見ても、スプリンターの体型には見えない。
前走に比べ、明らかに馬体のメリハリも良化しており、調子は最高潮。
Pad4star

ダッシャーゴーゴー →馬体を見る
3歳時の幼さが抜けて、重心の低い、力強さを感じさせる馬体に成長した。
いかにもスプリンターらしい体型で、スピードとパワーを兼備している。
Pad4star

ビービーガルダン →馬体を見る
立ち姿のバランスが悪いように、ここにきて調子が下降線を辿っている。
気持ちで走ってきた馬だけに、このメンバーでは正直不安の方が大きい。
Pad2star

ワンカラット →馬体を見る
前走に比べ、馬体にメリハリがつき、力を出せる状態になってきている。
ただ、昨夏の絶好調時のうなるような気迫は感じられないのは確か。
Pad3star

Takamatumiya2011wt

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「馬券のヒント」が残り僅かになりました。

Cover02

「馬券のヒント」は、2006年にメルマガ配信を開始し、100のヒント(馬券戦術)を100日連続で皆さまにお届けしたものです。期間限定、しかもバックナンバーを公開しておりませんでしたので、「最初の100のヒントを教えて欲しい」という要望をたくさんの方々から頂戴しておりました。新たなヒントやコラムを加え、加筆修正して、皆さまにお分けします。

全90ページ(!)の中に、治郎丸敬之が数々の実戦を通して手に入れてきた知恵を詰め込んでみました。もちろん、これらはあくまでもヒントであり、絶対的なものではありませんが、明日からでもすぐに使っていただけるノウハウとなっています。馬券に迷ったり、困ったりした時に、手助けになるツールとして使っていただければ、これ以上に嬉しいことはありません。

馬券のヒントの無料サンプルはこちらからご覧ください↓
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以下、「馬券のヒント」を読んでいただいた方々の方々からの、「馬券のヒント」に対する感想を紹介させていただきます。

私は全く気づいてませんでした
馬券のヒントですが、楽しく読ませていただいています。始まって、第1回のメルマガが届いた時は、短っ!というのが第一印象でした(爆)。いつもの治郎丸さんの文章を読みなれているからでしょうね。いちばんあーなるほどと思わされたのは、「牝馬が夏に活躍する本当の理由」ですかね。平坦だから、というしっかりとした答えがあるにも関わらず、私は全く気づいてませんでしたからね。まさに目から鱗でした。「予想して馬券を買う専門家は?」と「競馬は無限なり、個を立てよ」はこれからも教訓として忘れないようにしたいと思います。
KAWABATAさん

さっそく私の馬券術にも取り入れていきたい
「馬券のヒント」楽しく拝見しておりました。途中からの購読でしたがとても参考になりました。東京競馬場の排水システムは知っていたつもりですが、インコースから乾いていくのは盲点でした。さっそく私の馬券術にも取り入れていきたいと思います。この記事につきましては、私の記事とともに後にブログの方で紹介させていただきます。(もちろん出典を明記した上で)馬券のヒントの方は一時充電なさるそうですが、ブログの方も楽しみにしております。

衝撃的でした
「馬券のヒント」が終了ということで、本当にご苦労様でした。始めは100件が非常に長いと思っていたのですが、終わってしまうとけっこうアッという間であったような気がします。さて、「馬券のヒント」での感想をお伝えしたいと思います。ざっと見渡して思い浮かんだのは以下の2つです。「馬のウォーキング」と「逃げ馬の法則」です。まず、馬のウォーキングは始めの頃に、「パドックで順番どおりに歩けない馬は消し。」ということを全く考えたことも無かったので、衝撃的でした。今では自然に順番を気にして見ています。次に逃げ馬の法則です。つい最近までは追い込み馬のかっこ良さに魅せられて馬券を買っていた部分がありました。しかし、最近になって「なぜわざわざ後方からレースさせて、コースロスさせてまで外を回るのだろう?」「前にいた方が楽じゃないか?」という素朴な疑問があったので、逃げ馬という言葉にピンと来て選びました。でも、やみくもに逃げ馬が良いわけでは無いし、と悩んでいた中での内容であったので今後参考にしたいと思っています。
K.Tさん

「へ~そうなんだ」といった事ばかり
いつも馬券のヒントを読ませていただいております。毎回「へ~そうなんだ」といった事ばかりで、最近は秋競馬も始まり自分の競馬の予想に「馬券のヒント」に書いてあるような事も組み込みながらやってます。とにかく、ためになるし、いろいろと勉強になる事ばかりでこれからも、がんばってください!
Geselさん

引出しの多さに頭が下がりました
馬券のヒント100配信お疲れ様でした。そして、これだけのヒントを出せる治郎丸さんの引出しの多さに頭が下がりました。ヒント自体はシンプルなんですが、こういう基礎的な考えの集積が的中の閃きになると思いました。例えばヒント95は菊花賞のアドマイヤメインの取り捨てには有効でしたね。わたしの悩みは馬券の買い方でしたが、予想に自信がでれば馬券種に左右されなくなるんじゃないかと最近は思うようになりました。
OGINOさん

ロジカルな考え方には感服
メルマガ「馬券のヒント」を読ませていただいてます。治郎丸さんの競馬に対する観察眼とロジカルな考え方には感服いたします。まさに「馬券のヒント」として活用させてもらっています。「決断」とは自分が選び取った状況に腹をくくること。これは、競馬だけにとどまらず素晴らしい表現だと思います。
kzhrさん

はっと気づかされるコメント
いつも「馬券のヒント」楽しく読んでいます!はっと気づかされるコメントから、つい忘れがちになってしまっていたことなどなど本当に参考になっています。ただ毎週2~3通くらいだと適量で復習も容易な気がします(私の場合は保存してあるのをたまに見返すので)。それではこれからもよろしくお願いいたします!!
HARADAさん

あげればキリがないほど参考になりました
治郎丸さんの引き出しの多さに改めて感心しきり、の毎日でした。終了してしまうのは残念ですが第2弾に期待してお待ちいたしております。個人的に励まされたのは037号。2歳馬について手探りで考察している中、持ち時計を利用することに効果があるという考え方を裏打ちしてもらったので安心?しました(^^;まだ始まったばかりの06新馬戦線ですが期待できそうな馬をこれからも探していきたいと思います。他にも斤量の話だとかあげればキリがないほど参考になりました。本当にありがとうございますm(__)mこれからもよろしくお願いいたします。
KENさん

