« December 2012 | Main | February 2013 »

ありがとう、安藤勝己。

Thankyoukatsumi

安藤勝己騎手の現役引退の知らせを聞き、来るべきときが来たと感じた。いつか関西圏に引っ越して、1年間ぐらい安藤勝己騎手の追っかけをしたいと思っていたが、それも叶わぬ夢となってしまった。晩年は騎乗数を絞り、乗り鞍もかなり少なくなっていたので、ぽっかりと心に穴が開いたというわけではないが、あの大胆な騎乗や風車ムチ、人懐っこい笑顔のインタビューがもう見られないのかと思うと残念でならない。それでも、「少しでも長く乗っていたい」と語っていた安藤勝己騎手がそう決意したのだから、最高の潮時ということなのだろう。

安藤勝己騎手は、地方競馬から中央競馬への門をこじ開けたパイオニアであった。野球でたとえるなら、日本野球からメジャーリーグのベースボールへの架け橋をつくった、野茂英雄投手のような存在である。彼らがいなくても、誰かがその役割を担ったのかもしれないが、もしかすると、依然として何も変わらない昔のままの姿であったかもしれない。そう考えると、その生き様の果たした意義は極めて大きい。私たちは彼らの勇気と行動力に感謝しなければならない。

私にとって、安藤勝己騎手は個人的にお会いしてゆっくりと話すことができた唯一の騎手である(今のところ)。だからもう、騎手としてはもちろんのこと、個人としても敬愛している。その魅力をひと言で言ってしまうと、“懐の広さ”であろうか。その懐の広さがあったからこそ、ありのままの姿で、その騎手人生を最後まで全うできたのだと思う。様々なしがらみに絡め取られてしまいがちな騎手として、ありのままの姿で生きることがどれほど難しいことか。

ひとつエピソードを紹介したい。キングカメハメハの日本ダービー祝勝会のとき、宴もたけなわ、ディープインパクトのオーナーである金子真人氏のスピーチが始まった。キングカメハメハの名前の由来ゆえ、アロハシャツを身に纏い、「アロハ!」という挨拶から切り出されるや、会場の参加者は湧きに湧いた。ひとしきり関係者へ感謝の意が伝えられ、それに続く形で次に登場したのは、ノーザンファームの吉田勝己氏。彼もまた金子氏のスピーチの冒頭を受けて、「アロハ!」と挨拶を始めた。その次は調教師の松田国英氏が壇上に立ち、今度はお約束のように「アロハ!」。盛り上がりもピークに達したそのとき、その次に安藤勝己騎手に番が回ってきたのだ。

会場の誰もが、安藤勝己騎手も「アロハ!」と始めるだろうと期待していた。私は固唾を飲んで見守った。ところが、まるでそれまでの流れを聞いていなかったのではと思わせるほど、安藤勝己騎手は、ごく当たり前に、自然にお祝いの挨拶を始めたのだ。拍子抜けしたというか、肩透かしを食らったというか、最初はそう感じていたが、日本ダービー制覇を語る安藤勝己騎手の嬉しそうな顔を見て、これで良かったのだ、安藤勝己騎手だけは、「アロハ!」と始めなくて本当に良かったと心から思えた。それは大衆迎合しない矜持という大仰な意味ではなく、安藤勝己騎手の安藤勝己騎手たるゆえん、ありのままの姿で生きる1人の騎手としての安藤勝己がそこにいたのである。


関連エントリ
「安藤老子」
「安藤勝己の頭脳」
「神の視点を持つアスリート」
「安藤勝己VSルメールの対談を読んで(前編)」
「安藤勝己VSルメールの対談を読んで(中編)」
「安藤勝己VSルメールの対談を読んで(後編)」

Photo by Hidehiko Sugawara

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (24)

競馬のあるべき姿は(後編)

このようなグレーな部分があったにもかかわらず、武豊騎手の勝利インタビューは晴れやかであった。自身にとって久しぶりの中央G1制覇、私たち競馬ファンも待ち望んでいた勝利であったことは確かだが、私は手放しでは喜べない複雑な心境であった。まさか武豊騎手がレース後にパトロール映像を観ていないなんてことはないので、「やってもうた」と思う気持ちが僅かでもなかったはずがない。それでもファンの手前、勝利の喜びを分かち合おうと考えたのだろうか。あのインタビューにおける武豊騎手の真意を、私は測りかねた。

モヤモヤとした気持ちを引きずった中、ジャパンカップの審議が行なわれた。たしかに進路をこじ開けに行っての激突だったが、最後までマッチレースをした同士のやりとりであって、ドミノ倒しのようになったわけではない。オルフェーヴルにとって致命的とは到底思えなかった。岩田康誠騎手には何らかのペナルティは課せられるかもしれないが、着順が変わることはない。もし変わるとしたら、それは空気によるものだろう。そのときは、もしかすると、競馬が初めて嫌いになるかもしれない。そう考えていた。

ジェンティルドンナとオルフェーヴルの着順こそ変わらなかったが、岩田康誠騎手の勝利インタビューからは笑顔が消えていた。壮絶なマッチレースを制してジャパンカップを勝ったにもかかわらず、出てくる言葉は反省の弁ばかり。誰もが素晴らしいレースを観せてもらったことに感謝の拍手を送りたかったのに、まるでお通夜のような雰囲気であった。たしかに強引な部分はあったが、ジェンティルドンナやオルフェーヴルのファイトを帳消しにするようなものであったのだろうか。私には岩田康誠騎手を包む鉛色の空気が見えた。

その空気とは中央競馬村のそれである。武豊至上主義であり(最近の競馬ファンには知らない方もいるかもしれないが、現在の社台グループと同じぐらい、武豊騎手を中心にして競馬が動いていた時代が確かにあった)、脈々と受け継がれる中央競馬の古き良き伝統の名残である。外国人ジョッキーはもちろんのこと、岩田康誠騎手や内田博幸騎手や安藤勝己騎手らは、どれだけ活躍しても外様にすぎない。こういった目に見えない圧力に耐えられなかった地方出身の騎手もいるが、岩田康誠騎手や安藤勝己騎手は空気を読まない(読めない)からここまで成功できたし、内田博幸騎手は外見とは裏腹な強靭な反骨心によって今の地位を築いた。

このブログを読んでくれている読者の皆さまなら、私が武豊騎手のファンであることはご存知だろう。競馬をこれだけのメジャースポーツに変えた立役者であり、日本一のジョッキーである。その栄枯盛衰を見てきた同世代の競馬ファンとして、武豊を誇りに思わない人はいない。問題なのはその周辺の人々の意識である。あらゆる意味で、武豊でメシを食ってきた意識たちが多すぎるのだ。その意識たちは、今の武豊騎手が昔のようには勝てなくなってきている現状を良しとは思わない。外国人ジョッキーや岩田康誠騎手が粗暴な悪者に仕立て上げられるのも、武豊騎手が社台グループに干されたことになっているのも、すべてはその意識に通底している。もしマイルCSのサダムパテックが岩田康誠騎手、ジャパンカップのジェンティルドンナが武豊騎手であったなら、競馬メディアが発するメッセージはまた違うものになっていたはずである。

私は競馬のあるべき姿に迷ったときには、野平祐二先生ならばどうおっしゃるだろうかと考える。それは虎の威を借りるということではなく、自分の心の中で対話をするということだ。野平祐二先生は異端(マイノリティ)の人であったが、決して中立性を欠くような考えはしない紳士だった。武豊騎手のことを誰よりも愛していたし、岩田康誠騎手の騎乗についても絶賛するに違いない。比べようのないぐらい、どちらも素晴らしいジョッキーだと。そして、野平祐二先生は、最近の競馬を見て、こうおっしゃるのではないだろうか。

