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悲しみのダービー

Jiromaru

オルフェーヴルのあまりの強さに圧倒され、馬券は外してしまったものの、未来の凱旋門賞馬を見てしまったような、ある種の恍惚感に浸っていた矢先、Yさんからメールが届きました。

Yさんとは「21世紀の馬券戦略ライブ」でお会いしたことがあり、それ以来、「ガラスの競馬場」の書き手と読者という関係を超えて、競馬の素晴らしさを共有する同志として、やりとりさせてもらってきました。Yさんの競馬を愛する気持ちに1点の曇りもないことを、誰よりも私はよく知っています。

そんなYさんから、「悲しみのダービー」というタイトルのメールをいただいたのです。私はちょっと意表を突かれた気がしました。確かに雨は降っていて残念でしたが、これだけ強い馬が出て来たのだから、競馬ファンとしては喜ばしい、競馬の祭典として終わったのではとどこかで思っていたからです。

ところが、で読み進めてゆくうちに、Yさんのおっしゃっていることの意味を私は少しずつ理解し始めました。そして、競馬の陽の部分しか見えていなかった自分を恥じました。馬は人との信頼関係があってこそ走る、と偉そうに言っておきながら、陰に隠れた馬と人の哀しさを見逃してしまっていたのでした。

懺悔の念も含め、Yさんからのメールを全文ここに掲載し(Yさんも承諾済み)、それに対しての返事を公開する形で答えていければと思います。まずはYさんのメールを読んでみてください。

治郎丸さん、こんばんは。先週のダービー、オルフェーヴルめちゃ強かったですね!雨の府中をあれだけ伸びてくる姿は、タイキシャトルを彷彿とさせましたね。

今日は、治郎丸さんに聞いてほしい話があってメールいたしました。オルフェーヴルの強さが目立ったダービーでしたが、私にとっては少しほろ苦いダービーとなってしまいました。

ダービーの本命馬はトーセンレーヴと書きましたが、実は今年からディープ産駒がデビューということもあり、POGをはじめたんですよ。勿論、私はディープ産駒のみ指名していたのですが(笑)、その一頭がトーセンレーヴだったわけです。

実は先週のダービーにもう一頭指名していた馬がいました。2枠4番のリベルタスです。でもリベルタスの馬券は記念馬券以外、買うことはありませんでした…。というのもリベルタスがとてもまともに走れる状態ではないと思っていたからです…。

リベルタスは2010年10月2日のデビューから2カ月半で4走という過酷ローテを課され、ディープ産駒のお披露目目的か、金子オーナーの未制覇GⅠ奪取が目的かわかりませんが、朝日杯FSに参戦。死に物狂いで3着に健闘した将来性豊かな馬に対して、疲労回復のための放牧や休養をとらせず年明けの若駒S出走という選択を…。

若駒Sは何とか押し切ったものの、陣営からは「状態が悪かった」(当り前です…T0T)とレースに使っておきながら信じられないコメントが…。馬が完全に疲弊してしまい、小手先の休養を挟んだものの十分な仕上げもできずスプリングSに出走して13着に大敗。馬はすでに燃え尽きて前進意欲を失っていたように私には映りました。

私はこの時点でせめてダービーに向けて立て直してほしいと思いましたが、陣営は皐月賞を選択。勿論、この大敗は次のGⅠへの調整と言えなくはない。結局、皐月賞出走したものの追走一杯、とても走れる状態でないと最後の直線で横山Jが大事をとって上がり3F43.2をかけてゆっくりとゴールしシンガリ負け。骨折か心房細動か、リベルタスは大丈夫か?と心配いたしましが、馬体検査の結果、身体的に異常なしということでした。

ケガでもなく、あのような競走になってしまったということは、精神的に競走意欲をなくしてしまっているのではないか?とにかく只事ではないというのは素人目にも明らかでした。