ホースレースのバイブル
第1回から100回まで継続のご苦労考えると、そんなに簡単なことではなかったことと思いますが、本当にご苦労様でした。そして有難うございました。 これからも私のホースレースのバイブルとして大切に保管したいと思ってます。「自分にしか買えない馬券を買うこと。」これに尽きます。 自分の馬券に対する意思の反映は如実に出ますね。 私も悩みに悩んで結局無難な買い方をして、何度も悔しい思いをしています。もちろん、それで結果当たったこともありますが、100%納得できず、もやもやは必ず後まで残ります。馬券は自分の信念をもって、これからも潔く行きたいと思っています。 そのことが治郎丸さんから強くメッセージとして伝わってきました。それにしても、秋華賞はお見事でした。 自分の意を忠実に反映し、分析に裏づけされた結論を断固貫いた結果だと思います。私の馬券スタイルもこんな風にありたいと、共感いたしました。
MATUOさん

馬体重理論を自分のものにしたい
「馬券のヒント」楽しく拝見致しました。「馬券のヒント」は失敗から生まれた知恵とおっしゃる通り、同じような失敗が次々と思い出されました。そして、私はその失敗から何も学ばなかったのかと、愕然としました。さっそく、今週から失敗の記録を採ろうとおもいます。(笑)やはり、自分の失敗が一番の血肉になるんですよね。100のヒントのなかで一番目を瞠ったのが、馬体重の考察です。すぐに、集中連載も拝読しました。今年上半期の私の課題は、この馬体重理論を自分のものにすることです。他にも沢山の興味ある課題がならんでます。とりあえず、今から二回目を読みます。いい御本、ほんとうにありがとうございました。
Sさん

サービスヒントばかりでした。
驚きました。実にサービスヒントばかりでした。それぞれの結論(ヒント)に達するまでの過程を想像して組み立てることで、馬とレースをより深く理解できるよう導かれた気がします。自分でここまでたどり着こうと思えば、凝縮した検討を何年も何年も続けた果てにようやくいくつか出てくるっていうレベルのヒントだと思います。まさに羽生棋士の仰っている「高速道路」にあたるものではないかと。そこから先の「大渋滞」に出会えるのを楽しみにしています。具体的には、「踏み込みの深さでわかるのは、調子の良さではなく、距離適性」が衝撃でした。パドック派の本などで必ず触れられているのが踏み込みです。実際、私も踏み込みを見るようにしていましたがその時期は惨敗もいいとこでした。結局馬見は諦めてしまいましたが「気配」や「雰囲気」を見ていなかったんでしょうね。
Oさん

そこから自分で考えて色んなケースに当てはめてみたりできる
馬券のヒント無事に届きました。そして読まさせていただきました。今まで知らなかったことや、今後も知ることは無いだろうことが書いてあり、とても興味深くすぐ読み終えてしまいました。他の馬券本などはこの場合こういう風に買え、みたいな事ばかりで生かせる機会無かったのですが、この馬券のヒントはそこから自分で考えて色んなケースに当てはめてみたりできるので、とても役に立ちました。知識として知っておくだけで自然と使っているようになりたいと思いました。
Kさん

馬券のヒント、恐るべし
メルマガ楽しく読ませて頂きました。ありがとうございました。非常に勉強になりましたし、勝ち馬券を得るためには色々と考えなくてはならないのだなと、改めて思いました。馬券のヒントの中で私が一番、心に響いたのは【牝馬が夏に活躍する本当の理由】ですね。シーイズトウショウが函館で勝てるのにスプリンターズSで勝てない(もちろん相手の強さが違うなどもあると思いますが・・・)理由がはっきりとわかりました。また、【芦毛の馬の買い時】というのも【牝馬が夏に活躍する本当の理由】ほどではありませんがとても頭の中に残っています。今年の神戸新聞杯のフサイチリシャール(結果的には距離適正などもあったのか、馬券に絡むことは出来なかったですが)の激走はまさにこの通りでしたね。治郎丸さんの馬券のヒント、恐るべし、と思いました。
AKOさん

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「馬券のヒント」(全90ページ)を1260円(税込み、送料、代引き無料)でお分けいたします。在庫があと僅かですので、ご希望の方はお早めにお申し込みください

*地域によっては書籍の到着が遅れるかもしれませんが、ご了承の上、お申し込みいただければ幸いです。

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質問メールも受け付け致します。この本をお読みいただいて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしありましたらメールにてドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご質問、ご感想お待ちしております。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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スプリンターのピークは短い

Sprinterpeak

スプリンターのピークは短い。これは動かしがたい事実である。ここで言うピークとは、絶好調である期間のことであり、もう少し長い目でみると、一線級で走り続けられる期間のことでもある。ピークが長いステイヤーに比べ、スプリンターはピークが圧倒的に短いのだ。ステイヤーを線香花火だとすると、スプリンターは打ち上げ花火のように、華やかに咲いては散ってゆく。

過去10年の高松宮記念を制した名スプリンターの顔を思い浮かべてみたい。トロットスター、ショウナンカンプ、ビリーヴ、サニングデール、アドマイヤマックス、オレハマッテルゼ、スズカフェニックス、ファイングレイン、ローレルゲレイロ、キンシャサノキセキ。この中で、同年の秋シーズンに行われるスプリンターズSをも制したのはローレルゲレイロの2頭だけ。高松宮記念を連覇した馬はいない。相手との力関係もあるのは確かだが、スプリンターにとって絶好調の期間を2シーズン保つことは難しく、まして1年間となるとさらに難しい。

その理由はスプリンターの精神面にある。あらん限りの力をスタートからゴールまで感情と共に爆発させることによって他馬よりも速く走ることができるため、スプリンターは燃えやすい気性を有している馬が多い。多少なりとも、気性がキツかったり、激しかったりしなければ、スプリンターとしては大成しない。スプリンターの燃えやすさは、調教からレースに至るまで、その競走生活を貫いている。普段の生活でもちょっとしたことに敏感に反応してしまうし、持ったままの馬なり調教でも好時計が出てしまうため、精神的にも肉体的にも消耗が激しいのである。もし落ち着いたり、人間の思い通りに走られるようになったなら、そのスプリンターは燃え尽きてしまった証拠だろう。スプリンターは燃え上がらなければ力を出し切れないし、一瞬にして燃えてしまう分、燃え尽きるのもまた早い。そして、燃え尽きたスプリンターは勝てなくなってしまうのだ。

