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バランスが良くなってきたトゥザグローリー:5つ☆

エイシンフラッシュ →馬体を見る
前走をひと叩きされて、全体のラインから筋肉のメリハリまで、ほぼ完璧な仕上がり。
あとはダービーを勝ったことによる精神面の反動が、完全に癒えているかどうか。
Pad4star

オウケンブルースリ →馬体を見る
あまり良く見せない馬だが、今回は馬体もスッキリと見せている。
トモに力も漲っているし、毛艶も良く、展開次第では一発あるかも。
Pad3star

コスモメドウ →馬体を見る
バリバリの長距離血統にもかかわらず、胴部が短く映るようにコロンとした馬体。
毛艶は良く、体調は万全だが、このメンバーに入ると完成度という点で物足りない。
Pad3star

トゥザグローリー →馬体を見る
3歳時はゴツい印象しかなかった馬だが、ここに来て馬体のバランスが良くなってきた。
余計な筋肉が削げて、馬体を長く見せているにもかかわらず、パワーに溢れている。
Pad5star

ナムラクレセント →馬体を見る
馬体だけを見ると、良くも悪くもない平均的なそれで、強調材料は少ない。
全体のバランスは悪くないので、ここに向けて極めて順調に調整が進んできている。
Pad3star

ヒルノダムール →馬体を見る
前走後、少しゆっくりさせたのか、やや余裕残しで、もうひと絞りできる馬体。
ただ、毛艶は素晴らしく、前走に比べて自信を取り戻した表情も良い。
Pad4star

ビートブラック →馬体を見る
むっちりと筋肉がついていて、とてもステイヤーの馬体とは思えない。
パワーに溢れていて、毛艶も素晴らしく、この馬自身の仕上がりは万全である。
Pad3star

ペルーサ →馬体を見る
前走に比べて、良くなった感はなく、どちらかというと筋肉が硬く映る。
コロンとした馬体からは、スタミナには一抹の不安があり、距離が伸びて良いとは思えない。
Pad3star

マイネルキッツ →馬体を見る
前走の方が立派な馬体に映ったが、今回もこの馬なりにキッチリと仕上がった。
このレースに最も実績と適性のある馬だけに、たとえ8歳馬でも侮れない。
Pad3star

メイショウベルーガ →馬体を見る
芦毛なので良く見せるタイプではないが、ふっくらと映って、体調は良さそう。
母父にサドラーズウェルズが入っているように、牝馬ながらに距離が伸びて良さが出る。
Pad3star

ローズキングダム →馬体を見る
今年に入って2戦を使い込まれつつ、体調が少しずつ上向いてきている。
毛艶も良好で、筋肉のメリハリもあり、この馬なりに順調に仕上がっている。
Pad3star


Tennosyoharu2011wt1

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スタミナは母の父から(今年はどうなる)

Sundaysilence

スタミナは母の父から伝わることに気付いたのは、私に起こったある2つの非連続的な出来事による。ひとつは、一昨年の天皇賞春において、母父にサンデーサイレンスの血を持つ有力馬たちが、淀の最後の直線でバタバタと倒れていったこと。勝った馬は父チーフベアハート×母父サッカーボーイという血統構成のマイネルキッツであった。私は2年連続でアサクサキングスに本命を打っていただけに、あまりの無様な負け方に少なからずショックを受けた。そして、サラブレッドの血による支配を感じざるを得なかった。

2009年天皇賞春、人気に推された有力馬たちの血統を挙げると、以下のようになる。

アサクサキングス(1番人気)父ホワイトマズル 母父サンデーサイレンス
スクリーンヒーロー(2番人気) 父グラスワンダー 母父サンデーサイレンス
ジャガーメイル(6番人気) 父ジャングルポケット 母父サンデーサイレンス
ヒカルカザブエ(7番人気) 父ジャングルポケット 母父サンデーサイレンス

いずれの馬も馬体だけを見ると、胴部や手脚に伸びがあり、長距離レースを走られそうなスタミナを有しているように思える。前哨戦の走りを見てもそれは明らかで、だからこそ本番の天皇賞春でも人気になったともいえる。アサクサキングスとヒカルカザブエは阪神大賞典(3000m)の1、2着馬である。さらに、アサクサキングスの父ホワイトマズルは、天皇賞春を制したイングランディーレを出している。スクリーンヒーローの父グラスワンダー自身は2500mの有馬記念を、ジャガーメイルとヒカルカザブエの父ジャングルポケットは、2400mのダービーとジャパンカップを勝っている。前哨戦から距離がわずか200m伸びただけで、またレースの格が上がり、中身の濃い厳しい競馬になったとしても、この4頭があそこまで大崩れしてしまうとは到底考えられなかったのだ。

もうひとつは、ある飲み会の席でのちょっとした会話である。髪の毛の話になり、席上のひとりが自分の頭を指差してこう言った。「俺のオヤジは禿げてるんだけど、母親のおやじがフサフサでさ、おかげで助かったよ、ほらこの通り」。それを聞いたもうひとりが、「そっか、だから僕は髪の毛が薄いんだ…。オヤジはフサフサなのになぁ」と返した。そんなやり取りを見て、私はドキッとして、ひと言も発することが出来なかった。最近薄くなってきた自分の頭や母の父を想い、「なるほどね」と我が意を得たのである。サラブレッドのスタミナの有無が主に母の父から受け継がれるように、信じたくはないが、人間における髪の毛の薄さも母の父から遺伝するようだ。

日本競馬を席巻し、なお今も産駒の直仔を通して圧倒的な影響を及ぼし続けるサンデーサイレンスだが、唯一の弱点は母父に入った時のスタミナのなさという点だろう。サンデーサイレンスは基本的にはスピードと瞬発力を伝える種牡馬である。その裏返しとして、母父に入った時には、ジリジリと走らなければならない、スタミナを問われるレースを苦手とする。父としてはダンスインザダークやディープインパクトなど、菊花賞や天皇賞春を制した産駒をたくさん出したが、それは母父にスタミナを十分に有する種牡馬がかかっていたからである。ちなみに、ダンスインザダークの母父はニジンスキー、ディープインパクトの母父はアルザオである。

たとえ現代のスピード化された競馬であっても、3000mを超すレースではスタミナが問われる。スタミナが母の父から受け継がれる以上、長距離レースを予想するにおいてまず見るべきは母の父だろう。このエントリーを書いた昨年は、母父サンデーサイレンスのジャガーメイルの勝利に終わり、見事に裏切られた結果になったが、あの一戦だけで持論を曲げるほど私は素直ではない。昨年はレースの上がりが34秒2と、稀に見るスローペースの天皇賞春であり、長距離戦ほどのスタミナが必要なかったと考えている。今年も同じようなスローにならないという保証はないが、母の父にサンデーサイレンスをもつトゥザグローリーやローズキングダムはどのような走りを見せてくれるだろうか。

特に、圧倒的な1番人気になるであろうトゥザグローリーの母はドバイワールドカップで2着に粘った快速トゥザヴィクトリー、父はNHKマイルCと日本ダービーを驚異的なレコードタイムで制したキングカメハメハ。スピードの勝った配合であることは一目瞭然である。昨年の有馬記念でヴィクトワールピサとブエナビスタと接戦を演じ、今年に入ってからは京都記念→日経賞と圧勝続きのトゥザグローリーだが、血統的には長距離レースへの適性があるとは言いがたい。同じくローズキングダムも菊花賞では2着と伸びあぐねた。私の持論が勝つのか、それともトゥザグローリーやローズキングダムが距離を克服して栄光を勝ち取るのか。今年はどうなる。


Photo by Ichiro Usuda

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京都3200m

Kyoto3200t

天皇賞春の専用コース。スタートしてから第1コーナーまでの距離は417mと長く、しかも緩やかな上りになっているため、無謀な先行争いはほとんどない。1週目は、ゆっくりと3コーナーを頂上とする坂を上って下りる。そして、スタンド前では馬を落ち着かせて、折り合いをつけることに専念する。もしスタンド前直線のペースが速くなった場合は、向こう正面が遅くなり、スタンド前直線のペースが遅くなった場合は、向こう正面が速くなる。ペース配分が重要になってくるため、騎手の腕の差が如実に表れるコースである。

