« May 2011 | Main | July 2011 »

函館スプリントSを当てるために知っておくべきこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1)ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2)1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。中京の後半開催になったCBC賞もパワー型の馬が活躍するレースであり、CBC賞組で好走した馬が順調に来れば、素直に力が反映されることだろう。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■ラップ分析
過去7年のラップ
11.8-10.5-11.2-11.6-11.7-12.5 (33.5-35.8)H
11.8-10.6-11.3-11.8-11.5-12.4 (33.7-35.7)H
12.2-10.4-11.0-11.5-11.6-12.3 (33.6-35.4)H
12.2-10.7-11.2-11.6-11.8-11.6 (34.1-35.0)M
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M
12.0 -10.2-10.9-11.6-11.4-12.1(33.1-35.1)H

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
昨年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制した。札幌競馬場で行われた昨年を除く、過去9年の連対率も36%【7・1・0・14】と、牡馬セン馬の9%【2・7・9・84】に比べ圧倒的に高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で活躍するという典型的な例である。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (16)

手の内に入れて、育てる。

Takaraduka2011 by M-Style
宝塚記念2011-観戦記-
過半数の出走馬が前走からの乗り替わりという状況の中、佐藤哲三騎手を主戦に据えるアーネストリーがレコードタイムで完勝した。ナムラクレセントを行かせて番手を追走し、第4コーナーでは早々に先頭に立つ横綱相撲で、ブエナビスタやエイシンフラッシュらの追撃を振り切った。春はここ1本に目標を絞ったことでフレッシュな体調で臨めたことに加え、シーズンオフに近い宝塚記念の時期は力を要する馬場になることも、父グラスワンダーから無類のパワーを受け継いだアーネストリーにとっては有利に働いた。

同じ騎手が乗り続けている、つまり乗り替わりがないことのメリットは2つ。ひとつは、騎手が馬を手の内に入れることができる。つまり、その馬がどういうタイプ(性格から肉体の構造まで)かを時系列で把握していることで、騎手が自信を持って騎乗することができるということである。アーネストリーはためて切れるタイプではないので、多少流れが速くとも、行く気に任せて先行し、パワーで押し切る競馬をすることで、持てる力を発揮することができた。佐藤哲三騎手ではないジョッキーが跨っていたら、もう少し遅いペースに落とそうとして、抑えて持ち味を殺してしまっていたかもしれない。

もうひとつは、馬を育てることができる。これは見落とされがちだが、騎手は調教だけではなくレースを通しても馬を育てることができる。息の入れ方やペース配分の仕方など、実戦のレースでしか教えられないこともある。騎手が1戦ごとに違ってしまえば、教えられるものも教えられなくなってしまうのだ。騎手にとっても、次に自分が乗れるチャンスがあるかどうか分からない中では、馬を育てるという長期的視点に立つことは難しく、まずは目の前のレースを勝つための乗り方をするのは自然なことである。

騎手の体はひとつしかないので、ずっと同じ馬に乗り続けることが難しいケースもある。そういった場合、信頼できる騎手に、ワンポイントリリーフとして、次につながる騎乗を細かく依頼するのだ。たとえば佐藤哲三騎手の場合、アーネストリーの手綱をかつて松岡正海騎手と三浦皇成騎手に任せている。エスポワールシチーの時もそうだったが、佐藤哲三騎手の松岡正海騎手に対する信頼はよほど厚いのだろう。ひとつひとつのレースで大切に育てたことが、アーネストリーにとって1年越しのG1レース制覇につながったのである。

1番人気に推されたブエナビスタは、最後の直線でよく追い込んできたものの届かず。絶好調時に比べると、前半の推進力に欠け、末脚にも迫力がない。昨年秋の疲労が残っていることは確かである。そんな中でも牡馬相手に連対を外さないのだから、ブエナビスタの肉体的そして精神的強さには頭が上がらない。

エイシンフラッシュは経済コースを通ってロスのない競馬ができたが、最後は逆に勝ち馬に突き放されてしまった。仕上がりは抜群で、走りたいという前向きな気持ちも戻ってきていた。だからこそ、敢えて言うならば、安藤勝己騎手には、エイシンフラッシュの気持ちに任せて、アーネストリーの後ろを積極的に追いかけるぐらいの競馬をしてもらいたかった。エイシンフラッシュの末脚を生かそうとしたのだろうが、もしテン乗りでなければ、乗り方は違ったろうし、また結果も違ったのではないか。

ルーラーシップはスタートで行き脚がつかず、道中は後方から進み、最期は外を回してしまい力尽きた。前走ほどの大きな出遅れではなかったが、前走のように外からひと捲くりできる相手でもなかった。この馬自身、力をつけていることは確かだが、今年は1月の日経新春杯から使っている(このレースがピークであった)上に、ドバイ遠征を挟んで、さすがに疲れがあるように映った。それが前走からの出遅れという現象にも現れている。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (6)

宝塚記念を当てて『ROUNDERS』を買おう。

「読者諸氏よ、宝塚記念をあてて『ROUDERS』を買おう」と、山本一生さんが「もきち倶楽部」のメールマガジンにて書いてくれた。

山本一生さんが競馬について書かれた本は全て読んでいて、そのうちの2冊は拙ブログ上でも紹介させてもらったことがある。特に『競馬学への招待』の「月を歩いた男たち」の一節は、ダービー前になるといつも引用している。紹介していない本の中でも、『書斎の競馬学』の「洋一郎の傘」という短編小説は、読んでから2年以上経った今でも不思議な余韻を残している。山本一生さんの書いた文章は血液となって、私の体中を流れていると言っても大袈裟ではない。

その山本一生さんが『ROUNDERS』について書いてくれたのだから、嬉しくないわけがない。人気が凋落して将来性のない競馬にどっぷりと脚を踏み入れた私たちに忠告をしつつ、応援しないわけにはいかないと言ってくださった。忠告は軽く受け流しつつ、応援だけはしかと受け止めたい。それもそのはず、およそ10年前に、山本一生さんも私たちと同じような気持ちで、「もきち倶楽部」というメールマガジンを発刊されたのだった。

もきち倶楽部・発刊に際して

「今までにかってないほど競馬が盛んになったのに、このような本が、わずか二百冊ぐらいしか売れないとは、なんだか淋しい気がします。競馬が盛んになったといっても、しょせんそれは馬券熱が高まったことであって、むしろ戦前のほうが、競馬ファンのなかに、馬そのものに関心を持った人が多かったような気がします」
(佐藤正人著『わたしの競馬研究ノートの4』「あとがき」) 

新橋にあった中央競馬会の広報センターまで出かけて行って、人気のない部屋で、昔のレースを調べていたときのことだった。

ハイセイコーがブームになったころだから、二十五年ぐらい前のことになる。

ひととおり調べ終わり、書籍を棚に戻していると、その本が視野に入り、自然に手が伸びる。パラパラとめくって、いつものように「あとがき」を開くと、その言葉が飛び込んできた。

なぜか、ふっと、目頭が熱くなった。何に対してかわからないものの、徒手空拳ながらも孤軍奮闘している姿が、その「あとがき」からうかがえたからである。

あわてて表紙を見ると、佐藤正人著『わたしの競馬研究ノートの4』とあった。お世辞にも立派とはいいがたい装幀から、競馬書というよりも同人誌の特集号のような雰囲気が漂っている。ただし、収められている内容は濃密だった。

血統に関する外国文献の翻訳や世界各国の競馬の解説、競馬史の研究論文、わが国の競馬の文化についての批評など、当時としてはなかなか知り得ない事柄が、そこには並んでいた。知り得ないというよりも、まったく異なる次元の競馬が広がっていた。佐藤正人という名の、競馬の世界だった。いつのまにか私は、そのシリーズを読みふけっていた。

たぶん競馬というものが、とうてい目には見えない、暗闇のなかに漂う不可思議な世界だと思うようになったのは、そのときからかもしれない。そしてその闇の中で、佐藤正人の数多くの著作は、まさに夜空に浮かぶ巨大な飛行船を照らし出すサーチライトのように飛び交い、様々な角度から「競馬の世界」を浮かび上がらせる。競馬というものが、動物と人間が長らくかかわってきたがゆえに、あるときは歴史であり、あるときは文学であり、あるときは科学であり、いうなれば世界そのものであることを、彼の著作から知るようになる。

神楽坂愛馬の會を足場として、メール・マガジン「もきち倶楽部」を発刊しようと考えたとき、なぜか二十五年前の光景がよみがえってきた。

おそらく、メール・マガジンのコンセプトとして、「文化としての競馬」を標榜したからだろう。いやしくも我が国において、競馬の文化を口にするときには、だれもが最初に、佐藤正人に触れざるを得ない。