そういう意味では、キンシャサノキセキはスプリンターとして稀有な存在であることが分かる。2005年にデビューしたキンシャサノキセキは、5戦目にしてNHKマイルCに出走して僅差の3着に好走するや、それ以来、なんと5年以上にもわたってトップレベルのスプリント競走を走り続けてきていることになる。その間、何度か調子を崩したり、精神的に参ってしまったりしたこともあったが、その度に立ち直ってきた。2009年のスワンSから2010年の高松宮記念までの4連勝には、誰もが目を見張った。堀宣行調教師の長く馬を走らせる手腕に脱帽しつつも、キンシャサノキセキの生命力の高さにも驚かされる。これだけ長く、闘争心を維持できるスプリンターも珍しい。

そのキンシャサノキセキが連覇を目指して高松宮記念に出走してくる。昨年の同レース以来、ぶっつけで臨んだスプリンターズSを2着、マイルCSこそ大敗したが阪神Cで復活し、今年に入ってからも前哨戦であるオーシャンSを2着と好走した。前走はずいぶん苦しそうにモタれていたが、直線では鮮やかに追い込んできた。この2着という結果をどう見るかは、私たち次第である。まだまだ負けないと闘争心を維持していると見るか、それとも翳り(かげり)が出てきていると見るか。私は後者であると見ているが、前者であっても決して驚かないだろう。良い意味で裏切られるのであれば、それこそが競馬のドラマチックなところであり、そんな結末を心のどこかで期待している私がいるのもまた確かなのである。

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高松宮記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Takamatsu1

■1■スピードと先行力が問われる
阪神1200mコースは、3本の直線を組み合わせたような形状の内回りで行われる。同じ内回りで行われる1400mコースに比べて、スピードの絶対値が問われるだけではなく、先行力がある馬にとって有利なレースとなる。逃げ馬の勝率が○○%と高く、道中のペースが多少速くなったとしても、前に行った馬が意外と残ってしまうことが多い。差し、追い込み馬にとっては、差しづらい、追い込みづらいコースである。

■2■阪急杯組で差された馬
過去10年における優勝馬の前走を見ていくと、たった3つのレースからしか出ていないことが分かる。阪急杯、シルクロードS、オーシャンSの3つである。ちなみに、勝ち馬の多い順に並べていくと、阪急杯が6頭、シルクロードSが2頭、オーシャンSが2頭となる。やはり、中3週という調整のしやすいローテーションが組める阪急杯組が圧倒的な数字を残している。ただし、今年は例年と違い阪神競馬場で行われるため、阪急杯を差して勝ってきた馬よりも、前に行ったけど差されて負けた馬にとって、1ハロンの距離短縮が有利に働くはず。阪急杯で差された馬を狙ってみるのも面白い。

■3■5歳馬が有利
高松宮記念が3月に移行されて以来、過去11年間における、年齢別の成績は以下のとおり。

4歳   【1・2・1・46】 連対率6%
5歳   【7・5・4・37】 連対率22%
6歳   【2・3・4・41】 連対率10%
7歳以上【1・1・2・41】 連対率4%

勝率だけを見ても、5歳馬が圧倒していることが分かる。勢いのある4歳馬が、充実の5歳馬にねじ伏せられてしまうという形になりやすい。6歳以上の馬になってくると、スピード不足を露呈してしまうのか、年齢と共に勝率は下がっていくことになる。スピードとスタミナを兼ね備えたスプリント能力を問われるということだ。

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フレンチカクタスが瑞々しい:5つ☆

エーシンハーバー →馬体を見る
短距離馬らしい血統だが、馬体には伸びがあって距離は伸びても問題ない。
筋肉量が増えればもっと良くなるが、現時点でも全体のバランスは良い。
Pad4star

クリアンサス →馬体を見る
ずんぐりした体型と前駆の強靭さは、いかにも短距離馬のそれである。
表情からも気性が勝っており、負けん気は強そうだが、スムーズに流れに乗れるかどうか。
Pad3star

ドナウブルー →馬体を見る
現時点では素質だけで走っており、馬体は幼く、完成度という点では低い。
気性は素直そうな表情をしており、毛艶も良いので体調は万全だろう。
Pad3star

フォーエバーマーク →馬体を見る
重厚感に溢れる体型で、上がりの掛かるパワー勝負には滅法強そう。
ただ、もう少し筋肉のメリハリが付くように、ひと絞り欲しいところ。
Pad3star

フレンチカクタス →馬体を見る
やや緩さは残るものの、瑞々しい毛艶、しかも柔らかい筋肉が豊富に付いている。
澄んだ瞳からも気性の素直さが伝わってくるように、気持ちの上でも安定している。
Pad5star

マイネショコラーデ →馬体を見る
休み明けということもあり、まだ冬毛が出ていて、毛艶が優れない。
全体的なバランスは良いが、ここを叩いてからだろう。
Pad3star

モアグレイス →馬体を見る
重心が低く、ずんぐりとしていて、短距離馬らしいパワーに溢れた馬体に映る。
表情も良く、気性が前向きなことが分かるように、人間の指示に素直に従えそう。
Pad4star


Filliesreview2011wt


追伸
大震災の夜からTwitter上で書いている連載「好きな馬はいますか?」の前半部分をやえやえ00さんがまとめてくれました。Twitterは情報が流れていってしまうから、Togetter(トゥゲッター)というまとめサイトがあるんですね。ありがとうございます。この馬、いや場を借りて、御礼を申し上げます。ようやく競馬は始まりましたが、これからも少しずつ書いてゆくつもりですので、お楽しみください。

「好きな馬がいますか?」のTogetter(トゥゲッター)はこちら
Togetter_2

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ゲシュタルトの祈り

Jiromaru

「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」と哲学者ニーチェは語りました。東日本を襲った今回の大震災を考えるとき、私たちには「事実」と「解釈」の両方が存在するのではないかと思います。私たちはこの大震災という「事実」と向き合いつつ、その「事実」をどう「解釈」していくかという局面にさらされているのです。