菊花賞が行われる京都3000mとは距離的には200mしか違わないが、菊花賞がAコース(幅員35m)で行われるのに対し、天皇賞春はDコース(幅員25m)で行われる。そのため、天皇賞春が行われるDコースの方が4コーナーの回りがきつくなり、差し馬は外を回さざるを得ない。よって、菊花賞に比べ、天皇賞春は逃げ・先行馬がペース次第では逃げ残ってしまい、人気の差し馬が届かない可能性が高い。

道中のどこかで一旦息を入れることになるため、坂を下りながらのラストの800mのラップは速く、上がりの競馬になりやすい。それでも実質的には3200mを走るのであって、やはりスタミナがないと勝ち切ることはできない。瞬発力とスタミナの両方を兼ね備えていないと苦しい、紛れの少ない、実力が反映されやすいコースである。

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天皇賞春を当てるために知っておくべき3つのこと

Haruten

■1■真の名馬と真の騎手が一体となって
真の王者を目指し、古馬が集結する春の天皇賞。数々の名勝負が演じられ、過去の勝ち馬には歴戦の名馬が名を連ねる。淀の3200mという舞台で勝利するためには、真の実力を持っていなければならない。「スタミナ」はもちろんのこと、高速馬場に対応できる「スピード」、「瞬発力」、そして、「スローペースに折り合える精神力」を備えていることが求められる。このうちのどれか1つでも欠いては、天皇賞春のタイトルを手にすることはできない。 また、長距離戦であるため、騎手の腕も問われる。道中の駆け引き、ペース判断、仕掛けのタイミングまで、騎手がコントロールしなければならない(することができる)要素が多く、騎手の腕の差がレースの明暗を分けてしまうこともある。過去の勝利騎手を見てもらえれば分かるように、いずれも名手と呼ばれるのにふさわしい騎手たちである。

つまり、天皇賞春は「真の名馬と真の騎手が一体となって」、初めて勝利することができるレースである。

■2■ステイヤーはピークが長い
ステップレースである阪神大賞典での1着馬と2着馬の、天皇賞春での成績を比較してみると明確な傾向が見て取れる。
阪神大賞典1着馬の天皇賞春での成績【6・0・3・5】
阪神大賞典2着馬の天皇賞春での成績【0・3・1・8】
以下の2点が導き出せるだろう。 1)阪神大賞典での勝ち馬は、本番である天皇賞春の勝ち馬と結びつきが非常に強い 2)阪神大賞典の2着馬が、本番で逆転する(巻き返す)ことは難しい なぜこのような現象が起こるかというと、「ステイヤーのピークは長い」からである。

ステイヤーはピークの期間が比較的長いため、阪神大賞典での体調を天皇賞春でも維持することができるのである。阪神大賞典を勝った実力馬のピークが続いている以上、力負けしてしまった馬にとって逆転することは難しく、他の路線から余程の有力馬が出て来ない限り、阪神大賞典を勝った馬は本番の天皇賞春をも制する可能性が高いということになる。

■3■極限の仕上がりが求められる
天皇賞春は3200mという距離ゆえに最も苛酷なレースであり、勝つためには極限の仕上がりが求められる。ギリギリまで絞り込むぐらいの調教を施されたピークの状態において、自身の能力を100%発揮することができなければ勝つことはできない。直前の追い切りをさらっと済ませてしまっているような馬では、3200mの長丁場を乗り切ることができるのかどうか不安が残る。もちろん、休み明けの馬にとっても厳しいレースとなるだろう。

■参考として
1、前2走のいずれかで2500m以上のレースを走っていないと×
2、マイネルキッツ、ジャガーメイルを除くと、過去10年間で全ての勝ち馬は4、5歳馬
3、前走成績は5着以内が望ましい

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強えぇぇ


皐月賞2011-観戦記-
前日の雨が残っていたため、馬場はやや緩く、若干のパワーを要求される状態であった。エイシンオスマンが先頭に立ち、前後半60秒3という、まさに平均ペースでレースを引っ張った。後ろを離しているように見えても、決してペースが速かったわけではなく、馬群はひと固まりとなり、レースは最後の直線に向いてからの瞬発力勝負になった。

勝ったオルフェーヴルは次元の違う脚で突き抜けた。終わってみれば、この馬の力が一枚抜けていたということになる。スプリングSの時もそうだったが、今回もゴール後すぐに耳を立てて、余裕綽綽であった。馬体だけを見ると、まだ幼さを残し、頼りないのだが、いざ走りだすと豹変する。きさらぎ賞やスプリングSで見せた、第4コーナーで他馬を飲み込むような加速は、あのディープインパクトやブエナビスタが見せたそれに近い。池添謙一騎手が折り合いを教えてきたことで、前半で脚を溜めて、コンスタントにラスト600mでスピードを爆発させられるようになった。

全兄ドリームジャーニーと比較されてしまうのは仕方ないが、2頭は全くタイプが違う。ドリームジャーニーはピッチ走法で一瞬の脚を武器にしていたので、コーナーが多くある小回りのコースが合っていた。対するオルフェーヴルは、馬体の伸縮の良さで走る脚の速い馬なので、伸び伸びと走ることのできる広いコースでより力を発揮できる。そう考えると、同じ東京競馬場で400m距離が延びて行われるダービーに王手をかけたことは間違いない。あとは前走時から少しずつ減っている馬体をどこまでケアして、ダービーまで維持していけるかどうか。

1番人気に推されたサダムパテックは、ロスのない内々を進み、直線でも最後まで良く伸びている。岩田康誠騎手もソツなく完璧に乗っているし、フジキセキ産駒だけにやや力の必要な馬場を苦にしたとも思えない。休み明けの前走弥生賞を叩かれ、マイナス8kgと馬体も絞れて、仕上がりも万全であった。あえて言うならば、この馬の口の堅さ(ハンドルの堅さ)が、追い出されてからの反応の悪さとして表出してしまったのだが、それでもこれだけ完敗してしまったのは、想像以上にオルフェーヴルが強かったということだろう。そうである以上、距離が延びて血統的にもプラス材料はなく、相手がミスをしてくれるのを待つ以外にチャンスは少ない。

オルフェーヴルと同厩舎のダノンバラードも最高の結果を出した。武豊騎手は内枠を生かし、前半から攻めてポジションを取りに行き、ダノンバラードの力を十分に出し切った。折り合いを意識するあまりポジションを下げてしまうことの多い武豊騎手らしからぬ、積極的な攻めの騎乗であった。新たなスタイルへの第1歩となるのかもしれない。ダノンバラードもラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬だけに、体調さえ整えば、これぐらい走られる下地はあった。

ナカヤマナイトはサダムパテックと同じような位置を進んだが、最後は伸びそうで伸びなかった。馬体こそ絞れていたが、やはり2ヶ月以上の間隔が開いていたことで、最後の200mで息切れしてしまった。一瞬、グッと伸びようとした場面もあり、力負けではないので、皐月賞をひと叩きされて、次走のダービーではもう少し走れてもいい。

トーセンラーは外枠からの発走が仇となり、道中で内に入るスペースがなかった。終始外をまわった挙句、第4コーナーでは大外をぶん回して脚を失ってしまった。勝ち馬とは力差があったが、もし第4コーナーでオルフェーヴルの後ろをついて抜けてくれば、もう少し上位争いに加われていたのではないだろうか。仕上がりは悪くなかっただけに、惜しまれる騎乗であった。

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父よりも上の馬体トーセンラー:5つ☆

オルフェーブル →馬体を見る
兄ドリームジャーニーの同時期に比べて、まだ馬体の造りや雰囲気に幼さを残す。
もう少し筋肉のメリハリが欲しく、あまり毛艶も冴えないため、見た目はパッとしない。
Pad3star

サダムパテック →馬体を見る
太め残りだった前走に比べて、ひと叩きされて、明らかに馬体にメリハリが出てきた。
首の位置からも前進意欲が高い馬なので、馬場が悪くなっても問題ないだろう。
Pad4star

