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集中連載:「ダート競馬の楽しみ」最終回

最後に、集中連載「ダート競馬の楽しみ」の締めくくりとして、ダートコースにおける具体的な勝ちポジについて解説していきたい。実際のレースをサンプルに観てみることで、どれだけダート競馬における勝つためのポジション取りが限定されているか分かるだろう。さすがに全てのコースというわけにはいかないので、G1レースが行なわれる東京ダート1600mと阪神ダート1800m(JCダート)の2つに限定してみてみたい。

まずはフェブラリーSが行なわれる東京ダート1600mから。スタート直後に80mほど芝部分を走るが、外枠の方が若干長く芝コースを走ることができる。それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。実質的な第1コーナーは3コーナーとなり、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。それでも、東京のダート戦は速い時計で決着することが多く、前に行った馬も簡単には止まらない。

Febs

以上のことを踏まえて考えると、馬群の内で揉まれたり、窮屈になってしまう馬ではなく、スタートして外から切れ込む形で先行し、スムーズに最終コーナーまで走ってこられる外の2、3番手が勝つためのポジションということになる。このポジションを走るためには、真ん中よりも外の枠を引いていることが望ましく、それよりも内だと、外から被せられる形で馬群に押し込められてしまうリスクが多分にある。たとえば、2009年のフェブラリーSを勝ったサクセスブロッケンは勝ちポジを走って勝った典型的なケースである。このレースはカネヒキリとカジノドライブ、そしてサクセスブロッケンがほぼ互角の力を有していたが、最後に勝敗を決したのは、どこのポジションを走ったかであった。

次に、JCダートが行なわれる阪神ダート1800mについて。勝ちポジは内の2、3番手となる。力が一枚抜けている馬であれば、包まれる心配がない分、ハナを切るか外の2、3番手でも我慢が利くだろうが、基本的には内の2、3番手が望ましい。そのため、1コーナーまでの主導権争いは厳しく、外からも先手を奪いたい馬が殺到することになり、多頭数になればなるほど内枠の方が勝ちポジを取りやすい。

Jcdirt

たとえば、2008年のJCダートは、カネヒキリが最終的に勝ちポジを走って勝利した。10番枠を引いてしまったカネヒキリは、普通に回ってくるとしたら、勝ちポジを走ることは難しかっただろう。しかし、道中で内の2、3番手にスペースを見つけたルメール騎手が、いつの間にか勝ちポジを走らせることに成功したのである。最後のコーナーでは、外を回る他馬を横目に内々で脚をため、カネヒキリは末脚を爆発させた。外から迫るメイショウトウコンとヴァーミリアンを、ゴール前でなんとか凌ぎ切ったのである。外を回されたメイショウトウコンとヴァーミリアンとは対照的なレース振りであり、ルメール騎手のファインプレーであった。

このように、わずか200mしか違わないダートのレースであっても、競馬場やコースが異なってくるだけで、勝つためのポジションは全く違ってくる。力差のあるメンバーではあまり目に付かないかもしれないが、クラスが上がり、力関係が拮抗してくればくるほど、わずかなポジション取りが勝敗を決するのである。

これまで述べてきたように、ダート競馬に対する適性が各馬に問われるのはもちろんのこと、最後の最後は道中のポジションが明暗を分けてしまうのだ。だからこそ、その馬の脚質や気性が勝ちポジを走るのに適しているかどうか、また騎手は勝ちポジに導いてくれそうなのか、勝ちポジを取りに行ける枠順を引いたのかどうかなど、しっかりと見極めなければならない。それが私にとってのダート競馬の楽しみであり、この連載がダート競馬を楽しむ上での皆さまの一助になることを願ってやまない。

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阪神ダート1800m

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スタートしてから1コーナーまでの距離は303mと長くも短くもない。向こう正面からジワジワと下り、最後の直線に坂が待ち構えている。最後の直線に坂があること以外、形状や大きさが京都のダートコースに似ている。芝コース同様に、1~2コーナーはスパイラルカーブでペースが一旦落ちる、3~4コーナーは複合カーブでスピードが出やすい。

1コーナーまでの主導権争いは厳しく、外からも先手を奪いたい馬が殺到することになる。少頭数だとあまり関係ないが、多頭数になると逃げ、先行馬は内枠の方が先手を取りやすい。基本的には逃げ、先行馬が有利だが、クラスが上がってペースが速くなると2着争いに差し馬が来ることもある。騎手にとっては乗りやすく、どの馬にとっても力を発揮しやすい舞台となる。

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死闘

Japancup2012 by 三浦晃一
ジャパンカップ2012-観戦記-
ビートブラックが内枠を生かしてハナに立ち、前半の1000mが60秒2、後半が58秒6というスローペースを作り出した。後半はかなり後続を突き放し、第4コーナーまでレースを引っ張ったように見えたビートブラックのタイムでさえこれだから、その後ろの集団はかなり遅い流れであった。勝ったジェンティルドンナの上がり3ハロン32秒9からも、今年のジャパンカップの異常なまでのペースの遅さ、そして究極の上がりの競馬になったことが分かる。

勝ったジェンティルドンナは、見た目以上の強さを秘めている牝馬である。タイプでいうと、ウオッカやブエナビスタのように分かりやすい強さではなく、ダイワスカーレットのような底知れない強さ。何度も書いていることだが、他馬に追いつく(または突き放す)ときに使う、スッという脚が凄い。トップスピードに乗ったときの速さが桁違いというべきか。それが勝負所の一瞬だけに、大きく離して勝ったり、驚異的な末脚を使ったりするのではないから分かりにくいのだ。牡馬にも匹敵するほどの肉体的強さも秘めているので、古馬になった来年の可能性はさらに大きく拡がってゆく。

岩田康誠騎手はジェンティルドンナを前に出してゆき、最高のポジションでレースを進めることができた。外枠を引いただけに、下げてオークスのような末脚に賭けるという選択肢もあったはずだが、岩田康誠騎手の判断は結果的に正しかった。後続をギリギリまで待ってから追い出し、オルフェーヴルとぶつかり合いながらも、最後の最後は執念でハナ差だけ前に出した。直線では前からバテたビートブラックが下がってきて、外からヨレてきたオルフェーヴルに閉められて行き場がなくなったが、強引に外に張り出す形で進路を確保した。最後の2頭の叩き合いは、さながら格闘技のようであった。

先週のマイルCSに続きジャパンカップも長い審議となった。そもそも武豊騎手のサダムパテックは審議対象にさえなっていなかったようだが、勝つチャンスを逃さないために進路をこじ開けたという点においては、どちらも同じである。先週がアウトなら今週もアウトだし、その逆も然り。意図的なのは今回だが、レース全体における他馬の被害(またはレースを壊したかどうか)という点においては先週の方が悪質である。

ラフプレーを擁護するわけではないが、今回は一騎打ちをした馬同士のぶつかり合いであり、オルフェーヴル陣営が強調するほど問題があるとは思えない。そもそも、全周パトロール映像で見れば分かるように、ずっと内にモタれて真っ直ぐに走れていないのはオルフェーヴルの方なのではないだろうか。今回に限っては、ジェンティルドンナとオルフェーヴルの差はどこまで行っても縮まらない。関係者は分かっているし、競馬ファンの目は節穴ではない。

オルフェーヴルはさすがに海外遠征の目に見えない疲労があるのだろう。また、今回のようなペースで外を回されたことも響いて、最後は内にモタれて伸び切れなかった。それでも、凱旋門賞であそこまで走って、そこからわずか2ヶ月足らずというローテーションの中、ここまで走ってしまうのだから、さすが超一流馬である。体調が優れないときにどんな走りを見せるかで、その馬の真価が問われるのだ。まともな状態で走ったら、この馬に敵はいない。ぜひ来年も現役を続けて、悲願の凱旋門賞を手にしてほしい。そのためには、有馬記念を使わず、来年は阪神大賞典と天皇賞春だけを使って、向こうに渡るべきだろう。