私はここ数日、Twitterを見る機会が多いのですが、その中でナカヤマフェスタを管理する二ノ宮敬宇調教師のつぶやきを目にしました。そこにはこう書いてありました。

「現在の満ち足りた生活と、有り余った物、そして物欲、切りがない欲求、不満、きっと日本人は違う方向に向いていたのかもしれない、それを教えているのか、それにしては酷すぎる」

私はハッと息をのみました。私が漠然と感じていたことを、あまりにも的確に言い当てられてしまった気がしたのです。あの日以来、大震災を見ていたつもりが、実は私は自分の生き方を見つめていたのでした。スイッチひとつで溢れる光や情報の世界、いつでも手に入る温かい食べ物、自分の足で歩かない生活、会社に住むような働き方、いつでも会えると思っている家族や大切な人々。そうありたいと願う理想と現実とが、全く違う方向に向いているのではないか。あまりにも劇薬ではありましたが、個人的な「解釈」として、私はそう気づかされたのでした。

さて、ようやく競馬が始まりました。今日はさっそく阪神大賞典がメインレースに組まれています。天皇賞春の前哨戦として、過去の勝ち馬を振り返ってみると、錚々たる面子が並んでいます。メジロマックイーン、ナリタブライアン、マヤノトップガン、メジロブライト、テイエムオペラオー、スペシャルウィーク、ディープインパクトなど、ここを勝って本番の天皇賞春も制した名馬たちです。最近は阪神大賞典と天皇賞春の勝ち馬が結びつきにくくなりましたが、それは本物のステイヤーが少なくなってきたからでしょう。基本的にステイヤーはピークが長いので、前哨戦の勢いをそのまま本番へと持ち込むことができるのです。

池江調教師が進上金(10%)を義援金として寄付する予定だったトーセンジョーダンの取り消しは、とても残念でした。昨秋から使い込まれてきていましたので、目に見えない疲れがたまっていたのかなと思います。最終追い切りもいつもの迫力がありませんでした。

押し出されるように1番人気になったのは4歳馬のコスモメドウです。今年の4歳は最強世代と言っても過言ではなく、また新たに長距離レースの新星を送り込んできました。父キングスベスト×母父サドラーズウェルズですから、長距離が得意でないわけがありません。実はこの世代のダービー馬エイシンフラッシュもキングスベストを父に持ち、日本に入っている産駒の少なさを考えると、いかに日本の競馬に適した瞬発力を補うことに成功しているかが分かります。まさにこの馬はステイヤーですので、前走のダイヤモンドSを勝った調子をそのまま持ち込んでくることができるはずです。好勝負は必至でしょう。

私がこのレースの勝ち馬に相応しいと思うのは、同じ4歳馬のゲシュタルトです。ダービーで4着した実力はダテではありません。皐月賞とダービーの間に1戦(京都新聞杯)を使ったことが、長いこと尾を引きましたが、ガレていた体も戻り、ようやく復調気配にあります。あとは気分よく走ることができるかどうか。この馬のリズムで走ることができれば、ここでも十分に勝ち負けになる力を持っています。乗り難しい馬ではありますが、池添謙一騎手から藤岡祐介騎手に乗り替わって、どのような競馬をするか楽しみです。

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祈るように書きたい。

今週の土曜日から、阪神と小倉競馬場で競馬が再開されることになった。2007年の馬インフルエンザ以来の開催中止だっただけに、やはり競馬があるということだけで素直に嬉しい。相次ぐ余震や停電、食料品やガソリンの欠如、放射能の大量飛散など、心休まる間もない毎日だが、私にとって競馬は光となりうる。時として人はものごとの暗い面ばかりを見たがるが、私は光の射す方を見ようと心に決めた。たまたま私がこうして普通の生活が送れていることに感謝しつつ、今の私にできることをやっていきたい。第5夜となる今夜は、「競馬をもっと好きになる7つの道」のひとつ、「好きな馬はいますか?」についてTwitterで祈るように書きたい。お楽しみに。

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阪神大賞典を当てるために知っておくべきこと

Hansindaisyouten

■1■瞬発力勝負になりやすい
過去7年間、勝ち馬の上がり3ハロン時計は以下のとおり。

平成16年 リンカーン       34秒5
平成17年 マイソールサウンド 34秒8 
平成18年 ディープインパクト  36秒8
平成19年 アイポッパー      34秒3
平成20年 アドマイヤジュピタ  34秒7
平成21年 アサクサキングス  40秒6
平成22年 トウカイトリック    36秒0

上がりが遅いレースと速いレースの差が激しい。ディープインパクトが勝った年は、馬場が重く、異常なほど強い風が吹いていた。また、昨年はそのディープインパクトの2着したトウカイトリックが4年越しで勝利したように、上がりが掛かる競馬であった。一昨年は不良馬場であったため時計が掛かった。しかし、それ以外はどの年も34秒台となっていて、基本は瞬発力勝負になりやすい舞台と考えてよい。3000mを走って34秒台で上がってくるのだから、道中がいかに遅いペースで流れ、ラスト3ハロンの瞬発力勝負になっているかが分かる。これが阪神大賞典と天皇賞春の結びつきが強い理由のひとつでもある。長距離戦だからといって、決してスタミナ豊富な馬が有利なのではなく、まずは瞬発力が求められることを知っておきたい。

■2■内枠で先行出来る馬が有利
スローペースの瞬発力勝負になりやすい以上、当然のことながら、内枠を引いて内々の経済コースを進んだ馬が有利となる。ただし、長距離戦では各馬もコースロスを意識して外々を回らないように運んでくるため、たとえスローペースであっても、馬群は縦長になることが多い。そのため、内外という枠順でそれほど大きな差は生じない。内枠から発走して、前にポジショニングできて、ラスト3ハロンの瞬発力勝負に強ければ、勝ち負け必至のレースである。

■3■1、2番人気馬が圧倒的に強い
過去12年間の人気ごとの成績は以下のとおり。

1番人気【6・3・2・1】 連対率76%
2番人気【3・4・1・4】 連対率58%
3番人気【0・0・4・8】 連対率 0%

1番人気馬の連対率が7割、2番人気馬の連対率が約6割と、圧倒的な安定感を誇っていることが分かる。これは人気馬が強いということではなく、長距離戦では各馬の実力や仕上がり具合が如実に現れてしまうということである。たとえ展開やレースの綾があったとしても、力のない馬や仕上がりの良くない馬が好走してしまう確率は極めて低い。実力と仕上がり状態をそのまま信頼してよいレースである。

