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横山典弘騎手は上手すぎる


ヴィクトリアマイル2012―観戦記―
大方の予想どおりクイーンズバーンが先頭に立ち、前半の半マイルが46秒4、後半が46秒ジャストと、前走の阪神牝馬Sを逃げ切ったときと同じような平均ペースを刻んだ。いかにもヴィクトリアマイルらしい流れではあるが、このメンバーとしては遅く、上位2頭は前に位置した馬、掲示板に載った他の3頭も内を回った馬という、典型的なスローペースにおける競馬となった。外を回されてしまった馬や道中後方を進んだ馬は手も足も出ないレースであった。

勝ったホエールキャプチャは、スッと逃げ馬の後ろに付け、手応え十分で最後の直線を迎え、ゴールまで綺麗に伸び切った。非の打ち所のない完璧な走りであった。なかなかG1レースを勝てなかったが、長距離輸送のないマイル戦のG1という最適な舞台を得て、ようやくタイトルに手が届いたことになる。母系にはスタミナの血が流れているが、父クロフネ×母父サンデーサイレンスという血統は、やはり本質的にはマイラー。それでも、オークス3着、秋華賞3着、エリザベス女王杯4着と大きく負けていないことからも、この馬の能力の高さが分かる。同じマイル戦の安田記念で、厳しい流れになったときにこそ、この馬の真価が問われるだろう。

横山典弘騎手は上手すぎる。好スタートから迷いなく先行し、いつの間にか、内のポケットを確保した。神業のようなポジショニングであった。横山騎手の予想どおり、ペースが落ち着いた時点で、ほぼ勝負あった。ミスが起きやすかったポイントとしては、最後の直線に向いて、スムーズに前が開きすぎたところぐらいか。そこでも慌てて追い出さずに、ひと呼吸、ふた呼吸を置いてゴーサインを出した。外にナウブルーが見えていただけに、つい焦って仕掛けて行きたくなるところだが、さすが百戦錬磨のベテランらしく、手綱はピクリとも動かなかった。人馬一体の流れるような競馬を久しぶりに観た。

田中清隆調教師にとっては、2001年のレディパステル以来のG1勝利となった。田中清隆調教師は、騎手として野平祐二調教師の元に所属していた。騎乗技術だけではなく、競馬人としてたくさんのことを学び、まさに野平祐二のDNAを受け継いでいるホースマンのひとりである。ホエールキャプチャでは歯がゆいレースが続いていたが、決して極限まで仕上げたりせず、また使いすぎたりもせず、馬を壊さなかったことが今日の勝利につながった。

ドナウブルーは短期放牧をはさんで馬体を回復させ、力を出し切れる仕上がりにあった。勝ち馬とは手応えが違ったが、最後まで食らいついたように、なかなか根性がある。牝馬同士であればこのクラスでも通用することを証明してみせた。それにしても、C・ウイリアムズ騎手の展開を読み切って、馬を動かし、勝ちに行く姿勢には驚くべきものがある。

マルセリーナは内の苦しいポジションにて何度か前が詰まるシーンが観られた。前走で馬体が減っていたのが誤算であり、今回は上積みがなかっただけではなく、少し苦しがって行きたがったことも災いした。最後は伸びてきたが、あの位置でも折り合ってさえすれば、1、2着馬との差はもう少し詰まったはず。

1番人気のアパパネは、少し揉まれる競馬になったにせよ、最後は伸びようとしなかっただけに、精神的な部分の影響が大きいのだろう。馬体は絞れてきているので、走る気持ちさえ戻ってくれば、安田記念でも勝負になるはずだ。見限ってはいけない。

フミノイマージンの池添謙一騎手に批判が集中しているが、こういう脚質の馬だけに、負けるときはこんなものだろう。後ろから行くということは、ペースの主導権を握れないだけではなく、前が詰まってしまうというリスクがあるということだ。それよりも、アプリコットフィズとオールザットジャズは残念な競馬であった。オールザットジャズは行き脚がつかず、アプリコットフィズは折り合いに気を使いすぎて、後ろから行く羽目になったばかりか、外々を回らされてしまい万事休す。勝った馬のスムーズさとはあまりに対照的であった。


追伸
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Comments

治郎丸さんこんにちは。
今回も現地で応援していたのですが、ついに本命馬の勝つ瞬間に立ち会うことができました。
これまでGⅠ戦線では歯痒い思いをしてきたホエールですが、横山騎手は完璧に勝利に導いてくれました。展開と馬場の有利を読み切ったうえ、追い出すタイミングまで素晴らしい騎乗でした。何度見ても頭が下がる思いです。
横山騎手も2010年に落馬で大怪我をしましたが、こうしてまたGⅠタイトルを取るまでになられて本当にうれしいです。

Posted by: クロサキ | May 16, 2012 at 10:52 PM

クロサキさん

おめでとうございます。

競馬場で自分の応援した馬が勝つと、
もうこれ以上ないくらい幸せになりますよね。

VTRで何度観ても、
ホエールキャプチャと横山騎手の完璧なレースでした。

横山騎手も嬉しそうでしたねえ。

今週のオークスと来週のダービーも競馬場に行くぞ!

Posted by: 治郎丸敬之 | May 16, 2012 at 11:45 PM

ウイリアムズの騎乗は日本人も倣って欲しい。
当日9Rでも同じ光景が見られたのだが、
先頭で馬をぎりぎりまで追い出すのを待たせる。

後ろの馬群で抜け出したい馬がダンゴになる。
直線坂の入り口手前で自分の馬だけ加速する。
後ろの馬は伸びあぐねる。

こういう風に見受けました。

如何でしょうか?

Posted by: はやひで | May 18, 2012 at 05:46 PM

はやひでさん

その通りだと思います。

まるでウイリアムズ騎手の魔法にかかったように、
後続の騎手たちは何もできずに、
しかも同じことが繰り返されますよね。

ウイリアムズ騎手は道中では脚をため、
直線に向くと走ることに集中させるのが上手い騎手だと思います。

もちろんペースを読み切る力も素晴らしいですが。

Posted by: 治郎丸敬之 | May 19, 2012 at 01:06 AM

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