ルーラーシップはまたもや届かず3着と、競馬に行っての不器用さに、今回は外枠が災いしたレースであった。立ち上がるような格好でスタートを切り、そこからすぐさま内に進路を切り替えたウイリアムズ騎手はさすがだが、第4コーナーでは馬群が広がらず、外を回される羽目になってしまった。ラスト3ハロン32秒7の脚を使っても差せないのだから、もうどうしようもない。今年になって本格化して、能力の高さは疑いのない馬だけに、有馬記念では内枠を引けたらという条件付きで狙ってみたい馬である。

3歳馬フェノーメノは内枠を利して、きっちり勝ちパターンで回ってきたが、最後の直線では突き離されてしまったように、まだこのメンバーに入っては力が一枚足りないということだろう。3歳馬らしく、まだ馬体にも緩さが残っている馬だけに、来年に成長した姿を楽しみに待ちたい。ダークシャドウは後ろから行き過ぎた感がある。距離もベストではなく、それでも4着に差してきたのはこの馬の底力だろうし、レース選択ひとつでG1のタイトルを獲れる器であることは間違いない。

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JCダートを当てるために知っておくべき3つのこと

Jcdirt

■1■スピード&器用さ優先
かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまうのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなる。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にとって勝つチャンスが訪れるということだ。そして、4つコーナーと小回りコースということを考えると、勝ち切るためには上手く立ち回れる器用さも求められる。

■2■関西馬有利
ただでさえ西高東低の状況が続く中、開催競馬場が関東から関西に移った以上、関西馬にとって条件はさらに有利になった。長距離輸送を考えなくてよい分、あと1本追えたり、また手加減なしに攻める調教を施すことが出来るだろう。ダート競馬はどの馬も最後はバテて、それでもそこからもうひと伸びすることを求められるので、輸送を考慮した軽い仕上げではなく、ビッシリと仕上げられた馬でないと苦しい。もちろん、阪神ダート1800mを乗り慣れた関西のジョッキーが乗るということもプラスになる。

■3■3歳馬にとっては厳しい戦い
阪神競馬場に開催地を移した昨年より、3歳馬の斤量が55kg→56kgとなった。距離短縮による措置だろうが、この1kgが3歳馬にとっては大きな負荷となる可能性は高い。たとえ日々成長著しい3歳馬とはいえ、この時期に歴戦のダート古馬とぶつかるのに1kgの斤量差は少ない。現に一昨年はカジノドライブが6着、サクセスブロッケンが8着と大敗した。この2頭が翌年明けのフェブラリーSで1、2着したことからも、3歳冬の時点で古馬と戦うことの厳しさが分かるだろう。

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気合が乗ってきたルーラーシップ:5つ☆

エイシンフラッシュ →馬体を見る
やや細く見えた前走と比べても、ふっくらとしてさらに良くなった。
この時期にもかかわらず、毛艶も素晴らしく、最高の状態に仕上がっている。
Pad45star

オルフェーヴル →馬体を見る
あまり良く見せないタイプだが、今回もメリハリに乏しく完調には及ばない。
ただ、海外遠征帰りにしては細くなった感はないのが救いで、力は出せるはず。
Pad3star

ジェンティルドンナ →馬体を見る
毛艶は冴えないが、冬の時期の牝馬だけに仕方ないだろう。
全体のラインは、3冠制覇時と変わりなく、見た目には疲れはない。
Pad3star

ダークシャドウ →馬体を見る
前躯の筋肉は豊富でパワフルだが、それに比べてトモの肉付きが物足りない。
メリハリやバランスの良さも昨年時ほどではなく、あまり評価できない。
Pad3star

トーセンジョーダン →馬体を見る
前走に比べると毛艶は明らかに落ちるが、全体のバランスは良くなっている。
落ち着いて立っているように、ひと叩きされて、気持ちが立ち直ってきたか。
Pad3star

ビートブラック →馬体を見る
毛艶がくすんで見えるように、この時期はあまり得意としていないのだろう。
筋肉のメリハリにも乏しく、取り消し後を叩いたが上昇してこない。
Pad3star

フェノーメノ →馬体を見る
あばらが浮き上がっているように、秋3戦目にしてきっちり仕上がった。
それに伴い、前後のバランスも良化して、後躯にも力強さが出てきた。
Pad4star

ルーラーシップ →馬体を見る
前走は大幅な馬体重プラスだったが、馬体自体はきちんと仕上がっていた。
今回も筋肉の張りを維持しつつ、表情が豹変しているように気合が乗ってきた。
Pad5star

ローズキングダム →馬体を見る
一昨年の覇者ではあるが、このメンバーに入ってしまうと線が細い。
全体のバランスは悪くはないが、筋肉のメリハリも少なく、強調材料はない。
Pad3star

Japancup2012wt

お知らせ
この場を借りて失礼します。「ガラスの競馬場」メールマガジンを申し込んでくださっている方の中で、どうしても携帯のアドレスに届かずに返ってきてしまっている方がいます。パソコンからのメールを拒否の設定になっているかもしれませんので、せめてglassracetrack@nifty.comからのメールだけは拒否を解除していただけると助かります。どうぞよろしくお願いします。

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「ガラスの競馬場」メルマガの募集期間があと2日です。

「ガラスの競馬場」メールマガジンの募集期間があと2日となりました。

真剣に競馬を考える方々のために、本気で競馬を書きたいと思い、メールマガジンを始めてからおよそ半年が経ちました。読者の皆さまの声を聞きながら、少しずつ進化を遂げた内容になってきたと自負しています。お一人ひとりにメールを直接送っている関係で、期間限定での募集となることをご理解ください。

「ガラスの競馬場」メールマガジンの内容は以下の通りです。

①レーシングスタディ
前週に行われたG1(重賞)レースをテキストとして、あるテーマを取り上げて論じていきます。これまで取り上げたテーマとしては、たとえば、「馬には第6感がある」、「逃げ馬は最強である」、「展開を読む騎手」、「競馬場のカラクリ」など、馬券につながるのはもちろん、競馬のスポーツや知的ゲームとしての側面を深く掘り下げて書いていきます。

読み切ってもらえるように、あまり長くなりすぎないように心がけてはいますが、だいたい3000字ぐらいの文章量になってしまいます。ひとつのテーマに沿って深く書いていくと、どうしてもそれぐらいになってしまうのは仕方ありません。ぜひ読みながら、競馬という深くて広大な海に潜ってみてください。何かのヒントや刺激になれば幸いです。

Mailmagagine01
スマートフォンからだと、こんな感じで読めます。

②音声によるG1(重賞)レース展望
その週に行なわれる予定のG1レース、もしくは重賞レースといった、注目度の高いレースについて、週明けに語ります。主にレース全体の傾向から勝ちポジ、有力馬や穴っぽい馬について話します。予想ではなく、あくまでも展望ですので、ご自身の予想の参考としてお楽しみください。

10分前後にまとめてコンパクトに話していますので、自宅でじっくり聴いていただくもよし、何かをしながら聴いていただくのもよしだと思います。

Mailmagagine02
スマートフォンからだと、こんな感じで聴けます。

③編集後記及びQ&A
ここはフリースペースとして、読者からの質問に答えることもありますし、競馬とは全く関係ないことを書くこともあるかもしれません。最初は140字という制限を自らに課していましたが、このコーナーだけはもう気張らずにゆんるりと書いていきたいと思います。

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ジャパンカップの衝撃

Jiromaru

私にとってジャパンカップといえば、ゴールデンフェザントが勝った1991年のレースです。メジロマックイーンが敗れたジャパンカップと言った方がいいかもしれませんが、とにかくこのレースの衝撃が、原初体験として、今でも私の中に残っています。たしかあの日は、修学旅行で京都に行っており、誰かが持ってきた卓上テレビでレースを観戦したのでした。競馬好きの友人たち皆で、修学旅行中の15時40分に小さな画面を覗き込んでいた姿は、今から思えば笑えますね。

メジロマックイーンは国内ではほぼ無敵の強さを誇っていました。当時の私は海外の競馬など全く知りませんでしたので、国内も国外もあったものではなかったのですが、メジロマックイーンの強さだけは知っていたのでした。無尽蔵のスタミナに支えられ、スッと先行して折り合いがつき、ラストの脚も強靭。前走では、降着になったものの、秋の天皇賞で2着以下をブッチぎる走りを見せて、スピードの持続力も有していることを証明しました。そして、なんと言っても、鞍上には天才・武豊騎手が跨っているのですから、負ける姿が想像できませんでした。