「日本の競馬もずいぶん変わりましたね。激しく、エキサイティングになった。ほら、ジェンティルドンナとオルフェーヴルが叩き合ったジャパンカップなんて、あのサンデーサイレンスとイージーゴアが激しくぶつかり合った3冠最後のプリネークスSみたいじゃないですか。サンデーサイレンスの孫たちが、こうしてジャパンカップで鎬を削るなんて、ついに日本の競馬もここまできたものだ」

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (18)

力は出し切れる仕上がりドリームバレンチノ:5つ☆

■根岸S
ガンジス →馬体を見る
ダート馬らしからぬ、シルエットの美しく、バランスの取れた馬体を誇る。
ただ、冬毛が出てきているところも見え、体調はやや下降線を辿っている。
Pad3star

テスタマッタ →馬体を見る
昨年時には5つ☆評価をしたほど馬体は充実していたが、今回は明らかに太い。
休養の効果はあったようで、筋肉に柔らか味が戻ったが、メリハリに欠けるのが現状。
Pad3star

ストローハット →馬体を見る
コロンとして映るように、マイル戦もしくはそれ以下の距離がベストということだろう。
毛艶も良く、2回レースを使われて、良かった頃の状態に戻りつつある。
Pad3star

タイセイレジェンド →馬体を見る
いかにも休み明けといった、もっさりした筋肉のメリハリに欠ける馬体。
毛艶も冴えず、馬の表情からも覇気が伝わってこず、さすがに今回は割り引きか。
Pad2star

トシザキャンディ →馬体を見る
牝馬らしからぬ、全体的にしっかりとしたつくりの、パワー溢れる馬体を誇る。
胴部が長く、スタミナもありそうなので、スムーズに走れば渋太く粘れるかも。
Pad4star

■シルクロードS
スギノエンデバー →馬体を見る
この時期にして、毛艶はピカピカであり、馬体が回復して充実したことが分かる。
あえて言えば、もうひと絞りできそうな、余裕のある馬体なので、狙いは次走か。
Pad3star

アフォード →馬体を見る
体を洗った直後の撮影のため、毛艶が分かりづらいが、体調は悪くなさそう。
メリハリに欠けることは否めないが、闘争心溢れる表情はいかにもスプリンター。
Pad3star

アイラブリリ →馬体を見る
体つきも顔つきも、まだ子どもっぽさを残しており、天性のスピードだけで走っている。
ただ良く見ると、バネの強さやコンパクトで無駄のない馬体を誇っていて、ここでも通用する。
Pad3star

ダッシャーゴーゴー →馬体を見る
古馬になって馬体が伸びて、筋肉に硬さを見せるようになり、結果が出なくなった。
今回も馬体全体のバランスは決して悪くないのだが、良かった頃の柔らか味はない。
Pad3star

ドリームバレンチノ →馬体を見る
良く見せるタイプの馬で、毛艶も素晴らしく、胴部にも十分な伸びがある。
休み明けではあるが、前後躯にしっかりと実が入って、力は出し切れる仕上がりにある。
Pad5star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (23)

根岸Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Negisis

■1■差し馬有利
過去のレースを観ると、差し馬の活躍が目立つ。サウスヴィグラスとメイショウボーラーが押し切ったレースでさえ、2着には差し馬が突っ込んできている。ただ単にこの2頭は圧倒的に力が抜けていたということで、基本的には差し馬が有利な展開になりやすい。そのことは、過去10年(中山で行われた2003年は除く)のレースラップを見てみれば明らかである。

2002年 サウスヴィグラス
12.5-10.7-11.2-11.8-11.9-12.1-12.6(34.4-36.6)H
2004年 シャドウスケイプ
12.3-10.9-11.6-12.1-12.3-12.1-12.7(34.8-37.1)H
2005年 メイショウボーラー
12.5-10.9-11.6-12.3-11.9-11.7-12.1(35.0-35.7)M
2006年 リミットレスビッド
12.2-10.8-11.6-12.1-12.3-12.2-12.5(34.6-37.0)H
2007年 ビッググラス
12.5-10.8-10.9-11.7-12.0-12.7-12.9(34.2-37.6)H
2008年 ワイルドワンダー
12.2-10.7-11.4-12.0-11.9-12.0-12.5(34.3-36.4)H
2009年 フェラーリピサ
12.2-10.6-11.3-12.1-12.1-11.6-12.2(34.1-35.9)H
2010年 グロリアスノア
12.4-11.5-11.7-11.8-11.8-12.0-12.5(35.6-36.3)M
2011年 セイクリムゾン
12.4-11.2-11.6-12.1-12.0-11.8-11.9(35.2-35.7)M
2012年 シルクフォーチュン
12.5-11.2-11.6-12.1-12.1-11.8-12.2(35.3-36.1)M


最近はミドルペースに流れているが、基本的にはペースが速くなりやすく、展開という面においてはスプリント戦であるガーネットS(昨年で廃止)とは性格がわずかに異なる。ガーネットSは前半3ハロンが32秒台後半から33秒台で流れ、後半3ハロンがガタっと37秒台に落ちる、前後半の落差の平均が4.5秒という「上がり不問」のレースである。それに対し、根岸Sは前半3ハロンは34秒台から35秒台で流れ、後半3ハロンは36~7秒あたりに落ちるが、前後半の落差の平均は約2秒という、「普通のハイペース」である。

ガーネットSのような「上がり不問」のレースでは、直線に向いた時には全ての馬がバテてしまっているような状態なので、前に行った馬がそのまま残りやすい。しかし、根岸Sのような「普通のハイペース」では、後ろからレースを進めた馬は脚が十分に溜まっているので、ハイペースで前が潰れた時に一気に襲い掛かることが出来るということだ。

■2■キャリアを積んだ高齢馬が有利
ほとんどの重賞においては、サラブレッドとして最も充実する4歳馬が力を発揮することが多いのだが、根岸Sに関しては5、6歳馬が圧倒的に優勢となっている。過去10年間の連対率は以下のお通り。

4歳→   7%  
5歳→  30%
6歳→  18%
7歳以上→6%

つい1ヶ月前までは3歳であった4歳馬が、キャリアを積んだ歴戦のダート馬にわずか1kgの斤量差で挑むのは、まだこの時期では苦しいと解釈するべきであろう。メイショウボーラーが勝利したように、4歳馬に勝ち目がないというわけではないが、苦戦を強いられることは間違いない。逆に考えると、ここで連対を果たせるような4歳馬は成長が見込める本番フェブラリーSでも好勝負になるということだ。

■3■前走ダート1200m組に注目
過去10年の勝ち馬のうち、ビッググラス、ワイルドワンダー、フェラーリピサ、シルクフォーチュン以外の勝ち馬は全て前走ダート1200m戦組であった。【5・4・2・43】で勝率9%、連対率17%という高い数字を残している。スプリントとマイルの中間的な距離だが、根岸Sに関して言えば、勝つためにはスプリント的な要素がまず問われるということである。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

競馬のあるべき姿は(中編)

2007年の天皇賞秋を思い出してみてほしい。最後の直線でコスモバルクの動きに過敏に反応する形でヨレて、他馬と接触したエイシンデピュティと柴山雄一騎手が審議の対象となり、14着に降着となったレースである。コスモバルクに跨る五十嵐冬樹騎手は批判を受けたものの5着に入線。勝ったのは内を突いたメイショウサムソンの武豊騎手。「コスモバルクは直線で必ず外にヨレる癖を知っていたから、コスモバルクの内側を狙って走らせた」と自身の出演するTV番組で語った武豊騎手を見て、不利を受けないようなコース取りをするのも超一流騎手なのか、さすが武豊と唸らされたことを覚えている。

