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悔しくて眠れない

オルフェーヴルの凱旋門賞を見終わったらすぐ寝ようと思っていたが、あまりにも悔しくて眠れないので、どこよりも早く観戦記を書いてみたい。アヴェンティーノが立ち遅れたことでペースメーカーとしての役割を務められず、道中はいかにも欧州のレースらしいスローに流れた。それでもオルフェーヴルはフォア賞のときのような頭を上げる素振りもほとんど見せることなく、前半戦を無事にクリアできたように見えた。欲を言えば、もっと馬群の中に入り込んで脚を溜めたかっただろうが、大外枠ということを考えると、あそこまで内に入れるのが限界だろう。

フォルスストレートに差し掛かって、オルフェーヴルが一瞬行きたがったが、そこはC・スミヨン騎手が他馬の後ろに付ける形でなんとかなだめた。持ったままで最後の直線に向いて、ゴーサインが出されると、外から前の馬たちをまとめて交わして先頭に立ったオルフェーヴルの勢いを見て、誰もが勝利を確信したに違いない。いよいよ待ちに待った日本馬が凱旋門賞を勝つ瞬間が来たと。スミヨン騎手はもちろん、オルフェーヴルの関係者、そして世界中の競馬ファンがそう感じたはずである。私には凱旋門賞を撮影しに行っているカメラマンの友人の心臓の高鳴りが聞こえてきた。

この先は書くに耐えないが、オルフェーヴルは先頭に立った瞬間、右にササりながら、内ラチの方へと切れ込んでいく。異変を感じたスミヨン騎手は、なんとか立て直そうと、右手のムチと体重移動を使いながら、大きなアクションでオルフェーヴルを叱咤激励した。しかし、明らかにオルフェーヴルは苦しがっていた。一旦は交わしたはずのソレミアに差し返されたのだから、最後はほぼ脚が上がっていたと言ってよい。道中も手応え良く回ってきて、最後の直線でも弾けたように見えたが、最後の最後で力尽きてしまったのだ。

最後の失速振りを見て、スミヨン騎手の仕掛けが早かったと考える向きもあるだろうが、私はそうは思わない。オルフェーヴルの手応えを考えると、先頭に立つタイミングとしては申し分なかったはず。早く先頭に立ちすぎてオルフェーヴルが気を抜いたわけではなく、苦しがってヨレて伸びあぐねたのだ。あえて言うならば、オルフェーヴルの手応えを見誤ったということになるだろうか。手応えの良さの割には、オルフェーヴルは追い出してから伸びなかった、いや、失速した。

ゴール寸前でササって追えない管理馬を見て、池江調教師が「私の技術が世界レベルになかった」と自分を責める気持ちは痛いほど分かる。が、今回に限っては、調教技術うんぬんの問題ではない。ディープインパクトはやや馬体が立派すぎた、もっとはっきり言うと、仕上げが手ぬるかったゆえに伸び切れなかったが、オルフェーヴルは前哨戦のフォア賞を使われ、やれるだけの調教は施されてきたはずである。誰を弁護しているのでもなく、考えうる限り最高の仕上げであった。

それでも最後に力尽きてしまった理由はひとつ。オルフェーヴルの調子がピークを過ぎていたということだ。宝塚記念の観戦記でも少し触れたが、春のシーズンオフの宝塚記念を勝利して、わずか3ヶ月ほどで再び100%の状態に仕上げるのは難しい。体調を維持するのには長すぎるし、一旦、馬体を緩めて巻き直すには短すぎる。今回に関して言うと、前者に当てはまり、フォア賞の前後あたりがピークで、その後、凱旋門賞に向けて体調は下降線を辿っていたのではないだろうか。ここでまたひとつの教訓が生まれる。もし凱旋門賞を勝ちたいなら、宝塚記念は勝っては(使っては)ならない。来年もう1度挑戦するならば、春シーズンは天皇賞春を勝って(使って)そのまま休養に入り、それからフランスの地に渡り、同じくフォア賞を叩いて、スミヨン騎手(もしくは現地のジョッキー)を背に臨んでもらいたい。そうやって考えることで、私たち誰しもが救われるのだ。

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Comments

オルフェーヴルは流石に強かった。勝ってれば横綱相撲で世界の賞賛を受けていただろう。しかし悲歎はない。何故ならばオルフェーヴルは大器晩成だからだ。父ステイゴールド、母父メジロマックイーン、未だ未だ進化 する。来年も再来年もチャレンジして欲しい。ナカヤマナイトやゴールドシップも一緒にぬ。でもアヴェンティーノが役割を果たさないスローペースでのあの怒涛の直接追い込みは見事だった。
ありがとうオルフェーヴル、また来年もパリで会いましょう!