そのメジロマックイーンと武豊騎手が、直線に向いて、ゴールデンフェザントと2着のマジックナイトに外からあっさりと交わされたのです。メジロマックイーンは何の不利もなく、完璧にスタートから回って来たにもかかわらず、見せ場という見せ場なく、一気に引き離されてしまったのでした。後から調べてみると、ゴールデンフェザントは前年のアーリントンミリオンの勝ち馬であり、マジックナイトは凱旋門賞2着馬ですから、決して弱い馬ではありませんでした。ただ、そうは言っても、今まであれだけ強かったメジロマックイーンが、赤子の手を捻られるように負けてしまったシーンをリアルタイムで観て、私たち高校生は大きな衝撃を受けたのでした。

その翌年にはジャパンカップが国際G1レースとなり、シンボリルドルフの息子トウカイテイオーが勝利を収めると、1993年はレガシーワールド、1994年はマーベラスクラウンと続けて日本馬が勝ちました。それ以降は、たまに外国馬が勝つことはあっても、地元の利を生かして日本馬が勝利することが多くなり、もう最近では、日本馬が勝つのも掲示板を独占するのも当たり前となりました。日本馬のレベルアップや調教技術の向上など、あらゆる面において、日本の競馬が底上げされた結果だと思います。思えば、メジロマックイーンが負けたあのレースが分岐点だったのですね。

それでも、今でも、あのときの衝撃は忘れられません。ジャパンカップが創設されて、記念すべき第1回をアメリカのメアジードーツに勝たれたときの、当時の競馬関係者や競馬ファンの衝撃に比べたら大したことはないのかもしれませんが、海外からやってきた名も知らぬ馬たちに日本のG1タイトルを持っていかれる感覚は覚えておきたいものです。それは日本馬が海外の競馬に挑戦するときの向こうの人々の感覚でもあります。今年の凱旋門賞は、直線のオルフェーヴルの脚を見て、さすがに勝たれたと思ったことでしょう。差し返したソレミアはフランスのスターなのだと思います。そのソレミアがジャパンカップに挑戦しに来てくれるということは有難いことですね。

日本の総大将であるオルフェーヴルや前走で復活を遂げたダービー馬エイシンフラッシュ、3冠牝馬ジェンティルドンナ、3歳最強の1頭フェノーメノ、そして母にあのエアグルーヴを持つルーラーシップと日本馬も好メンバーが揃いました。フランスのスターであるソレミアを、日本馬たちはどう迎え撃つのでしょうか。返り討ちにできるのか、それともまたあの時の衝撃を受けるのか。どんな結果が待っているにせよ、私は未来へと語り継いでいきたいと思っています。

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東京芝2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。

以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

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きれいな競馬はむずかしい。


マイルCS2012-観戦記-
シルポートがハナに立ったにもかかわらず、前半の800mが46秒9、後半が46秒0という、マイルCSもしくはマイルのG1レースとしては珍しいほどのスローペース。道中で馬群は固まり、口を割って引っ掛かる素振りを見せる馬も何頭か見られた。こういった展開の中では、後ろから行った馬や馬群の外を回った馬は苦しい。先行もしくは内々を器用に立ち回った馬たちが、力を発揮しやすい流れのレースであった。

勝ったサダムパテックはスローペースの中、最高のポジションでレースを進めることができた。最終コーナーに入ってゆく手前では、前に適当なスペースも出来て、武豊騎手もかなり手応えを感じていたに違いない。最後の直線に向いて、前の馬がヨレた影響で外に張り出す形で進路を取り、そこからはゴールまで一直線に突き抜けた。ムラのあるタイプではあるが、もともとクラシックや安田記念でも1番人気に推されるほどの実力馬であり、勝ち負けになる力は備えていた。枠順や展開という外的な要因が噛み合って、遅ればせながらG1タイトルを手にすることになった。

武豊騎手の久しぶりのG1制覇に水を差すようで申し訳ないが、最後の直線のあの場面では、横に避けるのではなく、縦に逃げてほしかった。一旦手綱を引いて、内でスペースが開くのを待つという選択肢があったにもかかわらず、横に張り出す形になり、玉突き事故の第2因になってしまった。あそこで焦ってしまったのは、さすがの武豊騎手も勝ちたいという本能が前面に出てしまったということだろう。その気持ちは歓迎したいし、最後の直線まで最高の騎乗だっただけに、やや後味の悪いレースになってしまった。きれいな競馬というのは本当に難しい。

グランプリボスは、前走と違い、ペースが極めて遅かったこともあり、前半はかなり力んで走っていた。それでいて、最後は大きな不利を跳ね返してサダムパテックを追い詰めた以上、古馬になってもマイルのG1を勝てる力は備えていることを証明した。イギリスに渡ったことで、長く調子を崩していた時期もあったが、今年の秋は本来の力強い姿を取り戻している。内田博幸騎手は、これで今年の秋のG1レースで2着が3回目。普通に回ってくれば勝てるのに、普通に回ってこられなかった今回ばかりはさすがに悔しいだろう。

ドナウブルーは外を回されたにもかかわらず、僅差の3着と好走した。着差以上の好走であり、夏場から使ってきたことを考えると、今回の走りは価値が高い。さすがジェンティルドンナの姉である。このあとはゆっくり休ませて、来年はどこかのG1で姉妹対決を楽しみにしたい。

堀厩舎の3頭出しは、リアルインパクトが最先着を果たした。ストロングリターンは脚質的にどうしても展開に左右されてしまう。今回は安田記念のように前が止まる流れにはならなかった。ファイナルフォームは最後の直線でのアクシデントが致命的であった。キャリアの浅い3歳馬が、あれだけの不利に巻き込まれては、さすがに巻き返しは難しかった。

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ジャパンカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Japancup

■1■日本馬のレベルアップ
ジャパンカップで最も大きな問題となってくるのが、外国馬と日本馬の比較である。近年は完全な日本馬の優勢であり、日本馬が1~3着だけでなく、掲示板を独占することがあっても驚かなくなってきた。ここ十数年で、生産、調教の技術が飛躍的に向上したことによって、日本の競走馬のレベルそのものは、海外のそれと比較しても同等かそれ以上のところまで上がってきている。

日本国内における一流馬であれば、海外に出ていっても十分通用することは、古くはジャックルマロワ賞のタイキシャトル、凱旋門賞のエルコンドルパサーから、インターナショナルSのゼンノロブロイ、アメリカンオークスのシーザリオ、メルボルンCのデルタブルース、そしてハーツクライ、ディープインパクト、そして最近でいうとナカヤマフェスタやオルフェーヴルまで多くのG1ホースらが示してくれた。もちろん自分の土俵(日本の競馬)で戦うのであれば、堂々と胸を貸すぐらいの気持ちで立ち向かうことができるはずだ。

外国馬に関する情報は極めて少なく、日本の馬場で一度も走ったことがない馬の実力を推し量ることは、はっきり言って非常に難しい。それでも、ひとつだけ大きなものさしを示すとすれば、「力をつけた日本馬に地の利がある以上、外国馬は余程の実力、実績を持った馬でないとジャパンカップで勝ち負けにはならない」ということになる。日本の軽い馬場が合いそうだとか、招待されたからなどというレベルの外国馬では勝負にならないところまで日本馬のレベルは上がってきている。

ちなみに、外国馬に関して述べると、海外遠征未経験馬は疑ってかかるべきである。今回のジャパンカップ挑戦が初めての遠征になるような馬では、よほど能力が抜けていないと極東の地での激しい戦いを勝つことは出来ない。ヨーロッパの馬でヨーロッパの外に遠征した経験がない馬も同じである。

■2■凱旋門賞、ブリーダーズC馬は消し
ジャパンカップの前にはヨーロッパで凱旋門賞、アメリカでブリーダーズカップとG1レースの中のG1レースが行われている。海外の馬は当然そちらを目標に出走するため、ジャパンカップにはピークを過ぎた状態で出走してくることが多い。

