舞い降りるべき人の下に

池江泰郎元調教師が昨年12月、スポーツ功労者文部科学大臣顕彰を受賞されました。中央競馬の関係者としては8人目。メジロマックイーンやステイゴールド、ディープインパクトといった、歴史に名を残す名馬を育てたことなど、騎手時代から調教師を引退するまで、長きにわたって競馬界の発展に貢献してきたことが認められました。「こんな賞をいただけるとは思ってもいなかった。うれしい」、そう語りながら池江泰郎元調教師は感激していた、という話を聞いて、あるシーンが脳裏に蘇ってきました。
今から8年前、私は縁あってキングカメハメハの日本ダービーの祝勝会に参加させてもらいました。そこにはテレビや競馬場で観たことのあるジョッキーや調教師たちが集い、それぞれに金子真人オーナーを祝福していました。思い返せば、私はこのとき初めて、競馬関係者と直接話をしたのでした。ポツンとお酒を飲んでいた安藤勝己騎手に話しかけたりして、私は競馬ファンを思いっきり満喫しました。そんな中、金子真人オーナーに、招待していただいた御礼を伝えるとともに、写真を撮らせてもらうようお願いをしたところ、たまたま近くにいた池江泰郎調教師(当時)も一緒に入りませんかという話になりました。あのメジロマックイーンを管理した池江泰郎調教師とも一緒に写真に写れると思い、嬉しくて仕方ありませんでした。
ところが、池江泰郎調教師は、「いえいえ、私のような者は…」と言って、なかなか写真に入ろうとしません。「まあまあ、そうおっしゃらずに」と金子オーナーが再度誘ってくれたので、池江泰郎調教師は申し訳なさそうに横に立ち、なんとか一緒に写ってくれたのでした。調教師というと、偉そうにふんぞり返っている人という先入観が私にはあったので、名調教師または伯楽として名の知れた池江泰郎調教師の背中を丸めて恐縮している姿を見て、心が洗われるような気持ちになったのでした。あのときの驚きは忘れられません。私の祖母がよく言っていた、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉の意味が分かった気がしました。
そして、翌年、金子真人オーナーの所有馬であるディープインパクトが、池江泰郎調教師の手によって3冠馬となったとき、名馬というのは、舞い降りるべき人の下に舞い降りるのだなあ、と実感しました。
池江泰郎調教師は2011年に調教師を引退し、今は競馬評論家、解説者として活躍されています。何よりも、息子さんである池江泰寿調教師の管理する馬がG1レースを勝ったとき、一緒に口取りをしている姿が印象的ですね。特にオルフェーヴルという名馬は、自身が育てたメジロマックイーンが母の父、ステイゴールドが父という池江ブランドですから、思い入れもひと一倍強いはずです。父から子へ。「たまたまですよ」と池江泰郎元調教師は背中を丸めて謙遜されるかもしれませんが、やはりオルフェーヴルも舞い降りる人たちの下に舞い降りたのだと思います。

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Comments
治郎丸さん いつもどうもですo(*⌒O⌒)b
これもまた説明がつかない不思議な目には見えないけれど繋がるとゆう縁とゆうものなんでしようね。
横山騎手や四位騎手がゆっていたことの人が馬を助けてあげれば馬も人を助けてくれるとゆうことなんでしようね。
因果応報とゆうのは良いことも悪いこともみんな自身に帰って来ますからね。
池江調教師はそうゆった意味でもきっと調教師だけではなく人としてもとても出来た人なんでしようね。
いろんな縁がありますが治郎丸さんにしたら最高な縁の一つですねヽ(・∀・)ノ
Posted by: ユビキタス | January 24, 2012 at 11:41 AM
こんばんは すばらしいエピソードありがとうございました。ROUNDERS3に載りそうなお話ですね。
いかにも威張った態度の方、スタッフをあごであしらうような方・・・いろんな方がいます。結果がついてこなければ、人は離れていきます。他人の声に耳を傾けることを忘れたら、落ちていく日も近いでしょう。
常に好成績を上げている人は、日ごろから試行錯誤しながら改善を図っていらっしゃるのでしょう。見習いたいです。
Posted by: 玉ちゃん | January 24, 2012 at 11:36 PM
ユビキタスさん
こんにちは。
些細な出来事でしたが、とても不思議な感覚があって、今でも覚えているシーンです。
その後の活躍を見ても、世の中は良い意味でも悪い意味でもつながっているのかなあと思いました。
息子さんの表彰式に一緒に参加するなんて、さぞかし誇らしくて嬉しいだろうなと思います。
素直におめでとうございますと言いたいですね。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 25, 2012 at 10:04 AM
玉ちゃんへ
こんにちは。
息子さんの話では、とても厳しい方だったということですが、謙虚な姿勢を持ち続けた方だと思います。
自分には厳しいけど、他人には思いやりがある。
そんな素晴らしい方だったからこそ、
たくさんの人と馬が育てることができたのでしょう。
私も見習いたいと思います。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 25, 2012 at 10:06 AM