ダノンバラード →馬体を見る
ふっくらと良い雰囲気だが、このメンバーに入ると、どうしても未完成に映ってしまう。
もう少し筋肉のメリハリが欲しく、パワーという点では物足りない。
Pad2star

ダノンミル →馬体を見る
鍛え上げられて、研ぎ澄まされた馬体だが、その分、遊びがなくギスギスしている。
もう少しリラックスして立てるとベストだが、馬場が重くなればチャンスはあるかも。
Pad4star

トーセンラー →馬体を見る
休養明けにはなるが、前走に比べて明らかにパワーアップして戻ってきている。
父ディープインパクト似だったが、今は馬体だけを見ると父よりも上。
Pad5star

ナカヤマナイト →馬体を見る
前走を勝った時のような張りが失われているが、全体的には毛艶も良く、体調は良さそう。
後駆のパワーが物足りず、筋肉のメリハリが出てくれば、もっと走られる状態になる。
Pad3star

ノーザンリバー →馬体を見る
全体的に筋肉のメリハリに乏しい、幼さを随所に残している馬体。
これで前走を楽勝しているのだから、潜在能力の高さが思い知れる。
Pad2star

フェイトフルウォー →馬体を見る
いかにもパワーに溢れる体型で、特に前駆は力強い。
やや太め残りがうかがえるので、もうひと絞りすれば最高の仕上がりになるだろう。
Pad2star

プレイ →馬体を見る
兄アドマイヤムーンと比べても遜色ないぐらいの、力強い好馬体を誇る。
やや脚が短く、重心が低いため、良い脚を長く使って勝負するタイプであろう。
Pad4star

ベルシャザール →馬体を見る
松田国英厩舎らしい、マッチョで筋肉質な雄大な馬体を誇示している。
鍛え上げられたのが伝わってくるようで、パワーだけならこのメンバーに入っても負けない。
Pad3star


Satuki2011wt

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WIN5を攻略するためのキーワード

2011年4月24日より、5レース全ての1着馬を当てる馬券「WIN5」がスタートする。単勝派の私としては、勝ち馬を予想するという競馬(予想)の原点に立ち返る方向性を持った馬券であることを歓迎しつつ、キャリーオーバー制度や1レースごとに控除されない点にも魅力を感じる。ただ、この「WIN5」の馬券が登場することによって浮き彫りになるであろう、単勝の多点買い(1レースで複数の馬の単勝を買うこと)という現象について、今の時点から警鐘を鳴らしておきたい。

かつて、「単勝の多点買いについてどう思います?」と尋ねられたとき、「ありだと思いますけど、美しくないですね」と返答した記憶がある。その方がどういう答えを求めて私に聞いてくれたのか分からないが、あとで思い返すと、ずいぶんと正直に答えてしまったと反省した。もしかすると、その方は単勝の多点買いを試みようと思っていたのかもしれない。そうであれば、単勝の多点買いのメリットとデメリットという形で私は伝えるべきであったはずだ。そうしなかった(できなかった)のは、私自身が何度か単勝の多点買いをした経験があり(戦略的にではなく、単に1頭に決められなかったという理由で)、あまり気持ちのよい結果にならなかったからだろう。たとえ当たっても外れても、レース後に後悔の念が湧いてきたのだ。

それは私の「美意識」の問題だろう。1つのレースを予想するにあたって、2頭のどちらかが勝つ、もしくは3頭のうちのどれかが勝つといった予想は精度が高くない。2頭や3頭の馬の単勝を買うのであれば、単勝という馬券を買う必要はないだろう。最後まで残った2、3頭の中から、1頭の馬が勝つことを信じて、リスクを取って賭けることが面白いのであって、それができないのであれば、連複やワイドといった馬券を買った方が良い。いや、むしろわざわざ馬券を買わなくても良いのではないか、とさえ思ってしまう。

「美意識」を考えるにあたって、羽生善治氏と茂木健一郎氏による対談をまとめた「自分の頭で考えるということ」(大和書房)という本の中の一節を引用してみたい。コンピューターになくて人間にあるもの、という話の場面で、この「美意識」という言葉が登場する。

茂木
「羽生さんが将棋を指す上で、「美意識」とはどういう位置づけなんですか?」

羽生
「美意識はものすごくあります。将棋のトッププレイヤーには非常にたくさんのこだわりが…むしろ、それが最大のモチベーションになっていると言ってもいいですね。最も美意識が強いのは谷川浩司さんです。対戦していてわかるんですけど、谷川さんという人は指し手にものすごく制約があるんです。自分の美意識ではこの手は指せないし、この手も指せないし…という制約がすごくたくさんある。だから強いんです。普通は「だから弱い」はずなんですけど」

(中略)

羽生
「コンピューターになくて人間にあるのは、恐怖心みたいなものだと思うんです。それが同時に美意識をも生んでいる。だから美意識や恐怖心を持ちつつ、完璧に自分の中でコントロールできれば、そっちの方がいいとは思うんです」

かねてより私が考えていた、無限の世界と対面した時に、人間はどう振舞うべきなのかという問いに対するヒントが、羽生善治氏によって語られている。なぜあれだけ計算能力の高いコンピューターが、人間に将棋で勝てないのか。そのヒントは「美意識」という言葉にある。「美意識」があるかどうかが最終的な勝敗を分けているということである。

「美意識」とは、人間のこだわりや制約である。無限を扱う世界において、こだわりや制約がある人間の方がコンピューターよりも強いとは、なんとも不思議な話である。ありとあらゆる可能性を網羅的に調べ尽くさんとするコンピューターに対し、こだわりや制約でかんじがらめになって思考の可能性が制限されてしまいがちな人間だからこそ強いのはなぜだろうか。この問いに対する答えも、羽生善治氏の言葉の中にあった。

羽生
「たとえば谷川浩司さんの持ち味は「光速の寄せ」と言われていますけど、彼の思考の仕方はおそらく美意識で結末を決めて突っ走るという感じなんですよ。それはもう、たとえば20手先とか30手先の局面を、30手なら30手だけ読むと。他の変化は読まないで、30手の直線を一気に読み切るという感じです」

無限の世界だからこそ、こだわりや制約がなければ結末まで突っ走れないのである。ありとあらゆる可能性の全検索が可能な世界であれば、人間よりもコンピューターの方が圧倒的な強さを発揮するはずであるが、将棋や競馬の世界はそうではない。だからこそ、私たちは自分なりのこだわりや制約を持ってよい。いや、持つべきなのだ。しかも強く。

たとえば、自分の誕生日馬券しか買わないというこだわりや制約があっても良い。バカバカしいとは思うが、徹底的に自分の誕生日の馬券を買い続ける予想法である。私の誕生日は3月7日だが、ひたすら3-7という馬連を買い続ける。いつから買い始めたとしてもよい。そうすると、なんとマツリダゴッホがあっと驚かせた2007年の有馬記念が的中する。馬連2万2190円が1点で的中するのだ。

さらにこだわりや制約を持たせて、G1レースだけ、しかも馬単で3→7しか買わないとしよう。そうすると、マツリダゴッホ→ダイワスカーレットで馬単6万9020円が1点で的中する。その前後で600回のG1レースに賭ける(賭けていた)としても、収支はプラスなのである。分かりやすくするために極端な例を挙げたが、こんな予想でも勝負には勝てるのだ。

ただし、ひとつだけ条件があって、こだわりや制約を強く持てなければならないということだ。ちょっとやそっとのことであきらめてしまったり、放り投げてしまったりする程度のこだわりや制約であれば、勝利には至らないだろう。さきほどの誕生日馬券の例でいうと、600回ぐらい負け続けたとしても、それ以外の馬券を買うことなく、自分の馬券を買い続けることができるかどうか。そのための前提として、自分なりの根拠を強く信じていなければならない。強く信じているからこそ、こだわりや制約は「美意識」に昇華するのである。そして、その「美意識」こそが、WIN5を攻略するためのキーワードであると私は信じている。

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間に合った馬、間に合わなかった馬

Jiromaru

間に合った馬と間に合わなかった馬がいます。私にとって、トウカイテイオーやナリタブライアン、ディープインパクト、ウオッカは間に合った馬であり、シンボリルドルフやマルゼンスキー、ミスターシービー、スーパークリークは間に合わなかった馬。つまり、その馬の現役時代を知っているかどうか、その馬と共に時代を生きたかどうかということです。