Posted by: ミスターケリー | October 08, 2012 at 02:13 AM

こちらには初めてコメントさせていただきます。

直線、オリビエは何度も外を確認しているようでした。オルフェーヴルが外から差してくるという警戒があったのなら、その戦略は日本競馬への評価ともリスペクトとも受け取れるのかなと。

オルフェーヴル陣営に非はなく、自分はオリビエ相手だからこその敗戦では、と思っているところです。

興奮が収まらずまだぼうっとしている状態ですので、見当違いな内容でしたらご容赦を。
やはり悔しいですね。

Posted by: 晩宿草 | October 08, 2012 at 02:27 AM

ミスターケリーさん

そうです、オルフェーヴルはまだ完成されていないところがありますし、あのステイゴールドの仔なので、来年こそはもっと強いところをみせつけられるかもしれませんね。

そう考えることで、今回の悔しい負け方も少しは救われる気がします。

関係者の皆さまには拍手を贈り、感謝したいですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 08, 2012 at 11:11 AM

晩宿草さん

コメントありがとうございます。

ペリエ騎手はオルフェーヴルが来るのが分かっていたのかもしれませんね。

もしかすると、外を回されて、脚を使わされて、伸びあぐねるかもしれない。

そこまで分かっていながらの自分の馬の位置取りだった気がします。

もちろん日本の馬の強さを知っているペリエ騎手だからこそでもありますが、今回の敗北には大きな意図が感じられますね。

それを跳ね返すぐらいの強さがないと、凱旋門賞は勝てないということなのでしょう。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 08, 2012 at 11:14 AM

悔しいですね。
オルフェとスミヨンに関しては、わたしも幾つか
書き足させてください。
1.前哨戦で追い出してからなかなか伸びなかった
2.キャメロットの手応えが良さそうだった

2は結局キャメロットは伸びなかったが、早めに仕掛けた
原因の1つか?
また。1は前哨戦では折り合いを欠いたためとデキも一歩
だったので、伸びが悪かった。
本当のオルフェーヴルを計れてなかったのかも?
あれだけ鋭い勢いで凱旋門賞の直線を後方から突き抜けた馬をわたしは知らない。
それが、早めの先頭。失速につながったとも言えるかも?

Posted by: はやひで | October 08, 2012 at 07:27 PM

これからの日本の競馬界を考えるとステイゴールド産抜きには考えられない。オルフェーヴルにナカヤマナイト、ゴールドシップ、フェノーメノ、 世界で通用する力強さと逞しさがある。来年の凱旋門賞にはこれらの馬が勢揃いして欲しい。オルフェーヴルが勝つときは日本馬上位独占は夢ではない。

Posted by: ミスターケリー | October 08, 2012 at 07:33 PM

〈苦しかった説〉と〈ソラを使った説〉があるようですが、僕も治郎丸さんと同様、〈苦しかった説〉に一票投じたいと思います。録画VTRを見ながらラスト10完歩(特にゴール前)、何度手前を替えたか数えているうちにジーンとくるものがありました。限界を越えていたのでしょうね。

Posted by: chick | October 08, 2012 at 10:47 PM

はやひでさん

こんにちは。

いろいろと敗因は考えられそうですね。

スミヨン騎手にしては、あの手応えですし、あそこで追い出すことが早いとは誰も思わないでしょう。

それにしても凄い反応の速さでしたね。

たとえ抜け出してからソラを使ったとしても、今回のものは、苦しがってのソラだったと思います。

それにしても、向こうの馬はあきらめずに伸びますね。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 09, 2012 at 10:23 AM

