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ディープインパクトVSキングカメハメハ、その後

競馬ファンであれば、スターホース同士の対決を一度は夢見たことがあるだろう。

シンボリルドルフとナリタブライアンはどちらが強いのか?オグリキャップとタイキシャトルのマイル王決定戦や、エアグルーヴとヒシアマゾンの女傑対決など、実現し得なかった夢の対決を空想することは競馬の楽しみ方のひとつでもある。

「サラブレ」8月号で、昨年のダービーを制した安藤勝己騎手がキングカメハメハとの比較を通してディープインパクトを語っている記事を読み、「ディープインパクトVSキングカメハメハ(府中芝2400m)」という夢対決が私の空想の中で展開された。

deepvskinkame by ken

結論から述べると、ディープインパクトの勝利である。外を回って、最後の直線で飛ぶように伸びたディープインパクトが、喰らいつくキングカメハメハに1馬身半の差をつけて余裕のフィニッシュ。武豊騎手の控えめなガッツポーズと、安藤勝己騎手のゴーグルの下に隠された悔しさが目に浮かぶ。

ただし、これは3歳春のダービー時点という設定でのものである。ダービー時点であれは、ディープインパクトの才能、素質、そして完成度が、キングカメハメハのそれを明らかに凌駕している。

安藤勝己騎手いわく、「ディープインパクトに唯一注文をつけるとしたら、これから秋にかけての成長力がどうか、ということ。キンカメの場合は、秋以降の成長力をすごく期待させる馬だったけど、ディープインパクトは現時点で十分に強いと言い切れる馬だから。これから伸びるとかなんとかじゃなくて、今の力を維持するだけで十分強いわけです。そこがすごい。」。このコメントを借りるまでもなく、現時点(ダービー終了時点)でのディープインパクトの強さは周知の事実である。

しかし、それ以降、つまり夏を越して3歳の秋以降であれば、2頭の力差は限りなくゼロに近づいていくのではないかと思う。キングカメハメハについても、私は最高級の評価をしていて、2004年ダービーの観戦記では、「世界のどこを探しても、これほど強いサラブレッドは見つからないだろう」「最高の賛辞を並べ尽くしても余りある、サラブレッドの完成形がここに誕生した」と述べている。それ以上に強いサラブレッドが1年後に出現してしまった訳だが、安藤勝己騎手の言うように、キングカメハメハは秋以降の成長力を相当に期待できた。新馬戦から圧倒的な強さを示していたディープインパクトと比べて、キングカメハメハはレースを使うごとに成長していたからだ。

3歳の秋以降には互角の勝負になるはずなのだが、そうなると、距離やコース設定、または芝かダートかによって勝敗が違ってくるだろう。キングカメハメハは途中でリタイアしてしまったし、ディープインパクトはこれから秋以降を迎えるので、あくまでも推測の域を出ないが、距離は2400mまでなら互角、それ以上ならディープインパクトに軍配が上がるだろう。コースは東京競馬場、京都競馬場なら互角、それ以外の競馬場ならディープインパクトが有利だろう(キングカメハメハは器用さに欠けるところがある)。芝・ダート別では、芝なら互角、ダートではキングカメハメハが圧勝するだろう(キングカメハメハは蹄の形さえ適性があれば、ダートは鬼であろう)。

以上は好き勝手な空想に過ぎないが、この2頭は全くと言ってよいほど馬のタイプが違っているからこそ比べ甲斐がある。ディープインパクトが「柔」なのに対し、キングカメハメハは「剛」なのである(もちろん、どちらも「柔」でありながら「剛」、「剛」でありながら「柔」の部分も秘めているのだが)。ディープインパクトは全身を使って水面を飛ぶように走り、キングカメハメハは大きなストライドでエンジンの違いを生かしながら力強く走る。そして、「柔」のディープインパクトの方がレース前にカーッと燃えやすいのに対し、「剛」のキングカメハメハはおっとりと落ち着いているという気性面での違いも面白い。

とにかく、ディープインパクトにはまずは無事に夏を越して、いつかは海外へと挑戦をしてほしい。そして、キングカメハメハの果たせなかった夢の分まで、世界の舞台で活躍してほしい。ディープインパクトが走れば、キングカメハメハも走る。凱旋門賞のゴール前で、馬体を併せてデットヒートを繰り広げるディープインパクトとキングカメハメハが、私の中でいつまでも走り続ける。


以上が、私が7年前に書いた「ディープインパクトVSキングカメハメハ」である。

両馬の対決を1度でもいいから見てみたかった、と心の底から思ったものだ。もしその対決が実現されていれば、日本競馬の歴史から見ても、たとえば「テンポイントVSトウショウボーイ」や「シンボリルドルフVSミスターシービー」と同じかそれ以上の、人々の記憶に残り、永遠に語り継がれるであろう名勝負になったはずである。対決が実現しなかった代わりに、私は凱旋門賞のゴール前で、馬体を併せてデットヒートを繰り広げるディープインパクトとキングカメハメハの姿を想像することで自らを納得させ、筆を置いたのだった。

当時のように妄想を膨らますことはなくなったが、今でもその想いは変わらない。2012年7月7日時点でのサイヤー(種牡馬)ランキングを見ていたところ、あの頃の熱き想いがふと瞬間的に湧き起こってきた。1位ディープインパクト、2位キングカメハメハ。産駒の出走回数はどちらも同じ571回。出走頭数もわずか1頭しか違わないのだから、全く同じ条件の下で、競走馬ではなく今度は種牡馬として、ディープインパクトとキングカメハメハは覇を競っている。

走る距離や馬場といった条件別にしてみると、私が見立てていたとおりの強さを2頭とも産駒に遺伝しているといえる。今年、府中の2400mで行なわれたオークスや日本ダービーではディープインパクトの産駒が圧勝したが、ダートでの成績を見るとキングカメハメハに圧倒的に軍配が上がる。キングカメハメハはルーラーシップのように古馬になって強くなる馬を誕生させた一方、ディープインパクト産駒は今のところクラシックにおける強さを示したのみである。

こういう形で再び対決が実現するとは思いもよらなかったのだから、まったくもって驚かされる。もしかすると、凱旋門賞のゴール前のデットヒートさえも、ディープインパクトとキングカメハメハの産駒たちが、いつか本当に見せてくれるのかもしれない。競馬とは壮大なブラッドスポーツであり、また遥かなる空想の物語でもある。それが実現するしないにかかわらず、私たちは夢の対決を空想することでも、競馬を楽しむことができるのだ。

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Comments

It's a nice post.

Posted by: my jan | July 11, 2012 at 10:42 AM

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