特に、凱旋門賞、ブリーダーズCを勝った馬は、ほぼ間違いなく調子落ちでの出走となるはず。ピークの仕上げで臨まなければ、凱旋門賞やブリーダーズCといった大レースは勝てないため、勝った勢いでジャパンカップに挑戦してきても、結局、状態は下降線を辿ることになるのだ。ブリーダーズカップを勝ったコタシャーン、凱旋門賞を勝ったエリシオ、モンジューなどがあっさりと敗れてしまったのは、明らかにピークを過ぎた状態で出走してきたからである。また、凱旋門賞を勝つ馬は、深い芝で走れるだけのパワーとスタミナが勝っている馬である(今年の凱旋門賞は別)。軽い芝でスピードと瞬発力を要求される日本の競馬には合わないことが多いだろう。また、ブリーダーズCを勝った馬はローテーション的に厳しい。死力を尽くして大レースを勝った後に、遠征を含めて、もうひとつG1レースで勝つことは難しい。

逆に言うと、凱旋門賞、ブリーダーズCで負けてしまった馬の巻き返しは期待できるということだ。

■3■迎え撃つのは4歳馬
過去10年の勝ち馬は、4歳馬が5勝、続いて5歳馬が3勝、3歳馬は1勝、6歳以上の馬はわずかに1勝となっている。ジャパンカップのレベルが上がったことにより、肉体的に最も充実する4歳馬が圧倒的に有利なレースとなった。百戦錬磨の外国馬を迎え撃つのは日本の4歳馬という図式が成り立つだろう。

また、ジャパンカップを勝ち切るためには高い壁があって、日本馬、外国馬に関わらず、連対率が50%を切るような馬では厳しい。高い競走能力と、どのような状況や環境にも対応できる資質の持ち主であることが問われるのだ。

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パワーアップ著しいグランプリボス:5つ☆

アイムユアーズ →馬体を見る
前走時は成長した馬体を見せていたが、それに比べるとしぼんで力感に欠ける。
この時期だけに仕方ないにしても、毛艶も優れず、表情も良くは見えない。
Pad3star

エイシンアポロン →馬体を見る
いつもモッサリと映る馬で、今回はだいぶすっきりしたが、まだ太目残り。
トモの肉付きもあと一歩で、良化傾向にあるが、完調子には届かない。
Pad3star

ガルボ →馬体を見る
この時期にしては毛艶が素晴らしく、馬体もすっきりと見せている。
ただ、筋肉のメリハリには欠けるきらいがあり、このメンバーでは力不足か。
Pad3star

グランプリボス →馬体を見る
ここに来て、よりガッシリと筋肉がつき、パワーアップ著しい馬体を誇る。
さすがに毛艶はあまり良くないが、もうひと追いで勝ち負けになる。
Pad5star

サンカルロ →馬体を見る
陽の当たり方の関係で分かりづらいが、毛艶も良く、皮膚の張りが良い。
年齢を重ねるにしたがって、力感は失われたが、逆に距離は延びて良さそう。
Pad4star

ストロングリターン →馬体を見る
実にバランスの取れた理想的なシルエットで、立ち姿も素晴らしい。
ただ、安田記念当時と比べて毛艶は冴えず、絶好調とまでは言いがたい。
Pad4star

ドナウブルー →馬体を見る
夏場ほどの毛艶の良さが滲み出る感じはないが、顔つきから疲れはなさそう。
ボリュームのある馬体は維持しているので、あとは力関係だけか。
Pad3star

ファイナルフォーム →馬体を見る
前躯の筋肉の盛り上がりは、とても3歳馬とは思えないほど力強い。
重心が低い体型のためマイルがベストで、トモに実が詰まってくれば最高。
Pad4star

マルセリーナ →馬体を見る
3歳時に比べて力強さは消えたが、その分、どんな形でもレースできそう。
毛艶はくすんで見えるように、決して冬場が良いタイプではないはず。
Pad3star

リアルインパクト →馬体を見る
絶好調時に比べると、あとひと絞りできそうな余裕のある馬体ではある。
顔つきは至って聡明で、長距離輸送さえ克服できればチャンスは大きい。
Pad4star

レオアクティブ →馬体を見る
2歳時ほどではないが、やや腰高に映る馬体からは切れ味を感じさせる。
毛艶は悪くないので、あとは乗り方や展開に恵まれればどこまで走れるか。
Pad3star


Milecs2012wt

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「ガラスの競馬場」メルマガの読者を1週間限定で募集します。

「ガラスの競馬場」メールマガジンの読者を期間限定で募集します。真剣に競馬を考える方々のために、本気で競馬を書きたいと思い、メールマガジンを始めてからおよそ半年が経ちました。読者の皆さまの声を聞きながら、少しずつ進化を遂げた内容になってきたと自負しています。できればお一人ひとりにメールを直接送っているような感覚で運営していきたいので、11月25日(日)までの1週間の期間限定でお申し込みを受け付けさせてください

「ガラスの競馬場」メールマガジンの内容は以下の通りです。

①レーシングスタディ
前週に行われたG1(重賞)レースをテキストとして、あるテーマを取り上げて論じていきます。これまで取り上げたテーマとしては、たとえば、「馬には第6感がある」、「逃げ馬は最強である」、「展開を読む騎手」、「競馬場のカラクリ」など、馬券につながるのはもちろん、競馬のスポーツや知的ゲームとしての側面を深く掘り下げて書いていきます。

読み切ってもらえるように、あまり長くなりすぎないように心がけてはいますが、だいたい3000字ぐらいの文章量になってしまいます。ひとつのテーマに沿って深く書いていくと、どうしてもそれぐらいになってしまうのは仕方ありません。ぜひ読みながら、競馬という深くて広大な海に潜ってみてください。何かのヒントや刺激になれば幸いです。

Mailmagagine01
スマートフォンからだと、こんな感じで読めます。

②音声によるG1(重賞)レース展望
その週に行なわれる予定のG1レース、もしくは重賞レースといった、注目度の高いレースについて、週明けに語ります。主にレース全体の傾向から勝ちポジ、有力馬や穴っぽい馬について話します。予想ではなく、あくまでも展望ですので、ご自身の予想の参考としてお楽しみください。

10分前後にまとめてコンパクトに話していますので、自宅でじっくり聴いていただくもよし、何かをしながら聴いていただくのもよしだと思います。

Mailmagagine02
スマートフォンからだと、こんな感じで聴けます。

③編集後記及びQ&A
ここはフリースペースとして、読者からの質問に答えることもありますし、競馬とは全く関係ないことを書くこともあるかもしれません。最初は140字という制限を自らに課していましたが、このコーナーだけはもう気張らずにゆんるりと書いていきたいと思います。

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名勝負が教えてくれたこと

Jiromaru

競馬ファンが100人いれば、それぞれに名勝負が存在すると思うのですが、何かを教えてくれるようなレースはそう多くはありません。そんな中でも、サクラバクシンオーとノースフライトが戦った1994年のマイルCSは、まさに名馬同士の激闘でしたし、1400m戦とマイル戦の違いをはっきりと示したレースでした。たったの200m違うだけで、サラブレッドは全く違った適性や資質を問われるのだと、私は教えられたのでした。

今となっては、スプリンターとマイラーは分業化されてしまいましたが、当時は短距離戦線でスプリンターとマイラー同士がガチンコ勝負を繰り広げていました。特に秋のスワンS(1400m)→マイルCS(1600m)→スプリンターズS(1200m)という王道には、強いマイラーと強いスプリンターが出走して、覇を競ったものでした。私はこの路線が大好きでしたし、超一流馬たちのドラマチックな走りに一喜一憂したものでした。特に、マイルCSでちょっと足りなかった馬がスプリンターズSで巻き返すのが大好きでしたね。

サクラバクシンオーは誰もが知る最強スプリンターです。そのスピード能力は卓越していて、おそらくスピード化された現代の競馬に登場したとしても、この馬よりも速い馬は見当たりません。ほとんど馬なりのまま2、3番手につけ、鞍上の小島太騎手が手綱を引っ張るようにして直線では先頭に立ち、そこから解き放たれた矢のようにゴールまで一直線に伸びる。前年のスプリンターズSを勝ち、1994年に入ってからは安田記念と毎日王冠ともに4着と、距離が延びても以前のように大崩れしなくなってきていました。