だが、それだけではないような気がしてならない。きっと、いまでも引き出しの奥には、二百冊しか売れないという「あとがき」を目にしたとき、熱くなった目頭の感触が、変わることなく残っているからかもしれない。

「文化としての競馬」であるからと言って、とりわけ難しい話をしようというのではない。日本競馬の繁栄とか、競馬文化の発展とか、そういうことを意図しているわけでもない。

ただ、見ることのできない競馬の世界に、サーチライトを一本あてて、そこから興味深い物語を読みとりたいだけでしかない。
 
言い方をかえれば、人間と自然との関係、あるいは人間と人間との関係を通じてではなく、人間と馬との関係を通じて、少し世界を語ってみたいのである。もちろんこの場合、「世界を語る」は、「人間を語る」と置き換えてもいい。

あれから二十五年は経っている。インターネットという新しい伝達手段も開発されている。当時は二百冊だったかもしれないが、いまでは競馬の世界について、もう少し多くの人たちと語り合えるのではないかと思っている。
山本一生

山本一生さんがこの「発刊に際して」を書かれてから、インターネットという手段はさらに発達し、想像もできなかったほどたくさんの人たちと、競馬の世界について語り合えるようになった。そして、佐藤正人さんが徒手空拳、孤軍奮闘していた時と違い、『ROUNDERS』はたくさんの人たちに支えられている。決して私たち2人で創り上げた雑誌ではない。競馬にとってこんな時代だからこそ、競馬を愛する人々が助け合うことができるのだろう。

山本一生さんの本命はルーラーシップで私のそれがエイシンフラッシュ。まだ『ROUNDERS』を読んでいない方は参考にしていただき、宝塚記念を当てて、『ROUNDERS』を買ってほしい。いや、もし当たらなくても買ってほしい(笑)。山本一生さん他、「もきち倶楽部」執筆陣の予想はこちらからどうぞ。

■「もきち倶楽部」はこちらから
Mokiticlub
私はメールマガジンに登録して、毎週楽しく読んでいます。

関連エントリ
「ガラスの競馬場」:眠れぬ夜は
「ガラスの競馬場」:競馬学の冒険

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

ダービーの疲れも癒えてきたエイシンフラッシュ:5つ☆

アーネストリー →馬体を見る
ガチっとした筋肉質の馬体の印象があるが、今は全体のバランスが良い。
毛艶も良く、筋肉のメリハリも十分で、昨年時よりも馬体は成長している。
Pad4star

エイシンフラッシュ →馬体を見る
馬体は研ぎ澄まされて、美しいシルエットの理想的な姿を誇る。
心配だったダービーの精神的な疲れも癒えてきたようで、表情も凛々しい。
Pad5star

トゥザグローリー →馬体を見る
ゴツさだけが目立った3歳時に比べ、馬体はスリムになり大きく成長した。
ただ、今年は年明けから使い詰めで、絶好調だった頃の張りが感じられない。
Pad3star

トーセンジョーダン →馬体を見る
筋肉量の豊富な馬体で、毛艶も抜群で、いつも良く見せている。
ただ、ふっくらとはしているが、1週間前の時点としてはやや太めに映る。
Pad3star

ドリームジャーニー →馬体を見る
筋肉のメリハリが少なく、絶好調だった頃の迫力には遠く及ばない。
休み明けにしては、この馬なりに順調に来ているが、舞台は合うだけにどこまで。
Pad3star

ナムラクレセント →馬体を見る
この馬体のどこにあれだけのスタミナが、と思わせるほど、ズングリと太めに映る。
馬体は凡百のそれであり、気持ちの強さがこの馬を支えているのだろう。
Pad3star

ブエナビスタ →馬体を見る
前走に比べて、馬体が薄くなり、力強さが消えてしまっている。
牝馬らしいと言えばそうなのだが、どうしても物足りなさは残る。
Pad3star

ルーラーシップ →馬体を見る
きちっとポーズを決められなかったように、気性面でまだ若さを残しているのか。
毛艶や筋肉のメリハリを見る限りにおいては、ドバイ遠征の疲れは癒えている。
Pad3star

ローズキングダム →馬体を見る
牡馬にしては馬体が薄く、牝馬のようで、いつも良く見せない。
力強さに欠けるので、パワーが問われる宝塚記念では苦しい。
Pad3star


Takaraduka2011wt

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

ジュンク堂池袋本店にて「ROUNDERS」が買える。

Jyunkudoikebukuro02「ROUNDERS」がいよいよ関東に上陸しました。いつも大変お世話になっているジュンク堂書店の池袋本店にて、「ROUNDERS」を置いていただけることになりました。昨月には関西のジュンク堂難波店、千日前店、大阪本店、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店にて販売開始していただき、大変好評とのことで、ようやく関東のリアル書店にて「ROUNDERS」を手にすることができる日がやってきました。関東のコアな競馬ファンにとっては朗報ですね。ジュンク堂書店の関係者の皆さま、本当にありがとうございます。

ところで、今回、ジュンク堂書店さまと取り引きさせていただき、強く感じたのは「スピード感」でした。競走馬のスピードではなく、書店員さまの極めて迅速な対応ということです。まずは「ROUNDERS」という新しい競馬の雑誌があることを発見してもらえたこと、そして、発売してすぐ、競馬が盛り上がりを見せている最中に、もう店頭に並べていただいたこと。これらのほとんど奇跡と言ってよい「スピード感」は、今振り返ってみても驚くべきものでした。

何が言いたいかというと、これから先、数年後、数十年後の未来を考えたとき、こういう「スピード感」がある企業こそが成長してゆくと思うのです。逆に言うと、「スピード感」がなければ、衰退の一途を辿ってしまうということです。これは企業が大きいから小さいからという問題ではなく、個人レベルでも同じことなのではないでしょうか。この「スピード感」を生むためには、専門的な情報収集は欠かせませんし、個人レベルでの強さや能力の高さも不可欠です。あれこれ言い訳をしては、行動が遅い、または行動できないと、生き残っていけない。自戒の意味も込めて、今回のジュンク堂の関係者の皆さまの素晴らしい対応を見て、そう感じました。

さて、そんなことより、まだ「ROUNDERS」を読んでいない関東の競馬ファンは、ぜひジュンク堂池袋店に行って、見本を手に取ってみてください。そこには私たちが1年半の歳月をかけて創り上げた競馬の世界が広がっています。何度も繰り返し読んで、いつまでも手元に残しておいていただける雑誌になっていると思います。競馬とあなたが100年続くために、「ROUNDERS」を買って読んでみてください。なお、在庫希少のため、万が一、品切れの際はご容赦ください(各店舗に「ROUNDERS」まだ残っていますか?と事前に問い合わせいただけると万全だと思います)。

Jyunkudoikebukuro01
池袋駅から歩いて5分くらいのところに巨大な本店があります。

Jyunkudoikebukuro03
とっても目立つ位置に置いてくださって、ありがとうございます。

☆ジュンク堂書店池袋本店の詳細はこちら

「ROUNDERS」が買えるジュンク堂系列店舗(6月23日現在)
・ジュンク堂書店 難波店 アクセスはこちら
・ジュンク堂書店 千日前店 アクセスはこちら
・ジュンク堂書店 大阪本店 アクセスはこちら
・MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 アクセスはこちら
・ジュンク堂書店 池袋本店 アクセスはこちら

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

阪神芝2200m

Hanshin2200t1

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。

3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。

枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

『競馬最強の法則』に再び!