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こんな夜だからこそTwitterを始めたい。

震災発生から1日が経ち、私にできることは何かと考えたとき、2001年9月11日に起こった同時多発テロ後のある方の言葉が浮かんできた。「テロに屈しないために、私たちにできることは、一刻も早く日常の生活に戻ること」、そんな提案であった。直接の被害に遭われている方々の救助や治療、避難されている方々の保護が最優先であることは間違いないが、誰もが携われるということではない。そうではない普通の私たちにできることは、日常の生活をできるだけこれまでと同じように営むということだ。

今回は天災なので屈する屈しないの問題ではないが、考え方は同じではないだろうか。もちろんそれは震災のことを忘れるということではない。むしろ家族、親、友人、親戚、恋人、そして被災地で闘っているまだ見ぬ人たちのことを想いながら、普通に生活するということである。もし何か支援ができることがあれば、できる限りする。そうする中でこそ、自分にとって本当に大切なものに気づくことができるのでないか。自分が生かされていることを知るのではないか。昨日とは違う自分を今日生きられるのではないだろうか。

そういう意味では、競馬はなるべく早く開催してほしい。関係者の混乱もあるし、不謹慎と言われるかもしれないが、できるだけこれまでと同じように競馬を行うべきであろう。アメリカのテロ後、メジャーリーグは1週間の空白のみを置いて戻ってきた。アメリカの象徴であり、大勢の人々が集まるのでテロの格好の標的になるにもかかわらずである。1番厳しい時代だからこそ、メジャーリーグは何よりも先に再開されなければならない。どんな環境にあっても、ベースボールがあるからこそ私たちは生きていけるという矜持を持って再開されたのである。さすがにアメリカのメジャーリーグとまではいかないかもしれないが、競馬にもそういう力があると私は信じたい。

私もこんな夜だからこそTwitterを始めたい。実を言うと、当日、栗東に出張していた私が震災のことを初めて知ったのはTwitterによってであった。今さらと思われるかもしれないが、小さい頃から始めるのは誰よりも遅く、一旦始めるとしつこくやるという性格だったので、Twitterもこのブログと同じようにずっと続けていきたい。そして、せっかくやるのだから、なるべく読んでいただく方にとって価値のある内容を書きたいと思う。とまあいろいろ考えたが、あまり肩肘を張らず、明日(日曜日)の夜から、「競馬をもっと好きになる7つの道」というテーマでゆっくりとつぶやいてみることにする。

■ユーザー名は「glassracetrack」です。
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がんばれ日本!

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おすすめの競馬映画

今となっては滅多に映画館に足を運ばなくなってしまったが、学生時代には劇場公開されている映画はほとんど全て観ていたほど映画が好きだった(それだけ暇だったということでもある)。「アンタッチャブル」、「フィールドオブドリームス」、「ショーシャンクの空に」、「レナードの朝」、「ファイトクラブ」など、大好きな映画を挙げると、かなり昔のものばかりになってしまう。

もちろん、大好きな競馬の映画「のるかそるか」もかなり古い映画である(1989年製作)。タクシー運転手である主人公が50ドルを元手として単勝を転がして、遂には6万9000ドルに膨れ上がり、最終レースで大勝負に挑むという競馬ファンの夢の1日を描いたコメディである。最後のレースで、競馬ファンが自分の行いを神に懺悔しながら、祈るように応援するシーンが印象的。競馬ファンなら絶対に大満足するおすすめの1本である。

ところで、つい先週、「雪に願うこと」という競馬映画の最高傑作に出会ってしまった。原作である「輓馬(ばんば)」(鳴海章・著)を映画化したもので、競馬とはいってもばんえい競馬が舞台である。映画は原作には勝てないと考えている私の予想を見事に裏切ってくれた。さすがに東京国際映画祭で4冠を獲得しただけのことはある。佐藤浩市、小泉今日子、吹石一恵、香川照之、津川雅彦、伊勢谷友介など、力量ある役者陣による抑えた演技がグッとくるだけではなく、何といっても、北海道を舞台とした映像と伊藤ゴローがギターで奏でる旋律が美しい。月並みな言い方だが、競馬ファンなら必見の映画であろう。週末に時間のある方は、ぜひTSUTAYAでDVDを借りて観てみてほしい。

もうひとつ、これから観てみたい映画について。先日、ハイランド真理子さんから聞いて、「Secretariat-trailer」というディズニー映画がどうしても観たくなってしまった。アメリカの名馬でありヒーローであったセクレタリアトと、その周りの人間たちを描いた映画である。確か日本の劇場で予告編として観たことがあるのだが、その後、公開されるという情報は入ってこない。テレビ局が作成したような映画が主流になっている日本映画界にとって、たとえディズニーであっても、ターゲットを限定してしまいそうな競馬映画の配給は難しいのだろうか。アメリカでの公開直後の興行収入は、現在日本で公開中の「ソーシャルネットワーク」が1位だったのに対し、この「Secretariat-trailer」は3位だったというから悪くない。良質な競馬の映画を観たいと切に願う。


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「ガラスの競馬場」:輓馬(ばんば)

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中山牝馬Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Nakayamahinnbas

■1■京都牝馬Sで負けていた馬
過去10年の連対馬を見渡すと、20頭中、なんと半分の8頭は京都牝馬S組である。牝馬限定の重賞同士だけに、結びつきがあって当然であるが、着順がリンクしているとは言い難い結果となっている。京都牝馬S→中山牝馬Sという連勝は一度もなく、京都牝馬Sで惨敗していた馬の中山牝馬Sでの巻き返しが多いことが特徴である。

考えうる理由は2つ。ひとつは、古馬牝馬が重賞を連続で勝つということが、体調維持の面で難しいということ。もうひとつは、京都1600m(外回り)で行われる京都牝馬Sと、中山1800mで行われる中山牝馬Sでは、勝ち馬に求められる資質が全く違ってくるからである。京都牝馬Sが一瞬の切れ味が問われるヨーイドンの競馬になるのに対し、中山牝馬Sはスピードの持続力が要求されるレースになりやすいのである。