あと少し早く競馬を知っていれば、イナリワンの有馬記念での激走も見られたはずですし、「タマモクロスの名前の由来はあそこがクロスするほど速く走ることから」という友人の卑猥な冗談を信じることなく一刀両断できたはず。そう思うと残念でなりません。

そして、間に合ったようで間に合わなかった馬もいます。つまり、晩年のレースだけは生で観ているのですが、デビューからの足跡は知らない、途中からしか走りを観ていない馬ということです。たとえば、ヤエノムテキがそう。1987年にデビューしたヤエノムテキを私が知ったのは、1990年の天皇賞秋のことでした。その年は私が競馬を始めた年であり、天皇賞秋は私が初めて競馬場に足を運んだレースでした。競馬場の空の大きさに感動し、競馬ファンの多さに驚きました。

今では考えられないことですが、メインレースの天皇賞秋を私はひと目も見ることができなかったのです。人が多すぎてパドックにも行けず、そうこうしているうちに、天皇賞秋のスタートが切られました。目の前を走っているはずの馬たちも見えず、人々の頭の間から、ターフビジョンの上の端がかろうじて見えるだけ。今、レースがどういう状況にあるのか、さっぱり分かりません。周りの人々の歓声や声だけを頼りにして、精一杯の想像を膨らませました。断然の1番人気に推されていたオグリキャップは伸びなかったようで、競馬ファンの失意が波のように押し寄せたと思いきや、今度はメジロアルダンやヤエノムテキの名前が挙がりました。どうやらこの2頭のどちらかが勝ったようでした。

初めての競馬場がこんな苛酷な環境でしたが、私にとっては新鮮な体験でした。それまで、野球やサッカー、ラグビーなど、あらゆるスポーツを生で観てきましたが、あそこまで人が密集して、熱狂するスポーツは初めてでした。こんな祭りのようなレースが毎週行われている競馬は凄いと感じ、これまで競馬を知らずに生きてきた自分を恥じたのでした。

ヤエノムテキに話を戻すと、競馬を始めたばかりの私にとって、この馬の馬券を買うことは至難の業でした。レースが終わって、結果を知ったあとで、そんな馬がいたことを認識したぐらいでした。それから、競馬場に足繁く通うようになり、少しずつ競馬のことが分かるようになったある日、ヤエノムテキが皐月賞という大きなレースを勝っていることを知りました。

あの時、天皇賞秋を勝ったヤエノムテキはクラシックホースだったのです。そして、その年の皐月賞だけは、なぜか府中競馬場の2000mで行われていたのでした。しかも、驚いたことに、天皇賞秋とまるで同じ走りっぷりで、皐月賞を勝っていたのでした。いや、皐月賞と全く同じレース振りで天皇賞秋を勝ったというべきでしょうか。

この事実を知った時、私は「嗚呼、間に合わなかった」と悔やみました。もう少し競馬を早く始めていれば、ヤエノムテキが勝った皐月賞を生で観ることができ、府中の2000mでG1レースを勝ったことを知っていたなら、同じ舞台で行われたあの時の天皇賞秋でもヤエノムテキの馬券を買ったに違いないと。

さて、今年の皐月賞は23年ぶりに府中競馬場で行われます。果たして、ヤエノムテキのように内ラチ沿いを先行して、直線で馬群から鮮やかに抜け出してくる馬はどの馬でしょうか。2011年のクラシックホース・皐月賞馬の誕生に間に合ったことを幸せに思います。

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東京2000m

Tokyo2000t1

改修前の東京2000mのコースは、スタート地点から最初のコーナーまでの距離が極端に短く、急激に左に曲がることから、外枠に入った先行馬は非常に不利であった。コーナーを回りながらのポジション取りになるため、先へ行こうと思うと遠心力で外へ外へと振られてしまい、1番と10番に入った馬とでは約1秒のタイム差があると言われていたぐらいである。

しかし、平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬がスムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。このことにより、各馬(騎手)が力を出し切れるコースへと一変した。さらにゲートを外目に置くようになったため、外枠の馬も最初のコーナーへゆったりとロスなく入れるようになり、内外の有利不利はほとんどないと考えてよい。

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皐月賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Satsuki1

■1■前から10番手に付けられる馬
平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬が比較的スムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。さらにゲートを外目に置くようになったため、最初のコーナーに各馬が殺到して、馬群が詰まってしまうということが緩和された。

最初のコーナーへの先行争いが緩和されたことにより、ハイペースが常であった天皇賞秋が平均ペースになりやすくなった。サンデーサイレンス産駒のワンツーフィニッシュ(平成16年、17年においてはサンデーサイレンス産駒のワンツースリー)が目立つように、「瞬発力」が求められるレースに様変わりしたということである。天皇賞秋で牝馬の活躍が目立つようになったのもここに理由がある。

馬場がまだ軽い時期ということも含め、前に行ける馬でないと、もう少し具体的に言うと、前から10番手に付けられなければ、勝つことは難しい。

■2■弥生賞の勝ち馬は、皐月賞では勝てない!?
弥生賞を勝って、そのまま皐月賞をも制する馬は思いのほか少ない。その世代の素質馬が集結するハイレベルの弥生賞を制した馬は、普通に考えて、弥生賞と同じ走りができれば皐月賞はほぼ当確である。それでも、過去10年で弥生賞と皐月賞を連勝した馬は、アグネスタキオンとディープインパクト、ヴィクトワールピサの3頭しかいない。ワールドクラスの名馬でないと連勝はできないのだ。なぜこのような現象が起こるだろうか。

なぜかというと、弥生賞はかなりの状態に仕上がっていないと勝てない、その上、弥生賞では厳しいレースを強いられるからである。

クラシックを狙う有力馬が一堂に会する弥生賞は、当然のことながら、中途半端な仕上がりでは勝つことはできない。弥生賞を勝つためにはかなりの仕上げを施さなければならず、本番前に仕上げられた(仕上がってしまった)馬は、本番に向けて下降線を辿ってしまう。サラブレッドのピークはそれほど長くない。つまり、弥生賞を勝つために仕上げてしまうと、そのあとが続かないということである。さらに、それまでは楽な相手と楽な競馬しか経験してこなかった馬が、弥生賞で初めて厳しいレースを強いられるので、その肉体的、精神的な反動が次のレースで噴出してしまう。

その典型的な例は、平成12年の弥生賞を制したフサイチゼノンではないか。田原成貴元調教師と関口オーナーの間で一悶着あった馬であるが、フサイチゼノンは弥生賞の時点で既に仕上がってしまっていた。田原調教師はフサイチゼノンにかなりの素質を感じていただろうし、初年度である厩舎を盛り上げるためにも、弥生賞も勝って本番に臨みたかったに違いない。しかし、その勝ちを焦る気持ちが、フサイチゼノンを追い詰めてしまったのだ。肉体的にも精神的にもピークを過ぎてしまったフサイチゼノンは、もはや皐月賞に出走する状態にはなかった。関口オーナーに相談をしなかったのは田原元調教師の落ち度だが、出走を取りやめたのは英断であったと思う。

フジキセキ
ダンスインザダーク
フサイチゼノン
アグネスタキオン
アドマイヤオーラ

以上は、弥生賞を勝った後に故障を発生した馬たちである。厳しいレースである弥生賞を勝つことは、高い素質、能力を持つことの証明であるが、一方で失うものも大きい。そういう意味で、弥生賞馬はまず疑ってかかるべきである。

■3■参考データとして
・前走が1800m未満の馬は×
・2月以降に1400m以下の短距離を一度でも使っていた馬は×
・連対率が50%を超えていなければ×

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力強さに満ちた立ち姿のダノンヨーヨー:5つ☆

アパパネ →馬体を見る
いかにも休み明けといった筋肉のメリハリで、もうひと絞り欲しい体つき。
毛艶もあと一歩なので、この馬の素質と気持ちの強さでどこまで。
Pad3star