Keibasaikyou01Keibasaikyou02

6月13日発売の『競馬最強の法則』7月号にて、「ROUNDERS」が紹介されました!およそ2年前には「ガラスの競馬場」を取り上げていただきましたので、再びということになります。本当にありがとうございます。

『競馬最強の法則』は、私が競馬を始めた頃から毎月欠かすことなく読んできた雑誌です。今は終わってしまいましたが、伊藤雄二元調教師の連載コラムはとても勉強になりました。最近、好きなコーナーは、やはり巻頭の「トレセン最前線」でしょうか。先週のマーメイドSを勝ったフミノイマージンについても、「プール調教の効果があって体質が強化された」など、ちょうど書いてありました。

『競馬最強の法則』は競馬のギャンブルという側面に特化した雑誌であり、「ROUNDERS」は競馬の文化やスポーツという面に光を当てた雑誌です。この相対する目的を持った競馬雑誌が、共存共栄していけるような競馬の世界が理想ですね。競馬からギャンブルがなくなれば滅びてしまいますが、ギャンブルだけでも滅びてしまうのですから。

関連エントリ
「ガラスの競馬場」:「競馬最強の法則」にて紹介されました。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

宝塚記念を当てるために知っておくべきこと

Takara

■1■天皇賞春組有利へ
平成12年より、6月下旬へと日程が変更された。それまでは天皇賞春からの間隔が開きすぎていたため、調整が難しく、多くの馬は本来の力を出し切れない、もしくはここを使わなかった。

しかし、開催時期の変更後は、一転して天皇賞春組の活躍が目立つ。天皇賞春で1~3着だった馬は【5・3・0・7】、天皇賞馬に限っては【3・3・0・2】と実に堅実に走っている。天皇賞春からの間隔が適度に短くなったことが、天皇賞春組にとって有利になったことは間違いがない。もっとも、天皇賞春を勝つには極限に仕上げられたと考えてよく、その反動を考えると、天皇賞春→宝塚記念という連勝は意外と難しい。

そして、当然のことながら、この変更は安田記念組にはマイナスの影響を与える。特に安田記念を目標にして仕上がっていた馬や、安田記念で激走してしまった馬にとっては、中2週で宝塚記念というローテーションはあまりにも厳しい。安田記念は負けていた馬の方がかえって宝塚記念での成績は良い。

■2■スピードとスタミナの高い次元での融合が求められる
宝塚記念をひと言で表現すると、「スピードとスタミナの高い次元での融合が求められるレース」ということになろうか。これは阪神競馬場の2200m内回りというコース設定に拠るところが大きい。

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。 枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

■3■前走G1レース以外で負けている馬は×
宝塚記念は定量戦であるため、実力の差がはっきりと出てしまうレースである。宝塚記念の連対馬は、ほとんどが天皇賞春か安田記念からの直行組であって、別路線組はごくわずかである。これは、宝塚記念は実力が正直に反映される紛れのないレースであることを意味しており、前走G1以外のレースで敗戦していた馬ではまず勝負にならない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

重厚さを感じさせるセラフィックロンプ:5つ☆

アスカトップレディ →馬体を見る
やや幼さは残るが、力強い筋肉が付き、メリハリもなかなか。
腰高の馬体からは、距離は2000mぐらいが上限か。
Pad3star

セラフィックロンプ →馬体を見る
牝馬にしては逞しく、重心が低くて、重厚さを感じさせる。
7歳馬とは思えないほど、毛艶も良く、筋肉のメリハリも十分にある。
Pad5star

ディアアレトゥーサ →馬体を見る
ふっくらというよりは、筋肉の付き方に物足りなさを感じさせる。
全体のラインも不満があり、表情を見ても力を出し切れる状態にはない。
Pad2star

フミノイマージン →馬体を見る
前後駆にしっかりと実が入って、馬体全体から力強さを醸し出している。
やや立ち姿に力みがあり、その分、全体のシルエットが崩れているのが残念。
Pad3star

ブロードストリート →馬体を見る
ひと目で薄いと思わせる馬体は、絶好調からは遠く、もう少しふっくら感がほしい。
パーツは悪くないだけに、線の細さが解消されてくれば走る。
Pad3star

プロヴィナージュ →馬体を見る
やや腰高の馬体で、全体のラインを見ても力強さに溢れている。
ただ、絶好調だった昨年のエリザベス女王杯と比べてしまうと、あと一歩の出来に映る。
Pad4star

ラフォルジュルネ →馬体を見る
かつては線の細さが目立ったが、前駆が発達してきており、力強さがある馬体。
やや後駆は物足りないが、表情からも闘争心は伝わってきて好感触。
Pad4star


Marmaids2011wt

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

RE:悲しみのダービー

Jiromaru

Yさん、こんにちは。蒸し暑い毎日が続き、夏の到来を少しずつ予感しています。

日本ダービーにおける、リベルタスについてのメール拝読させていただきました。Yさんのご心中察します。POG馬として、ディープインパクトの仔として、まるで我が愛馬のようにデビュー戦から見守ってきたからこそ、どうしても納得ができない、合点がいかない部分が見えたのでしょう。ディープインパクトの仔であり、同じ勝負服を着ている(同じ馬主である)以上、大いなる期待と思い入れをしないわけにはいかないですよね。でも、別にYさんは誰かを責めているわけではないことも知っています。

Yさんからいただいたディープインパクトの新馬戦の写真、今でも大切に持っていますよ。ディープインパクトがゲート前で輪乗りをしている瞬間の、あの写真です。誰にとっても未知の存在であったディープインパクトを写した貴重な1枚ですよね。そうやって、埒の外から、1頭1頭の馬に想いを込めながら応援するYさんは、本当の競馬ファンだと思います。

Deepimpactsinba

おっしゃるように、リベルタスの使われ方(ローテーション)は、若駒にとってはかなり厳しいものでした。10月にデビューして、12月に行われた3戦目のレース(千両賞)を勝ったところまでは良かったのですが、そこから朝日杯フューチュリティSに向けて中1週のローテーションが組まれました。血統的にはローエングリンの下ですから、距離は長い方がいいはずです。なぜラジオNIKKEI賞ではなく、無理をしてまで朝日杯フューチュリティSなのかと私も不思議に思いました。

もちろん理由を知る由はありませんが、朝日杯フューチュリティSに臨むにあたっての中間の調教を見た限りにおいて、リベルタスは決して万全の体調とはいえず、なんとか前走の疲れを取って、走れる状態にして出走させたというのが現実でした。そういった体調にもかかわらず、あのグランプリボスやリアルインパクトを相手に、正攻法の競馬でコンマ1秒差の3着を確保したのですから、もはや将来を嘱望されたも同然でした。

今思えば、このレースで2着に粘っていれば、リベルタスの運命は変わっていたかもしれません。本賞金が獲得できなかったことで、陣営はリベルタスを若駒Sに向かわせました。厳寒期に行われるオープン戦に、これだけの血統の馬を出走させるのですから、何が何でも本賞金を上積みしておきたかったのでしょう。無理をさせた馬にさらに無理を強いるわけですから、陣営としても苦渋の決断だったはずです。しかし、レース後には「体調が良くなかった」というコメントが出ました。体調が悪くても勝ってしまうのですから、リベルタスの能力の高さが伺い知れます。パートナーだった福永祐一騎手からは、この時点でクラシックを意識できる器と評されました。

いったん回り始めた歯車は元に戻りません。クラシックに出走することが至上命題のように、歯車はさらに前向きに加速していきます。もしかすると、リベルタスがそれにも耐えられる強い肉体の持ち主だとみなされていたのかもしれません。わずかに間隔を開けて、リベルタスはスプリングSに出走し、そこから皐月賞、ダービーと突き進んでゆきます。もはやスプリングSに出走してきた時点で、リベルタスは精神的に燃え尽きていたのだと思います。スプリングSでは直線で走るのをやめてしまいましたし、皐月賞やダービーに至っては、もはや前向きにさえ進もうとしませんでした。レース振りを見ると、少しでも早くこの場から逃げ去りたいと、全身を使って訴えかけているようにも映ります。不良馬場や歩様が異常だったということではなく、明らかにリベルタスが走ることを拒否していましたよね。気持ちの問題だと思います。

だからこそ、普段調教をつけているときには肉体に異常がないだけに、出否の判断が難しかったのかもしれません。もしかすると、リベルタスは気持ちを隠してしまう、気持ちを人間に伝えるのが下手なタイプなのかもしれません。そうは言っても、結果を見る限りにおいて、皐月賞とダービーを使うべきではなかったことは明らかです。あらゆるホースマンが見守る大舞台で、(結果的に)まともに走れない馬を出走させてしまったのですから、他の誰よりも、リベルタス陣営が最も恥じているはずです。それを責めることに私は意味を覚えません。どれだけ優秀な調教師だって、間違いを犯すことはあるのですから。

角居勝彦調教師も大きく影響を受けたであろう、日本のトップトレーナーである藤澤和雄調教師も、たくさんの失敗を経験してきたと言います。ロンドンボーイという青葉賞を2着した素質馬を、日本ダービーに出走させ、22着と惨敗させた当時のことを振り返り、こう語っています。

「結果から判断すると、ロンドンボーイの体調が充分ではなく、能力を出し切れるような状態でなかったことが明らかだった。もとより体質的に弱いところのある馬だと承知していたから、未勝利戦を勝った3戦目までは、2ヶ月半から3ヶ月のレース間隔で使った。それが、青葉賞、ダービーが視野に入ったとたん、1ヶ月のローテーションに変わったのである。

自分では馬の体調を見ながらローテーションを決めているつもりだったのに、ダービーという大レースを前にして、いつの間にかそうではなくなっていた。トライアルから本番という、レースのローテーションに馬を合わせようとしていた。

