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胸が締めつけられるような

Elizabeth2011 by Scrap
エリザベス女王杯2011―観戦記―
逃げるはずのダンシングレインに行き脚がつかず、その代わりにシンメイフジが思い切って先頭に立ったものの、前半1000mが57秒5という無謀なペースでレースを先導した。後続グループとは10馬身以上離れており、上位に入った馬たちの上がりを見ても、レース全体の流れとしてはややスローといったところか。最後の直線では、勝ちにいった3歳馬ホエールキャプチャを女王アパパネが捕らえ、さらにその外から秋華賞馬アヴェンチュラがねじ伏せたと思った矢先、昨年の覇者スノーフェアリーが間を割って突き抜けた。胸が締めつけられるような激しい叩き合いであった。

勝ったスノーフェアリーはもはや牝馬というカテゴリーを超えている。ペースを考えると外枠は不利だったはずだが、最後の直線だけで全てをはねのけてみせた。今年に入って、怪我から復帰してからなかなか勝てずにいたが、相手が強かったり、流れが向かなかったりというレースが続いていただけで、力が落ちているわけではなかった。愛チャンピオンSでは59kgを背負って2着、凱旋門賞では58kgを背負って3着した馬にとって、牝馬限定のG1戦で56kgでは裸同然に感じたに違いない。それほど馬体の大きい馬ではないだけに、軽い斤量で走られる日本では、より一層に切れ味が増すということだろう。激戦を戦ってきたのち、長距離輸送を克服しての勝利だけに、圧倒的な力の違いを見せ付けられたというのが正直な感想である。

ライアン・ムーア騎手は昨年に続き冷静な騎乗で勝利を掴んだ。昨年は1頭だけ内を突いて周囲を驚かせたが、今年も大外発走のスノーフェアリーをいつの間にか4コーナー手前で内に導いた。まるでもう何年も京都競馬場で乗っているようなコース取り。スノーフェアリーほどの実力があれば、外を回してもギリギリ勝てたかもしれないが、あそこで内に進路を寄せて脚をためていたからこそ綺麗に勝つことができた。今回のレースを観て、日本の騎手は何を思うだろう。馬の抑え方から道中のコース取りに対する考え方、そして馬の追い方まで、何度も何度もリプレイして、超一流の騎手から何かを学ぶべきである。

アヴェンチュラは、負けはしたものの、今回は相手が悪かった。前走は2000mのスピードレースになったため、行き過ぎてしまわないよう、岩田康誠騎手は慎重にスタートから出していかなかった。そのせいもあってか、道中では思っていた以上に折り合いがついていた。今年の春を怪我で休んだことで、肉体的にもパワーアップしたと同時に精神的にも大人になっている。姉トールポピーに比べ、ハンドルが利きやすくロスが少ない馬だけに、安定して力を発揮することができる。骨折が判明したのは残念だが、今日の走りを見る限り、牡馬の一線級に混じっても好勝負できるはず。

アパパネは手応え良く追走し、4コーナーを絶好の形で回ってきた。先に抜け出したホエールキャプチャに迫ったときの迫力は往年と変わりなく、身体も気持ちも最後の牝馬限定G1レース制覇に向けて仕上がっていた。世界の強豪と勢いのある3歳馬に敗れてしまい、記録達成とはいかなかったが、自身の力を出し切ってのものだけに悔いはない。年齢的に、若駒の頃と比べて良化に少し時間が掛かっているということもあり、まだ望みはある。

3歳馬ホエールキャプチャは積極的な競馬をして力を出し切った。前走のように、なし崩し的に脚を使わされるレースよりも、今回のようにタメる競馬の方が合っている。G1レースのタイトルには手が届かなかったが、これだけの走りができたのだから、あらゆる条件が合えば勝ち切るだけの力は持っている。同じく3歳馬のレーヴディソールは、休み明けでの距離延長はさすがに苦しかった。1度使われての変わり身に次は期待したい。

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Comments

アヴェンチュラ…これからなのにこの馬ならもっと上を狙える最有力の馬だけに残念で仕方ありませんね。


しかし不幸中の幸いレース中に骨折していたのにも関わらず大事にならなくてほんとうに良かったです。


ゆっくり休養してまた元気にターフに1日も早く帰って来て欲しいですよね。

Posted by: ユビキタス | November 16, 2011 at 10:47 AM

こんにちは。
勝つとしたらスノーかアヴェ、勝ってほしいのはホエールかアパパネ…と思っていた自分にとっては納得のいく結果でしたが、改めてスノーフェアリーの強さ、ムーア騎手の手綱捌きには愕然としました。もう、お手上げとしか…。
上位に来た日本馬たちはスノー相手に本当によく頑張ってくれたと思います。アパパネも見事に巻き返してくれましたね。個人的には、昨年のような不満は感じませんでした。ただ、アヴェンチュラの骨折だけは残念です。来年の牝馬戦線は間違いなく主役の一角だろうと思えただけに…

ホエールは結局無冠でしたが、大きな乱調もなく毎回よく頑張ってくれました。今後も引き続き応援したい一頭です。

Posted by: クロサキ | November 16, 2011 at 05:58 PM

ユビキタスさん

こんばんは。

リプライが遅くなりまして申し訳ありません。

アヴェンチュラは大変残念なことになりましたね。

ただ、この馬は春のクラシックを棒に振ったことで、肉体的にも精神的にも成長を促せたという面もありますので、怪我の功名というか、塞翁万事が馬ということなのだと思います。

とにかく無事に帰ってきて欲しいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 18, 2011 at 11:00 PM

クロサキさん

こんばんは。

リプライが遅くなりまして申し訳ありません。

>勝つとしたらスノーかアヴェ、勝ってほしいのはホエールかアパパネ…

その気持ちよく分かりますね。

私は今年はアパパネを応援すると決めていましたので、ほぼ迷いなく心中することができましたが、勝つのはアヴェンチュラなのかなと思っていました。

それにしてもスノーフェアリーは強いです。

アウェーの不利などあっさりと撥ね返してしまうだけの圧倒的な強さがありますね。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 18, 2011 at 11:02 PM

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