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ほんとうにおめでとう

Nhkmilec2012_2 by Shibashuji
NHKマイルC2012―観戦記―
カレンブラックヒルが好スタートを決め、他に誰も行く馬がいないと見るや、そのまま先頭に立ってレースを作った。前半800mが47秒3、後半の800mが47秒2という驚くべき平均ペース、かつ中盤も緩んでおり、このクラスとしてはかなり遅い流れとなる。馬場差があるとはいえ、レコードが出た一昨年の前半4ハロン44秒8と比べても、どれだけ遅いか分かるだろう。誰にも突かれることなく、自分のペースですんなり走ることができたカレンブラックヒルは、ラスト3ハロンを34秒6でまとめて難なく逃げ切った。勝ってくださいといわんばかりのレースであった。

カレンブラックヒルはこれで4連勝。その中でも、今回のNHKマイルCが最も楽に運べたのではないかと思われるほど恵まれた展開ではあったが、無敗で頂点まで登り詰めたのだから、その底力を素直に評価したい。この馬の良さは賢さである。あり余るスピードを持ってしながら、決して突っ走るだけではない。抑える競馬を試みた2戦目と前走のニュージーランドTは、スタートしてから一旦はムキになって先頭に立とうとする面を見せたが、秋山真一郎騎手が手綱を引くとすぐさま冷静になり、2、3番手で折り合った。はやる気持ちを抑えることができる、我慢が利くという賢さがこの馬にはある。スピードに長けた、短距離系の気質を持つ馬にとっては、意外に難しいことなのである。

秋山真一郎騎手と平田修調教師にとっては初のG1レース制覇となった。ハナ差で勝利を逃したベッラレイアのオークスから5年の時を経て、ようやくこのコンビで雪辱を晴らすことができた。あの時は気の焦りからの早仕掛けとなっただけに、今回、直線に向いても落ち着いてスパートのタイミングを計っていた秋山騎手に、大舞台で強い馬に乗るという経験の大切さを見た。そして、G1レースを勝つためには、力がある馬に乗るだけではなく、今回のように流れというか運にも恵まれなければならない。G1レースを勝つことがいかに難しいか。デビューした頃からその堅実な騎乗を貫いてきた秋山真一郎騎手には、ほんとうにおめでとうと言いたい。

2着に入ったアルフレードは、C・ウイリアムズ騎手の好判断が目立った。スローを見越していたのだろう。外枠からスッと先行して、道中のペースが予想以上に遅いとみるや、最終コーナーでは勝ったカレンブラックに目標を定めて仕掛け始めた。アルフレード自身も立て直されて、調子を上げつつあったが、この一連の判断と動きがなければ、2着を確実に確保することは難しかったはずである。

横一線のゴールとなったクラレントとオリービン、セイクレットレーヴは良く伸びたものの、勝ったカレンブラックヒルには逆に突き放される形となり、勝ち切るだけの力はなかったといえる。福永祐一騎手騎乗のジャスタウェイも大外を走って伸びてはいるが、さすがにあの位置から差し切るほどの末脚を持ち合わせていなかった。最後に、シゲルスダチの進路を妨害したことで失格となったマウントシャスタについては、パトロール映像を観る限りにおいては、岩田康誠騎手の不注意によるものか、それとも馬が急激にヨレたものか分からないところがあるが、かなり危険なシーンであったことは間違いない。マウントシャスタが馬群をスパッと抜け出す脚を使えなかったことも、今回の事故に大きな影響を与えている。このあたりは、毎日杯を勝ちきれなかった馬でもあり、まだ線が細く、完全には力が付いていないということである。


追伸
「ガラスの競馬場」メールマガジンvol.5を月曜日の夜に配信しました。もし現時点で届いていないという方がいらっしゃいましたら教えてください。vol.5は、「私たちはもっと丁寧に展開を読まなければならないのではないか」というテーマで書いてみました。かなり長文になってしまいましたが、1週間の無料体験もありますので、ぜひ読んでみてください。

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Comments

 こんばんは
 カレンブラックヒルはいいレースをしたのに、後方で残念なレースが・・・あおりを食った馬の中にいい脚を発揮できそうだった馬もいたし、距離もまだ残っていたことを考えると残念でなりません。

 直前の雨はいろんなところに影響を与えてしまいました。事故のないレースを望みます。

Posted by: 玉ちゃん | May 09, 2012 at 10:20 PM

こんばんは。
私の本命もジャスタウェイでして、今回は現地で応援してきました。さすがに相手が強かったですが、今後もはりきって応援し続けます。
秋山騎手の喜びが全身に現れたウイニングラン、忘れられない光景となりました。こういう瞬間に立ち会えるのはやはり生観戦の醍醐味ですね。こちらまで嬉しくなりました。

競走中止馬と失格馬が出るレースになってしまったことだけは、返す返すも残念でした。命がけの世界だとわかっていても、実際に立ち会うと辛いです…。今回は人馬とも命に関わることにならず、本当によかったです。

Posted by: クロサキ | May 09, 2012 at 11:29 PM

誠に恐れ入ります。今週のメールマガジンNo.5配信宜しくお願いいたします。パソコンからのメールを受けとる設定が可になっておらず今回見逃してしまいました!今後気をつけますので宜しくお願いいたします。

Posted by: 伊東聡 | May 09, 2012 at 11:47 PM

玉ちゃん

せっかく強い馬が勝っても、事故があると後味が良くありませんよね。

スポーツである競馬を堪能させてもらうためにも、
全馬が無事に回ってきてくれることを願いましょう。

直前の雨がどの程度の影響を与えたのか分かりませんが、なんだか最近雨が多いですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 11, 2012 at 01:14 AM

クロサキさん

おお、競馬場に行って観戦されたのですね。

ジャスタウェイにとっては、展開的に厳しいレースになってしまいました。

勝った馬は強かったですが、後方の馬の中にもこれからの馬もたくさんいると感じました。

これからも応援していきましょう!

Posted by: 治郎丸敬之 | May 11, 2012 at 01:15 AM

伊東さま

こちらこそいつもすいません。

こうしておっしゃっていただけるので、
とても助かっています。

vol.3は配信しましたので、ゆっくりと読んで考えてみてください。

これからもどうぞよろしくお願いします。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 11, 2012 at 01:16 AM

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