ゴールスキー →馬体を見る
成長途上にあるため、やや後駆は弱いが、前走に比べても馬体に厚みを増してきた。
全体的にガッチリしてきたため、現時点ではマイルの距離がベスト。
Pad3star

ショウリュウムーン →馬体を見る
古馬の牡馬に混じると、どうしても線の細さは否めず、パワー不足に映る。
ただ、この馬なりに大きく成長しているし、気持ちで走るタイプだけにどう出るか。
Pad3star

スマイルジャック →馬体を見る
前走に比べるとやや落ちるが、それでも高いレベルで好馬体をキープしている。
毛艶も良く、筋肉のメリハリも十分にあるので、あとはもうひと絞りするだけ。
Pad4star

ダノンヨーヨー →馬体を見る
前走時に比べて、大幅に馬体のラインや筋肉のメリハリがアップしている。
前後駆ともに盛り上がりが凄く、尾離れも良く、力強さに満ちた立ち姿を披露している。
Pad5star

リーチザクラウン →馬体を見る
腹回りが寂しく、ヒョロっと見せていた馬だが、馬体が厚くなり、モデルチェンジしてきた。
マイラーの血が出てきたのだろうか、この馬体ならマイル路線で戦える。
Pad3star


Milersc2011wt

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WANTの時代からMUSTの時代へ

私も今年で30代後半を迎えた。競馬をやっていたら、あっという間に時が過ぎてしまったというのが実感だ。毎週毎週、どんな馬たちがレースに出てきて、どの馬が勝つのか、ただひたすら考えて生きてきた。たくさんの本を読み、多くの人々と話し、それなりの修羅場をくぐってきた(つもりである)。その間に、飛び上がってしまうほど喜ばしいこと、地団駄を踏んでしまうほど悔しいこと、涙を流してしまうほど情けないこと、有頂天になってしまうほど楽しいことなどが、人生の山や谷、出会いや別れと共に、もしくは別々に、私のところにやってきた。競馬を好きでいて、本当に良かったと思う。

「ある朝、目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音はひびいてきた。とても微かに。そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。「四十歳というのはひとつの大きな転換点であって、それは何かを取り、何かをあとに置いていくことなのだ、と。そして、その精神的な組み換えが終わってしまったあとでは、好むと好まざるとにかかわらず、もうあともどりはできない。それは前にしか進まない歯車なのだ。僕は漠然とそう感じていた。だからこそそうなるまえに、――僕の中で精神的な組み換えが行われてしまう前に――、何かひとつ仕事をして残しておきたかった」
(「遠い太鼓」 村上春樹)

村上春樹氏のように、ある朝、目が覚めて、ふと耳を澄ませると、というわけではなかったが、私にもいつからか、遠くから太鼓の音が聞こえてきた。どうしても競馬の雑誌を自分たちの手で創りたくなったのだ。「半熟卵の冒険」のGACHALLINGOさんと出会ったことがきっかけであり、またそれよりもずっと前から、競馬の雑誌や書籍のようなものを創りたいと思っていた。なにせ私の部屋の本棚のおよそ半分は、競馬に関する書籍か雑誌で埋め尽くされているのだから、食通が高じて料理人になってしまうように、今度は自分で、と思っても不思議ではないだろう。

私が野球少年だった頃、大好きだった「フィールドオブドリームス」という映画がある。ある日、どこからともなく聞こえた「If you build it, he will come.」という言葉に導かれるように、自分のトウモロコシ畑の真ん中に野球場を作ってしまった男(レイ・キンセラ)の話だ。私が小さかった頃は、野球場を作ってしまうという発想が面白かったのだが、今となっては、レイがその言葉を信じた意味がなんとなく分かる。他人から見ればバカげた話に映るかもしれないし、気が狂ったのかと思われるかもしれない。家族や友人からの反対にあうかもしれない。それでも、野球場を作ることでしか始まらない何かがあり、それは彼にとっては使命のようなものであった。

これから40歳を迎えるにあたって、やりたいを超えて、やらなければならない使命を感じ生きていきたい。WANTの時代からMUSTの時代へ。別の言い方をするなら、もっと好きになってゆくということである。それは前にしか進まない歯車であって、好むと好まないにかかわらず、もう後戻りはできないのだ。新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」を創ることで、果たして誰がやって来るのか、どんなことが起こるのか、私にはまだ分からないけれど、もうすぐそこまで太鼓の音が聞こえていることだけは確かなのである。

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トゥザヴィクトリーの快挙

ドバイワールドカップデーの夜、グリーンチャンネルで、ステイゴールドがドバイシーマクラシックを制したシーンを見て、眠気を覚えるどころかすっかり興奮してしまった。

しかし、ドバイワールドカップは、日本馬では苦しいだろうな、という気持ちでレースを迎えた。

レギュラーメンバーがジャパンカップダートのときのように先手争いをし、トゥザヴィクトリーがフェブラリーSのように、2~3番手の好位で、うまくだましだまし進めても、日本馬が好勝負に持ち込むのは難しいだろう、と思っていた。

私の予想は見事に裏切られた。逃げたのはレギュラーメンバーではなく、トゥザヴィクトリーのほうだった。しかも、鞍上の武豊は、迷うことなく世界の強豪相手に先手を奪ったのである。

ペースは速いように見えたが、それば、玉砕覚悟の無謀な逃亡とは明らかに違っていた。たとえハイペースであったとしても、トゥザヴィクトリーはまったくの馬なりで手応えよく進んでいたのだろう。

大本命のキャプテンスティーヴには残り200メートルの時点で交わされてしまったが、直線、もしかしたら粘り込めるかもしれないと一瞬思ったくらい、その粘りは素晴らしいものだった。

トゥザヴィクトリーとステイゴールドのドバイでの戦いぶりをみて、サンデーサイレンス産駒は本当に厳しい競馬を強いられてこそ、真の実力を発揮するのだ、ということを改めて思い知らされた。

これは大きな収穫である。これからサンデーサイレンス産駒にまたがる騎手がどう乗ろうとするかはわからないが、大きなヒントになったはずだ。

もうひとつ、絶対に忘れてはならないことがある。

大健闘といえるドバイワールドカップ2着は、あそこで「逃げを打とう」と決めた騎手の判断力のすごさ以外の何ものでもない。

超一流のメンバーがそろった国際舞台で、武豊はまるでいつもと同じことをしているかのように、ふだんできないことをやってのけ、これまで見せることができなかったトゥザヴィクトリーの新しい魅力を発揮させてしまったのだ。これをすごいと言わずして何と言おう。
(「口笛吹きながら」より)

Nohirayuuji

祐ちゃん先生がこの文章を書いてから、10年の年月を経て、ようやくドバイワールドカップの勝利に手が届いたことになる。1着と2着の間にあった溝を埋めるのに、それだけの時間が必要だったということだ。私はこの夜、眠い目をこすりながら、布団の中でドバイワールドカップを生で観戦した。次の日の朝が早かったので、寝てしまおうかとも思ったが、こういう時だからこそ、なんとなく日本馬が勝ちそうな予感があった。レース後、歴史的瞬間に立ち会えたことを幸せに思い、この勝利について祐ちゃん先生ならどう語るだろうと想像しながら、深い眠りに落ちた。

ヴィクトワールピサの勝利は、まるでいつも同じことをしているように、普段できないことをやってのけた、角居勝彦調教師率いるチームの勝利だと思う。トゥザヴィクトリーを2着に導いた武豊騎手がそうであったように、これだけ超一流のホースマンやサラブレッドが揃った国際舞台において、いつも日本でやっているのと同じように普通でいられたからこそ、普通ではない結果を得ることができたのだ。言うは易し、行うは難し。海外遠征で失敗するほとんどの理由が実はここにあり、角居勝彦調教師でさえ幾度の失敗を経験してきている。

たとえば、ヴィクトワールピサが3歳時に凱旋門賞に挑戦して7着に敗れたのも、馬が仕上がっていなかったことに主な敗因があった。豊穣な自然に囲まれたシャンティイ調教場で調教をすると、馬も人もリラックスしてしまい、意外にも仕上がり切らないことが多い。ディープインパクトの時もそうであった(そんな状態で3着に粘ったディープインパクトの強さが分かる)。だからこそ、シャンティイで仕上がり切らなかった馬は、日本に戻ってから、まるで休養明けのごとく、充実した馬体を示し、叩かれて良化していくのである。私の感覚では、ディープインパクトもヴィクトワールピサも、ジャパンカップはやや余裕残し、ひと叩きされた有馬記念こそが完調であった。