この2007年の天皇賞秋と照らし合わせてみると、2012年のマイルCSの裁決には不可解さがつきまとう。エイシンアポロンが外に寄ってきたあの時点で、武豊騎手が手綱を引いて内に進路を求めていれば、あの事故は防げていたのではないかと私は思う。決して武豊騎手が悪いわけではなく、判断ミスということでもないが、レース全体を俯瞰してみればそういうことだ。あらゆる物ごとの発端や初動を探っていけば、それはとてつもなく遠いところに行き着くかもしれないし、逆に直接的に影響を及ぼしたからといって全ての責任がそこにあるわけでもない。その線引きは極めて難しいのだが、マイルCSの武豊騎手が完全な白でないことは確かであろう。

何よりもその被害は甚大であった。旧ルールで行われていたはずだから、「走行妨害が、被害馬の競走能力の発揮に重大な影響を与えたと裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着」することになっていた。最後の直線でのパトロール映像を観ると、武豊騎手が跨ったサダムパテックを発火点として、まるでドミノ倒しのように各馬が外へ外へと張り出されていることが分かる。勝負所の最もスピードが乗らんとしている時点において、このような形でぶつけられることは致命傷となる。なぜなら、隣の馬に横からぶつけられたならまだしも、その隣になると2倍、さらにその隣は3倍といった具合に衝撃が増すからだ。

2007年の天皇賞秋がまさにそのケースである。エイシンデピュティが発火点となり、外へ外へと各馬が弾き出された結果、内から3頭目にいたダイワメジャーは9着、その外にいたアドマイヤムーンは6着に沈んだ。その次走で、ダイワメジャーはマイルCSを勝利、アドマイヤムーンはジャパンカップを勝ったのだから、天皇賞秋の直線で外に弾かれた被害がどれほどのものだったか分かるだろう。あのちょっと接触しただけのように見えたアドマイヤムーンでさえも、実は致命的な不利を被っていたのだから驚きである。

それは2012年のマイルCSにおいても同じ。内からガルボ、グランプリボス、ダノンシャーク、ファイナルフォームと、外へ外へと玉突きのように弾き出された。このような形で不利を受けた馬にとって、特に外にいればいるほど、馬体に受けた衝撃は想像を絶するものとなる。グランプリボスがあそこから伸びてきたのは驚異的としか言いようがないが、一気にスタミナを奪われた馬たちが再び伸びてくることはまずない。その次走を見てみると、グランプリボスはマイルCSで無理をしたことが祟ったのか香港マイルで大敗を喫したが、ガルボは阪神Cで2着、ファイナルフォームは3着、そしてダノンシャークは京都金杯を圧勝している。あの不利がなければと思わせる馬ばかりで、被害馬の競走能力の発揮に重大な影響があったことは間違いがないのである。(続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (14)

シルクロードSを当てるために知っておくべき3つのこと

Silkroads

■1■差し追い込み馬を狙え
開催時期が2月上旬に変更になって以降、過去10年間のラップタイムは以下のとおり。

12.6-10.9-10.8-11.2-11.1-12.0 (34.3-34.3)M
12.5-10.8-11.1-11.1-11.2-11.9 (34.4-34.2)M
12.3-10.7-10.9-11.2-11.3-11.7 (33.9-34.2)M
12.2-11.1-11.1-11.0-11.5-12.0 (34.4-34.5)M
12.0-10.7-10.8-10.7-11.2-12.4 (33.5-34.3)M
12.3-10.6-10.8-11.2-11.9-12.3 (33.7-35.4)H
11.9-10.8-10.9-11.0-11.7-12.2(33.6-34.9)H
12.2-11.1-11.1-11.2-11.0-11.5(34.4-33.7)M
12.5-11.0-11.3-11.1-10.9-11.4(34.8-33.4)S
12.0-11.0-11.1-11.0-11.3-11.9((34.1-34.2)M

スプリント戦にしては意外にもハイペースになっておらず、どの年も前半と後半がほとんどイーブンなペースで流れていることが分かる。京都の1200mコースは、スタートから最初のコーナーまでの距離が316mと長くも短くもない。3コーナーの丘を越えると、あとはゴールまで下り坂が続く。

一見、先行馬に有利な短距離戦に思えるが、実はそうでもない。前半が遅く見えるのは、スタートしてから第1コーナーまでが登り坂になっているから。ここで少しでもオーバーペースで行ってしまった先行馬は、最後の直線で脚が止まるのだ。2010年は前半よりも後半の方が速い、スローに極めて近いペースになったため、先行馬が押し切ってしまったが、基本的には中団よりやや後方で脚を溜める馬が有利になる。

■2■休み明けの馬は割引
厳寒期の始動戦という意味合いもあって、休み明けの一流馬たちは無理をして仕上げてはこない。その上、重いハンデを課せられるので、苦戦を強いられることになる。対して、2ヶ月以内にレースを使っている馬たちは、コンディションを維持しており、ハンデもそれほど重くはないはずで、一流馬相手にも好走が可能となる。ちなみに、開催時期が1月下旬~2月上旬に変更になって以来、過去10年の連対馬でアルティマトゥーレとロードカナロア以外の馬は、前走を前年の12月以降のレースに使われていた。前走からの間隔が開きすぎている馬は割り引いて考えた方が賢明か。

■3■淀短距離S組は負けた馬に妙味あり
番組のローテーション上、淀短距離Sが最も有力なステップレースとなる。ところが、淀短距離S→シルクロードSという連勝は、2008年のファイングレイン以外にはない(それまでは2着が最高)。それは淀短距離Sが別定戦で、シルクロードSがハンデ戦であることと関係があるだろう。淀短距離Sで負けて、ハンデが軽くなったシルクロードSで勝つというパターンはこれからも続くだろうし、その逆もまた然りである。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (7)

理想的な馬体のサイレントメロディ:5つ☆

■AJCC
ルルーシュ →馬体を見る
有馬記念時よりもトモの筋肉量が落ちており、やや馬体が寂しく映る。
このメンバーでは力上位ではあるが、顔つきも覇気に乏しく、完調には遠い。
Pad3star

トランスワープ →馬体を見る
疲れが出た天皇賞秋以来だが、馬体は少しずつ回復に向かっている。
毛艶の関係もあるだろうが、欲を言えば、筋肉が漲る感じが前面に出てほしい。
Pad3star

ネコパンチ →馬体を見る
やや垂れ気味のトモに比べて前躯が強く、完全なパワータイプの馬体を誇る。
顔つきから察するに気性的にムラがあるタイプで、この馬のリズムで走れれば。
Pad3star

アドマイヤラクティ →馬体を見る
筋肉量が豊富で、今の時期の今の時期の中山競馬場を得意としそうな馬体。
澄んだ目つきからも、この馬の気性の良さが伝わってきて、安定して走るはず。
Pad3star

■東海S
ナムラタイタン →馬体を見る
やや輪郭がぼやけている感はあるが、筋肉は実に柔らかそうで好感が持てる。
毛艶もこの時期にしては良く、もうひと絞りで走れる状態は整いそう。
Pad3star

ホッコータルマエ →馬体を見る
ダート馬にしては線の細さを感じさせる馬体だが、その分、成長が見込める。
馬体全体のバランスは取れていて、なんと言っても凛とした顔つきが素晴らしい。
Pad4star

クリールパッション →馬体を見る
体型的なものではあるが、どうしても腹回りが太く映って良く見えない。
時期的に絞り切れないところはあるにせよ、もう少しシャープさがほしい。
Pad2star