そして、この大差負けで放牧に出してもらえるだろうと思っていたところ、驚愕のダービー出走。馬は中間の調教でも走るのを放棄するかのような悲しくなるような状態で(調教VTRを見たときは泣きそうになりました…)、もうダービーではケガなく無事に完走してくれることしか望むことはありませんでした。
→リベルタスの調教映像はこちら

そしてダービー当日…。スタート直後から走るのを拒否するようにズルズル後退、四位Jが後方で何とか走らせようとするも3コーナー過ぎから姿が消え、ついに競走中止に…。もう私にはリベルタスが、人間でいう鬱状態か競馬に対して心的外傷を負っている状態に映りました。

心配していたことがついに現実に…。パトロール映像を見て胸をえぐられるようでした。皐月賞の尋常でない負け方、馬の状態を総合的に見て、陣営ではダービーへの出否について十分な話し合いが行われたのか、中間の馬の状態をどのように把握していたのか、身体的故障でもなく2走続けてまともに競走できない状態の馬をレースに参加させたことについては、陣営もしくはJRAからファンに対して何らかの説明があってもよいのではないかと思うのですがいかがでしょうか(JRAからは「異常歩様」との発表のみ)。

もし、競走できない状態だと認識した上で競馬に参加させたのであれば、それはある種の「無気力競馬」ではないかと思いますし、それはダービーを目指す他の競馬関係者にも大変失礼であり、馬券を購入するファンに対する冒涜でもあると思います。また、馬にとってはもうそれは「虐待」にあたるのではないでしょうか?

モハメド殿下も観戦に来られるような国を代表するようなレースに、日本では肉体的に異常もないのに競走できないような馬を競走させるのかと思われます。こんなことを続けていてはいつまで経っても日本は競馬後進国のままです。ダービーは出走するだけでも栄誉である…それはわかります。でもこのような暴挙が、牡牝三冠を達成したオーナーと牝馬でダービー制覇を成し遂げるような日本競馬を代表する調教師のコンビで行われたことは本当に悲しいです。人間だけでなく、馬までこんなに生きにくい世の中だなんて競馬に夢も希望もなくなってしまいます。

「単に馬が弱いだけ」と言ってしまえばそれだけかもしれません…。でもデビューから関西のレースは全て観戦に行ってリベルタスを見てきた者としては、決して気性難があるとかいう馬には見えませんでした。逆にすごく真面目で性格も従順そうな素直な印象を受けていました。事実レースでも上手く鞍上と折り合っていましたから…。立派な馬体でもあるので、若駒のときから無理使いをせず、古馬での完成を見届けたいと思っていた一頭でした。トレーナーが角居調教師、オーナーが父ディープを所有していた金子オーナーならきっと大切に育ててくれると思ったのに…。

「ROUNDERS」の「走れドトウ」を読みながら、リベルタスはどんな気持ちでこの春の競走に臨んでいたんだろうと思うともう悲しくてやりきれませんでした…。ちょっと競馬がイヤになった2011年日本ダービーでした。長々と読んでいただいてありがとうございました。どうしても心ある方に聞いていただきたかったのです。

次回、私なりの返事を書かせていただきます。

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Comments

治郎丸さん いつもどうもです(^-^)


これで不可解なレースのつじつまが合いました。

哀しいとゆうより憤りすら感じましたね。馬主や調教師の方にも絶望しましたね。


強い者は何をしても許されるんですかね?


リベルタスがどれほどの悪いことをしたのでしよう?

