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冷静と信頼こそ

Yasuda2012 by mkoichi
安田記念2012―観戦記―
絶対的な逃げ馬シルポートが先頭に立ち、昨年の覇者であるリアルインパクトが番手を追走し、前半マイルが44秒9、後半が46秒4という、いかにもマイルのG1戦らしいペースでレースは流れた。ペースが速かった割に、馬群がひと固まりとなったのは、どの馬が勝ってもおかしくないという力差の見えないメンバー構成を意識して、ほとんどの人馬たちがチャンスを狙って前に行ったから。その状況を裏から読んで、内の経済コースを進みつつ、虎視眈々と後ろからレースを進めた2組がワンツーフィニッシュを決めた。

勝ったストロングリターンは、結果的に見ると、力が一枚抜けていた。昨年は悔しい負け方をしていただけに、今年こそはという想いで、安田記念を目標にしてやってきたのだろう。休み明けの前走を叩かれて、必要な箇所の筋肉が盛り上がり、まるで絵画から抜け出てきたような馬体を誇っていた。怪我などによって、ほぼ1年間を棒に振ってしまったが、あきらめることなく、じっくりと丁寧に仕上げてきた陣営の手腕と忍耐には最大級の賛辞を送りたい。いかにもマイラーだけに、今後は秋の大目標であるマイルCS、もしくは海外のレースにも目を向けて調整してもらいたい。

福永祐一騎手は、ようやく大レースで、その安定した騎乗技術を披露して見せた。好スタートを決め、多くの馬が前へ前へと殺到する中で、外を回しすぎた嫌いのある前走の反省を踏まえ、冷静に内で脚を溜めていた。先日の日本ダービーほどの人気やプレッシャーを背負っていなかったこともあるが、ストロングリターンの能力に全幅の信頼を置いていたからこそ、あのポジションでも我慢ができたのだろう。直線に向いて、馬群が開いた瞬間を見逃さず、絶好のタイミングで追い出してみせた。最後は馬を真っ直ぐ立て直しながらも、内田博幸騎手との追い比べを制し、リーディングジョッキーとしての貫禄を見せてくれた。この冷静と信頼こそが福永騎手の真骨頂である。

敗れたものの、グランプリボスも内々で脚を溜めて、最後の直線で爆発させた。長く良い脚が続かないため、脚の使いどころが難しい馬ではあるが、今回は内田博幸騎手に導かれて最高のレースをした。NHKマイルC以来、久しぶりのG1レースでの好走となり、まだ終わっていないことを証明してみせた。矢作芳人調教師は、先週のダービーに続き、2週連続でのG1制覇とはならなかったが、今年は連対率も高く、好調が続いている。

コスモセンサーは前に行った組の中では、最後まで粘って、自身の成長力を証明してみせた。3頭出しだった西園正都厩舎の馬たちの中で、最も人気薄にもかかわらず最先着した。競馬とは案外そういうものである。強いと思っていた馬が負け、弱いと思っていた馬が好走する。コスモセンサーは切れる脚がないので勝ち切れるイメージが湧かないが、東京新聞杯のように逃げる形に持ち込めれば、これからも大きなレースでチャンスがあるだろう。

押し出される形で1番人気になったサダムパテックは、C・ウイリアムズ騎手がソツなく乗ったにもかかわらず、最後は弾けなかった。前走で激走した反動があったのか、それとも単なるポカか分からないが、2戦続けて完璧なレースをすることの難しさを改めて感じさせた。アパパネは不利がなかったにもかかわらず、直線では手応えがなくなっていた。肉体的には本来の状態に戻っていた以上、最後まで走り抜く気力が失われてしまったのだろうか。ゲート入りを嫌っていたことも気になった。香港から来た2頭も11着、14着と惨敗した。チャンピオンズマイルの全体時計と比較するとおよそ4秒も違い、同じマイル戦でも全く別ものと考えたほうがよいレースであった。

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Comments

こんにちは。
いや、上位2頭は本当にうまく立ち回ったと思います。
3着のコスモセンサーは思った以上(失礼><)に強かったんですね。
福永ジョッキーは仰る通りダービーほどの人気がなかったことも大きかったんでしょう。
もう一段上のステップに上がるには、逃げ出したくなるようなプレッシャーに打ち勝って結果を出すことでしょうか。
これまでの一流と言われたジョッキーがその逆境を跳ね返してきたように。
逆にいうと、福永ジョッキーが数字ほど期待できない、食い足りないのは、そういった部分なのかなぁと思います。
個人的には親子二代に渡る福永ストーリーにはロマンを感じます(くどいかな…)

Posted by: 蒼光 | June 05, 2012 at 12:15 PM

蒼光さん

こんばんは。

どちらのジョッキーも上手でしたね。

そしてコスモセンサーは最も強い競馬をしました。

福永祐一騎手の祐一の名は、野平祐二の祐と、福永洋一の一から付けられていますので、そんなジョッキーを私が応援しないわけにはいかないのですよね。

一歩一歩階段を登ってほしいと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 06, 2012 at 02:21 AM

福永君の土日3重賞制覇は、落ちて来るべきところに果実が落ちて来た、と思いました。

昨年の大震災後、岩手競馬の盛り上げに一役買ったり、高知では福永洋一杯の開催に尽力したり、…と。

私のような地方競馬フリークスには、たまらないJRAの騎手です。

今夏、あの武豊でさえ苦汁を味わったアメリカ西海岸での短期騎乗が決まった由。

秋に、更に進化したユーイチに会えると思うと、秋競馬が今から楽しみですね。

Posted by: さっさん | June 06, 2012 at 10:40 PM

さっさんさん

そうですね、自分の勝ち鞍だけではなく、競馬界全体のことを考えて行動しているところが素晴らしいと思います。

役割というか運命を引き受けているところもあると思いますし、ひいてはそれが自分に返ってくると信じているからのこその行動なのだと思います。

夏が西海岸に行くことが決まったのですか…

なんだか私も一緒に行きたくなってきました(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | June 06, 2012 at 11:37 PM

福永のどこがうまい。お前ら競馬素人だろ

Posted by: たなへ | June 07, 2012 at 11:09 PM

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