話を戻すと、角居勝彦調教師も武豊騎手もそれなりの場数を踏んで、経験をしているからこそ、普通でいられるのだろう。初めての環境や体験では、普通でいるのは難しい。そして、矛盾するようではあるが、この世で起こる全てのことは、今までにあったそのままではなく、新しい形で現れるため、その時、その場で普通に振舞える資質のようなものも必要となってくる。角居勝彦調教師は著書「勝利の競馬、仕事の極意」の中で、こう語っている。

「劇的な効果を挙げる特別なノウハウを追い求める必要はない。ただコツコツと、当たり前のことを普通に、日常の作業として継続していけばいい。ただし、それでは、その「普通」とは何か、というところがまた、なかなかやっかいではある。普通とは何か。当たり前とは何なのか。極めて平凡なはずの私が、そんなことに頭を悩ましているのは、本当に不思議な話なのだが、「角居流」と呼ばれるものがもしあるとしたら、何が普通なのかを一生懸命考え、当たり前と思えることをていねいに実行していくことかもしれない」

先日お会いしたハイランド真理子さんに教えてもらった話だが、角居勝彦調教師はデルタブルースでメルボルンカップを勝った時も、エコノミークラスで窮屈そうにお子様たちと座って、日本にトンボ帰りしたという。ハイランド真理子さんが、向こうの空港の係の方に、「この方はメルボルンカップを勝ったのよ」と紹介しても、係の方は「おっ、どれぐらい馬券で儲けたのかな」と笑って、誰も信じてくれなかったという(笑)。また、栗東トレーニングセンターの角居勝彦厩舎に行き、竹箒で厩舎の掃除をしているスタッフがいると思い、声を掛けると、なんと角居勝彦調教師本人だった!こんなちょっとしたエピソードからも、角居勝彦調教師がいかに意識的に、また無意識的に、普通に振舞っているかが伝わってくる。これぞ、世界の頂点を極めた「角居流」なのである。


関連リンク
ドバイワールドカップを勝った角居調教師のこと

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1日でも長く乗っていてほしい。


桜花賞2011―観戦記―
フォーエバーマークが押してハナを切り、前半46秒7―後半47秒2という、ごくごく平均的なペースでレースは流れた。長い直線を考えると、各馬の実力が素直に反映しやすい、展開による有利不利のほとんどないレース。最後は末脚の有無が勝負を分け、上がり3ハロンを34秒台前半でまとめた上位3頭の強さが目立った。

勝ったマルセリーナは、ディープインパクト産駒として、初のG1制覇となった。クラスが上がってから勝ち切れない点を指摘されつつあったが、いきなりG1レースを制して私たちに衝撃を与えてくれた。やはり、こうでないとディープインパクトらしくない。マルセリーナ自身は、コンパクトにまとまった馬体から、父譲りの圧倒的な末脚を繰り出して、ゴールまで真一文字に伸びた。レベルの高かったエルフィンSを楽勝しただけのことはある。トライアルレースを使わず、慌てず焦らずじっくりと仕上げられたことで、馬体も充実していた。今回は折り合いも教えながらの勝利だっただけに、オークスに向けて期待は大きい。

安藤勝己騎手は、さすが大一番に強いところを見せてくれた。クラシックの大舞台で2番人気の馬に騎乗して、馬群の中であそこまで待てたことに驚かされる。よほどマルセリーナの末脚に自信があったのだろうか、それともギリギリまで末脚を溜めてこそ勝利することができると知っていたのだろうか。いずれにしても、肝の据わった、達観した騎乗からは、他のどのジョッキーにも踏み入ることのできない領域に彼がいることを伺い知ることができる。道中で揉まれて難しいところを出しかけていたが、なんとかなだめすかせてみせたように、ひとつ操作を間違っていれば凡走もあり得た。いつも言っていることだが、安藤勝己騎手には1日でも長く私たちの前で乗っていてほしい。

1番人気に推されたホエールキャプチャは、惜しくも勝利を逃した。外を回したことよりも、馬体を併せると伸びるタイプの馬だけに、勝ったマルセリーナに一気に突き抜けられてしまったこと、真ん中と外で離れてしまい馬体が併せられなかったことが敗因である。2ヶ月ぶりの実戦にもかかわらず、マイナス6kgと仕上がりは非常に良かった。この仕上がりでも勝てなかったのだから、距離延長は問題ないにしても、次のオークスでの逆転は望みにくいだろう。

トレンドハンターは最後方から外を回って、最後まで脚を伸ばした。マイル以上の距離を中心に使われてきた馬だけに、阪神のマイル戦にもスムーズに対応していた。大本命であったレーヴディソールの戦線離脱はあったが、勝ったマルセリーナと同じくこの馬も松田博資厩舎の管理馬であり、この厩舎の牝馬勢の層の厚さには目を見張る。また、松田博資厩舎流のCWコースを長めから追い切る調教法が、この阪神1600mで行われる桜花賞のリズムに合っているともいえるだろう。

ダンスファンタジアは好位の内を進んだが、最後の直線でスタミナ切れを起こしてしまった。長距離輸送を考えて、中間もそれほど厳しい調教を課せなかったように、関東所属の繊細な牝馬にとって、桜花賞は難しいレースである。フレンチカクタスは一瞬の脚に欠ける弱点が露呈してしまった。平均的な流れになり、末脚勝負になった時点で分が悪かった。外からホエールキャプチャに一気に進路を塞がれてしまい万事休す。道中で馬群が固まった外を回り、マイル以上の距離を走らされてしまったことも痛かった。

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馬体がほとんど傷んでいないフレンチカクタス:5つ☆

エーシンハーバー →馬体を見る
すっきりした馬体に見せているが、このメンバーではややパワー不足を感じる。
表情からもやや気性的に難しい部分も秘めていそうで、恵まれなければ苦しい。
Pad2star

スピードリッパー →馬体を見る
取り立てて強調する材料のない、まとまった馬体だが、全体のバランスは悪くない。
この馬体で走るのだから、負けん気がよほど強いと見ていい。
Pad3star

ダンスファンタジア →馬体を見る
前後駆にもしっかりと筋肉がつき、やや硬さはあるが、パワー溢れる好馬体を誇る。
2歳時に比べて、表情も落ち着いてきたように、精神面でも成長している。
Pad4star

トレンドハンター →馬体を見る
手脚が長く、バランスの良い馬体のシルエットは美しく、距離短縮は心配なし。
やや立ち姿に力みが見られ、表情からもまだ精神的に幼さを残している。
Pad3star

ハブルバブル →馬体を見る
前駆には実が入って力強いが、それに比べるとやや後駆に物足りなさを覚える。
馬体全体のメリハリにも乏しく、現時点では素質だけで走っている印象。
Pad3star

フォーエバーマーク →馬体を見る
コロンと映るように、筋肉量が豊富で、いかにもスピード&パワー優先のタイプ。
その分、阪神のマイル戦でスタミナがもつのか心配はあり、あとは展開次第か。
Pad3star

フレンチカクタス →馬体を見る
勝利を飾ったフィリーズレビューから中2週だが、馬体がほとんど傷んでいない。
毛艶も良く、柔らかい筋肉も豊富で、緩さがあるためマイル戦も十分こなせるはず。
Pad5star

ホエールキャプチャ →馬体を見る
2歳時に比べ、馬体重こそ変化はないが、つくべきところに筋肉がついてきている。
全体的にパワーアップして、2ヶ月ぶりの出走にもかかわらず、仕上がりも文句なし。
Pad4star

マルセリーナ →馬体を見る
馬体重は減り続けているが、ふっくらと見せていて、全く問題ないだろう。
表情から煩さが伝わってくるように、乗り方次第で好走も凡走もありうる。
Pad3star