ハートビートソング →馬体を見る
黄金色に輝く毛艶は素晴らしく、前後躯にはしっかりと実が入っている。
ダート馬の馬体かと言われると疑問だが、実績があるので信用してよいだろう。
Pad4star

ミラクルレジェンド →馬体を見る
冬毛が生えてきて、さすがにこの時期の牝馬らしく見栄えはしない。
それに伴ってか、筋肉のメリハリにも欠けて、この馬の本調子にはない。
Pad2star

サイレントメロディ →馬体を見る
冬場の休み明けとは思えない肌艶の良さで、前後躯の実の入りも申し分ない。
表情から全体のシルエットに至るまで理想的な馬体で完璧と言ってよい。
Pad5star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (12)

競馬のあるべき姿は(前編)

新しい失格・降着のルールが2013年度より適用されている。国際化のためというよりは、2010年のジャパンカップにおけるブエナビスタの降着が引き金となったはずのルール変更であるが、今のところ、私もおおむね新しいルールには賛成である。10年前と比べても、競馬のあるべき姿はやはり少しずつ変わってきており、それに合わせてルールも変わってゆくべきだと思うのだ。旧ルールと新ルールのどちらが正しいということではなく、優先順位をどこに置くかということなのだろう。

人間が馬に乗って、コンマ数秒の単位でゴールを争う競技である以上、競馬におけるスポーツ性と安全性が両立しないことがどうしてもある。たとえば格闘技がそうであるように、表現は悪いが、やらなければやられるという場面が出てくるのだ。私の考えとしては、やらなくても勝っていたということは多いが、それはあくまでも結果論であって、その判断を問われる瞬間には、やらなければ負けると競技者は考えざるをえない。2012年秋のG1シリーズで立て続けに起こった事件は(マイルCSとジャパンカップの審議)、まさにその典型的なケースであった。

この2つのレースにおいて、鍵を握っていたのは武豊騎手と岩田康誠騎手。この2人のジョッキーの動きがレースに大きな影響を与えた。どちらもやらなければやられると思われる場面において、わずかな隙間に突っ込み、結果的に勝利を勝ち取ったわけだが、もし2人の騎手が瞬間的にレース全体の安全性を考慮して手綱を引いていたらどうなっていただろうか。どちらもワンテンポかツーテンポ遅れて追い上げてゆくことになり、武豊騎手のサダムパテックは内田博幸騎手のグランプリボスに及ばず、岩田康誠騎手のジェンティルドンナはオルフェーヴルを最後の最後に差し切っていたのではないか。

そうなると、判断を誤ったのは岩田康誠騎手ということになる。オルフェーヴルを一旦先に行かせてから、ジェンティルドンナを外に出して追い出しても、内ラチにぶつかるようにして走る(であろう)オルフェーヴルを抜き去っていたはずである。それほどにジェンティルドンナにはオルフェーヴルを上回る脚があった。もちろんレースが終わってから分かることであり、あの一瞬で判断せよというのは難しいのだが、結果的に岩田康誠騎手はやらなくても勝てたはずの場面で、ラフプレーと思われるリスクを取ってしまったことになる。逆に、武豊騎手はやらなければやられていたのだから、ある意味において好判断だったと言える。

いや、そもそも武豊騎手は被害者(馬)だという向きもあるが、果たしてそうだろうか。マイルCSの最後の直線における惨事の発端は、たしかに池添謙一騎手のエイシンアポロンの動きにあった。エイシンアポロンの初期微動がレース全体の内容を大きく変えてしまったのだが、その発火装置はサダムパテック武豊騎手の挙動にあった。観戦記にも書いたが、あそこで武豊騎手が手綱を引いていれば、サダムパテックは2着に敗れていたものの、あれだけ多くの馬たちが大きな不利を被ることもなかったはずである。サダムパテックと武豊騎手は、被害者(馬)でもあり、加害者(馬)でもあるのだ。(続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (25)

AJCCを当てるために知っておくべき3つのこと

Ajcc

■1■やっぱり前に行ける馬が有利
12.7-11.3-11.9-11.6-11.7-11.9-11.8-12.1-12.0-12.2-12.2(59.2-60.3)H
13.0-11.6-12.5-12.0-12.2-12.0-11.9-12.1-12.0-11.6-12.3(61.3-59.9)S
13.0-11.3-12.3-11.9-11.7-11.7-11.8-12.1-12.0-12.0-13.0(60.2-60.9)M
12.7-11.3-12.7-12.3-12.2-12.1-12.1-12.2-11.8-11.9-12.3(61.2-60.3)S
12.3-11.8-12.5-12.2-12.7-12.4-12.0-12.1-11.6-11.7-12.6(61.5-60.0)S
12.3-11.3-12.7-12.2-12.0-12.4-12.4-12.2-11.9-11.2-12.0(60.5-59.7)M
13.0-11.9-13.0-12.8-12.7-12.5-11.8-11.4-11.5-11.3-12.3(63.4-58.3)S
12.6-11.3-13.4-13.2-13.3-12.5-12.4-12.3-12.1-12.0-12.2(63.8-61.0)S

前半が上りで、後半が下りというアップダウンの影響も大きいのだが、過去8年間のラップタイムを見るだけで、スローペースになりやすいことが分かる。同じ条件で行われるオールカマーほど極端ではないが、それでもやっぱり前に行ける馬が有利になる。

■2■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、マツリダゴッホしかり、ネヴァブションしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

■3■イマイチくんを狙え
古くはマチカネタンホイザやマチカネキンノホシから、最近ではエアシェイディなど、大レースではあと少しパンチ力が足りない馬たちが、AJCCでは見事に勝ち切ったケースが多い。時期的にG1級の馬が出走してこないことで出番が回ってくること、そして、現代の主流の瞬発力とスピードではなく、スタミナとパワーという反対のベクトルを問われるレースになりやすいことが理由として挙げられる。他のレースではなかなか勝ち切れなかったイマイチくんをここで狙ってみるのも面白い。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (10)

3冠馬同士のベストバウト

私にとっての2012年のベストバウトはジャパンカップである。実際に競馬場に観に行き、凱旋門賞帰りの3冠馬と3冠牝馬による直線での攻防を目の当たりにして、これは凄いものを見たと感じた。馬券こそ外してしまったが、競馬ファンの盛り上がりを肌で感じ、オルフェーヴルとジェンティルドンナの強さについて友人と語り合った。海外遠征帰りで万全の体調ではなかったにもかかわらず、あそこまで走ったオルフェーヴルの強さを改めて認識しつつ、どこまで行っても抜かせないジェンティルドンナの潜在能力に驚かされた。

究極に上がりの速い決着という意味も含め、1998年のジャパンカップを彷彿させるレースであった。そう、エルコンドルパサーとエアグルーヴ、スペシャルウィークが鎬を削ったあのジャパンカップである。直線に入って、他馬はあっという間に置き去りにされ、3頭だけがまるで瞬間移動したようにゴールしたのを昨日のことのように覚えている。あのレースも実際に競馬場で観ていた。超一流馬同士が、上がり3ハロンだけ本気で競走すると、こんなにも速いのかと衝撃を受けた。

そんなに素晴らしい(という表現がふさわしい)レースであったにもかかわらず、今年のジャパンカップで注目を集めたのは、残念ながら直線における審議の方だったのではないか。ジェンティルドンナとオルフェーヴルのぶつかり合いの末、着順どおりに確定したものの、岩田康誠騎手は騎乗停止の処分を受けることになった。観戦記にも書いたとおり、今年から変更された新しいルールに則ったとしても、正しい裁決だったと思う。他馬(オルフェーヴル)に与えた影響は見た目ほどには大きくなく、たとえあの衝突がなくてもジェンティルドンナはオルフェーヴルに先着していただろう。

