信じた者と、信じられなかった者と。
by Photo Stable
ダービー2011―観戦記―
梅雨が例年よりも早めに訪れたおかげで、オークスに続き、日本ダービーもが雨の降りしきる中、道悪馬場で行われた。オールアズワンが内枠と馬場を利そうと先頭に立ち、比較的緩やかなペースでレースを引っ張った。展開的には決して後ろから行った馬に有利ではなかったが、前に行ったことで馬が折り合いを欠き、スタミナをロスしてしまった馬たちが直線でバテる中、余計な動きをせず、最後の直線に賭けた馬たちが上位を占めたレースとなった。
これで皐月賞に次ぐ2冠となったオルフェーヴルは、力の違いをまざまざと見せ付けた。最後の直線での力強い脚取りを見ても、他馬がもがく中で道悪を苦にすることもなく、どちらかというとゴールに近づくにつれて差を拡げていった。スプリングSと皐月賞でも見せていたが、今回のレースでも最後は耳を立ててゴールする余裕の勝利であった。馬体重こそ減ってはいたが、この中間は馬体もグッと逞しくなり、その筋肉量は兄を彷彿させるほど急激に成長していた。この極悪馬場を伸び切ったのだから、2400m以上のスタミナを有していることは間違いない。菊花賞で3冠を制すにあたって、なんら距離の心配はなく、またもし凱旋門賞を勝てるとすれば、この馬なのではないかという期待さえ抱いてしまう。
池添謙一騎手はオルフェーヴルを最後まで信じて騎乗していた。急かせてしまうと、自身のリズムを崩し、折り合いを欠いてしまうタイプだけに、スタートから馬任せで道中を進めていた。こういう馬場だと少しでも前に行きたいと思うのは自然であり、しかも1番人気に推されていれば、その気持ちに拍車がかかり、手綱を通して馬に伝わってしまうものだ。しかし、お互いを信頼し合った池添謙一騎手とオルフェーヴルのコンビは見事に折り合っていた。デビュー戦での大暴走や京王杯2歳Sで折り合いを欠いて大敗した痛い経験が、折り合いに専念するという形で本番につながった。また、ひとつ間違えば、競走馬として大成することがなかったであろう、気性の難しさを秘めたオルフェーヴルを信じ、一つ一つ教え込み、ここまでの馬に成さしめた陣営にも最大級の賛辞を送りたい。
ウインバリアシオンは安藤勝己騎手の一発勝負が決まった形で2着に追い上げた。前半は勝負を捨てて、4コーナー手前から一気に仕掛けるという捨て身の騎乗であった。他の馬たちは前々を攻めて勝手にバテることも読んだ上での作戦だが、これを日本ダービーの舞台でやってしまうところが安藤勝己騎手の安藤勝己騎手たるゆえんだろう。あわやという場面も作ったが、最後はさすがに相手が強かった。ウインバリアシオン自身、まだ体が出来上がっていない現状を考えると、この馬場でよく走っている。父ハーツクライのように、古馬になって馬体が完成されてくれば、大きなところを勝てるだけの馬になるはずである。
ベルシャザールはジリジリとしか伸びない分、こうした馬場状態がプラスに働いた。前向きな気性を生かしながら、内に進路を取って、最後までバテさせなかった後藤浩輝騎手の手腕も冴えた。ナカヤマナイトは一瞬素晴らしい伸びを見せたが、最後は止まってしまった。力をつけている途上ではあるが、厩舎の先輩であるナカヤマフェスタにも負けずと劣らない素質を持っていることを証明してみせた。普段は冷静な柴田善臣騎手が、オルフェーヴルを前に出すまいと、右ムチを連打して勝ちに行った姿に、どの騎手でも胸に秘めているダービーへの熱い想いを垣間見た。
2番人気ながらも見せ場なく敗れてしまったサダムパテックにとっては、2400mの距離に加え、スタミナを奪われる馬場となってしまったことが最大の敗因だろう。岩田康誠騎手も第1コーナーまでは上手く運べていたが、馬場の良いところを選んだのか、道中から外に出してしまったばかりに馬が引っ掛かってしまい、4コーナーでも外に振られてしまった。あそこはサダムパテックを信じて、内を回ってくるべきであった。馬を信じられなければダービーは勝てない。

















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