ノースフライトは1994年の安田記念を制し、名実ともに、短距離戦線の頂点に立った牝馬です。そういえば、女性の厩務員に初めてのG1レースをもたらしたのは、ノースフライトの安田記念でしたね。ふーちゃんという愛称で呼ばれるその姿は、とても牡馬と真っ向勝負ができる牝馬には見えませんでしたが、いざレースに行って走ると、名マイラーに変身します。追われてからの反応は凄まじく、しかもどこまでも伸びてゆきます。2400mのエリザベス女王杯でも2着に来たように、マイラーとしては豊富なスタミナを有していたのです。

そんな2頭がスワンSで対戦したのでした。結果は、サクラバクシンオーがノースフライトに影を踏ませることなく楽勝。おいでおいでとはまさにこのことでした。ノースフライトは伸びてきたものの、最後にようやく2着に上がるのが精一杯という完敗でした。しかし、スワンSから200m距離が延びたマイルCSでは、サクラバクシンオーをピタリとマークしたノースフライトが、直線半ばにしてすでに抜け出して、最後は余裕を持たせてゴールしたのでした。たとえスワンSが休み明けだったにせよ、サクラバクシンオーをモノサシにしたときのノースフライトのマイル戦における強さは、まるで別馬かと思えるほどでした。

この2戦を通じて、私は1400m戦とマイル戦の間にそびえ立つ、大きな壁のようなものを感じたのでした。1200mと1400mは近いけれど少し違う。そして、1400mと1600mは全く違うということを、名マイラーであるノースフライトと最強スプリンターであるサクラバクシンオーが力をぶつけ合うことで示したのです。名馬同士の対決は、名勝負を残すだけではなく、ときとして競馬とは何かを私たちに教えてくれるのです。

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京都芝1600m

Kyoto1600t1

向こう正面の直線を2コーナー側に延長したポケットからのスタート。第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は711mと長く、逃げ馬が気分よく行ってしまうとオーバーペースになりやすい。しかし、3コーナー過ぎてからは下り坂となるため、多少のハイペースで行ったとしても、前もなかなか止まらない。結果として、平均ペースのレースになりがちで、実力どおりの決着となることが多い。力さえあれば、展開にはあまり左右されることのないコースといえる。

京都の1600mコースには内回りと外回りがあり、G1であるマイルチャンピオンシップは外回りを使って行われる。外回りコースは、4コーナーで内回りコースと合流するため、内にポッカリとスペースが開きやすい。そのため、直線で前が詰まる心配がほとんどなく、差し馬にとっては安心して乗れるコースである。

第1コーナーまでの距離が長いため、枠順による有利・不利はほとんどない。あるとすれば、最初の直線において、ポケットの直線から本線に入る際、わずかに内の馬が窮屈になることぐらいか。とはいえ、1番枠でない限り、ほとんど気にする必要はないだろう。

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消えない虹を


エリザベス女王杯2012-観戦記-
レジェンドブルーが逃げて作り出したペースは、馬群が固まって進んでいたように、前半1000mが62秒4、後半が61秒0というスローペース。エリンコートが我慢しきれずに動き出したところから、レースは流れ始めた。結果としてエリンコートは14着に大敗したのだから、秋華賞のチェリーメデューサとは違い、レースを壊しただけで終わってしまったように見える。道中で外を回されてしまった馬は早々に脚を失ってしまい、また最後はどの馬も脚が上がっていたように、道悪適性も問われたレースであった。

勝ったレインボーダリアだけが、余裕綽々の手応えで先頭に立ち、そのまま押し切った。洋芝の函館や札幌競馬場で勝っているように、力の要る馬場はドンとこいの馬である。父ブライアンズタイム、母の父ノーザンテーストという、悪く言えばオールドファッションな血統の牝馬であり、だからこそ、この力と我慢強さを問われる馬場で勝利することができたとも言える。馬体もふっくらと仕上がっていて、最高の状態で臨んでいたことも好走の一因である。走る馬を頻繁に入れ替えるのではなく、走る馬を待ってさらに走る馬に育てていく二ノ宮敬宇調教師の手腕は、目立たないながらもいぶし銀の光を放っている。

柴田善臣騎手の騎乗も見事と言うしか他はない。前走こそ外を回されてしまい結果を出せていなかったが、今回は外枠からの発走を跳ね返し、レインボーダリアを後方の内に待機させた。エリンコートが動いても動じることなく、外を回して仕掛けていくタイミングが抜群であった。ハマるレースとそうでないレースが極端ではあるが、馬の気分を害さずにスムーズにレースをさせる柴田善臣騎手のスタイルと道悪のレースは相性が良いのだろう。

またもや2着とG1タイトルを逃したヴィルシーナは、今回は道悪に泣かされた。道中自ら前に進んで行かないシーンが見られたように、もともと自分でハミを噛んで走るタイプの馬ではない。だからこそ、道中は引っ掛かることもなく、距離が延びても心配がなく、騎手にとっては乗りやすい馬なのであるが、今回の道悪馬場ではそれが凶と出た。滑るような馬場では馬は騎手のハミを頼って走るので、ヴィルシーナのようなハミをガッチリ噛まない馬はノメりやすいし、騎手にとっても操縦しづらくなってしまう。最後はなんとかヴィルシーナの根性と内田博幸騎手の技術で2着に持ってきたが、良馬場でこそ良さが生きる馬である。

ピクシープリンセスはスタートで後手を踏んでしまい、ミルコ・デムーロ騎手は腹を括って最後方からレースを進めた。最内の馬場が荒れていない所を通って、最後は大外に出して追い込んできた。跳びが大きい馬であり、道悪は決して得意ではないだけに、この馬にとっても今回の大雨はついていなかったといえる。出遅れたにしても、ジワジワとフットワークを大きくしてゆき、最後の直線では思いっきり脚を伸ばすことに成功したデムーロ騎手はさすがである。ヒカルアマランサスで勝った京都牝馬Sのレースを思い出した。

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マイルCSを当てるために知っておくべき3つのこと

Milecs

■1■マイルの連対率は重要な目安
マイルのチャンピオン決定戦である以上、1600mのレースにおける連対率が50%を割っているような馬はチャンピオンとして相応しくない。1600m戦での連対率は、その馬のマイル戦に対する適性を顕著に表すからだ。

大荒れとなった平成7年は、出走馬18頭中、1600mのレースにおける連対率が50%を超えている馬がわずか2頭しかいないというレベルの低いレースであった。その2頭が、安田記念も勝ったトロットサンダーと、なんと大穴のメイショウテゾロである。このことからも、マイルチャンピオンシップにおいて、マイルの連対率がどれだけ重要なデータとなるかが分かる。マイルの連対率が50%を切っている馬は軽視すべきである。

■2■勝つためにはスタミナが必要
京都1600m外回りコースで行われるため、スピードだけでは押し切れないレースである。前4走ともに1600m未満の距離を使っていたスプリンタータイプの馬では、最後の直線でスタミナ切れすることになる。スプリンタータイプの馬では勝ち切ることは難しい。勝つためには、中距離を走り切れるだけのスタミナが必要とされる。1600m以上の中距離レースでの実績は必要。 

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬?
過去10年のレースラップ(下参照)を見ても、昔は前半から飛ばす馬がいてハイペースになることが多かったが、ここ最近は、さすがにスローにはならなくても、全体的にフラットな落ち着いた流れになる傾向が強い。1分32秒台後半から33秒前半という全体時計は変わらないということは、前半が厳しい流れになる昔のレースの方がレベルは高かったということになる。

そのため、ズブズブのスタミナ勝負になることは少なく、スッと先行して4コーナーを持ったまま先頭で押し切れるぐらいスピードに富んだ馬、もしくは瞬発力勝負に長けた馬にとっては競馬がしやすいレースになる。デュランダル、ハットトリック、ダイワメジャーと、サンデーサイレンス産駒が5年連続でこのレースを勝ったのも、そういう特性(軽さと瞬発力)こそが問われるからである。もし血統的に狙いを絞るとすれば、サンデーサイレンスの血を引く馬ということになるか。