もちろん、オルフェーヴル陣営の気持ちも理解できるし、池添謙一騎手の悔しさも分かる。想像を絶するような労力をかけてフランスに遠征し、凱旋門賞に挑み、あとわずかのところで栄光を掴み損ねた矢先のレースである。池添謙一騎手にとっても、一度は降ろされたオルフェーヴルの手綱が再び回ってきた一戦である。負けたくない、負けられないという思いを、誰よりも強く抱いての出走だったに違いない。そして、あくまでもタラレバではあるが、オルフェーヴルが普通の体調で走っていたなら、直線で突き抜けていたはずだ。実際には有馬記念にも出られなかったように、オルフェーヴルの体調は、凱旋門賞の頃からすでに下降線を辿っていた。

あらゆる伏線を考えてみても、2012年のジャパンカップは歴史に残る名勝負であった。どちらが勝ったということよりも、2頭の名馬たちがあらん限りの力を振り絞った名勝負。人間の思惑とは関係なく、ジェンティルドンナとオルフェーヴルはサラブレッドとしての生き様を示してみせたのである。競馬メディアを筆頭として、私たちはまずそこを観るべきだし、褒め称えるべきであろう。そうしないと、岩田康誠騎手の勝利ジョッキーインタビューは喜びのないものになってしまうし、新しい競馬ファンたちにもスポーツとしての醍醐味が伝わらなくなってしまう。自分の立場や利権だけを守るための競馬なんて、もう誰も振り向かないのである。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (7)

筋肉量がアップしたフラムドグロワール

■京成杯
フラムドグロワール →馬体を見る
朝日杯FSの馬体を維持どころか、筋肉量が増して、実に立派な馬体へ成長した。
この時期にしては、毛艶も良好で、筋肉の柔らか味もあり体調は申し分なし。
Pad5star

リグヴェーダ →馬体を見る
ゴールドアリュールの弟にもかかわらず、幼さの残る馬体であり、力強さに欠ける。
とはいえ、気性の強そうな顔つきから、スムーズにレースができれば切れそう。
Pad4star

ノウレッジ →馬体を見る
3歳馬らしからぬ筋肉のメリハリがあり、現時点での完成度は高い。
朝日杯FSのときにも指摘したが、やや胴詰まりであり、距離の延長は心配が残る。
Pad4star

マイネルマエストロ →馬体を見る
ずんぐりむっくりといった体型で、未完成ではあるが、まだ成長の余地が十分にある。
筋肉が胴部に詰まっている、いかにもスピードがありそうな短距離馬の馬体。
Pad3star

フェイムゲーム →馬体を見る
この時期の3歳馬にしてはきっちりと立てており、気性面での完成度は高そう。
筋肉はしっかりと付いているので、あとは鍛えられてメリハリが出てくれば。
Pad3star

■日経新春杯
オールザットジャズ →馬体を見る
牝馬らしからぬ馬体に力のある馬だが、今回はトモの肉付きがやや薄い。
毛艶は良好なので、体調の良さを生かして、この馬の力は出し切れそう。
Pad3star

メイショウカンパク →馬体を見る
大敗後にもかかわらず、馬自身が自信を失っていない表情と立ち姿。
毛艶もこの時期にしては良く、力を出し切れる状態に仕上がった。
Pad4star

メイショウウズシオ →馬体を見る
胴部には十分な長さがあるが、やや平板に映る、筋肉のメリハリに欠けた馬体。
毛艶は良くも悪くもなく、あばらが見えるように、仕上がり自体は悪くない。
Pad3star

トウカイパラダイス →馬体を見る
ゴールドアリュール産駒らしく、前躯が勝った力強さを感じさせる馬体。
その分、トモが薄く、後躯が物足りなく映るので、芝だと長距離向きか。
Pad4star

ダコール →馬体を見る
血統構成からはイメージできない、胴部が長く、距離は長いほど良さそうな馬体。
最高の仕上がりにあったオールカマー時と比べ、やや太め残りを感じさせる。
Pad3star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (7)

藤井勘一郎騎手による韓国G1制覇

Joefujii01

個人的に嬉しかったニュースとしては、「ROUNDERS」vol.2の騎手特集でインタビューさせていただいた藤井勘一郎騎手が、韓国競馬のG1レースを制したこと。インタビューの直後、鎖骨骨折から手術という全治6ヶ月の怪我を負ってしまい、復帰してからもなかなか勝てない日々が続いた。陰ながら藤井勘一郎騎手の活躍を楽しみにして、見守ってきた1人としては、新天地を求めて韓国へという長い道程の末に、韓国の“有馬記念”であるグランプリを勝利したとのニュースを聞いたときは嬉しくて仕方なかった。そして、インタビュー時にも感じた、彼の芯の強さと突き抜けるような明るさがもたらした勝利だと感じた。

藤井勘一郎騎手は、それを自信という言葉で表現していた。

ジョッキーは自信がすべての世界です。心の状態が悪くなれば自信もなくなるし、身体が機能しなくなってしまいます。ジョッキーにとって、精神的なものの影響は非常に大きく、それがしっかりしていないとなかなかレースはこなせません。騎手の自信はもちろん馬に伝わりますし、レースの結果にも如実に表れます。悪い騎乗をしたら騎乗依頼もこなくなります。 (「ROUNDERS」vol.2 インタビュー「大海を知るジョッキー」より)

藤井勘一郎騎手のように、いちど日本の騎手養成課程のレールから外れてしまったジョッキーは、とにかく騎乗できるチャンスを求めて、世界を飛び回ることでしか生きられない。それはとても大変な生き方であり、私のようなサラリーマンが味わうことのない、苦悩や葛藤があるに違いない。またアスリートだけに、怪我や病気は生活を一転させてしまうし、運がなくて勝てなければ、良い騎乗馬が回ってこないという悪循環を辿ることにもなる。

それでも、騎手として生きることをあきらめることなく、こうして新しい道を切り拓いてゆく藤井勘一郎騎手に、尊敬の念を抱かないわけにはいかない。そしていつの日か、いろいろな世界の競馬場であらゆる経験をした日本人ジョッキーが、日本の競馬でも自由に乗れる日が来ることを願いたい。


藤井勘一郎騎手によるグランプリ制覇をぜひご覧ください。
先行して、終始4番手の外を進んでいるのが藤井勘一郎騎手です。

追記
嬉しいニュースもあれば、悲しいニュースもあった。私にとって、なぜか今でも心に残っているのはゴルトブリッツの死である。昨年の夏に、ゴルトブリッツの将来が楽しみと書いたばかりのタイミングだったからか分からないが、誰かが急にいなくなることの言いようのない悔しさがこみ上げてくるのだ。帝王賞の力強い走りを思い出すと、もし生きていたら、どれだけのダート馬になっていたかと思う。秋のダートG1戦線を予想しているときも、レースを観ながらも、そしてレースが終わっても、ゴルトブリッツがいないことが信じられなかった。何かが途中でぷっつりと途切れてしまうことの、なんと悲しいことか。ゴルトブリッツのご冥福を祈りたい。


ゴルトブリッツの最後の勇姿をご覧ください。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

京成杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Keisseihai

仕上がりが遅くて重賞路線に乗り切れなかった馬や、あと一歩のところで賞金を加算できなかった馬たちが出走してくるレース。勝ち馬エイシンフラッシュはダービー馬となったが、時期が時期だけに、今後のローテーションを考えて止む得なく出走してきた馬がほとんどで、基本的にはクラシックにはつながりにくい。