つまり、京都牝馬Sを切れ味不足で負けていたような、スピードの持続力を武器とする、地脚の強い馬を中山牝馬Sでは狙うべきということだ。

■2■基本的には内枠の先行馬有利
中山1800mコースは、スタンド前の上り坂の途中からスタートする。スタートから第1コーナーまでの距離は205mしかなく、上りスタートのため、テンが極端に速くなることはない。よって、スロー~ミドルに流れるのが必然といえる。ただし、過去6年のラップ(以下)を見ると、意外とそうでもなく、オースミコスモとニシノブルームーンが勝った年はハイペースで流れている。

12.2-11.2-11.8-11.6-11.5-12.2-12.0-11.5-12.1(46.8-47.8)H
12.7-12.3-12.7-12.5-12.1-12.2-11.8-11.5-11.9(50.2-47.4)S
12.4-11.4-12.1-12.0-12.2-12.5-11.8-11.8-11.6(47.9-47.7)M
12.7-11.7-12.6-12.0-11.8-12.2-12.2-12.2-12.8(49.0-49.4)M
12.2-11.6-12.4-12.3-12.3-11.8-11.8-11.5-12.5(48.5-47.6)M
12.4-11.4-12.1-12.2-12.4-12.5-12.1-11.5-12.5(48.1-48.6)M
12.3-11.2-11.5-11.7-11.9-12.3-12.5-11.8-12.4(46.7-49.0)H

これはコースの形態上、どうしてもスロー~ミドルに流れやすいレースを各ジョッキーが意識するあまり、いつの間にかテンが速くなり、逃げ・先行馬が厳しいペースに巻き込まれてしまうからである。その競り合いに巻き込まれず、自分のペースで走ることが出来た馬の差しが決まることもある。各馬の出方次第でペースが極端に変わってしまう難しいレースではあるが、基本的には先行馬に有利なコースであることは間違いがない。

また、第1コーナーまでの距離が短いため、内枠を引いた馬がかなり有利になることも覚えておきたい。外枠からの発走であれば、ペースが速くなったケースにのみ、差し馬にとってはレースがしやすい。ただ、基本的には内枠の馬に有利なコースである。

■3■勝ち馬は2着馬よりもハンデが重い
過去10年の勝ち馬のハンデの平均は55kg、2着馬のハンデの平均は54kgと勝ち馬のハンデの方が2着馬よりも重い。実際に、勝ち馬のハンデより2着馬のハンデが重かったのは僅か3年のみ。イメージとしては、勝ち馬は実力のある重ハンデ馬で、2着には比較的軽量のハンデ馬が突っ込んでくるというところか。

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Against All Odds.

幸英明騎手がJRAに対して不服申し立てを行った。2月27日、阪神6Rでゴールデンアタックに騎乗して6着に入線したが、直線で内に斜行してスマートオーシャンの走行を妨害したとして12着に降着となった件について。幸英明騎手としては、「左前の馬(サミットストーン)が内に寄ってきて、挟まれる形になった。自分が被害馬だと思った」とのこと。この申し立てを受け、JRAは裁定委員会を開いたが、不服申し立てには理由がないとして申し立てを棄却した。あの温厚かつ冷静な幸英明騎手によるものだけに、現場やメディアは大きく動揺した。

ここからはあくまでも私見だが、今回の件にだけ関して言えば、問題は幸英明騎手の側にあると思う。パトロールフィルムを観ると分かるように、幸英明騎手が2頭の間にあるスペースに突っ込む前から、左前のサミットストーンに騎乗している池添謙一騎手は左ムチを振るっており、サミットストーンが左に寄れてくる可能性は十分にあった。それを考慮に入れると、あのスペースに入るのは危険であり、一か八かの賭けになる。それを知っていて(かどうか分からないが)、前が詰まった以上、幸英明騎手による判断ミスと言えるだろう。

2頭の間にあったスペースが十分であったかそうでなかったか、という点だけを論じても、水掛け論になることは否めない。あの状況において、他の馬の動きや手応えを考慮に入れると、やはり十分ではなかったということになる。十分でなかったからこそ、前が詰まったのである。ここまでは明白である。だだし、判断が難しいのは、降着にまですべきかどうかという点である。リスクを取ってあのスペースに突っ込んで、前が詰まって6着に敗れたのだから、もうそれで十分だろう。内のスマートオーシャンもすでに手応えを失っていた。追い討ちをかけるように降着、そして4日間の騎乗停止は重すぎるのではないだろうか。あまりに単純な公正さや正義ばかりを追求すると、どの騎手もあのスペースを突かなくなり、スポーツ性が失われてしまう。

さらに、それよりも怖いのはJRAの密室性であろう。今回は裁定の透明性を高めるために、初めて外部委員3名(そのうちの1人は岡部幸雄元騎手)が出席しての裁定委員会であった。にもかかわらず、審理の過程が全く分からない、1枚の裁定書が手渡されたのみだという。これでは誰が納得するというのだろう。せめて顔の見える人間が表に出て、裁定の過程を具体的に説明する責任があるのではないか。万が一、ミスジャッジがあったのであれば、素直に謝罪して改めればよい。信頼できないのは、誤った判断をしてしまったことではなく、それが分かった(発覚した)にもかかわらず認めない人間や組織である。時が経っても私たちは忘れない。

幸英明騎手を筆頭とするジョッキーたちだけではなく、私たちもまた、日々の仕事や生活に忙殺されながら、あの5センチ、10センチの部分で命をかけている。このままだと競馬がなくなってしまう、と本気で心配しているからこそ言いたい。日本の競馬が好きだから、日本の競馬は世界のどこと比べても素晴らしいのだから、もっとオープンになってほしい。もっと私たちを信頼してほしい。競馬をスポーツや文化として愛するために、たとえどれだけ逆風が吹こうとも、これからも私たちはあのスペースを突いて生きてゆく。その思いはずっと変わらない。

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フィリーズレビューを当てるために知っておくべき3つのこと

Filiesreview

■1■本番・桜花賞との結びつきが弱い
過去10年間で、フィリーズレビューを使って本番・桜花賞を制したのはラインクラフトとレジネッタのみ。1週間前に行われたチューリップ賞からは7頭の桜花賞馬(ファレノプシス、チアズグレイス、テイエムオーシャン、スティルインラブ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、アパパネ)が出ており、その差は歴然としている。