12.3-10.6-11.3-11.8-11.8-11.6-11.5-11.9(46.0-46.8)M
1:32.8 トウカイポイント
12.4-10.7-11.3-11.6-11.6-11.2-12.1-12.4(46.0-47.3)H
1:33.3 デュランダル
12.1-11.2-11.6-11.7-11.8-11.7-11.5-11.4(46.6-46.4)M
1:33.0 デュランダル
12.2-10.6-11.4-11.5-11.4-11.5-11.3-12.2(45.7-46.4)M
1:32.1 ハットトリック
12.3-10.6-11.1-12.0-11.5-11.6-11.2-12.4(46.0-46.7)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.6-10.6-11.2-12.0-11.6-11.5-11.3-11.9(46.4-46.3)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.5-10.6-11.3-11.9-11.6-11.4-11.6-11.7(46.3-46.3)M
1.32.6 ブルーメンブラッド
12.1-10.9-11.8-12.4-11.5-11.4-11.2-11.9(47.2-46.0)S
1.33.2 カンパニー
12.1-10.7-10.9-11.6-11.4-11.1-11.9-12.1(45.3-46.5)H
1.31.8 エーシンフォワード
12.4-10.8-11.2-12.3-11.9-11.8-11.6-11.9(46.7-47.2)M
1.33.9 エイシンアポロン

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ヴィルシーナ秋3戦目で絶好:5つ☆

アカンサス →馬体を見る
前後躯ともにしっかりと実が入って充実し、まさに確変モードに入った。
この時期でも毛艶は抜群で、体調の良さも手に取るように分かる。
Pad45star

エリンコート →馬体を見る
オークスを制したときの柔らか味が失われてしまい、毛艶も冴えない。
パワータイプにシフトしてきたのは確かなので、馬場が重くなれば。
Pad3star

レインボーダリア →馬体を見る
まだコロンとして映るが、5歳馬にしては馬体が瑞々しさを保っている。
毛艶も良好で、筋肉のメリハリもあり、十分に力を発揮できる状態にある。
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マイネイサベル →馬体を見る
腰が高く映るように、やや腹が巻き上がっているし、距離はマイル辺りがベスト。
切れ味はありそうなので、ギリギリまで溜めてどこまで迫れるか。
Pad3star

ラシンティランテ →馬体を見る
2歳時からしっかりとした骨格の馬であったが、あまり成長は感じられない。
逞しくなったように見えるのは、体調が戻ってきたからこそ。
Pad3star

オールザットジャズ →馬体を見る
いかにもタニノギムレット産駒らしい、胴部が詰まったように見える体型。
距離延長はプラス材料とは言えず、折り合いがついてどこまで。
Pad3star

スマートシルエット →馬体を見る
全体のバランスは悪くなく、表情からも力を出しきれる素直さが伝わってくる。
ただ、毛艶はあまり冴えず、馬体的にも特筆すべき点はない。
Pad3star

フミノイマージン →馬体を見る
牝馬にしては馬体の造りが力強く、さすが牡馬相手に重賞を勝つだけのことはある。
筋肉のメリハリも十分だが、ひとつだけ毛艶が落ちてきているのが気がかり。
Pad4star

ホエールキャプチャ →馬体を見る
力強さと各パーツの伸びやかさが、なかなか良いバランスで同居している。
この馬としては非の打ち所がない、古馬牝馬としても完成された姿を誇る。
Pad4star

ヴィルシーナ →馬体を見る
3歳馬らしい馬体の幼さは残しているが、黒光りして秋3戦目で絶好の仕上がり。
目つき顔つきがこの馬のレースのしやすさを物語っており、信頼に値する。
Pad5star

Elizabeth2012wt

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素晴らしく美しき時代

Jiromaru

今から18年前と言うべきか、私が競馬を始めてから4年目と言うべきか迷いますが、個人的にかなり入れ込んだエリザベス女王杯がありました。「ガラスの競馬場」の長年の読者の方々はご存知かと思いますが、私が初めて本気で好きになった馬はヒシアマゾンという牝馬でした。阪神3歳牝馬Sに出走してきた黒鹿毛の外国産馬にたまたま賭けたところ、そのあまりの強さと美しさに目が釘付けになり、心を奪われてしまったのでした。

それ以来、ヒシアマゾンの出走するレースはできる限り競馬場に応援に行き、金額の多少こそあれ、全て単勝に賭けてきました。そう盲目的に。そんな私の期待に反することなく、京成杯での唯一の敗戦(2着)を除き、クイーンC→クリスタルC→ニュージーランドT→クイーンS→ローズSと重賞5連勝で、このエリザベス女王杯に臨んできたのです。

不思議に思われた方もいるかもしれませんが、当時、外国産馬はクラシック(桜花賞とオークス)には出走することができませんでした。どれだけ強くともです。出走していれば、桜花賞は直線で悠々と先頭に立って楽勝したと思いますし、オークスでは最後の直線で他馬をごぼう抜きにしていたと信じていました。

「28頭立ての大外枠でもいい。賞金なんか貰わなくていい。他の馬の邪魔もしない。この馬の力を試したいから日本ダービーを走らせてくれ」と語ったマルゼンスキー陣営ほどではありませんが、やはりこれだけ華やかな馬が裏街道の重賞を勝ち続けている姿を見るのは、ファンとしては歯がゆさを感じていました。この悔しさはなんとしてもエリザベス女王杯で晴らしたい。ヒシアマゾンにかかわる人々に共通する想いだったと思います。

しかも、桜花賞馬であるオグリローマンとオークス馬であるチョウカイキャロルが、どちらも無事に出走してくることになったのですから、まさに本物は誰なのか雌雄を決する舞台となったわけです。舞台は京都の2400mという、小細工の通用しない、ゴマカシの一切利かないコースです。私はこれまでのヒシアマゾンのレース振りから、彼女が負ける姿を想像することはできませんでしたし、京都の長い直線を味方にしてどれぐらい千切るのだろうとさえ思っていました。4コーナー手前から大外を回って捲くっていき、直線で大きなフットワークで羽ばたくヒシアマゾンを思い浮かべるだけで、思わず笑みがこぼれてしまう、そんな1週間を過ごしました。さすがに京都競馬場にまで行くことはできませんでしたが、目一杯の単勝を買って、当日はテレビの前で応援していました。

最後の直線で大外から伸びるヒシアマゾンと内で執拗に食い下がるチョウカイキャロルの叩き合いは、とても3歳牝馬のものとは思えませんでした。こうして改めて見てみると、今年のジェンティルドンナとヴィルシーナの壮絶な叩き合いと似ていますね。当時の私はヒシアマゾンの強さしか頭にありませんでしたので、まさかチョウカイキャロルという馬がそれほど強いとは思いも寄らなかったのです。なんとかハナ差でヒシアマゾンに軍配が上がり、私は胸を撫で下ろしたものでした。

競馬を始めて4年目なんて、ほんとうは何も分かっていなかったのです。この馬は絶対に勝つと思ったり、したり顔で語ったり、当時はまるで競馬の世界の全てが分かっているような感覚を持っていましたが、実は何も見えていなかった。今となっては、恥ずかしい限りです。でも、そういう時期も悪くないなあと思うのです。思い込みが激しすぎるからこそ、1頭の馬に入れ込んだり、1レース1レースの結果に一喜一憂できるのです。あのときの感情の起伏は今はありません。たとえ周りから見て恥ずかしい状況であったとしても、それは素晴らしく美しき時代なのです。

そういえば、ヒシアマゾンの最後の仔であるヒシラストガイがデビューして勝利を収めましたね。母譲りの大きなフットワークや大物感はありませんが、レースセンスはなかなか良さそうですし、栗毛の可愛らしさがあります。まだ1勝したばかりですが、父はブリーダーズCダートマイルを勝ったコリンシアンですので、来年はNHKマイルCを目指しても面白いかもしれません。もう1度、あの頃の気持ちに戻って、ヒシラストガイを応援してみようかと思っています。

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京都芝2200m

Kyoto2200t1

スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。かと思えば、前半から飛ばす馬がいて意外に前半のペースが速くなったりするため、折り合いの難しい馬や器用に立ち回ることの出来ない馬にとっては、勝ち切ることが難しいコースである。

道中がスローの団子状態で流れた場合、外々を回されてしまうと、かなりの距離ロスになってしまう。外を回されやすい外枠よりも、経済コースを進むことができる内枠を引いた馬の方が有利になる。