■1■先行馬にとって有利なレース
12.9-11.8-13.8-12.7-13.0-12.8-12.8-12.5-12.2-12.9(64.2-63.2)S
12.6-11.1-13.1-13.0-13.0-12.2-12.5-11.9-11.4-12.4(62.8-60.4)S
12.6-11.6-13.4-12.2-12.5-12.1-12.2-11.4-11.4-12.2(62.3-59.3)S
12.5-10.7-12.6-12.0-13.0-12.6-12.9-12.0-12.4-12.2(60.8-62.1)H
12.1-11.5-12.6-12.6-13.2-12.6-12.6-11.7-11.6-12.2(62.0-60.7)S
12.5-11.1-13.6-12.7-13.3-12.6-12.6-12.4-11.4-11.4(63.2-60.4)S
12.6-11.0-12.4-12.0-12.3-11.9-12.1-12.1-12.1-12.4(60.3-60.6)M
12.4-10.8-11.9-12.3-13.0-12.7-12.3-11.8-11.7-11.7(60.4-60.2)M

過去8年のラップを見てみると、一昨年は例外として、13秒台のラップが続出しており、一様に、序盤、中盤が緩んでいることが分かる。4つコーナーを回る中山2000m戦のコースの形態上、仕方のないことではあるが、これだけ緩むと前に行った馬にとっては明らかに有利なレースになる。スッと先行できない、器用さに欠ける馬にとっては厳しいレースとなる。

■2■パワー優先
上がり時計も掛かっていることからも分かるように、この時期の中山競馬場の馬場は、通常に比べて重く、力を要する状態になる。そのため、当然のことながら、2000mという字ズラ以上のスタミナも問われる。アドマイヤベガ、マーベラスサンデー、ステイゴールド、ブライアンズタイム、マヤノトップガンなど、ダートや長距離戦にも実績のある種牡馬の産駒が、このレースで活躍しているのも頷ける話である。つまり、スピードや瞬発力という要素ではなく、パワーとスタミナを有しているタイプの馬を狙うべきである。

■3■意外や外枠有利
道中が緩む小回りコースにもかかわらず、真ん中よりも外から発走し、馬群の外を回った馬の方に軍配が上がっている。これは時期的に馬場の内側が傷んで(荒れて)きているということだけではなく、まだキャリアの浅い馬たちが大勢を占めているため、外枠から外を回ってスムーズに走られた方が力を出し切りやすいということを意味している。ダービーを豪快に差し切ったエイシンフラッシュでさえも、このレースでは2、3番手の外に付けて、スッと抜け出す競馬をしていたことを忘れてはいけない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (8)

キングカメハメハは強かった

2012年も多くの日本馬が海外に挑戦し、一敗地にまみれて帰ってきた馬もいれば、見事に栄光を勝ち取った馬もいる。昨年、最も印象に残ったのはもちろんオルフェーヴルの凱旋門賞であるが、それについては語り尽くしたつもりなので、今回は香港で歴史的な勝利を収めたロードカナロアについて書いてみたい。その勝利の価値は、日本馬が最も弱いと思われてきたスプリント国際G1を勝ったというところにある。別の言い方をすれば、オーストラリア生産馬のスピードとパワーに真っ向勝負できる馬が、日本から現れたということだ。

コテコテのオセアニア血統ではなく、アメリカ血統でもない。父がキングカメハメハだったからこそ、思わずおめでとうと言いたくなった(ロードカナロアの関係者だけではなく、キングカメハメハに携わった人々に対しても)。キングカメハメハのサラブレッドとしての優秀さが、国際舞台の象徴的な場面にて証明されたのだ。その圧倒的なスピードとパワーは、どの世界に行っても通用するものであり、しかもキングカメハメハやその産駒は2400mのチャンピオンディスタンス何度も制しているように、豊富なスタミナにも裏打ちされている。

そして、何より私がキングカメハメハの大ファンだったからこそ、より一層、喜びは深かった。日本ダービーを勝った時点で、過去に見てきたどの馬よりも強いと確信していたが、秋に1走をしたのみで引退してしまうことになり、しかもその翌年にあのディープインパクトが現れたのだから戸惑ってしまった。本当にキングカメハメハは最強馬だったのだろうか、そしてキングカメハメハとディープインパクトとは一体どちらが強かったのだろうか。その思いが強まって、「ディープインパクトVSキングカメハメハ」という夢想のエントリーを書いたりもした。当時の結論としては、それは種牡馬として血が残ってゆく過程にて示されるはず、ということであった。

今こうして、2頭が種牡馬としてリーディング争いをしていることを考えると、どちらが強かったということではなく、どちらも最強馬であったことが証明されたのだ。もしキングカメハメハが屈腱炎を患うことなく、あのまま古馬になっても走り続けたとしたら、国内のG1レースを総なめにして、そして当たり前にように海外の大レースに向かったことだろう。おそらくその矛先は、真っ先に凱旋門賞に向いたはずだし(そういう噂もあった)、ディープインパクトにはなかったあのパワーをもってすれば、ディープインパクトやナカヤマフェスタやオルフェーヴルが涙を飲む前に、キングカメハメハが凱旋門賞を勝っていたかもしれない。

キングカメハメハはそれほどに強い馬だったということを、ロードカナロアがこのような形で体現してくれたことが素直に嬉しい。スプリンターズSではスプリント女王のカレンチャンをねじ伏せ、香港スプリントでは屈強なスプリンターたちを完膚なきまでに叩きのめした。それにしても、ロードカナロアの昨年の夏を越しての成長は素晴らしかった。秋緒戦のセントウルSで見せた馬体は、筋肉が隆々とした山のようで、馬というよりは怪物。それまでは天性のスピードと切れ味で勝負してきた馬が、キングカメハメハの血に流れる成長力を生かし、誰にも負けないパワーを身につけたのだから恐ろしい。この馬こそ、今年は海外の大レース(スプリントシリーズ)を転戦してほしい。海の向こうには、キングカメハメハとロードカナロアの強さを表現できる相応しい舞台が揃っているのだから。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

日経新春杯を当てるために知っておくべき3つのポイント

Nikkeisinsyunhai

京都の2400mはスローの瞬発力勝負になりやすい典型的なコースである。スタートしてから最初のコーナーまでが597mとかなり長いため、無理な先行争いもまずなく、1コーナーに入るとひと息入る。最後の直線が長いことを考えると、向う正面で自ら動く馬もさほどおらず、通常、各馬が動き始めるのは丘の坂下から。そこからラスト4ハロンの上がり勝負になる。

実際に過去10年間の日経新春杯のラップタイムを見てみると、その傾向がよく分かる。

2003年 バンブーユベントス 
12.6-11.6-11.7-13.0-12.8-12.4-12.4-12.2-11.9-12.0-11.0-12.2(74.1-71.7)S 
48.9-49.8-47.1
2004年 シルクフェイマス
12.8-11.2-11.4-12.3-12.1-12.3-12.7-12.5-12.1-11.6-11.8-11.7(72.1-72.4)M 
47.7-49.6-47.2
2005年 サクラセンチュリー 
13.0-12.2-12.2-13.8-12.9-12.9-13.2-12.9-11.8-11.5-10.8-11.8(77.0-72.0)S
51.2-51.9-45.9
2006年 アドマイヤフジ
12.6-10.9-11.3-12.7-12.4-12.5-12.7-12.7-12.2-11.7-12.0-12.6(72.4-73.9)H
47.5-50.3-48.5
2007年 トウカイワイルド
12.5-11.2-11.0-13.0-12.8-13.0-13.8-12.8-11.7-11.7-11.6-12.3(73.5-73.9)M
47.7-52.4-47.3
2008年 アドマイヤモナーク
12.5-11.4-11.3-12.7-12.8-12.6-12.5-12.3-11.9-12.2-12.2-13.0(73.3-74.1)M
47.9-50.2-49.3
2009年 テイエムプリキュア
12.7-11.3-11.7-12.7-12.7-12.6-12.6-12.1-11.6-11.9-11.9-12.8(73.7-72.9)M
48.4-50.0-48.2
2010年 メイショウベルーガ
12.7-10.3-11.0-12.4-12.5-12.4-12.3-12.9-12.1-11.9-12.1-11.8(71.3-73.1)H
46.4-50.1-47.9
2011年 ルーラーシップ
12.6-10.8-10.8-12.7-13.2-12.6-12.6-12.9-11.9-11.1-11.6-11.8(72.7-71.9)M
46.9-51.3-46.4
2012年 トゥザグローリー
12.3-11.0-11.3-12.2-12.3-12.5-12.4-12.8-11.8-11.5-11.7-11.9(71.6-72.1)M
46.8-50.0-46.9