ライステラス →馬体を見る
小じんまりとした馬体は相変わらずで、どちらかというと気持ちで走るタイプだろう。
従順そうな顔つきからはレースの流れに乗りやすく、どんな流れでも力は発揮できるはず。
Pad2star


Okasyo2011wt

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我慢に我慢を重ねてナンボの

Jiromaru

ダンスインザムードは、父サンデーサイレンス、母ダンシングキイ(母父ニジンスキー)、兄弟にダンスインザダーク、ダンスパートナーがいる超がつく良血馬としてターフに登場しました。牝馬離れした骨格で、黒光りする青鹿毛の馬体は圧巻でした。3歳時に桜花賞を勝利し、アメリカンオークスに出走し2着、そして秋には天皇賞秋でゼンノロブロイの2着、マイルチャンピオンシップではデュランダルの2着と健闘したものの、なぜか古馬になって大スランプに陥ってしまいました。京王杯スプリングカップは9着、安田記念はシンガリ負けなど、目も当てられない惨敗が続きました。

おそらく、走ることに嫌気が差してしまっていたのでしょう。精神的に燃え尽きてしまうと、牝馬の場合、ほとんどが二度と走らなくなってしまいます。走る能力はあり、馬体のどこにも悪いところはないのに、前向きに走ろうとしなくなります。当然ながら、レースに行って好勝負になることはありません。ダンスインザムードもまさにそんな状態でした。普通の馬であれば、引退させて繁殖へという決定がなされていたはずです。ところが、これだけの良血であり、桁違いの能力を有しているダンスインザムードでしたから、関係者のもう1度復活させたいという想いが強かったのでしょう。

夏に行われたクイーンS(8着)と札幌記念(12着)の結果を受けて、藤沢和雄調教師は賭けに出ました。それまでは、オリビエ・ペリエ騎手、武豊騎手、岡部幸雄騎手、クリストフ・ルメール騎手、デザーモ騎手など、考えうる限りのトップジョッキーをダンスインザムードには乗せてきたのですが、思い切って自厩舎に所属している北村宏司騎手を起用したのでした。そして、府中牝馬Sに臨むにあたって、「わざと極端に下げて、直線だけの競馬を」という指示を北村宏司騎手に出しました。北村宏司騎手はその通りに乗り、結果は9着と振るいませんでしたが、道中は手を抜いて走り、最後の直線で怒涛の脚で追い込んできた(上がり3ハロン32秒7)ダンスインザムードの走りに、陣営は一筋の光を見出しました。

それまではスタートからゴールまで一生懸命走り、レースは苦しいものと思い込んでいたダンスインザムードが、このレースを境として、道中で遊びながら走ることを覚えたのでした。同じ位置取りを走っていたとしても、リラックスして走っているので余力が残っていますし、馬自身、精神的に楽ですから、直線に入ってもうひと踏ん張りできます。天皇賞秋で3着するとマイルCSでも4着、翌年の緒戦であるマイラーズCで2着と、安定して本来の力が発揮できるようになりました。そして、かねてより狙いを定めていた、この年より開設されることになったG1ヴィクトリアマイルに臨んだのでした。

レースはダンスインザムードのひとり舞台。好スタートから手応え抜群に中団の内々を進み、直線に向くと持ったままで、北村宏司騎手がどこから抜け出そうかと、周りの手応えを見るぐらいの余裕がありました。ラスト200m手前からゴーサインを送ると、ダンスインザムードは矢のように伸び、2着のエアメサイアに2馬身の差をつける完勝でした。北村宏司騎手は、ダンスインザムードを自らの手で復活させ、それがデビュー当初より面倒を見てもらっている藤沢和雄調教師の管理馬だったこともあり、喜びもひとしおでした。藤沢和雄調教師にとっても、ダンスインザムードの完全復活と愛弟子の北村宏司騎手の初G1レース制覇と、これ以上望めないほどの勝利だったと思います。

それでも、レース後、「もっと追い出しを我慢しなければダメだ」と言う藤沢和雄調教師の言葉を聞いたとき、北村宏司騎手に対する深い愛情を感じました。私から見ると、あれだけ手応えが抜群のダンスインザムードの追い出しを、北村宏司騎手はよく我慢していたと思うのですが、もっともっと上を目指せと叱咤激励したのでした。北村宏司騎手は馬の折り合いをつけることにかけては天下一品、もしかすると藤沢和雄厩舎の馬に跨ってきた世界のトップジョッキーたちよりも優れているかもしれません。ただ、追い出してからの技術となると分が悪い。そのあたりの個性を見てのアドバイスでもあったはずです。お前は極限まで我慢に我慢を重ねてナンボの騎手なんだよと。

今週行われる牝馬クラシック第1弾・桜花賞には、ダンスインザムードの初仔であるダンスファンタジアが出走します。母譲りの好馬体を誇り、父がファルブラブとなり力強さが強調されています。マイルの距離はこの馬にとってベストでしょう。前走のクイーンSでは期待を裏切ってしまいましたが、中間はジックリと調整されて、気持ちも前向きになり、臨戦態勢が整いました。

今年から藤沢和雄厩舎を離れフリーとなり、自分の力で道を切り拓こうとしている北村宏司騎手は、前走のフィリーズレビューを勝ったフレンチカクタスに跨ります。前走から距離が1ハロン延びますが、恩師の教えを守り、ギリギリまで我慢を重ねることができるのでしょうか。

師が勝っても、弟子が勝っても、ダンスインザムードが勝った2006年のヴィクトリアマイル以来のG1レース勝利となります。レーヴディソールのリタイアは残念でしたが、それでも今年の桜の舞台も興味が尽きませんね。世の中は重苦しいムードですが、一生に一度しかない舞台だからこそ、思いっきり咲き誇ってほしいものです。

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阪神芝1600m(外回り)

Newhanshin1600

向こう正面奥からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。一度、コーナーを回り始めると、遠心力に身を任せながらゆっくりと4コーナーまで走ることになる。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとっては最適の舞台となるコースである。

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桜花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Oukasyo

■1■勝ち馬は「2敗以内」が目安
勝ち馬の条件としては、「2敗以内」であることが挙げられる。最近は、素質馬はあまりレース数を使わない傾向が顕著になってきており、桜花賞でも浅いキャリアで臨んできた馬が活躍している。数を使わない以上、レースに使うからにはきちんと勝てる状態に仕上げられているはずで、それでいて2敗以上しているということは、能力がないか、どこか足りない部分があるかのどちらかということになる。だからこそ、桜花賞を勝てる素質があるかどうかを見極めるためには、「2敗以内」という数字を目安にしたい。

さらに、「新馬戦を勝っている」、「牡馬を相手に勝利している」ことも、素質の有無を問うための材料にしてもよいだろう。

■2■前走の人気に注目
過去10年間で桜花賞を勝った馬の「前走の人気」を見ると、明らかな傾向があることが分かる。なんと10頭中7頭が1人気であり、2番人気が1頭、わずかに4、6番人気が2頭と、それ以下の人気であった馬は1頭も勝っていない。連対馬(2着馬)に目を向けても、7頭までが前走3番人気以内に推されている。

最も桜花賞に直結しやすいとされていたチューリップ賞だけを見ても、その勝ち馬よりも、人気に推されていたが負けてしまった馬の方が、本番での好走率が高い。つまり、前走で何着だったかという「実績」よりも、前走で何番人気に推されたかという「素質」、もしくは「資質」に注目すべきなのである。

■3■瞬発力のある馬が有利
平成19年から、桜花賞は新阪神コースの外回りで桜花賞は行われる。このことによって、勝ち馬に求められる資質が大きく違ってくることが考えられる。かつては器用さとスピードが求められていたが、今年からは「瞬発力」とそれを支える「スタミナ」が要求されることになるだろう。

ステップレースであるチューリップ賞(新阪神1600m外回り)とフィリーズレビュー(新阪神1400m内回り)のレースラップを見てみたい。

平成19年
チューリップ賞   12.4 - 10.9 - 12.1 - 12.2 - 12.2 - 11.1 - 11.0 - 11.8
フィリーズレビュー 12.5 - 10.9 - 11.4 - 11.7 - 11.4 - 11.7 - 12.2

