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オルフェーヴルの光と影(その後)

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オルフェーヴルが走るのをやめて逸走した阪神大賞典からおよそ1ヶ月が経ち、競馬ファンの興味はオルフェーヴルが春の天皇賞でどのようなレースをするかに移ってきている。それは当然のことであり、今さら過去をほじくり返しても仕方ないのだが、あの事件の真相が掴めていないまま天皇賞春におけるオルフェーヴルの走りを占うのも何だか気持ちが悪い。せっかくの機会なので、今一度、阪神大賞典におけるオルフェーヴルの逸走について考えてみたい。

まずあの一件について、競馬ジャーナリストや競馬ファンがそれぞれの見解を抱いていたことに驚いた。同じレースを見ても、これだけ解釈が違うものかと改めて知らされたのだ。オルフェーヴルの逸走は池添謙一騎手の油断が原因とするものや、坂路コースでばかりトレーニングをしている環境に理由を求めるものなど様々であった。中には、オルフェーヴルは騎手の指示に従って止まっただけという奇想天外なものもあった。そして、それらおおよそは、オルフェーヴルではなく人間側に非を認めよという向きであった。オルフェーヴルは悪くない、人間が傲慢なのだという。

果たしてそうだろうか。そもそも、池添騎手がオルフェーヴルを外に導いたのは、ナムラクレセントと馬体を併せたくなかったからである。折り合いを欠く馬は他馬と馬体を併せてしまうと余計に引っ掛かるので、他馬(または馬群)から離すのは常套手段である。1頭にして気持ちを落ち着けた後に馬群に戻すという形で折り合いをつけるのだ。手綱を強く引いても前へ前へと突っ走ろうとするオルフェーヴルを、池添騎手が外に導いたのは当然の行為であり、決して操縦ミスはない。

それでも2周目の3コーナー付近で逸走してしまったのは、オルフェーヴルが制御不能な状態になっていたこと、そして、限定的に言うと、馬が先頭に立って1頭になってしまったからである。この状況になって、オルフェーヴルはレースが終わったと勘違いをしてしまったのだろう。しかし、横を見るとレースが終わっていないことを知り、再びレースに戻った。これら一連の現象をオルフェーヴルの闘争心と見る向きもあったが、そうではない。オルフェーヴルが馬群に戻ったのは、本来は集団で生活をする馬としての本能、心細いから馬群に戻りたいという本能である。そう考えると、オルフェーヴルが1頭になってしまうと悪さをするのは、気性の悪さというよりは、ある種のパニックに陥っているからなのかもしれない。

馬が制御不能な状態になっていたことに関しては、それまでのオルフェーヴルの臨戦課程に原因はあるだろう。「オルフェーヴルの光と影」に書いたように、3冠を達成した2ヶ月後に有馬記念で古馬を捲くったのだから、肉体的にも精神的にも疲れが出ないわけがない。引っ掛かることと逸走することはつながっていて、その根底には、苦しいレースから早く逃げたいという競走馬の切実な気持ちがある。オルフェーヴルの場合は逃げたいまで至っていなかったかもしれないが、阪神大賞典での耳の動き(ずっと立って前を向いている)を見ても、レースに全く集中できていなかったことが分かる。これまでに累積したあらゆる目に見えない疲れが、そういう形で表面化したのだ。馬の気持ちに沿って考えると、そういうことになる。

それでは、オルフェーヴルは春の天皇賞でどうなるのか。オルフェーヴルの体力は回復したのか、もしくは走る気持ちが戻ってきているのか、正直に言うと分からない。前走で無理や我慢をしなかったことでガス抜きができたと信じたいが、もしかすると、それはこちらの一方的な想いであって、オルフェーヴルはまだ走りたくないと思っているかもしれない。もしそうであるとすれば、また制御不能な状態に陥ってしまう可能性も十分にある。460kgもある馬のハンドルが利かなくなれば、もはや人間にできることは少ない。人間が馬の全てをコントロールできると考えること自体が人間の傲慢なのだ。それでも、レースで手綱を任されるジョッキーにできる唯一のことは、オルフェーヴルをひとりにしないということだろう。先頭に立たせない、馬群から離さない。これだけを念頭に置いて、あとはオルフェーヴルの生命力を信じて乗るしかない。

Photo by mkoichi

関連エントリ
「ガラスの競馬場」:オルフェーヴルの光と影」

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Comments

 こんばんは いよいよ天皇賞ですね。
 スピード馬場の京都…58Kgを背負って3200mを走り、スピードも要求される。しかし、ステイゴールドのために用意されたレースなのかも?