前後半1200mのラップタイムから判断すると、ハイペースとなったのは2006年と2010年だけで、それ以外の年は、ミドル~スローペースとなっている。何よりも注目すべきは、前半中盤後半に分けた800mずつのラップタイムである。京都2400m外回りで行われる日経新春杯の特徴的な流れとして、「速緩速」もしくは「緩緩速」というリズムのレースが多く目立ち、典型的な上がり4ハロンの競馬になっていることが分かる。

以上のことから、3つのポイントが導き出される。

①内枠有利
②上がりの競馬に強い馬
③サンデーサイレンス直仔の産駒

①の内枠有利は言うまでもない。道中がこれだけスローに流れやすい以上、4つのコーナーで外々を回されてしまう外枠を引いた馬はロスが大きいということである。すんなり前に位置できる脚質の馬であれば大した問題ではないが、ギリギリまで脚を溜めて瞬発力勝負に賭けたい差し馬にとっては、内枠は願ったり叶ったりの枠になる。

3コーナーの丘の坂下から一気に動き始めるレースになりやすい以上、追っつけて伸びるような馬ではなく、一気にトップギアに入り、②上がりの競馬(ラスト4ハロンのスピード勝負)に強い馬にとって有利になる。スタミナよりも、折り合いさえつけばスピードの爆発力の方が問われるということである。

そういった意味において、③のサンデーサイレンス産駒が得意とする舞台であることが分かる。サンデーサイレンス直仔がいなくなった以降のサンプルは少ないが、それ以前の4年間では勝率15%、連対率26%という圧倒的な数字を残していた。今後は父から瞬発力を受け継いだ、サンデーサイレンス直仔の産駒、または母の父がサンデーサイレンスという血統の馬にも期待が出来るだろう。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

Just Wait.

競馬は文化でありスポーツであるが、それと同時にギャンブルでもある。その絶妙なバランスが、私にとって、競馬を他のスポーツやギャンブルとは異なるものに昇華させている。そのことをはっきりと感じるのは、やはり自分が信じて賭けた人馬が、ゴールを先頭で駆け抜けてくれる瞬間だろう。井上オークスさんが、「武豊騎手と一緒にメイショウサムソンを追った」とどこかで書いていたように、馬券を買うことで―その金銭の多寡にかかわらず―、私たちは騎手や競走馬と一心同体になることができる。

2012年の日本ダービーは騎手と一心同体になることができたレースであった。4年前のダービーにて、1番人気のアンライバルドに乗って勝てなかった岩田康誠騎手を、いつかは日本ダービーを勝つジョッキーだと信じ、それ以来、見守り続けてきた。2010年には1番人気のヴィクトワールピサに騎乗して3着、2011年には2番人気のサダムパテックで7着と期待に応えてはくれなかった。それでも、今年こそと思いながら、私も毎年賭け続けてきただけに、彼の日本ダービーに対する想いの一端ぐらいは分かるつもりだ。日本ダービーは実力だけでは勝てない。運もなくては。Just Wait.

私は頭のてっぺんからつま先まで、岩田康誠騎手と同化した。好スタートから、ディープブリランテの行く気に任せて先行し、逃げたくはなかったのでゼロスが来てくれた時には安心し、すぐに直後の内ラチ沿いに馬を収めた。皐月賞のように引っ掛かることなく、第2コーナーを回り、向こう正面でディープブリランテの力がスッと抜けた時には、最高の形になったと直感した。そのまま3コーナー、そして4コーナーを回りつつ、かなり強引に仕掛けたトーセンホマレボシを目標に追い出してからは、全身全霊でディープブリランテを叱咤激励した。ゴールした瞬間、外からやってくるフェノーメノの追撃を凌ぎ切ったことを確信した。

3年間も待ち続けてきただけに、ただ単勝馬券が当たったのとは違い、喜びもひとしおであった。レース後、私はその興奮を書き綴ったり、人に話したりした。ほとんどの人たちは、おめでとうと言ってくれ、岩田康誠騎手の好騎乗を称えてくれた。ところが、翌日、とある競馬雑誌の編集部を訪れ、岩田康誠騎手の日本ダービー初制覇について語ろうと、「いやあ、昨日のダービー、よかったですねえ」と切り出したところ、「どのへんがですか?」と返されたのだ。

私は心の中でぶったまげたと同時に、そうかあのダービーに感動したのは自分が岩田騎手に賭け続けてきたからなのか、と現実を悟った。決してその編集部の方が冷めているわけではない。どちらかというと、青い炎の情熱を以って競馬を支えている方である。同じレースを見ても、それでも、これだけ感情移入の度合いが違うのだから、あまり一方的に想いを熱く語るのもなんだなと思わせられた。しかし、自分の心が動かされていなければ伝わるものも伝わらないと思い直し、またこうして懲りもせず、岩田康誠騎手の感動の日本ダービー制覇について語り続けてゆくのである。


関連エントリ
「ガラスの競馬場」:彼には志があるからだ
「ガラスの競馬場」:勝負師・蛯名武五郎

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (3)

シンザン記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sinzankinen

■朝日杯フューチュリティS好走組優位
この時期に行われる3歳重賞ということもあって、朝日杯フューチュリティSで結果を出せなかった居残り組みと、これから上を目指す素質馬のぶつかり合いという図式となる。過去10年の戦績から見ると、完成度が高い朝日杯フューチュリティS組が5勝と有利で、特に朝日杯フューチュリティSで好勝負していた馬が順調に出走してくれば、ほぼ間違いなく勝ち負けになる。

■前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬
同じ時期の同条件で行われる京都金杯と比べ、頭数が少なくなることもあって、ペースはスローに落ちることが多い。開幕2週目で前が止まりにくい馬場であることも含め、前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬にとってはレースがしやすい。

また、この時期の3歳馬にとって、京都の外回りマイル戦は厳しいレースである。よって、1600mの距離を走ったことのない馬にとっては苦しいレースとなることは避けられない。ちなみに、連対馬20頭中19頭に1600m以上の出走経験があった。

■素質馬が集まるジョッキーに変化あり
武豊騎手が過去13年で5勝と圧倒的な勝率を誇っている。平成19年も武豊騎手から岩田騎手に乗り替わったもののアドマイヤオーラが勝ったように、武豊騎手にこの時期の素質馬が集まりやすかったと考えられる。しかし、平成19年、20年と岩田康誠騎手と安藤勝己騎手のワンツーが連続したように、その流れも6年前あたりから少しずつ変わってきている。もう少し生々しく言うと、各陣営の武豊離れが進んできている(武豊騎手一辺倒ではなくなってきているということ)。ここ最近で勢いのあるジョッキーに乗ってみるのもひとつの手かもしれない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