(中略)

調教師が犯す失敗で、いちばんいけないのは、馬を壊してしまうことである。それは競走馬に関わっている誰もがわかっていることだ。

しかし、競走馬はペットではないから、大事にさえしていればいいというものではない。鍛え、レースに出走させて勝たせるという目標がある。この2つの命題が、どうしてもある部分で相反してしまう。だから「馬を壊してはいけない」と分かってはいても、そのためのノウハウを積み上げてないとうまくいかない。

(中略)

馬を壊さないためにどれだけの努力ができるか。私たちの未熟のために競走生活を全うできなかった馬や、不幸にして生命を落としてしまった馬たちへの「ごめんね」は、仕事を通じて伝えるしかない」
(「競走馬私論」より)

ロンドンボーイはその後、1勝を挙げたのみで、ターフを去ることになります。無理をしてダービーを使ったことが原因かどうか分かりませんが、それだけサラブレッドは繊細だということです。ちょっとしたボタンの掛け違いで、サラブレッドの一生は変わってしまうのです。そして、この話は同時に、ダービーというレースがホースマンにとってどれだけ魅力的かを示しています。藤澤和雄調教師にとってはロンドンボーイが初めてのダービー出走馬でした。たとえ初めてでなかったとしても、1度ダービーを獲ったことのある角居勝彦調教師にとっても、ダービーは僅かな可能性があれば、リスクを犯してでも挑戦したいレースなのです。そうやって、角居勝彦調教師は牝馬であるウオッカでダービーを制したのですから。

それでも、こうして残念な結果が出てしまった以上、調教師としてその責任は重く受け止めているはずです。何の非もないリベルタスに対し、「ごめんね」と心の中で言っているはずです。私は最後の最後の部分では、角居勝彦調教師を信じています。角居調教師が人一倍悩み、決めた以上、その判断は正しいはずであり、様々な紆余曲折があろうとも、最後はリベルタスを最高の形で牧場に帰してくれるものと信じています。それは彼の著書に書かれた一節を信じているからです。

サラブレッドはしゃべれない。

どんな扱いを受けようが、ただ黙って、人間にすべてをゆだねて生きていく。

馬が生を受けるとき、父馬と母馬は、人間が人間の都合で選んだ種牡馬と繁殖牝馬である。生まれた子馬は、人間の都合で厳しい育成を受け、人間の都合で売買される。そして、人間の都合で激しいレースを闘わされ、これに勝ち抜いて生き残れば今度は、人間の都合で父馬や母馬として優れた血を伝えることを求められる。彼らの生涯は、すべて人間の都合によって支配されているのである。それでも、サラブレッドはしゃべれない。

何という儚い動物なのだろう。わずかなアクシデントでも命を失う過酷な宿命、熾烈な淘汰のための競争、人に委ねられた生活。そういう研ぎ澄まされた毎日を、まるで綱渡りでもするようにして、サラブレッドというガラス細工の芸術作品は、少しずつ少しずつ作り上げられていく。

この美しく儚い動物を守っていきたい、と私は思った。私が競馬を仕事にしようと決めたのは、そういう思いが原点だった。サラブレッドの人生を守り、より良い生涯を送れるように、私ができる限りのことをしたい。牧場での毎日から生まれたそんな思いが出発点になって、私は競馬の世界に足を踏み入れていき、そして、サラブレッドと競馬の魅力の虜になって、離れられなくなった。
(「勝利の競馬、仕事の極意」より)

確かにサラブレッドは経済動物であり、ギャンブルの牌です。しかし、人間とサラブレッドのもっと奥深い結びつきにおいては、決してそうではないでしょう。ホースマンはサラブレッドという美しく儚い動物を守っていかなければなりません。しゃべれないサラブレッドの人生を守り、より良い生涯を送れるように、出来る限りのことをしていくのがホースマンであるとも言えます。そういったホースマンの愛情に応えるために、しゃべれないサラブレッドはレースで限界を超えて走るのです。

金子真人オーナーもまた立派なホースマンです。あれだけ多くの所有馬を抱える馬主さんで、自分で牧場を歩いて回って、1頭1頭の馬を自分の見て決める人は珍しいです。それだけサラブレッドが好きで、競馬が好きなのでしょう。彼がサラブレッドにつける名前には愛情が溢れています。馬は馬主の運を背負って走ります。彼の馬がこれだけ走るのは、ディープインパクトが彼に舞い降りたのは、彼がそれだけ馬に愛情を注いでいるからだと思います。もしかすると、リベルタスには思い入れが強すぎたのかもしれませんね。Yさんと同じぐらい、いやそれ以上にディープインパクトの仔でダービーを勝ちたいという想いが強かったからこそ、わずかな望みに賭けてしまったのかもしれません。彼もまたリベルタスに対して「ごめんね」と言っているはずです。そもそも、競馬というスポーツに賭けている私たち競馬ファンも、馬たちに対して、いつも「ごめんね」の気持ちはどこかで忘れてはならないと肝に銘じています。

彼らにできることは、リベルタスを再びターフで復活させること。そして、私たちにできることは、それを応援すること。かつてトウカイテイオーが1年のブランクを経て有馬記念を制したことがありましたよね。あの奇跡の復活も、トウカイテイオーの不屈の精神とたずさわる関係者の懸命の努力とあきらめないという気持ち、そしてファンからの熱烈な声援があったからこそ成し遂げられたのだと思います。どれかがひとつでも欠けてしまっていては、トウカイテイオーは復活しなかった。そういう意味で、復活を願う私たち競馬ファンの声は大きいのではないでしょうか。リベルタスの生命力を信じ、彼らを信じ、自分たちを信じて、これからも一緒に競馬を応援しませんか?

長々と書いてしまい失礼しました。最後まで読んでくださってありがとうございます。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

『競馬ブック』でも「ROUNDERS」が!

Keibabook01Keibabook02

まさか同じタイミングとは思ってもみませんでしたが、『競馬ブック』でも「ROUNDERS」創刊号を紹介していただきました!

『競馬ブック』と新幹線は私の中では切っても切り離せない存在です。なぜ突然、新幹線なのかというと、旅先や実家の岡山に帰った時などによく読んでいる記憶があるのです。新幹線の前の席のポケットに、お弁当と『競馬ブック』が入っているイメージが鮮明に浮かびます。つまり、日本全国のどこに行っても、『競馬ブック』を手に入れることができるということです。

これまで最も目を皿のようにして読んだのは、「競走馬の心技体」という連載です。馬博士の楠瀬さん、ドクター平賀さんと青木さんという3人が、「競走馬のこころ」、「競走馬の運動生理学」、「走りのテクニック」について専門家の立場から述べられています。読んだことがないという方は、ぜひこちらから読んでみてください。

最近では、元高知競馬のジョッキー、赤見千尋さんの書いた「おもひでの名勝負」や福永洋一記念についての文章には心を動かされました。やはり騎手時代の経験や思い出を元に書いた文章には説得力があります。その他、「一筆啓上」はジャーナリズムを強く感じますし、もちろんPHOTOパドックは毎週、予想の参考にさせてもらっています。

たくさんの良質な記事の中で、今回、「ROUNDERS」は「ニュースプラザ」という、その週に起こった出来事やイベントの案内が一望できるページ(私も重宝しています)のプレゼントコーナーに掲載していただきました。幸英明騎手のJRA通算1万2000回騎乗と同じページとは、1万人のコアな競馬ファンに届くことを願っている「ROUNDERS」にとって、非常に光栄なことです。ありがとうございました。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (6)

歴史を脅かす日が来ることを


セントジェームスズパレスS2011―観戦記―
無敗馬フランケルの強さばかりが目立ったレースであった。着差が僅かであったので、力差がなかったと勘違いしてしまうかもしれないが、決してそうではない。2番手集団のペースが遅いとみるや途中から自ら動き、壊滅的なペースを作り、最後まで粘り通してみせたのだから、その速さと強さは本物である。ラップが計時されない中、どうやってレースの厳しさを計るかというと、他馬のポジションや動きを見ればよい。2着に突っ込んできたゾファニーは、最後方から突っ込んできたように、フランケルを追いかけなかった馬である。フランケルについて行った馬は、皆、脚を失ってしまった。グランプリボスは2番手で追走したのだから、体調がピークを過ぎていたとはいえ、早々に手応えがなくなってしまったのも仕方がない。