ただひたすらみんなためにみんなの喜んだ顔が見たくて一生懸命に命磨り減らしながら頑張っているのに…


馬に合わせた馬優先の人達なんだと信頼していただけに絶望しましたね。

Posted by: ユビキタス | June 11, 2011 at 06:54 AM

ユビキタスさん

こんにちは。

リベルタスの走りを見ると哀しいですよね。

Yさんの返事に詳しくは書いていきますが、
歯車が狂ってしまうということもあると思います。

彼らは素晴らしいホースマンですから、
もちろん自分たちの利だけを考えてリベルタスを出走させたのではないと私は信じます。

でもこういった現状があることをまずは知ってもらいたかったのです。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 12, 2011 at 10:03 AM

こんにちは^^
 
実は僕もYさんと同じ憤りを感じていました。
個人的には僕は以前から角居調教師が好きではありませんでした(若愉などあちこちのブログでコメントしてますが)。
彼は調教師としての手腕は超一流です。
それは認めます。
でも管理馬のローテ等には以前から疑問を持っていました。
アヴェンチュラは調整段階で熱発があり、明らかに調整不足でしたが阪神JFに出走させられました。
ディアデラノビアの3歳春のローテもひどかったです。
ウォッカも幸い故障等はありませんでしたが、エルフィンSは何の為に出走させたのか未だに謎です。
ダービーだって、牡馬が繁殖入りする可能性を奪うことに繋がるのを考えると、僕は好意的には評価できません。
もちろん、オーナーの意向等の事情があったのかもしれませんし、あれほどの調教師ですから、素人にはわからないような深い考えがあったのかもしれません。
でも、これだけ続くと馬を道具としてしか考えていないのではないかと邪推してしまいます。
ヴィクトワールピサに関しても今年も凱旋門賞に出すようですが、確か去年は距離が少し長いとか馬場が合わないとか仰っていたはずなんですよね...。
彼が僕が思っているような人間ではないことを願ってやみません(そうでないと彼が手掛ける馬が不幸ですし)。
 
ダービーを見て感じた怒りがぶり返してしまい、なんかズラズラと文句のようなものを書き連ねてしまってすいませんでしたm(_ _)m


Posted by: クロス | June 12, 2011 at 11:09 AM

皆様、初めまして。


リベルタスの心境 、、、


恥ずかしい話 、、、


年甲斐も無く涙が出ました。

元気になって欲しい。


ただその事を祈ります。

稚拙な文で申し訳有りません。

競馬歴4年、44歳の親爺より。

Posted by: 葛飾 孔 | June 12, 2011 at 02:05 PM

こんばんは。
僕も皐月賞のリベルタスを見て素人の僕にも休養が必要だと思いました。まさにデットヒートの代償にもあった精神的に走る気力がなくなっているんだと思いました…なのにまさかのダービー出走で驚きました。でも逆に角居調教師が出走させたんなら大丈夫なんだろうと思ってましたが結果は酷いもんでしたね。。。

ダンスファンタジアやトーセンレーブのローテーションを見ても、とりあえず出走させたらOKなのかと勝てると思って出走させてるようには思えません。

無理なローテーションの影響がでない事を祈ってます。

Posted by: シン | June 12, 2011 at 11:00 PM

治郎丸さん、こんにちは。
頑張って走っていたリベルタスの様子がおかしくなったのは
素人の私でもさすがに分かり、ずっと不安でした。
ダービー出走も、競馬仲間と「なぜ?」と顔を見合わせました。
競走馬として生まれた以上
彼(リベルタス)がこれから復活できるのかを
見守り続けようと思いますが…。

Posted by: チコ | June 13, 2011 at 11:37 AM

久し振りにサラブレッドに愛情あるコメント読ませて頂きました。本当に酷いものだと思います。 今のJRA競馬はまさに世相反映してます。勝ち組社台の独禁法違反に失格ルールの不明確、また馬場状態の不開示。勝ち組のKオーナーには誰も逆らえない。しかし、一世を風靡したかのS氏も今は平家の様相。そう、このままバブルのように繁栄し続けるはずがない。
ひたすらサラブレッドを愛し続けたメジロ牧場も無くなり、悲しいの一言。しかしながらメジロの血が騒ぐ地味な血統のダービー馬が現れて胸がすーっとしたもんだ。
大事に育て上げれば素質は開花する。かのステイゴールドの如く大器晩成益々強くなって何時までも走ってほしい。そう願ったダービーでした。