ミスターケリーさん

ステイゴールド産駒は凄いですね。

本当は良馬場でより一層切れ味が発揮されると思うのですが、産駒は重馬場も苦にしませんから。

こういう馬たちが、もっと凱旋門賞に挑戦するようになれば、特にオルフェーヴルはあきらめずに来年も、世界の壁は動かせるかもしれません。

期待しましょう。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 09, 2012 at 10:25 AM

chickさん

さすがによく観られていますね。

ゴール前で手前を変えようとしているように、
オルフェーヴルはかなり苦しがっていました。

もしソラを使った部分があるとしても、
それは苦しさゆえにソラを使ったのだと思います。

それでもペリエ騎手が乗った牝馬はしぶとく盛り返しましたね。

ここにもヨーロッパ競馬の神髄がある気がします。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 09, 2012 at 10:29 AM

ご無沙汰しています。
オルフェーヴルの凱旋門賞ゴール前の苦しさがよーく伝わります。レース映像をみて確信しました。
改めて言うのも何ですが、治郎丸さんの観戦記が大好きです。このコメント書きながら「愛があるからさ」って誰かが教えてくれました。私の心に響くので心が教えてくれたのかもしれません。
心温まる観戦記有難うございます。決して酒は呑んでいませんよ(笑)

Posted by: hagi | October 11, 2012 at 01:19 AM

hagiさん

お久しぶりです。

最後の最後で力尽きてしまいましたが、
オルフェーヴルは頑張りましたね。

ヨーロッパの馬場やコースはそれだけ特殊だということでしょうか。

観戦記を書くのは私も大好きですよ。

このブログも観戦記を書くために始めたようなものですし。

でもここまで続けられたのは、hagiさんのように、心暖かく読んでくれる方がいたからです。

私はお酒呑めないので、決して呑んでませんよ(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | October 11, 2012 at 10:27 AM

 最後の直線のVTRを何度見てもシビれます。凱旋門賞という舞台で、シンガリから馬なりでまくり切れる馬は、オルフェかせいぜいフランケルくらいのものでしょう。
 今回の挑戦で目を引いたのは、やはりアヴェンティーノを使った組織プレーですね。これから海外のビッグレースを狙う陣営は、考えなければならないと思います。
 ただ、それは社台系列のような巨大組織と、外国人騎手を組み合わせないと不可能に近いと思われます。水を差すようですが、少し寂しさを感じます。
 いずれにせよ、日本競馬が世界の一線級に到達していることを間違いありません。直近では、トレイルブレイザーのBCターフもあります。今後の日本馬の活躍に期待したいです。

Posted by: 取越苦労 | October 11, 2012 at 10:35 PM

取越苦労さん

しびれますよねえ~。

さすがに今回ばかりは、ヨーロッパのホースマンも勝たれたと思ったのではないでしょうか。

それでも勝てなかったのが、ヨーロッパ競馬の奥深さだとも考えられますが。

凱旋門賞では機能しませんでしたが、おっしゃるように、チームとしての連携プレーは必要かもしれません。

もう日本人の力だけで勝つとか、そういう意識は一旦捨てていかなければならないのかもしれませんね。

オリンピックと少し違うところだと思います。

トレイルブレイザーには期待したいですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 12, 2012 at 04:02 PM

治郎丸さん いつもどうもですo(*⌒O⌒)b


自分も朝イチ4時起きの仕事でしたが歴史的な瞬間を観てから眠ろうと思っていましたが悔しくて一睡も出来ませんでした。


まだ世界の壁がどうのとゆっている人もいますが自分は日本馬の力は充分に世界に通用すると胸を張っていいたいですね。


誰かがゆっていましたが海外のまして凱旋門賞に勝負を挑むとゆうことはまさに戦争をしにいくようなものだと、ほんとうにその通りだと思います。

今回またもや惜敗してしまいましたが無事是名馬でオルフェーヴルが無事で何よりです。

Posted by: ユビキタス | October 20, 2012 at 04:46 PM

ユビキタスさん

こんばんは。

今回は勝てるレースだっただけに、
きちんとしたローテーションで臨んで、
大外枠さえなければ、来年こそはと思います。

でもその来年がないのですよね、普通は。

とにかく無事に帰ってきてくれたのが何よりです。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 20, 2012 at 08:49 PM

いつも見させてもらっています。レースとこの記事を見て涙してから一年。非常に心に残っています。日本中の競馬ファンが応援しています。今年は本当に楽しみ過ぎます。

Posted by: dartshat | October 06, 2013 at 07:36 PM

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