 オルフェーブル(ステイゴールド)
 トーセンジョーダン(ジャングルポケット)
 ウオンバリアシオン(ハーツクライ)

 長距離OKの血統でしょう。結果が楽しみです。

Posted by: 玉ちゃん | April 28, 2012 at 10:23 PM

こんばんは。とうとう天皇賞の日が来てしまいました。
正直に言って、楽しみよりも怖さのほうが上で…無事に走り切れるのだろうか、そればかり考えてしまいます。
またまた大外枠ですし、不安は尽きません。

ですがファンとしてできるのは、3冠の道のりを共にした池添騎手の胆力、そしてオルフェーヴルの競走馬としての未来を信じること、それしかありません。
心して応援しようと思います。

Posted by: クロサキ | April 29, 2012 at 12:02 AM

いつも興味深く拝読させていただいております。

今まで読んだ「阪神大賞典のオルフェ論」で
最も説得力のある内容でした。
オルフェの側から考えるという視点が
他にはほとんどありませんでした。

明日の天皇賞ですが、私はユタカファンなので、
単純にウインを応援してますが(笑)
オルフェの挙動には非常に興味を抱いています。
まあ、軽く他馬を一蹴ってのがオチのように思いますが(笑)、
何かあれば、このブログの内容を思い出すに
違いありません。

明日がコワいような楽しみなような・・・

Posted by: 熊助 | April 29, 2012 at 01:49 AM

治郎丸さんいつもどうもですo(*⌒O⌒)b

やはり治郎丸さんのゆうとおり前走の暴走がきっかけになったかはわかりませんがメンタル的にオルフェーブルの中で何かが変わったんでしようね(´・ω・`)


しかし何だかやるせない気持ちでいっぱいです(´Д`)

Posted by: ユビキタス | April 29, 2012 at 07:55 PM

こんばんは。前走後に危惧していた「根の深い問題」になってしまったのでしょうか。
今回はメンコを着用。中間の周囲の環境の変化、調教再審査など、いろいろなことが頭をよぎっています。

Posted by: ビンゴカンタ | April 30, 2012 at 01:32 AM

お久しぶりです。

次郎丸さんが危惧していた、オルフェーブルの精神状態・・・ 

昨日のレースを見ていて、真っ先にこの記事を思い出しました。

最後の直線 大外を回って さあ、ここから一気に伸びてくるだろうと思っていたら・・・

全く伸びず・・・二桁着順って・・・

今後が心配です・・・これで終わってしまうんでしょうかね・・・

Posted by: hilux130 | April 30, 2012 at 07:52 PM

昨日投稿させていただいたものです。
私も昨日のオルフェを見ていて、真っ先にこのブログを思い出しました。

昨日のオルフェはこれまでの彼の走りとは
全く違う印象を受けました。
やる気がないと言うよりも、
前走以来の様々な「枷」に戸惑いながら走っているように見えたのです。

きっと、皆が言うようなクセ馬などではなく、
本来自由を愛する繊細な馬なのではないでしょうか。
メンコを被り走る姿が、とても不憫に思えました。

スタッフも実績のある馬なので重圧もあると思いますが、
彼の本来の良さを引き出すような付き合い方をして欲しいと
切に思いました。
少し休んで、また元気な姿を見せて欲しいです。