Posted by: ミスターケリー | June 14, 2011 at 12:04 AM

クロスさん

こんにちは。

おっしゃるように、私たちには知れない部分があると思います。

個人的に角居調教師とお会いしたことはありませんが、彼を知る人は例外なく素晴らしい人物と評します。

私もそう思っています。

もちろん、どんな素晴らしいホースマンにも間違いはあると思いますし、リスクを取らなければ超えられない壁もあると思います。

難しいですね。

リベルタスのことを考えると、結局、競馬ってなんだろうと思ってしまいますよね。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 14, 2011 at 09:52 AM

葛飾 孔さん

こんにちは。

本当にリベルタスには元気になってほしいですね。

また無事にレースに出走して、元気な姿をみせてくれるのが何よりです。

かなり難しい道ですが、リベルタスにその生命力があると信じましょう。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 14, 2011 at 09:53 AM

シンさん

こんにちは。

どうしてもローテーションに合わせたローテーションになってしまう馬が多いことは確かです。

昔のように悠長なことを言ってられない時代になってきているのでしょう。

長い目で見ればマイナスになる可能性があるのに、それでも出走させざるを得ない、そんな状況もあるのかもしれません。

今思うことは、とにかくリベルタスに再び本来の走りをみせてくれるように復活をしてほしいということです。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 14, 2011 at 09:56 AM

チコさん

見守りましょう。

角居調教師や金子オーナーのことですから、
必ずや復活させてくれると思います。

このまま終わってしまっては、哀しすぎますから。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 14, 2011 at 09:58 AM

ミスターケリーさん

確かに昔のように馬に合わせたローテーションという悠長なことが言っていられない時代なのかもしれません。

そんな中でも金子オーナーや角居調教師は少しでも馬のためを考えて行動するホースマンだと信じていますので、これからのリベルタスの復活に期待したいところです。

詳しくはYさんの手紙への返事という形で書きたいと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 14, 2011 at 10:00 AM

こんなレース間隔で走った馬がいます

2010年8月28日の1400mのレースから始まり 9月18日1800m 10月9日2000m 10月23日2040m 10月30日2000m 11月2日3200mと走りました

ご存知かもしれませんが、どんな馬だと思いますか?


So You Thinkという名前オーストラリアの馬です

信じられないローテーションだと思うんでしょうか?
でもオーストラリアの一流クラスの馬が当たり前にやってるローテーションです


では、どんな馬だったら出走をしないのでしょう?

故障の可能性があればもちろんでないでしょう

でも走る気のなくなった馬を休ませれば、それだけで必ず走るようになるんでしょうか?
もちろんリフレッシュも必要でしょうが、レースを使いながら走る気が出ることもあるんじゃないでしょうか?

走る気が無くなって走らなくなればどんな良血でも処分されても仕方ないのが競走馬の世界です

夢やファンの望みの前に経済動物だから

走れなくなれば命が無いかもしれない

それを調教師が分かっていないはずがないですよね?

調教師は最善を尽くしている

見てる側は好き勝手に批判もする

どちらのほうが他人事なのかはハッキリしてるんじゃないでしょうか?

関わってる人達の方が真剣に馬のことを考えていると思います

ダメにさせるつもりで走らせることはないと思いませんか?


馬主さんの中にはそんなに馬の事を考えていない人もいるとは思いますがね・・・


Posted by: kazz | June 15, 2011 at 08:11 AM

自分は馬主でもないし調教師でもありませんから詳しい内情はわかりません。いろいろな事情や絡みがあると思いますがすべての馬主や調教師さんが馬のことを考えてるとは思えません。なぜならサンエイサンキューの馬主の岩崎喜好のような人や立場上の問題で何もゆえないでいる調教師さんがいるからです。お金の問題で甘いことをゆってられないこともわかりますが馬にも人にもいい時代がやって来るようにと願わずにはいられません。

Posted by: ユビキタス | June 16, 2011 at 01:03 PM

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