「馬券のヒント」にも書いたことだが、強い逃げ馬がいるとヒモが狂うのだ。とてつもなく速くて強い逃げ馬がいると、2着には大穴が飛び込んでくることが多い。なぜなら、とてつもなく速いその馬をマークして追走し、仕掛けることによって、他の有力馬が自分のリズムを崩してしまうからだ。また、よどみのない速いペースになることが多く、まともに追走した馬がなし崩し的に脚を使わされる中、勝負を捨て、道中は自分のペースを守った人気薄の台頭がある。まさに今回のセントジェムズパレスSは、その典型的なレースであった。連勝が止まる時は必ず来るはずだが、それにしても世界には恐ろしく逃げ馬がいるものだ。

300年の歴史を誇るロイヤルアスコット開催に、父サクラバクシンオーのグランプリボスが出走したことの意義は果てしなく大きい。「ROUNDERS」の連載でルドルフおやじさんが書かれているように、20歳近くになったサクラバクシンオーが、朝日杯フューチュリティSの勝ち馬を出したこと自体が驚きであり、血の更新が盛んになった現在、これほど息長くチャンピオンクラスの仔を出し続けている内国産種牡馬がいるのは奇跡に近い。ルドルフおやじさんの言葉を借りると、サクラバクシンオーは内国産の「歴史」そのものなのである。いつかサクラバクシンオーの仔が再びアスコットの地に立ち、歴史を脅かす日が来ることを楽しみに待ちたい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (1)

『週刊Gallop』にて「ROUNDERS」が

Gallop01Gallop02

『週刊Gallop』のプレゼントコーナーにおいて、ROUNDERSが紹介されました!かなり大きなサイズで、しかもカラーで取り扱っていただきました。1人でも多くの競馬ファンに『ROUNDERS』のことを知ってもらいたいと思っていますので、嬉しい限りです。

『週刊Gallop』が1993年に創刊されて以来、ほとんど欠かすことなく毎週買って読んでいます。つまり、私の競馬人生は『週刊Gallop』と共にあると言っても過言ではありません。毎週の競馬予想の友として、そして時には競馬読み物として、トイレの中から学校や会社のカバンの中に入れてまで、これほど一緒にいた時間が長い週刊誌はなかったはずです。競馬について、たくさんのことを教えてもらいました。

特に私が大好きだった、故野平祐二さんが連載されていた「口笛吹きながら」は、毎週、コンビニや駅の売店で『週刊Gallop』を買うと、そのページを急いで探して読んでいました。まるでキリスト教徒にとっての聖書のように、何度も何度も祐ちゃん先生の言葉を読み返したものです。「競馬は文化であり、スポーツである」というROUNDERSのモットーも、祐ちゃん先生の影響を強く受けています。もし祐ちゃん先生が生きていらっしゃったら、どんな顔をして『ROUNDERS』を読んでくれたのでしょうか。真剣な顔、それとも微笑みながら?そのどちらもかもしれません。

そう考えると、『週刊Gallop』にて紹介していただいたことにも、何か強い縁や導きのようなものを感じてしまいます。『週刊Gallop』の関係者の皆さま、そして祐ちゃん先生、本当にありがとうございます。期待を裏切らないように、これからも「競馬は文化であり、スポーツである」を体現できる雑誌を創りつづけていきます。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

マーメイドSを当てるために知っておくべき3つのこと

Marmaids

■1■スタミナ型を狙え
阪神2000mで行われるマーメイドSは、上がり3ハロンが33秒台のような瞬発力勝負にはならず、この時期の馬場が傷んでいることも加わり、上がりの掛かるレースになることが多い。また、ハンデ戦となった過去4年の勝ち馬の血統を見ても、ステイゴールド産駒が2頭とスペシャルウィーク産駒が1頭と、サンデーサイレンス系の中でもスタミナ寄りの馬が活躍している。字ズラ以上にスタミナを問われるレースとなることは明白で、中距離以上のスタミナを有している馬を狙いたい。

■2■馬体重の少ない軽ハンデ馬の活躍
ハンデ戦となった過去5年間で、トップハンデ馬は【0・0・1・5】と振るわず、1番人気馬に至っては【0・0・0・5】と3着にも入っていない。逆に、狙い目は軽ハンデ馬で、1~3着馬の15頭のうち、13頭がハンデ53kg以下という成績を残している。特に、普段は別定戦での斤量を負担に感じている馬体重の少ない馬が、ハンデ戦で軽量となった時にあっと驚く好走をすることもある。

■3■ヴィクトリアマイル組は疑問
ヴィクトリアマイル組は実績上位であるので、出走してくれば人気になるはず。ただし、以下の2つの理由で好走を望むのは難しい。

1)ヴィクトリアマイルで仕上がっているので、体調が下降線を辿っている。
2)ヴィクトリアマイルよりも豊富なスタミナが問われる。

1)はヴィクトリアマイルが目標である牝馬がほとんどである中で、ヴィクトリアマイル後、マーメイドSに出走してくるのは、ヴィクトリアマイルで勝てなかったため消化不良のケースが多い。ただ、当然のことながら、ヴィクトリアマイルに向けて100%に仕上げた馬の体調は、下降線を辿るため、ピークが過ぎた段階での出走となり、力を出し切れない。

2)ヴィクトリアマイルはヨーイドンの瞬発力勝負になることが多く、マイル戦とはいえ、意外とスタミナを問われないレースになりやすい。そこからいきなり阪神の2000m戦でレースをしてしまうと、要求されるスタミナが全く違うのである。求められる要素が違うためヴィクトリアマイルの好走馬が、そのままマーメイドSでも好走するのは難しい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

バドトロワの回避で今週は5つ☆なし

アニメイトバイオ →馬体を見る
3歳時と比べると、明らかに馬体が成長して、柔らかな筋肉が付いてきた。
後駆にもの足りなさは残るが、母系にレインボーアンバーがいるので重馬場は歓迎か。
Pad4star

アロマカフェ →馬体を見る
馬体だけを見ると、昨年の方がゆったりとして、全体のバランスが良かった。
表情を見ても、完調には至っていないようで、復活にはもう少し時間がかかる。
Pad3star

セイクリッドバレー →馬体を見る
あまりきちんと立てたことのない馬で、今回もあまり感心しない立ち姿。
毛艶や筋肉のメリハリは良いが、成績にムラが出てしまうのはその辺りに原因がある。
Pad3star

ダンツホウテイ →馬体を見る
短距離馬のような筋骨隆々の馬体を誇り、力を要する馬場は得意なはず。
表情も凛々しく、距離に不安はあるが、この馬の力を出し切れる仕上がりにはある。
Pad4star

ダークシャドウ →馬体を見る
掘宣行厩舎の馬らしい、ゆったりとした美しいシルエットの体つき。
筋肉のメリハリという点においては、まだこれからの成長が望まれる。
Pad4star

マッハヴェロシティ →馬体を見る
あばらが浮いているように、馬体が絞れて、仕上がり自体は申し分ない。
ただ、全体のバランスは良いが、線の細さは否めず、パンチ力不足を感じさせる。
Pad3star

アーバニティ →馬体を見る
短距離馬らしく、少しずつ筋肉量が増えてきたが、その分、やや太めに映る。
7歳馬にしては、筋肉も柔らかくかつ全体のバランスも崩れていない。
Pad3star

エイシンタイガー →馬体を見る
コロンとした馬体は、いかにも短距離馬らしく、スピードとパワーに溢れている。
ただ、表情があまり冴えず、馬体としてもあとひと絞りできそうな体つき。
Pad3star

エーシンホワイティ →馬体を見る
全身に力が溢れた立ち姿で、筋肉のメリハリや全体のバランスも素晴らしい。
ただ、いつも良く見せる馬だけに、逆に敢えて今回は割り引いて考えたい。
Pad4star

ダッシャーゴーゴー →馬体を見る
3歳時に比べると、幼さが少しずつ抜けてきて、ようやく成馬の馬体になりつつある。
この体で走ってきたのだから、よほど運動神経が良く、スピード能力が高いのだろう。
Pad3star

ヘッドライナー →馬体を見る
この時期が合っているのだろうか、馬体に柔らか味が出て、毛艶も良好。
昨年時に比べるとパワーはもの足りないが、距離が伸びても良さそうな仕上がり。
Pad4star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

悲しみのダービー

Jiromaru

オルフェーヴルのあまりの強さに圧倒され、馬券は外してしまったものの、未来の凱旋門賞馬を見てしまったような、ある種の恍惚感に浸っていた矢先、Yさんからメールが届きました。

Yさんとは「21世紀の馬券戦略ライブ」でお会いしたことがあり、それ以来、「ガラスの競馬場」の書き手と読者という関係を超えて、競馬の素晴らしさを共有する同志として、やりとりさせてもらってきました。Yさんの競馬を愛する気持ちに1点の曇りもないことを、誰よりも私はよく知っています。