外回りコースでは、4コーナーの出口で内回りコースと合流するため内柵がなくなり、内にポッカリとスペースができる。そのため、内埒沿いを走っていても前が詰まることが少なく、脚さえ残っていれば確実に馬群を割ることができる。よって、脚を余して負けるということが極めて少ない、実力が正直に反映されるコース設定となっている。

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エリザベス女王杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Elizabeth

■1■秋華賞→エリザベス女王杯の連勝は難しい
秋華賞→エリザベス女王杯という路線が3歳の有力馬にとって自然な選択となってきているが、秋華賞→エリザベス女王杯という連勝は難しい。秋華賞馬はエリザベス女王杯でもほぼ1番人気になるが、人気に応えられているとは言い難い。

平成13年 テイエムオーシャン(1番人気)→5着
平成14年 ファインモーション(1番人気)→1着
平成15年 スティルインラブ(1番人気)→2着
平成16年 スイープトウショウ(1番人気)→5着
平成17年 エアメサイア(1番人気)→5着
平成18年 カワカミプリンセス(1番人気)→12着(1位降着)
平成19年 ダイワスカーレット(1番人気)→1着
平成20年 ブラックエンブレム(不出走)
平成21年 レッドディザイア(不出走)
平成22年 アパパネ(1番人気)→3着
平成23年 アヴェンチュラ(2番人気)→2着

秋華賞とエリザベス女王杯の連勝が難しい理由としては、やはり秋華賞とエリザベス女王杯が違った性格のレースになるからだろう。秋華賞は京都2000m小回りコースで行われ、スピードの持続が求められるレースになりやすい。それに対し、エリザベス女王杯は京都2200m外回りコースで行われるため、折り合いとスタミナが要求される緩急のついたレースになりやすい。

また、小回りコースの高低差が3.1mに対し、外回りコースは4.3mと、外回りコースは丘をひとつ越えていかなければならない。そのため、秋華賞とエリザベス女王杯では、200mの距離以上に要求されるスタミナの量が異なってくるのである。

■2■世代交代について
エリザベス女王杯において、世代交代の問題は避けて通れない。一般的に、牝馬は牡馬に比べ、現役の競走馬として活躍できる期間が短いとされる。それは牝馬には血を繋ぐという役割があるからであって、肉体的そして精神的にも競走馬から繁殖牝馬へと変遷していく時期が自然とあるからだ。

ダイイチルビーは4歳時にスプリンターズステークスを制したが、5歳となった翌年は目を覆いたくなるような惨敗を繰り返しそのまま引退していった。その時に、伊藤雄二調教師が言った、「ルビーはもうお母さんの目になっているね」というセリフが印象的であった。肉体的には走れる状態にあったが、精神的にはレースを走り抜くだけの闘争心がすでに失われていたのであろう。

もちろん、馬それぞれにおいてピークは異なってくるので、この年齢以上では走れないというような線引きはできない。ただし、あと2ヶ月も経てばもう6歳馬となってしまう5歳の秋は、牝馬にとって非常に微妙な時期なのではないだろうか。明日にでも、まるで坂を転げ落ちるように競走馬としての能力が衰えてしまう、ギリギリのラインに立っているのである。

衰えゆく5歳馬から、充実の4歳馬、そして更なる上昇が期待される3歳馬への世代交代というクロスオーバーが行われるのがこのエリザベス女王杯である。平成12年から秋華賞が1週間繰り上げられ、エリザベス女王杯までが中3週となった。これにより勢いのある3歳馬の挑戦も増えることからも、5歳馬にとってはさらなる苦戦を強いられることになるであろう。

■3■牡馬と勝負になっていた馬でないと×
牝馬の中でチャンピオンを決める戦いではあるが、牝馬限定戦でずっと戦ってきたような馬では、このレースは勝てない。牡馬との厳しいレースで揉まれ、牡馬を相手に好勝負になっていた馬を狙うべきである。もちろん3歳馬については、牡馬混合戦に出る機会もなかっただろうから、この条件は当てはまらない。

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馬券交流元年にJBCを買ってみる

Jiromaru

JRAのIPAT方式で地方競馬の馬券が買えるようになってから、1ヶ月が経とうとしています。実はタイミングを逃して、まだ地方競馬の馬券を買っていないのですが、ようやくそのタイミングがやってきました。そう、明日はJBCが川崎競馬場で行なわれます!できれば土日もしくは祝日に開催してほしかったのが本音ですが、現地観戦には行けなくとも、こういう時こそIPATの出番ですね。これまでは泣く泣くあきらめていた地方のG1レースも、こうして馬券を買って参加できるのは嬉しいことです。まさに馬券交流元年ということでしょう。

それではJBCはレディスクラシックとスプリント、そしてクラシックの展望を書いていきたいと思います。自分の中では中央競馬のような縛りがありませんので、地方競馬はかなり自由に無責任に予想ができますので、それなりの結果がついてくると信じています(笑)。

まずはレディスクラシックから。このレースはミラクルレジェンドの力が1頭抜けていますね。春シーズンの末は無理に使っていたのが祟って、この馬本来の調子にありませんでしたが、休養を挟んでリフレッシュされた前走は抜群の手応えで楽勝しました。ひと叩きされたことで体調に問題はなさそうですし、55kgという斤量も切れ味を生かしたいミラクルレジェンドにとってもってこいです。唯一の懸念材料といえば、やはり大外枠でしょうか。ただ、川崎の1600m戦はスタートしてから最初のコーナーまで比較的距離がありますし、12頭立てですので外を回らされても許容範囲内のはずです。もし逆転があるとすれば、内枠を引いたクラーベセクレタとの立ち回りの差でしょう。オッズを考えると、おそらくミラクルレジェンドが被りそうなので、妙味という点で、このレースはあまり買いたくはありませんね。

次に、混戦になりそうなスプリント。前哨戦である東京盃でセイクリムズンの連勝が止まり、ラブミーチャンが楽な手応えで圧勝したのですから驚きました。セイクリムズンは連勝が止まった馬の次走は消しの法則に基づいて消したいと思います。ラブミーチャンは前走のようなレースができれば再び圧勝する可能性もありますが、今回はさすがにマークが厳しくなりますし、200mの距離延長や枠が外よりなのが気になるといえば気になりますね。当初は内田博幸騎手のタイセイレジェンドを狙おうと思っていましたが、前走2着とはいえ、ゴール前では突き放されていましたので、200m延びて良いタイプでもなく逆転の目が考えにくいかなと。結論としては、9歳馬の◎ダイショウジェットに本命を打ちます。前走の南部杯はエスポワールシチーの強さだけが目立ったレースでしたが、あのレースでエスポワールシチーについていき、最後は他馬が突き放される中、ダイショウジェットだけは食らい付いていました。高齢でもまだまだ元気ですし、得意の1400m戦であり、しかも1番枠を引きましたので、思い切って乗ればチャンスはあるはずです。

Jbc2012sprint

最後は、最も見応えがありそうなクラシック。トランセンドがドバイワールドカップ遠征後にいよいよ出走してきます。このメンバーでも力が一枚上なのは確かですが、これまで気持ちで走っていた面が強い馬ですので、競られても弾き返せるだけの気持ちが戻ってきているかどうかが全てだと思います。そのあたりは調教だけではどうしようもない部分ですので、走ってみなければ分からないのが正直なところです。そこで本命は◎ソリタリーキングに打ちます。あのヴァーミリアンの弟ということで期待していた馬ですが、ここに来て本格化してきました。東海Sは枠順やレースの流れに恵まれたところはありましたが、前走の日本テレビ盃はランフォルセやサイレントメロディを力でねじ伏せた勝利でした。脚質的にも安定していますし、最後まできっちりと力を出し切れる馬です。5番枠を引けたので、ギリギリ内のポジションに潜り込めるはずです。強敵はさらに内を引いたシビルウォーでしょうか。後ろから行くので取りこぼしというか凡走が多かった馬ですが、この2走はトモに筋肉が付いてきて前に行けるようになってきました。末脚は確かなので、今回も少なくとも中団よりも前につけてくるはずです。最後の直線はソリタリーキングとシビルウォー、浜中騎手と内田騎手の激しい叩き合いが見ものですね。

