秋のG1戦線を占う:3歳牝馬編
次に、前哨戦であるローズSが今週末に行われる、3歳牝馬のクラシック戦線について占ってみたい。牝馬の場合、総じて完成が早い、早熟なタイプが多いため、秋を迎えて大きく成長する馬は少ない。中にはファインモーションのような秋から勝ち上がってくる大物もいるが、あくまでも稀な例として考えてよい。つまり、春の時点での力関係が、ほとんどそのまま秋にも反映されるということである。
そう考えると、桜花賞で1、2着したマルセリーナとホエールキャプチャはオークスでも上位を占めており、この2頭の力上位は揺るがないものがある。それに加え、忘れな草賞を勝って、オークスを制したエリンコートも実績上位である。そして、春のクラシックを怪我で棒に振ったが、クイーンSを勝って最後の1冠に臨むアヴェンチュラも侮れない。もし桜花賞やオークスに出走していたら、好走していたに違いない能力を秘めた馬だと思うからだ。
マルセリーナは、ディープインパクト産駒らしく体の小さなところはあるが、のんびりとした性格の馬で気性のカリカリした面はない。道中は押していかなければ前へ進もうとしないほどで、だからこそ安藤勝己騎手も距離が伸びて良いと考えたはず。ところが、桜花賞で驚くべき切れ味を発揮して、肉体的にはマイラーであることを示した。800m距離が伸びたオークスでは、位置取りが消極的になってしまったことに加え、重馬場に切れ味を殺されてしまい4着と敗れてしまったが、決して距離が長かったということではない。マルセリーナの気性を考えると、たとえ肉体的にはマイラーでも、むしろ少しゆったりと走れる2000mぐらいの中距離の方がレースはしやすいだろう。秋華賞とエリザベス女王杯の王道を進むとしても、距離面での心配は全く要らない。むしろ、ディープインパクト産駒の夏を越しての成長力が期待される。
ホエールキャプチャは勝ち運に恵まれない馬である。完璧なレースをした阪神ジュベナイルFではレーヴディソールという圧倒的に強い馬に差され、100%の状態に仕上がった桜花賞では、外枠を引いて、外々を回されてしまう不運があった。オークスではなぜかスタートで後手を踏んでしまい、池添謙一騎手はそこからは上手く乗ったが、3着に追い上げるのが精一杯であった。絶好調であれば突き抜けていたはずだが、体調が少し下降線を辿っていただけに伸び切れなかった。父は短距離志向のクロフネだが母系はスタミナに富んでいるだけに、2000~2200mの距離自体に不安はない。あるとすれば、春の激戦の疲れが癒えているかどうかという点だろう。
エリンコートは重馬場のオークスで頂点に立ったように、パワーとスタミナに富んだ馬である。デュランダル×エリンバードという血統イメージに囚われてしまうと見誤ってしまうが、実は母系を遡ってみるとスタミナ血脈にも行き着く。この馬のオークス制覇を考えるにつけ、血統の難しさと不思議さを思わずにはいられない。馬体を見ると、オークス時は幼さを含む柔らか味に溢れていたが、夏を越してパワーアップが著しい。馬体が大人になってきた、成長してきたということである。その馬体の成長が良い方向に出るかどうかは、走ってみなければ分からない。
アヴェンチュラは3歳夏の時点で古馬相手に重賞を勝ったことからも、3歳世代のトップクラスの実力を持つことが分かる。しかも、正攻法の競馬で勝っただけに価値が高い。また、春のクラシックを走っていないことで、かえって肉体的なダメージは少ないばかりか、成長の度合いも大きいはず。夏を越し、札幌2歳Sを勝った時から10kg以上も馬体重を増やしているように、数字にも表れるほど肉体が成長している。姉トールポピーは跳びが大きく、ややハミ受けが悪そうな印象を受けたように、秋華賞の芋を洗うようなレースには対応できなかったが、アヴェンチュラは姉に比べて首の使い方が柔軟で、反応が良いことからも、秋華賞は十分にチャンスがあると見る。

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