そんなYさんから、「悲しみのダービー」というタイトルのメールをいただいたのです。私はちょっと意表を突かれた気がしました。確かに雨は降っていて残念でしたが、これだけ強い馬が出て来たのだから、競馬ファンとしては喜ばしい、競馬の祭典として終わったのではとどこかで思っていたからです。

ところが、で読み進めてゆくうちに、Yさんのおっしゃっていることの意味を私は少しずつ理解し始めました。そして、競馬の陽の部分しか見えていなかった自分を恥じました。馬は人との信頼関係があってこそ走る、と偉そうに言っておきながら、陰に隠れた馬と人の哀しさを見逃してしまっていたのでした。

懺悔の念も含め、Yさんからのメールを全文ここに掲載し(Yさんも承諾済み)、それに対しての返事を公開する形で答えていければと思います。まずはYさんのメールを読んでみてください。

治郎丸さん、こんばんは。先週のダービー、オルフェーヴルめちゃ強かったですね!雨の府中をあれだけ伸びてくる姿は、タイキシャトルを彷彿とさせましたね。

今日は、治郎丸さんに聞いてほしい話があってメールいたしました。オルフェーヴルの強さが目立ったダービーでしたが、私にとっては少しほろ苦いダービーとなってしまいました。

ダービーの本命馬はトーセンレーヴと書きましたが、実は今年からディープ産駒がデビューということもあり、POGをはじめたんですよ。勿論、私はディープ産駒のみ指名していたのですが(笑)、その一頭がトーセンレーヴだったわけです。

実は先週のダービーにもう一頭指名していた馬がいました。2枠4番のリベルタスです。でもリベルタスの馬券は記念馬券以外、買うことはありませんでした…。というのもリベルタスがとてもまともに走れる状態ではないと思っていたからです…。

リベルタスは2010年10月2日のデビューから2カ月半で4走という過酷ローテを課され、ディープ産駒のお披露目目的か、金子オーナーの未制覇GⅠ奪取が目的かわかりませんが、朝日杯FSに参戦。死に物狂いで3着に健闘した将来性豊かな馬に対して、疲労回復のための放牧や休養をとらせず年明けの若駒S出走という選択を…。

若駒Sは何とか押し切ったものの、陣営からは「状態が悪かった」(当り前です…T0T)とレースに使っておきながら信じられないコメントが…。馬が完全に疲弊してしまい、小手先の休養を挟んだものの十分な仕上げもできずスプリングSに出走して13着に大敗。馬はすでに燃え尽きて前進意欲を失っていたように私には映りました。

私はこの時点でせめてダービーに向けて立て直してほしいと思いましたが、陣営は皐月賞を選択。勿論、この大敗は次のGⅠへの調整と言えなくはない。結局、皐月賞出走したものの追走一杯、とても走れる状態でないと最後の直線で横山Jが大事をとって上がり3F43.2をかけてゆっくりとゴールしシンガリ負け。骨折か心房細動か、リベルタスは大丈夫か?と心配いたしましが、馬体検査の結果、身体的に異常なしということでした。

ケガでもなく、あのような競走になってしまったということは、精神的に競走意欲をなくしてしまっているのではないか?とにかく只事ではないというのは素人目にも明らかでした。

そして、この大差負けで放牧に出してもらえるだろうと思っていたところ、驚愕のダービー出走。馬は中間の調教でも走るのを放棄するかのような悲しくなるような状態で(調教VTRを見たときは泣きそうになりました…)、もうダービーではケガなく無事に完走してくれることしか望むことはありませんでした。
→リベルタスの調教映像はこちら

そしてダービー当日…。スタート直後から走るのを拒否するようにズルズル後退、四位Jが後方で何とか走らせようとするも3コーナー過ぎから姿が消え、ついに競走中止に…。もう私にはリベルタスが、人間でいう鬱状態か競馬に対して心的外傷を負っている状態に映りました。

心配していたことがついに現実に…。パトロール映像を見て胸をえぐられるようでした。皐月賞の尋常でない負け方、馬の状態を総合的に見て、陣営ではダービーへの出否について十分な話し合いが行われたのか、中間の馬の状態をどのように把握していたのか、身体的故障でもなく2走続けてまともに競走できない状態の馬をレースに参加させたことについては、陣営もしくはJRAからファンに対して何らかの説明があってもよいのではないかと思うのですがいかがでしょうか(JRAからは「異常歩様」との発表のみ)。

もし、競走できない状態だと認識した上で競馬に参加させたのであれば、それはある種の「無気力競馬」ではないかと思いますし、それはダービーを目指す他の競馬関係者にも大変失礼であり、馬券を購入するファンに対する冒涜でもあると思います。また、馬にとってはもうそれは「虐待」にあたるのではないでしょうか?

モハメド殿下も観戦に来られるような国を代表するようなレースに、日本では肉体的に異常もないのに競走できないような馬を競走させるのかと思われます。こんなことを続けていてはいつまで経っても日本は競馬後進国のままです。ダービーは出走するだけでも栄誉である…それはわかります。でもこのような暴挙が、牡牝三冠を達成したオーナーと牝馬でダービー制覇を成し遂げるような日本競馬を代表する調教師のコンビで行われたことは本当に悲しいです。人間だけでなく、馬までこんなに生きにくい世の中だなんて競馬に夢も希望もなくなってしまいます。

「単に馬が弱いだけ」と言ってしまえばそれだけかもしれません…。でもデビューから関西のレースは全て観戦に行ってリベルタスを見てきた者としては、決して気性難があるとかいう馬には見えませんでした。逆にすごく真面目で性格も従順そうな素直な印象を受けていました。事実レースでも上手く鞍上と折り合っていましたから…。立派な馬体でもあるので、若駒のときから無理使いをせず、古馬での完成を見届けたいと思っていた一頭でした。トレーナーが角居調教師、オーナーが父ディープを所有していた金子オーナーならきっと大切に育ててくれると思ったのに…。

「ROUNDERS」の「走れドトウ」を読みながら、リベルタスはどんな気持ちでこの春の競走に臨んでいたんだろうと思うともう悲しくてやりきれませんでした…。ちょっと競馬がイヤになった2011年日本ダービーでした。長々と読んでいただいてありがとうございました。どうしても心ある方に聞いていただきたかったのです。

次回、私なりの返事を書かせていただきます。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (14)

あの高橋源一郎さんが「ROUNDERS」について。

Takahasigenitirou

あの高橋源一郎さんが、新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」について、サンスポのコラムにて書いてくださった。いきなりのことだったので、「ROUNDERS」の文字が目に入った瞬間私は、サンスポを片手に、しばし茫然と立ち尽くしてしまった。あの高橋源一郎さんが「ROUNDERS」を読んでくれた!しかも、モンティ・ロバーツのことを分かってくれて、あの神業まで見たとおっしゃる。日本ダービーのオルフェーヴルと池添謙一騎手の間に、馬と人との信頼関係を見て取ったとまで。おおっ、高橋源一郎さんは、やはり今でも競馬が好きなのだ。

私が高橋源一郎さんの小説を読んだのは、高校生の頃だった。「さようなら、ギャングたち」を読んで、その世界観に衝撃を受けた。こんな小説ってありなんだ、というのが高校生だった私の正直な感想。それ以来、高橋源一郎さんの作品は読み続けていて、最新作「悪と戦う」は直筆のサイン入り。もちろん、競馬が好きな私の好きな作品は「競馬漂流記」」である。「ガラスの競馬場」の中でも、何度か紹介させていただいたこともある。同時代の競馬を生きてきた私にとって、どれもが共感とインスピレーションを受け、時には嫉妬を感じてしまうほどの、珠玉の競馬エッセイ集である。

そんな中でも、私が最も愛してやまないのは「競馬場への長い道」である。競走馬がデビューすることがどれだけ大変であり、どれだけ誇らしいことか、ニューマーケット競馬場で出会ったファイヤーバードラッドという馬とその馬主であろう老夫婦とのふれあいの風景を通して、見事に描写されている。その一節をここに紹介したい。

Keibahyouryuuki_2歴史に名を残す馬がいる。だが、ファイヤーバードラッドのように、馬主とごく少数の関係者以外からはなんの興味も示されない馬は遥かに多い。彼らは束の間、競馬場に姿を現し、無名のままたちまち消え去ってゆく。だが、彼の首にしがみついて愛撫していた老人たちの顔には安堵と喜びの表情が浮かんでいたように、わたしには思えた。彼らはたぶん、こう言っていたのだ。 「よく競馬場までたどり着いた。そのことをわたしたちはほんとうに誇りに思うよ。ここに来るためにお前は生まれたのだから」