Jbc2012classic

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スタミナも備えているローマンレジェンド:5つ☆

■アルゼンチン共和国杯
オウケンブルースリ →馬体を見る
休み明けの前走の方が毛艶も良く、メリハリもあったのが不思議に思える。
今回はややもっさりして、表情を見ても、前走を好走した反動が出ているかも。
Pad3star

ギュスターブクライ →馬体を見る
本質的にはステイヤーなのか、前走を叩かれて、急激に調子が上がってきた感はない。
胴部はコロンと映り、もうひと絞りできそうな完調一歩手前の馬体。
Pad3star

トウカイパラダイス →馬体を見る
全体的なバランスは悪くはないが、前躯に比べるとトモに力強さがない。
長距離戦だけに問題はないが、ワンパンチたりない印象を受ける。
Pad3star

ビートブラック →馬体を見る
京都大賞典は回避したが、ふっくらとして筋肉の張りも素晴らしい。
ステイヤーにしては、もうひと絞りされて完璧な体になるが、体調自体は良い。

マイネルキッツ →馬体を見る
9歳馬とは思えない毛艶の良さがあり、全体のシルエットも美しい。
もともと線の細く映る馬だが、それなりの力強さはあり、走れる馬体になっている。
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マイネルリマーク →馬体を見る
兄マイネルキッツとは似ても似つかない、コロンとしてステイヤーの体型ではない。
前後躯に気持ちが良いほど実が入って、毛艶も良く、現在絶好調を誇る。
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ムスカテール →馬体を見る
前躯の張りは素晴らしく、全体的にも力強さに溢れている中距離馬の馬体。
筋肉のメリハリという点では、もうひと絞りほしいが、この馬の力は出し切れる。
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ルルーシュ →馬体を見る
トモの肉付きに物足りなさを残していて、距離は延びてプラスに働くはず。
この時期にもかかわらず、毛艶は良好で、夏から使われても以前好調を維持している。
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■みやこS
グレープブランデー →馬体を見る
ダート馬らしからぬ線の細さがあり、トモに筋肉がついてくるとさらに良くなる。
それでも、全体のバランスが良いからこそ、ここまで走っているのだろう。
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ナイスミーチュー →馬体を見る
この馬も前躯に比べるとトモの肉付きが物足りなく、もう一歩というところか。
気性は素直そうな顔つきだけに、上手にレースを運んで力を出し切れるはず。
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ニホンピロアワーズ →馬体を見る
背中が随分長く見えるように、バランスが悪い分、スピードに乗るまでに手間どるかも。
前後躯ともに、しっかりと実が入っているので、力強さという点では見劣りしない。
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ハタノヴァンクール →馬体を見る
3歳馬にしては前躯が鍛え上げられているが、トモにはやや寂しさがある。
将来的に、後躯に力がついてくれば、もっと前で競馬ができるようになるはず。
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ホッコータルマエ →馬体を見る
全体的に線が細い印象を受け、このメンバーでは力不足は否めない。
どこが物足りないかといえば、前後躯ではなく、首回りの筋肉が寂しい。
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ローマンレジェンド →馬体を見る
胴部にも十分な長さがあり、スピードだけでなく、スタミナも備えていることが分かる。
前後の盛り上がりは素晴らしいし、後躯もしっかりしてバランスが良い。
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Miyakos2012wt

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凱旋門に挑戦する意義は

オルフェーヴルの凱旋門賞とは一体何だったのだろうか。あの敗北からおよそ1ヶ月が過ぎた今、ひとり困惑している自分がいる。最後の直線における栄光と挫折だけではなく、そこに至るまでの経緯やレース後の競馬関係者やファンからの声が、日本の競馬に対し、何かを問いかけているのではないだろうか。今回のオルフェーヴルの挑戦には、ディープインパクトのときの熱狂や喧騒とは違う何かがあった。悔しさを乗り越え、その何かを希求してゆくことが私たちに求められている。

まず、オルフェーヴルが最後に失速したことについて、あれはソラを使ったものではないだろう。ソラを使うとは、つまり気を抜くということである。確かに競走馬によっては、先頭に立つと気を抜く馬もいるが、もしオルフェーヴルが本当に気を抜いていたとすれば、その耳は後ろに向けて絞られた状態から、前方もしくは横へと向いていたはずである。レース映像を見ればそうでないことは分かるし、気を抜いただけの馬があそこまで急激に内にササるだろうか。たとえば菊花賞や神戸新聞杯の走りを見ると、直線では早めに先頭に立ってしまっているが、大きくヨレる素振りは見せていない。もちろん池添謙一騎手が真っ直ぐに走らせようとサポートしていたのは確かであるが、今回のように極端なササりではなかった。そもそも、オルフェーヴルにはそういう癖のようなものがあるのだが、それはたとえソラを使ったように思えても、決して気を抜いたからではなく、苦しくてレースから逃げようとしてササっているのだ。

このあたりの誤解は、あの阪神大賞典あたりからつきまとっている、オルフェーヴルは人間味がある説である。ゴール後に騎手を振り落としたり、レースで大きく逸走したりしたことを、まるでオルフェーヴルが競走馬を超越した存在ゆえであるかのようにもてはやし、どちらかというと人間側に問題があるかのように考える視点である。そうではなく、オルフェーヴルは苦しくなると(追い込まれると)、その状況から何とかして逃げ出したいという気持ちの強い馬、良く言えば正直な馬なのであって、決してマスコミが報じるような本気を出していない馬ではない。もしかしたら、競馬を少し知っているようなファンにも、そう思っている人も多いのではないだろうか。こういう分かりやすく、幻想を抱きやすい説は信じられやすく、今のインターネット時代には流布されやすい。

オルフェーヴルが苦しがったことについては、あらゆる理由が考えられる。その中でも大きなものとして、大外枠からの発走かつスローペースのため外を回されて脚を使わされたこと、そして、宝塚記念を勝ってからわずか3ヶ月という仕上げの難しいローテーションの2つが挙げられる。後者はほとんど認識されていないかもしれないが、過去の宝塚記念馬の天皇賞秋における成績を見てもらうと分かりやすいだろう。オルフェーヴルは70%の状態で宝塚記念を勝ったのだから、という反論もあるかもしれないが、本当に70%の状態で勝てるほど日本の競馬はレベルが低いのだろうか。陣営としては70%ぐらいまで戻ってきていた感触だろうが、馬自身は宝塚記念に向けて上向いて80~90%ぐらいの出来にはあったはずである。6月末にかなりの状態に仕上げられた馬を、凱旋門賞が行なわれる9月末から10月頭にかけてもう1度ピークにもってゆくのは難しい。

オルフェーヴル自身が失速して差し返されたとしても、差し返した相手がいるのも事実である。今回はペリエ騎手鞍上のソレミアが、オルフェーヴルにしぶとく食らいつき、最後は差し返した。恐るべきしぶとさであり、我慢強さである。ハーツクライが3着に敗れたキングジョージと重なった方も多いはずである。あのハーツクライが後ろから差されたレースである。日本であれば考えられないことであった。ルメール騎手の仕掛けは決して早くなかったが、ヨーロッパにはハーツクライ以上に、バテてもバテても最後まで脚を伸ばし続けることが出来る馬がいたのである。これがヨーロッパだとその当時私は書いた。

まるで地平線のように、挑戦すればするほど、凱旋門賞の勝利は遠ざかる。考えうる手を尽くし、あらゆる条件や不利を乗り越えなければ、日本の馬が先頭でゴールすることはできない。そんな千載一遇のチャンスをモノにすることが果たしてできるのか、私には分からないが、チャレンジし続けなければノーチャンスであることは間違いない。

1998年あたりを境として日本の競馬の売上は下降線を辿り、その業界自体も縮小を続けているが、オルフェーヴルの挑戦がそんな競馬界を一時的にでも盛り上げ、大きな刺激を与えてくれたことは確かである。オルフェーヴルの走りを観て、新たに競馬に興味を抱いてくれた方々もいるかもしれないし、それ以上に、オールドファンの心に再び火をつけたのではないだろうか。勝てる力がある馬が凱旋門に挑戦する意義は、実はそこにあるのかもしれない。オルフェーヴルを凱旋門賞に出走させた関係者の皆さまに心から感謝したい。

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