厳しいレースがサラブレッドを育てる
by mkoichi
天皇賞秋2011-観戦記-
シルポートの宣言どおりの大逃げによって、前半1000mが56秒5という激流が作り出された。時計が出やすい硬い馬場であったことを考慮に入れても、どの馬にとっても息の入らない極限の流れ。厳しさという点においては、2008年にウオッカが勝利したレースに似ている。あの時もそうであったが、こういうレースでこそ馬の真価が問われる。このペースを追走し、掲示板に載るような走りができた馬は総じて強い。たとえ今日は負けたとしても、次走以降での好走が期待できる。厳しいレースがサラブレッドを育てるのだ。
勝ったトーセンジョーダンは潜在能力をようやく開花させた。ぶっつけで臨んだ宝塚記念こそ凡走したが、立て直した札幌記念をひと叩きされて、究極の仕上がりにあった。N・ビンナ騎手も速いペースの中団につけて、上手く流れに乗っていた。最後は馬場の良い外側に持ち出されると、弾けるように伸び、後ろから迫ったダークシャドウを抜かせなかった。3歳時から活躍を期待されたものの、脚元の関係からなかなか思うようにレースを使えなかった素質馬が、何度もG1レースの壁に弾き返されながらも少しずつ力をつけ、大一番で最高のパフォーマンスを見せてくれた。ここ最近は調教での動きも目立っていたように、陣営もトーセンジョーダンの成長に確かな手応えを感じていたのではないだろうか。これだけのレースができたのだから、ジャパンカップでも有馬記念でも十分に力は通用する。あとは激しいレースの反動をいかに癒すことができるかどうかにかかっている。
ダークシャドウは最高につくり上げられた馬体でレースに臨んだが、あと一歩及ばず、敗れてしまった。最後の直線の入り口で一瞬前が壁になるロスはあったが、最後はステッキを嫌がって尻尾を振っていたように、初めて味わう厳しい流れに苦しがって逃げようとしていた分の負けである。前走の毎日王冠が楽なレースだったことも伏線とはなっているが、最後まで踏ん張ることができなかったのは残念である。こういう癖を出す馬は、また次のレースでも同じように反抗して、ファイトしなくなる恐れがある。ステッキを使わずに追う方が良いのかどうか分からないが(だとすれば福永騎手からの乗り替わりが裏目に出た)、能力の高さ自体は証明されたのだから、たとえ距離が2400mや2500mに伸びたとしても、チャンスは十分にあるだろう。
ペルーサは昨年と同様に後方を追走し、最後の直線に賭けてハマった感が強い。とはいえ、これだけのペースを追走して差してきたのだから、この馬も強い。今年春は前に行く競馬を試してみたが、やはり後ろから自分のリズムで走る方が合っているようだ。横山典弘騎手もこれからはこの形で行こうと心に決めたことだろう。
ブエナビスタは積極的な競馬をして、進路が塞がるロスがあったが、最後まで伸びて4着。マイナス10kgと仕上がりは良く、現時点での力は出し切っている。年齢的なものもあり、どうしても肉体的、精神的な衰えは隠せない。それでもこの走りができるのだから頭が下がる。およそ2年間にわたって、一線級の古馬(牡馬)に混じって勝ち負けを繰り返してきたことを最大限に評価したい。この秋、G1レースを勝ち切れるイメージは湧かないが、それでもこの馬こそが史上最強の牝馬である。
トゥザグローリーは休み明けにもかかわらず見せ場を作った。福永祐一騎手がこの馬を選んだのかどうか分からないが、春ラスト2走の凡走を覆すような走りに、改めてこの馬の強さを認識した。道中のポジションや追い出しのタイミングも見事であった。やや細く映ったように、きっちりと仕上がってはいたが、ひと叩きされた次走はさらに期待が持てる。広々とした東京競馬場で行われるジャパンカップ、パワーが要求される暮れの中山競馬場の有馬記念、どちらでも良いだろう。
宝塚記念馬アーネストリーは、大外からの発走に加え、ハイペースに巻き込まれてしまったことによって大敗を喫した。ここまで大きく負けてしまったということは、体調自体も万全ではなかったのだろう。春のシーズン最後にある宝塚記念でピークに仕上げた馬を天皇賞秋で再び勝たせるのは難しい。体調を維持するには間隔が長すぎるし、つくり直すには短すぎる。





















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そんなことをしているうちに、菊花賞の発走時刻は近づき、空がどんよりと曇り始め、ぽつぽつと雨が降ってきました。なんとか菊花賞まではもってくれと願いつつ、パドックに向かいました。3冠馬をひと目見ようと、さすがに人だかりができていて、遠目にオルフェーヴルを確認するので精一杯。オルフェーヴルにはジワっと程良い気合が乗っていました。後ろを歩いていたウインバリアシオンが恐ろしいぐらいに落ち着いていて印象に残りました。騎乗の合図が掛かり、池添謙一騎手は2、3度軽くジャンプをして、緊張をほぐしてからオルフェーヴルに跨りました。




























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