その理由はひとつ。チューリップ賞とフィリーズレビューを天秤にかけた場合、本番へのつながりを意識すれば前者をステップにする方が望ましいのは明らかで、にもかかわらずフィリーズレビューを選択するのは、陣営が距離(もしくは折り合い)に不安を抱えているからである。僅かでも距離に不安を感じている馬が、さらに厳しい流れになるG1レースのマイル戦を勝つのは難しい。

■2■最後にもうひと伸びできるパワー
スプリント色の濃いメンバーが集まるからこそ、かえってレースの流れは厳しくなることが多い。過去6年間のラップタイムを見てみると(下参照)、スローに流れてしまいがちなチューリップ賞よりも、ミドルからハイペースに流れやすいレースの傾向が浮かび上がってくる。そのため、結局、スピード一辺倒のスプリンターでは勝ち切れず、ハイペースを好位で追走して最後にもうひと伸びできるパワーも要求される。

フィリーズレビュー過去7年ラップタイム
12.1-11.1-11.4-11.6-11.7-12.0-12.8(34.6-36.5)H
12.2-10.7-11.3-11.9-12.0-11.6-11.6(34.2-35.2)H
12.1-11.0-11.3-11.7-11.5-11.3-12.3(34.4-35.1)M
12.6-10.9-11.3-11.7-11.8-12.2-12.6(34.8-36.6)H
12.5-10.9-11.4-11.7-11.4-11.7-12.2(34.8-35.3)M
12.1-11.0-11.7-11.9-11.6-11.8-12.4(34.8-35.8)H
12.3-10.5-11.5-12.0-12.2-12.0-11.9(34.3-36.1)H
12.2-11.0-11.8-12.1-11.8-12.0-11.9(35.0-35.7)M

■3■阪神1400m
スタート後、3コーナー過ぎまでの距離はおよそ440mと十分にあり、テンはそれなりに速くなる。そして、3~4コーナーが複合カーブであるため、スピードが落ちない。そのため、緩急のない全体的に速いペースで道中は流れる。しかし、3コーナーからゴール前に至るまで下りが続くため、そのまま流れ込むことの出来る先行馬が有利。

とはいえ、3~4コーナーの間に偽直線を挟んでいるため、差し馬もペースに応じて先行集団との差を詰めることが出来る。先行馬が有利なコースではあるが、決して差し馬に不利なコースではない。むしろ道中のペースが速くなりすぎると、直線の急坂で先行馬が総崩れということも十分にあり得るので注意。

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仕上がりは極めて良好なオールアズワン:5つ☆

ウインバリアシオン →馬体を見る
前走を叩かれて、毛艶や筋肉のメリハリは大幅にアップしてきた。
ただ、血統的なものか、線の細さは相変わらずで、パワーが物足りない。
Pad4star

オールアズワン →馬体を見る
休み明けにもかかわらず、筋肉量やメリハリから毛艶に至るまで、仕上がりは極めて良好。
馬体に伸びがないので、距離伸びて不安はあるも、2000mまでなら十分こなせる。
Pad5star

サダムパテック →馬体を見る
細さが目だっていた2歳時に比べ、筋肉量が増し、力強い馬体に変わってきた。
もうひと絞りできそうだが、成長分も大きく、中山の今の馬場には合っている。
Pad4star

ショウナンマイティ →馬体を見る
馬体のバランスは良いが、表情や筋肉の付き方に幼さを残している。
将来性は認めても、現時点での完成度という点では他のメンバーにやや劣る。
Pad3star

ターゲットマシーン →馬体を見る
馬体が薄く、距離が伸びて良さそうなタイプだけに、連勝は素質の証明だろう。
この馬も線の細さが残っていて、完成度という点では他のメンバーに劣る。
Pad3star

デボネア →馬体を見る
アグネスタキオン産駒らしからぬ、コロンとして垢抜けない馬体。
表情からは利発そうで、力を出し切れる状態にはある。
Pad3star


Yayoi2011wt

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もうひとつの時間

Takaraboy

子供を連れて、いつかアラスカに行ってみたいと思っている。氷河の上で共に夜を過ごしながら、降るような星を見上げ、星空に浮かぶオーロラを見る。感受性の強い子供の頃にそんな風景を見たなら、どれだけ強い記憶として心に残ってゆくだろう。私の大好きな冒険家であり写真家でもある星野道夫さんは、次のように語った。

子供の頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。
いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、
人の言葉ではなく、
いつか見た風景に励まされたり勇気を与えられたりすることが
きっとあるような気がする。
(「旅をする木」 星野道夫)

先日、写真家の太田宏昭さんに喫茶店でお会いして、ばんえい競馬の写真集を見せていただいた時、ふと星野道夫さんの写真を見ているときのような感覚に浸ってしまった。「未開拓の地」、「大自然の寒さと厳しさ」、「極北」、「雪」、「動物」など、さまざまなキーワードが一致するので、自然なつながりと言ってしまえばそうなのだが、私が最も強く感じたのは、「もうひとつの時間」である。

私たちが東京で日常の慌しい生活の中で暮らしている同じ時間に、アラスカではカリブーやシロクマが呼吸をして、ザトウクジラが海から飛び跳ねている。私たちが毎日を生きているその瞬間、北海道の帯広では体重800~1200kgのばん馬が最高1トンの重量物を載せたソリを挽いている。確実に、ゆったりと流れる「もうひとつの時間」が存在するのである。

私たちは、星野道夫さんや太田宏昭さんが撮った風景を見ることで、「もうひとつの時間」を心の片隅に意識することができる。私たちが生きてゆく中で、そのことを意識をすることができるかどうか、それは天と地の差ほど大きい。そう考えたら、いつの間にか、北海道やばんえい競馬に対しても、アラスカという土地に対するのに似た憧れを抱くようになってしまった。ふと、ばんえい競馬に行ってみたくなった。これから様々な人生の岐路に立った時、励ましたり、勇気を与えてくれたりする風景にきっと出会えるような気がする。

Photo by Hiroaki Ota

■太田宏昭公式サイトはこちら
Chevalblanc
右上のgalleryから入って、もうひとつの時間を体感してみてください。
思わずうっとりしてしまうほど、素敵な写真ばかりですよ。

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チューリップ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tulip

