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牡馬を尻目にカレンな勝利

Sprinterss2011 by mkoichi
スプリンターズS2011―観戦記―
パドトロワが行き切る展開で、前半3ハロンが33秒0、後半が34秒4という、スプリンターズSとしては平均的なペースで道中は進んだ。流れがそれほど速くなかった分、前に行った馬にやや有利なレースとなり、馬群が密集して直線に向いてゴチャついてしまった。どの馬にも手応えが残っているため、バテて下がってくる馬がおらず、前に馬がつかえて壁になってしまうのである。特にスプリント戦では、こういうちょっとしたロスが致命傷となってしまう。

好位の外を追走したカレンチャンが楽々と抜け出して、5連勝でスプリント界の頂点に登り詰めた。5連勝するだけでも難しいのに、最後は牡馬を尻目にG1の壁までも破ってしまったのだから恐れ入る。夏に使われてきた馬が、秋のG1シリーズで息切れしてしまうパターンを何度も見てきただけに、その可憐な勝利には正直驚かされた。中山の急坂を克服しただけではなく、これだけ長い間ピークを維持することができたカレンチャンの健康さと陣営の手腕には拍手を送りたい。池添謙一騎手の無心の騎乗も吉と出た。

2着に粘ったパドトロワは体調が戻っていたことが大きい。輸送に弱かったり、キッチリ追い切りができなかったりと、この夏は決して満足のいく走りができなかった。栗東の坂路がよほど合っているのだろうか、マイナス10kgと、ようやくこの馬の本来のスピードを生かすことができる状態に仕上がっていた。切れる脚がないことを見越して、内枠を利してハナに立った安藤勝己騎手の判断も見事であった。最後の直線で内に寄れたことで審議となったが、レースの流れの範囲内であり、あの状況でラッキーナインが内を突いたこと自体が無謀であろう。普通なら、あそこは開けないし、開かない。

エーシンヴァーゴウも夏からの好調を維持して3着に粘り込んだ。前に有利なレースになったことは確かだが、ここに来て急激に力を付けている。今となってはコーナリングの問題もなく、周りに馬がいる形になってもビクともせず、精神面での成長も著しい。使い詰めで来ているだけに、この後はしっかりと休養を挟んで、来年もまた卓越したスピードと気の強さを見せてほしい。

圧倒的な1番人気に推されたシンガポールのロケットマンは、力を発揮することなくレースを終えた。包まれたとはいえ、外から来たカレンチャンの脚色の方が勝っていたし、最後にスペースが開いたときにはすでに脚が残っていなかった。いかにもスプリンターらしい激しい気性の馬だけに、長距離輸送がこたえたのだろうか。トモが薄く見えたように、決して本調子にはなかった。たとえ最強のスプリンターとはいえ、海外から遠征して来て勝つことはそう簡単ではない。

ダッシャーゴーゴーは行き場をなくして大敗した。ここまで全く追えないレースも珍しく、リベンジを期して臨んだ川田将雅騎手の無念は察して余りある。それでも敢えて言うならば、高松宮記念で強引に先行して押し切れなかったこと、そして前走のセントウルSで引っ掛かったことなどが伏線となり、今回は無理をさせず、この馬のペースで行こうと決めていたことが裏目に出てしまった。スプリンターにしては珍しく、自分から行くタイプではないので、馬任せにしたばかりに、やや流れに乗り遅れてしまった。その僅かなポジション取りが、ここまで致命傷になるとは思ってもみなかっただろう。仕上がりは良かっただけに、G1レースに縁のない馬なのだろうかとさえ思ってしまう。

G1レースを勝てる力がありながら、結局、勝てずに生涯を終えてしまう馬はたくさんいるし、一気にスターダムに登り詰める馬もいる。同厩舎で明暗が分かれた今年のスプリンターズSであった。

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