秋山真一郎騎手に祝福を

競馬がスポーツである以上、必ずそこには応援する側、応援される側が存在する。応援する側は応援される側に自分自身を重ね、その勝利を自分のことのように喜ぶ。そして最後に、我に帰って、「おめでとう」と声を掛ける。2012年の競馬にも、「おめでとう!」と言えた瞬間がたくさんあった。たとえその人馬の馬券を買っていなくとも、―そうでないことの方が多いのだが―、レースが終わった後には、その走りを心から祝福したくなるのだから不思議だ。競馬と密接に関わる時間が長ければ長いほど、その勝利の背景にあるものが見えるからだろうか。そんな「おめでとう」を振り返って、もう一度味わってみたい。

まずは秋山真一郎騎手のG1初制覇である。カレンブラックヒルに乗って、NHKマイルCを制してみせた。そして、平田修調教師にとっても、父ダイワメジャーとってもその産駒が初めてという、フレッシュなG1勝利であった。これといった逃げ馬がおらず、それまで先行策を取っていたカレンブラックヒルが先頭に立ち、そのまま府中の長い直線を逃げ切った。前半の800mが47秒3という超がつくスローペース。前年の45秒7、前々年の44秒8というペースと比べても、明らかに遅い流れだったことが分かる。結果的に見れば、勝ってくださいと言わんばかりのレースであったが、そういった追い風を受けることができたのも、秋山真一郎騎手が迷うことなく逃げという策を打てたからだ。

秋山真一郎騎手とG1レース、または秋山真一郎騎手と平田修調教師といえば、2007年のオークスを思い出さない競馬ファンはいないだろう。平田修調教師の管理馬である1番人気のベッラレイアに騎乗した秋山真一郎騎手は、ゴール前でハナ差敗れて涙を飲んだ。あのオークスの騎乗に関して、積極的な仕掛けだった、これで負けたら仕方ないと秋山真一郎騎手を擁護する意見もあったが、あれは早仕掛けであった。騎手の勝ちたいという思いが馬に伝わり、人馬ともにふた呼吸ぐらい早く動いてしまい、最後に脚が止まってしまったのだ。

これで負けたら仕方ないというレースをしようと考えることは、積極的であるように見えるが、状況次第では消極的な選択にもなる。たとえば、野球で言えばフォークボールを決め手とする投手が、9回ツーアウト満塁ツースリーという状況で、フォークボールがすっぽ抜けることを恐れて、直球勝負をするようなものだ。直球で向かって行って、打たれたのなら仕方ない。誰もがそう言って納得するかもしれないが、果たして投げるべきは直球だったのだろうか。たとえすっぽ抜けても、フォークボールで勝負に行くべきではなかったのだろうか。直球勝負を賞賛するのは簡単なのだ。

最も大切なのは、その馬にとってどういう乗り方が合っているかどうかということだ。馬の力を最大限に発揮させて、それでも負けてしまったら、これで負けたら仕方ないと言える。それまでギリギリまで溜めて差す競馬をしていたベッラレイアを、G1レースでいきなり自ら勝ちに動いてしまったことが問題であり、秋山騎手も自分の未熟さを嘆いたという。そういった経験が実となり、こうやって5年後に表舞台で現れるのだから、競馬は捨てたものではない。カレンブラックヒルとそれまでの3戦で培ってきた自在性を生かし、レースの主導権を握り、ゴールまで先頭を譲らなかった無心の騎乗が光った。さらに昨年の秋には、ローヴディサージュを見事に駆って、シルクホースクラブに12年ぶりのG1制覇をもたらした。そう、秋山真一郎は、デビューから16年かけて、9回ツーアウト満塁ツースリーという状況でフォークボールが投げられる騎手になったのだ。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

京都金杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotokinpai

■1■マイル戦に実績があり、マイル以上のスタミナを持つ馬を狙え
主なステップレースは、朝日CC(1800m)と阪神カップ(1400m)になり、マイル以上のスタミナを持つ馬とマイル以下の距離でスピードを発揮する馬とが、マイル戦の舞台で激突することになる。京都のマイル戦というコース設定を考えると、どちらかといえば朝日CC組を上に取るべきだが、33秒台の速い時計で決着することが常なので、スピード勝負にも対応できる裏づけがないと厳しい。そういった意味では、マイル戦での実績(勝ち鞍)は必要で、マイルCSで好走してきた馬が出走してくれば間違いなく好勝負になる。

■2■勝つはずの馬が勝つべくして勝つレース
前半3ハロンの平均タイムが34秒9、ラスト3ハロンの平均が35秒1と、京都のマイル戦らしく、極めて平均ペースでレースは流れる。つまり、どんな脚質の馬でも勝負になり、展開に左右されて負けるということが稀なレースである。また、スタートから最初のコーナーまでの距離も694mとかなり長いため、枠順の有利不利もほとんどない。勝つはずの馬が勝つべくして勝つレースといえる。

ただし、開幕週ということもあって、直線が平坦な絶好の馬場では前もなかなか止まらないことに注意すべき。過去10年のラップタイムの中でも、前半800mのタイムに注目してみたい。

平成15年
12.3-10.5-11.8-12.2-12.1-11.6-11.5-11.7(46.8-46.9) 1:33.7Mサイドワインダー
平成16年
12.2-11.0-11.2-11.6-11.6-11.8-11.5-12.4(46.0-47.3) 1:33.3Hマイソールサウンド
平成17年
12.7-10.8-11.5-11.7-11.7-11.6-11.8-12.2(46.7-47.3) 1:34.0Mハットトリック
平成18年
12.2-11.1-11.8-12.2-11.8-11.2-11.4-12.3(47.3-46.7) 1:34.0Sビッグプラネット
平成19年
12.3-11.2-11.7-12.2-11.6-11.0-11.6-12.3(47.4-46.5) 1:33.9Sマイネルスケルツィ
平成20年
12.5-11.4-11.4-12.3-11.4-11.3-11.2-12.1(47.6-46.0) 1.33.6S エイシンデピュティ
平成21年
12.6-10.7-11.2-11.8-11.6-11.9-11.4-11.7(46.3-46.6)1.32.9M タマモサポート
平成22年
12.0-10.6-11.6-12.2-11.8-12.3-11.3-12.3(46.4-47.7)1.34.1H ライブコンサート
平成23年
12.3-11.3-11.8-12.0-11.4-11.2-11.4-12.0(47.4-46.0)1:33.4S シルポート
平成24年
12.2-10.5-11.1-11.9-11.9-12.0-11.5-11.8(45.7-47.2)1.32.9H マイネルラクリマ

前半の800mが47秒台に落ち着くと、完全に前が有利になっていることが分かる。出走メンバーを見渡してみて、どの馬がどのように逃げるのかをイメージする作業をする際には、この47秒という数字を頭に置いておきたい。

■3■あまりハンデ戦であることを意識しなくてよい
平成8年からマイル戦へと距離が短縮され、高松宮記念や安田記念へ向かうというよりも、昨年の秋シーズンを消化不良で終わったマイラーたちの最終戦的な色合いが濃い。とはいえ、一戦級落ちの実力のあるマイラーが揃うため、ハンデ戦ながらもレベルの高い争いが期待できる。

そのため、勝ち馬の平均ハンデが約56kgと、力のある馬であれば、少々重いハンデを背負ったとしても軽量ハンデ馬に足元をすくわれることはほとんどない。あまりハンデ戦であることを意識せずに、基本的には各馬の力の比較を優先すべきレースである。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

« December 2012 | Main | February 2013 »