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「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」

G1racekatikata

藤沢和雄調教師に関連した書籍や雑誌は全て読み、「ガラスの競馬場」でも紹介してきたつもりだが、この本だけはなぜかタイミングを逸してしまった。もったいぶっていたわけではなく、G1シリーズが始まってからと思っていたら、それ以外にも書くことが山ほどあって、机の上に積んだままになってしまっていた。お客様が来たら出そうと思って、大事にしまい込んでいたが、いつのまにか忘れてしまった高級なお酒に似ている(私はお酒を飲まないのでこの比喩が正しいかどうか自信はないが)。春まで待っているとまた同じことの繰り返しになるので、今度こそは思い切って紹介してみたい。

「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」は、年間で22ある中央競馬のG1レースそれぞれについて、平均して5つぐらいの重要なポイントを抽出し、藤沢和雄調教師が自ら語るという内容になっている。無理矢理こじつけたようなデータでは決してなく、競馬ファンがG1レースの馬券を買う上で必要だろうと思われる知識をきっちりと説明してくれている。馬券で勝ちたいという下心で読み始めてもいい。いつの間にか、競馬やサラブレッドの奥深さに気づき、それらの本質に手が届くはずである。

全てというわけにはいかないが、せっかくなので、私の心に残っている金言を少しだけ紹介したい。

「牝馬は古馬になると下降線をたどる」

牝馬、牡馬を問わず3歳・古馬の混合戦は、古馬が圧倒的に有利だ。3歳馬は斤量が2キロ、3キロ軽いから…というレベルではない。古馬はタフだし、1年間、競走馬としてやってきたことはすごい強みだ。

しかし、牝馬の中には古馬になって駄目になってしまっている馬も多い。牡馬とぶつかって、もみくちゃになってしまっているからだ。牝馬にとって牡馬の古馬と戦うことは、とてもつらいことだ。牝馬と牡馬では威圧感がまるで違う。

最近は、ウオッカやダイワスカーレット、そしてブエナビスタといった強い牝馬が続々と出現しているため忘れられがちだが、牝馬にとって、牡馬の古馬と戦うことは大変厳しいことなのだ。身体の大きさや骨格も違うし、なんと言っても、精神的な威圧感がまるで違う。牝馬同士のレースだと好走するが、牡馬との混合戦では良いところがない牝馬は、牡馬と一緒のレースで走るときの厳しさに耐えられないことが多い。走る能力うんぬん以前の問題であり、常に威嚇されることで、レースに集中できなくなってしまうのだ。

そう考えると、長きにわたって牡馬の古馬と闘いを繰り広げた、ウオッカやブエナビスタの強さがより強調されるはずである。普通ならば、肉体的にも精神的にも揉まれて、燃え尽きてしまったり、萎縮してしまったりするところを、あれだけぶつかり合って、逆に相手をねじ伏せるようにして天皇賞秋などを勝ってしまったのだから凄い。同じように牡馬の古馬を相手に一歩も引かなかったエアグルーヴは、母としてその強さを余すところなく伝えている。おそらく、ウオッカとブエナビスタの芯からの強さも、時代を超えて伝わってゆくに違いない。

「札幌はタフでなければ勝てない」

北海道で使うというのは、もちろん涼しい気候が馬のためによいということだ。北海道へ移動してきたとたんに元気になる馬がたくさんいる。

気候だけでなく、競馬場もいい。札幌は芝で1500m、1800m、2000mとバリエーションがあるのもいいし、ヨーロッパの馬場に近いタフな馬場だから、本当に能力がないと勝てない。

古馬の強豪がそろう札幌記念で好走するようだと、秋はどこへ行っても通用する。

(中略)

ついでにいえば、札幌はごまかしが利かないので、騎手の技量も要求される。ここでのリーディングジョッキーは、「うまい騎手」といっていいだろう。

これに関しては、説明する必要もないだろう。昨年の札幌記念を勝利したトーセンジョーダンは典型的な例である。それまではG1レースのタイトルはなかったが、札幌記念を勝つや、天皇賞秋をレコードで制し、ジャパンカップでもブエナビスタの2着に食い下がった。ヨーロッパの馬場に近いタフな馬場で勝ち切れるような馬は、本物の能力があるということだ。だからこそ、人気の盲点にはなっていたものの、天皇賞秋のスピードレースにも対応できた。

また、2011年の札幌リーディングは池添謙一騎手であった。オルフェーヴルとの出会いはあったにせよ、昨年、特に夏から秋にかけての目を見張るような活躍は、池添騎手の技術が円熟の極みに達してきたゆえである。ごまかしの利かない札幌競馬場でのリーディングは、上手い騎手であることの証明であるのだ。

こう考えると、昨年の秋のG1シリーズにおける、トーセンジョーダンの激走や池添謙一騎手の跨ったカレンチャン、エイシンアポロンの好走までも予見できた気がするのは私だけだろうか。少なくとも、たった1つのヒントにこれだけの意味が込められていることは分かっていただけるはずである。

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Comments

 そうでしたね。もっと早く教えてもらっていれば・・・。
 札幌記念・・・トーセンジョーダン(福永)
 クイーンS・・・アヴェンチュラ(池添)

 偶然ではなく・・・当然だったのか。

Posted by: 玉ちゃん | February 02, 2012 at 07:49 PM

玉ちゃんへ

偶然ではなく必然だったのかもしれませんね。

私もあとになって気づいたので、なんともいえませんが(笑)。

それでもトーセンジョーダンが勝ったときには地団太踏みましたよ。

札幌記念を勝つ馬が天皇賞秋で人気にならなければ狙い目ですよね。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 04, 2012 at 09:53 PM

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