高橋源一郎さんのひとつ一つの言葉には、競馬に対する愛が含まれている。それは一流の作家だから成し遂げられる技ではなく、一流の競馬ファンだからこそ描ける愛情なのである。高橋源一郎さんが競馬について語るとき、たとえばあの村上春樹さんがジャズについて語るときのように、そこには必ず愛が溢れている。人生における長い時間をかけて、対象と向き合ってきたからこその愛。アタッシュケースを引きながら、海外の競馬場に向かう高橋源一郎さんの姿に、私は自身を重ねる。その姿は孤独だが、競馬に対する愛情に満ちている。愛は孤独なのだ。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (38)

エプソムCを当てるために知っておくべき3つのこと

Epsomc

■1■5歳馬が中心
4歳   【4・3・3・39】 連対率14%
5歳   【5・5・1・38】 連対率20%
6歳   【1・1・3・37】 連対率5%
7歳以上【0・1・3・35】 連対率3%

5、6歳馬が中心であった先週の安田記念と比べると、明らかに4、5歳馬が強い。特に5歳馬は6勝で連対率が20%と飛び抜けた数字を残している。これといった理由は思いつかないが、安田記念より距離が200m伸びて、ペースが落ち着きやすいということだろうか。前半3ハロンの平均が35秒8、後半3ハロンの平均が35秒7と、ほぼミドルペースで流れる。その分、スピードに任せて前に行ける若い馬の方が有利になるということだ。

■2■馬場によって適性が180℃変わる
東京の1800mはコーナーが2つで、サンデーサイレンス系のタメて切れる脚質が合う舞台である。ただ、この時期は雨が降りやすく、馬場が変化しやすい。ダービーが終わって、さすがに芝も荒れてくる頃だけに、雨が降ってちょっと時計の掛かる馬場になるとジワジワと脚を使う血統の馬が台頭する。具体的に言うと、キングマンボ、ペンタイア、マヤノトップガン、フレンチデピュティなど、非サンデーサイレンス系の馬である。

■3■マイラーにとっては厳しい
ヨーロッパの血を持つ馬が活躍しているように、府中の1800mはスピードだけでは押し切れない、スタミナが問われる舞台である。過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が芝1800m以上の中距離で勝ち星を挙げていたことからも、マイラーにとっては厳しいレースになることが分かる。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (1)

迷うことなく

Yasuda2011 by Ruby
安田記念2011―観戦記―
シルポートが飛び出し、それを外からジョーカプチーノがマークする形でレースは進んだ。前半600mが45秒4、後半が46秒6だから、マイルのG1レースに相応しい厳しい流れになったといえる。府中競馬場の長い直線を考えると、力のある馬であればどこからでもチャンスのある、実力が素直に反映されるレースとなった。最後は横一線の叩き合いとなり、早めに抜け出した3歳馬リアルインパクトが僅かに先にゴールした。

3歳馬として史上初の安田記念馬となったリアルインパクトは、力と力の勝負を制してみせた。古馬に比べて斤量が4kg軽いことを差し引いても、このメンバーに入って、先行して押し切って見せたのだから、マイラーとしての完成度は相当に高い。叩き3戦目でキッチリ仕上がっていたし、まるで古馬のような堂々とした馬体を誇る馬である。母系は短距離血統であるが、父がディープインパクトからスタミナと真面目さを受け継いでいる。春の2戦とも(もっと言うと朝日杯フューチュリティSも)、厳しいポジションを走らされただけに、ようやく能力を全開できたということだろう。

地方の騎手として中央競馬に参戦しつづけ、ようやくG1レースのタイトルを手に入れた戸崎圭太騎手の騎乗にも賛辞を送りたい。最大の勝因は、迷うことなく勝ちに行ったこと。ペースが速くなりそうという予測はあったはずだが、それでもスタートから前々を攻めていった。ハイペースに飲み込まれるリスクを承知で、リアルインパクトを自身の大きいフットワークで走らせることを優先した。その攻めの姿勢を裏付けるのは、あらゆるバテた馬たちを最後まで残してきた、日々の実戦の中で培われた追う技術である。府中の坂を上り切ってからの、リアルインパクトを残した戸崎圭太騎手の手綱からは、鬼気迫るものを感じた。

2着に差し込んだストロングリターンは、追い出しが僅かに遅れたことが悔やまれる。内々を進んだことでポジションを悪くしてしまい、最後は馬群を縫ってきたが届かなかった。石橋脩騎手は悔しくて眠れないだろう。それぐらい、勝ち馬との力差はなかったし、あと一歩でG1レースに手が届いていたのだ。この敗戦を生かし、追える若手騎手の代表から一流のジョッキーへと成長してほしい。それにしても、堀宣行調教師の馬をつくる手腕には脱帽である。絵画から抜け出てきたような理想的な馬をつくることには定評があったが、今年は連対率が4割(6月2日現在)と実際にレースで走ってもいる。美浦トレセンにまた一人、頼もしい調教師が登場した。

1番人気に推されたアパパネは、負けはしたが、最後まで踏ん張ってみせた。ヴィクトリアマイルから中2週というローテーションに加え、まだ完調にまで戻りきっていないことを考えると、一線級の古馬を相手に0.2秒差の6着だから、精一杯走っているといえる。この後は放牧に出して、ゆったりと英気を養うことができれば、また秋には肉体的にも精神的にも強いアパパネが蘇ってくるだろう。そうなったら、たとえ古馬の牡馬だろうが、相手に不足はない。

スマイルジャックは昨年に続き、惜しい3着に敗れた。ガツンと出てしまうと、引っ掛かって止まらなくなってしまう馬だけに、乗り方が難しい。最後は大外に出して良く伸びたが届かなかった。もう少しスムーズに好位が取れれば、G1レースを勝てる力のある馬だけに、今年もまた内枠が仇となった印象を受ける。また、4着と陰に隠れてしまったが、クレバートウショウを操った武豊騎手の見事な騎乗を忘れてはならない。スムーズに先行して、クレバートウショウのスタミナを考えて、ギリギリまで追い出しを我慢していた。さすが3400勝を記録した日本一のジョッキーである。


関連エントリ
Boukanzaidesyusinkei_2
リアルインパクトの一口馬主の方が堀宣行調教師の真髄について書かれています。
つまり、競馬って、そういうことが大切なのだと思います。必読です。
傍観罪で終身刑:「リアルインパクト、あるいは堀宣行先生のこと」

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (3)

3歳馬とは思えない立ち姿のリアルインパクト:5つ☆

アパパネ →馬体を見る
前走に比べて、柔らかく充実した筋肉が増してきた印象を受ける。
ただ、絶好調時と比べるとあと一歩で、あとはこの馬の精神力に期待する。
Pad4star

エーシンフォワード →馬体を見る
昨年のマイルCS時の研ぎ澄まされた感はなく、全体的にボテッとして映る。
表情からも闘争心が伝わってこず、復活までにはもう少し時間が掛かりそう。
Pad3star

クレバートウショウ →馬体を見る
肉付きが良く、いかにも力を要する馬場を得意とするパワー型の馬体。
マイル戦がベストかどうかは微妙だが、流れに乗れればあなどれない存在。
Pad4star

コスモセンサー →馬体を見る
脚が短く、重心が低いため、どうしてもマイル以下の距離に適性を感じさせる。
全体的に筋肉のメリハリがしっかりと付いて、特に前駆の盛り上がりは凄い。
Pad4star

シルポート →馬体を見る
後駆にバネを感じさせる立ち姿で、馬体だけを見ると一介の逃げ馬には思えない。
逃げ馬にとって不利な府中のマイル戦だが、すんなり行ければ楽しみ。
Pad4star

ジョーカプチーノ →馬体を見る
春のシーズンは使い込まれているので、大きな上積みはないが、原点材料もない。
ややトモが薄いが、リラックスして立てているし、馬体全体のバランスも良い。
Pad3star

ストロングリターン →馬体を見る
立派な立ち姿で、馬体のバランスから全体のラインをとってもミスがない。
毛艶も良く、好調間違いなしで、マイル以上の距離にも十分に対応できる。
Pad4star

スマイルジャック →馬体を見る
黒光りする馬体は迫力満点で、毛艶も良く、調子落ちは感じられない。
ただ、わずかに立ち姿に力みが感じられて、全体のバランスが良くない。
Pad3star

ダノンヨーヨー →馬体を見る
休み明けの前走に比べても、全体的にメリハリのない、太め残りを感じさせる馬体。
重厚感が増したということもできるが、タフな府中のマイルを乗り切れるかどうか。
Pad3star