■1■前に行ける馬
新装の阪神競馬場の1600mコースで行われるようになって以来、3年連続で逃げ馬が連対した。前哨戦ということもあって、無理をしてペースを上げて厳しいレースにする必要はなく、道中は折り合いに専念する馬が多いため、スローペースになりやすい。また、本番前に脚を測るという意味合いで、有力馬が敢えて後ろから行き、追い出しをギリギリまで我慢させることもある。そのため、前に行ける馬、特に単騎で逃げた馬は、マークされることなく楽に逃がしてもらえることになる。

■2■瞬発力勝負に
過去4年のレースラップとペースは以下の通り。

12.4-10.9-12.1-12.2-12.2-11.1-11.0-11.8(47.6-46.1) Sペース ウオッカ
12.6-11.2-12.3-12.6-12.6-12.0-10.7-11.8(48.7-47.1) Sペース エアパスカル
12.5-11.1-12.4-12.6-12.7-12.2-11.1-11.9(48.6-47.9) Mペース ブエナビスタ
12.7-11.0-12.3-12.3-12.5-11.9-11.3-12.1(48.3-47.8) Mペース ショウリュウムーン

ここ2年はMペースではあるが、後半の方が早い後傾ラップとなっている。道中がスローに流れる以上、最後の直線に向いてヨーイドンのレースになる。阪神競馬場の外回りコースは直線が473mと長いため、ここでどれだけ切れる脚を使えるかが勝負になる。瞬発力に欠ける馬にとっては、苦しい舞台となる。

■3■意外にも外枠が有利
これは阪神ジュベナイルF、チューリップ賞、そして本番の桜花賞にも通ずることだが、意外にも外枠を引いて、外々を進んだ馬にとってレースがしやすい。理由としては、新装の阪神1600mコースは内と外の差がほとんどなく、だとすれば、キャリアの浅い若駒(特に牝馬)にとっては、馬群に揉まれず、自分のフットワークやペースで伸び伸びと走ることができる外の方が力を発揮しやすいからである。外々を通って、良い脚を長く(3ハロン)使える馬を狙いたい。


おまけ♪
ケイティーズジェム →馬体を見る
まだ幼さを残していて、体の線も細く、完成度は高いとはいえない。
良血馬ゆえの素質と負けん気の強さで走っているのが現状。
Pad2star

ライステラス →馬体を見る
前後駆にしっかりと筋肉がついて、いかにも短距離馬らしい体型。
母父スピードワールドという渋い血統だが、マイルの距離はベストだろう。
Pad3star

レーヴディソール →馬体を見る
休養明けになり、前走時よりもふっくらとした筋肉が付いてパワーアップした。
落ち着いた表情も良く、馬体全体のバランスやバネは申し分ない。
Pad5star

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「競馬の血統学2」―母のちから―

Keibakettougakuhaha 3star

我が家の4歳になる息子が、幼稚園の門から教室まで、ようやくひとりで歩いて行けるようになったそうだ。門のところで別れを告げると、そこからは1度も振り返ることなく歩いてゆく。たくましくなったと思いきや、その理由を尋ねると、「振り返ると悲しくなっちゃうから」。まるで今生の別れのようだが、1日の大半を母親と過ごしているのだから、当然といえば当然か。この神話的な時間―母と子の関係において最も幸せな時間―を通して、人の未来が形成されてゆくのだろう。

何が言いたいかというと、子を育てるのは母のちからが大きいということ。圧倒的な時間を母親と過ごすことによって、絶対的な愛情や献身を知る。将来、あとひと踏ん張りが必要なとき、そのことはある風景として蘇ってきて、後押しをしてくれるに違いない。悲観しているわけでも楽観しているわけでもないが、そこに父の影響は少ないのだろう。サラブレッドも同じなのではないか。アドマイヤグルーヴ、フォゲッタブル、ポルトフィーノ、ルーラーシップ、グルヴェイグ、父は違えどもよく走るエアグルーヴの仔たちの活躍を見ると、血統における母系の重要性はますます確信に変わる。

前置きが長くなったが、吉沢譲治氏による「競馬の血統学2」―母のちから―は、父系を中心に論じられた前作と違い、母系だけに焦点を絞って書かれている。血統の大家であるルドルフおやじさんは、「父系はスポーツ、母系は文化」と語っていたが、そういう観点からいうと、この「競馬の血統学2」―母のちから―は、競馬の文化について書かれた血統書であるということになる。この本全体について語ることは、競馬の文化すべてについて語ることに等しく難しいので、9章ある中の1章「母の記号 ファミリーナンバー」について、今回は紹介してみたい。

ファミリーナンバーは、ブルース・ロウというオーストラリア人によって提唱された。それまではサラブレッドの父系ばかりが着目されていたが、ブルース・ロウは「ジェネラル・スタッド・ブック」を過去にたどってめくりながら、根幹牝馬ごとに分類整理し、そこから広がった母系をファミリーと名づけた。そして、3大クラシックを勝った馬の数が多い順に、1~43番までの番号をつけていった。大海に漂う母系を43種類の数字で表してしまったのだから、その当時の人々が受けた衝撃は大きかった。

さらに研究を進めたブルース・ロウは、1号族から5号族までに3大クラシックの優勝馬が目立ったことに気づいた。そこでこれらのファミリーを「競走族」(ランニングファミリー)とした。また、有終な種牡馬を出している3号族、8号族、11号族、12号族、14号族を「種牡馬族」(サイヤーファミリー)とし、それ以外を「局外族」(アウトサイドファミリー)とした。これがブルース・ロウの「フィガーシステム」である。

ちなみに、エアグルーヴを起点として、母、祖母、曾祖母、4代母と辿ると、ダイナカール→シャダイフェザー→パロクサイド→Feather Ball→Sweet Cygnet→Sweet Swan→Swieteniaとなり、最後はBustler Mareという根幹牝馬に行き着く。ファミリーナンバー8番であり、日本では8号族と呼ばれる「種牡馬族」である。同じ種牡馬族には、あのサンデーサイレンス(3号族)、スペシャルウィーク(3号族)、サクラユタカオー(11号族)、グラスワンダー(12号族)、ノーザンテースト(14号族)らがいる。種牡馬族であるエアグルーヴが、まるで種牡馬のように大物を量産しているのを見ると、ブルース・ロウのフィガーシステムの深遠さを感じざるを得ない。そんな風にして、母の存在を楽しめると、競馬はさらに楽しく、奥深く、文化の香りが漂ってくるのである。

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