Posted by: 熊助 | April 30, 2012 at 08:53 PM

私もレース後、治郎丸さんのこの内容をしみじみ思い返しておりました
レースであること、勝たねばならないこと…
オルフェーヴルはよくわかっていたはずです
自分が勝つと周りのみんなが喜んでくれる…
それが自分の喜びでもあった
体力の限界に加え、メンコ着用、調教再審査など自由を奪われ、オルフェーブルは人間からある種の虐待を受けていたことになるのでは?と思います
それでも信頼している池添謙一ほかスタッフの指示通りにすることが今の自分に課せられた使命なのだと…
その結果、心も体もボロボロの状態になっていた
みんなの期待に応えようとしてももう体が動かなかった…
人生経験が未熟なまるで高校生のような一流アスリート…
そんなオルフェーヴルを1着固定にして馬券を買っている自分、負けたオルフェーヴルを心のどこかで責めている自分が情けない…
もっと馬というものの本質を知らねばなりませんね
宝塚も回避して今はただゆっくり休養してほしい
北島康介の復活のように秋の天皇賞あたりで
精神的にも肉体的にもタフになったその雄姿を見せてくれたら…って思ってます

Posted by: DreamVodka | May 01, 2012 at 02:45 AM

全く的を得ていない見解ですね

とてもプロとは思えない見解

天皇賞であなたの見解が間違っていたことが立証された

競馬をもつと勉強して下さい

Posted by: 競馬関係者 | May 01, 2012 at 08:58 AM

玉ちゃん

いつもありがとうございます。

トーセンジョーダンとウインバリアシオンは来ましたが、あのオルフェーヴルが来ませんでしたね。

玉ちゃんの予想は正しかったと思いますが、オルフェーヴルはあまりにも状態が悪すぎました。

この後、どうなるのか、何とか復活してほしいと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:08 PM

クロサキさん

私も正直、不安の方が大きかったです。

勝ってくれるとは信じつつも、どこかで負けてしまうことも予感していました。

だから、馬券は買えませんでした。

このままでオルフェーヴルには終わってほしくないですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:11 PM

熊助さん

返信が遅くなりまして申し訳ありません。

「ROUNDERS」vol.3の追い込みがきつくて。

私もオルフェーヴルの気持ちに沿って考えた論がなぜないのか、競馬メディアに不安を抱きました。

馬が数字であり、機械のように考えている(無意識のうちにでも)のであれば、競馬はそのようなものではないと、小さな声でも伝えていきたいです。

私もオルフェーヴルは癖馬ではなく、繊細な馬なのかもしれないと思い始めています。

また、とても賢い馬なのかもしれません。

こういう状態になった馬を再生させるのは簡単なことではありませんが、陣営の献身的なケアとオルフェーヴルの生命力を信じたいですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:16 PM

ユビキタスさん

こんにちは。

いつもありがとうございます。

オルフェーヴルはメンタル面でも肉体面でも、極限の状態を通り過ぎてしまったのでしょうね。

一度、放牧に出して、時間を掛けて立て直すのが良いと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:18 PM

ビンゴカンタさん

こんにちは。

いろいろ考えられますが、今回の走りを観ると、かなり音の深い問題になっている気がします。

時間を掛けてでも、もう一度立て直してほしいと思うのですが、こういう馬は難しいとも反面思います。

凱旋門賞に間に合ってほしいのです。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:19 PM

hilux130さん

こんにちは。

普通の馬であれば、これで終わってしまうと思います。

精神面のダメージは、肉体面に比べて、値が深いですし、時間も掛かりますから。

今回が肉体面の疲労の蓄積によるものだけであれば、休養を挟むことで立て直すことができると思うのですが。

うーん、凱旋門賞には間に合ってほしいですね。

応援に行きたいです。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:21 PM

DreamVodkaさん

オルフェーヴルの気持ちに寄り添って考えてくれてありがとうございます。

それは正直分からないところですが、分かろうとしないのとは次元が違うと思います。

もしかしたら、身近にいる人間は分かっているのではないかと思うのですよね。

でも、ここまでの馬になってしまうと、気づかないふりをしてしまったり、回り始めたものを誰も止めることができない。

こうして最悪の結果が出ないと止まらないのです。

私も十分な休養を挟んで、立て直して、秋の天皇賞、もしくは凱旋門賞あたりで復活してほしいと願います。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 01, 2012 at 01:25 PM

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