リアルインパクト →馬体を見る
3歳馬とは思えない立派な立ち姿で、一線級の古馬と混じっても何ら遜色ない。
全体のバランスや筋肉のメリハリも文句なしで、顔つきも凛々しく頼もしい。
Pad5star

Yasuda2011wt

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (28)

目に見えないものを信じなければ

Jiromaru

「目に見えないものを信じなければならない!」と私が府中競馬場で叫んだのは、今からちょうど10年前のこと。2001年の安田記念、最後の直線において、ブラックホークが横山典弘騎手を背に大外を伸びてくる姿を見て、私の口から発された言葉でした。“発された”とまるで自分のことでないように書きましたが、まさにその時は何者かが私に憑依したような感覚でした。誰かが私の身体に乗り移って、そう叫ばせたように感じたのです。今から思えば、自分の無意識が、ずっとそういうこと考えていたせいではないでしょうか。もうひとりの自分が、ずっとブラックホークのことを想っていたのですね。

「目に見えないものを信じる」とは、つまり論理的ではない、科学や理屈では説明しきれないことを感じるということです。世の中には、目に見えないものを信じなければ、どうにも理解できないことが多いのです。目に見える見えないは、個人の能力の問題であって、世の中の全ては科学や理屈で説明できるという意見もあるかもしれません。私も競馬を好きになる前はそう思っていましたし、競馬を始めてからも最初の10年ぐらいは、競馬に対しても、全ての現象には理由があると考えていました。今振り返ると恥ずかしい限りです。知れば知るほど、競馬の世界はそんなに甘いものではないことが分かってきました。

ブラックホークはスプリンターズSで初めてのG1レースを勝ちました。マイルのG1だとどうしても詰めの甘さが目立ってしまい、勝ち切れなかったところを、横山典弘騎手の進言で、スプリンターズSに照準を切り替えたことが大成功しての勝利でした。しかし、それからというもの、スプリント戦でも勝ち切れないレースが続き、G1レースにおいては、高松宮記念4着、安田記念9着、マイルチャンピオンシップが8着という成績でした。距離が短ければ勝ち負けになるのですが、G1のマイル戦では掲示板すら外してしまうという始末でした。

翌年、ブラックホークも7歳になっていました。年齢による衰え、そして距離という二重の不安を抱え、しかもこれが引退レースという形で安田記念に出走してきたのですから、ほとんどの競馬ファンはブラックホークが勝ち負けになるとさえ思っていませんでした。ブラックホークが大好きで応援していた私でさえ、往年の勢いがないこと、さらに高松宮記念(1200m)で2着→京王杯スプリングS(1400m)で3着と、距離が伸びて着順が悪くなってきていることも含め、さらに1600mに伸びる安田記念で馬券が買えるとは、これっぽっちも思っていなかったのでした。とにかく無事に走り切ってほしいとだけ願っていたはずです。

安田記念におけるブラックホークの走りは論理では説明できません。外が伸びる馬場だったことやペースが速かったことが影響したことは確かですが、スタミナを要求される府中のマイル戦で、7歳馬のブラックホークがあれだけ突き抜けるとは。目に見える部分(論理)だけを追っていたら、絶対にブラックホークの走りは理解できないのです。ありとあらゆることが味方し、ブラックホークが持てる力以上のものを発揮しなければ、あの結末はあり得ません。目に見えない何かが働いたということです。競馬の世界にはそういう何かがあるのです。

私はブラックホークに多くのことを教えてもらいましたが、1番心に残っていることは、どんな時でも100%の力を出して走り続けていれば、チャンスを味方につけることができるということです。周りの馬たちが次々と引退していこうとも、高齢になって衰えたと言われようとも、全力を尽くして走り続けたからこそ、最後の最後にチャンスが舞い降りたのでしょう。もちろん、走り続けるためには、自分が走ることを楽しめていなければなりません。今年の安田記念には、ブラックホークと同じ厩舎の後輩であるアパパネが出走します。彼女も走ることを楽しめる馬です。目に見えないものが見えるかどうか、楽しみにレースを待ちたいと思います。


関連エントリー
「ガラスの競馬場」:走る女

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (15)

ジュンク堂難波店ほかで「ROUNDERS」が買えるように!

新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」がジュンク堂難波店千日前店大阪本店MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店に置いてもらえることになりました!

「ROUNDERS」は取り次ぎを通していない関係で、リアル書店では手に入れることが困難な状況ですが、ジュンク堂の書店員様のご厚意により実現したコラボレーションです。新しいチャレンジに手を差し伸べてくれる人がいることを心強く思いますし、また感謝の気持ちで一杯です。こうして力を貸してもらいながら、一人でも多くのコアな競馬ファンに「ROUNDERS」が届くことを願います。

それでは、実際に私の友人がジュンク堂難波店と千日前店を訪れてくれましたので、お店の紹介も兼ねて、「ROUNDERS」が書棚に並んでいる感動的な様子を報告します。

まずはジュンク堂難波店から。

Nanba_1
マルイト難波ビルを3階まで上がってゆくと

Nanba_3
明るく綺麗なジュンク堂の入り口が

Nanba_4
見渡すかぎり書棚が並んでいます。この時点ですでに胸が高鳴ります。

Nanba_8_2
競馬読み物のコーナーに着くと、「ROUNDERS」がありました!

Nanba_9_3
1冊1冊ラッピングして、しかも大きなポップまで付けていただいています!
嬉しくて、もはや言葉がありません。

Sennichimae_1_2
嬉しさに身を任せ、千日前店にも行ってみましょう!

Sennichimae_5
こちらも競馬のコーナーに行ってみると、

Sennichimae_6
あ、ありました!

Sennichimae_7
他の並み居る競馬の雑誌を差し置いて、なんとセンターに置いてくださっています。

この後、大阪本店、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店にも置かせてもらえることになり、現在、ジュンク堂系列の4店舗にて、見本をご覧いただき、購入していただけるようになりました。ジュンク堂の大阪本店はもちろんですが、特にMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店は、ビルの地下1階から地上7階まで本が並んでいるという、超がつく大型書店らしいです(まだ私も行ったことがないのですが)。

関西圏にお住まいの皆さまは、ぜひ脚を運んでみてください。なお、在庫希少のため、万が一、品切れの際はご容赦ください(各店舗に「ROUNDERS」まだ残っていますか?と事前に問い合わせいただけると万全だと思います)。

最後に、ジュンク堂の書店員様が、「ROUNDERS」を読んでくださった書評を寄せていただきましたので、ここに紹介させていただきます。

かつて、競馬は文化であった。

過去形で、断定形で、そう言い放つことに、抵抗を感じる向きもあるだろう。しかし少なくとも、出版文化の側面から競馬を見る「書斎派」の多くには、その現実(あるいは危機感)を共有してもらえるのではないか。そう思わせるほどに、競馬活字世界の豊饒さは喪われて久しいと感じる。

菊池寛が、吉川英治が、山口瞳が、寺山修二が、志摩直人が愛し、語った競馬。もちろん今も、古井由吉や浅田次郎、伊集院静らに競馬文人の系譜は繋がってはいる。しかし昔と今とでは、「競馬を語ること」の意味がどこか決定的に変わってしまった、そんな印象は否めない。それが競馬自体のレジャー化に起因するのか、出版文化全体の沈滞に由来するのか、インターネットという新たなメディアの台頭(に伴う「プレイヤーの肉声」の氾濫)が惹起したことなのか、あるいは単なる思い込みなのかは不分明ではあるけれど。

ただ一つ確実に言えるのは、ある市井の競馬者が、そうした状況に一石を投じようとしているということだ。この『ROUNDERS』という小さな、しかし重い一石を。その波紋が一人でも多くの競馬ファンの心に届くことを、願ってやまない。

競馬に関するものから、競馬以外まで、たくさんの活字を読んできたプロフェッショナルの言葉だと思います。最後のパラグラフにおける、「『ROUNDERS』という小さな、しかし重い一石を」という一文に、私は最も心を動かされました。小さいだけで終わってはならない、そう励まし、あらゆる問題を抱えてくじけそうになっている私たちの背中を押してくれているのです。本当にありがとうございます。「ROUNDERS」は重い一石になりますよ!


「ROUNDERS」が買えるジュンク堂系列店舗(6月1日現在)
・ジュンク堂書店 難波店 アクセスはこちら
・ジュンク堂書店 千日前店 アクセスはこちら
・ジュンク堂書店 大阪本店 アクセスはこちら
・MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 アクセスはこちら

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (6)

« May 2011 | Main | July 2011 »