チューリップ賞を見てみると、第1コーナーである3コーナーからガクンとペースが緩み、最終コーナーである4コーナーまで極端なスローでレースが流れていることが分かる。それに対し、阪神3歳牝馬特別ではコーナーを回ってもペースがほとんど緩んでいない。

この2つのレースの違いは、展開うんぬんではなく、コースの構造に起因する。チューリップ賞が行われる新阪神1600m外回りコースは中盤が緩みやすいコース構造になっているのに対し、フィリーズレビューが行われる新阪神1400m内回りコースはそうではないということである。

つまり、道中が緩むことによって、本番の桜花賞もラスト3ハロンの瞬発力勝負になってしまう可能性が高いということである。

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あと1ヶ月

「新しい競馬の雑誌を創ろう!」とgachalingoさんと意気投合してから、はや2年の年月が経ちました。ずいぶんと時間が掛かってしまいましたが、今振り返ると、私たちには必要な時間だった気がします。最初のうちは、書いてもらった原稿をまとめればそれで完成ぐらいにしか思っていなかったのですが、いざ創り出してみると、1冊の雑誌を世に出すことがどれだけ大変か、身に染みて分かりました。それでも、たくさんの方々と一緒にひとつの作品を創り上げる過程は、とても楽しいものでした。原稿をお願いしたり、競馬場に遊びに行ったり、食事をしながら話を聞かせてもらったり、無理な相談に乗ってもらったりと、今までのブログを粛々と書き続けている中では、決して出会うことのなかったはずの素敵な方々と巡り合うことができました。「ROUNDERS」の創刊までおよそあと1ヶ月。大震災の影響により、紙の確保が心配ではありますが、そこさえクリアできれば、ゴールデンウィークにはお手元に「ROUNDERS」が届けられるはずです。


「ap bank fes」のように、新しい競馬の雑誌をあなたに届けたいと思います。
この一体感はすごいです。

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パワーが漲っているペルーサ:5つ☆

■産経大阪杯
エイシンフラッシュ →馬体を見る
絶好調時の馬体にはないが、かといって、どこか悪いわけでもない。
バランスが良く、走られる体ではあるので、あとは気持ちの問題だけか。
Pad3star

キャプテントゥーレ →馬体を見る
前走時のほうが、やや馬体に柔らか味がありフックラしていた。
それを絞れたと取るか、それともエネルギーが失われたと取るか。
Pad3star

ダノンシャンティ →馬体を見る
フジキセキの血が現れてきたのか、3歳時に比べ、胴部が詰まってコロンと見せる。
怪我を克服して、筋肉量はようやく戻ってきたので、あとはメリハリだけ。
Pad4star

ドリームジャーニー →馬体を見る
今年初戦となるが、良い時のガっと張ったような迫力が感じられない。
胴部が詰まった体型だけに、2000mの距離に関してはベストだろう。
Pad2star

ヒルノダムール →馬体を見る
なかなか勝ち切れずに、馬が自信をなくしているように映る。
毛艶や筋肉のメリハリは悪くないだけに、あとは最後のひと踏ん張りが問われる。
Pad3star

リディル →馬体を見る
胴部にも余裕があって、スピードがあるのは確かだが、距離も十分もちそう。
特に前駆が驚くほど研ぎ澄まされていて、いかにもパワーがありそう。
Pad4star

■日経賞
トゥザグローリー →馬体を見る
転厩の影響ではないと思うが、前走に比べると、大きい馬が小さく映る。
究極の仕上げにあった前走後、少し楽をさせたのか、わずかに緩さが目につく。
Pad3star

ビッグウィーク →馬体を見る
ふっくらしていた前走を叩かれて、アバラが浮くほど絞れてきた。
ステイヤーらしく線が細く、このメンバーではややパンチ力不足を感じる。
Pad3star

マイネルキッツ →馬体を見る
昨年の覇者であり、8歳となった今も馬体の衰えを感じさせない。
全体のバランスも良く、毛艶も良好、初戦から動ける仕上がりにある。
Pad4star

ローズキングダム →馬体を見る
いつも良く見せない馬だが、今回は輪をかけて良く見えない。
もう少しパワーアップがほしいところだし、先を見据えた8分程度の仕上がり。
Pad2star

ペルーサ →馬体を見る
休養をはさみ、ジックリ充電できたようで、馬体にはパワーが漲っている。
休み明けにもかかわらず、前走よりも筋肉が柔らかく、メリハリが増している。
Pad5star

ミヤビランベリ →馬体を見る
ごく平凡な立ち姿であり、これといって特筆すべきはない。
その分、逃げ、先行して、安定して力を発揮できるだけの仕上がりにある。
Pad3star

Nikkeisyo2011wt

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もうこれ以上は走れないだろう


高松宮記念2011―観戦記―
ヘッドライナーが押して先頭に立ち、ダッシャーゴーゴーが外から被せるような形で強引に番手を取りに行った。前半の600mが33秒6、後半が34秒3だから、このクラスとしてはほぼ平均ペース。3コーナー手前でゴチャつく場面はあったが、ダッシャーゴーゴーが早めに動いたことにより、最後は力と力がぶつかり合う、実力が素直に反映されたレースとなった。

勝ったキンシャサノキセキは正攻法の競馬をして、成長著しい4歳馬をねじ伏せた。8歳という年齢が心配されはしたが、このメンバーでは一枚力が上だったということだ。昨年の高松宮記念後は疲れが出て、立て直しに時間が掛かったが、前走をひと叩きされ、当日の馬体重がマイナス10kgと、今回のレースに賭ける陣営の想いが伝わってくるような究極の仕上げであった。およそ6年間にわたって激戦を走り抜いてきたキンシャサノキセキに敬意を表すると共に、もうこれ以上は走れないだろうという思いもあり、最高のタイミングでの引退だったと思う。

キンシャサノキセキを勝利に導いたウンベルト・リスポリ騎手は、震災後も日本に残り、騎乗し続けたことの正しさを、自らの手綱で証明してみせた。若干22歳にして、この冷静かつ緻密な手綱捌きを見るにつけ、デットーリ騎手、デムーロ騎手に続き、またしてもイタリアから超のつく新星が現れたことを確信した。今回のレースで言うと、ゴチャついた場面において、狭いところを引っ張らずに前に出た一瞬の判断が素晴らしかった。あらゆる面において、パーフェクトな騎乗をしてくれるので、ウンベルト・リスポリ騎手の馬券を持っていると安心できる。

サンカルロは決してスムーズなレースとは言えなかったが、最後まで脚を伸ばし続けた。直線で外に出すことができず、馬群を縫って追い込んできたように、周りにいる馬を気にしない強いメンタルの持ち主である。その激しさは、脆さと表裏一体ではあるが、今回は良い方向に出た。この馬の持てる力を出し切った。

アーバニティもレースの流れに乗り、力を出し切った。最もスムーズに気持ちよく走られる1200m戦が、この馬には合っているのだろう。また、この馬のリズムを優先して走らせた四位騎手の好騎乗でもある。綺麗に馬に負担を掛けずに乗るのは本当に上手い。

1番人気に押されたジョーカプチーノは、行き脚がつかず行き場を失い、なおかつ差して切れる脚があるわけでもなく、結果的には中途半端なレースとなってしまった。前走は展開がハマった感があり、たとえ1200m戦が4戦4勝であったとしても、決してスプリンターではないはず。この馬の平均的なスピードが活かせるのはマイルの舞台である。

ダッシャーゴーゴーは、スプリンターズSに続く降着で11着となった。切れる馬ではないので、早めに動いて粘り込もうという作戦だったのだろうが、川田将雅騎手は勝ちたいという思いが強すぎて、全体が見えていなかった。積極的に勝ちに行くことでキャリアを切り拓いてきたジョッキーではあるが、さすがに今回の騎乗は目も当てられない。ジョッキーは最後のバトンを受けて、無事にゴールまで運ぶ役割があることを忘れてはいけない。ダッシャーゴーゴー自身は、昨年に比べ、幼さが抜けて、逞しい馬体に成長してきている。もともと素質は高かったが、さらに力をつけてきていることは確実で、キンシャサノキセキが引退した後のスプリント界を背負うのはこの馬であろう。

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